サンドリ ・ホベルト(Sandry Roberto)

投稿者: | 2023年3月1日
最新更新日 : 2024/01/31
サンドリ・ホベルト・サントス・ゴエス  若手 ブラジルサッカー サントス ボランチ 攻撃的ミッドフィルダー

サンドリ・ホベルト・サントス・ゴエス

Sandry Roberto Santos Goes

ポジション:ボランチ

利き足:右

2002年8月30日生まれ

<幼少期>

 ブラジル連邦共和国バイーア州イタブーナに生まれる。
 サッカー選手の父のもと、幼い頃からトレーニングについていきサッカーボールに馴染み、やがて地元のサッカースクールに入団。10歳の時にはU-15カテゴリーでプレーするなど常に自分の年齢よりも上のカテゴリーでプレーする。上のカテゴリーでのサンドリのプレーがECバイーアのスカウトの目にとまるが、その時点で年齢が規定に達しておらずECバイーアへの入団は見送られたことがあった。
 母はサンドリのプレーを録画してはプレー集として編集しソーシャルメディアに動画を投稿していた。ある日、その動画を見たサントスFCから電話があり入団テストの受験を打診される。
 入団テストは無事合格。サンドリは、2013年、11歳でサントスFCに入団する。

<クラブ経歴>

≪育成時代≫

 サントスFCに入団すると順調にカテゴリー上げていき、自分の年齢よりも上のカテゴリーでプレーするようになる。
 2017年には、U-15チームに所属しながらU-17チームでもプレー。
 2018年は、年初に開催されるU-19全国大会カップ戦に15歳ながら6試合に出場。

≪サントス≫

 2019年1月31日、ホルヘ・サンパオリ(Jorge Sampaoli)監督のもと、州選手権第4節ブラガンチーノ戦の後半43分に交代出場を果たし、16歳でプロデビューを飾る。
 2月6日、コパ・ド・ブラジル1回戦アウト戦の後半26分に交代出場。
 その後はU-17、U-19チームに戻っての試合出場を重ねるが、年終盤にはトップチーム全国選手権にベンチ入りを繰り返す。
 12月8日全国選手権最終節のフラメンゴ戦では後半終了間際の僅かな時間ながら試合出場を果たす。
 17歳で迎えた2020年は、ジェズワウド・フェヘイラ(Jesualdo Ferreira)監督のもと、トップチームに昇格。
 2020年2月2日、州選手権予選ラウンド第4節、クラシコとなるコリンチャンス戦にプロ初のスターティングイレブンに抜擢。
 コロナ感染症拡大による自粛期間が明け州選手権が終了するとジェズワウド・フェヘイラ監督が解任、クーカ(Cuca)氏が後任としてサントスFCの指揮を執る。しかし、なかなか出場機会は訪れない。
 クーカ監督のもとでの初の出場機会は、10月14日の全国選手権第16節アトレチコ・ゴイアニエンセ戦。後半29分に途中交代出場。僅か16分間の出場だったがこの試合を機に出場機会は増えていき、後半からの途中交代ながら連続して試合出場を果たすようになる。
 12月9日、コパ・リベルタドーレス準々決勝グレミオとの1stレグ、約10カ月ぶりにスターティングイレブンとして出場。
 この試合でクーカ監督の信頼を得ると、12月13日全国選手権第25節フラメンゴ戦、12月16日コパ・リベルタドーレス準々決勝グレミオ戦2ndレグと連続して重要な試合にスタメン出場。
 以降は、戦術的な理由から後半途中出場となったコパ・リベルタドーレス準決勝ボカジュニオルス/アルゼンチン戦の1stレグ、2ndレグを除き、コパ・リベルタドーレス決勝パウメイラス戦を含むほぼすべての試合にスタメン出場を果たし、中盤の一角としてレギュラーの座を獲得。
 2021年シーズンは、新監督アリエル・オラン(Ariel Holan)氏のもと、州選手権にレギュラーとして出場。しかし、コパ・リベルタドーレス予備予選に向けたトレーニング中に前十字靭帯損傷のケガを負う。
 2021年11月25日の全国選手権第35節フォルタレーザ戦、試合終了間際に約8カ月ぶりの戦列復帰。
 12月9日最終節クイアバ戦では90分のフル出場を果たす。
 2022年2月13日、州選手権第6節イトゥアーノ戦の後半25分に途中交代でシーズン初出場を果たすと、サンパウロFCやパウメイラスといった強豪との対戦ではスタメンに起用されるなど復活の兆しをみせる。
 しかし、チームの成績不振や度重なる監督交代などもあり、レギュラーの座を確保することができない。
 全国選手権では22試合に出場するも、スタメン出場は4試合のみ、678分の出場と不本意な成績で2022年を終える。
 2023年、オダイール・エウマン(Odair Hellmann)監督のもと、1月14日州選手権開幕節にて後半開始とともにピッチに立つと、1月18日第2節グアラニー戦ではスタメン出場。
 サイドハーフやトップ下での起用も試されたが、1月28日第5節フェホヴィアーリア戦からドッジ(Dodi, 1996, 2021-22年柏レイソル)とツーボランチを組み定着。チーム成績も安定し始める。
 しかし、2月19日第10節ポルトゲーザ戦の前半37分、自陣ペナルティエリア付近の空中戦で相手選手の肘が顔面を強打。検査の結果、顔面に複数の骨折が判明。ただちに手術を受け成功したものの、当記事執筆段階の2023年2月28日において復帰のめどは公表されていない。
 州選手権予選ラウンド第10節終了時点で、全体2位チーム内1位のボール奪取数28(1位は33、チーム内2位はドッジの13)を記録。2月に加入したルーカス・リマ(Lucas Lima, 1990)との連携もよく、ドッジを含めた3人で中盤を攻守に支え、チームとしても明るい兆しが見えていただけに、サンドリ自身にとってもチームにとっても痛い戦列離脱となった。
 4月にフェースマスクをつけてベンチ入りし顔面骨折からは復帰を果たしたものの、手術跡に細菌が感染し再び離脱。
 6月21日全国選手権第11節コリンチャンス戦後半27分に交代出場を果たし、7月9日第14節ゴイアス戦、7月16日第15節サンパウロ戦には先発出場を飾った。
 しかし、8月10日のトレーニング中に、右膝前十字靭帯断裂を受傷。再び長期離脱が見込まれる重傷を負い、2023年シーズンを終了。
 復帰は、2024年4月、全国選手権2部開幕前後になるものと想定されている。

≪シーズン別クラブ成績≫

シーズン所属大会試合出場
時間
得点アシ
スト
2019年(17歳)サントス全国選手権1100
コパ・ド・ブラジル11900
州選手権1200
合計32200
2020年(18歳)サントスリベルタドーレス735200
全国選手権18110400
コパ・ド・ブラジル26300
州選手権27100
合計29159000
2021年(19歳)サントスリベルタドーレス213500
全国選手権412000
州選手権213500
合計839000
2022年(20歳)サントスコパ・スウアメリカーナ530301
全国選手権2267801
コパ・ド・ブラジル529500
州選手権728600
合計39156202
2023年(21歳)サントスコパ・スウアメリカーナ19000
全国選手権518800
州選手権965001
合計1592801
2024年(22歳)サントス全国選手権
合計
イタリック斜体は、2024年1月31日現在の成績。
※ シーズン欄の年齢は、12月31日時点の年齢です。

<代表経歴>

 2017年8月、U-15代表合宿に招集。
 2017年11月、アメリカで開催されたナイキフレンドリー杯に出場。
 2019年3月に開催された2019年U-17南米ユース選手権は代表選外となったが、自国開催の2019年U-17W杯に代表選出。
 2019年10月19日、U-17W杯に向けた最後の対外試合となるアメリカとの親善試合に出場。
 2019年10月26日、2019U-17W杯が開幕。
 スタメンでの出場機会は訪れなかったものの、グループラウンドの全3試合に出場。決勝ラウンドでは、ベスト16のチリ戦、準々決勝イタリア戦、準決勝フランス戦に途中交代出場。
 大会を通してスターティングイレブンとしての出場はなかったものの、ボランチ、サイドハーフ、トップ下、ウィングといった異なるポジション、また、リードしている場面や準決勝フランス戦での2-2の同点時の投入など様々な局面で起用される。
 決勝戦メキシコ戦では出場機会はなかったが、チーム全7試合中6試合に出場。12番目のプレーヤーとしてブラジル代表の優勝に貢献する。

≪シーズン別代表成績≫

大会試合出場
時間
得点アシ
スト
2019年(17歳)FIFA U-17W杯201967600
2023年2月27日現在
※ シーズン欄の年齢は、12月31日時点の年齢です。

<プレースタイル>

 利き足は右。
 身長は170㎝と大きくはないが、スピードがあり、細かなドリブル、精度の高いパス、抜群のボール奪取力を誇る。
 本職はボランチだが、ユーティリティ性が高く、ウィング、トップ下、サイドハーフなどさまざまなポジションでプレーができる。一方でそのユーティリティ性が災いし、後半途中からの交代要員として重宝され、レギュラーに定着できない時期もあった。

<目標の選手>

 サンドリ・ホベルトが目標とする選手は二人。
 一人は、バルセロナ/ESP、バイエルン・ミュンヘン/GER、リヴァプール/ENGで多くのタイトルを獲得し、スペイン代表としてユーロ・コパやW杯出場歴のあるチアゴ・アウカンタラ(Thiago Alcântara, 1991)。
 ポジションやプレースタイルが似ており、視野の広さからくる選択肢の豊富さ、ボールコントロール、パス精度の高さ、細かなタッチのドリブル、オン/オフザボールでのポジショニングや動きが参考になるという。
 そして、もう一人は、サントスFCからセヴィージャ/ESPへ移籍し、ブラジルでは全国選手権、スペインではカップ戦のタイトルを獲得、ブラジル代表としてもコパ・アメリカのタイトルを持つヘナト(Renato, 1979)。
 ヘナトは、現役晩年の2014-18年にサントスFCに戻りプレー。サンドリは下部組織在籍時から間近でヘナトのプレーを見て学び、ヘナトはサンドリに様々なアドバイスやスペインでの経験などを伝えた。

<雑感 etc.>

 2020年終盤にレギュラーの座を獲得するも2021年は前十字靭帯損傷のため、ほぼ1年、戦列離脱を余儀なくされる。
 2023年にはボランチのレギュラーとして順調なスタートを切ったにも関わらず、試合中の接触による顔面骨折で戦列を離脱するなど運に恵まれていない部分を感じる。
 財政面で重大な問題を抱えるサントスFCは、サンドリが前十字靭帯損傷のケガに苦しむ2021年7月に契約を2026年5月まで更新。背番号を6に変更。チームの中核として、そして将来的には国外クラブへの移籍を期待して5年間の契約期間を提示した。
 ルーカス・リマ、ドッジとの中盤は、攻守に渡り、ここ数年のサントスFCの中盤の中で最も安定感を感じる。最終ラインに少し不安のあるサントスFCだが、中盤がフィルターとして機能すれば最終ラインも守りやすくなる。マルコス・レオナルド(Marcos Leonardo, 2003)やアンジェロ(Ângelo, 2004)を中心とした攻撃陣も、守備の負担が減れば得点力アップが十分に望める。
  FWマルコス・レオナルドやアンジェロが注目を浴びるサントスFCだが、サンドリ・ホベルトの中盤での働きが2023年のサントスFCの躍進にとって必要不可欠だ。
 サントスFCを上位にけん引することができれば、ヨーロッパ移籍への道が開けてくるはずだ。それが叶えば、サントスFCに移籍金という形で恩返しをすることができる。そして、サンドリ自身にとっても、再び代表のアマレリーニャを着て世界を相手にした大舞台に立つことも現実味が帯びてくる。
 2023年は今後のキャリアを左右する一年になるだろう。

(2024年1月31日追記)
 2023年2月の試合中の顔面骨折からはフェースマスクをつけて4月に復帰を果たしたものの、手術跡に細菌が感染し再び離脱。そして、8月10日には右膝前十字靭帯断裂の重傷で戦列を離脱。
 2023年は、サントスFCはクラブ史上初の2部降格を味わうことになったが、サンドリの離脱もその要因の一つと言えるだろう。
 2024年は全国選手権2部開幕前後での復帰が見込まれている。100%に近い状態でピッチに戻り、次々とボールを刈り取っていく姿を期待したいと思う。

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