最新更新日 : 2024/08/24(予定)
更新履歴 : 2024/03/11
マテウス・マルチネリ・リマ
Matheus Martinelli Lima
ポジション:ボランチ
利き足:右
2001年10月5日生まれ
<クラブ経歴>
ブラジル連邦共和国サンパウロ州の北西部に位置するプレジデンチ・プルーデンチに生まれる。
≪育成時代≫
2013年、地元から約200㎞離れた町に本拠を置くマリーリアACでクラブ経歴をスタートさせる。 2014年には地元から約80㎞離れた町に本拠を置くオズヴァウド・クルスFCでプレー。 2015年から地元プレジデンチ・プルーデンチに本拠を置くグレミオ・プルーデンチでプレー。
2017年、フルミネンセU-17チームに加入。 2018年には、フルミネンセU-17チームでボランチとしてレギュラーに定着。U-17州選手権に優勝。 2019年、フルミネンセU-20チームに昇格。年半ばにはレギュラーの座を掴む。 2020年になりU-20、U-23チームで試合出場を重ねると、オダイール・エルマン(Odair Hellmann)監督のもとトップチームに招集され、9月20日全国選手権第11節エスポルチ戦においてベンチ入りを果たす。
≪フルミネンセ≫
– 2020 –
2020年11月30日、全国選手権第23節RBブラガンチーノ戦、ボランチとしてスターティングイレブンに抜擢されトップチームデビューを果たす。 続く12月7日第24節アトレチコ・パラナエンセ戦にもスタメンで90分間のフル出場。 この試合の後、オダイール監督が辞任し、マルカォン(Marcão)氏が監督に就任。しばらくの間出場機会を失うが、2021年1月6日第28節、13日第29節に交代出場で起用されると、1月16日第30節エスポルチ戦にはスターティングイレブンで起用される。
2021年1月31日第33節ゴイアス戦、前半26分、CKからクリアされたボールを拾うとゴールまで30m以上はあるであろう位置から低い弾道のシュートを放つ。これがゴールネットに突き刺さり、プロ初得点を記録。 前半37分には、左SB/LAEのエジージオ(Egídio, 1986)からのパスをペナルティエリア内で受け、右足を振り抜く。このボールは相手ディフェンダーに当たりゴールイン。1試合で2得点を記録。
2月15日第36節セアラー戦。後半14分、エジージオのゴールライン際からのマイナスのクロスを左足でゴールに叩き込み得点を記録。この試合では、ゴール以外にも、57回のボールタッチ、イーブンボールの奪い合いでは100%の勝率をあげ、93%強のパス成功率を記録。 第36節の全国選手権最優秀選手に選出される。
第30節以降は最終節までスタメンとして連続試合出場し3得点を記録。 このシーズンはスタメンで出場した11試合に7勝4分無敗を記録、チームのリベルタドーレス出場権獲得に貢献する。
– 2021 –
2021年シーズン、新監督ホージェル・マシャード(Roger Machado, 2004-5年ヴィッセル神戸でプレー)氏のもと、開幕当初からボランチのレギュラーとしてチームをけん引する。 8月19日、リベルタドーレス準々決勝敗退が決まるとホージェル監督が解任。マルカォン監督が就任すると、アンドレ・トリンダーデ(André Trindade, 2001)の台頭や戦術的な理由で1か月ほどスタメンから外れる。 しかし、途中出場が続く中でアンドレとのツーボランチが機能することが確かめられ、再びスタメンに返り咲く。 2021年は、チーム69試合中55試合に出場。チーム4位となる4186分の試合出場を果たす。
– 2022 –
2022年は、アベウ・ブラーガ(Abel Braga)が監督に就任。 マルチネリは中盤のより攻撃的なポジションでの起用が増え、パウロ・エンヒキ・ガンソ(PH Ganso, 1989)やヤゴ・フェリピ(Yago Felipe, 1995)との交代出場が多くなる。 州選手権ではチーム15試合のうち14試合(うちスタメン7試合)に出場し、州選手権優勝に貢献。
州選手権で優勝を果たしたものの、コパ・リベルタドーレス予備予選敗退を理由にアベウ・ブラーガ監督が解任。全国選手権第5節からフェルナンド・ジニース監督(Fernando Diniz)が指揮を執る。 2022年5月14日第6節アトレチコ・パラナエンセ戦にスタメンに抜擢されるが、1-0でリードした後半10分に攻撃的な選手との交代でピッチを後にする。 この試合を機にベンチを温める試合が多くなる。
2022年7月2日、第15節コリンチャンス戦にセグンド・ボランチとしてスタメンに起用されると、これを機に途中交代ながら再び試合出場機会が増えていく。 8月の終わりにセグンド・ボランチとしてレギュラーを務めていたグスタボ・ノナト(Gustavo Nonato, 1998)がルドゴレツ・ラズグラド/BULへ移籍。ノナトの穴を埋めるため、9月の初めの数試合で、複数の選手がセグンド・ボランチに起用される。 マルチネリは、9月初めの2試合は途中交代出場。 9月15日コパ・ド・ブラジル準決勝コリンチャンス戦2ndレグ、プリメイロ・ボランチとしてスタメンに起用。試合には敗れたものの、カバーリングやスペース管理など守備面でのポジショニング、攻撃的な選手とのポジション変更などで及第点の働きをする。
9月18日第27節クラシコ フラメンゴ戦ではセグンド・ボランチとしてスタメン起用。攻撃面ではチーム1のパス成功数を記録し、相手ゴールライン際からのクロスでナタン(Nathan, 1996)のゴールをアシスト。守備面でもスペースを埋めるポジショニングや球際の強さで存在感を放ちチームの勝利に貢献。 この試合でフェルナンド・ジニース監督の信頼を獲得し、最終節までスタメンを務める。
2022年は浮き沈みがあったものの、チーム70試合中55試合に出場。チーム9位となる2792分の試合出場を記録。 記者投票で選出される全国選手権ベストイレブンでは、ボランチ部門で全体7位の票を集めた。
– 2023 –
2023年1月18日にフルミネンセとの契約を更改。契約期間も2024年末から2025年末まで延長。 背番号8のユニフォームが用意される。
2023年1月14日に開幕した州選手権予選ラウンドでは2022年シーズン終盤と同様、アンドレ・トリンダーデとのツーボランチを構成。主力メンバーとして州選手権チーム全15試合のうち12試合に出場(すべてスタメン出場)し、チームの決勝進出に貢献。しかし、2023年4月1日州選手権決勝フラメンゴ戦1stレグの後半39分に右足太ももに激痛を感じ交代。2ndレグは出場することができず、チームの優勝の瞬間をピッチで迎えることができなかった。
2023年5月20日全国選手権第7節ボタフォゴ戦の後半29分にピッチに送り出され戦列に復帰。 5月25日コパ・リベルタドーレスグループラウンドのザ・ストロンゲスト戦では標高3640mの敵地で90分間のフル出場。その後もコパ・ド・ブラジル、全国選手権、リベルタドーレスと週2試合の日程の6試合を先発、4試合にフル出場を果たし、身体的なタフさの復調も確認される。
6月の国際Aマッチデーによる小休止期間が明けると、再び週2試合の日程を精力的にこなしていくが、8月に入りパフォーマンスが低下。全国選手権ではベンチスタートの試合が続き、チームが照準を絞ったリベルタドーレスでは準々決勝オリンピア/PAR戦2ndレグ、準決勝インテルナシオナウ戦1stレグでは出場機会が訪れない。
2023年10月4日リベルタドーレス準決勝2ndレグ敵地の一戦もベンチスタートとなるが、前半を0-1(2試合合計2-3)のビハインドの局面でピッチに送り出されると、プリメイロボランチのポジションに入り厳しいマークや、守備網で間延びしたスペースを埋めるポジショニングで追加点を狙うインテルナシオナウの攻撃を防ぐ。チームはその後逆転勝利を収め決勝戦に駒を進める。
2023年11月4日リベルタドーレス決勝ボカ・ジュニオルス/ARG戦ではスターティングイレブンに復帰。1-1で迎えた後半35分にピッチを後にしたものの、センターバックが前に上がってできたスペースを埋め、機を見て相手陣ペナルティエリアに顔を出すなど、ボールを持つ場面は少なかったものの気の利いたポジショニングで戦術的に求められたタスクを遂行。チームは延長戦で勝ち越しクラブ史上初のリベルタドーレスのタイトルを獲得した。
リベルタドーレスの美酒を味わった後は、全国選手権ではスタメンを務め、シーズン最後の大会クラブW杯では準決勝アル・アハリ/EGY、決勝マンチェスターシティ/ENG戦の2試合で90分間のフル出場。ケガやパフォーマンスの低下による調子の波があったものの、2023年も三年連続となる50以上の試合に出場し、シーズンを締めくくった。
– 2024 –
2024年は2月1日州選手権第5節から試合に出場すると、チームが前年コパ・リベルタドーレス覇者として臨むヘコパ・スウアメリカーナ、LDUキト/EQU戦との2月22日1stレグ(A)、2月29日2ndレグ(H)にスタメンフル出場。
その後は、州選手権の終盤戦全試合に出場すると、リベルタドーレス、コパ・ド・ブラジルの両カップ戦、4月中旬に開幕した全国選手権のほぼ全試合に出場。
プリメイロボランチを中心に、試合状況や戦術に合わせ、セグンドボランチやセンターバックとしてもプレー。
6月23日全国選手権第11節フラメンゴ戦を最後にフェルナンド・ジニース監督が解任された後も、守備の構築に定評のあるマノ・メネゼス(Mano Menezes)新監督のもとでも、プリメイロボランチとしてレギュラーの座に君臨。
2024年8月21日のブラジル国内の報道によると、2024年9月の2026W杯南米予選第7、8節に向けたブラジル代表の事前登録メンバーに選出。8月23日にブラジル代表は発表される。
≪クラブ試合記録≫
シーズン | 所属 | 大会 | 試合 | 出場 時間 | 得点 | アシ スト |
---|---|---|---|---|---|---|
2020年(19歳) | フルミネンセ | 全国選手権 | 13 | 964 | 3 | 0 |
合計 | 13 | 964 | 3 | 0 | ||
2021年(20歳) | フルミネンセ | リベルタドーレス | 9 | 758 | 0 | 0 |
全国選手権 | 31 | 2173 | 0 | 0 | ||
コパ・ド・ブラジル | 5 | 425 | 0 | 0 | ||
州選手権 | 10 | 830 | 0 | 3 | ||
合計 | 55 | 4186 | 0 | 3 | ||
2022年(21歳) | フルミネンセ | リベルタドーレス | 4 | 156 | 0 | 0 |
コパ・スウアメリカーナ | 2 | 95 | 0 | 2 | ||
全国選手権 | 28 | 1620 | 1 | 3 | ||
コパ・ド・ブラジル | 7 | 244 | 0 | 1 | ||
州選手権 | 14 | 677 | 1 | 0 | ||
合計 | 55 | 2792 | 2 | 6 | ||
2023年(22歳) | フルミネンセ | クラブW杯 | 2 | 180 | 0 | 1 |
リベルタドーレス | 8 | 381 | 0 | 1 | ||
全国選手権 | 28 | 1882 | 2 | 2 | ||
コパ・ド・ブラジル | 1 | 90 | 0 | 0 | ||
州選手権 | 12 | 1035 | 1 | 0 | ||
合計 | 51 | 3568 | 3 | 4 | ||
2024年(23歳) | フルミネンセ | ヘコパ・スウアメリカーナ | 2 | 180 | 0 | 0 |
リベルタドーレス | 8 | 639 | 0 | 0 | ||
全国選手権 | 19 | 1498 | 1 | 0 | ||
コパ・ド・ブラジル | 4 | 315 | 0 | 0 | ||
州選手権 | 7 | 565 | 0 | 0 | ||
合計 | 40 | 3197 | 1 | 0 |
イタリック斜体は、2024年8月22日現在の記録。
※ シーズン欄の年齢は、12月31日時点の年齢です。
<代表経歴>
特になし。
<プレースタイル、雑感 etc.>
利き足は右。ポジションはボランチ。 長短の正確なパスを繰り出し、試合を読む能力に優れる。 守備では、一対一の対応も悪くはないが、ポジショニングの巧みさでボールを奪うことが多い。 守備的なプリメイロ・ボランチとしても、攻撃に絡むことの多いセグンド・ボランチとしても高いレベルのプレーをみせる。 トップチームデビュー後間もなく、一部のサポーターの間では、そのプレースタイルから元スペイン代表でバルセロナでプレーしたシャビ・エルナンデスをもじって「シャビネリ」というあだ名で呼ばれる。
ピッチの中盤を広く動き回り、様々なポジションでプレーすることができるユーティリティ性が高く、多くの役割を担うポリバレント性も高い。 2022年シーズン終盤は、主にセグンド・ボランチとして起用されるが、試合ではより相手ゴールに近いヤゴ・フェリピや、プリメイロ・ボランチのアンドレ・トリンダーデと頻繁にポジション変更を行い、素早く陣形を整え、攻守の切り替えをスピーディーに行い、相手守備陣のマークを混乱させることに成功する。
フルミネンセの「黄金の世代」と呼ばれる年代に、U-17チームからと少し遅れて加入するが、加入後間もなくレギュラーの座を獲得。トップチーム昇格後も複数の監督、戦術のもと、若干の浮き沈みはあるものの最終的には定位置を獲得。高い戦術理解力と適応力、それをプレーで体現する能力を持つ。
マルチネリは既にイタリア国籍を持っているため欧州移籍の障害は低い。 2021年、2022年には、イングランド、イタリア、ベルギー、トルコの複数のクラブから最大700万ユーロでの移籍を打診されたが、フルミネンセは交渉を拒否したと報じられている。
フルミネンセ「黄金の世代」(2001年、2002年生まれ)からは、すでに、ルイス・エンヒキ(Luiz Henrique, 現レアルベティス/ESP)、ジョアン・ペドロ(João Pedro, 現ワトフォード/ENG)、マルコス・パウロ(Marcos Paulo, 現サンパウロ(レンタル元:アトレチコ・マドリー/ESP))が欧州へ移籍、アンドレ・トリンダーデも2023年3月に代表初招集を受け欧州からの注目度も上がっている。
一年下の世代にも、メチーニョ(Metinho, 現ロンメルSK/BEL(シティフットボールグループ傘下))、カイキ(Kayky, 現バイーア(シティフットボールグループ傘下))、マテウス・マルティンス(Matheus Martins, 現ワトフォード/ENG)が欧州移籍を果たしている。 [上記の各選手所属先は2023年3月時点のもの]
マルチネリも、フルミネンセ「黄金の世代」を代表する一人。 すでにヨーロッパへ旅立った「黄金の世代」の選手たちは、フルミネンセでのタイトル獲得を果たしていない。 マルチネリは、クラブやサポーターへの恩返しとしてタイトルを獲得し、それを置き土産にヨーロッパ移籍を実現することはできるだろうか? そして、数年後には代表のユニフォームをまとった大舞台の上で、フルミネンセ「黄金の世代」の同志たちと再会を果たすことはできるだろうか?