マウリシオ・マガリャンエス(Maurício Magalhães)

投稿者: | 2023年2月8日
最新更新日 : 2024/08/08
更新履歴 : 2024/02/16, 01/19, 2023/08/25

マウリシオ・マガリャンエス・プラード  若手 ブラジルサッカー クルゼイロ インテルナシオナウ フォワード ウィング 攻撃的ミッドフィルダー

マウリシオ・マガリャンエス・プラード

Maurício Magalhães Prado

ポジション:ミッドフィルダー/メイオカンピスタ

利き足:左

2001年6月22日生まれ

<クラブ経歴>

 ブラジル連邦共和国サンパウロ州の州都サンパウロに生まれる。
 二人の兄がいるマウリシオは、父と二人の兄がトレーニングに行くのにいつも付いていき、自然とボールを蹴るようになる。

≪育成時代

 11歳の時にサンパウロFCの入団テストを受け合格。4年間サンパウロFCでプレーするがU-17チームに昇格することができず退団を余儀なくされる。しばらくは無所属となるが、2017年にデスポルチーボブラジルに入団。
 デスポルチーボではU-17チーム、一つ上のカテゴリーU-20でプレー。そのプレーがクルゼイロの目に留まり、2018年、レンタル契約でクルゼイロU-17チームに加入。
 2019年、クルゼイロU-20でレギュラーの座を掴むと、U-20コパ・ド・ブラジルでチームは決勝まで駒を進める。5月10日、16日にホーム&アウェア方式で行われた決勝戦は残念ながらPK戦の末にパウメイラスに敗れたものの準優勝。クルゼイロはマウリシオの活躍を受け買取オプションを行使する。

クルゼイロ≫

 クルゼイロへの完全移籍を果たしたマウリシオは、まもなくトップチームに招集。
 2019年7月14日全国選手権第10節ボタフォゴ戦、後半開始時にチアゴ・ネーヴィス(Thiago Neves, 2006年ベガルタ仙台)との交代出場でプロ初出場を飾る。
 9月1日全国選手権第17節ヴァスコダガマ戦、後半22分にチアゴ・ネーヴィスとの交代で試合に出場。後半35分、左サイドからのドリブルでペナルティエリア中央に切れ込んだデイヴィジ(David, 1995)がディフェンダーを引き連れてマウリシオにパス。マウリシオはこの好機を逃さず、左足を思い切り振り抜くと強烈なシュートがゴールネットに突き刺さる。マウリシオはプロゴールをマーク。このゴールはこの試合唯一のゴールとなりチームに勝利をもたらす。
 チームが1部残留争いに巻き込まれる中、出場機会は多く恵まれなかったものの、プロ1年目は全国選手権8試合296分の出場(うち2試合にスタメン出場)1得点を記録した。
 コロナ感染症拡大の影響を受け変則日程となる2020年、マウリシオは年初に開幕する州選手権からトップ下のレギュラーとして試合に出場、コパ・ド・ブラジルを含めた開幕6試合で3得点3アシストを記録、チームを牽引する。自粛期間明けの8月8日に開幕した全国選手権2部でもチームの中核選手として開幕節から10月20日第17節まで連続試合出場を果たす。

インテルナシオナウ≫

– 2020 –

 2020年11月1日、ウィリアン・ポチケル(William Pottker, 1993, 2013年ヴァンフォーレ甲府, 2016年全国選手権得点王)とのトレードで全国選手権1部インテルナシオナウへ移籍。5年間の契約を結ぶ。
 11月14日全国選手権第21節サントス戦でスタメン出場でクラブデビューを果たすと、11月22日第22節フルミネンセ戦では前半15分、エデニウソン(Edenílson, 1989)とのタベーラからシュート、一旦はGKに弾かれるがこぼれ球を自らゴールネットに突き刺しクラブ初得点を記録。
 その後は、激しいポジション争いの中徐々に出場機会を失っていく。
 インテルナシオナウ移籍後の4カ月間では、9試合1得点1アシストを記録する。

– 2021 –

 2021年、年初は州選手権とリベルタドーレスが並行開催される中、リベルタドーレスを中心に試合に起用されると、チームはリベルタドーレスの予選ラウンドを突破し決勝ラウンドに駒を進める。
 5月末に開幕した全国選手権でも試合に起用される時間は前年に比べ大幅に増えるが、ホドリゴ・リンドーゾ(Rodrigo Lindoso, 1989)やボスキーリャ(Boschilia, 1996)、同年代のジョニー(Johnny, 2001)、プラシェデス(Praxedes, 2002)とのポジション争いにレギュラーの座を掴むことができない。また、セグンド・ボランチや右サイドハーフ、トップ下など、さまざまなポジションで起用される。とはいえ、全国選手権は30試合1419分の出場(うちスタメン出場15試合)1得点3アシストの成績を残す。

– 2022 –

 2022年に入っても状況は大きくは変わらない。チーム状況も芳しくなく、年初に就任したアレハンデル・メディーナ(Alexander Medina)監督は、全国選手権開幕節でアトレチコ・ミネイロに0-2で敗れると4月15日に解任。後任には、マノ・メネゼス(Mano Menezes)監督が就任。5月には監督の要望でシャクタルドネツク/UKRからアラン・パトリッキ(Alan Patrick, 1991)を司令塔として獲得。マウリシオは後半途中からの試合出場が増えていく。
 7月31日全国選手権第20節アトレチコ・ミネイロ戦。ツートップの右FWとしてスターティングイレブンに起用される。
 前半7分、最終ラインからのクリアボールをセンターサークル付近で受けるとドリブルでゴールに向かい左足のミドルシュート。ゴール枠の外から巻き込むシュートはゴール左隅に突き刺さるゴラッソ。前半31分には、カウンターからペナルティエリア外でボールを受けそのままシュート。この日2点目となるゴールをマーク。
 この試合以降、右サイドのよりゴールに近い位置で起用されるようになり、選手権後半戦(第20節以降)は16試合に出場、6得点4アシストを記録。チームも13勝4分2敗という成績を収める。
 2022年後半戦の活躍はヨーロッパクラブの関心を呼び、シーズン終了後には複数のチームが調査を始める。インテルナシオナウは最低でも1000万ユーロの移籍金を想定しており、2023年冬季移籍ウィンドウでのヨーロッパ行きは実現しなかった。

– 2023 –

 2023年1月に開幕したリオグランデドスル州選手権は、前年終盤に続き右サイドのゴールに近い位置でプレー、4得点3アシストを記録し、好調なシーズンスタートを切る。
 ところが、4月に全国選手権が開幕すると3度に渡りケガによる離脱を余儀なくされる。7月の離脱中には監督が交代しエドゥアルド・クーデ(Eduardo Coudet)監督が就任、不振の攻撃面をテコ入れするための補強が進められる。
 しかし、大幅に出場メンバーが変わる中、ケガが明けると左右両サイドでのプレーや高い位置でのボール奪取、前線へのパスの供給や、自身の決定力など、幅広いプレーが評価される形でレギュラーの座を死守。
 2023年シーズンは11得点11アシストを記録。いずれもキャリアハイの成績を残した。

– 2024 –

 パリ五輪南米予選出場のため、年初はしばらくチームを離れる。
 2024年2月14日、五輪予選最終節の3日後となる州選手権第8節ブラジウ・デ・ペロッタス戦の後半22分に交代出場。今季のクラブ初試合を迎えた。
 その後も主力の一人として州選手権、コパ・スウアメリカーナ、そして、全国選手権の各大会で多くの試合に出場。
 しかし、6月に入ると、パウメイラスが獲得の意向を表明し、インテルナシオナウ、パウメイラス、選手代理人の3者間で交渉が進み、6月4日コパ・スウアメリカーナ第4節にてインテルナシオナウでの最後の試合を迎える。

パウメイラス≫

– 2024 –

 2024年6月27日パウメイラスがマウリシオの加入内定を発表。契約期限は2028年末。選手保有権の80%に対して1050万ユーロ相当の移籍金が支払われ、インテルナシオナウが5%、デスポルチーヴォ・ブラジルが15%の保有権を保持。
 7月10日に契約が効力を持つと、7月17日全国選手権第17節ボタフォゴ戦にて後半36分に交代出場を果たしクラブデビュー。その後、さらに2試合に途中交代出場を果たし、7月27日第20節ヴィトーリア戦にてクラブ初スタメンに抜擢。
 2024年8月8日現在、パウメイラスは相次ぐケガ人に苦しみ、コパ・ド・ブラジル(マウリシオはインテルナシオナウ在籍時に出場しているため、パウメイラスでの出場資格なし)ではベスト16で敗退、全国選手権では3試合勝ち星から遠ざかっており、首位争いから一歩後退している。
 チームの不振期間での出場機会で結果を残し、ポジションに定着することが期待される。

≪クラブ試合記録≫

シーズン所属大会試合出場
時間
得点アシ
スト
2019年(18歳)クルゼイロ全国選手権829610
コパ・ド・ブラジル11000
合計930610
2020年(19歳)クルゼイロ全国選手権2部1799110
コパ・ド・ブラジル433001
州選手権1194442
合計32226553
インテルナシオナウリベルタドーレス14500
全国選手権829311
合計933811
2021年(20歳)インテルナシオナウリベルタドーレス740701
全国選手権30141913
コパ・ド・ブラジル24700
州選手権851213
合計47238527
2022年(21歳)インテルナシオナウコパ・スウアメリカーナ943710
全国選手権32157465
コパ・ド・ブラジル15800
州選手権1374920
合計55281895
2023年(22歳)インテルナシオナウリベルタドーレス750012
全国選手権26178066
コパ・ド・ブラジル212400
州選手権1394843
合計4833521111
2024年(23歳)インテルナシオナウコパ・スウアメリカーナ533800
全国選手権538400
州選手権536121
合計15108321
パウメイラス全国選手権523600
合計523600
イタリック斜体は、2024年8月8日現在の記録。
※ シーズン欄の年齢は、12月31日時点の年齢です。

<代表経歴>

– 2019 –

 2019年12月に開催されたペルー代表、コロンビア代表とのU-20国際親善大会に向け、世代別代表初招集。背番号10のユニフォームを着る。
 12月1日のペルー戦ではトップ下でスタメン出場。
 12月4日のコロンビア戦では左ウィングとしてスタメン出場を果たす。

– 2020 –

 2020年10月のU-20代表合宿に招集。
 2020年12月に開催されたボリビア代表、ペルー代表、チリ代表とのU-20国際親善大会に招集。背番号10のユニフォームをつけ、全3試合にトップ下としてスタメン出場。ペルー戦では代表初ゴールをマーク。

– 2023 –

 2023年8月18日に発表されたU-23代表に招集。この招集は、2023年パンアメリカン競技大会、2024年パリ五輪予選に向けた2000年1月1日以降に出生した選手が対象。
 2023年9月7日, 11日両日に行われるモロッコとの親善試合が予定されている。
 マウリシオにとっては約2年9か月ぶりの招集。クラブでの好調を親善試合に繋げたい。

– 2024 –

2024年パリ五輪南米予選

 2023年12月30日、2024パリ五輪南米予選(ベネズエラ開催、2024年1月20日~2月11日)U-23代表選手として追加招集がCBFより発表される。
下表「節」欄のリンクは、当ブログの記事にリンクしています。記事内には、当該試合の出場&控えメンバー(ブラジルU-23代表のみ)、試合経過、得点シーン中心の動画、所感を掲載しています。
試合日対戦
相手
試合
結果
出場
時間
得点アシ
スト
2024/01/20予選第1節対戦なし
2024/01/23予選第2節ボリビア1 – 03400
2024/01/26予選第3節コロンビア2 – 07000
2024/01/29予選第4節エクアドル2 – 14500
2024/02/01予選第5節ベネズエラ1 – 34500
2024/02/05決勝第1節パラグアイ0 – 1
2024/02/08決勝第2節ベネズエラ2 – 18110
2024/02/11決勝第3節アルゼンチン0 – 15800
 合計33320
守備面では高い位置でのボール奪取、攻撃面ではボールキープ力と視野の広いゴールに繋がるプレーを期待されての招集だと思われたが、予選ラウンドは自陣に引いた守備戦術のため、これらの特長を発揮できず早い時間帯での交代が続いた。
決勝第2節ベネズエラ戦では立ち上がりの前半4分にFWジョン・ケネジーのGKの背後でディフェンダーによりクリアされた惜しいシュートのアシストを演出。後半12分にはFWガブリエウ・ペッキのシュートのこぼれ球をゴールに叩き込む先制点を演出。攻撃にシフトを移した局面ではその存在感を発揮した。
その試合後には、FWエンドリッキが「マウリシオ、パウメイラスの20番が空いてるよ」とSNSで投稿。その投稿は間もなく削除されたものの、2024年2月15日にパウメイラスがマウリシオの獲得に動き出した、との報道がなされた。所属のインテルナシオナウは国外への移籍を模索しているためパウメイラス移籍が実現する可能性は高くはないが、ブラジル国内ではその動向に注目が集まっている。

<プレースタイル、雑感 etc.>

 利き足は左足。
 戦術理解力が高く、俯瞰的な視野で試合を見ることができる。ボール奪取力があり、高い得点感覚を持つ。
 それゆえに、ボランチからウィングまで、中央寄りのポジションからサイドまで幅広いポジションでプレーできるユーティリティ性を持つ。しかし、本人曰く左サイドでのプレーは少し苦手としている。
 18歳でクルゼイロとプロ契約を結びトップチームに招集されると、チーム成績は振るわないものの、高い戦術理解とユーティリティ性、将来性を期待され、多くの監督のもと、さまざまなポジションで起用される。インテルナシオナウ移籍後も同様に監督により起用されるポジションは異なるものの、多くの出場機会を与えられる。
 しかし、高いユーティリティ性があだとなり、継続的に同じポジションで高いパフォーマンスを発揮することができなかった。
 2022年、2019年にクルゼイロで指揮を仰いだマノ・メネゼス監督がインテルナシオナウの監督に就任。マノ・メネゼス監督は多くの選手に出場機会を与え、さまざまな組み合わせを試しながらチームを作り上げていく。その中でマウリシオは右サイドの相手ゴールにより近い位置で起用されると、高い得点感覚を発揮。マウリシオのパフォーマンスがチームの好成績にもつながる。
 当時のインテルナシオナウのメンバーにおけるマウリシオの最適解が見つかる。

 インテルナシオナウは好調だった2022年後半戦の主力メンバーのほぼ全員が残留。(当記事執筆時点では)2023年州選手権はまだ始まったばかりだが、新たな戦力や組み合わせを試しながらも、勝点を積み重ね、2015年以来の優勝を目指している。主要大会は2010年のコパ・リベルタドーレス以来優勝から遠ざかっているが、2023年は十分にタイトルが狙えるだけのチーム力が備わっている。
 世代別代表では10番を背負うほどの高い資質を持ちながら、なかなか自らの成績がチーム成績と比例することがなかったマウリシオ。2022年はマノ・メネゼス監督のもとチームとして機能することに成功。2023年は自身のプレーでインテルナシオナウにタイトルをもたらすことが多くのサポーターから期待されている。
(2024年2月16日追記)
2024年2月8日、パリ五輪南米予選の決勝ラウンド第2節ベネズエラ戦では、FW陣との連係が高まり、マウリシオ自身が先制ゴールを奪うなど攻撃陣を牽引する働き。試合後にはFWエンドリッキが「マウリシオ、パウメイラスの20番が空いてるよ」とSNSで投稿。その投稿は間もなく削除されたものの、2024年2月15日にパウメイラスがマウリシオの獲得に動き出した、との報道がなされた。所属のインテルナシオナウは国外への移籍を模索しているためパウメイラス移籍が実現する可能性は高くはないが、ブラジル国内ではマウリシオの動向に注目が集まっている。

(2024年8月8日追記)
2024年6月にパウメイラスが本格的に獲得を模索し、選手保有権80%について、1050万ユーロ相当(約17億円)の移籍金での獲得が決まった。
当面のライバルはMFハファエウ・ヴェイガ(Raphael Veiga, 1995)。MFヴェイガは、2023年3月の代表デビュー以降、代表にて6試合、パウメイラスでは2017年の加入以降300試合以上に出場し、2度のリベルタドーレス、2度の全国選手権、1度のコパ・ド・ブラジルのタイトルを獲得するパウメイラスの今日を築いた代表的な選手の一人。
アベウ・フェヘイラ監督の戦術にいち早く適応し、高いユーティリティ性と積極的にゴールを狙う特長を前面に出して、ポジション争いを繰り広げたい。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です