2022年ブラジル全国選手権2部最終順位

投稿者: | 2022年11月7日
2022年ブラジル全国選手権2部(Série B)の全日程が11月6日に終了しました。
今回は、全国選手権2部最終順位と昇格チームの総括をお送りします。
(※)大会概要は、当ブログ記事「主要大会と年間日程」を参照ください。

<最終順位表>

順位チーム名チーム名勝ち点試合数勝数引分数敗数得点失点得失
点差
勝点
率(※)
1クルゼイロCruzeiro7838239657263168
2グレミオGrêmio65381714750262457
3ヴァスコダガマVasco da Gama643817111048361254
4バイーアBahia623817111043291454
5サンパイオ・コヘアSampaio Corrêa58381610124842650
6イトゥアーノItuano57381512114234850
7エスポルチSport56381512113731650
8クリシユーマCriciúma563814141043311249
9ロンドリーナLondrina53381411133637-146
10グアラニGuarani51381312133336-344
11CRBCRB50381311143543-843
12ポンチプレッタPonte Preta49381213133436-242
13ヴィラノヴァVila Nova473892092831-341
14シャペコエンセChapecoense45381112153739-239
15トンベンセTombense45381015133847-939
16ノヴォリゾンチーノNovorizontino44381111164449-538
17CSACSA4238915142937-836
18ブルスキBrusque3438810202138-1729
19オペラーリオOperário-PR3438713183153-2229
20ナウチコNáutico303886243265-3326
水色のハイライト:1部昇格
ピンクのハイライト:3部降格
※勝点率 = 実際勝点 ÷ 最大可能勝点(勝点3x試合数)。
 (例 クルゼイロの場合。
    実際勝点78、最大可能勝点 = 3x38 = 114、勝点率 = 78 ÷ 114 = 68.42%
 Aproveitamento (アプロベイタメント)といい、ブラジルでよく利用される指標です。

<昇格チーム総括>

 2023年シーズンのブラジル全国選手権1部に昇格するチームは、クルゼイロ、グレミオ、バイーア、ヴァスコダガマ。ほぼ戦前の予想通り、全国選手権優勝経験チームの4チームが昇格を果たしました。

優勝:クルゼイロ(Cruzeiro)

 2023年は2019年以来4年ぶりの1部リーグでの戦いに臨む。
 初の2部リーグでの戦いは、財務上の問題等で3年間苦汁を飲んだが、2021年末に会社組織に改編。同時に2002W杯得点王、2002年バロンドール受賞のホナウド・フェノーメノ(Ronaldo Fenômeno)氏が株式の90%を取得し、ホナウドプロジェクトが発足。
 クルゼイロ一筋のGK/GOLファビオの放出、将来を嘱望されるFW/ATAヴィトル・ホッキ(Vitor Roque 2005年生まれ)を2400万レアルで売却するなど、戦力、財政面の両にらみで選手構成を見直し的確な補強を実施すると、監督には若手のウルグアイ人パウロ・パツォラーノ(Paulo Pezzolano)氏を抜擢。第7節に首位に立つと最後まで順位を落とすことなく史上最速となる第31節での昇格を果たした。

2位:グレミオ(Grêmio)

 1年での1部復帰を果たす。
 ホージェル・マシャード(Roger Machado。2004-5年にヴィッセル神戸でプレー)氏が2016年以来2度目となる指揮を執る。2018W杯メンバーのCB/ZAGジェロメウ(Geromel)、2016年の全国選手権得点王FW/ATAディエゴ・ソウザ(Diego Souza)が残留し、リオグランデ・ド・スル州選手権を制覇するなど戦前は優勝候補に挙げられた。
 しかし、守備的な戦いが災いし、なかなか勝ち切れない試合が続く。第23節時点で11勝10分2敗で2位の成績を残していたが、ここから1引き分けを挟み3連敗を喫し、ホージェル・マシャード監督が解任。2016年コパ・ド・ブラジル、2017年リベルタドーレスをグレミオで制したヘナト・ガウーショ(Renato Gaúcho)氏が第28節から監督に返り咲き、以降は6勝3分2敗の成績でシーズンを終えた。

3位:ヴァスコダガマ(Vasco da Gama)

 2023年は2020年以来3年ぶりの1部復帰。
 リオデジャネイロ州選手権グループラウンドを全国選手権1部のボタフォゴを凌ぐ3位で通過し、サポーターの期待が高まって迎えた全国選手権2部。開幕3試合を3引分で終えるとアウェイからの帰路につくチームをサポーターが襲撃するという事件が起こる。
 その後、2度の監督交代を経ながらも昇格圏外に一度も落ちることもなく、かと言ってなかなか昇格も決きめられない。最終節、勝点2差のイトゥアーノとの昇格を賭けた直接対決を迎える。開始3分、相手ディフェンダーがゴールに向かうボールを腕で止め、得点阻止により退場、ヴァスコにペナルティが与えられる。これを41歳のベテラン、ネネー(Nenê)が決めると、この得点をGK/GOLチアゴ・ホドリゲス(Thiago Rodrigues)の再三の好セーブで守り抜き、なんとか昇格を手繰り寄せた。

4位:バイーア(Bahia)

 1年での1部復帰を果たす。
 バイーア州選手権で全国選手権3部以下のチームを相手に10チーム中6位の成績で終えると、続く東北部州の主要16チームで競われたコパ・ド・ノルデスチーノでは、グループラウンドで全国選手権2部のライバルとなるCRB、ナウチコの後塵に排し、8チーム中5位で決勝ラウンド進出を逃すなど、全国選手権を前に不安がよぎる。
 しかし、選手権が始まると第5節までを3勝1分1敗、2位の成績で乗り切ると、その後は結局1度も昇格圏内から落ちることなく4位でシーズンを終えた。

<雑感 etc.>

 今期の戦いぶりから、来シーズンはバイーアとヴァスコダガマが苦戦するように思われる。しかし、両チームとも来シーズン以降に向けた資本的な取り組みが行われている。
 ヴァスコダガマは、2022年9月の総会で会社組織への改編およびその株式の70%を777パートナーズに売却する決議が採択されている。(※777パートナーズ:アメリカの投資会社。2021年にジェノア/イタリアを買収。セビージャ/スペイン、スタンダール・リエージュ/ベルギー、レッドスター/フランスなどに出資。)
 バイーアは、2022年12月10日の総会で、会社組織への改編、シティグループによる発行株式90%(出資額7億レアル/約200億円)の取得、シティグループから最大3億レアルの借入枠設定、といった内容の議題が決議される見込みとのこと。
 特にヴァスコダガマは、来年2023年に開催されるU-20南米ユース選手権およびU-20W杯に向けた代表合宿にクラブ別最多の3人の選手が招集されているだけに、すぐには結果は出ないであろうが、若手の育成と資金力をバックにした補強でどのようにチームが変貌するか、今から楽しみなニュースが報道されている。

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