ケヴェン・ヴィニシウス (Keven Vinícius)

投稿者: | 2023年2月14日
最新更新日 : 2024/01/26

ケヴェン・ヴィニシウス・ドゥワルチ・シウヴァ 若手 ブラジルサッカー ミッドフィルダー コリンチャンス アルメリア

ケヴェン・ヴィニシウス・ドゥワルチ・シウヴァ

Keven Vinícius Duarte Silva

ポジション:ミッドフィルダー/メイオカンピスタ

利き足:右

2003年2月15日生まれ

<クラブ・世代別代表経歴>

 ブラジル連邦共和国サンパウロ州サンパウロに生まれる。
 2011年にコリンチャンスフットサルチームでキャリアをスタート。
 2013年にサッカーに転向、U-11チームでプレー。
 2019年には、16歳にしてU-20チームの試合に出場。
 2020年には、U-20チームに昇格。
 2021年11月に開催されるU-18レヴェレーションズ杯に招集。10番をつける。
 11月10日アメリカ戦では、技術的戦術的に素晴らしい出来をみせ、試合のリズムを作り中盤でゲームを支配。
 後半40分には、ペナルティエリア内でゴールライン際までドリブルで持ち込んだパトリッキ(Patryck)のマイナスのクロスに後方から走り込み右足を合わせ、世代別代表での初出場初ゴールを記録。ブラジルの4-0での勝利に導く。
 続く、13日メキシコ戦、16日コロンビア戦にもスタメン出場し、全3試合に出場。
 2022年に入ると、トップチームにポルトガル人のヴィトル・ペレイラ(Vitor Pereira)氏が監督に就任。ヴィトル・ペレイラ監督は多くの下部組織の選手をトップチームのトレーニングに参加させ、試合への出場機会も与えた。
 しかし、ケヴェンはトップチームのトレーニングに参加するものの試合への出場機会どころかベンチ入りの機会さえなかった。
 2022年末に満了を迎える初回のプロ契約の更改をコリンチャンスがケヴェンの代理人に打診するが、起用法に不満を持つケヴェンの代理人は契約更改を拒否。他クラブとの事前契約が解禁される7月1日が近づくと、アルメリア/スペインがケヴェンの代理人と接触を始める。
 アルメリアはスペインリーグで1部と2部を行き来する中堅クラブ。10代でトップチームでの試合出場経験がないケヴェンにとっては、ヨーロッパへの足掛かりとするにはクラブ規模や選手層、地理的にも最適なクラブといえた。
 さらにアルメリアは2022年8月、サントスから2019年U-15南米ユース選手権優勝メンバーのCBカイキ・フェルナンデス(Kaiky Fernandes, 2004)、フラメンゴから2019年U-17南米ユース選手権優勝メンバーのMFラザロ・ヴィニシウス(Lázaro Vinicius, 2002)の将来性豊かな世代別代表歴を持つ2人のブラジル人選手を獲得。
 同じ時期に、育成年代からスペインに渡りアトレチコマドリーやエスパニョルなど10年近くスペインリーグでプレーしたレオ・バチスタン(Léo Baptistão, 1992)を即戦力として獲得。
 環境的にもケヴェンが移籍するには最高のクラブとなっていた。
 コリンチャンスは代理人と交渉を重ねるが代理人側はコリンチャンスとの契約延長を固辞。コリンチャンスは2022年5月以降、ケヴェンのU-20チームへのトレーニング参加を禁止するが、ケヴェン側は態度を変えることなく2022年12月31日に契約満了を迎える。
 2023年2月10日、アルメリアよりケヴェンの獲得が発表。
 翌日2月11日、Bチームでのテルセラ・ディヴィシオンの試合に後半20分から途中交代出場を果たした。
 2024年1月26日時点では、Bチームでの後半途中交代出場が続いている。しかし、試合終了間際での出場が多く、コンスタントに試合に出場するにはまだまだ時間がかかりそうだ。

≪クラブ試合記録≫

2024年1月26日現在、トップチームでの出場機会なし。

<プレースタイル、雑感 etc.>

 利き足は右。体格はあまり大きくない。
 8歳の頃から始めたフットサルのおかげで足元の技術は高い。
 18歳で迎えた2021年にはU-20全国選手権において中盤の選手ながら18試合7得点4アシストを記録、チームの中心として活躍。世代別代表にも背番号10として招集される。
 細かいドリブル、スピード感溢れるドリブルを使い分ける。ドリブル中の視野が広く、ドリブルからのスルーパスやサイドチェンジ、タベーラを多く使う。
 昔ながらの10番に近いタイプで守備はあまり得意といえず、それゆえにヴィトル・ペレイラ監督による起用がなかったのかもしれない。

 ブラジルの多くのクラブでは、選手の売却収入がクラブ収入の重要な割合を占める。それだけに、若手選手の育成は本当の意味での投資である。クラブにより方法は異なるが、ブラジル全国各地から情報収集を行い、選手を獲得。僅か1年や2年の間に急激に成長を遂げる選手もいれば、周囲の期待に応えられず成長が滞る選手もいる中、的確に下部組織の選手たちをモニタリングし、それぞれの将来性を見極め、アマチュア契約またはプロ契約の締結、契約期間や契約金額、違約金の設定を行なっている。
 選手代理人もまた、選手の選手生命全体に渡る収入を最大化するよう行動するため、少しでも大きいクラブへのステップアップを目指し、ブラジル国内よりも国外、特に欧州や中東への移籍を重視するようになる。
 クラブでの出場機会は、公式的な成績として可視化され、実戦でのプレーが品評会として機能するため、選手代理人は対外的に選手をアピールするためにもこだわりを持つ。
 両者の思惑が交錯し、両者妥結点を見出せず、ケヴェンのケースでは契約が満了。
 コリンチャンスは他にも、クラブ史上最年少(16歳1か月21日)でトップチームの試合(親善試合)に出場、2021年には世代別代表に選出されU-18レヴェレーションズ杯出場。2023南米ユース選手権でレギュラーを務めるホベルチ・ヘナンを凌ぐ評価を得たこともあるルーカス・ベレジ(Lucas Belezi, 2003)も、ケヴェンと同様、クラブと代理人が妥結できず2022年末日をもって契約を終了している。(ルーカス・ベレジは2023年2月12日現在で新しい所属先は未定のまま)
 契約の問題は、20歳前後で実際にプレーする選手本人にとっては直接関与することのないものの、将来を左右する大きな事象なだけに、大人たちが多少の損失を被ったとしても選手の利益を第一となる妥協点を探り、妥結してもらえればと願う。

 なにはともあれ、ケヴェンについてはスペインアルメリアで新しいキャリアがスタート。
 2021年には攻撃的センスを買われ世代別代表に選出。コリンチャンスでもU-20チームで存在感を示した。
 しかし、ヨーロッパで求められるプレーはブラジルで認められるプレーとは異なる。自分の長所は活かしつつも、チームで必要とされるプレーを体得し、アルメリアでプレーするブラジル人だけでなく多くの選手たちと交流し、切磋琢磨しながらレギュラーの座を掴み、スペインの上位クラブへ、そしていずれの日にか再びアマレリーニャを着るまで、ステップアップを叶えてもらいたい。

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