【ブラジル全国選手権2023】第2節(2/2)

投稿者: | 2023年4月22日

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全国選手権第2節 対戦組合せ


以下の5試合はこちらで。→ 【ブラジル全国選手権2023】第2節(1/2)
・2023/04/22 フルミネンセ(FLU)x アトレチコ・パラナエンセ(CAP)
・2023/04/22 サンパウロ(SAO) x アメリカ・ミネイロ(AME)
・2023/04/22 クイアバ(CUI) x RBブラガンチーノ(RBB)
・2023/04/22 クルゼイロ(CRU) x グレミオ(GRE)
・2023/04/23 インテルナシオナウ(INT) x フラメンゴ(FLA)
以下の5試合はこの記事で。
・2023/04/23 ヴァスコ・ダ・ガマ(VAS) x パウメイラス(PAL)
・2023/04/23 サントス(SAN) x アトレチコ・ミネイロ(CAM)
・2023/04/23 コリチバ(CFC) x フォルタレーザ(FOR)
・2023/04/23 ゴイアス(GOI) x コリンチャンス(COR)
・2023/04/24 バイーア(BAH) ⅹ ボタフォゴ(BOT)

全国選手権第2節 試合概要

ヴァスコ・ダ・ガマ(VAS) 2-2 パウメイラス(PAL)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=jJIHhTRkd84
VAS : 29' #9 ペドロ・ハウーウ(Pedro Raúl, 1996)[#7 アレックス・テイシェイラ(Alex Teixeira, 1990)]
VAS : 40' #7 ガブリエウ・ペッキ(Gabriel Pec, 2001)[]
PAL : 45+1' #29 ハファエウ・ナヴァーホ(Rafael Navarro, 2000)[#25 ガブリエウ・メニーノ(Gabriel Menino, 2000)]
PAL : 62' #14 アルトゥール(Artur, 1998)[#7 ドゥドゥ(Dudu, 1992)]

見どころ

   ヴァスコ・ダ・ガマは、全国選手権開幕節アウェイでのアトレチコ・ミネイロ戦に2-1で勝利。監督の戦術が日々浸透していることが見受けられる試合だった。週中に試合がなく日程的に有利となる。ホームで前年の王者を破り今後に向けて勢いをつけたいところ。
   パウメイラスは、スーペルコパ・ド・ブラジル、サンパウロ州選手権優勝。全国選手権開幕節はクイアバを2-1で下す。週中にリベルタドーレスがあり、ケガで離脱している選手も多いが、難敵相手に選手権2連勝を飾りたいところ。

得点シーン

(VAS)前半29分、自陣で相手のパスをカットしたVOLジャイール(Jair, 1994)が左サイドを上がるアレックス・テイシェイラへ対角線のパスを送る。FWアレックス・テイシェイラはボールを受けペナルティエリアに侵入。切り返しでディフェンダーをかわしゴール前にクロス。FWペドロ・ハウーウがドンピシャのタイミングで頭を合わしヴァスコ・ダ・ガマが先制点を奪う。
   ペドロ・ハウーウは、2022年に柏レイソルからの期限付き移籍でゴイアスでプレー、全国選手権ベストイレブンを獲得し得点ランキング2位。今年はヴァスコ・ダ・ガマの絶対的なスタメンとしてこの試合終了時点で15試合8得点3アシストを記録。この得点シーンでは一瞬で相手ディフェンダーの裏に出る僅か2,3歩の瞬間的なスピードが印象的だった。
   アレックス・テイシェイラはチーム最年長の33歳。得点力やクロスの精度だけでなくオフザボールや守備でのポジショニングにも優れ、若いFW陣の見本となるプレーを見せている。強豪との対戦では常に先発に起用されており、この試合終了時点で15試合3得点4アシストを記録。
(VAS)前半40分、左SBルーカス・ピトン(Lucas Piton, 2000)が左サイドライン際で個人技でマークをかわしドリブルでペナルティエリアに向かう。そして中央ペドロ・ハウーウへクロス。ペドロ・ハウーウのヘディングシュートはGKウェヴェルトンに阻まれるがガブリエウ・ペッキが詰めヴァスコ・ダ・ガマが追加点をあげる。
   ルーカス・ピトンは開幕節にアシストを記録しこの試合でもゴールに絡む。個人的に代表入りを望んでいる選手の一人。
   ガブリエウ・ペッキは開幕節に続き2試合連続ゴール。この試合終了時点で15試合8得点2アシストを記録。2021年シーズンの7得点を超えすでにキャリアハイ。チャンスメーカーからストライカーへと変身を遂げつつある。
(PAL)前半45+1分、ガブリエウ・メニーノが右サイドから柔らかいクロス。ハファエウ・ナヴァーホが少し後ろに下がりボールを頭で合わせパウメイラスが前半のうちに1点を返す。ディフェンダーのマークが少し甘かったか。
   ハファエウ・ナヴァーホは、2022年リベルタドーレスグループステージで活躍するも以降は失速。後半は出場機会を大きく減らす。2023年シーズンは、ホニの離脱により、センターフォワードとして自身同様高さのあるフラッコ・ロペス(Flaco López, 2000)とポジションを争う。公式戦直近の4試合約160分の出場時間で3得点目をマーク。
   ガブリエウ・メニーノは、パウメイラス下部組織出身のボランチ。セットプレーでキッカーも務める。試合により調子の波が多くアベウ・フェヘイラ監督からの叱咤激励を受けながらレギュラーの座を盤石にしつつある。
(PAL)後半17分、ドゥドゥからのクロスボールをゴール前で小柄なアルトゥールが頭に合わせパウメイラスが同点に追いつく。アルトゥールの背後にいたフラッコ・ロペスがディフェンダーをブロックする形となる。
   アルトゥールはパウメイラス下部組織出身。2016年18歳でトップチームデビューを果たすが、戦力とみなされず他チームへのレンタル移籍が続く。2019年レンタル移籍先のバイーアでブレイク。翌2020年にRBブラガンチーノへ完全移籍。2023年3月31日、アベウ・フェヘイラ監督の要請でRBブラガンチーノから推定500万ユーロの移籍金でパウメイラスが獲得。RBブラガンチーノではサイドに張ったプレーが多かったが、移籍後はより中央で比較的自由に動くプレーを任され、パウメイラスの攻撃のバリエーションを増やす効果をもたらしている。

試合概要

   立ち上がりから白熱した試合。両チームとも守備の寄せが速く、攻撃では少ないタッチ数のパスで守備を掻い潜る。前半序盤はヴァスコ・ダ・ガマ陣での時間が多くなるが、ヴァスコが29分に先制。40分にも追加点を奪う。一方のパウメイラスも前半のうちに1点を返す。
   後半に入り、ポジションを少し修正し中盤の距離感を若干縮めたパウメイラスがルーズボールやセカンドボールの回収率を高め攻勢をかける。そして後半17分についに同点。その後もパウメイラスが優位に試合を進めるがゴールは生まれず試合は2-2で終了。

補足情報、 所感 etc.

   スピード感があり攻守のせめぎ合いが緊張感を生み出す好ゲーム。両チームともに個々の選手の技術や戦術理解が高く見ごたえのある試合だった。しかし、パウメイラスに一日の長があり後半はパウメイラスがゲームを支配。ヴァスコ・ダ・ガマも我慢強く耐え勝ち点1を分け合った。
   ヴァスコ・ダ・ガマはすでにカップ戦に敗退しており、次の試合は1週間後の選手権第3節ホームでのバイーア戦。
   パウメイラスは中2日でコパ・ド・ブラジル3回戦2ndレグアウェイのトンベンセ戦、さらに中2日をおいた選手権第3節はコリンチャンスをホームに迎えたクラシコ。その後も中1日を含め中2-4日の日程が6月9日まで続く。

サントス(SAN) 0-0 アトレチコ・ミネイロ(CAM)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=lrWcg4MfB24
SAN : N/A
CAM : N/A

見どころ

   サントスは、全国選手権開幕節ホームでのグレミオ戦に0-1で敗戦。週中のコパ・スウアメリカーナのホームの試合も試合を優位に進めながらも得点を奪えず、公式戦は2試合連続で無得点。ホームでのこの一戦に勝利し、悪い流れを払拭したい。
   アトレチコ・ミネイロは、ミナスジェライス州選手権優勝。全国選手権開幕節はホームに迎えたヴァスコ・ダ・ガマに1-2の敗戦。週中アウェイでのリベルタドーレスアトレチコ・パラナエンセも1-2のスコアで敗れており公式戦2連敗中。連敗はいずれも相手GKの神がかり的な活躍による部分が大きい。気持ちを切り替えて試合に臨んでもらいたい。

得点シーン

   N/A

試合概要

   前半6分、ヨハン(Hyoran, 1993)がペナルティエリア外からこの試合のファーストシュートを放つ。しかし、ボールはクロスバーを越える。
   一方のサントスも前半10分、敵陣でのボールの奪い合いからボールを確保すると、ペナルティエリア入口からルーカス・リマ(Lucas Lima, 1990)がシュート。ディフェンダーに当たったボールはゴール左隅へ縦回転で落ちる難しいボールだがGKエヴェルソン(Éverson, 1990)がかろうじて弾き出す。続く11分にもアンジェロ(Ângelo, 2004)があげたクロスがクロスバーをかすめる。
   再びアトレチコ・ミネイロが息を吹き返す。前半22分には左FKをヨハンが直接狙い、前半24分にはゴール正面約25mのFKをフッキが直接狙う。しかし、いずれもサントスGKジョアン・パウロが両手で弾き返す。さらに35分にはフッキのクロスにヨハンが頭を合わす。パウリーニョ(Paulinho, 2000)がファーサイドで詰め足を合わせるがクロスバーに弾かれる。
   後半のファーストシュートはサントス マルコス・レオナルド(Marcos Leonardo, 2003)。しかし、シュートは当たりが悪くGKエヴェルソンが体の正面でキャッチ。
   後半10分、アトレチコのCK。こぼれ球をVOLオターヴィオ(Otávio, 1994)が低い弾道のシュートを放つがGKジョアン・パウロがセーブ。アトレチコは後半18分に3選手を一気に交代、VOLに替えFWを投入、疲れの見えるヨハンも交代する。しかし、攻撃は停滞。
   サントス、アトレチコ・ミネイロ共にゴールに迫る場面は少なくなり、試合は膠着。試合はスコアレスのまま終了、両チームとも勝ち点1を獲得。

補足情報、 所感 etc.

   サントスは州選手権の不振から守備の再構築を図っていると思われる。しかし、その影響で攻撃時の選手間の距離が遠くなり、ワントップのマルコス・レオナルドが孤立することが多い。サントスは公式戦3試合連続で無得点。全国選手権は2試合無得点。オダイール(Odair)監督による名門サントスの再建の道のりはまだまだ先になってしまうのだろうか。
   次の試合は中2日でコパ・ド・ブラジル3回戦2ndレグ。1stレグは2-0でリードしているが気を緩めることは出来ない。そして、さらに中3日で全国選手権第3節、0-3のスコアで連敗中のアメリカ・ミネイロをホームに迎える。来週こそは全国選手権初勝利を飾りたい。
   アトレチコ・ミネイロは、直近のリベルタドーレスで途中出場から試合の流れを変える活躍を見せたMFヨハンを先発に起用、ヨハンとFWフッキ(Hulk, 1986)が中心となりサントスゴールに迫る。しかし、ヨハンがベンチに退き、フッキに疲れが見え始めた後半は、一気に勢いが衰えた。
   4月に入り7試合目の試合、週中にはリベルタドーレスでのアトレチコ・パラナエンセとの激闘もあり、この試合は押し込む時間が多かったものの勝ち点3を奪うことが出来なかった。次の試合は中2日でコパ・ド・ブラジル3回戦2ndレグ。さらに、中2日でホームでアトレチコ・パラナエンセとの再戦。リベルタドーレスの雪辱を期す。

コリチバ(CFC) 0-3 フォルタレーザ(FOR)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=N27srU6Gud8
CFC : N/A
FOR : 51' #18 シルビオ・ロメーロ(Silvio Romero, 1988)[]
FOR : 83' #22 ヤゴ・ピカチュー(Yago Pikachu, 1992)[#8 カイオ・アレシャンドレ(Caio Alexandre, 1999)]
FOR : 90+1' #22 ヤゴ・ピカチュー(Yago Pikachu, 1992)[#29 ギリェルミ(Guilherme, 1995)]

見どころ

   コリチバは、全国選手権開幕節フラメンゴ戦に0-3の敗戦。翌々日に監督解任を発表。後任にはザーゴ(Zago)氏が就任。ザーゴ氏は2020年から2021年途中まで鹿島アントラーズを指揮した経歴がある。この試合では手続きの遅れがあり代行監督が指揮を執る。コリチバは、公式戦最近の6試合で勝ち星に見放されている。ホーム開幕戦のこの試合では約2カ月ぶりの勝利をサポーターに送りたい。
   フォルタレーザは、セアラー州選手権に優勝。全国選手権開幕節はインテルナシオナウと1-1の引き分けに終わっている。週中にアウェイでのコパ・スウアメリカーナで2-0の勝利。この試合は中2日でアウェイ、その後も再び中2日でアウェイの試合を迎えるが、すべて勝ってホームに帰りたい。

得点シーン

(FOR)後半6分、左からのMFポチェチーノ(Pochettino, 1996)のCKに左SBブルーノ・パシェコ(Bruno Pacheco, 1991)が頭を合わせる。至近距離からのシュートにGKガブリエウ(Gabriel, 1992)が反応するが、FWシルビオ・ロメーロ(Silvio Romero, 1988)が押し込みフォルタレーザが先制。
   FWシルビオ・ロメーロはインデペンディエンテ/ARGからの期限付き移籍2年目。2022年シーズンはチーム内得点ランキング3位。今期はこの試合を含め18試合約750分に出場、5得点を記録。
   左SBブルーノ・パシェコは2022年シーズン終了後にセアラーから加入。同じく新加入の若いルーカス・エステヴェス(Lucas Esteves, 2000)とのポジション争いは経験値で勝り一歩リード。
(FOR)後半38分、自陣からのカウンター。コリチバが前がかりになっているところをMFギリェルミが右サイドMFヤゴ・ピカチューへボールを送る。ピカチューはドリブルであがり、ディフェンダーとGKを見ながらペナルティエリア入口からシュート。これがゴールネットに突き刺さり、フォルタレーザが大きな追加点を奪う。
   MFヤゴ・ピカチューは、小柄ながら俊敏な動きで守備陣を翻弄することからピカチューと呼ばれるようになったとのこと。2022年後半に清水エスパルスへ期限付き移籍。フォルタレーザに復帰した今期はこの試合終了時点で25試合5得点5アシストをマーク。
(FOR)後半45+1分、敵陣中央でカイオ・アレシャンドレが後方からのボールをライン裏への抜け出しを狙うヤゴ・ピカチューへワンタッチのふわりと浮かしたスルーパス。ヤゴ・ピカチューはGKの位置を確認しコースを狙ったシュートでダメ押しとなる3点目。
   カイオ・アレシャンドレはボタフォゴ下部組織出身。ボタフォゴで活躍の後バンクーバー/CANへ移籍。2022年途中から期限付き移籍でフォルタレーザでプレー。このプレーで今期5個目のアシスト(23試合3得点)。

試合概要

   立ち上がりはホームのコリチバが自陣でのボール回しからチャンスをうかがう。
   前半12分、コリチバは左サイドから中央にクロス。ディフェンダーが頭でクリアするがそのボールをアレフ・マンガ(Alef Manga, 1994)がダイレクトにゴールを狙う。しかし、GKフェルナンド・ミゲウ(Fernando Miguel, 1985)が倒れ込みながら両手で弾きCKに逃れる。一方のフォルタレーザは前半18分左からのCKからチャンスを掴む。コリチバGKがパンチングを試みるがボールに触ることが出来ない。流れたボールはCBヴィラール(Vilar, 2000)がクリア。セカンドボールをフォルタレーザが拾い再びゴール前にボールを送るが再びヴィラールがクリアし事なきを得る。前半29分、35分とコリチバはアレフ・マンガを中心にゴールに迫るがシュートはいずれもGKの正面をつく。
   後半に入り1分、3分と続けてコリチバが相手ゴールに迫りシュートまで持ち込む。しかし、均衡を破ったのはフォルタレーザ。後半6分、左CKから先制。ホームで勝ち星が欲しいコリチバは前がかりになるが、ボールロストからフォルタレーザがカウンターで8分、11分と続けてチャンスを迎える。後半22分、フォルタレーザはカウンターから抜け出したFWギリェルミが強烈なシュート。しかし、GKガブリエウが両手で弾き出す。コリチバは後半27分、アレフ・マンガが前にボールを運びペナルティエリア内左から逆サイドへボールを流す。そこに走り込んだ右SBナタナエウ(Natanael, 2002)が強烈なシュートを放つがGKフェルナンド・ミゲウが弾き出す。後半38分、45+1分とフォルタレーザがゴールネットを揺らし万事休す。後半は前がかりになるコリチバに対しカウンターを狙ったフォルタレーザの注文通りの展開となり、フォルタレーザが3-0とリードを広げ、アウェイでの一戦で勝ち点3を勝ち取った。

補足情報、 所感 etc.

   コリチバは、全国選手権は開幕節に続き3失点無得点で連敗、コパ・ド・ブラジルを含めると3試合連続で3失点を喫している。先述のとおり監督交代が発表されており、新任のザーゴ監督はこの試合を観客席から観戦。中2日で迎える次戦コパ・ド・ブラジルでのエスポルチ戦からの指揮が予定されているが、守備を立て直すことできるだろうか。全国選手権第3節はコパ・ド・ブラジルの3日後、ホームにサンパウロを迎える。
   フォルタレーザは週中のコパ・スウアメリカーナに続き無失点で2連勝。4月に入り7試合5勝2分無敗で調子を上げている。次戦は中2日でコパ・ド・ブラジル3回戦2ndレグ。1stレグで5点差をつけているため主力選手を温存してくるだろう。さらに中2日で全国選手権第3節はホームで首位を走るフルミネンセを迎える。

ゴイアス(GOI) 3-1 コリンチャンス(COR)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=4V0x08bzStw
COR : 17' #10 ホージェル・ゲデス(Róger Guedes, 1996)[#5 ファウスト・ベラ(Fausto Vera, 2000)]
GOI : 31' #17 マテウス・ペイショット(Matheus Peixoto, 1995)[#10 フリアン・パラシオス(Julián Palacios, 1999)]
GOI : 80' #3 ルーカス・アウテル(Lucas Halter, 2000)[#6 サンデル(Sander, 1990)]
GOI : 90+4' #22 アポジ(Apodi, 1986)[]

見どころ

   ゴイアスは、州選手権後にグート・フェヘイラ(Guto Ferreira)監督を解任。後任の監督は未だ決まっておらずこの試合も代行監督が指揮を執る。全国選手権開幕節はアウェイでアトレチコ・パラナエンセに0-2で敗戦。週中のコパ・スウアメリカーナは2点をリードしながら、後半40分を過ぎ2点を奪われ引き分けに終わっている。ホーム開幕戦となるこの試合に勝って悪い流れを打ち切りたい。
   コリンチャンスは、4月19日リベルタドーレス第2節の結果を受けて、フェルナンド・ラザロ(Fernando Lázaro)監督を解任。この試合からクーカ(Cuca)監督が指揮を執る。全国選手権開幕節はホームでクルゼイロに2-1で白星発進。しかし、水曜日に行われたリベルタドーレスはアルヘンティーノス・ジュニオルス/ARGに0-1の敗戦。不安定な試合が続いているがクーカ監督はどのように立て直してくるだろうか。

得点シーン

(COR)前半17分、ペナルティエリア左角でFWホージェル・ゲデスがVOLファウスト・ベラとのタベーラでゴールライン際まで侵入。そのまま角度のない位置からGKのタイミングを外すつま先のシュート。アウェイのコリンチャンスが先制点。
   ホージェル・ゲデスは2022年チーム内得点王。左サイドを担うツートップの一角。守備にも奔走し、中盤まで下りて攻撃の起点となることもある。今期はこの試合終了時点でチーム総得点26のうち12得点1アシストとチームの得点の半数に関与。
   ファウスト・ベラはアルゼンチンから2020東京五輪代表として3試合に出場。ボランチとして戦術的視野に優れボール奪取力や攻撃の起点としてチーム内で地位を確立しつつある。
(GOI)前半31分、 ゴイアスが敵陣でのパス交換から右サイドへ展開。フリーのMFフリアン・パラシオス(Julián Palacios, 1999)がゴール前へクロスをあげる。VOLモレーリ(Morelli, 1995)が斜めに切り込み相手ディフェンダーを引き付けると、そこに出来たスペースにFWマテウス・ペイショット(Matheus Peixoto, 1995)が飛び込み、ホームのゴイアスが試合を振り出しに戻す。
   マテウス・ペイショットは身長190㎝の大型センターフォワード。2021/22シーズンに国外初挑戦となるウクライナ2部メタリストで19試合15得点を記録しチームの1部昇格に貢献。しかし、戦争の影響で2022年は期限付き移籍でセアラーでプレー。ゴイアスには2023年3月末に期限付き移籍で加入。5試合目の出場でクラブ初ゴールをマーク。
   モレーリは身長185㎝のボランチ。サンタカタリーナ州選手権準優勝のマリンガーから州選手権での活躍を受け、2023年3月末に期限付き移籍で加入。週中のコパ・スウアメリカーナではクラブ初ゴールを記録しており、早くも結果を残している。
(GOI)後半35分、左からのCK。キッカー左SBサンデルが蹴ったボールはディフェンダー陣の頭を超え、CBルーカス・アウテルが頭に合わせる。ホームのゴイアスが勝ち越す。
   アウテルはアトレチコ・パラナエンセ下部組織出身。2017年の南米U-17選手権、U-17W杯にはレギュラーとして出場してる。2019年に18歳でプロデビュー。州選手権を中心に試合に出場するがレギュラー陣の壁は厚く2022年後半からゴイアスへ期限付き移籍。2023年は引き続きゴイアスでプレー。レギュラーとしてこの試合終了時点で19試合に出場。4得点を記録している。
   サンデルは2022シーズン後にエスポルチから加入した。すぐにレギュラーの座を掴み今期はこの試合が終了した時点で22試合1得9アシストを記録している。
(GOI)後半45+4分、敵陣でのコリンチャンスのスローインを競り合い、ペナルティエリア入口にボールがこぼれる。そのボールを拾った右SBアポジが個人技でディフェンダーをかわしシュート。ゴラッソ。ゴイアスの勝利を決定的にする3点目。
   アポジは、登録はサイドバックだが、右サイドは中盤、ウィングもこなす。25歳の2011年にクルゼイロからの期限付き移籍で1年間東京ヴェルディに在籍し天皇杯1試合出場1得点。その後ブラジル以外にもメキシコ、ロシア、サウジアラビアでプレー。ここ数年は個人的に中堅クラブでスピードを活かしカウンターや守備で貢献、泥臭いプレーをいとわない選手とのイメージがあったが、足元の技術はまだまだ衰えていなかった。

試合概要

   アウェイでクーカ新監督の初采配となるコリンチャンス。スタメンに大きな変化はないが、右SBにCBが本職のブルーノ・メンデス(Bruno Méndez, 1999)を起用し、守備の安定をもくろむ。
   立ち上がりはアウェイのコリンチャンスがボールを持つ時間帯が長くなるが、前線でのパスミスが続きシュートに持ち込めない。しかし、前半17分、左サイドをパスで崩しコリンチャンスが先制。その後もコリンチャンスが押し気味に試合を進める。
   前半31分、ゴイアスは敵陣でのパス交換から右に展開し同点に追いつく。この得点でゴイアスは勢いづきしばしば相手ゴールに迫る。しかし、チャンスを迎えたのはコリンチャンス。前半41分にホージェル・ゲデスがペナルティエリア入口からシュートを放つが僅かにゴール左に外れる。
   後半にはいり11分、26分にゴイアスが左サイドからチャンスをつくりシュートまで持ち込むが、いずれもGKカシオ(Cássio, 1997)が正面でキャッチ。試合はホームのゴイアスが支配。35分CKから勝ち越すと、後半アディショナルタイムに追加点を奪い、ゴイアスが3-1の勝利。試合内容も前半の序盤を除き優位に試合を進めることができた。この逆転勝利でここ最近の悪い流れを払拭できたであろうか。

補足情報、 所感 etc.

   ゴイアスは監督代行のもとでの一戦だったが、ホームで逆転勝ちを収める。開幕節はサイドからの攻撃に対する守備に課題があったがその点が修正されていたように思われる。2022年はペドロ・ハウーウに依存した攻撃だったが、2023年は多くの選手が点を奪い、この試合でもセットプレーでCBアウテルが得点を奪い、サイドからの攻撃ではVOLモレーリが前線にあがり間接的に得点に絡むなど得点力は増している。
   次の試合は一週間後、全国選手権第3節アウェイでのインテルナシオナウ戦。今期まだ1敗の強敵だが、週中にコパ・ド・ブラジルを挟む。ゴイアスは日程の優位をいかし連勝を期す。
   コリンチャンスはクーカ監督の初采配を勝利で祝えず。先制したものの前半序盤のいい時間帯をみすみすミスで浪費し、相手に主導権を渡し、逆転負けを喫する。ホージェル・ゲデスの強引なシュートが目立ちチーム状態はあまり改善されていないように見える。
   次の試合は中2日でコパ・ド・ブラジル3回戦2ndレグヘモ戦。1stレグを0-2で敗れており最低でも2点差をおいつきPK戦に持ち込まなければならない。全国選手権第3節はさらに中2日おいた4月29日クラシコとなるパウメイラス戦。この2試合目に敗れるようだとブラジルでも狂信的なサポーターが多くクーカ監督はいきなり窮地に立つ。

バイーア(BAH) 1-2 ボタフォゴ(BOT)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=BWO0AAWJyFc
BOT : 29' #37 ジュニオール・サントス(Júnior Santos, 1994)[#9 チキーニョ・ソアレス(Tiquinho Soares, 1991)]
BAH : 41' #29 ジャカレー(Jacaré, 1999)[]
BOT : 78' #6 チェチェ―(Tchê Tchê, 1992)[#9 チキーニョ・ソアレス(Tiquinho Soares, 1991)]

見どころ

   バイーアは、バイーア州選手権優勝。全国選手権開幕節はアウェイでRBブラガンチーノに1-2の黒星。週中に試合はなく、中8日でこの試合に臨む有利な日程をいかしホーム開幕戦を勝利で飾りたい。
   ボタフォゴは、全国選手権開幕節サンパウロ戦を後半43分に勝ち越し。週中のコパ・スウアメリカーナで4-0と完勝。リオデジャネイロ州選手権ではリオデジャネイロ4強で唯一決勝ラウンドに進出できなかったが、3月15日以降の公式戦は9試合7勝2分無敗。調子は上向いている。開幕2連勝を狙う。

得点シーン

(BOT)前半29分、右サイドでボールを受けたFWジュニオール・サントスが斜めに中央に向かう。強固な5バックの手前でFWチキーニョ・ソアレスにボールを預けそのまま守備ライン裏へ抜け、戻りのボールを受けると切り返しシュートを放つ。これがゴールネットを揺らしボタフォゴが先制。
   ジュニオール・サントスは、2019年から柏レイソル、横浜マリノス、広島サンフレッチェでプレー。2022年途中からサンフレッチェ広島からの期限付き移籍でボタフォゴでプレー。2023年1月下旬にフォルタレーザへ完全移籍するが、3月末にボタフォゴが完全移籍で獲得。バイーア州出身でプロとして地元バイーア州サウヴァドールで初めての試合となり、招待した多くの親戚の目の前でゴールを決めた。
   チキーニョ・ソアレスは開幕節で先制点をマークし、2試合連続でゴールに関与。
(BAH)前半41分、左WBチャヴェス(Chavez, 2002)が左サイドを抜け出しゴール前へグラウンダーのクロスを送る。これは誰にも合わず逆サイドに流れるがペナルティエリア内で右WBジャカレーが確保。ジャカレーは必死に戻るディフェンダーを切り返しでかわしシュート。これがゴールネットに突き刺さりホームのバイーアが同点に追いつく。
   ジャカレーは、2022年にバイーア加入。FWとしてチームの1部昇格に貢献。今期はSB,WBとしてレギュラーを獲得。タンク型の体形で力強く、白く着色したドレッドヘアや青く染めた髪が印象的なジャカレーに個人的に注目している。
(BOT)後半33分、中盤でボールを受けたVOLチェチェ―がFWチキーニョ・ソアレスとタベーラ。チェチェ―がペナルティエリア入口中央から放ったシュートはゴール右隅に決まりボタフォゴが勝ち越し。
   チェチェ―は2016年(23歳)、前年に全国選手権(4部)に昇格したばかりのチームでサンパウロ州選手権に出場、州選手権での活躍が認められパウメイラスに移籍する。すると間もなくレギュラーの座を獲得。全国選手権38試合中37試合に出場(すべて先発)し、チームの全国選手権優勝に貢献。自身もベストイレブンに選出されるという経歴を持つ。

試合概要

   立ち上がりはバイーアが主導権を握る。スリーバックが広く開き、VOLヤゴ・フェリピ(Yago Felipe, 1995)が下りてくる他チームでは見たことのない陣形(3-1)でビルドアップを行う。ボタフォゴは4-4-2で最終ラインが高めに位置取り、前線はビルドアップへ無理にプレッシャーをかけない。しかし、中盤にボールが入るとボタフォゴは厳しくチェックに行き激しいボールの奪い合いが始まる。
   ファーストシュートは前半9分、バイーアは左サイドライン際のタベーラから左WBシャーベス(Chavez, 2002)が抜け出しゴール前にクロス。FWエヴェラウド(Everaldo, 1991)がきれいに頭を合わせるがGKペリ(Perri, 1997)の正面をつく。バイーアは両サイドからの攻撃でチャンスを作る。
   前半15分を過ぎるとボタフォゴが前に出てボールを奪いに行くようになる。すると試合の流れが変わり、バイーアは全員が低い位置に下がり5-4の2ラインで守備を固めるようになる。ボタフォゴは敵陣で試合を進めるが、強固なディフェンスに打つ手がない。
   しかし、前半29分にボタフォゴが先制。するとボタフォゴは再び自陣での守備に戻る。しかし、中盤の厳しさは減り、バイーアは両サイドが抜け出しクロスをあげる場面が増えていく。すると前半41分にバイーアは同点に追いつく。
   後半開始早々の30秒、バイーアMFカウリー(Cauly, 1995)がゴール正面からミドルシュートを放つがこれはGKペリの正面。ボタフォゴの中盤の守備は後半に入っても前半初めのような厳しさはなく、バイーアはMFカウリーを中心にサイドにボールを振りチャンスをうかがう。しかし、決定的なシーンをつくることは出来ず、試合は膠着状態に陥る。
   後半29分、FWアルトゥール・サーレス(Arthur Sales, 2002)からFWビエウ(Biel, 2001)にスルーパスが通る。ビエウは強烈なシュートを放つがGKペリが片手で弾き出しボタフォゴは窮地を逃れる。すると後半32分に途中交代のチェチェ―が勝ち越しゴール。その後はしっかりと守備を固めるボタフォゴに対し、バイーアは攻め込むが得点を奪うことが出来ずタイムアップ。
   バイーアは開幕から2連敗、ボタフォゴが僅か5本のシュートで2点を奪い開幕2連勝。お互いに好対照の全国選手権の滑り出しとなった。

補足情報、 所感 etc.

   バイーアは、サイドからの攻撃や中盤でのマークや最終ラインの固い守備で試合全体としては内容の悪くない試合を展開するも、開幕節に続き同点で迎えた後半の中ごろの少し緩んだ時間帯に失点を喫し連敗。先発に経験のある選手を中心に起用し、後半から若い選手を投入しているが、若い選手はリードを許すと焦りから攻め急ぎすぎているようにも見える。連敗で苦しむチームをブラジルで初めての指揮を執るヘナト・パイヴァ(Renato Paiva)監督は今後どのように立て直してくるだろうか。
   次の試合は中2日でコパ・ド・ブラジル3回戦2ndレグ。さらに中3日で全国選手権第3節アウェイのヴァスコ・ダ・ガマ戦。
   ボタフォゴは州選手権を不甲斐ない成績で終えたが、全国選手権開幕2連勝、3月15日以降の公式戦はこれで5連勝で10試合8勝2分無敗。中でもFCポルト/PORで4シーズンで60得点を記録し今シーズン前にオリンピアコス/GREから加入したチキーニョ・ソアレスがこの試合終了時点で17試合10得点4アシストを記録し。チームの無敗期間も10試合7得点3アシストを記録。攻撃面で”違い”を創り出している。
   次の試合は中2日でコパ・ド・ブラジル3回戦2ndレグ。さらに中2日の全国選手権第3節はアウェイのマラカナンスタジアムでクラシコとなるフラメンゴ戦が待ち受けている。

他の5試合はこちら→ 【ブラジル全国選手権2023】第2節(1/2)
 

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