最新更新日 : 2024/08/08
更新履歴 : 2024/01/26, 2023/08/04
アベムリー・メット・シルー
Abemly Meto Silu
ポジション:ボランチ
利き足:右
2003年4月23日生まれ
<幼少期>
アフリカ大陸のほぼ中央に位置するコンゴ民主共和国、コンゴ川流域、中部アフリカ最大級の港を有する都市マタディに生まれる。 名目上2003年に第二次コンゴ戦争は終結したものの、政情不安は続き、政府批判が死を招くような状況の中、メチーニョの父は宗教的にも迫害に遭い、2004年、家族、友人、仕事を捨て、1歳のメチーニョを抱き、僅かなお金を手にコンゴを離れブラジルに難民としてたどり着く。 父はサッカーブラジル代表、特にホナウジーニョ・ガウーショ(Ronaldinho Gaúcho)のファンであり、わが子がブラジルでサッカー選手になることを夢見てブラジルを選んだという。
親子はブラジルにたどり着くとリオデジャネイロ市北部のブラス・デ・ペナ地区に暮らし始める。そこは暴力と貧困に溢れており、度々発生するギャング間の抗争や警察による治安維持活動による流れ弾が住民を脅かすような地域、ファヴェーラであった。
メチーニョは幼い頃からファヴェーラの住民とボールを蹴りあい、その影響で熱狂的なフルミネンセのファンになる。やがて、近隣のクラブ、マドゥレイラECでフットサルを始めると、その活躍がヴァスコダガマの目に留まり入団勧誘を受ける。入団に必要な書類等の準備を取り揃えるが、フルミネンセでのプレーを諦めることができず、ヴァスコダガマへの入団を断る。 10歳になりマドゥレイラECとフルミネンセとの試合が行われた。マドゥレイラECは前半のうちにメチーニョが3得点をあげ3-0とリードする。試合は最終的にはフルミネンセが逆転したものの、フルミネンセの監督が「あのひょろっとした選手は誰だい?」と興味を示す。
<クラブ経歴>
≪育成時代≫
2015年、11歳でメチーニョは憧れのフルミネンセへの入団を果たす。 2018年、U-15州選手権に優勝。ナイキと契約。 2019年、フルミネンセU-17チームで主力としてU-17州選手権に優勝。ブラジル国籍を取得。
2020年には、U-17チームでキャプテンを務めU-17全国選手権に優勝。U-20カテゴリーの全国選手権にも出場。 11月にはW杯南米予選ベネズエラ戦、ウルグアイ戦に向けたブラジルフル代表の練習に3日間参加。
≪フルミネンセ≫
– 2021 –
2021年3月7日、州選手権第2節ポルトゲーザRJ戦、後半21分に交代出場。17歳にしてプロデビューを飾る。
≪トロワAC≫
– 2021/22 –
2021年6月、フルミネンセとシティフットボールグループとの間でメチーニョとカイキ(Kayky, 2003)の移籍が合意。メチーニョはトロワAC/フランスへの移籍が決まる(移籍金500万ユーロ+ボーナス)。
しかし、トロワACでのトレーニング初日に肩に違和感を覚える。検査の結果、手術を受ける必要があると診断され約6か月練習から遠ざかることになる。 2022年2月27日、フランスリーグ第26節マルセーユ戦でベンチ入り。3月6日第27節ボルドー戦もベンチ入りするものの、チームが残留争いに巻き込まれる中、出場機会は訪れない。4月30日のBチームの試合にスタメンフル出場するがこれがトロワACでの唯一の試合出場となる。
≪ロンメルSK≫
– 2022/23 –
2022/23年シーズンを前にシティフットボールグループ傘下のベルギー2部ロンメルSKへ移籍。 2022年8月12日の開幕節でスターティングイレブンとしてクラブデビューすると、第3節から第5節のケガによる欠場を除き、第22節まで全試合に出場(うち15試合スタメン出場)。降格チームを決定するプレーアウト(7-12位決定戦)ではチーム10試合中7試合に出場(うち7試合スタメン出場)し2得点2アシストを記録。 10月15日第9節ではペナルティエリア左入口でボールを受け、相手GK/GOLの位置をよく見てゴール右隅に流し込み、プロ初得点を記録する。
≪スパルタ・ロッテルダム≫
– 2023/24 –
2023/24年シーズンはスパルタ・ロッテルダム/HOLへの期限付き移籍が決定。スパルタ・ロッテルダムには前シーズンに続き日本人選手の斉藤光毅選手もプレーする。
2023年9月27日リーグ戦第5節でクラブデビューを果たすが、交代出場が続く。
11月1日カップ戦一回戦でクラブ初スタメン出場。
11月26日リーグ戦第13節でリーグ戦での初スタメンに抜擢。翌節もスタメンに起用されるが、定着することはできない。
2024年1月13日リーグ戦第17節、後半開始時に出場を果たすと、3分後の後半3分、クラブ初ゴールを決める。
その後も、途中交代出場やスタメン出場、出場機会なしと繰り返すが、3月17日第26節アヤックス戦でのスタメン起用を機に先発に定着。
5月5日第32節PSV戦では、チームは試合に敗れたものの、約4か月ぶりに自身シーズン2点目のゴールをマーク。
カンファレンスリーグ出場権をかけたプレーオフまでの10試合に連続スタメン出場を果たし、ロッテルダムでの一年目のシーズンを終える。
– 2024/25 –
2024年8月11日エールディビジ開幕戦に向けた8月3日のプレシーズンマッチでは先発に起用され後半31分までプレー。
2024/25年は、年間を通じてスタメンとして活躍し、前レギュラーシーズンでの8位の成績を上回るチーム成績が期待される。
≪シーズン別クラブ記録≫
シーズン | 所属 | 大会 | 試合 | 出場 時間 | 得点 | アシ スト |
---|---|---|---|---|---|---|
2021年(18歳) | フルミネンセ | 州選手権 | 1 | 24 | 0 | 0 |
合計 | 1 | 24 | 0 | 0 | ||
2021/22年(19歳) | トロワAC/FRA | トップチームでの出場機会なし | ||||
2022/23年(20歳) | ロンメルSK/BEL | ベルギーリーグ2部 | 26 | 1874 | 4 | 3 |
ベルギーカップ | 1 | 90 | 0 | 0 | ||
合計 | 27 | 1964 | 4 | 3 | ||
2023/24年(21歳) | スパルタ・ロッテルダム/HOL | エールディヴィジ | 25 | 1359 | 2 | 1 |
KNVBカップ | 2 | 107 | 0 | 0 | ||
合計 | 27 | 1466 | 2 | 1 | ||
2024/25年(22歳) | スパルタ・ロッテルダム/HOL | エールディヴィジ | ||||
KNVBカップ | ||||||
合計 |
イタリック斜体は、2024年8月8日現在の記録。
※ シーズン欄の年齢は、12月31日時点の年齢です。
<プレースタイル、雑感 etc.>
利き足は右。 ポジションはボランチ。 ピッチの中では、同じアフリカにルーツを持つフランス代表ポグバ選手にあやかり「ポグビーニャ(リトルポグバ)」とあだ名がつけられるほどの高い足元の技術と優れたボールコントロール能力を持つ。 比較的遅くまでフットサルを続けたことで、足元の技術だけでなく、オンザボール、オフザボールに関わらず、プレーの先を読んだ的確なポジション取りを得意とする。
ボールコントロール能力もさることながら、長短のパス精度も高い。 プレー範囲はボックストゥボックス。自陣ではセンターバックの間に入りビルドアップに参加、相手のプレスにも落ち着いて対応し、強靭な身体能力と巧みなボールコントロールで攻撃を底から組み立てる。相手陣ではアタッキングサードに現れてはラストパスを供給、フィニッシャーとなることもある。
強靭な身体能力、優れた技術、高い戦術理解力のみならず、2020年U-17カテゴリーの全国選手権優勝、コパ・ド・ブラジルおよびスーペルコパで準優勝を果たし「黄金の世代」と呼ばれるフルミネンセU-17チームのキャプテンを務めるリーダーシップも兼ね備える。
トロワAC入団後、ケガでトレーニングから遠ざかっていた時期に、イングランドでマンチェスターシティ監督グアルディオラ(Guardiola)氏からメチーニョのサッカーに注目していると言葉を掛けられ、その言葉に奮起、ケガが癒えた後はベルギー2部ロンメルSKでレギュラーを掴み試合経験を積み重ねている。
サッカー選手の成功は、様々な偶然やささやかな転機に左右される部分が多くある。その中で選手自身は日々のトレーニングや与えられた試合出場機会でベストを尽くす以外に成功を掴む手段はない。 メチーニョは20歳を前にしてシティフットボールグループに移籍、世界的名将の一人であるグアルディオラ監督と面識を得る機会に恵まれた。この機会を活かし、一日一日ベストを尽くしながらグアルディオラ監督の目にかなうプレーを与えられた環境で披露し、やがてはグアルディオラ監督のもと自分の資質を最大限に発揮したプレーでヨーロッパでの成功を掴み取ってもらいたい。 それが叶えば、やがては国を代表する選手として大舞台に立つことになるだろう。もちろん、コンゴ民主共和国ではなくブラジルを代表して。