マテウス・マルティンス (Matheus Martins)

投稿者: | 2022年11月9日
最新更新日 : 2024/08/07
更新履歴 : 2023/12/14, 06/16, 05/03, 03/11

マテウス マルティンス ブラジル 若手 フルミネンセ ウディネーゼ ワトフォード

マテウス・マルティンス・シウヴァ・ドス・サントス

Matheus Martins Silva dos Santos

ポジション:フォワード/アタカンチ

利き足:右

2003年7月16日生まれ

<クラブ経歴>

≪幼少期、育成時代≫

 ブラジル内陸部マット・グロッソ・ド・スル州、州都カンポ・グランデに生を受けたマテウス・マルティンスは、現地のサッカースクールでプレーしていたが、リオデジャネイロに遠征した際に対戦したフルミネンセのスカウトの目に留まり、2010年、フルミネンセの下部組織に入団する。
 この年代は、フルミネンセの「夢の世代」と呼ばれ、2020年にはU-17のカテゴリーで全国選手権優勝、コパ・ド・ブラジル、スーペルコパで準優勝の成績を残した。

≪フルミネンセ≫

– 2021 –

 2021年3月7日、17歳にして州選手権ポルトゲーザRJ戦の後半12分、ガブリエウ・テイシェイラ(Gabriel Teixeira, 2001, 2023年12月現在バイーア所属、登録名ビエウ(Biel))に替わりピッチに立ち、プロデビューを果たす。
 この年は他に州選手権1試合、コパ・ド・ブラジル1試合、全国選手権7試合、いずれも途中交代での出場にとどまる。

– 2022 –

 翌2022年もまた、ベンチ外の試合も多く、4月の終わりまでは州選手権4試合、全国選手権1試合を途中交代で出場するにとどまる。しかし、5月4日から指揮を執るフェルナンド・ジニース(Fernando Diniz)監督のもと、5月26日コパ・スウアメリカーナ グループラウンド オリエンテ・ペトロレロ/BOL戦でプロ入り後初めてスターティングイレブンに抜擢されると、その試合でプロ初ゴールを含む3得点をあげる活躍を見せる。
 その後は次第に出場時間も増え、6月15日の全国選手権第12節アメリカ・ミネイロ戦で選手権で初めてスターティングイレブンに名を連ねると、7月2日第15節コリンチャンス戦以降は左ウィングでレギュラーの座を掴む。すると、チームもまた第12節以降9月28日の第28節ジュヴェントゥージ戦まで11勝2敗4分けの成績を残し、11位から2位まで一気に順位を上げる。
 しかし、フェルナンド・ジニース監督の、コンパクトに陣形を保ち、ボールを奪われると直ぐに奪い返しにいくサッカーは、ウィングの選手にアップダウンを繰り返すスプリントを要求し、体力を著しく消耗させる。10月以降、マテウスのパフォーマンスは低下した。また、同時にチームも下位チームを相手に連敗を喫したことから、サポーターによるネット上の批判が19歳のマテウスに向けられた。
 10月23日、全国選手権第33節、クラシコとなるボタフォゴ戦、0-2のビハインドで迎えた後半28分にピッチに立つと、その3分後に左サイドからドリブルでペナルティエリアに侵入し相手ディフェンダーに倒されPKを獲得。そのPKをパウロ・エンヒキ・ガンソ(Paulo Henrique Ganso, 1989)が落ち着いて決め1-2。後半36分、右サイドライン際で攻撃の起点となると、サムエウ・シャビエル(Samuel Xavier, 1990)のクロスからの流れでナタン(Nathan, 1996)がシュートを放つ。シュートはGKに足で阻まれたが、そのこぼれ球に対しマテウスがダイレクトに右足を振り抜きゴールネットを揺らし試合を振り出しに戻した。
 その後も途中交代での出場が続くが、攻守に渡り献身的なアップダウンを繰り返し、切れ味の鋭いドリブルやクロス、シュートを繰り出すなど攻撃にアクセントをつける役目を遂行し、チームの連勝に貢献する。

≪ワトフォード/ENG (レンタル元:ウディネーゼ/ITA)≫

– 2022/23 –

 イングランド時間2022年12月14日、ワトフォード/ENGがマテウス・マルティンスの獲得を発表。ウディネーゼ/ITAがマテウス・マルティンスを獲得し、即時にワトフォードへの期限付き移籍というスキームでの移籍。なお、この2クラブはジャンパオロ・ポッツォ氏を共通のオーナーとしている。
 2023年1月14日チャンピオンシップ(イングランド2部相当)第27節において、後半開始時に交代出場を果たしクラブデビュー。
 第28節から第31節まではスターティングイレブンとして出場。2月4日第30節では後半3分にCKのキッカーとしてアシストを記録。
 しかし、第32節にはスタメン落ちを喫し、第33節ではベンチ入りするも出場機会は訪れない。第34節以降はベンチ外となりシーズンを終える

– 2023/24 –

 2023年8月5日チャンピオンシップ開幕節QRP戦にスタメン出場。前半38分にチーム3点目、自身シーズン初ゴールをマーク。
 好調なスタートを切ると、先発出場が続き、その期待に応えるように、第5節、第7節にも得点を記録。
 しかし、10月24日第13節スウォンジー・シティ戦を前半でベンチに退くと、翌節以降はベンチスタートが続く。11月11日第16節ロザラム戦で8試合ぶりのゴールを決めるものの、しばらく後半終了間際の時間帯での交代出場が続く。
   12月16日第22節にて2か月ぶりにスタメンに起用されると1ゴール。この試合を機に再び先発の座に復帰。
   しかし、2024年2月17日第33節でスタメンから外れると、以降はシーズン終了まで先発に起用されることはなく、14試合のうち9試合に後半交代出場するに止まり、ワットフォードでの2年目のシーズンを終える。

≪ボタフォゴ≫

– 2024 –

 2024年7月30日、ボタフォゴがマテウス・マルティンスとの契約を発表。期限は2028年末、移籍金は選手所有権の90%に対し固定:1000万ユーロ+ボーナス:200万ユーロの総額1200万ユーロ(約19億円)。
 8月3日全国選手権第21節アトレチコ・ゴイアニエンセ戦にて後半27分にピッチに送り出されクラブデビュー。プレー時間は18分だったが、右サイドからの攻撃の起点となり、記録はつかないものの2得点に関与。今後の活躍を期待させるボタフォゴでのデビュー戦を飾った。

≪シーズン別クラブ成績≫

シーズン所属大会試合出場
時間
得点アシ
スト
2021年(18歳)フルミネンセ全国選手権710600
コパ・ド・ブラジル12300
州選手権24400
 合計1017300
2022年(19歳)フルミネンセコパ・スウアメリカーナ16130
全国選手権30160435
コパ・ド・ブラジル645000
州選手権49400
 合計41220965
2022/23年(20歳)ワトフォード/ENGチャンピオンシップ635801
 合計635801
2023/24年(21歳)ワトフォード/ENGチャンピオンシップ39176152
FAカップ323610
EFLカップ17900
 合計43207662
2024年(21歳)ボタフォゴ全国選手権11800
 合計11800
イタリック斜体は、2024年8月7日現在の記録。
※ シーズン欄の年齢は、12月31日時点の年齢です。

<代表(世代別を含む)経歴>

– 2021 –

 2021年11月にメキシコで開催されたメキシコ、ブラジル、コロンビア、アメリカの4ヵ国によるレヴェレーションズカップ(Revelations Cup)でU-18代表として招集。

– 2022 –

 2022年6月には、パラグアイ、エクアドル、ウルグアイとのU-20代表国際大会に出場。
 初戦パラグアイ戦では途中交代で出場すると、後半32分、右CKをダイレクトボレーでゴールネットを揺らす。
 続く2戦目のエクアドルではスターティングイレブンに名を連ねる。前半20分、アンドレイ・サントス(Andrey Santos, 2004)からの縦パスに抜け出すとGKとの一対一を制し冷静にゴールを決める。後半開始直後、右サイドで相手ボールを奪うとそのままドリブルでペナルティエリアに持ち込み、相手ディフェンダーを左手で抑え、スライディングにいくようなシュートでGKの股間を抜く、この試合2点目のゴール。
 3戦目ウルグアイ戦もスターティングイレブンで出場。この試合では1アシストを記録。

 2022年9月のアルゼンチン、ウルグアイ、ウズベキスタンとのU-20代表国際大会はチーム事情のため招集辞退。
 2022年11月17日、20日に行われるチリとの親善試合に向け、再びU-20代表に招集される。なお、この招集は、翌2023年1月17日からチリで開催されるU-20南米ユース選手権に向けた年内最後の招集。
 2022年12月8日、年明けに開幕するU-20南米ユース選手権に向けたU-20代表に招集。しかし、ワトフォードへの移籍を受け辞退。

– 2023 –

 2023年4月15-27日に行われるスペイン合宿および3試合のU-20国際親善試合に向けたU-20代表に招集。
 親善試合は全3試合に右サイドハーフ、右ウィングとして出場。2戦目のウズベキスタン戦ではPKから1得点。3戦目のイラク戦ではケヴィンのゴールのアシストを記録。

2023年U-20W杯

 2023年4月28日発表の2023U-20W杯代表に招集。
下表「節」欄のリンクは、当ブログの記事にリンクしています。記事内には、当該試合の出場&控えメンバー(ブラジルU-20代表のみ)、試合経過、得点シーン中心の動画、所感を掲載しています。
試合日対戦
相手
試合
結果
出場
時間
得点アシ
スト
2023/05/21グループR第1節イタリア2 – 34500
2023/05/24グループR第2節ドミニカ共和国6 – 01411
2023/05/25グループR第3節ナイジェリア2 – 0
2023/05/31決勝R1回戦チュニジア4 – 12310
2023/06/01決勝R準々決勝イスラエル2 – 37301
 合計16 – 767922
 予選初戦こそ先発で起用されるが、チームの低調なパフォーマンスもあり、予選第2節以降はベンチスタートとなる。
 予選第2節は、後半45+3分にペナルティエリア内ゴールライン際からのVOLマルロン・ゴメス(Marlon Gomes, 2003)のマイナスのパスをダイレクトに蹴り込み自身大会初ゴール。
 決勝ラウンド一回戦では、後半45+1分に自陣からのロングカウンターで、ボールを運んだVOLマルロン・ゴメスを追い抜きペナルティエリア内でパスを受けると、角度のない位置からGKの脇を抜くシュートで自身大会2点目。
 準々決勝ではスタメンの座に復帰。後半11分には、最終ラインの選手間に走り込むFWマルコス・レオナルドへタイミング、場所、スピード、いずれも絶妙なパスを送り、FWマルコス・レオナルドのゴラッソを演出。

<エピソード、雑感 etc.>

 2022年10月の報道によると、ウディネーゼ/イタリアとフルミネンセの間で移籍の合意が近づいていると言われている。フルミネンセのU-17チームでマテウス・マルティンスとプレーしたFW/ATAカイキ(Kayky 2003年6月11日生まれ 現パソスデフェヘイラ/ポルトガル(マンチェスターシティ/イングランドからレンタル))が一足先にヨーロッパでプレーしている。
 ドリブルや俊敏な動きからディフェンスラインを突破し、フィニッシュに持ち込む攻撃スタイル。フェルナンド・ジニース監督のコンパクトな陣形を敷いてボールを保持するサッカーで要求される、中盤選手との連動でボール保持者を挟み込んでのボール奪取、パスコースを切るディフェンスを身につけた。
 ウディネーゼは、今シーズン(2022/23)序盤にローマやインテルといった強豪を圧倒し、3-5-2の配置からグラウンダーのパスを縦へ縦へとスペースにつないで前進し、敵陣深くに5人、6人、時には7人を送り込んで一気にフィニッシュする、スピードとダイナミズムに富んだ攻撃を武器とする。
 移籍が実現すれば、マテウス・マルティンスは、ウディネーゼにとっても最高の補強になりえるだろう。

(2024年8月7日追記)
 2024年7月30日にボタフォゴと契約。19歳での初の欧州挑戦は、移籍先のウディネーゼでのプレーはなく、期限付き移籍先のイングランド・チャンピオンシップ(2部リーグ相当)のワットフォードでプレーするのみに終えた。
 しかし、総額1200万ユーロ(約19億円)の移籍金を費やしてまで獲得を進めたボタフォゴオーナーのジョン・テクスター(John Textor)氏は、クリスタルパレス/ENGやリヨン/FRAのオーナーも務めており、また、ボタフォゴ加入時のアルトゥール・ジョルジ(Artur Jorge)監督はFCブラガ/PORでカップ戦のタイトルを持つポルトガル国籍の監督。次回の欧州挑戦のためにも、アルトゥール・ジョルジ監督のもとヨーロッパ式のサッカーを習得し、ボタフォゴで実績を積み重ねたい。

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