ギリェルミ・ビロ (Guilherme Biro)

投稿者: | 2023年1月20日
最新更新日 : 2024/02/16
更新履歴 : 2024/01/16, 2023/11/29, 06/16, 03/26

ギリェルミ・スシーガン・マフラ・クーニャ 若手 ブラジルサッカー コリンチャンス Guilherme Sucigan Mafra Cunha

ギリェルミ・スシーガン・マフラ・クーニャ

Guilherme Sucigan Mafra Cunha

ポジション:ミッドフィルダー/メイオカンピスタ

利き足:左

2004年4月20日生まれ


<幼少期>

 ブラジル連邦共和国サンパウロ州、サンパウロ市から約120㎞北北西に位置するスマレーに生まれる。
 3歳の時に地元のサッカースクールでサッカーを始め、その後地元から20㎞離れたカンピーナスのクラブでフットサルを始める。8歳からスマレーの隣町オルトランジアのクラブチーム、ハッサに移り、サッカーやフットサルの地域大会で活躍。
 この頃からプロ選手の夢を叶えるためサンパウロ州に拠点を置くクラブを中心に入団テストを受けはじめる。

<クラブ経歴>

≪育成時代≫

 2015年5月にコリンチャンスのU-11チームに加入。
 コリンチャンス下部組織入団後は、中盤の攻撃的なポジションでプレーする。
 2017年には、U-13カテゴリー州選手権で背番号10をつけキャプテンとして優勝。同大会で20ゴールを決め得点王となる。
 その後左SB/LAEに転向し、2019年U-15南米ユース選手権代表に選出。
 コロナ感染症の影響を受けた2020年は、自粛期間明けの9月にケガを負い、自粛期間前の3月に出場したU-17チームでの1試合のみの公式戦出場となった。しかし、12月にコリンチャンスとプロ契約を締結、3000万ユーロの違約金が設定された。
 2021年にはヴァギネル・マンチーニ(Vágner Mancini)監督によりトップチームに招集。
 3月7日、州選手権第3節ポンチプレッタ戦、続く第4節サンカエタノ戦でベンチ入りを果たすが試合出場機会はなく、以降はU-17、U-20チームで試合経験を積んでいく。また、シーズン後半には再び中盤の攻撃的なポジションでの試合出場が増えていく。

≪コリンチャンス≫

– 2022 –

 2022年はU-20チームでのスタートとなる。
 しかし、6月下旬にヴィトル・ペレイラ(Vítor Pereira)監督のもとトップチームに招集されると、7月2日第15節フルミネンセ戦において右サイドハーフでスターティングイレブンに抜擢。プロ初出場をスタメンで飾る。
 その後主戦場は再びU-20チームに移り、トップチームでの出場は10月29日第32節ゴイアス戦、途中交代で32分のプレーのみ。

– 2023 –

 2023年は年初にU-20南米ユース選手権代表に選出。しかし、コリンチャンスでは監督の戦術上トップチームに招集されることがなく、U-20チームでの試合が中心となる。
 しかし、若手を積極的に起用するルシェンブルゴ(Luxemburgo)監督が就任すると、2023年5月8日全国選手権第4節フォルタレーザ戦に後半開始時の交代出場を果たす。その後はU-20W杯出場のためチームを離れるが、帰国後の6月7日リベルタドーレスで後半26分に交代出場を果たす。
 6月10日全国選手権第10節クイアバ戦、右SHとして先発に起用されると、守備を中心とした戦術の中で自陣深くまで守備に走りながらもカウンターから惜しいシュートを2本放つなど、国際試合での経験を活かした成長力をアピール。
 6月4試合、7月6試合と、先発、途中交代で次第に出場機会を増やしていくが、8月の自身4試合目となる22日のコパ・スウアメリカーナ準々決勝1stレグ以降は、ベンチ入りはするものの出場機会に恵まれず、9月は30日の全国選手権第25節サンパウロ戦での22分間の出場にとどまる。
  10月中旬から11月初旬のパンアメリカン競技大会への出場もあり、10月3日のマノ・メネゼス監督就任後は、出場機会をおろかベンチ入りも果たせない試合もあり、9月30日以降はクラブでの試合に出場していない。

– 2024 –

To be continued...

≪シーズン別クラブ出場記録≫

シーズン所属大会試合出場
時間
得点アシ
スト
2022年(18歳)コリンチャンス全国選手権210800
合計210800
2023年(19歳)コリンチャンスリベルタドーレス11900
コパ・スウアメリカーナ421300
全国選手権1157600
コパ・ド・ブラジル12500
合計1683300
2024年(20歳)コリンチャンス
合計
イタリック斜体は、2023年11月29日現在の記録。
※ シーズン欄の年齢は、12月31日時点の年齢です。

<代表(世代別含む)経歴>

– 2019 –

 2019年7月23日、26日に行われたパラグアイ代表とのU-15国際親善試合に代表選出。2試合とも左SBとしてスターティングイレブンで出場。第2戦では試合終了間際にペナルティエリアすぐ外のFKを得意の左足でゴール左隅に決める。
 2019年8月28日のウルグアイ代表とのU-15国際親善試合に招集。左SBでスタメン出場。
 2019年U-15南米ユース選手権に向けた最後の対外試合、2019年9月23日から始まるボリビア代表、ペルー代表、ウルグアイ代表とのU-15国際親善大会に招集。しかし、大会1週間前にケガを負い代表を辞退。
 2019年U-15南米ユース選手権代表に選出。
 9月のケガは幸い大事に至らず、11月23日の初戦、招待枠で参加するベルギー戦にスタメン出場を果たすと、グループラウンド全5試合に出場。準決勝パラグアイ戦、決勝アルゼンチン戦も含め、全7試合に出場、スタメン出場の6試合ではフルタイムでプレーし、ブラジル代表の優勝に大きく貢献する。

– 2021 –

 2021年9月2日のパラグアイ代表との親善試合に左SBとしてスタメン出場。

– 2022 –

 2022年8月から9月にかけて開催されたアルゼンチン代表、ウルグアイ代表、ウズベキスタン代表とのU-20国際親善大会にMFとして招集。
 9月6日初戦のアルゼンチン戦に後半途中から交代出場するも、数分後に太ももに違和感を覚えピッチを後にする。

– 2023 –

 2022年12月8日に発表された2023年U-20南米ユース選手権の代表メンバーに落選。
 しかし、複数の選手がクラブ事情を理由に代表を辞退したため、2023年1月3日に追加招集。
 2019年U-15南米ユース選手権に続き、ブラジルを代表しアマレリーニャ(ブラジル代表の黄色のユニフォームの通称)を着て国際大会に出場することになる。

2023年 U-20南米ユース選手権

下表「節」欄のリンクは、当ブログの記事にリンクしています。記事内には、当該試合の出場&控えメンバー(ブラジルU-20代表のみ)、試合経過、得点シーン中心の動画、所感を掲載しています。
試合日対戦
相手
試合
結果
出場
時間
得点アシ
スト
2023/01/19予選R第1節ペルー3 – 06100
2023/01/23予選R第3節アルゼンチン3 – 16610
2023/01/25予選R第4節コロンビア1 – 17501
2023/01/27予選R第5節パラグアイ2 – 1
2023/01/31決勝R第1節エクアドル3 – 17300
2023/02/03決勝R第2節ベネズエラ3 – 07100
2023/02/06決勝R第3節パラグアイ2 – 07600
2023/02/09決勝R第4節コロンビア0 – 07000
2023/02/12決勝R第5節ウルグアイ2 – 06600
19 – 455811
 追加招集ながら左サイドハーフとして全9試合中8試合にスタメン出場を果たす。
 記録上は1得点1アシストだが、左サイドでパトリッキやアレキサンデルとの連携で何度もチャンスを創出し多くの良質なクロスを供給。決勝ラウンドのパラグアイ戦およびウルグアイ戦ではポストを直撃する惜しいシュートを放つ。
 相手にボールが渡った際の素早いチェック、自陣深くまで戻る守備などディフェンス面でも奮闘。すべての試合で後半途中でベンチに退くが、上下にアップダウンを繰り返しスタメンとしての責務を十分に遂行する。
 予選R第3節アルゼンチン戦では、前半8分、右サイドからの攻撃にゴール前にポジションを取りゴールをマーク。
 予選R第4節コロンビア戦では、前半43分、右サイドからのFKのキッカーを務め、左足から巻いて落ちる良質のボールを供給。アンドレイ・サントスの同点ゴールをアシスト。

≪2023年4月 スペイン合宿 国際親善試合≫

 2023年4月15日~27日に行われたU-20代表スペイン合宿に招集。期間内に行われた国際親善試合は3試合のうち、12試合目のドミニカ共和国戦、3試合目のイラク戦で出場を果たした。

≪2023年U-20W杯≫

 2023年4月28日発表の2023U-20W杯代表に招集。
下表「節」欄のリンクは、当ブログの記事にリンクしています。記事内には、当該試合の出場&控えメンバー(ブラジルU-20代表のみ)、試合経過、得点シーン中心の動画、所感を掲載しています。
試合日対戦
相手
試合
結果
出場
時間
得点アシ
スト
2023/05/21グループR第1節イタリア2 – 36400
2023/05/24グループR第2節ドミニカ共和国6 – 04501
2023/05/25グループR第3節ナイジェリア2 – 08900
2023/05/31決勝R1回戦チュニジア4 – 19000
2023/06/01決勝R準々決勝イスラエル2 – 34500
 合計16 – 733301
初戦のイタリア戦は守備に奔走する場面が多く後半19分に交代。
第2戦ドミニカ共和国戦では、前半36分に先制点となるFWサーヴィオのゴールをアシストするが、後半開始時にベンチに退く。
決勝ラウンド一回戦チュニジア戦では、左SBカイキの負傷を受け、後半から左サイドバックとしてプレー。相手の攻撃陣に狙われる中、大きなミスもなく、一対一に適切に対応するなど守備面で綻びを見せず、チームの勝利に貢献。
準々決勝イスラエル戦では、左SBとして先発に起用されるが、守備面で奮闘するものの、ボールを奪った後のパスを悉くカットされるなど、前半45分でベンチに退いた。

2023年パンアメリカン競技大会

 2023年9月22日発表の2023パンアメリカン競技大会U-23代表に招集。
下表「節」欄のリンクは、当ブログの記事にリンクしています。記事内には、当該試合の出場&控えメンバー(ブラジルU-23代表のみ)、試合経過、得点シーン中心の動画、所感を掲載しています。
試合日対戦
相手
試合
結果
出場
時間
得点アシ
スト
2023/10/23予選第1節アメリカ合衆国1 – 09000
2023/10/26予選第2節コロンビア2 – 08710
2023/10/29予選第3節ホンデュラス3 – 045
2023/11/01準決勝メキシコ1 – 08900
2023/11/04決勝チリ1 – 1
PK: 4-2
7800
 合計8 – 138910
第1戦アメリカ戦では、後半16分にFKのキッカーとして好機を演出。後半42分にはポジションを右に移し、ペナルティエリア右から左足のアウトサイドキックのクロス、これをVOLマテウス・ジアスがフリックし、ファーサイドでCBミランダが頭でゴールに押し込みブラジルが先制。
第2戦コロンビア戦では、前半16分、右サイドを起点と攻撃で、MFガブリエウ・ピラーニからFWマテウス・ナシメントを経たボールを、ペナルティエリア中央に左サイドから絞り込んで受けると、ディフェンダーをかわし左足でゴール左隅にボールを送り込む。
以降の3戦は、直接ゴールに絡む機会はなかったが、守備面での貢献度も高く、ブラジルの大会優勝に貢献した。

– 2024 –

2024年パリ五輪南米予選

 2023年12月21日にCBFより発表された2024パリ五輪南米予選(2024年1月20日~2月11日)U-23代表選手、23選手の一人として選出された。
下表「節」欄のリンクは、当ブログの記事にリンクしています。記事内には、当該試合の出場&控えメンバー(ブラジルU-23代表のみ)、試合経過、得点シーン中心の動画、所感を掲載しています。
試合日対戦
相手
試合
結果
出場
時間
得点アシ
スト
2024/01/20予選第1節対戦なし
2024/01/23予選第2節ボリビア1 – 05600
2024/01/26予選第3節コロンビア2 – 0
2024/01/29予選第4節エクアドル2 – 1
2024/02/01予選第5節ベネズエラ1 – 31300
2024/02/05決勝第1節パラグアイ0 – 100
2024/02/08決勝第2節ベネズエラ2 – 1910
2024/02/11決勝第3節アルゼンチン0 – 15800
 合計8 – 713610
初戦の予選第2節ボリビア戦にスタメン出場。
決勝第2戦ベネズエラ戦では後半36分に出場を果たすと、後半44分、FWエンドリッキのスルーパスを受け、ディフェンダーのボディチェックにもひるむことなくGKの位置をよく確認したシュートで勝ち越しゴールを奪った。

<プレースタイル>

 以下の長所短所は、2023年U-20南米ユース選手権代表追加招集が発表された際に掲載されたネット記事を抜粋。

≪長所≫

 パス精度が高く、ゴールにつながる決定的なパスをしばしば繰り出す。
 オンザボール、オフザボールにかかわらず、右サイドから中央にかけたエリアでプレーし、相手ボランチの背後のイヤな場所に現れては決定的な仕事をする。また、サイドからの攻撃の起点となる。
 ミドルシュートが得意でFKのキッカーも務める。

≪短所≫

 守備の局面では集中力が途切れることがあり、プレー強度が落ちる場面が見られる。
 スピードに長けたタイプではない。
 コリンチャンス下部組織入団後は、線の細さからSBでプレーを続けていたが、年を重ねるにつれ身体面も成長し2022年には再び中盤に戻る。しかし、空中戦や接点での攻防では後手に回ることがある。

<雑感>

 2022年9月25日に行われたU-20ブラジル全国選手権決勝パウメイラス戦では、0-1でリードされた後半34分に交代出場。短い出場時間ながら、わずかながらオフサイドだったものの、同点かと思われたゴールを決めるなど、右サイドで攻撃の起点、左サイドでボールを保持している際のポジショニング、そしてフィニッシャーとしての存在感を見せた。
 また、プロ初出場となる2022年7月2日第15節フルミネンセ戦では、試合開始早々の前半4分、カウンターの局面で右サイドから中央へ流れながらゴール前に駆け上がり、相手カバリングにクリアされたものの、あわやという場面を作り出した。
 たまたま見た映像での活躍と特徴的な髪形のせいか個人的に強く印象に残った。
 2007-2009年に鹿島アントラーズでプレーし、2022年にコリンチャンスU-20チーム監督に就任したダニーロ(Danilo)氏がトップチームそしてU-20代表に送り出した選手の一人。
 事前の練習試合、トレーニングでは主力チームとして参加しているようなので、現地時間1月19日に開幕するU-20南米ユース選手権ではあの髪形に注目したいと思う。

(2023/11/29 追記)
 2023年U-20W杯閉幕後は、クラブでの出場機会も増え、U-20W杯でサイドバックとしてのプレーでユーティリティ性も評価され、国外クラブからの視線も熱くなり、2023年7月下旬にはアル・サッド/QATから移籍金600万ユーロでの正式なオファーも届いた(交渉は決裂)。
 2001年生まれが主体となるパンアメリカン競技大会では2004年生まれながら主力メンバーの一人として優勝に貢献するものの、大会が進むにつれ、パフォーマンスが落ちていった。その傾向は、U-20南米ユース選手権やU-20W杯、クラブでも見受けられ、どうしてもネガティブな印象を受けることになる。
 コリンチャンス下部組織では、早くから世代別代表に招集され、注目を浴びる機会も多かったが、この一年で多くの下部組織出身選手がトップチームに起用され、2002年生まれのCBムリーロ(Murillo)がノッティンガム・フォレスト/ENGへ移籍を果たし、2006年生まれのFWペドロ(Pedro, Pedrinho Santos)が2023/24シーズン(またはシーズン後)のゼニト/RUSへの移籍が内定、2005年生まれのVOLガブリエウ・モスカルド(Gabriel Moscardo)がチェルシー/ENGからオファーを受け、バルセロナ/ESPやパリSG/FRAも獲得に乗り出すとの噂が広まるなど、次々とヨーロッパ移籍を果たしつつある。
 圧倒的なスピードやディフェンダーを置き去りにするドリブルのような華のある特長はないが、キックの精度は高く、ポジショニングに優れ、守備面での強度も強い。そんな特長を生かし、コリンチャンストップチームでコンスタントなパフォーマンスでサポーターに認められる結果を残し、上記の選手に続いてヨーロッパ移籍を果たしてもらいたい。

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