インテルナシオナウ (Internacional)
正式名称:Sport Club Internacional
略称:INT
創立:1909年
本拠:リオグランジドスル州 ポルトアレグレ
《 主要タイトル 》
タイトル | 優勝回数 | 優勝年 |
---|---|---|
ブラジル全国選手権 | 3 | 1979, 1976, 1975 |
コパ・ド・ブラジル | 1 | 1992 |
コパ・リベルタドーレス | 2 | 2010, 2006 |
コパ・スウアメリカーナ | 1 | 2008 |
クラブワールドカップ(*) | 1 | 2006 |
(*)インターコンチネンタルカップおよびトヨタカップを含む
《 直近3年成績(2020年-2022年) 》
大会 | 2022年成績 | 2021年成績 | 2020年成績 |
---|---|---|---|
ブラジル全国選手権 | 2位 | 12位 | 2位 |
コパ・ド・ブラジル | 1回戦敗退 | 3回戦敗退 | 準々決勝敗退 |
コパ・リベルタドーレス | ― | ベスト16敗退 | ベスト16敗退 |
コパ・スウアメリカーナ | 準々決勝敗退 | ― | ― |
リオグランデドスル州選手権 | 準決勝敗退 | 準優勝 | 予選敗退 |
各大会の概要は、当ブログ記事「主要大会と年間日程」を参照ください。
《 全国選手権 順位推移(2006年-2022年) 》
現行レギュレーション(20チームによるホーム&アウェア方式2回戦総当たり)で開催された2006年以降の全国選手権順位推移です。
《 2022年 》
<戦績>
大会 | 試合 数 | 勝数 | 引分 数 | 敗数 | 得点 | 失点 | 得失 点差 | 勝点率 (%) | 順位 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
コパ・スウアメリカーナ | 10 | 4 | 5 | 1 | 16 | 8 | 8 | 56.7 | 準々決勝敗退 |
全国選手権 | 38 | 20 | 13 | 5 | 58 | 31 | 27 | 64.0 | 2位 |
コパ・ド・ブラジル | 1 | 0 | 0 | 1 | 0 | 2 | -2 | 0.0 | 1回戦敗退 |
州選手権 | 13 | 6 | 4 | 3 | 14 | 13 | 1 | 56.4 | 準決勝敗退 |
計 | 62 | 30 | 22 | 10 | 88 | 54 | 34 | 60.2 |
<全国選手権 年間順位推移>
<振り返り>
【アレハンデル・メディーナ監督】
州選手権を含め7年間タイトルのないインテルナシオナウは、前年のアルゼンチンリーグで昇格5年目のタジェレスを3位に躍進させた手腕を買い、監督歴4年目、43歳のウルグアイ人アレハンデル・メディーナ(Alexander Medina)氏を2022年の指揮官として迎えた。
前年に攻撃陣の主力として活躍したユーリ・アウベルト(Yuri Alberto)やパトリッキ(Patrick)、GK/GOLマルセロ・ロンバ(Marcelo Lomba)などが退団し、新たに選手を獲得するもののチームは熟成せず、1月下旬に開幕した州選手権は予選ラウンドでもたつく。 すると、3月3日のコパ・ド・ブラジル1stラウンドで全国選手権4部のグローボFCにまさかの敗戦。州選手権も決勝ノックアウトラウンド準決勝でライバル グレミオに敗れる。 全国選手権開幕節をアトレチコ・ミネイロに0-2で敗れると、コパ・スウアメリカーナのグループラウンドでは格下と思われたチームを相手に引き分けに終わり、4月15日、6勝6分5敗 勝点率47.1%の成績でメディーナ監督が解任される。
【マノ・メネゼス監督】
後任にブラジル代表監督歴のある経験豊かなマノ・メネゼス(Mano Menezes)氏を招聘。マノ・メネゼス監督は自信を失いつつあった選手の自信を取り戻すために、まず初めに、明確な決まりごとがなく受け身が多いように見えた守備の再構築に手を付ける。
低い位置で 4‐4 の2ラインでしっかりとブロックを組み、前線の選手は中へのパスコースを切る。こうして相手ボールをサイドに寄せ、相手選手のペナルティエリア近くでのプレーを制限、サイドからのクロスボールは弾き返す。この役目は、2018W杯でアルゼンチン代表として3試合に出場した1987年生まれのメルカド(Mercado)と、3位で終えた2017U-17W杯の全7試合でフルタイム出場を果たし、ウクライナ戦争のFIFA特例措置を適用しシャクタルドネツクから獲得した2000年生まれのヴィトン(Vitão)が年齢差13歳のコンビが担う。 一方で、攻撃面はスピードのあるヴァンデルソン(Wanderson)やカルロス・デ・ペーニャ(Carlos de Peña)がサイドに流れ、サイドでトライアングルを作り、数少ないタッチでシンプルにゴールに迫る。 監督交代後の全国選手権9試合を3勝6分で乗り切る。無失点で終える試合は多くなかったが複数失点は1試合にとどめた。この期間で自信を取り戻すとともに、状況に応じてスリーボランチを置いた 4‐3‐3 や 4‐5‐1 を試み、戦術の幅も広げていく。
選手が自信を取り戻し、守備が安定するようになると、次は攻撃面に手をつける。 ボールを保持する局面では、ヘネー(René)とブストス(Bustos)の両SB/LATがバランスを取りながら攻撃参加し、後ろから 3‐2‐5 の布陣となり、サイドに起点を作る。ペナルティエリア内に横に広く3~4人が侵入し前後に動くことで、ボール保持者の選択肢を増やす(ニア or ファーへのクロス、ゴールライン際へのパス、自らのドリブル、など)。 3‐2‐5 の 2 の2人は、時にはミドルシュート、時には前線を追い抜く動きをみせ、攻撃の厚みを加える。 攻撃に人数をかけることで、ボールを奪われた際のプレスのスピードが速まり、守備の強度も高まっていった。
選手の面で見ると、アヴァイーから加入したアレモン(Alemão)がセントロアヴァンチに定着し、上記のヴァンデルソンやカルロス・デ・ペーニャ、途中加入のペドロ・エンヒキ(Pedro Henrique)が脇を固める。中盤には得点力のあるマウリシオ(Mauricio 01年生まれ)、エデニウソン(Edenilson)が前線に顔を出し、シーズン途中にシャクタルドネツク/ウクライナから加入した司令塔アラン・パトリッキ(Alan Patrick)が半年のブランクを感じさせないプレーをみせ、攻撃のバリエーションを増やしていく。
選手権の前半(第1節~第19節、再構築期間)と後半(第20節~第38節、熟成期間)を数字で見ると、その成果が顕著に表れている。 選手権前半 : 7勝9分3敗、得点27失点20 選手権後半 : 13勝4分2敗、得点31失点11
最終的に全国選手権は2位でフィニッシュ。 前年からの選手の入れ替わりが多く開幕当初をチームの立て直しに要したこと、5試合の敗戦のうち相手チームから退場者を出し数的有利に立ちながらも敗れた試合が2試合あったことが響いた形だ。
【2023年の展望】
2023年はリベルタドーレス、コパ・ド・ブラジルを順調に勝ち上がると、今年よりも10試合ほど多く試合を消化しなければならない。 しかし、2022年は、マノ・メネゼス監督が多くの選手をピッチに送り出し、選手層が底上げされた。また、戦術理解が浸透し、選手間の連携も深まった。そして、なによりも結果に繋がったことで選手の自信が深まった。 2022年全日程終了時点では、主要選手の契約満了、契約解除の噂は多くはない。前年のように財政難から若手選手の売却や高額年俸選手の放出などで退団する選手を最小限に抑え、的確な補強が叶えば、2023年シーズンは8年ぶりのタイトルを主要大会で手にすることも不可能ではないだろう。
<チーム内個人成績・記録>
* 参照元:サッカーサイト「Ogol」
記録 | 選手 | 公式戦計 | 全国選手権 | スウアメ リカーナ | ブラジル杯 | 州選手権 |
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最多試合出場 | マウリシオ (Maurício) – MF/MEI | 55 | 32 | 3 | 1 | 13 |
(2位) | エデニウソン (Edenílson) – MF/MEI | 54 | 31 | 10 | 1 | 12 |
(3位) | ダニエウ (Daniel) – GK/GOL | 46 | 23 | 10 | 1 | 12 |
最多出場時間 | ダニエウ (Daniel) – GK/GOL | 4140 | 2070 | 900 | 90 | 1080 |
(2位) | エデニウソン (Edenílson) – MF/MEI | 4053 | 2188 | 848 | 90 | 927 |
(3位) | ブストス (Bustos) – 右SB/LTD | 3974 | 2679 | 769 | 76 | 450 |
最多得点 | アレモン (Alemão) – FW/ATA | 12 | 8 | 2 | 0 | 2 |
(2位) | エデニウソン (Edenílson) – MF/MEI | 10 | 6 | 3 | 0 | 1 |
(3位) | マウリシオ (Maurício) – MF/MEI | 9 | 6 | 1 | 0 | 5 |
最多アシスト | カルロス・デ・ペニャ (Carlos de Peña) – FW/ATA | 7 | 6 | 1 | 0 | 0 |
(2位) | ブストス (Bustos) – 右SB/LTD | 6 | 3 | 2 | 0 | 1 |
(3位タイ) | アレモン (Alemão) – FW/ATA | 5 | 5 | 0 | 0 | 0 |
(3位タイ) | エデニウソン (Edenílson) – MF/MEI | 5 | 5 | 0 | 0 | 0 |
(3位タイ) | マウリシオ (Maurício) – MF/MEI | 5 | 3 | 1 | 0 | 1 |
最多デュエル勝利 | アレモン (Alemão) – FW/ATA | – | 185 | – | – | – |
(2位) | ガブリエウ (Gabriel) – VOL | – | 144 | – | – | – |
(3位) | ヘネー (Renê) – 左SB/LTE | – | 142 | – | – | – |
最多キーパス | カルロス・デ・ペニャ (Carlos de Peña) – FW/ATA | – | 60 | – | – | – |
(2位) | アラン・パトリッキ (Alan Patrick) – MF/MEI | – | 41 | – | – | – |
(3位) | エデニウソン (Edenílson) – MF/MEI | – | 38 | – | – | – |
最多CBI | ヴィトン (Vitão) – CB/ZAG | – | 203 | – | – | – |
(2位) | メルカド (Mercado) – CB/ZAG | – | 126 | – | – | – |
(3位) | ヘネー (Renê) – 左SB/LTE | – | 107 | – | – | – |
※ デュエル勝利 : 一対一でのイーブンボールの奪い合いでボールを獲得すること キーパス : パスの受け手がシュートを打てた時にカウントされる指標 CBI : クリア、ブロック、インターセプト