エリキ・マルクス (Erick Marcus)

投稿者: | 2023年2月26日
最新更新日 : 2024/01/31
更新履歴 : 2023/08/04

エリキ・マルクス・ドス・サントス・オリヴェイラ・ド・カルモ  若手 ブラジルサッカー ヴァスコダガマ フォワード ウィング

エリキ・マルクス・ドス・サントス・オリヴェイラ・ド・カルモ

Erick Marcus dos Santos Oliveira do Carmo

ポジション:フォワード/アタカンチ

利き足:右

2004年3月1日生まれ

<幼少期>

 ブラジル連邦共和国リオデジャネイロ市西部に位置するジャカレパグアーに生まれる。
 物心がつく頃から生活の一部にサッカーが溶け込み、朝から晩まで、家の外でも中でもボールを蹴って過ごす。
 小学生になると学校が終わるとサッカースクールに通う日々を過ごし、地元のジャカレパグアーFC、カステロブランコ、マドゥレイラECでプレーする。

<クラブ経歴>

≪育成時代≫

 2016年、12歳の時にヴァスコダガマ下部組織に入団。
 ヴァスコダガマでは順調にカテゴリーを上げていき、やがて将来を嘱望されるようになる。
 2019年に、主力選手としてU-15リオデジャネイロ州選手権に優勝。
 2020年は、U-17チームに所属しながら1つ上のカテゴリーのU-20チームでもプレーし、U-20州選手権優勝のタイトルを獲得。
 2021年8月、U-17全国選手権決勝戦でフラメンゴに敗れ準優勝にとどまるが、エリキ・マルクスはチーム最多(全体6位)の8得点をあげる活躍を見せる。
 2021年11月のU-17州選手権準決勝でフラメンゴに雪辱を果たすと、12月の決勝戦でフルミネンセを破りチームは優勝。エリキ・マルクスは3年連続で異なるカテゴリーでリオデジャネイロ州選手権のタイトルを獲得する。
 2022年は、U-20チームの主力メンバーとして試合出場を重ねる。チームはU-20全国選手権準々決勝敗退、U-20州選手権準優勝。
 2022年10月27日、全国選手権2部第37節サンパイオコヘア戦にトップチームでのベンチ入りを果たす。(出場機会なし。)

≪ヴァスコダガマ≫

– 2020 –

 2020年9月、16歳にしてヴァスコダガマとプロ契約を締結。

– 2021 –

 2021年12月14日、17歳にしてトップチームでの出場履歴がないにもかかわらず、ヴァスコダガマとの契約を2024年末まで更新。

– 2023 –

 2023年1月、ヴァスコダガマとの契約をさらに更新し、契約期間は2027年末まで延長。
 2023年、この年から指揮を執るマウリシオ・バルビエリ(Maurício Barbieri)監督のもとトップチームのトレーニングに参加。アメリカキャンプに帯同し、シーズン最初のプレシーズンマッチでスターティングイレブンを任されるなどチャンスを与えられる。
 1月30日、州選手権第5節ヴォウタ・ヘドンダ戦の前半45+2分に交代出場。プロデビューを飾る。
 2月2日第6節ヘゼンデ戦、後半23分に交代出場を果たすと、後半37分、ペナルティエリア入口左隅から相手ディフェンダーとGKの間へ柔らかいクロスボールを供給。FWペドロ・ハウーウ(Pedro Raúl, 1996)がこれを難なくゴールに流し込み、エリキ・マルクスはプロ初アシストを記録。
 2月7日第7節ノヴァ・イグアスー戦、左ウィングとしてプロ初のスターティングイレブンに抜擢。
 2月16日順延されていた第3節クラシコたなるボタフォゴ戦の後半開始時に交代出場を果たす。この試合後のプレスミーティングでバルビエリ監督はエリキ・マルクスについて「私がヴァスコに来た時から周りとは違うものを見せていた。トレーニングでも素晴らしいプレーや動きをみせるが、試合ではさらに躍動しているね。」と手放しに称賛。
 2月24日コパ・ド・ブラジル1回戦トレン戦。左ウィングとしてスタメンに起用されると試合開始早々からチャンスを作り出す。
 前半3分、前半10分と左サイドからクロスを供給し、あわやゴールかという場面を立て続けに作りだす。
 前半13分、左サイドライン際でボールを受けドリブルを仕掛ける。ペナルティエリアに侵入するとボールを少し浮かして相手ディフェンダーの守備の間を抜け、右足を振り抜きゴラッソ。プロ初ゴールを記録。
 前半29分、再び左サイドライン際でボールを受けドリブルでペナルティエリアを窺う。しかし、今度は縦に走る左SBルーカス・ピトン(Lucas Piton, 2000)に向けゴールライン際へのパスを選択。ピトンがこのボールをファーサイドへふわりと浮かしたクロスを送りペドロ・ハウーウが胸でゴールに押し込みチーム2点目。
 その後も、左サイドからのクロス供給や、右サイドからのクロスにゴール前に表れ頭を合わせるなど出色の活躍を見せ、後半24分にピッチを去る。
 2023年4月に開幕した全国選手権でも活躍が期待されたが、チームとして結果が出ない試合が続き、出場機会は制限され、出場しても守備に奔走することが多く、本来の持ち味を発揮できない。
 そんな中でも5月11日全国選手権第5節コリチバ戦では、サイドからのクロスボールのこぼれ球をゴールに押し込み全国選手権での初得点を記録。7月8日第14節クルゼイロ戦では初の先発出場を飾った。
 ヴァスコ・ダ・ガマは成績不振を理由にバルビエリ監督を解任。2023年7月23日全国選手権第16節アトレチコ・パラナエンセ戦からラモン・ディアス監督が指揮を執る。エリキ・マルクスは8月6日第18節グレミオ戦の後半19分にラモン・ディアス監督のもとでの初出場を果たすが、その後トレーニング中のケガで戦列を二か月間離脱。10月22日第28節フラメンゴ戦で試合終了間際の交代出場を果たし、11月2日第31節クイアバ戦、11月6日第32節ボタフォゴ戦で先発に起用されるが、ボタフォゴ戦の後半立ち上がりに右足ハムストリングを痛め交代。2023年はこの試合が最後となった。

– 2024 –

 2024年は年初のウルグアイ遠征に帯同。
 1月25日州選手権第3節マドゥレイラ戦の後半31分に交代出場。1月28日第4節バングー戦では先発出場を果たしている。

≪シーズン別クラブ記録≫

シーズン所属大会試合出場
時間
得点アシ
スト
2023年(19歳)ヴァスコ・ダ・ガマ全国選手権1337411
コパ・ド・ブラジル29310
州選手権827301
合計2374022
2024年(20歳)ヴァスコ・ダ・ガマ州選手権38400
合計38400
イタリック斜体は、2024年1月31日現在の記録。
※ シーズン欄の年齢は、12月31日時点の年齢です。

<プレースタイル、雑感 etc.>

 利き足は右。
 スプリント力があり、スピードに乗ったドリブルを得意とする。
 2023年のヴァスコダガマを率いるバルビエリ監督のもとでは、攻撃時はサイドライン際に張り付き、サイドバック、中盤の選手と三角形を作り、その形を変えながら攻めあがる。ボールを奪われるとパスコースを消しながら三角形を縮めるようにプレスをかけ、ボール奪取または精度の低いパスを蹴らせる。
 初ゴールを記録したトレン戦では、ゴール前の状況を見て、センターフォワード、後方から走り込むミッドフィルダーなど、異なるターゲットへクロスボールを供給。機を見ては自らシュートを放ち、逆サイドにボールがあるときは、ゴール前にタイミングよく顔を出す。ゴールシーンと同様の場面が再び訪れると、ゴールに向かう動作をみせつつ縦へのパスを選択しゴールに繋げるなど、試合を俯瞰的に見る能力が優れているように思われる。

 2023年のヴァスコダガマは、下部組織の選手をトップチームに昇格させず、U-20、U-17チームに所属したまま、トップチームも含め出場可能なカテゴリーの中で多くの試合経験を積ませる方針という。
 その中、就任初年度ということもあり、バルビエリ監督は昨年から所属する選手、新加入選手、下部組織の選手に幅広く試合出場のチャンスを与え、開幕9試合で39人もの選手を試合に起用。そして、運動量と高い規律性を求める自らが指向するサッカーへの適性や対応力を試している。
 2023年ヴァスコダガマの左サイドのFWには、ウクライナや中国で活躍した経験豊かなアレックス・テイシェイラ(Alex Teixeira, 1990)、2022年にレギュラーを務めたもののケガで州選手権序盤に戦列を離れたフィゲイレード(Figueiredo, 2001)、2022年に全国選手権2部18試合1000分近く出場し3得点を記録しているエギナウド(Eguinaldo, 2004)がおり、これらの選手とポジションを競うことになる。
 エリキ・マルクスは、監督から与えられたチャンスを確実に活かして信頼を獲得し、試合を重ねるごとに1試合での出場時間を伸ばしている。全国選手権でも対戦することになるフルミネンセやボタフォゴとのクラシコでも出場時間を重ねている。
 本番直前の招集まで駒を進めながらU-20南米ユース選手権は代表選外となったが、このままクラブでの試合経験を積み重ねていき、州選手権決勝ラウンドや4月中旬に開幕する全国選手権で攻守に監督が要求するサッカーを披露することができれば、2023年5月20日にインドネシアで開幕するU-20W杯の代表メンバーに選出される可能性もでてくる。
 その先には、国外への移籍も視野に入ってくる。
 バイエル・レヴァークーゼン/ドイツに移籍したパウリーニョ(Paulinho, 2000, 2020東京五輪代表1得点, 現アトレチコ・ミネイロ)、2019年U-17W杯優勝メンバーで同大会で2得点を記録したタレス・マギノ(Talles Magno, 2002, 現NYシティFC/アメリカ)、2023年U-20南米ユース選手権でキャプテンとしてチームを牽引し自ら得点王に輝きチームを優勝に導いたアンドレイ・サントス(Andrey Santos, 2004, 現チェルシー/イングランド)などが、近年ではヴァスコダガマから国外へ旅立っている。
 規律性が高く、運動量を要求し、コンパクトに陣形を保つバルビエリ監督のサッカーは、ヨーロッパでのプレーにプラスに働くと思われるだけに、バルビエリ監督のもとで学んだサッカーをもとにヨーロッパへ移籍し、ステップアップを重ね、やがてはヨーロッパの強豪クラブやレベルが高いリーグで活躍する姿を見てみたい気がする。
 その先にはフル代表の大舞台が待っているはずだ。

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