ルアン・パトリッキ (Luan Patrick)

投稿者: | 2023年2月23日
最新更新日 : 2024/08/08
更新履歴 : 2024/02/16, 2023/08/04

ルアン・パトリッキ・ヴィエチハウペル  若手 ブラジルサッカー アトレチコ・パラナエンセ アメリカ・ミネイロ RBブラガンチーノ センターバック

ルアン・パトリッキ・ヴィエチハウペル

Luan Patrick Wiedthauper

ポジション:センターバック/ザゲイロ

利き足:右

2002年1月20日生まれ

<クラブ経歴>

≪幼少期、育成時代≫

 ブラジル連邦共和国リオグランデドスル州カラジーニョに生まれる。
 4歳の時に地元でフットサルを始め、2012年、9歳でインテルナシオナウの下部組織に入団。サッカーを始める。
 2015年、インテルナシオナウで上のカテゴリーに昇格できず、退団を余儀なくされる。
 その後、ジュヴェントゥージの下部組織で8カ月過ごし、後にフィゲイレンセ下部組織で2年間プレー。
 フィゲイレンセ下部組織でのプレーがアトレチコ・パラナエンセのスカウトの目にとまり、2018年9月にアトレチコ・パラナエンセ下部組織に入団。
 2019年12月8日、全国選手権最終節アヴァイー戦でトップチームでのベンチ入りを果たす(試合出場なし)。

≪アトレチコ・パラナエンセ≫

 2020年2月9日、州選手権予選ラウンド第9節にて、エドゥアルド・バーホス(Eduardo Barros)監督によりスターティングイレブンに抜擢。プロ初出場を果たす。
 その後、州選手権では3試合にスタメン起用されるが、コロナ感染症拡大による自粛期間が明けると、州選手権にベンチ入りするものの出場機会は訪れない。
 州選手権を終えるとトップチームを離れU-20チームに主戦場を移す。U-20チームではレギュラーとしてU-20全国選手権で準優勝に貢献。
 2021年2月10日、全国選手権第35節コリンチャンス戦、後半25分にペドロ・エンヒキ(Pedro Henrique, 1995)に替わり途中交代出場。全国選手権での初出場となる。
 2021年、州選手権が始まると予選ラウンドの数試合に出場を果たすが、全国選手権では出場機会に恵まれず、選手権中盤にさしかかった8月15日第16節クイアバ戦でシーズン初出場。スタメンに起用されるが、後半58分にピッチを後にする。
 その後再びU-20チームで試合出場を重ね、12月9日全国選手権最終節エスポルチ戦でトップチームへの復帰を果たす。
 2022年、州選手権が始まると予選ラウンド11試合中9試合にスタメン出場を果たすものの、チームが決勝ラウンドに駒を進めると出場機会を失う。

アメリカ・ミネイロ レンタル元:アトレチコ・パラナエンセ

 2022年4月、アメリカ・ミネイロへのレンタル移籍が発表。
 2022年5月21日、全国選手権第7節ボタフォゴ戦でスターティングイレブンに抜擢されると、5月29日第8節コリンチャンス戦もまた連戦でスタメン起用される。
 2022年6月25日、第14節フラメンゴ戦の後半10分に途中交代出場を果たすと、6月30日コパ・ド・ブラジルラウンド16ボタフォゴ戦1stレグにスタメン出場。その後全国選手権第15、16、17節、コパ・ド・ブラジルボタフォゴ戦2ndレグと6試合連続出場。
 しかし、その後は出場機会を失い、全国選手権の後半戦(第20節以降)は3試合の出場にとどまる。
 アメリカ・ミネイロはルアン・パトリッキのレンタル期間延長もしくは完全獲得へ向けた交渉をアトレチコ・パラナエンセと進めるが合意に至らず、2022年シーズン終了後にアトレチコ・パラナエンセへの復帰が決まる。

RBブラガンチーノ レンタル元:アトレチコ・パラナエンセ

 2023年に向けて、ヴァスコダガマやバイーアが獲得オファーをアトレチコ・パラナエンセに提示。
 しかし、2023年1月24日、RBブラガンチーノがルアン・パトリッキのレンタル加入を発表。契約期間は2023年末まで。ユーロ建て固定額での買取オプション付き。
 加入発表翌日の2023年1月25日には州選手権予選ラウンド第4節にスターティングイレブンとして出場(後半45分にレッドカードを提示され退場)。第5節はサスペンションとなるが、第6節以降2023年2月21日現在直近の第9節まで連続試合出場を果たす。しかし、その後はクラブがCBの補強を続け出場機会は激減、ベンチを温める試合が続く。
 2023年5月25日のコパ・スウアメリカーナで、CBにケガ人が相次ぐ中、2か月ぶりの出場をスタメンで迎えると、攻撃面ではCKを頭でファーサイドから折り返しアシストを記録。続く5月28日全国選手権第8節サントス戦もスタメン起用されると、CKの流れから左サイドでクロスを上げ2試合連続のアシスト。守備面でも2試合連続の無失点試合に貢献。
 6月22日の全国選手権第11節以降、公式戦14試合連続出場(うち12試合先発)。しかし、ケガ人の復帰や新加入選手の起用のため、次第に出場機会を失っていく。さらには11月に入り太もものケガも重なり全国選手権第33節以降は欠場。
 2023年は終盤は出場機会が減少したものの、キャリアハイの1846分の試合出場を果たした。

アトレチコ・パラナエンセ

 2024年シーズンはアトレチコ・パラナエンセに復帰。
 2024年2月に開催された2024パリ五輪南米予選に出場。
 2月25日パラナ州選手権第11節にて後半17分にピッチに送り出されシーズン初試合を迎える。
 3月2日州選手権準々決勝1stレグにて前半12分のCBチアゴ・エレーノ(Thiago Heleno, 1988)のケガを受け、前半12分にピッチに立つ。しかし、この試合を最後に試合から遠ざかることとなる。
 2024年末に満了を迎える契約の更新について、クラブは以前から交渉を進めようとしていたが、選手側代理人はヨーロッパでのプレーを希望。スペインやポルトガルの複数のクラブからの引き合いもあり、契約更改を拒否。2024年7月1日から移籍金が発生しない事前契約が可能となることから、アトレチコ・パラナエンセはトップチームでのトレーニングから締め出す措置を取った。
 2024年8月8日現在、ルアン・パトリッキの契約に関する続報は見当たらない。

≪シーズン別クラブ成績≫

シーズン所属大会試合出場
時間
得点アシ
スト
2020年(18歳)アトレチコ・パラナエンセ全国選手権12000
州選手権436000
合計538000
2021年(19歳)アトレチコ・パラナエンセコパ・スウアメリカーナ1100
全国選手権214800
州選手権849700
合計1164600
2022年(20歳)アトレチコ・パラナエンセ州選手権981000
合計981000
アメリカ・ミネイロ全国選手権1081000
コパ・ド・ブラジル218000
合計1299000
2023年(21歳)RBブラガンチーノコパ・スウアメリカーナ529201
全国選手権14111201
コパ・ド・ブラジル12400
州選手権641800
合計26184602
2024年(22歳)アトレチコ・パラナエンセ州選手権210600
合計210600
イタリック斜体は、2024年8月8日現在の記録。
※ シーズン欄の年齢は、12月31日時点の年齢です。

<代表経歴>

 2019年7月23日、26日に開催されたパラグアイとのU-17国際親善試合に招集。
 アトレチコ・パラナエンセU-17チーム、U-20チームでのプレー、特にビルドアップ能力がU-17代表監督ギリェルミ・ダラ・デーア(Guilherme Dalla Déa)氏に認められ抜擢。
 両試合にスタメン出場を果たす。
 2019年8月15日、17日に開催されたチリとのU-17国際親善試合に招集。両試合ともにスタメン出場。
 2019年10月19日、自国開催の2019U-17W杯に向けた最後の対外試合となるアメリカとの親善試合に出場。
 2019年10月26日に開幕した2019U-17W杯。
 カナダ、ニュージーランド、アンゴラとのグループラウンドの3試合。
 決勝トーナメント1回戦(ラウンド16)チリ戦、準々決勝イタリア戦、準決勝フランス戦。
 そして、決勝メキシコ戦。
 全試合フルタイム出場を果たす。(全試合フルタイム出場はGK/GOLドネリ(Donelli)、CB/ZAGエンリ(Henri)、ルアン・パトリッキの3選手のみ)
 2020年10月には、コロナ感染症拡大による自粛期間明け初めてのアンドレ・ジャルディーニ(André Jardine)監督率いるU-20代表合宿に招集。
 2020年12月に開催されたボリビア、ペルー、チリとのU-20国際親善大会に招集。
 3試合すべてにスタメン出場を果たし、2021年に開催が予定されていたU-20南米ユース選手権代表の有力候補となる。しかし、南米ユース選手権はコロナ感染症拡大のため数回延期されたのち開催中止が決定された。

2024年パリ五輪南米予選

 2024年1月5日、2024パリ五輪南米予選(ベネズエラ開催、2024年1月20日~2月11日)U-23代表選手として追加招集がCBFより発表された
下表「節」欄のリンクは、当ブログの記事にリンクしています。記事内には、当該試合の出場&控えメンバー(ブラジルU-23代表のみ)、試合経過、得点シーン中心の動画、所感を掲載しています。
試合日対戦
相手
試合
結果
出場
時間
得点アシ
スト
2024/01/20予選第1節対戦なし
2024/01/23予選第2節ボリビア1 – 0
2024/01/26予選第3節コロンビア2 – 07200
2024/01/29予選第4節エクアドル2 – 19000
2024/02/01予選第5節ベネズエラ1 – 36800
2024/02/05決勝第1節パラグアイ0 – 1
2024/02/08決勝第2節ベネズエラ2 – 1
2024/02/11決勝第3節アルゼンチン0 – 1
 合計9 – 823000
予選第3節コロンビア戦でのCBミシェウの負傷を受け交代出場。この試合と次節エクアドル戦は無難にプレーし、得意の縦のパスを通す場面も見られたが、予選第5節ベネズエラ戦ではハイボールの処理を誤るなど不安定なプレー。
決勝ラウンドはピッチに立つことができなかった。

≪シーズン別代表成績≫

大会試合出場
時間
得点アシ
スト
2019年(17歳)FIFA U-17W杯2019763000
2024年(22歳)2024年パリ五輪南米予選323000
イタリック斜体は、2024年1月20日現在の記録。
※ シーズン欄の年齢は、12月31日時点の年齢です。

<プレースタイル>

 利き足は右。身長190㎝。
 主に右CB/ZADでプレー。(2019年U-17W杯では左CB。右SBでのプレー経験もある。)
 自陣ゴール前からのビルドアップを担い、両足から繰り出される長短のパス、縦の楔のパスや相手守備ライン裏をターゲットとしたパスの精度は高い。
 長い足を活かしたスライディングタックルやドリブルのコースを読んだボール奪取が巧み。
 スピードがあり、サイドバックの裏のスペースまで守備範囲は広い。
 相手に押し込まれる状況での守備や一対一の局面では、相手との距離感やタイミングをずらしたプレーでピンチの芽を摘む。
 ビルドアップの時以外にも、ボール奪取後に味方にボールを預けそのまま攻撃に上がるなど、やや上がりすぎる傾向がある。

<エピソード、雑感 etc.>

 2022年以前に在籍したアトレチコ・パラナエンセやアメリカ・ミネイロは、戦術的に、しっかりとした守備ブロックを作って守り、守備のバランスを崩さずにカウンターや手数の少ない攻撃を展開することが多く、また、CBが攻撃の起点になることが少なかったため、ルアン・パトリッキのプレースタイルとの相性が良いとは言えなかった。
 一方、2023年に在籍するRBブラガンチーノは数年前から、最終ラインを高い位置に置き、中盤をコンパクトに保ち、相手ゴールに近い位置でのボール保持率を高めようとする戦術を採用しており、ビルドアップ、パス精度の高さ、パスの選択肢の豊富さ、スピード、広い守備エリアを持ち味とするルアン・パトリッキのプレースタイルを十分に発揮できる環境にあるといえる。
 2023年、RBブラガンチーノのCB陣は、チチ(Tite)監督のもと何度も代表に招集されたレオ・オルティス(Léo Ortiz, 1996)が前年の膝の大怪我でシーズン後半まで戦列を離れるが、前年レギュラーを務めたナタン(Natan, 2001)、チーム4年目となり2026年末まで契約を延長したばかりのレオ・レアルぺ(Léo Realpe, 2001)、アルゼンチンU-17代表レギュラーとして2019年U-17南米ユース選手権を制覇したロモナコ(Lomónaco, 2001)、2023年U-20南米ユース選手権優勝メンバーのドウグラス・メンデス(Douglas Mendes, 2004)など、高い実力実績を擁する選手たちとのポジション争いが待っている。
 イタリアスポーツサイト「Calcio Mercato」によると、合意には至らなかったが、2021年にボローニャ/ITAが当時19歳のルアン・パトリッキの獲得オファーを提示している。そして、2022年シーズン終了後も引き続きボローニャ、さらにはフィオレンティーナ/ITAもまた獲得に向けた情報収集を行ったと報道されている。
 自分のプレースタイルにあうRBブラガンチーノとの契約は、買取オプションがあるとはいえ2023年末まで。
 ルアン・パトリッキのプレースタイルは、ブラジル国内よりもヨーロッパで好まれ、高く評価されるスタイルと言えるだけに、この1年に満たないチャンスを逃がすことなく、自分の強みを前面に出したプレーを披露し、出場時間を増やしレギュラーの座を掴むことができれば、イタリアをはじめとしたヨーロッパの強豪クラブ、リーグでのプレーが現実味を帯びてくる。
 そして、そこにたどり着くことができたならば、再び代表のユニフォームを着て大舞台に立つ日も訪れるに違いない。

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