ジオヴァーニ・ナシメント (Giovane Nascimento)

投稿者: | 2023年1月28日
最新更新日 : 2024/02/17
更新履歴 : 2024/01/17, 2023/06/16, 03/27

ジオヴァーニ・サンタナ・ド・ナシメント 若手 ブラジルサッカー FW/ATA コリンチャンス

ジオヴァーニ・サンタナ・ド・ナシメント

Giovane Santana do Nascimento

ポジション:フォワード/アタカンチ

利き足:左

2003年11月24日生まれ

<クラブ経歴>

 ブラジル連邦共和国サンパウロ州、州都サンパウロ市から約130㎞に位置するサンタ・バルバラ・ジオエスチに生まれる。

≪育成時代≫

 RBブラジルでサッカーを始める。
 2017年、RBブラジルU-15チームでプレーするが、2018年、一度チームを離れる。
 2019年、RBブラジルに復帰。U-17チームにて公式戦に出場するが、家庭の事情で退団。
 一時はサッカー選手になる夢を諦めようとする。
 2021年、サンパウロ州選手権3部のカピヴァリアーノに入団。
 4月29日、17歳ながら州選手権3部第5節に途中交代で出場。カピヴァリアーノでのデビューを果たす。
 5月10日州選手権3部第10節において後半開始から出場すると、2-2の同点で迎えた後半39分、決勝ゴールをマーク。
 州選手権3部にて8試合出場(うち1試合にスタメン出場)を果たすと、コリンチャンスのスカウトの目に留まり、選手権終了後の7月にはコリンチャンスU-20チームへ買取オプション付きのレンタルで移籍する。
 8月に入り、U-20チーム公式戦に出場し始めると、自身6試合目の8月26日、U-20州選手権第4節RBブラガンチーノ戦に後半開始時から出場。45分の出場ながら2ゴールをマーク。
 8月29日U-20全国選手権第13節セアラー戦もまた後半開始時からの出場で1得点を記録。
 9月5日U-20全国選手権第14節バイーア戦にスターティングイレブンに抜擢されると、この試合でも1得点1アシストを記録。
 コリンチャンスU-20チームに入団して僅か2カ月、17歳にしてレギュラーの座を獲得。
 2021年は同チームにて23試合出場17得点2アシストを記録する。

≪コリンチャンス≫

– 2022 –

 2022年は1月に開催されるU-20全国大会カップ戦に出場。5試合3ゴールアシストを記録。
 すると、ヴィトル・ペレイラ(Vítor Pereira)監督によりトップチームに招集。
 4月10日、全国選手権開幕節ボタフォゴ戦にベンチ入り。3-1でコリンチャンスがリードする中、後半11分、ホージェル・ゲデス(Roger Guedes, 1996)との交代で出場。コリンチャンスでのデビューを果たす。
 4月にはさらに2試合に後半途中交代で出場機会を得るが、5月にはU-20チームに主戦場を移す。
 7月2日、全国選手権第15節フルミネンセ戦にて、4月以来のトップチームでの試合出場をスターティングイレブンで果たす。
 7月5日、リベルタドーレス ラウンド16 ボカジュニオルス/ARG戦2ndレグ、後半5分に交代出場。1stレグでの引分を受けたアウェイでのこの試合は、攻撃での活躍は見られなかったが、前線からの守備、守備陣がボールを奪った際のボールの預けどころとして奮闘する。
 その後は、後半途中からの交代出場に出場機会はとどまるが、7月29日、コリンチャンスが買取オプションを行使。ジオヴァーニはコリンチャンスと契約期間3年、5000万ユーロの契約違約金が付された契約を締結する。
 しかし、8月にセンターフォワードとしてユーリ・アウベルト(Yuri Alberto, 2001)がレンタル加入すると、ホージェル・ゲデスが偽9番から本来のウィング、セカンドトップとして定着し、出場機会は激減。8月以降は6試合104分の試合出場にとどまる。

– 2023 –

 コリンチャンスは、前線を2022年シーズン終盤の選手構成を基本に州選手権に臨む。そのため、ジオヴァーニのみならずギリェルミ・ビロ、ペドロ・エンヒキ(2023年登録名:ペドロ)といったU-20南米ユース選手権代表メンバーはトップチームでの出場機会がほとんど与えられない。ジオヴァーニも1試合11分出場するのみで州選手権は閉幕する。
 コリンチャンスは2023年4月15日の全国選手権開幕戦に前後して監督が相次いで交代。
 ジオヴァーニは、U-20監督ダニーロ(Danilo)氏が監督代行を務める4月29日全国選手権第3節パウメイラス戦の後半24分に交代出場。しかし、その後は若手を積極的に起用するルシェンブルゴ(Luxemburgo)監督が就任するが、U-20W杯出場のため約一か月間チームを離脱したこともありなかなか出場機会は訪れない。
 6月28日リベルタドーレス最終節、7月11日コパ・スウアメリカーナプレーオフにそれぞれ途中出場を果たすが、以降はU-20チームでの試合出場が続く。
 8月19日全国選手権第20節クルゼイロ戦に約一か月ぶりのトップチームでの出場を果たすが、9月に入りトレーニング中のケガでトップチームを再び離脱する。
 2023年11月28日全国選手権第36節ヴァスコ・ダ・ガマ戦の後半36分に復帰を飾ると、後半45+5分、右サイドライン際を駆け上がるMFマテウス・アラウージョ(Matheus Araújo, 2002)のゴールライン際からのマイナスのボールに後方から走り込み右足をダイレクトに合わせるゴール。コリンチャンスでの初ゴールを記録する。

– 2024 –

To be continued...

≪シーズン別クラブ出場記録≫

シーズン所属大会試合出場
時間
得点アシ
スト
2021年(18歳)カピヴァリアーノ州選手権3部823510
合計823510
2022年(19歳)コリンチャンスリベルタドーレス26500
全国選手権1029300
コパ・ド・ブラジル413100
合計1648900
2023年(20歳)コリンチャンスリベルタドーレス11100
コパ・スウアメリカーナ15000
全国選手権512910
州選手権11100
合計820110
2024年(21歳)コリンチャンス
合計
イタリック斜体は、2024年1月17日現在の記録。
※ シーズン欄の年齢は、12月31日時点の年齢です。

<代表経歴>

 2022年9月に開催されたアルゼンチン代表、ウルグアイ代表、ウズベキスタン代表とのU-20国際親善大会に招集。
 この招集が世代別代表への初招集となる。3戦いずれも途中交代出場を果たす。
 2022年12月8日に発表された2023年U-20南米ユース選手権の代表メンバーに落選。
 しかし、複数の選手がクラブ事情を理由に代表を辞退したため、後日、追加招集を受ける。

U-20南米ユース選手権

下表「節」欄のリンクは、当ブログの記事にリンクしています。記事内には、当該試合の出場&控えメンバー(ブラジルU-20代表のみ)、試合経過、得点シーン中心の動画、所感を掲載しています。
試合日対戦
相手
試合
結果
出場
時間
得点アシ
スト
2023/01/19予選R第1節ペルー3 – 02900
2023/01/23予選R第3節アルゼンチン3 – 18400
2023/01/25予選R第4節コロンビア1 – 18700
2023/01/27予選R第5節パラグアイ2 – 12800
2023/01/31決勝R第1節エクアドル3 – 15300
2023/02/03決勝R第2節ベネズエラ3 – 07100
2023/02/06決勝R第3節パラグアイ2 – 02410
2023/02/09決勝R第4節コロンビア0 – 07000
2023/02/12決勝R第5節ウルグアイ2 – 06600
19 – 451210
 本大会では、全9試合に出場。うち7試合に先発出場を果たす。
 ツートップの一角、または、右サイドハーフでプレー。
 予選R第1節ではベンチスタートながら、後半16分にペドロ・エンヒキ、ルイス・ギリェルミと共に交代出場、試合の流れを変える働きを見せ、次節以降スタメンでの起用が多くなる。
 決勝R第3節パラグアイ戦、左サイドパトリッキからのクロスボールにゴールポスト右へ鋭角に走り込み頭に合わせゴール。
 決勝R第5戦ウルグアイ戦では、後半に入りルイス・ギリェルミとともにドリブルで積極的に仕掛け、前半の重苦しい雰囲気を払拭。先制点を奪う前にベンチに退いたが、試合の流れを変えたドリブルでの仕掛けは優勝への道筋を作っていたように思われる。
 守備に奔走する時間も多く得点は1点にとどまったが、右サイドでのチャンスの創出や、懐の深いボールキープ力でサイドバックのオーバーラップの時間をつくる。特に先述のとおり優勝を賭けたウルグアイ戦での試合の流れを変えるドリブルでの仕掛けなど、十分に期待に応えるプレーを見せた。

2023年4月 スペイン合宿 国際親善試合

 2023年4月15日~27日に行われたU-20代表スペイン合宿に招集。期間内に行われた国際親善試合3試合すべてに出場。

2023年U-20W杯

 2023年4月28日発表の2023U-20W杯代表に招集。
下表「節」欄のリンクは、当ブログの記事にリンクしています。記事内には、当該試合の出場&控えメンバー(ブラジルU-20代表のみ)、試合経過、得点シーン中心の動画、所感を掲載しています。
試合日対戦
相手
試合
結果
出場
時間
得点アシ
スト
2023/05/21グループR第1節イタリア2 – 3
2023/05/24グループR第2節ドミニカ共和国6 – 02410
2023/05/25グループR第3節ナイジェリア2 – 02300
2023/05/31決勝R1回戦チュニジア4 – 1501
2023/06/01決勝R準々決勝イスラエル2 – 34700
 合計16 – 79911

2024年パリ五輪南米予選

 2023年12月21日にCBFより発表された2024パリ五輪南米予選(2024年1月20日~2月11日)U-23代表選手、23選手の一人として選出された。
下表「節」欄のリンクは、当ブログの記事にリンクしています。記事内には、当該試合の出場&控えメンバー(ブラジルU-23代表のみ)、試合経過、得点シーン中心の動画、所感を掲載しています。
試合日対戦
相手
試合
結果
出場
時間
得点アシ
スト
2024/01/20予選第1節対戦なし
2024/01/23予選第2節ボリビア1 – 0
2024/01/26予選第3節コロンビア2 – 0
2024/01/29予選第4節エクアドル2 – 1400
2024/02/01予選第5節ベネズエラ1 – 36800
2024/02/05決勝第1節パラグアイ0 – 11100
2024/02/08決勝第2節ベネズエラ2 – 1
2024/02/11決勝第3節アルゼンチン0 – 1700
 合計8 – 79000
チーム3試合目となる予選第4節エクアドル戦の後半41分に交代出場。
予選第5節ベネズエラ戦ではスタメン出場を果たすが、印象に残るプレーを見せることができず後半23分に交代。
決勝ラウンドではリードを許した状況で2試合に出場するが、この2試合もボールにほとんど触れることがなく不完全燃焼で大会を終えた。

<プレースタイル、雑感 etc.>

 身長184㎝体重80㎏のセンターフォワード。
 守備選手を背中で抑えたボールキープやそこからの展開、空中戦など、サイズを活かしたプレーを得意とするが、足元の技術も高く、ドリブル突破やヒールでのパス、シャペウ(相手の守備選手がボールを奪いに来た時に、フワッとボールを浮かせて相手守備選手をかわすプレー)をU-20南米ユース選手権アルゼンチン戦で披露。
 ポジションや役割に応じて、自陣深くまで守備に戻るなど献身的なプレーもみせる。
 2022年には18歳にして全国選手権やリベルタドーレスにデビュー。しかし、16試合500分弱に出場したものの無得点に終わる。
 ヴィトル・ペレイラ監督の下では、下がってボールを受けることや守備の貢献への意識が強すぎるせいか、相手ゴールから遠いプレーエリアでのプレーが多いように思われる。しかし、コリンチャンスU-20チームでは17歳にして23試合出場17得点を記録するなど、本来は得点力の高いストライカー。
 コリンチャンストップチームでは出場機会を得たものの結果を残すことができず、ユーリ・アウベルト加入後は出場機会を失っていった。体格的にもプレーエリアも似たユーリ・アウベルトからは、攻守の切り替えの速さ、瞬間的なスピード、シュートの場面での落ち着きなど、学べるものは多いはず。対人の強さや足元の器用さなどの長所を失うことなく、学べるものを学び、ユーリのレギュラーの座を脅かすライバルとして存在感を放つことができるだろうか。
 18歳にして屈強なディフェンダーに当たり負けない身体的な強さを持ち備えているが、現代サッカーにおいてセンターフォワードに要求される役割やプレーは、経験の少なさゆえにまだまだ覚えることがあるのかもしれない。しかし、一方で経験の少なさは将来への大きな伸びしろともいえる。
 一度は諦めかけたサッカー選手になるという夢を実現し、2年足らずで州選手権3部のチームからU-20南米ユース選手権アルゼンチン戦でのスターティングイレブンを勝ち取るまでに至ったジオヴァーニ・ナシメント。プレー経験の上ではまだまだ原石に近いだけに、南米ユース選手権で国の代表として戦った経験を糧にプレースタイルを研ぎ澄ましていくことができれば、クラブ内で実績を残し、やがてはフル代表の一員として戦う日が訪れるだろう。

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