他の5試合はこちら→ 【ブラジル全国選手権2023】開幕節(2/2)
全国選手権第1節
パウメイラス(PAL) 2-1 クイアバ(CUI)
https://www.youtube.com/watch?v=I8NKXi4aoxE
PAL : 05' #9 エンドリッキ(Endrick, 2006)[#7 ドゥドゥ(Dudu, 1992)]
CUI : 45+7' #14 ハニエリ(Raniele, 1996)[#7 ジョナタン・カフー(Jonathan Cafú, 1991)]
PAL : 65' #18 ホセ・ロペス(José López, 2000)[#6 ヴァンデルラン(Vanderlan, 2002)]
前半6分、神童エンドリッキがドゥドゥからのクロスを押し込み全国選手権2023ファーストゴール。
前半45+7分、右サイドへのロングボールの競り合いからこぼれ球を元パウメイラス デイヴェルソンが拾い縦にボールを送る。このボールを受けたジョナタン・カフーが中央へクロス。VOLハニエリが走り込み頭に合わせ同点。
ハニエリは3月末にアヴァイーから加入しばかりでクラブ初出場。地味ながら的確な補強を進めるクラブの努力が成果を見せる。
後半20分、左SBヴァンデルランのクロスにディフェンダーのミスもあり、ホセ・ロペスがゴールを奪う。
ピケレス(Piquerez, 1998, ウルグアイ代表)、ホニ(Rony, 1995, ブラジル代表)のケガによる戦列離脱でチャンスを得た2人が得点に絡む。特にホセ・ロペスは4試合連続出場連続ゴール。パウメイラスになかった高さのあるセンターフォワード。188㎝の長身ながらスピードもあり、チーム戦術のバリエーションを広げる活躍に、アベウ・フェヘイラ監督にとっても嬉しい誤算のはず。
パウメイラスは、リベルタドーレス、コパ・ド・ブラジルの並行開催で中2-4日での試合が続く。その上、シーズン当初のレギュラー、ハファエウ・ヴェイガ(Raphael Veiga, 1995)、ピケレス、ホニをケガで欠く状況。しかし、ケガ人を出しても替わりに出場する選手が次々に結果を出す選手層の厚さを誇る。
クイアバは、サッカーが盛んでない地方州の財政的に豊かでない2001年創立の新興中堅クラブだが、クラブが一丸となり体制を整え着実に成長し、今年で全国選手権1部3年目を迎える。この試合では上述のとおりピンポイント補強で獲得した選手が活躍。今シーズンも苦しい戦いが続くであろうが、カップ戦に敗退して全国選手権に専念できる有利な日程をいかし勝点を積み重ねてもらいたい。
アメリカ・ミネイロ(AME) 0-3 フルミネンセ(FLU)
https://www.youtube.com/watch?v=tLZGzq7PMB0
FLU : 52' #14 ヘルマン・カーノ(Germán Cano, 1988)[#2 サムエウ・シャヴィエル(Samuel Xavier, 1992)]
FLU : 60' #9 ジョン・ケネジー(John Kennedy, 2002)[#99 レレー(Lelê, 1997)]
FLU : 72' #99 レレー(Lelê, 1997)[#10 パウロ・エンヒキ・ガンソ(PH Ganso, 1989)]
後半7分、カウンターから右SBサムエウ・シャヴィエルのパスを受けたヘルマン・カーノがGKをかわしゴール。2分前のPK失敗を取り返すゴール。
ヘルマン・カーノは2022全国選手権得点王にしてベストイレブンにも選出。今シーズンもこれまで15試合18得点を記録し35歳の今年も進化は止まらない。
後半15分、自陣からのロングカウンター。自陣ゴールライン際からグーガ(Guga, 1989)、ジョン・ケネジー、ヘルマン・カーノ、レレー、そしてジョン・ケネジーと縦にボールを繋ぎゴール。
ジョン・ケネジーは今シーズン当初は州選手権限定でサンパウロ州選手権1部のフェホヴィアーリアへレンタル移籍。11試合6得点の成績を残し、3月半ばにフルミネンセに戻ると空席となっていた背番号9をつける。ベンチを暖める試合が続いたが、4月12日のコパ・ド・ブラジルで33分間の出場。全国選手権開幕節でスターティングイレブンに抜擢されると期待に応えるゴールをマーク。
後半27分、PHガンソのリスタートからレレーが中央でボールを受け右に流れながらシュートフェイントを挟みペナルティエリアに侵入。そのまま右足を振り抜きゴール。
レレーは2018年にリオデジャネイロ州選手権4部イタボライ・プロフッチでプロのキャリアをスタート。2023年はイタボライからのレンタル移籍でプレーするヴォウタヘドンダで15試合14得点4アシストを記録し、リオデジャネイロ州選手権準決勝進出に貢献。その活躍を受けフルミネンセが年末までの買取オプション付きのレンタル移籍で獲得。4月5日のリベルタドーレス開幕節で12分の出場を果たし、この試合では後半開始と同時に出場。僅か45分の出場で1得点1アシストを記録。
フルミネンセは、週中にリベルタドーレスの試合を控え直近4月12日の試合から先発を4人替えて全国選手権開幕節に臨んだ。不安定な立ち上がりを凌ぐと後半は試合を支配し3-0の完勝。後半開始時に投入したグーガとレレーが得点に絡む好采配。新戦力のジョン・ケネジー、レレーの活躍、控え選手も試合に出場すると結果を残し、選手層の厚みが増している。
一方、アメリカ・ミネイロも週中にコパ・スウアメリカーナの試合を控え、2-4日での試合が続く。立ち上がりのチャンスをものにできず後半に3失点で敗戦。今シーズンは17試合目で3敗目、敗れた相手はアトレチコ・ミネイロとフルミネンセ。クラブ規模と選手層の厚さに跳ね返されている状態だが、チーム力は昨年から着実に上がっているので、19日のコパ・スウアメリカーナを挟んで迎える22日の第2節サンパウロ戦では全国選手権初勝利を期待したい。
ボタフォゴ(BOT) 2-1 サンパウロ(SAO)
https://www.youtube.com/watch?v=75YuozMPFVk
BOT : 04' #9 チキーニョ・ソアレス(Tiquinho Soares, 1991)[#33 エドゥアルド(Eduardo, 1989)]
SAO : 15' #9 カレリ(Calleri, 1993)[#10 ルシアーノ(Luciano, 1993)]
BOT : 88' #33 エドゥアルド(Eduardo, 1989)[#15 ヴィクトル・クエスタ(Víctor Cuesta, 1988)]
前半4分、右サイドからのエドゥアルドのFKにチキーニョ・ソアレスが頭で合わせ早い時間帯にボタフォゴが先制。
エドゥアルドはポルトガル、中東、チキーニョ・ソアレスは主にポルトガルで長くプレーし、共に昨シーズン途中にボタフォゴに加入。今シーズンはこれまで、それぞれ7試合5得点、14試合8得点2アシストの成績を残し攻撃陣を牽引する。
前半15分、左サイドからのクロスボールをゴールエリア内でカレリ、ルシアーノと繋ぎ、最後はカレリがゴールに押し込み同点。
2022年シーズンのチーム得点王カレリと2位ルシアーノの競演による得点。州選手権では2人合計で5得点と期待を下回る成績だったが、全国選手権を迎え調子を上げてきたか。
後半43分、左サイドのクエスタがゴール前で斜めにコースをとるエドゥアルドへピンポイントのクロスボールを送り決勝点。後半終盤に差し掛かりオープンな展開となっていたが、サンパウロ下部組織出身でサンパウロでプロデビューを果たしたボタフォゴGKペーヒ(Perri, 1997)の2度に渡る好セーブがこの決勝点をもたらした。
ボタフォゴは、リオデジャネイロ州選手権で決勝ラウンド進出を逃したが、5-8位決定戦、コパ・ド・ブラジル、コパ・スウアメリカーナを5勝2分と調子を上げて全国選手権開幕を迎えた。週中に開催されるホームでのコパ・スウアメリカーナを挟んだ4月24日バイーア戦で連勝をもくろむ。
一方、サンパウロは州選手権決勝ラウンド1回戦(ベスト8)で0-0からのPK戦で敗退。その後も、コパ・ド・ブラジル3回戦1stレグを全国選手権2部のイトゥアーノを相手にスコアレスドローで終わり調子が上がらない。こちらもコパ・スウアメリカーナ出場のため日程は厳しく、試合を通してチームを作っていく必要がある
RBブラガンチーノ(RBB) 2-1 バイーア(BAH)
https://www.youtube.com/watch?v=sBKIhhZQcCg
BAH : 45' #9 エヴェラウド(Everaldo, 1991)[#28 タシアーノ(Thaciano, 1995)]
RBB : 54' #17 ブルニーニョ(Bruninho, 2003)[]
RBB : 70' #19 エドゥアルド・サーシャ(Eduardo Sasha, 1992)[]
前半45分、バイーア左CKを後ろへ戻しVOLヤゴ・フェリピ(Yago Felipe, 1995)がふわりと上げたクロスは相手ディフェンダーの頭を超えタシアーノがトラップから中央へマイナスのふわりとあげたクロス。エヴェラウドがストライカーらしく難しい体勢ながらもダイレクトに右足を合わせバイーアが先制。
エヴェラウドは2020-22年に鹿島アントラーズに在籍。今シーズンはこれまで22試合に出場し9得点4アシストを記録。若い選手が多いバイーアの中で攻撃陣を牽引する働きをしている。
後半9分、バイーア最終ラインのパスを奪ったブルニーニョが、GK、ディフェンダーを次々にかわし無人のゴールにボールを流し込む。ブラガンチーノが同点に追いつく。
ブルニーニョは3試合の親善試合が予定されているスペインでのU-20代表合宿に招集。合宿期間は4月15日~27日までだが、ブルニーニョがU-20代表合宿に合流しているのかどうかは4月17日現在不明。
後半25分、バイーア陣でボールを奪ったモスケーラ(Mosquera, 2001)がエドゥアルド・サーシャ(Eduardo Sasha, 1992)とのタベーラで抜け出しシュート。これはバイーアGKマルコス・フェリピ(Marcos Felipe, 1996)の好セーブに阻まれるが、エドゥアルド・サーシャが詰めボールを押し込みブラガンチーノが勝ち越しゴールを奪う。
コロンビア人のモスケーラ、エドゥアルド・サーシャは共に3月終わりに加入。モスケーラは後半開始時に交代出場でクラブデビューを飾り早くも得点に絡む。エドゥアルド・サーシャはJリーグのガンバ大阪も獲得に動いたが最終的にRBブラガンチーノ入り。後半18分にピッチに立つと後半25分にゴール。クラブ加入後2試合目36分目でのクラブ初ゴールを記録した。
育成を重視し若手選手を積極的に試合に起用する2チームによる対戦。
ブラガンチーノは、先発平均年齢が23歳強、2000年代生まれが7人に及ぶ。サンパウロ州選手権は準決勝敗退。コパ・ド・ブラジルは2回戦で姿を消す。州選手権終了後にチーム得点王アルトゥール(Artur, 1998)がパウメイラスに移籍。その移籍金で獲得した2選手が後半に投入されると決勝点に絡む活躍。
一方、バイーアは、先発平均年齢が26歳ちょうど、2000年代生まれは2人。今年からりシティフットボールグループに加わったバイーアは実力差の大きい州選手権は優勝で終えたものの、複数の全国選手権1部2部チームが出場する東北部州の地域戦コパ・ド・ノルデスチでは中位以下の結果。この試合ではシティグループクラブからのレンタル加入4選手(うち3選手は逆転を許した後)が起用されたが、結果を残すことはできなかった。ブラジルで初めての指揮を執るヘナト・パイヴァ(Renato Paiva)監督がどのような構想で、どのようなメンバーで、どのように全国選手権に臨むのか、気になるところだ。
アトレチコ・パラナエンセ(CAP) 2-0 ゴイアス(GOI)
https://www.youtube.com/watch?v=v-e_5mHOBdI
CAP : 35' #34 ペドロ・エンヒキ(Pedro Henrique, 1995)[#92 パブロ(Pablo, 1992)]
CAP : 57' #88 クリスチャン(Christian, 2000)[#92 パブロ(Pablo, 1992)]
前半35分、CKからの流れからクリアボールをウーゴ・モウラ(Hugo Moura, 1998)が拾い、ヴィトル・ブエノ(Vitor Bueno, 1994)がペナルティエリアに高いボールを送る。CBチアゴ・エレーノ(Thiago Heleno, 1988)が空中戦に競り勝ち、パブロはトラップを誤るがそのボールをCBペドロ・エンヒキがゴールに蹴り込みアトレチコ・パラナエンセが先制。
2022年はフィールドプレーヤーでチーム内最多出場時間を記録したペドロ・エンヒキ。しかし、今年はゼ・イヴァウド(Zé Ivaldo, 1997)の成長もあり、この試合は2月26日以来9試合ぶりの出場。守備でも奮闘し復活をアピール。
後半12分、右に大きく開いたパブロに中央からボールが送られると、ゴール前にVOLクリスチャンが駆け上がるのを確認したパブロがクロスボールを供給。クリスチャンが頭で合わしたボールはゴールネットに突き刺さりアトレチコ・パラナエンセがリードを広げる。
州選手権、コパ・ド・ブラジル、リベルタドーレスなど中2-4日の試合が続くアトレチコ・パラナエンセは、上手くローテーションや交代枠を利用して厳しい日程に対応。この試合では、直近の試合を19分のみ出場したパブロをFWとして先発に起用。センターフォワードながら前後左右に幅広く動き、アトレチコの攻撃のキーマンとして、今シーズンは州選手権で16試合1100分出場、9得点2アシストを記録。全国選手権開幕でも好調を維持しいきなり2アシストを記録。
ゴイアスは州選手権を準優勝で終わり、グート・フェヘイラ監督を解任。後任が未定のまま全国選手権の開幕を迎える。試合はボール保持率、シュート数でアトレチコを上回り、前半のうちに大きなチャンスが2度生まれるが、GKベント(Bento, 1999)のスーパーセーブとCBペドロ・エンヒキのシュートブロックにゴールを阻まれる。守備面では、アトレチコのカウンターとサイドからの攻撃に苦戦。特にサイドからの攻撃では失点シーン以外にもGKタデウ(Tadeu, 1992)のスーパーセーブに助けられた場面があった。早急な監督の決定と守備の整備が喫緊の課題か。
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