マルロン・ゴメス (Marlon Gomes)

投稿者: | 2023年1月15日
最新更新日 : 2024/02/16
更新履歴 : 2024/01/13, 2023/06/16, 03/09

マルロン・ゴメス・クラウジーノ 若手 ブラジルサッカー ボランチ ヴァスコダガマ Marlon Gomes Claudino

マルロン・ゴメス・クラウジーノ

Marlon Gomes Claudino

ポジション:ミッドフィルダー/メイオカンピスタ

利き足:右

2003年12月14日生まれ


<クラブ経歴>

≪育成時代≫

 リオデジャネイロに生まれたマルロン・ゴメスは、5歳の時に市内西部グァラチバ地区のサッカースクールでサッカーを始める。
 9歳の時、サッカースクールの先生に連れられリオデジャネイロ都市圏の北部に位置するノヴァ・イグアスの入団テストを受けに行く。そこに合格したマルロン・ゴメスは14歳までノヴァ・イグアスでプレーする。
 2017年、14歳の時にヴァスコダガマの入団テストを受ける機会を得たマルロン・ゴメスはこのテストに合格。
 2018年、ヴァスコダガマU-15に加入。
 2019年にはU-17チームに昇格し、レギュラーの座を掴む。
 2020年はU-17チームを中心にプレーするが、後半にはU-20チームでもプレーし、U-20カテゴリーの州選手権およびコパ・ド・ブラジルの優勝に貢献。
 2021年はU-20チームでレギュラーとしてプレー。
 2022年1月に開催されたU-20全国大会カップ戦に出場。3得点1アシストの活躍。
 4月に開幕するU-20カテゴリーの州選手権では4得点をあげるなど、チームの中心選手として活躍。マルロンが出場した試合は15勝5分1敗とチームをけん引する。

≪ヴァスコダガマ≫

– 2022 –

 2022年、7月に入るとトップチームに昇格。
 7月19日、全国選手権2部第19節のイトゥアーノ戦において後半30分に交代出場。プロデビューを飾る。
 7月28日第21節CRB戦、後半37分にピッチに立つと、後半AT、3週間前にはU-20チームで共にプレーしていたエギナウド(Eguinaldo, 2004)のプロ初ゴールをアシスト。マルロン・ゴメス自身にとってもプロ初アシストを記録。
 8月9日第23節ポンチプレッタ戦で初のスターティングイレブンに抜擢。
 8月13日第24節トンベンセ戦では、前半43分、相手陣中央でのイーブンボールを相手ボランチを巧みにかわしてマイボールにすると、縦から左そして右へとドリブルで相手CB/ZAG2人をかわし、右足でシュート。ゴラッソでプロ初ゴールをマーク。
 その後左太ももに違和感を感じ後半開始間もなく交代する。しかし、ケガは重大なものではなく、翌節は大事を取ってベンチ外となるが、8月28日第26節には後半終了間際に交代出場。
 第27節以降は、チームが昇格争いをする中、全12試合に出場(うち10試合にスタメン出場)。
 ヴァスコダガマの1年での1部復帰に貢献する。

– 2023 –

 2023年、U-20南米ユース選手権決勝ラウンド第4節でのケガのため、チームへの合流が遅れる。
 2023年リオデジャネイロ州選手権予選ラウンド第10節フラメンゴとのクラシコで2023年シーズンの初出場。後半15分、アンドレイ・サントス、マルロン・ゴメス不在の中、レギュラーとして試合に出場し成長著しいホドリゴ・アウヴェス(Rodrigo Alves, 2002)と交代出場を果たす。後半25分、相手ペナルティエリア内で相手CBからボールを掠め取り、腕を引っ張り倒されPKを獲得。後半45+3分、左サイドからドリブルで相手ペナルティエリアに侵入。内に切れ込みながらシュートまで持ち込むがシュートは相手GKの正面。
 久しぶりのヴァスコ・ダ・ガマでの30分間の出場だったが、前年度二冠のフラメンゴを相手に自分の持ち味を出したプレーを披露した。
 全国選手権が始まると、開幕節からU-20W杯出場に向けた招集直前の第4節までの全4試合に出場。主に左サイドハーフ、セグンドボランチとして起用される。
 U-20W杯から帰国後の2023年6月11日全国選手権第10節インテルナシオナウ戦で左サイドハーフとして先発出場。開幕節での勝利以来勝ち星に見放され19位に低迷するチームを鼓舞するかのように、左SBルーカス・ピトン(Lucas Piton, 2000)との連係で攻撃を活性化させたが、残念ながら勝ち星をあげることはできない。
 翌第11節終了後にクラブはバルビエリ監督を解任。その後は監督代行のもとボランチとして起用され続ける。
 7月23日第16節アトレチコ・パラナエンセ戦、ラモン・ディアス新監督の初采配試合でベンチスタートになると、翌節は出場機会なし。第19節でスタメンに起用されるが後半開始時にベンチに退くなど、出場時間が次第に減っていく。
 9月3日第22節バイーア戦。後半開始時に3節ぶりに出場機会を得ると、後半18分にペナルティエリア内でドリブルを仕掛け相手のファールを誘発しPKを獲得。このPKをFWベヘッチ(Vegetti, 1988)が決めチームは同点に追いつく。
 この試合を機にラモン・ディアス監督の信頼を勝ち取ると、左ウィングや左サイドハーフといった高い位置でのスタメン起用が増え、10月中旬から約一か月間ケガのためチームを離脱したものの、全国選手権最終3節には復帰を果たし、チームの1部残留に貢献し2023年シーズンを終えた。

– 2024 –

To be continued...

≪シーズン別クラブ出場記録≫

シーズン所属大会試合出場
時間
得点アシ
スト
2022年(18歳)ヴァスコダガマ全国選手権2部1894522
合計1894522
2023年(19歳)ヴァスコダガマ全国選手権22111501
コパ・ド・ブラジル16600
州選手権310300
合計26128401
2024年(20歳)ヴァスコダガマ
イタリック斜体は、2024年1月13日現在の記録。
※ シーズン欄の年齢は、12月31日時点の年齢です。

<代表経歴>

 2018年にヴァスコダガマU-15チームに入団すると、間もなく同カテゴリーの代表に招集され、その後も各年代で代表に選出される。

– 2021 –

 2021年、メキシコで開催されたU-18レヴェレーションズカップに招集。
 第2戦のメキシコ戦、第3戦のコロンビア戦にスタメン出場を果たす。

– 2022 –

 2022年6月に開催されたパラグアイ代表、エクアドル代表、ウルグアイ代表とのU-20国際親善大会では、全3試合に出場、うち第2戦エクアドル戦、第3戦ウルグアイ戦はスタメンで出場する。
 2022年11月17日、2023U-20南米ユース選手権の向けた親善試合となるチリ代表との試合に出場。
 2022年12月8日には、2023年1月19日に開幕するU-20南米ユース選手権代表メンバーに選出される。

– 2023 –

2023年U-20南米ユース選手権

下表「節」欄のリンクは、当ブログの記事にリンクしています。記事内には、当該試合の出場&控えメンバー(ブラジルU-20代表のみ)、試合経過、得点シーン中心の動画、所感を掲載しています。
試合日対戦
相手
試合
結果
出場
時間
得点アシ
スト
2023/01/19予選R第1節ペルー3 – 09000
2023/01/23予選R第3節アルゼンチン3 – 19000
2023/01/25予選R第4節コロンビア1 – 15900
2023/01/27予選R第5節パラグアイ2 – 13200
2023/01/31決勝R第1節エクアドル3 – 17300
2023/02/03決勝R第2節ベネズエラ3 – 09001
2023/02/06決勝R第3節パラグアイ2 – 09000
2023/02/09決勝R第4節コロンビア0 – 07000
2023/02/12決勝R第5節ウルグアイ2 – 0
19 – 459401
予選R第1節ペルー戦
 前半は、守備に奔走する機会が多くなるが、次々とボール奪取し、ポジショニングの良さからインターセプトも度々敢行。
 後半に入り、選手間の距離がコンパクトになりボール保持時間が長くなると、2列目のポジションから右SBアルトゥールの攻撃参加をサポート、セカンドボールを回収し次の攻撃の起点となる。また、相手に渡ったボールもコースを切りながら間合いを詰めるディフェンスで攻撃スピード遅らせ、巧みなボール奪取で相手の攻撃を摘み取る。
 また、ゴールポストに当たる惜しいシュートや、1点目の起点となるクロスを上げるなど、右サイドで攻守に存在感を見せつけた。
予選R第3節アルゼンチン戦
 前半8分、相手陣深く右からのスローイン、ゴールに向けて投じられたボールは相手CBが跳ね返すが、PA内で相手CBに跳ね返されたスローインからのボールをボールを奪いライナー性のクロスを供給。このボールは相手GKが両手で弾くがギリェルミ・ビロがたたきつけるシュートを放ちゴール。アシストは記録されなかったが得点に関与。
 後半18分には自陣センターサークル内で相手選手がボールを受けたタイミングに走り込みボールを奪取。そのままゴールに向かいドリブルを仕掛けFWヴィトル・ホッキへスルーパス。ボールは少し大きくなり飛び出した相手GKにクリアされるが大きなチャンスを作り出す。
 この試合でも初戦同様に次々と中盤でボール奪取、インターセプトを敢行し、ピンチの芽を摘み取る。一対一の守備では間合いを詰め相手の攻撃のスピードを緩めるなど、状況に応じた守備を披露。
予選R第4節コロンビア戦
 この試合もアグレッシブな守備を敢行するが、前2試合を研究されたのか、前に出てボールを奪いに行くプレーを逆手に取られ、空いたスペースに入られパスを通される場面が見られた。コンパクトに保つ相手守備陣になかなか前を向いてボールを持てないが、セカンドボールの回収から素早くボールを展開し、ゴールに迫る起点になるなど、少ないボールタッチながら好機を演出する。
 少し疲れが見られたのか、後半14分、1-1の状況でピッチを後にする。
予選R第5節パラグアイ戦
 決勝ラウンド進出が決まっていた予選ラウンド最終節はベンチスタート。チームはパラグアイのコンパクトで球際に激しく前に出てくる守備に苦戦。素早い攻撃から先制点を許し、前半終盤に同点に追いつくものの攻撃の形ができない。
 マルロン・ゴメスは、CKから2-1と逆転した直後の後半13分に交代出場。攻撃を自重し守備に重点を置くプリメイロ・ボランチに入ると中盤が安定。ピンチらしいピンチを迎えることもなく試合を終わらせる。
決勝R第1節エクアドル戦
 相手はアンドレイ・サントスにマンツーマンに近い形でマーク。しかし、FWアレキサンデルが頻繁に下りてきてスリーボランチのような陣形を作り、攻撃の起点としてマルロン・ゴメスやアレキサンデルが相次いで縦に決定的なパスを送り相手の意図を崩す。
 前半27分にはスローインから浮き球をジャンプし踵で相手最終ラインのを通すブラジル人らしいトリッキーなプレーをみせる(パスは通ったが受け手がオフサイドの判定)。
決勝R第2節ベネズエラ戦
 後半4分、後方からのアンドレイ・サントスのパスを受けると振り向きざまに右足で相手最終ラインの裏を狙うFWヴィトル・ホッキへスルーパス。ヴィトル・ホッキはGKの位置を確かめ落ち着いてゴールを決め、マルロン・ゴメスはアシストを記録。
 後半40分にはハーフウェイライン右サイドライン際からサイドライン際を縦に上がるアンドレ・ドミニーキへのリードパス。ゴールライン際からのアンドレ・ドミニーキがマイナスのクロスを送り、途中出場の16歳ペドロ・エンヒキがゴール。
 前節では連戦の疲れからか後半から消える時間が多かったが、この試合では攻撃面で2得点に絡む活躍を見せる。
決勝R第3節パラグアイ戦
 予選ラウンドでの対戦時同様に、コンパクトな陣形から速いチェックでボールを奪いにくるパラグアイに対し、この試合もマルロン・ゴメスはなかなかいい形でボールに触れない。前半は中盤でボールを奪われてからの手数の少ないカウンター、後半はサイド深くからクロスを上げてくるパラグアイの攻撃に後手を踏み、自陣ゴール前での最終ラインに吸い込まれるポジショニングが多くなる。
 攻守ともに持ち味が出せない試合となった。
決勝R第4節コロンビア戦
 試合開始前に最終節の対戦相手ウルグアイが4連勝を果たし、ブラジルは優勝に向けて負けられない試合となる。
 立ち上げりこそ全体的に攻めあがるが、未然に防いだもののカウンターの脅威にさらされ、それを機に前への圧力が弱まる。すると、ボールを保持されるようになり、予選ラウンドでの対戦時に空いたスペースを狙われた経緯もあったためか、マルロン・ゴメスも縦への推進力でボールを奪うプレーは影を潜め、受けに回る守備が多くなる。
 後半に入り14分に相手に退場者が出たこともあり、ブラジルがボールを保持する時間が長くなる。しかし、連戦の疲れからか、チーム全体的に攻撃のリズムをあげることができず停滞。後半21分にマルロン・ゴメスは相手のタックルに足を痛め、持ち味をあまり出せない中、途中交代を余儀なくされる。
決勝R最終節(第5節)ウルグアイ戦
 警告累積のためベンチ外。

2023年U-20W杯

 2023年4月28日発表の2023U-20W杯代表に招集。
下表「節」欄のリンクは、当ブログの記事にリンクしています。記事内には、当該試合の出場&控えメンバー(ブラジルU-20代表のみ)、試合経過、得点シーン中心の動画、所感を掲載しています。
試合日対戦
相手
試合
結果
出場
時間
得点アシ
スト
2023/05/21グループR第1節イタリア2 – 36400
2023/05/24グループR第2節ドミニカ共和国6 – 09011
2023/05/25グループR第3節ナイジェリア2 – 09000
2023/05/31決勝R1回戦チュニジア4 – 19001
2023/06/01決勝R準々決勝イスラエル2 – 312000
 合計16 – 745412

2024年パリ五輪南米予選

 2023年12月21日にCBFより発表された2024パリ五輪南米予選(2024年1月20日~2月11日)U-23代表選手、23選手(GKは3選手)の一人として選出された。
下表「節」欄のリンクは、当ブログの記事にリンクしています。記事内には、当該試合の出場&控えメンバー(ブラジルU-23代表のみ)、試合経過、得点シーン中心の動画、所感を掲載しています。
試合日対戦
相手
試合
結果
出場
時間
得点アシ
スト
2024/01/20予選第1節対戦なし
2024/01/23予選第2節ボリビア1 – 09000
2024/01/26予選第3節コロンビア2 – 09000
2024/01/29予選第4節エクアドル2 – 19010
2024/02/01予選第5節ベネズエラ1 – 34500
2024/02/05決勝第1節パラグアイ0 – 1
2024/02/08決勝第2節ベネズエラ2 – 1
2024/02/11決勝第3節アルゼンチン0 – 1
 合計8 – 731510
予選第2節ボリビア戦は右SBとして出場。チームが自陣に引いて構えた守備的な戦術を採用する中、前に出るボール奪取や、前への推進力といった特長を発揮することができない。
予選第3節以降は本来のボランチとして出場。VOLアンドレイ・サントス、VOLアレキサンデルなどとスリーボランチを構成すると、後方に重点は置くものの、機を見て攻撃参加。予選第4節エクアドル戦では0-1の局面でFWの位置に身を置きFWエンドリッキのアシストによる同点ゴールをマーク。逆転後は高いボールキープ力で自陣ゴールから遠い位置へボールを運ぶなど勝利に貢献。
決勝ラウンドを前に腓骨への軽度な骨折が診断されチームを離脱。ハモン・メネゼス監督率いる世代別代表チーム(南米ユース選手権、U-20W杯)のキーとなる選手だっただけに、マルロン・ゴメスの離脱はブラジル代表の予選敗退の要因の一つに数えることができると思われる。

<プレースタイル、エピソード、雑感 etc.

 6歳年の離れた兄、マテウス・クラウジーノ(Matheus Claudino)は、マルロンに先立ちノヴァ・イグアスで育成年代をボランチとしてプレー。2019年に当時全国選手権3部のトンベンセでプロデビュー、2022年はフィゲイレンセにレンタル移籍し同チームの2部昇格に貢献、2023年には完全移籍し全国選手権2部を戦う。マルロン・ゴメスは、幼い頃からこの兄の背中を見、兄に憧れてプレーした。
 マルロン・ゴメスもノヴァ・イグアスでは兄と同様、ボランチでプレー。
 ヴァスコダガマ入団当初もプリメイロ・ボランチでプレーしていたが、その後、トップ下や左右のウィング、セグンド・ボランチなどで高いレベルのプレーを見せる。様々なポジションを高いレベルでこなすユーティリティ性を持ち、攻撃的なポジションで様々な役割を担うことのできるポリヴァレント性を持つ。
 このプレースタイルの柔軟性はトップチームでも発揮され、昇格後の5試合では異なる3つのポジションで起用された。

 2018年のヴァスコダガマ入団時は、癖のある巻き髪で頭が大きくヒョロっとした体形のひ弱な少年だったが、入団後まもなく15歳にして娘を授かり精神的に成熟。
 体格面やプレー面は日々成長し、2022年には、年初にU-20チームで共に戦ったアンドレイ・サントス(Andrey Santos)やエギナウドと共にトップチームで全国選手権1部昇格に貢献するに至る。
 マルロン・ゴメスのヴァスコダガマ入団後には、彼のサッカーに対する姿勢、試合の中での献身的なプレー、特に常にスペースを埋めるポジショニングが、当時のU-15代表のアシスタンスコーチを務めたジオゴ・カリャウ(Diogo Calhau)氏の関心を引いた。
 ジオゴ・カリャウ氏はマルロン・ゴメスのプレーはブラジルに留まらず世界で輝くだろうと彼のトップチームデビュー後のインタビューで話している。
 そして、ジオゴ・カリャウ氏がいう世界での活躍の初めの第一歩として、マルロン・ゴメスは2023年U-20南米ユース選手権に出場する。

2023/03/08 追記

 2023年U-20南米ユース選手権では、特筆すべき働きをした選手の一人。
 試合の状況を冷静に分析し、俯瞰的にボールや各選手の動きを把握する能力が高い。また、その能力を体現する技術にも長けている。
 守備面では、先を読んだプレーでボール奪取やインターセプトを数多く披露。SBが上がった際の空いたスペースやCBが引きずり出された際のカバーリング、相手のパスコースを限定する局所的なポジショニングや中盤のバランスを取る大局的なポジショニングに優れる。
 相手選手がボールを受けるや後方からボールを掻っ攫い攻撃へとつなげるボール奪取、相手の懐に上手く体を入れるボール奪取、一対一の守備では瞬間的に間合いを詰めてボールに足を当てるプレーや、間合いを取りながら相手の攻撃スピードを緩める守備など、多彩なディフェンスを披露。
 攻撃面では、判断が素早く的確。スルーパスや得点に結びつくプレーを多く創出。セカンドボールの回収が上手く、ペナルティエリア外からのミドルシュートの精度も高い。 
 ヴァスコ・ダ・ガマの同僚アンドレイ・サントスがリーダーシップを発揮しチーム全体を牽引するのに対し、同じボランチでも飄々とそつのないプレーで自らの任務を遂行し、守備では危ない場面でピンチの芽を摘み、攻撃では決定的なプレーをみせる姿は、寡黙に仕事に打ち込む高度な技術を有する職人を思い起こさせる。冷静なプレーが多いように思われたが、決勝ラウンド第4節コロンビア戦では相手カウンターを事前に防いだ際に自らを鼓舞するかのようなジェスチャーで熱い一面も見せた。
 

 2023年1月にチェルシー/イングランドに移籍を果たしたアンドレイ・サントスは、ヴァスコダガマU-15チームの頃から共にプレーし、寮生活でも同部屋になるなど、多くの時間を共にした親友であり、兄弟のような存在だ。アンドレイ・サントスのチェルシーへの移籍に際し、マルロンはSNSの中でアンドレイの旅立ちに寂寥の念を綴り、アンドレイの活躍を祈念している。
アンドレイ・サントス選手
マルロン・ゴメス選手
ヴァスコダガマ
 同時に、マルロン・ゴメスは同年代ながらアンドレイ・サントスのサッカーに対する姿勢やリーダーシップに尊敬の念を持ちインスピレーションを得てきたとSNSに綴っている。
 実兄マテウスの背中を見、背中を追って、幼い頃からの夢であるプロサッカー選手としてのキャリアを実現したように、一足早くヨーロッパのビッグクラブへと旅立ったアンドレイ・サントスの背中を追って、マルロンがヨーロッパへ旅立つ日もやがて訪れるだろう。
 早ければ、2023年中にもその機会が訪れるかもしれない。

(2024年1月13日追記)
 2024年1月12日、イングランド・プレミアリーグ所属クラブ(クラブ名非開示)による1200万ユーロ(約19億円)でのオファーが報道された。マルロン・ゴメス自身は2024パリ五輪南米予選に向けたU-23代表に招集中だが、代理人を通じてイングランドクラブと合意しているとみられるとのこと。翌13日にこの件の第一報を報道したジャーナリストがヴァスコ・ダ・ガマに確認したところ、「正式オファーは届いていない。マルロン・ゴメスを手放す予定はない。」との回答を受けたとのことだが、現在のイングランド移籍ウィンドウでの移籍はなくとも7月のウィンドウでの移籍の可能性は高まっている。

(2024年2月16日追記)
 2024年1月26日、シャクタルドネツク/UKRがマルロン・ゴメスの獲得を発表。移籍金は1200万ユーロ(固定)+400万ユーロ(インセンティブ)の総額1600万ユーロ(約26億円)。契約期限は2028年末。
 2月11日パリ五輪南米予選閉幕後に新チームへの合流が予定されている。
 シャクタルドネツクには、2022年のヴァスコ・ダ・ガマ一部昇格に共に貢献したFWエギナウド(Eguinaldo, 2004)や、元サンパウロ所属FWネヴェルトン(Newerton, 2005)、2023U-20W杯を共に戦った元パウメイラス所属FWケヴィン(Kevin, 2003)、元アトレチコ・パラナエンセ所属ペドリーニョ(Pedrinho, 2002)が在籍。
 ブラジル国籍の若い選手が多く、いずれもトップチームで多くの出場機会を得ており、新しく加入するには恵まれた環境と言える。
 同クラブから欧州主要リーグへ移籍を果たしたブラジル国籍選手は多く、育成→売却を念頭に置いたシャクタルドネツクへの移籍は将来的には欧州主要リーグへの移籍への近道かも知れない。
 2023/24シーズン、チームはチャンピオンズリーグ決勝ラウンドへの進出は叶わなかったもののヨーロッパリーグのプレーオフに進出。マルロン・ゴメス自身は五輪南米予選を腓骨の軽度な骨折で離脱しており、クラブデビューがいつになるか不明だが、一日でも早くクラブデビューを果たし、欧州の大きな舞台でプレーする日を迎えてもらいたい。

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