ペドロ・リマ (Pedro Lima, 2003)

投稿者: | 2023年4月13日
最新更新日 : 2023/08/17

若手 ブラジルサッカー パウメイラス ボランチ シャドウ ストライカー MF ペドロ・リマ

ペドロ・リマ・バーホス

Pedro Lima Barros

ポジション:ボランチ

利き足:左

2003年3月27日生まれ

<クラブ経歴>

≪育成時代

 ブラジル連邦共和国の首都ブラジリアに生まれる。
 2016年、12歳の時にパウメイラスU-13チームに入団。
 U-13チーム入団当初はフォワードとしてプレーするが、U-14チームではセンターバック、U-15、U-17チームではプリメイロ・ボランチ、そしてU-20チームではセグンド・ボランチ、右サイドハーフ、シャドウストライカーと幅広いポジションで起用される。
 2022年、年初のU-20カテゴリーの全国大会カップ戦(通称コピーニャ)ではチーム9試合のうち8試合に出場するが、6試合は後半途中からの交代出場で控えにすぎなかった。
 しかし、6月から9月にかけて開催されたU-20全国選手権はチーム14試合の全試合にスタメン出場。
 U-20コパ・ド・ブラジルでは、10月の準々決勝ホーム&アウェイ、11月の準決勝ホーム&アウェイの計4試合に出場(うちスタメン3試合)、一発勝負の決勝でもスタメン出場を果たす。
 チームはこれらの3大会いずれにも優勝を果たし、ペドロ・リマは三冠に大きく貢献した。
 2023年、年初のコピーニャではチーム9試合中8試合、いずれもスタメンで出場。2得点1アシストを記録しチームの大会二連覇に貢献。
 1月から4月中旬にかけて開催されるトップチームの州選手権には登録されることはなかったが、2月にはトップチームのトレーニングに参加。すると、リベルタドーレスの育成枠として選手登録が行われた。

パウメイラス≫

– 2023 –

 3月に入りU-20全国選手権が開幕。レギュラーとして3月の4試合に先発出場を果たし2得点をあげる活躍を見せると、4月5日リベルタドーレス開幕節アウェイでのボリバル戦に帯同。そして、ベンチ入りを果たす。
 後半18分、1-2の劣勢の中、ボランチとして交代出場。攻撃時にはたびたび前線に顔を出し、相手カウンター時には最終ラインに入り守備ブロックを作るなど、高いポリヴァレント性を発揮。しかし、悔やまれるのは後半45分の失点の場面。ゴールライン際からのマイナスのパスにダイレクトに合わせた選手への寄せが僅かに遅かったかもしれない。

ノーウィッチ≫

– 2023/24 –

 2023年8月16日、前日のU-20全国選手権準決勝コリンチャンス戦2ndレグで決勝点をマークした翌日、ノーウィッチ/ENG(2部相当のチャンピオンシップに参戦)への一年間の期限付き移籍が発表された。買取オプションはなく期限満了後はパウメイラスに復帰する。
 パウメイラスは、ペドロの渡英前に契約を2025年末まで延長する見込み。

≪シーズン別クラブ出場記録≫

シーズン所属大会試合出場
時間
得点アシ
スト
2023年(20歳)パウメイラスリベルタドーレス12700
 合計12700
2023/24年(21歳)ノーウィッチ/ENGチャンピオンシップ
 合計
イタリック斜体は、2023年8月17日現在の記録。
※ シーズン欄の年齢は、12月31日時点の年齢です。

<代表経歴>

 U-20W杯への強化試合として2023年4月15日~27日にかけてスペインにて開催される3試合の親善試合に向けた代表メンバーに選出。ペドロ・リマにとって初の世代別代表への招集となる。2022年のパウメイラスU-20チームでの三冠、2023年コピーニャでの活躍が評価、試合の中でプリメイロ・ボランチからシャドウストライカーまで状況に応じてプレーできるボラティリティ性の高さを期待されての招集と思われる。

<プレースタイル、エピソード、雑感 etc.>

 パウメイラスU-20チーム監督パウロ・ヴィクトル・ゴメス(Paulo Victor Gomes)氏は、ペドロ・リマのトップチームでの活躍を信じて疑わない。コピーニャの二連覇達成後のインタビューでペドロ・リマについて以下のように話している。
 「今では主に右サイドの攻撃的なポジションでプレーしているが、U-13チームから多くのポジションを経験していて、現代サッカーに必要なポリヴァレント性を高いレベルで持っている。コピーニャでもシャドウストライカーやツーボランチの一角としても高いレベルのプレーを見せていた。
 今までのU-20チームでのプレーを見てもわかるように、すでに次のステップへの準備はできている。機が熟しトップチームで機会を得たならば、きっと様々なプレーでチームに貢献するよ。」

 2023年、パウメイラスはクラブ方針として、基本的には外部からの補強を行わず、前年は控えに甘んじた選手や下部組織選手の競争による台頭を促す方針を打ち出している。
 2022年シーズン終了後、全国選手権最優秀選手賞を受賞したグスタボ・スカルパ(Gustavo Scarpa, 1994)、6月にブラジル代表への招集を受けたダニーロ(Danilo, 2001)の中盤で中核をなした2選手が国外へ移籍。現場のアベウ・フェヘイラ(Abel Ferreira)監督やサポーターは補強を強く望むがクラブは方針を貫いている。
 パウメイラスは、補強を行わない中で、2023年最初のタイトルを賭けた試合となるスーペルコパ・ブラジルに優勝。サンパウロ州選手権も圧倒的なチーム力で二連覇を達成。4月14日に開幕する全国選手権に向けて、前年のレギュラーを軸にしつつも多くの選手を多くの試合で起用し、チーム力の底上げが進められている。
 このような状況でペドロ・リマはリベルタドーレスで出場機会を得る。30分弱の出場時間でボールに触る機会は多くなかったが、攻守にスペースを埋めるポジショニングをみせていたように思う。
 あと9か月U-20チームでプレーする猶予はあるが、パウロ・ヴィクトル・ゴメスU-20チーム監督が話すように、すでにトップチームで戦う態勢はできている。
 トップチームデビューを果たし、世代別代表にも初めて選出され、更なる飛躍が期待される2023年。
 クラブ内の競争は厳しいが、トップチームに定着するためには日々のトレーニングでアピールし、与えられた出場機会でしっかりと持ち味を発揮し、監督やチームメートの信頼を勝ち得なければならない。
 その機はもう熟している。

(2023/08/17 追記)
 2023年8月16日、チャンピオンシップ(イングランド2部相当)に参戦するノーウィッチ/ENGへの一年間の期限付き移籍が発表された。買取オプションは付帯されず、期限満了後はパウメイラスに復帰する。
 ペドロ・リマは2023年末で育成年代を卒業することになるが、トップチームの選手登録数には制限がありボランチ枠に空きがなく、トップチーム昇格後の出場機会も現時点では見込めない。一方で、パウメイラスは、ペドロの才能や将来性を認めており、実戦経験や国外のサッカー文化を経験するために、今回の期限付き移籍が模索された。
 充実し才能に溢れる若手選手を多く輩出するパウメイラスでは、今後もペドロのようなケース(買取オプションなしの期限付き移籍)が増えていくように思われる。そのモデルケースとして、ペドロ・リマにはノーウィッチで大いに活躍し、一年後には胸を張ってパウメイラスに凱旋し、パウメイラスでポジション争いを展開する成長を期待したい。

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