最新更新日 : 2024/03/11 更新履歴 : 2023/06/16
ケヴィン・サントス・ロペス・デ・マセード
Kevin Santos Lopes de Macedo
ポジション:フォワード/アタカンチ
利き足:右
2003年1月4日生まれ
<クラブ経歴>
ブラジル連邦共和国サンパウロ州サンパウロ市最西部に位置するイタイン・パウリスタ地区に生まれる。
12歳の頃からクラブチームの入団テストを受けるようになり、ミナスジェライス州ベロオリゾンテに本拠を置くアトレチコ・ミネイロのテストに合格。しかし、法令で14歳未満の寮への受け入れは禁じられており、地元から遠く離れたベロオリゾンテで生活を継続するのは経済的に難しくなり、サンパウロに戻ることを余儀なくされる。
ケヴィンは地元のサッカースクールでサッカーを続けるが、そのサッカースクールはサンパウロ都市圏の小さな町スザーノ市の3部リーグのチーム、ケヴィンは初めのうちはCBを務めた。同時に再びクラブチームの入団テストにチェレンジするようになる。しかし、合格はおろか、膝当てが用意できない理由でテストを受けることさえできないこともあった。 サッカー選手になる夢を諦めかけていたある日、スザーノ市3部リーグでのリードされている試合でFWとして起用される。すると個人技からゴールを決める。このゴールをきっかけにゴールを奪うことを通じてサッカーの楽しさを取り戻す。
≪育成時代≫
やがて、若い選手の発掘や育成に力を入れているデスポルチーボブラジルの幹部がケヴィンのプレーに注目。 2018年15歳の時、デスポルチーボブラジルに入団。 2020年、U-19カテゴリーの全国大会カップ戦に出場。試合ではヒールリフトやまた抜きなどの個人技を披露。一方で、自陣にまで戻り守備に走るなどチームへの献身的なプレーもみせる。決勝ラウンド2回戦のインテルナシオナウ戦では、試合には敗れたものの、1ゴールをマーク。サイドライン際で2人に囲まれながらも抜け出したプレーで注目を浴びる。 さらに、17歳ながらトップチームに招集され、サンパウロ州選手権3部リーグの4試合に出場。 U-19カップ戦、デスポルチーボブラジルトップチームでのプレーが評価され、コロナ感染症拡大による自粛期間明けにパウメイラスにレンタルで移籍。
2020年11月26日、U-17コパ・ド・ブラジルの後半開始時にパウメイラス下部組織でのデビューを果たすといきなり2ゴールをマーク。 4日後に一つ上のカテゴリーのU-20州選手権にも後半開始時に途中交代出場、すると決勝点となるゴールを決める。 シーズン最後の試合(2021年1月21日)までの約2か月の期間に、U-17、U-20カテゴリーで各7試合計14試合に出場。 この14試合での活躍と将来性が評価され、2026年6月10日を期限とするプロ契約をパウメイラスと締結。
2021年はU-20チームのレギュラーとして、同カテゴリーの州選手権、コパ・ド・ブラジル、全国選手権に出場。
≪パウメイラス≫
– 2021 –
2021年11月30日、トップチームのアベウ・フェヘイラ(Abel Ferreira)監督から招集を受け、全国選手権第36節クイアバ戦の後半28分に途中交代出場。トップチームデビューを飾る。 12月9日、第38(最終)節セアラー戦においてスターティングイレブンに抜擢されると、前半42分、右サイドからジォヴァーニ(Giovani, 2004)のサイドを変えるクロスからヴィチーニョ(Vitinho, 2003)の折り返しを経たボールを、ゴールエリア中央で右足を伸ばしゴールに押し込む。トップチームで2試合目、プレー時間59分での初ゴールを記録。
– 2022 –
2022年、トップチームの層は厚く、リベルタドーレス、コパ・ド・ブラジル、全国選手権のいずれの大会も優勝争いを繰り広げる中、ケヴィンのトップチームでの出場機会はなく、一年を通してU-20チームでプレー。しかし、主力メンバーとしてU-20カテゴリーの全国選手権、コパ・ド・ブラジル、コピーニャ(1月に開催される全国大会のU-20カップ戦)の3大会に優勝。
– 2023 –
2023年、U-20チームで始動。 コピーニャでは、グループラウンド初戦を除く全8試合に出場(すべて先発)。5ゴール、5アシストを記録しチームの大会二連覇に貢献。さらには、大会最優秀選手賞を受賞。
3月に開幕したU-20全国選手権では10試合の出場で6得点を記録するが、トップチームにはなかなか声がかからない。5月開幕のU-20W杯、7月開幕のU-20リベルタドーレスが終了すると、遂にトップチームに招集され、7月16日全国選手権第15節でベンチ入りを果たす。
しかし、出場機会は訪れず、U-20チームでの試合出場が続く。
2023年8月30日リベルタドーレス準々決勝2ndレグにて、試合終了間際の後半42分に、約一年9か月ぶりのトップチームでの試合出場。 全国選手権もまた第23~25節にかけて30分前後の出場機会が与えられる。
2023年10月5日リベルタドーレス準決勝ボカ・ジュニオルス/ARG2ndレグ、2試合合計で0-1のビハインドの状況で後半開始時に左SHとしてピッチに送り出される。すると、得意のスピードとドリブル、ボールキープ力で相手守備陣をかく乱。後半21分には左サイドからペナルティエリア右に向け斜めに駆け上がり、そこに出されたボールを受けに行ったところを危険なスライディングタックルを受け、相手ディフェンダーの2枚目のイエローカード(退場)を誘発。チームはその後同点に追いついたものの、PK戦の末、決勝進出を阻まれたが、ケヴィンは重要な試合でチャンスをものにした。
10月8日全国選手権第26節、19日第27節と左SHとして連続して先発に起用される。 しかし、チームは連敗。ここでアベウ・フェヘイラ監督はこれまでの4-2-3-1を基本にした陣形を変え、3-5-2を基本にした陣形へと変更。この策が嵌り、チームは連勝を飾り、優勝争いに加わっていくことになる。しかし、左SHとしてスピードを生かしたプレーで先発に起用されていたケヴィンはポジションを失うことになった。
チーム戦術変更後の10試合は、僅か一試合18分の出場に止まった。
≪シャクタルドネツク/UKR≫
– 2023/24 –
2024年1月18日、パウメイラスからFWケヴィンのシャクタルドネツク/UKRへの移籍が発表された。 契約期間は5年。背番号はパウメイラス所属時と同じ「37」。移籍金は選手保有権の90%について、固定1200万ユーロ+ボーナス300万ユーロの最大総額1500万ユーロ(約24億円)。
イタリアのローマでメディカルチェックを受け、その後チームのキャンプ先のトルコで合流。
2024年2月15日、ヨーロッパリーグプレーオフのマルセイユ/FRA戦1stレグ、ドイツのハンブルグで開催されたホームゲームにて、後半32分にピッチに立ちクラブデビューを飾る。
2月26日リーグ戦第18節で先発に抜擢。
3月8日第20節では、0-1のビハインドの状況で後半開始時にピッチに送り出されると、後半5分、左サイドライン際からドリブルで仕掛け、ペナルティエリアに迫り、中央に向かいワンツーで戻りのボールを受けるとディフェンダーの間隙を衝くシュート。これがファーサイドのゴールネットを揺らしクラブ初ゴール。 さらには、2-1で迎えた後半44分に自陣GKからのロングフィードを起点としたカウンターから、ペナルティエリア内左でボールを受けると、寄せるディフェンダーを切り返しでかわし振りの速いシュートでこの試合2点目のゴールを決める。
≪シーズン別クラブ出場記録≫
シーズン | 所属 | 大会 | 試合 | 出場 時間 | 得点 | アシ スト |
---|---|---|---|---|---|---|
2021年(18歳) | パウメイラス | 全国選手権 | 2 | 73 | 1 | 0 |
合計 | 2 | 73 | 1 | 0 | ||
2022年(19歳) | パウメイラス | トップチーム出場なし | ||||
2023年(20歳) | パウメイラス | リベルタドーレス | 2 | 48 | 0 | 0 |
全国選手権 | 7 | 228 | 0 | 0 | ||
合計 | 9 | 276 | 0 | 0 | ||
2023/24年(21歳) | シャクタルドネツク/UKR | UEFAヨーロッパリーグ | 1 | 13 | 0 | 0 |
ウクライナプレミアリーグ | 2 | 100 | 2 | 0 | ||
合計 | 3 | 113 | 2 | 0 |
イタリック斜体は、2024年3月11日現在の記録。 ※ シーズン欄の年齢は、12月31日時点の年齢です。
<代表経歴>
– 2021 –
2021年10月27日、翌11月にメキシコで開催されるU-18レヴェレーションズ杯に向けた世代別代表に招集を受ける。(大会での試合出場なし)
– 2023 –
2023年4月15日~27日にかけて行われるスペイン合宿に向けたU-20代表メンバーに選出。
4月19日のドミニカ共和国戦はジオヴァーニ(Giovane, コリンチャンス)との交代で途中出場。
4月22日のウズベキスタン戦では先発出場。後半15分にPKを獲得。後半26分にはサイドを個人技で抜け出し、ペナルティエリア内でフリーのエギーニョ(Eguinho, ヴァスコ・ダ・ガマ)へのクロス。後半38分、アルトゥール(Arthur, アメリカ・ミネイロ)からのクロスで世代別代表での初ゴールを決める。この試合のブラジルの4得点のうち3得点に絡む活躍を見せる。
U-20W杯に向けた最後の対外試合となる4月25日のイラク戦はジオヴァーニとの交代で途中出場。0-1のビハインドで迎えた後半15分、マテウス・マルティンス(Matheus Martins, ワトフォード/ENG)とのパス交換から同点ゴールを奪う。
2023年U-20W杯
2023年4月28日発表の2023U-20W杯代表に招集。
下表「節」欄のリンクは、当ブログの記事にリンクしています。記事内には、当該試合の出場&控えメンバー(ブラジルU-20代表のみ)、試合経過、得点シーン中心の動画、所感を掲載しています。
試合日 | 節 | 対戦 相手 | 試合 結果 | 出場 時間 | 得点 | アシ スト |
---|---|---|---|---|---|---|
2023/05/21 | グループR第1節 | イタリア | 2 – 3 | 26 | 0 | 0 |
2023/05/24 | グループR第2節 | ドミニカ共和国 | 6 – 0 | 45 | 0 | 1 |
2023/05/25 | グループR第3節 | ナイジェリア | 2 – 0 | 13 | 0 | 0 |
2023/05/31 | 決勝R1回戦 | チュニジア | 4 – 1 | – | – | – |
2023/06/01 | 決勝R準々決勝 | イスラエル | 2 – 3 | 24 | 0 | 0 |
合計 | 16 – 7 | 108 | 0 | 1 |
<プレースタイル、雑感 etc.>
利き足は右。主に右ウィングとしてプレー。 優れたボディバランスと卓越した足元の技術、爆発的なスピードでディフェンダーを次々とかわすドリブルが魅力。 振りの小さいシュート、内に巻き込むシュートなどシュート技術に優れる。 左サイドでのプレーでは、シュート技術に溢れた右足から放たれるシュートのみならず、左足から高精度のクロスを供給する。
2023年1月、シャクタルドネツク/UKRから約1000万ユーロのオファーを受けるが、アベウ・フェヘイラ監督の要望により、パウメイラスはオファーを拒否。併せてパウメイラスとの契約を更新、新たに3000万ユーロの契約違約金が設定された。
近年人材の宝庫と化しているパウメイラス下部組織所属のウィンガー。2021年、18歳でトップチームデビューを果たすが、飽和状態にあるポジションでポジション争いに加われずU-20チームでのプレーが続いている。しかし、カテゴリーではチーム三冠に貢献し、カップ戦で大会最優秀選手賞を受賞するなど着実にトップチームでの出場機会に向けた準備は進んでいる。
2023年4月には、5月20日に開幕するU-20W杯に向けた代表合宿に選出、そこで実施された3か国との親善試合ではチーム6得点のうち4得点に絡む活躍(うち2得点は自身のゴール)を見せた。 2023年4月28日に発表されるU-20W杯代表メンバーへの選出が大きく期待される。
(2024年3月11日追記) 2023年は、U-20W杯に出場。帰国後のU-20リベルタドーレスを経て、トップチームに招集されるものの、層の厚いフォワード陣にあってなかなか出場機会に恵まれない。しかし、FWドゥドゥ(Dudu, 1992)のケガもあり、少しずつ出場機会を獲得していくと、リベルタドーレス準決勝ボカ・ジュニオルス/ARG戦に一点のビハインドの状況でピッチに送り出され出色の活躍を見せる。しかし、チーム戦術の変更により、再びベンチを温める試合が続いた。
U-20W杯は4試合100分強の出場、パウメイラスでも満足のいく試合出場時間を得られなかったものの、シャクタルドネツク/UKRは2023年1月の移籍金1000万ユーロのオファーに引き続き、1500万ユーロとさらに大きく評価を上げて再オファー。2024年1月にシャクタルドネツクへの移籍が決まった。
移籍後は3試合目にして1試合2得点をマークする上々の滑り出し。このままシャクタルドネツクで実績を残し、欧州市場で市場価値を高め、西ヨーロッパのサッカーの中心地へ進出を図りたい。