ジョアン・クルス (João Cruz)

投稿者: | 2024年9月22日
最新更新日 : 2024/09/22
新規投稿 : 2024/09/22

ジョアン・ヴィトル・マシャード・クルス ブラジル 若手 次世代 逸材 U-20代表 ミッドフィルダー

ジョアン・ヴィトル・マシャード・クルス

João Victor Machado Cruz

ポジション:攻撃的MF/メイア・カンピスタ

利き足:右

2006年5月12日生まれ

<幼少期>

 ブラジル連邦共和国サンパウロ州サンパウロ市に生まれる。

<クラブ経歴>

≪育成時代

 サンパウロ州サントス市に本拠を置くポルトゲーザ・サンチスタにてフットサルを始め、10歳の時にサントスFCの下部組織にてサッカーに転向。2シーズン、サントスFCで過ごした後、2018年12月にアトレチコ・パラナエンセに入団。
 アトレチコ・パラナエンセ入団の切っ掛けは、ジュニア世代の国際大会「イベルカップ」サンパウロ大会の決勝戦にて、サントスFCがアトレチコ・パラナエンセと対戦。この試合に勝利したサントスFCでプレーするジョアンの活躍にアトレチコ・パラナエンセのスカウトが強い関心を示し、ジョアンと父親をアトレチコ・パラナエンセの育成カテゴリーのトレーニングセンターに招待。ジョアン曰く「天国みたい」な設備に圧倒され、父子共にアトレチコ・パラナエンセへの入団を決めた。
 アトレチコ・パラナエンセでは、2018年12月の入団時にU-13チームに加入。
 2000年(年初13歳)にはU-15チームに昇格。
 2022年(年初15歳)U-17チームに昇格すると、昇格一年目ながらチーム公式戦36試合のうち30試合に出場し8得点を記録。特にU-17全国選手権では、チーム全13試合のうち、すべて交代出場ながら12試合241分間出場し4得点をマーク。
 この年、チームは、パラナ州選手権にて優勝、U-17コパ・ド・ブラジルはベスト16敗退、U-17全国選手権は10チーム一回戦総当たりのグループラウンドを首位で通過し、8チームによるノックダウン方式の決勝ラウンドを準決勝にまで駒を進めた。
 2023年(年初16歳)は、年初からU-17チームの主軸の一人として活躍。U-17コパ・ド・ブラジル、U-17全国選手権は中盤の攻撃的なポジションで全試合にスタメン出場を果たし、それぞれ8試合3得点、11試合4得点を記録。チームは、U-17全国選手権は決勝ラウンド一回戦(ベスト16)で敗退したものの、U-17コパ・ド・ブラジルでは、2013年に始まった同大会にてクラブ史上最高位となる準優勝を収めた。
 2024年(年初17歳)、U-20チーム昇格一年目ながら1月開催の全国大会カップ戦に出場。チームが敗退する準々決勝までの7試合すべてに(うち先発2試合)出場し3得点1アシストを記録する。
 同大会終了後には、トップチームに合流するメンバーの候補に推され、トップチームのトレーニングにも参加するが、1月~3月に開催された州選手権でのベンチ入りはなく、3月に開幕したU-20州選手権、4月に開幕したU-20全国選手権に出場する。

アトレチコ・パラナエンセ≫

– 2024 –

 2024年4月24日、クーカ(Cuca)監督からトップチームに招集を受け、コパ・スウアメリカーナGR第3節ダヌービオ(Danubio)/URU戦の遠征に帯同しベンチ入り。
 5月8日コパ・スウアメリカーナGR第4節アウェイでのラジョ・スリアーノ(Rayo Zuliano)戦の後半18分、MFサペリ(Zapelli, 2002)に代わりインサイドハーフとしてピッチに送り出され、17歳でのプロデビューを果たす。
 その後、しばらくの間、U-20チームでの試合出場が続くが、6月26日全国選手権第12節クルゼイロ戦にて後半出場を果たすと、以降はトップチームに定着。
 7月28日全国選手権第20節クイアバ戦では、クーカ監督の辞任を受け監督に就任したマルティン・バリーニ(Martín Varini)監督のもと、プロ初のスタメンに抜擢される。
 8月11日全国選手権第22節インテルナシオナウ戦、再びスタメンに抜擢されると、前半39分、右サイドからのクロスボールにFWカノービオ(Canobbio, 1998)がシュート、DFのブロックに遭いこぼれたボールに左足でシュートに持ち込み、DFに当たったボールがゴールネットを揺らすプロ初ゴール。
 その後は、スタメン、途中交代出場を繰り返し、連戦に出場。8月18日全国選手権第23節ジュヴェントゥージ戦ではアシストをマーク。
 当記事投稿日の直近試合、9月19日コパ・スウアメリカーナ準々決勝ラシン・クラブ/ARG戦1stレグでは、前半22分にMFサペリの負傷交代を受けピッチに立つと、前半38分、左サイドライン際FWカノービオからのボールをPA左角で受け、ディフェンスの寄せが甘いとみるや鋭く右足を一閃。強烈なシュートがファーサイドのゴールネットを揺らし、この試合唯一のゴールを記録した。

≪シーズン別クラブ出場記録≫

シーズン所属大会試合出場
時間
得点アシ
スト
2024年(18歳)アトレチコ・パラナエンセコパ・スウアメリカーナ417710
全国選手権738611
コパ・ド・ブラジル35400
 合計1461721
イタリック斜体は、2024年9月21日現在の記録。
※ シーズン欄の年齢は、12月31日時点の年齢です。

<代表(世代別含む)経歴>

– 2021 –

 2021年(年初14歳)、前年のコロナ感染症拡大による混乱も落ち着き、育成カテゴリーの活動が通常化に向かうと、各世代別代表のスカウト陣が国内の主要クラブのトレーニングを視察するようになり、ジョアンは初めての世代別代表に選出される。

– 2022 –

 その後も世代別代表には相次いで招集を受け、2022年4月にフランスで開催されたモンテーギュ国際大会に出場。代表の一員としてブラジルU-17代表の大会優勝に貢献。

– 2023 –

 2023年3月末開幕の2023南米U-17選手権に向けた代表に選外となったのに続き、11月開幕のU-17W杯にも選外となる。

– 2024 –

 2024年8月17日、2025年1月にペルーにて開幕が予定されているU-20南米ユース選手権に向けた2度目の代表合宿23人の招集メンバーの一人として世代別代表に復帰。
 合宿期間中に開催されたメキシコU-17代表の2試合の国際親善試合に出場。
 9月5日の初戦は、後半10分頃にピッチに立つと、前半のチームの悪い流れを変え、右CKのキッカーとしてCBアルトゥール・ジアス(Arthur Dias)のゴールをアシスト。さらにその5分後にもハーフライン付近から最終ライン裏を狙うFWハイアン(Rayan)へスルーパスを通しアシスト。チームの2-1の勝利に貢献する。
 9月8日の第2戦では先発に抜擢。前半から攻撃の司令塔として攻撃を指揮、守備面でもセカンドボールの回収や高い位置での素早い寄せでチームに貢献。後半4分には、最終ラインからの対角線のフィードを相手陣PA内で最終ラインの裏へ抜け出し、胸トラップからゴール前にボールを折り返し、FWヴィトル・ホッキ(Vitor Roque)のゴールをアシスト。
 2023年は悔しい思いをしたが、2024年のトップチームでのプレーでつけた自信と、本来の自分のプレーをピッチ上で表現し、今代表合宿での2試合の国際親善試合にて3アシストを決めた。
   関連記事 : [2024.08.17発表]<ブラジルU-20代表招集

<プレースタイル、雑感 etc.>

 利き足は右。
 身長170㎝、体重64kg。(サッカーサイト「oGol」2024年9月20日参照)
  中盤の二列目中央を軸に、ウィングを含めた攻撃的なさまざまなポジションを務める。

 フットサルで鍛えられた足元の技術、左右の足から繰り出される長短の精度の高いパス、左右の足から強く放たれるシュートとシュートレンジの広さ。創造性豊かな個人技やパス、シュート。視野の広さや戦術眼、そしてこれらを生かした攻撃の組み立て。ゴールまでの道筋を常に意識したプレー選択。
 小柄な体格のため、空中戦は得意ではないが、U-20メキシコ代表との国際親善試合では、対角線後方からの難しいボールを中を確認した後、胸でトラップ、落ちてくるボールを中央へ送りアシストを決めるなど、高さのあるボールに対するアプローチ、技術は高い。また、体幹は強く、18歳でプレーするトップチームでの試合でも当たり負ける場面はほとんど見かけない。

 2024年1月のU-20全国大会終了後には、トップチームに合流するメンバーの候補に上がったものの、他のU-20チームのチームメートがトップチームの試合に出場する中、ジョアン・クルスには出場機会は訪れない。
 しかし、その3か月後には、トップチームでのトレーニング内容を評価されトップチームデビュー。自身5試合目でプロ初ゴールを記録すると、その後は連戦に出場。2024年9月、2年ぶりに招集を受けた世代別代表合宿では、メキシコとの国際親善試合初戦の後半にピッチに立つと、それまでのチームの悪い流れを払拭し、2アシストでチームの勝利に貢献。2戦目は先発に抜擢され1アシストを記録。類まれな集中力の高さと、ピッチ上での平常心で、与えられたチャンスを逃さず、結果を残した。

 アトレチコ・パラナエンセU-17チームではホドリゴ・ベロン(Rodrigo Bellão)監督、U-20チームではカコ・エスピノーザ(Caco Espinoza)監督のもと、中盤からウィングまでのさまざまなポジションやさまざまな役割を担ってプレーすることを要求されてきた。そして、この時の経験が、トップチームでプレーする今でも、プレーの幅を広げ、広い視野、戦術眼でプレー選択することに役立っていると、ジョアン・クルスは話している。
 それゆえに、憧れの選手としてケヴィン・デ・ブルイネを上げる。ケヴィン・デ・ブルイネは、2024年9月現在、マンチェスターシティで10年目のシーズンを迎え、ベルギー代表として2010年8月の代表デビュー以来107試合30得点20アシストを誇る世界最高峰のMFの一人として評されるプレーヤー。中盤のどのポジションに起用されても瞬く間にフィットし、スコアラーとしても一流。パスレンジが格段に広く、精度の高いクロスも送る。そして、瞬時に最高のプレー選択をする頭の良さを併せ持つ、と評されている。
 ジョアン・クルスはインタビューで、デ・ブルイネのプレーの10%でも出来るようになったら幸せだろうね、と話している。

 アトレチコ・パラナエンセU-20チームでジョアン・クルスを指導したカコ・エスピノーザ監督は、ジョアン・クルスに関するインタビューで、まず始めに、ピッチ外での生活習慣、例えば栄養管理や休養、将来に向けた英会話の習得など、サッカーに対する取り組み、意識の高さを称賛している。そして、技術的な素養の高さ、小柄とは言え強靭な肉体に加え、監督が指導するプレーを瞬く間に吸収していく学習能力の高さをジョアン・クルスの特長として挙げている。
 将来的には、アトレチコ・パラナエンセでリベルタドーレスを制し、サポーターの心に刻み込まれ、ヨーロッパの強豪クラブへと暖かく送り出され、チャンピオンズリーグで活躍することが夢だと語るジョアン・クルス。この夢に対し、カコ・エスピノーザ監督はそれだけの潜在能力は十分に秘めている、と常に本人を鼓舞し、エールを送り続けている。

 2024年6月6日にアトレチコ・パラナエンセとの契約を更改。新たに6000万ユーロの契約解除金が設定された。
 近年では、MFブルーノ・ギマランイス(Bruno Guimarães, 1997)やFWヴィトル・ホッキ(Vitor Roque, 2005)など、欧州市場に有能な人材を送り出しているアトレチコ・パラナエンセだが、MFジョアン・クルスは彼らに続く有力な候補の一人と見なされている。
 そんなジョアン・クルスが2023年のインタビューで次のように語っている。
『当面の目標は、2026年W杯に招集されること。非常に困難で時期尚早なのはわかってるけどね。』

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