タウアン・ラーラ (Thauan Lara)

投稿者: | 2023年4月10日
最新更新日 : 2024/08/22
更新履歴 : 2024/03/10, 2023/11/29

若手 ブラジルサッカー インテルナシオナウ サイドバック

タウアン・ラーラ・ドス・サントス

Thauan Lara dos Santos

ポジション:左サイドバック/ラテラウ・エスケルド

利き足:左

2004年1月22日生まれ

<クラブ経歴>

 ブラジル連邦共和国リオグランデドスル州の州都ポルトアレグレに生まれる。
 8歳の時、ポルトアレグレで開催されたサッカースクールの大会でインテルナシオナウのスカウトの目にとまり、インテルナシオナウの入団テストを受けるよう勧められる。入団テストは無事合格。

≪育成時代

 8歳でインテルナシオナウ下部組織U-9カテゴリーに入団。
 入団後間もなく、恵まれた体格と左足からの強力なキック力を武器にフォワードとして注目を浴びる。
 その後はセンターフォワード、ウィング、中盤などの攻撃的なポジションでプレーし、順調にカテゴリーを上げていく。
 U-15カテゴリーの時に左サイドバックとして定着。現在(2023年4月)に至る。
 2021年11月10日、全国選手権第31節ジュヴェントゥージ戦、U-17カテゴリー所属ながらディエゴ・アギーレ(Diego Aguirre)監督のもとトップチームに招集され、ベンチ入りを果たす。
 11月17日、全国選手権第33節クイアバ戦、後半35分に途中交代出場を果たし、17歳にしてトップチームデビューを飾る。
 トップチームデビュー後はU-20カテゴリーでプレー。
 11月21日、28日にホーム&アウェイで行われたU-20全国選手権決勝サンパウロ戦では両試合に先発出場、チーム優勝に貢献する。
 U-20全国選手権と並行して開催されたいたU-20州選手権では、12月開催のグループラウンド1試合と決勝ラウンド5試合の計6試合に出場。サイドバックながら5得点をあげる活躍をみせチームを優勝に導く。
 2022年、ケガのため始動が遅れるが、4月にU-20州選手権の予選ラウンドでシーズンの初試合を迎えるといきなり得点を記録。その後もU-20チームでプレーを続ける。

インテルナシオナウ≫

– 2022 –

 2022年6月、トップチーム左SB、ヘネー(Renê, 1992)、モイゼス(Moisés, 1995)、パウロ・ヴィクトル(Paulo Victor, 2001)の3選手がケガや病気で離脱、急遽18歳にしてトップチームに昇格する。
 2022年6月24日全国選手権第14節コリチバ戦、スターティングイレブンに名を連ねプロデビューを果たす。
 緊張のためか、試合ではファーストプレーでボールを失いシュートまで持ち込まれるミスを犯す。しかし、4度の空中戦勝利やインターセプト、パスカットなど守備面で健闘。両ボランチを上回る77回のボールタッチや87%のパス成功率を記録するなど自分の持ち味の攻撃面も披露し、チームの勝利に貢献。
 続く7月2日第15節セアラー戦もまたスタメン出場を果たす。
 しかし、スタメンの座を奪うことはできず、ケガ人が戻ると控えに戻る。
 モイゼスがCSKAモスクワ/RUSへの完全移籍、パウロ・ヴィクトルがヴァスコ・ダ・ガマへのレンタル移籍により、両選手の7月末の退団が決まると、7月下旬の2試合、8月上旬の1試合に起用される。しかし、マノ・メネゼス(Mano Menezes)監督から高い評価を得ることができず、以降はヘネーの控えとして全国選手権2試合での途中交代出場にとどまる。

– 2023 –

 2023年も前年終盤に引き続き、ヘネーの控えに甘んじる。
 しかし、ヘネーがケガで戦列を離脱した州選手権準決勝とリベルタドーレス初戦にフル出場。その後も5月にヘネーが離脱した際には先発に起用されるものの、ポジションを獲得するには至らない。
 7月にエドゥアルド・クーデ監督が就任すると、9月にフリーとなっていたインテルナツィオナーレ/ITAでのプレー歴(26試合)のあるSBダウベルチ(Dalbert, 1993)を2023年末までの契約で獲得。タウアンは、7月29日全国選手権第17節クイアバ戦の後半24分の中盤での起用を最後に試合から遠ざかり、全国選手権終盤の第37節、最終節に試合終了間際の数分間の出場を果たすのみで2023年シーズンを終える。

– 2024 –

 2024年に入ると、1月21日に開幕を迎えるリオグランデドスル州選手権に向け全体練習が始まるが、タウアン・ラーラはクリスマス休暇での不摂生から体を絞り切れずに練習場に訪れる。しかし、トップチームのトレーニングには参加できず別メニューのトレーニング。
 2月11日州選手権第7節で2024年シーズン初のベンチ入りし、試合には先発出場を果たすが、以降はベンチ入りに止まり出場機会は訪れない。
 2024年3月7日、インテルナシオナウはセルティックス/SCOからアルゼンチン国籍の左SBアレクサンドロ・ベルナベイ(Alexandro Bernabei, 2000)を2024年末までの期限付き移籍での獲得を発表。同時にSBタウアン・ラーラのフォルタレーザへの2024年末までの期限付き移籍も発表された。

フォルタレーザ レンタル元:インテルナシオナウ≫

– 2024 –

 2024年3月27日コパ・ド・ノルデスチ第8節にてスタメンに抜擢されクラブデビューを飾る。82分間プレーしたものの、チームは全国選手権4部のマラニョン(Maranhão)を相手に2-3の敗戦。
 4月7日セアラー州選手権決勝戦にて、タウアン・ラーラはベンチ外となっていたが、チームは試合に敗れ準優勝に終えた。その敗戦後の深夜、タウアン・ラーラは泥酔状態で自身のSNSにてファンク音楽を流す生配信を行い、その配信を巡ってサポーターを中心に批難が自身とフォルタレーザに殺到。
 この一件を機にフォルタレーザでは構想外となった。

アウヴェルカ/POR≫

– 2024/25 –

 2024年8月15日アウヴェルカ(Alverca)/PORへの移籍がインテルナシオナウ、アウヴェルカの両クラブから発表。契約期間、移籍金は非公表。
 2024/25年は、ポルトガル2部でのプレーとなる。
 世代別ではU-15からU-23までの各カテゴリーで代表に選出された実力を発揮し、再びブラジルを含めた上位リーグでの活躍が期待されるようなシーズンを送ってもらいたい。

≪シーズン別クラブ出場記録≫

シーズン所属大会試合出場
時間
得点アシ
スト
2021年(17歳)インテルナシオナウ全国選手権11000
合計11000
2022年(18歳)インテルナシオナウ全国選手権734300
合計734300
2023年(19歳)インテルナシオナウリベルタドーレス320700
全国選手権1033100
コパ・ド・ブラジル210000
州選手権424700
合計1988500
2024年(20歳)インテルナシオナウ州選手権19000
合計19000
フォルタレーザコパ・ド・ノルデスチ18200
合計18200
2024/25年(21歳)アウヴェルカポルトガル2部
合計
イタリック斜体は、2024年8月22日現在の記録。
※ シーズン欄の年齢は、12月31日時点の年齢です。

<代表経歴(世代別含む)>

 U-15、U-17カテゴリーではしばしば世代別代表に招集。
 2022年9月に開催されたアルゼンチン、ウルグアイ、ウズベキスタンとの国際親善大会に向けたU-20代表に招集。
 2戦目のウルグアイ戦、3戦目のアルゼンチン戦に先発出場を果たす。
 11月のチリとの親善試合は招集外。
 2023年U-20南米ユース選手権は残念ながら選出外となった。

2023年パンアメリカン競技大会

 2023年9月22日発表の2023パンアメリカン競技大会U-23代表に招集。
下表「節」欄のリンクは、当ブログの記事にリンクしています。記事内には、当該試合の出場&控えメンバー(ブラジルU-23代表のみ)、試合経過、得点シーン中心の動画、所感を掲載しています。
試合日対戦
相手
試合
結果
出場
時間
得点アシ
スト
2023/10/23予選第1節アメリカ合衆国1 – 01500
2023/10/26予選第2節コロンビア2 – 0900
2023/10/29予選第3節ホンデュラス3 – 02810
2023/11/01準決勝メキシコ1 – 01100
2023/11/04決勝チリ1 – 1
PK: 4-2
5000
 合計8 – 111310
すべて途中出場ながら全5試合に出場。
攻撃力を期待され左サイドハーフでの起用となるが、その期待に応えるように、予選第3節では、CBミシェウのグラウンダーの縦パスをペナルティエリア左角手前で受けると、前を向き思い切りよく左足を振り抜きゴールをマーク。

<プレースタイル、雑感 etc.>

 利き足は左足。
 主に左サイドバック、左ウィングバックとしてプレー。
 がっしりとした体格で上位カテゴリーでの試合でも当たり負けすることは少ない。
 足元の技術が高い。
 両足で強いキック、シュートを蹴ることができる。
 U-20カテゴリーではCKやFKのキッカーを務めた。
 主に以上の特長から下部組織では攻撃的なサイドバックとして注目を浴びた。
 しかし、トップチームでの試合では、むしろ守備面が評価されている。
 ブラジル「GZH」紙での採点&寸評では、後に全国選手権を制覇することになるパウメイラス戦(チームは1-2の敗戦)での採点で、フル出場と守備面の活躍が認められ平均点を上回る6.0点の評価を得るなど、他の試合でも守備面が評価された採点評価を獲得している。

 2021年、U-20カテゴリーでの活躍がヨーロッパクラブの注目を集め、複数のクラブが情報収集に乗り出す。
 インテルナシオナウでは、同じ2004年生まれで右SBでプレー、タウアン・ラーラと共にU-20全国選手権、州選手権優勝に貢献しシャクタルドネツク/UKRに移籍、その後レアルマドリード/ESPに買取オプション付のレンタル移籍を果たしBチームながら実績を積み始めたヴィニシウス・トビアス(Vinícius Tobias)が同期。
 そのヴィニシウス・トビアスの活躍もあり、2022年3月には一部の代理人が欧州移籍をほのめかしインテルナシオナウとの契約更新が危ぶまれた。しかし、他の代理人の説得もあり、2022年6月下旬にインテルナシオナウとの契約を更新。2025年末まで契約期間を延長。性急な国外移籍ではなく、インテルナシオナウでの成長を選択した形となる。

 2022年に左SBの4番手としてトップチームに昇格したが、2選手の移籍もあり2022年終盤以降はヘネーとポジションを争う。
 ヘネーは19歳の時に全国選手権1部エスポルチでプロデビュー。21歳でレギュラーの座を獲得すると、25歳でフラメンゴに移籍。フラメンゴではレギュラーとしてリベルタドーレスや全国選手権を制覇、ベストイレブン受賞歴もある円熟期を迎えた30歳のクラッキ。超えるべき壁は高く厚い。
 インテルナシオナウの監督は名将マノ・メネゼス監督。
 クラブ監督として全国選手権やコパ・ド・ブラジルのタイトルを持ち、ブラジル代表の監督も務めた。そして、数多くの教え子を代表やクラブに輩出している。
 2023年は、マノ・メネゼス監督のもと、オフ・ザ・ボールの動きやスペース管理などの戦術的視野や戦術理解を深め、ヘネーのプレーをトレーニングや試合を間近に見て技術面、戦術面の特長を吸収することができる環境にある。すでに高い水準にある攻守の技術面にさらに磨きをかけ、戦術的な面を習得する機会に恵まれた、今後のサッカー人生を左右する大事な1年になるかもしれない。
 同期のヴィニシウス・トビアスは一足先にヨーロッパに旅立った。そのヨーロッパの地で再びトビアスと切磋琢磨し、高みを目指すためにも、身近な存在から多くのことを吸収し、日々の成長が必要となる。

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