ファビオ・フレイタス (Fabio Freitas)【ファビーニョ(Fabinho)】

投稿者: | 2023年3月13日
最新更新日 : 2024/03/11

ファビオ・シウヴァ・デ・フレイタス  若手 ブラジルサッカー パウメイラス ボランチ ファビーニョ

ファビオ・シウヴァ・デ・フレイタス

Fábio Silva de Freitas

ポジション:ボランチ

利き足:右

2002年4月9日生まれ

<幼少期>

 ブラジル連邦共和国リオグランデドノルテ州、2014年W杯で日本代表がギリシャ代表と対戦した州都ナタウに生まれる。
 幼い頃にはサッカーのほかに空手を習う。

<クラブ・代表経歴>

≪育成時代

 2010年、9歳でサンパウロ州オザスコに本拠を置くアウダックス傘下のサッカースクールに入団。
 2013年には、サンパウロに本拠を置くポルトゲーザU-11チームに入団。
 しかし、2014年、海兵隊に所属する父の仕事の都合のため、家族と共にナタウに帰り、現地のサッカースクールでサッカーを続ける。
 1年後の2015年、13歳でパウメイラス下部組織に入団。
 それまでは主に中盤トップ下でプレーしてきたが、パウメイラス入団後ボランチに転向。
 順調に上位カテゴリーへ昇格していき、2017年にはU-15南米ユース選手権に向けたパウロ・ヴィクトル・ゴメス(Paulo Victor Gomes)監督率いるU-15代表に招集。背番号5をつける。
 U-15南米ユース選手権では、開幕節ボリビア戦でスタメン出場を果たしチームを勝利に導くなど、ボランチのレギュラーとしてブラジルU-15代表の大会準優勝に貢献。
 2019年には、U-17南米ユース選手権に向けたギリェルミ・ダラ・デア(Guilherme Dalla Déa)監督率いるU-17代表に招集。
 大会では予選グループラウンドの全4試合に出場、最終戦のアルゼンチン戦ではスターティングイレブンに名を連ねる。チームは予選ラウンドで2勝1分1敗の成績を残すが得失点差で決勝ラウンド進出を逃がす。その後に行われた自国開催のU-17W杯では招集メンバーが大きく変更されファビーニョは落選する。
 2020年、パウメイラスU-20に昇格。チーム38試合のうち8試合に出場機会を得る。

パウメイラス≫

– 2021 –

 2021年、前年のU-20チームで目立った活躍をしたわけではなかったが、アベウ・フェヘイラ(Abel Ferreira)トップチーム監督の目にとまりトップチームに招集。
 3月3日、州選手権第2節コリンチャンス戦、クラシコの大きな舞台でトップチームでの初のベンチ入りを果たすと、後半35分、ガブリエウ・メニーノ(Gabriel Menino, 2000)と交代でボランチに入り、トップチームデビューを果たす。
 この試合を機に、州選手権予選ラウンドの8試合(うち3試合はスタメン)の出場機会を得る。
 州選手権が閉幕するとトップチームを離れU-20チームに戻るが、そこで多くの試合に出場して試合経験を積むと、年終盤に再びトップチームに招集。
 2021年11月30日、第36節クイアバ戦の後半36分に交代出場。全国選手権初出場を飾る。
 12月6日第37節アトレチコ・パラナエンセ戦、12月9日最終節セアラー戦では、ともにスタメンで90分間のフル出場。ボランチとしてチームの零封に貢献。

– 2022 –

 2022年は、U-20チームのメンバーとして1月に開催されるU-20全国大会カップ戦(通称コピーニャ)に参加。全9試合(うちスタメン8試合)に出場し2得点を記録。クラブ初のコピーニャ制覇に貢献する。
 その後、トップチームに招集されるが、リベルタドーレス連覇や全国選手権で上位の結果を残す選手層の中でなかなか出場機会に恵まれない。U-20チームの試合に出場しながらチャンスを待つが、この年はトップチームでは5試合85分の出場にとどまる。

– 2023 –

 2023年、トップチームに昇格。
 2022年に不動のレギュラーとして活躍したVOLダニーロ(Danilo, 2001)が移籍。もう一人の不動のレギュラーVOLゼ・ハファエウ(Zé Rafael, 1993)の相方として、グレミオ在籍時に準レギュラーながら2016年コパ・ド・ブラジル、2017年リベルタドーレスのタイトルを持つVOLジャイウソン(Jailson, 1995)、2020年にフル代表への招集歴のあるVOLガブリエウ・メニーノ(Gabriel Menino, 2000)とのレギュラー争いが待ち受ける。
 2023年1月14日に開幕した州選手権では、ボランチとしては3番手評価ながら少しずつ出場機会を与えられ、決勝アグア・サンタ戦では1stレグ、2ndレグともに後半から途中交代出場、優勝の瞬間をピッチ上で迎える。
 しかし、アベウ・フェヘイラ監督からは信頼を獲得することができない。パウメイラスは2023年の補強は僅かに2選手のみだったのだが、そのうちの一人がガブリエウ・メニーノの2番手としてVOLヒシャルジ・ヒオス(Richard Rios, 2000)。全国選手権開幕を前に獲得が発表され、ファビーニョは3番手の評価から脱することができない。
 全国選手権が始まると、カップ戦直前ではターンオーバーとして先発に起用される試合もあるが、全国選手権を中心に後半半ばを過ぎてからの途中交代で出場する機会が多く、自身の立ち位置を確立することができない。
 とはいえ、2023年は過去最高の40試合出場、907分の出場時間を記録。

– 2024 –

 パウメイラスは、2023年11月にアルゼンチン世代別代表への代表歴があり、ラシン・クラブ/ARGでコンスタントに試合に出場していたVOLアニバル・モレノ(Anibal Moreno, 1999)の獲得を発表。
 ファビーニョは、州選手権予選ラウンドの全試合と、スーペルコパ・ド・ブラジルにベンチ入りを果たしているものの、出場は僅か5試合187分に限られており、今季も厳しい状況が続きそうだ。[2024年3月11日現在]
 アベウ・フェヘイラ監督は、攻撃的なセンスを持ち、チームのバランスを考え機を見てペナルティエリアに顔を出すようなボランチを好む傾向にあるが、ファビーニョは比較的守備的なボランチで、試合に出る時間帯や状況を考えると監督好みのプレーを見せる機会はほとんどないのが現状だ。
 レギュラーとして試合に出る選手のポジショニングなどをトレーニングの中で学び、数少ない先発出場試合で攻撃的な一面を表現したい。

≪シーズン別クラブ出場記録≫

シーズン所属大会試合出場
時間
得点アシ
スト
2021年(19歳)パウメイラス全国選手権318900
州選手権831100
 合計1150000
2022年(20歳)パウメイラスリベルタドーレス22000
全国選手権46500
 合計68500
2023年(21歳)パウメイラスリベルタドーレス67500
全国選手権2456900
コパ・ド・ブラジル29100
州選手権817200
 合計4090700
2024年(22歳)パウメイラス全国選手権518700
州選手権518700
 合計
イタリック斜体は、2024年3月11日現在の記録。
※ シーズン欄の年齢は、12月31日時点の年齢です。

<プレースタイル、雑感 etc.>

 パウメイラスでは育成時代に中盤の攻撃的なポジションを務めた選手をボランチに転向させることがしばしば行われる。
 チームとしてボランチを起点に攻撃を組み立てるスタイルを採用しているため、幼少期からトップ下で養った戦術眼と高い足元の技術を持つ選手をボランチに転向させ攻撃の起点とするためだ。
 育成時代にトップ下から転向したボランチとして、アベウ・フェヘイラ監督のもと替えの利かない選手として活躍、2022年にはチチ(Tite)監督率いる代表に招集されたダニーロ(Danilo, 2001, ノッティンガム・フォレスト/ENG)。ダニーロ移籍後の数試合でその穴を十分に埋める活躍をみせレギュラーの最右翼候補となったガブリエウ・メニーノ(Gabriel Menino, 2000)。ダニーロにレギュラーの座を奪われる形になったがボランチとしての評価は高いパトリッキ・デ・パウラ(Patrick de Paula, 1999, ボタフォゴ)などがあげられる。ここ数年は毎年のようにボランチに転向した選手が下部組織から引き上げられトップチームでレギュラー争いを行い、国外を含めた他クラブから高く評価され高額なオファーを受け移籍していっている。
 ボランチ転向の成功例は多いものの、転向を勧められる多くの選手は、特にその時期が遅くなればなるほど、プレーエリアがゴールから遠ざかり、新たにマークにつくことを覚えなければならないことに不満を述べる。
 しかし、ファビーニョはパウメイラス下部組織入団後の比較的早い時期に転向し、背番号10(トップ下)から背番号8(セグンド・ボランチ)、そして背番号5(プリメイロ・ボランチ)へと徐々に中盤の底へ移行。以前の背番号10をつけていた頃は守備をする機会はほとんどなかったが、転向後にマークにつくことを学ぶと守備の面白さに気づき技術も上達。そして、世代別代表に選ばれるまでになる。

 世代別代表はU-17南米ユース選手権での予選敗退を機に遠ざかり、クラブでは2022年にU-20チームの中心選手としてタイトルを獲得するもののトップチームでの出場機会は減少しており、ひとつ上のレベルでの壁に突き当たっているように感じられる。
 2023年シーズンを迎え、前年までボランチの絶対的なレギュラーを務めていたダニーロが移籍。
 パウメイラスは、外部からの補強を最低限に抑え、前年から在籍する選手や下部組織出身・在籍する選手を登用する方針を打ち出しており、2023年はファビーニョのトップチームでの出場機会は増えるに違いない。一つ上のレベルでの試合経験を重ねることで、何か壁を乗り越えるきっかけを見つけることもできるはず。
 ガブリエウ・メニーノや、グレミオ在籍時の2017年にレギュラーとしてリベルタドーレスを制覇、国外での経験も豊かなジャイルソン(Jailson, 1995)とライバルも強力だが、レギュラーの座を奪いに行く勝負の一年はすでに始まっている。

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