マルコス・レオナルド (Marcos Leonardo)

投稿者: | 2022年11月6日
最新更新日 : 2024/09/01
更新履歴 : 2024/01/13, 2023/12/14, 06/16, 05/03, 03/11

マルコス レオナルド サントス ブラジル サッカー CBFリスト センター フォワード

マルコス・レオナルド・サントス・アウメイダ

Marcos Leonardo Santos Almeida

ポジション:フォワード/アタカンチ

利き足:右

2003年5月2日生まれ

2023年12月14日の当記事の更新にあたり以下の動画も更新。

<クラブ経歴>

≪幼少期、育成時代≫

 ブラジル北東部バイーア州の人口が10万人にも満たない小さな町イタペチンガに生まれる。「アトレッタス・デ・クリスト」(※)でサッカーを始めると、その溢れんばかりの才能に気づいた家族は大クラブからの注目を得るためサンパウロ州に居を移す。
 (※アトレッタ・デ・クリスト(Atletas de Cristo): 元F1ドライバーのアレックス・ヒベイロ(Alex Ribeiro)が設立メンバーの一人として創設した、若年層へスポーツ機会の提供を目的としたキリスト教系の慈善団体。アトレティコマドリードで得点王に輝き、日本のJリーグ開幕前後に京都サンガでプレーした敬虔なキリスト教信者の「神様の点取り屋」バウタザール(Baltazar)が活動を広めた。多くのサッカー現・元選手が当団体の活動を支援している。
 2014年、サントスFCのサッカースクールを経て、11歳でサントスFCの下部組織に入団。「ゴールの嗅覚が格別だった。ポジショニングがとても良くて、チャンスを逃さない。彼はポジションをとってボール受けるタイプではなく、フィニッシュに持っていくのに最適なポジションを求めて常に動いていたね。」と、当時のU-13チーム監督がマルコス・レオナルドについて語っている。

≪サントス≫

– 2019 –

 2019年、16歳にして2022年までの3年間のプロ契約をサントスFCと締結。

– 2020 –

 翌2020年、コロナ感染症拡大のため開催が遅れた全国選手権8月20日第4節エスポルチ戦、後半35分、ベネズエラ代表ソテウド(Soteldo)との途中交代で出場、プロデビューを飾る。
 10月4日第13節アウェイでのゴイアス戦、後半27分にピッチに立つと、2-2の同点で迎えた32分のカウンター攻撃。並走する相手センターバックの背中から徐々に離れていくコースでゴール前に走り込み、右サイドバックからのゴールラインに平行なクロスボールをほぼフリーの状態で左足を合わせる。ボールはゴールネットを揺らし、プロ初得点を飾る。
 10月20日リベルタドーレス グループラウンド、デフェンサ・イ・フスティシア/ARG戦。後半37分に交代出場すると、アディショナルタイム1分、またしても相手センターバックの背後から飛び出す彼らしいプレーで得点。

– 2021 –

 2021年は、U-17W杯2019優勝メンバーのカイオ・ジョルジ(Kaio Jorge)や元代表ジエゴ・タルデッリ(Diego Tardelli)の前に途中出場が続くが、試合を決定づけるゴールを複数の試合で決めるなど結果を残す。

– 2022 –

 2022年1月、ユーリ・アウベルト(Yuri Alberto)、カイオ・ジョルジと立て続けにアカデミー出身の有望な選手を移籍金なしで流出させてしまった失敗を轍に、サントスは前年までの活躍を受けマルコス・レオナルドと契約期限2026年、クラブ史上最高額となる違約金1億ユーロで契約更新に成功。
 マルコス・レオナルドは2022年の年明けからレギュラーの座を掴むと、度重なる監督交代にもかかわらず常に試合に出続け、チーム3位の出場時間を記録。そして、監督やサポーターの期待に応え、チーム内得点王となる21得点を記録。アシストもチーム内2位の5アシストを記録し、攻撃陣の要として大きく成長した1年となった。

– 2023 –

 2023年1月14日、州選手権開幕節ミラソウ戦に先発出場。前半43分、PKを決め早くも2023年シーズンの初ゴールを記録。
 その後も絶対的なレギュラーとして試合に出場するが、得点から遠ざかる。
 2023年2月19日、第10節ポルトゲーザ戦の前半2分、ビルドアップを試みる相手CBからボールを奪うと、この日がサントス復帰初戦となるMFルーカス・リマ(Lucas Lima, 1990)とのタベーラで守備ライン裏に抜け出し、9試合ぶりのゴール。さらに、前半19分には左サイドからのルーカス・リマのクロスボールに右足であわせこの日の2点目。前半32分、右サイドに開きながらFWアンジェロ(Ângelo, 2004)からのパスを受け、中央やや左を駆け上がるメンドーサ(Mendoza, 1992)へクロスボールを供給しアシストを記録。この試合では3得点に関与し復調を窺わす。
 2月26日第11節コリンチャンスとのクラシコでは、前半45+6分にルーカス・バルボザ(Lucas Barbosa, 2001)へのアシスト、1-2でリードされた後半45分にはメンドーサが獲得したPKを決め、この日も2得点に関与。
 続くコパ・ド・ブラジル2回戦でも2得点をマーク(うち1得点はルーカス・リマのアシスト)。
 全国選手権開幕に向け、急ピッチに調子は上向いていく。
 2023年4月16日に全国選手権開幕節を迎えるが、サントスは州選手権での不振もあり、自陣に引いた守備的なスタイルを採用。マルコスは前線で孤立する場面が散見される中、4月29日第3節アメリカ・ミネイロ戦で初ゴール。U-20W杯出場のため第5~9節を欠場した後、第10節に復帰するが、チームは第11節終了後にオダイール・エルマン監督、第18節終了後にパウロ・トゥーハ監督、第23節終了後にディエゴ・アギーレ監督を次々と交代、成績不振からチームスタイルはますます守備的なものへと移っていく。マルコスが前線で孤立する場面も増えていくが、そのような状況でも第14~20節にかけては出場した6試合で7得点1アシストを記録。
 9月18日第24節バイーア戦、この試合から采配するマルセロ・フェルナンデス監督代行は、攻撃的なスタイルに方向転換。マルコスもこの試合から3試合連続の計4得点をマーク。
 しかし、10月26日第29節を最後にゴールから遠ざかり、2023年全国選手権、2023年の全日程を終了する。
 2023年8月には、ローマ/ITAが1800万ユーロの移籍金で正式にオファーをするも、サントスが交渉を拒否。
 2023年12月13日のブラジル各紙の報道では、アーセナル/ENGが1700万ポンド(約2000万ユーロ)でのオファーを検討しているとのこと。
 2023年シーズン終了後のサントス退団は既定路線だが、今後一カ月はその争奪戦が注目される。

≪ベンフィカ/POR≫

– 2023/24 –

 2024年1月5日、ベンフィカより加入発表が行われた。契約期間は2029年6月末。移籍金は1800万ユーロ(約28億6000万円)。
 2024年1月14日プリメイラ・リーガ第17節後半18分にピッチに立ちクラブデビュー。17分後の後半35分にベンフィカでの初ゴール。リーグ戦は、第18節、第9節にも後半途中交代からゴールを奪い、3試合連続ゴールを記録。
 しかし、初スタメン起用は3月10日第25節まで訪れない。初スタメン試合でもゴールを決めるが、3試合連続でスタメンを務めると、再びベンチスタートの試合が続く。
 4月27日第31節SCブラガ戦には後半25分の出場から2ゴール。最終節には再びスタメンに抜擢されるが、前半の45分間にプレーし後半開始時に交代する。
 2024年1月の加入後、21試合7得点を記録するが、先発起用は4試合のみ。470分の出場時間で7得点をマークするが、監督の信頼を得られない。

– 2024/25 –

 2024年8月11日プリメイラ・リーガ開幕節、第2節を約30分間のプレーに終えると、第3節では出場機会は訪れず、第4節も後半20分にピッチに送り出されシーズン初ゴールを決める。
 2024年8月31日ベンフィカはアル・ヒラル/KSAとの移籍に関するクラブ間合意の報道が流れる。9月1日にはマルコス・レオナルドはパリへ赴き、9月2日以降にメディカルチェックを経て契約が結ばれる運び。
 移籍金は4000万ユーロ(約64億7000万円)。ベンフィカは8か月で2200万ユーロ(約35億6000万円)の差益を手にすることになる。
 マルコス・レオナルドは、ベンフィカで69分に1ゴールの成績を残したが、レギュラーの座を掴むことなく、8か月でクラブ、欧州を去る。

≪アル・ヒラル/KSA≫

– 2024/25 –

To be continued...

≪シーズン別クラブ成績≫

シーズン所属大会試合出場
時間
得点アシ
スト
2020年(17歳)サントスリベルタドーレス34310
全国選手権1856740
コパ・ド・ブラジル11200
 合計2262250
2021年(18歳)サントスリベルタドーレス735110
コパ・スウアメリカーナ217320
全国選手権1088610
コパ・ド・ブラジル622910
州選手権733500
 合計40187070
2022年(19歳)サントスコパ・スウアメリカーナ428020
全国選手権352883133
コパ・ド・ブラジル644120
州選手権1296242
 合計574566215
2023年(20歳)サントスコパ・スウアメリカーナ325710
全国選手権312603132
コパ・ド・ブラジル436030
州選手権1191042
 合計494130214
2023/24年(21歳)ベンフィカ/PORヨーロッパリーグ49200
プリメイラ・リーガ1432570
タッサ・デ・ポルトガル23200
タッサ・デ・リーガ12100
 合計2147070
2024/25年(22歳)ベンフィカ/PORプリメイラ・リーガ37910
 合計37910
アル・ヒラル/KSAサウジアラビアリーグ
 合計
イタリック斜体は、2024年9月1日現在の記録。
※ シーズン欄の年齢は、12月31日時点の年齢です。

<代表経歴>

– 2019 –

 2019年10月にブラジルで開催されるU-17W杯に向けた7月のパラグアイとの親善試合1試合、8月のチリとの親善試合2試合に出場。しかし、本大会には招集外となる。

– 2021 –

 2021年11月にメキシコで開催されたメキシコ、ブラジル、コロンビア、アメリカの4ヵ国によるレヴェレーションズカップ(Revelations Cup)でU-18代表として選出。3試合すべてでスターティングイレブンを務め、初戦のアメリカ戦ではハットトリックを達成する。

– 2022 –

 2022年6月には、パラグアイ、エクアドル、ウルグアイとのU-20代表国際大会に出場。初戦パラグアイ戦、3戦目ウルグアイ戦ともに途中交代で出場。ウルグアイ戦では4ゴールをあげる。
 2022年9月のアルゼンチン、ウルグアイ、ウズベキスタンとのU-20代表国際大会はチーム事情のため招集辞退。
 2022年11月17日、20日に行われるチリとの親善試合に向け、再びU-20代表に招集。
 11月20日の試合ではキャプテンマークを腕に巻き、チームの全得点となる2ゴールをマーク。
 2022年12月8日、2023年1月19日に開幕するU-20南米ユース選手権の代表メンバー選出がブラジルサッカー連盟(CBF)から発表される。

– 2023 –

 2023年U-20南米ユース選手権は、チーム事情により辞退。

2023年U-20W杯

 2023年4月28日発表の2023U-20W杯代表に招集。
下表「節」欄のリンクは、当ブログの記事にリンクしています。記事内には、当該試合の出場&控えメンバー(ブラジルU-20代表のみ)、試合経過、得点シーン中心の動画、所感を掲載しています。
試合日対戦
相手
試合
結果
出場
時間
得点アシ
スト
2023/05/21グループR第1節イタリア2 – 39020
2023/05/24グループR第2節ドミニカ共和国6 – 07610
2023/05/25グループR第3節ナイジェリア2 – 08900
2023/05/31決勝R1回戦チュニジア4 – 16711
2023/06/01決勝R準々決勝イスラエル2 – 37710
 合計16 – 740051

<エピソード>

 監督解任が囁かれるなか行われた2022年7月6日、コパ・スウアメリカーナ決勝ラウンド1回戦2ndレグ、デポルチーボ・タチラ/ベネズエラ戦。1stレグに引き続き1-1で90分を終え、PK戦の末にサントスの敗退が決まった。
 試合後、サポーターの罵声にスタジアムが包まれた。試合後の報道陣との会見に自ら名乗り出て監督に同席した19歳のマルコス・レオナルドが、ベテラン選手のように質疑に応答した。会見に居合わせた報道陣や会見を見ていたサポーターはその姿に驚かされた。
 しかし、普段からマルコスと接する関係者には日常的な風景だった。なぜなら、彼が日頃から監督やコーチ陣、サッカー部門の責任者等と話し合いを持ったり、試合前のロッカーで進んで声掛けを行ったり、2歳年下のアンジェロ(Ângelo, 2004年12月21日)にアドバイスを送るなど、リーダーの一人と自覚して振る舞っていることを知っているからだ。
 元ブラジル代表ヒカルド・オリヴェイラ(Ricardo Oliveira)。マルコスがサントスの下部組織でプレーを始めた2015-16年にトップチームで活躍していたセンターフォワード。二人は教会で知り合い、今では年の差にも関わらず気軽に話のできる友人関係を持つ。
 ある日、二人の対談が行われた。
 「ヒカルドは僕の憧れで人生のお手本だ。子供の頃から何度もビデオでプレーを観て目標としてきた選手だ」とマルコスが言うと、ヒカルドは、サントスが大敗を喫した試合後、グランドを後にしようとする相手GK/GOL目掛けて襲い掛かろうとする暴漢を、マルコスが制止しようとした件に触れ、「サッカー選手は公人としての責任がある。その責任は我々の行動に表れる。そして、多くの人々に良い影響を及ぼすことができる。マルコスのあの行動は神の祝福に値する行為だよ。」とその行動を称えた。マルコス・レオナルドのプレーだけでなく、人間性をも評価するヒカルド・オリヴェイラは、最後に呟くように言った。「やがて遠くない未来に、君がヨーロッパで、そして、フル代表でさらに輝く姿を見ることになるんだろうね。」と。

<雑感 etc.>

 細かいタッチのドリブルや、シャペウ(chapéu, ボールを頭上に浮かせて詰めてきたディフェンダーをかわすプレー)、カネッタ(caneta, 相手の股間を通すドリブル、パス、シュートなど)を披露する足元の技術、守備から攻撃の切り替えでピヴォ-(Pivô, ディフェンダーを背負ってボールを受け、その態勢でボールを展開するプレー)をこなす身体の強靭さがある。局面によって味方ボール保持者のサポートに走る献身性や、周りの選手を使う自在性もある。しかし、なんと言っても、カヴァジーニャ(cavadinha, ふわりとボールを浮かすパスやシュート)やトゥーキックのようなキーパーのタイミングをずらしたシュートなど、多様なシュートを瞬時に使い分けるアイディアと、ポジショニングの妙がマルコス・レオナルドの非凡な点だ。
 サントスでタイトルを取って海外に行きたいと言うマルコス・レオナルド。ヨーロッパで、そしてブラジル代表として活躍する日は必ず訪れるに違いない。

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