最新(最終)更新日 : 2024/02/18 更新履歴 : 2023/08/04
ヤン・ブエノ・コウト
Yan Bueno Couto
ポジション:右サイドバック/ラテラウ・ジレイト
利き足:右
2002年6月3日生まれ
<クラブ経歴>
≪幼少期、育成時代≫
ブラジル連邦共和国パラナ州の州都クリチバに生まれる。
2013年、11歳の時にコリチバ下部組織に入団。 2018年には、16歳ながらU-20チーム、U-23チームでの試合にも出場。 2019年も前年同様、U-17チーム、U-20チーム、U-23チームの試合に出場。
≪コリチバ≫
2020年、エドゥアルド・バホッカ(Eduardo Barroca)監督のもとトップチームに昇格。 2020年2月21日、州選手権予選ラウンド第8節、前半35分、パトリッキ・ヴィエイラ(Patrick Vieira, 1991)の負傷を受け途中交代出場。プロデビューを飾る。 2月28日州選手権予選ラウンド第9節、スターティングイレブンに抜擢されフル出場を果たす。
2020年3月1日、マンチェスターシティ/イングランドとコリチバの間で、ヤン・コウトの移籍が合意。ブラジルで法的に海外就業が可能となる18歳を待ってマンチェスターシティへ移籍。契約期間は5年、移籍金は600万ユーロ+ボーナス600万ユーロの最大1200万ユーロ。 バルセロナ/スペインも500万ユーロの条件を提示していたが、最終的には金銭的な条件がまさるマンチェスターシティと合意に達する。
≪マンチェスターシティ レンタル先:ジローナ(2020/2021)≫
2020年6月、マンチェスターシティに加入するがプレシーズンマッチに出場するのみで、9月にはシティフットボールグループ傘下のスペイン2部ジローナへレンタル移籍が決まる。
2020年11月14日、スペインリーグ2部第12節マジョルカ戦、後半7分にスペインでのデビューを飾る。 11月20日、第13節エスパニョル戦でスターティングイレブンに抜擢されると、90分のフル出場を果たし、後半38分にはアシストを記録。 その後、スタメンや途中交代出場で試合出場を重ねると、2021年3月7日第28節アルメリア戦でのスタメン起用を機にレギュラーの座を獲得。 3月19日、第30節ラス・パルマス戦では、後半19分、自身のプロ初ゴールをチームの勝利に結びつく勝ち越しゴールで決める。
チームは2部リーグを5位で終え、1部昇格に向けたプレーオフに進出。ヤン・コウトはプレーオフ準決勝、決勝、ホーム&アウェイの計4試合に出場し、1得点1アシストを記録するが、チームは1部昇格を逃す。
≪マンチェスターシティ レンタル先:SCブラガ≫
ジローナへのレンタル移籍期間を終えマンチェスターシティへ戻るが、2021/22年シーズンはポルトガルリーグ、SCブラガへレンタル移籍。 2021年8月29日、リーグ戦第4節の終了間際に交代出場しクラブデビューを飾ると、間もなくレギュラーの座を掴む。チームはリーグ戦を4位でシーズンを終了。 ヤン・コウト自身は、シーズンを通してチーム内で5番目に多い2930分の出場時間を記録。
≪マンチェスターシティ レンタル先:ジローナ(2022/23)≫
2022/23年シーズン、SCブラガへのレンタル移籍期間を終えマンチェスターシティへ戻るが、ペップ・グアルディオラ(Pep Guardiola)監督の構想外となり、再びジローナへレンタル移籍。 開幕3試合にはスタメン出場を果たすが、その後は交代要員にまわる。 2022年10月23日第11節オサスーナ戦にスタメンに復帰するが、2023年1月28日第19節バルセロナ戦を終えケガのため戦列を離れる。 2023年4月10日第28節バルセロナ戦に復帰を果たすと、最終節までの11試合に出場(うち5試合に先発出場)。5月13日第34節レアルソシエダ戦では今季唯一のゴールを記録。 ケガに悩まされたものの、バルセロナ、レアルマドリードとの対戦には4試合すべてに出場(うち3試合出場)し、1勝2分1敗1アシストを記録した。
≪マンチェスターシティ レンタル先:ジローナ(2023/24)≫
ジローナへのレンタル移籍期間は一年延長。2023/24年もジローナでプレー。
2023年8月12日ラ・リーガ開幕節レアルソシエダ戦でスタメン出場。しかし、翌第2節は出場機会がなく第3節は後半からの途中出場に終える。 9月3日第4節ラスパルマス戦では後半16分にピッチに送り出されると、逆サイドからの攻撃時にも高い位置を取る攻撃的なポジショニングをとる。後半43分、左サイドからのクロスボールをファーサイドのゴールエリア隅から頭で折り返しFWポルトゥの決勝ゴールをアシスト。 9月18日第5節グラナダ戦でスタメンに復帰すると、後半44分、右サイドをペナルティエリアに侵入しボールを受けると、切り返しでディフェンダーをかわし左足でのゴール。
連戦の得点関与でミチェル監督の信頼を獲得すると、先発の機会が多くなり、特に上位チームとの対戦時には先発としてピッチに送り出されるようになる。
その後も攻撃的なチームスタイルの中で、攻撃的な自身のプレースタイルを発揮。ラ・リーガでは2024年2月3日第23節レアルソシエダ戦終了時点で1得点6アシストを記録する(他にコパ・デル・レイで1得点)。
2024年2月10日第24節レアルマドリードとの首位を賭けた一戦。ヤンはこの試合もスターティングイレブンに名を連らねるがチームは0-4の完敗。 1失点目はヤンの相手陣でのボールロストを起点に、ディフェンスに戻るのが遅れ、目の前でレアルマドリードFWヴィニシウス・ジュニオールのシュートを許す。2失点目は対面するヴィニシウスからMFベリンガムへのスルーパスを許し、3失点目はヴィニシウスとの一対一の対峙からドリブルでかわされシュートに持ち込まれる(シュートはGKが止めたもののMFベリンガムが押し込む)。4失点目は相手陣でのマイボールのボール回しでFWヴィニシウスにボールを奪われFWホドリゴのゴールを許す、全4失点に絡む大失態。
試合終了の笛が鳴ると自身の不甲斐なさに涙を流し、ピッチ上でFWサヴィーニョを始めとしたジローナの選手たちだけでなく、レアルマドリードのFWヴィニシウス、FWホドリゴ、MFベリンガム、SBフラン・ガルシアに励まされ抱擁される姿があった。
試合後の会見でミチェル監督は「ヤンは今日は学ぶべきことが多かったね。まだレアルマドリードの選手のレベルには達していないということ。日々多くのことを経験しているが、まだ21歳。今日は周りで起こった様々な出来事のために自分のベストを出すことができず悔しくて仕方ないだろうが、そのような感情を持つのは当然のこと。
ヤンは乗り越えてくれるだろう。今日起こったことはとてもつらいことだが、彼はまだ21歳。今後も多くの出来事を経験するだろうし、この上なく素晴らしい経験ももちろんあるだろう。ヤンは高いレベルの選手だ。これらの経験を自身で消化することができるし、努力し続ける謙虚さも持ち合わせたいい選手だ。」
ヤン・コウト選手については、今後、欧州や代表での活躍が見込まれ、同選手に関する成績や活躍に関する記事が日本語で多くの入手できるようになると思われます。ということで、当ブログでは2024年2月18日をもって更新を終了いたします。
≪シーズン別クラブ成績≫
シーズン | 所属 | 大会 | 試合 | 出場 時間 | 得点 | アシ スト |
---|---|---|---|---|---|---|
2020年(18歳) | コリチバ | 州選手権 | 2 | 145 | 0 | 0 |
合計 | 2 | 145 | 0 | 0 | ||
2020/21年(19歳) | ジローナ/ESP | スペインリーグ2部 | 26 | 1971 | 2 | 5 |
コパ・デル・レイ | 3 | 256 | 0 | 0 | ||
合計 | 29 | 2227 | 2 | 5 | ||
2021/22年(20歳) | SCブラガ/POR | UEFAヨーロッパリーグ | 9 | 696 | 0 | 0 |
ポルトガルリーグ | 28 | 1800 | 1 | 3 | ||
タッサ・デ・ポルトガル | 3 | 270 | 0 | 1 | ||
タッサ・ダ・リーガ | 2 | 164 | 0 | 0 | ||
合計 | 42 | 2930 | 1 | 4 | ||
2022/23年(21歳) | ジローナ/ESP | ラ・リーガ | 25 | 1154 | 1 | 2 |
コパ・デル・レイ | 1 | 58 | 0 | 0 | ||
合計 | 26 | 1212 | 1 | 2 | ||
2023/24年(22歳) | ジローナ/ESP | ラ・リーガ | 23 | 1516 | 1 | 6 |
コパ・デル・レイ | 5 | 237 | 1 | 0 | ||
合計 | 28 | 1753 | 2 | 6 |
イタリック斜体は、2024年2月18日現在の記録。 ※ シーズン欄の年齢は、12月31日時点の年齢です。
<代表経歴>
2017年5月31日、初めての世代別代表としてU-15代表合宿に招集。
2017年11月6日開幕のU-15南米ユース選手権に代表として選出。準優勝を果たす。
2019年3月22日開幕のU-17南米ユース選手権に代表として選出。背番号は「2」。 パラグアイ、ウルグアイ、コロンビア、アルゼンチンとの予選ラウンドは、全4試合にスタメン出場。 チームは2勝1分1敗勝点7の成績ながら、4チームが勝点7で並ぶ中得失点差により予選ラウンドで敗退する。
2019年7月23日、26日に開催されたパラグアイとのU-17国際親善試合に招集。2試合ともにスタメン出場。 26日の第2戦では、1-1の同点で迎えた後半18分、PKを決め、世代別代表初ゴールを記録。
2019年8月15日、17日に開催されたチリとのU-17国際親善試合に招集。2試合ともにスタメン出場。 15日の第1戦では、クロスバーを直撃する直接FK、右サイドをドリブルで中に切れ込みクロスを供給し、自らシュートを放つなど、積極的に攻撃に参加する。
2019年10月19日、自国開催の2019U-17W杯に向けた最後の対外試合となるアメリカとの親善試合に出場。
2019年10月26日に開幕した2019U-17W杯。 カナダ、ニュージーランド、アンゴラとのグループラウンドでは、初戦のカナダ戦、2戦目のニュージーランド戦にスタメン出場。ニュージーランド戦ではレッドカードを提示され退場。3戦目のアンゴラ戦はスタンドからの観戦となる。
決勝トーナメントに入り、ラウンド16チリ戦は出場機会を逸するが、11月11日準々決勝イタリア戦、11月14日準決勝フランス戦にスタメンとして出場。
11月17日決勝メキシコ戦。スターティングイレブンに抜擢。 1-1で迎えた試合終了間際の後半45+2分、右サイドからヤン・コウトがあげたピンポイントのクロスを途中出場のラザロ・ヴィニシウス(Lázaro Vinícius)が右足でダイレクトに合わせゴール。このゴールが決勝点となり、ブラジルが優勝を果たす。 ヤン・コウトは最後に大きな仕事を遂行した。
2020年10月、翌年開催予定のU-20南米ユース選手権を照準にしたU-20代表合宿に招集を受ける。(2021年U-20南米ユース選手権はコロナ感染症拡大の影響を受け開催中止。)
2023年10月6日、2026W杯南米予選第3節ベネズエラ戦、第4節ウルグアイ戦に向けた代表に追加招集を受ける。 10月12日ベネズエラ戦、前半42分にSBダニーロの負傷を受け交代出場。代表デビューを果たす。 10月17日ウルグアイ戦は先発出場。 いずれの試合もブラジルは左サイドを中心とした攻撃が多く、バランスを取る形で守備ラインに自重し、ジローナでのような相手陣深くでのポジショニングを取ることができず、攻撃面でいい形でボールに触れる機会はほとんど見られなかった。
≪シーズン別代表成績≫
年 | 大会 | 試合 | 出場 時間 | 得点 | アシ スト |
---|---|---|---|---|---|
2017年(15歳) | U-15南米ユース選手権 | 不明 | 不明 | 0 | 0 |
2019年(17歳) | FIFA U-17W杯2019 | 5 | 395 | 0 | 1 |
2023年(21歳) | 2026W杯南米予選 | 2 | 121 | 0 | 0 |
- 第3節 ベネズエラ | 48 | 0 | 0 | ||
- 第4節 ウルグアイ | 73 | 0 | 0 |
イタリック斜体は、2024年2月18日現在の記録。 ※ シーズン欄の年齢は、12月31日時点の年齢です。
<プレースタイル>
利き足は右。 身長は170㎝弱。 攻撃的なサイドバック/ラテラウ。スリーバックではウィングバック/アーラを務める。 前後にアップダウンを繰り返す持久力を持つが、スピード豊かなドリブルを得意とし、瞬発的なスピードも持つ。
ブラジルで海外就業が法的に認められる18歳の誕生日を迎えて間もなくシティフットボールグループへ移籍したため、ブラジル国内でのプロとしての実績はほとんどない。 育成段階から実際年齢よりも上のカテゴリーでプレーを重ねる。
<エピソード、雑感 etc.>
2019年U-17W杯での活躍を受け、バルセロナ/スペインが獲得寸前まで交渉を進めるが、最終的にはマンチェスターシティ(シティフットボールグループ)が獲得。しかし、マンチェスターシティではプレシーズンマッチの1試合に出場するのみ、僅か数カ月でスペインリーグ2部ジローナへレンタル移籍。 ジローナでは、戦術的に比較的自由に得意の攻撃参加が認められ、年間2000分以上試合に出場。
翌2021/22年シーズンにはポルトガルリーグ強豪のSCブラガにレンタル移籍。SCブラガでもシーズン半ばにはレギュラーの座を獲得。年間3000分近くプレーする。 しかし、マンチェスターシティでプレーする機会は与えられず、2022/23年シーズンは再びジローナへレンタル移籍。
ヨーロッパのフィオレンティーナ/イタリア、リール/フランス、ブラジルのフラメンゴ、アトレチコ・ミネイロなどのクラブがヤン・コウトに関心を持つ(かつて関心を持った)という噂もあるが、マンチェスターシティとは2025年6月まで契約がある。
合意寸前までいった他クラブとの交渉を覆してまで獲得し、その後のレンタル移籍先で数字に表れる成績を残しているにも関わらず、自クラブでの選手構想に踏まえないマンチェスターシティ。獲得オファーを提示する前に、事前にヤン・コウトのプレースタイルや長所・短所が調査されたのか、現場やスカウト、強化部門などクラブ内での擦り合わせが行われていたのか、などを疑いたくなるほど獲得の意図が見えてこない。
サッカー選手の選手寿命は長くないだけに、マンチェスターシティは他クラブからのオファーがあればすぐにでもヤン・コウトとの契約を解除し、新たな活躍の場への第一歩として快く送り出してもらいたい。