【ブラジル全国選手権2023】第3節(1/2)

投稿者: | 2023年4月29日

投稿内の選手名のリンクは、当ブログ選手紹介記事にリンクしています。
投稿内の「動画URL」はブラジルスポーツサイト「ge」YouTube公式チャンネルのダイジェスト動画にリンクしています。

全国選手権第3節 対戦組合せ


以下の5試合はこの記事で。
・2023/04/29 コリチバ(CFC) x サンパウロ(SAO)
・2023/04/29 フォルタレーザ(FOR) x フルミネンセ(FLU)
・2023/04/29 パウメイラス(PAL) x コリンチャンス(COR)
・2023/04/29 サントス(SAN) x アメリカ・ミネイロ(AME)
・2023/04/29 RBブラガンチーノ(RBB) x クルゼイロ(CRU)
以下の5試合はこちらで。→ 【ブラジル全国選手権2023】第3節(2/2)
・2023/04/29 アトレチコ・ミネイロ(CAM) x アトレチコ・パラナエンセ(CAP)
・2023/04/30 フラメンゴ(FLA) x ボタフォゴ(BOT)
・2023/04/30 インテルナシオナウ(INT) x ゴイアス(GOI)
・2023/04/30 クイアバ(CUI) x グレミオ(GRE)
・2023/05/01 ヴァスコ・ダ・ガマ(VAS) x バイーア(BAH)

全国選手権第3節 試合概要

コリチバ(CFC) 1-1 サンパウロ(SAO)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=SIbyF-fuxp0
CFC : 12' #6 ブルーノ・ゴメス(Bruno Gomes, 2001)[#11 アレフ・マンガ(Alef Manga, 1994)]
SAO : 81' #32 マルコス・パウロ(Marcos Paulo, 2001)[#38 カイオ・パウリスタ(Caio Paulista, 1998)]

見どころ

   コリチバは現在引き分けを挟み公式戦8試合勝ち星なし。直近の3試合は無得点計8失点と攻守に歯車が噛み合っていない。攻撃はこの8試合のチーム5得点のうち4得点をマークするアレフ・マンガ(Alef Manga, 1994)を中心に組み立てるが、相手守備は狙いどころが絞りやすくなっている。ザーゴ(Zago)新監督は週中のコパ・ド・ブラジルに初采配。しかし、2日間のトレーニングでは十分な改善は見られなかった。今節はホームでの試合。2月23日以来の勝利をホームサポーターに贈りたい。
   サンパウロは、4月20日に就任したドリヴァウ・ジュニオール(Dorival Júnior)監督のもと公式戦いずれも無失点で2連勝。週中のコパ・ド・ブラジル3回戦2ndレグでは、1stレグを0-0で引き分けたイトゥアーノを相手に高いラインを敷き、ボール、試合を支配。スコアは1-0だったが、枠内シュート9、被シュート2と内容で圧倒した。今まで出場機会にあまり恵まれていなかった選手を多く起用し、チーム内の競争がいい方向に働いている。この試合では不振のホームコリチバがアグレッシブに来ることが予想されるが、今のいい流れで相手を凌ぎ好調を加速させたいところだ。

得点シーン

(CFC)前半12分:
敵陣左スローイン、FWアレフ・マンガがディフェンダーを背に頭でペナルティエリア入口、ライン間に位置取るVOLブルーノ・ゴメスへボールを送る。ブルーノ・ゴメスはボールを受けるとディフェンダーが詰めてくる前に思い切りよくシュート。これがゴールネットを揺らし、ホームのコリチバが先制。
   ブルーノ・ゴメスは2022年7月にインテルナシオナウからのレンタルでコリチバ入り。加入後間もなくレギュラーの座を掴む。2023年1月コリチバは買取オプションを行使。今季も不動のレギュラーとしてチーム19試合のうち18試合に出場。チーム成績は振るわないが、この試合ではこのゴール以外にも攻守にコリチバの中盤を支えた。
   アレフ・マンガがアシストを記録。チームの最近5試合4得点のすべて(3得点1アシスト)に絡む。しかし、この日はこの後幾度をチャンスを逃すことになる。
(SAO)後半36分:
敵陣中央でのパス回しから最後はマルコス・パウロがペナルティエリア入口からシュート。このシュートはディフェンダーの当たり縦回転でGKの頭を超えゴールイン。サンパウロが同点に追いつく。
   マルコス・パウロは全国選手権2試合連続得点。最近の4試合で3点目。監督交代を機に出場機会を得るようになると短い時間で結果を出し続けている。

試合概要

   立ち上がりからホームのコリチバがサンパウロ陣で試合を進める。すると前半12分にブルーノ・ゴメスのゴールで先制。
   コリチバの先制後はサンパウロがボールを保持し、コリチバ陣内でのプレー時間が長くなる。サンパウロの前半19分のFK、前半21分のミドルシュートはいずれもコリチバGKガブリエウ(Gabriel, 1992)が好セーブ。前半31分のMFホドリゴ・ネストール(Rodrigo Nestor, 2000)はゴールポストに阻まれる。
   一方のコリチバは、前半45+4分に自陣からのカウンターでアレフ・マンガが抜け出しGKとの一対一を迎えたが、GKハファエウ(Rafael, 1989)が上手く間合いを詰めこのピンチを防ぐ。
   後半も同点に追いつきたいサンパウロが、相手陣でボールをキープしコリチバゴールに迫る。一方のコリチバはワントップのアレフ・マンガを起点にしたカウンターを狙う。
   後半3分、サンパウロが敵陣左ゴールライン近くで得たFKからゴールを狙う。しかし、コリチバが大きくクリア。アレフ・マンガが抜け出しシュートまで持ち込むが、シュートはGKハファエウがしっかりとキャッチ。後半32分にもアレフ・マンガがカウンターからチャンスを迎えるがシュートは枠を超える。
   サンパウロは、サイド攻撃や中央からの崩しを仕掛けるが、なかなかコリチバの堅固な守備を崩せない。しかし、後半36分、遂に同点に追いつく。その後もゴールに迫るが同点のままタイムアップ。両チーム勝ち点1を分け合う。

補足情報、 所感 etc.

   コリチバはザーゴ新監督が指揮を執り2試合目。先制しながらも守り切れず、コリチバは3月に続き4月も勝ち星なしで終えた。守備では粘り強くサイド攻撃や中央からの攻撃を凌ぎ、カウンターから追加点を奪うチャンスをたびたび迎えたがことごとく逸した。最近の試合では複数失点を喫していたため守備の構築が優先課題とはなるが、守備ラインが低く、カウンター以外の攻め手が見えてこない。次の試合まで中7日、どのようにザーゴ監督がチームを構築してくるか期待したい。
   サンパウロは週中のコパ・ド・ブラジル、中2日で迎えるコパ・スウアメリカーナの日程を踏まえ、今季2試合目の出場となるCBジエゴ・コスタ(Diego Costa, 1999)や途中出場のVOLルアン(Luan, 1999)を起用する。
   試合は立ち上がりこそ押し込まれ先制を許すも、以降は試合の主導権を握る。何度かカウンターからピンチを招くがGKハファエウが好セーブを連発。相手GKの好守になかなかゴールを奪えなかったが粘り強く攻め続け同点に追いつきアウェイで勝ち点1を獲得。
   ドリヴァウ・ジュニオール監督の敵陣でのプレスから試合の主導権を握る戦術が浸透しつつある。決定力、カウンターの際のディフェンスにまだ課題は残るものの着実にチーム力は向上している。コパ・スウアメリカーナの次には全国選手権でインテルナシオナウ、フォルタレーザと上位チームとの試合が続くが、その戦いぶりが注目される。

フォルタレーザ(FOR) 4-2 フルミネンセ(FLU)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=_qgRIrmfU20
FOR : 29' #91 チアゴ・ガリャルド(Thiago Galhardo, 1989)[]
FOR : 35' #21 モイゼス(Moisés, 1996)[]
FLU : 45+2' #18 アラン(Alan, 1989)[#9 ジョン・ケネジー(John Kennedy, 2002)]
FOR : 60' #21 モイゼス(Moisés, 1996)[#6 ブルーノ・パシェコ(Bruno Pacheco, 1991)]
FLU : 69' #9 ジョン・ケネジー(John Kennedy, 2002)[#10 パウロ・エンヒキ・ガンソ(PH Ganso, 1989)]
FOR : 79' #35 エルクレス(Hércules, 2000)[]

見どころ

   好調な2チームによるこの一戦は、今節最も注目したい試合。
   フォルタレーザは、4月に入り公式戦8戦6勝2分、直近はアウェイでの3連戦を無失点で抑え3連勝を果たしている。週中のコパ・ド・ブラジルでは先発を10選手入れ替えたが前半の早い時間に2点を奪い完勝。レギュラー陣は休養十分、控え陣も自信をつけ、首位を走るフルミネンセに挑む。
   フルミネンセは全国選手権首位、公式戦は7連勝中で5試合連続無失点を継続している。軸になる選手を中心に選手をローテーションで起用し5枚の交代枠を有効に使い多くの選手を試合に投入、控え選手のレベルアップが図られている。

得点シーン

(FOR)前半29分:
フルミネンセのゴールキックを空中戦に競り勝ったボールをMFポチェチーノ(Pochettino, 1996)がFWモイゼスに繋ぎ、FWモイゼスはディフェンダーをなぎ倒しシュート。GKファビオ(Fábio, 1980)が一旦は弾き返すが、FWチアゴ・ガリャルドが詰め、ホームのフォルタレーザが先制。
   FWチアゴ・ガリャルドは2017年にアルビレックス新潟でプレー。フォルタレーザには2022年7月にインテルナシオナウからのレンタル加入。2023年に完全移籍を果たす。今季はこの試合終了時点で26試合12得点3アシストを記録。
(FOR)前半35分:
自陣ゴールから30mの地点でボールを奪ったFWモイゼスがそのままドリブルで持ち込みGKファビオの足元を通すゴラッソでフォルタレーザが追加点。
   FWモイゼスはボイボダ(Vojvoda)監督の信任が厚く、2022年にはチーム最多の66試合に出場、チーム内得点ランキング2位の16点をマーク。今季はシーズン初めに骨折により戦列を離脱したものの3月下旬に復帰。復帰後の12試合で4試合1アシスト、チームは8勝2分1敗と好調を牽引している。
(FLU)前半45+2'分:
左CKはショートコーナーを選択、5本のパスを繋ぎ、最後はFWアランがボールをゴールに押し込み、前半のうちにフルミネンセが1点差に詰め寄る。
   アランはオーストリアと中国で長くプレー。U-17,U-20ブラジル代表歴を持つが、広州恒大/CHN在籍時に中国国籍を取得、中国代表として12試合3得点1アシストを記録している。
(FOR)後半15分:
自陣でVOLエルクレスが奪ったボールをSBブルーノ・パシェコがドリブルで相手をかわし、SBブルーノ・パシェコが守備ライン裏に抜け出すFWモイゼスへスルーパス。GKと一対一となったFWモイゼスはGKの位置を確認し落ち着いてシュートを放ち貴重な追加点。
   左SBブルーノ・パシェコは前節コリチバ戦でも得点に絡むプレーをみせている攻撃的なSB。新加入選手の一人だが全国選手権は3試合すべてにフルタイム出場を果たしボイボダ監督の信頼を獲得している。
(FLU)後半24分:
MFガンソからのパスにペナルティエリア内でディフェンダーを背負いながら受けたFWジョン・ケネジーが巧みな足技でディフェンダーをかわしトゥーキックでネットを揺らす。フルミネンセが再び1点差に迫る。
   FWジョン・ケネジーは、サンパウロ州選手権限定のレンタル移籍でレンタル先のフェホヴィアーリアで11試合6得点をマーク。フルミネンセ復帰後は6試合3得点1アシストを記録。レギュラー争いに名乗りを上げている。
(FOR)後半34分 :
ペナルティエリア左角からFWモイゼスが強烈なシュート。GKファビオが弾き返したボールをVOLエルクレスがゴールに押し込み貴重な追加点をフォルタレーザが奪う。
   VOLエルクレスは前年2022年にレギュラーを獲得。2023年4月にフラメンゴがウルヴァーハンプトン/ENGへ移籍したジョアン・ゴメス(João Gomes, 2001)の後継として獲得オファーをしたがクラブ間合意に至らなかった。フォルタレーザは国外移籍の場合の移籍金として1000万ユーロを設定している。

試合概要

   中2日のリベルタドーレスで強豪リーベルプレート/ARGとの試合が控えるフルミネンセは攻撃的なポジションに控え選手を起用する。
   試合は立ち上がりからホームのフォルタレーザが敵陣や中盤で激しいプレスをかけフルミネンセに試合を作らせない。むしろ、ボールを高い位置で奪っては次々とフルミネンセゴールに迫る。フルミネンセはGKファビオが立て続けに好セーブを見せるが、前半29分、遂にはフォルタレーザが先制点を奪う。さらに前半35分に追加点。フルミネンセも前半終了間際に1点を返す。
   後半に入りフルミネンセはMFガンソ、FWジョン・アリアス(Jhon Arias, 1997)を投入するが、フォルタレーザの勢いを止めることは出来ない。後半15分にフォルタレーザが追加点。その直後にフルミネンセはヘルマン・カーノ(Germán Cano, 1988)を投入。再び1点差に詰め寄るが、フォルタレーザの鋭いカウンターが再びさく裂し4-2でフォルタレーザが勝ち点3を獲得した。

補足情報、 所感 etc.

   フォルタレーザが、敵陣での速く厳しいプレスと高精度のカウンター、決定力の高さで首位フルミネンセに完勝。シュート数21のうち枠内シュートが17という驚異の数字。FWモイゼスを中心にしたカウンターはサポートもありフルミネンセGKファビオの牙城を崩した。
   4月は7勝2分無敗。全国選手権は暫定ながら首位に立った。
   フルミネンセは立ち上がりからペースが掴めず、フォルタレーザの術中にはまる。温存したかったであろうガンソ、ジョン・アリアスを後半開始時にガブリエウ・ピラーニ(Gabriel Pirani, 2002)、アランと交代で投入。さらにはカーノも投入したがフォルタレーザの勢いを止めることが出来ず首位陥落。
   週中のリベルタドーレス、難敵のリーベルプレート戦は気持ちを切り替えて挑みたい

パウメイラス(PAL) 2-1 コリンチャンス(COR)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=IrYyQKEfYqs
PAL : 16' #26 ムリーロ(Murilo, 1997)[#23 ハファエウ・ヴェイガ(Raphael Veiga, 1995)]
PAL : 36' #23 ハファエウ・ヴェイガ(Raphael Veiga, 1995)[]
COR : 76' #xx オウンゴール(Gol Contra)[]

見どころ

   パウメイラスは、直近の試合では厳しい日程と多くのケガ人が災いし、前年の圧倒的なパフォーマンスが見られない。とはいえ。前週のヴァスコ戦は0-2から追いつき終盤は試合を支配、週中のコパ・ド・ブラジルは控え選手中心の試合ながら1-1で引き分けベスト8進出を決めており、最低限の結果を残している。コパ・ド・ブラジルではケガで戦列を離脱していた3選手が途中出場を果たすなど明るい材料も。今節はホームでのクラシコ コリンチャンス戦。激しい戦いが予想されるが、二連覇に向けて勝ち点を落とすわけにはいかない。
   コリンチャンスは週中のコパ・ド・ブラジルの試合後にクーカ(Cuca)監督の辞任を発表。今節は代行監督のもとで臨むことになる。そのコパ・ド・ブラジルは、全国選手権3部のヘモを相手に後半アディショナルタイムに2試合合計の同点に追いつき、PK戦の末なんとかベスト8進出を果たした。相次ぐ監督の交代に選手も動揺を隠せないが、チーム一丸となってパウメイラス戦に挑む。

得点シーン

(PAL)前半16分:
右CK、キッカーMFハファエウ・ヴェイガが蹴ったボールは、誰にも競られることなくCBムリーロが頭に合わせ早くもホームのパウメイラスが先制。
   ムリーロは得点力のあるCB。2022シーズンも11得点をマークしておりCBグスタボ・ゴメス(Gustavo Gómez, 1993)とともにセットプレーからの得点源として他チームから脅威となっている。

(PAL)前半36分:
自陣からのロングカウンター。右サイドからFWアルトゥール(Artur, 1998)がペナルティエリア内左のFWドゥドゥ(Dudu, 1992)へパスを送る。ドゥドゥがはたいたボールをMFハファエウ・ヴェイガがシュート。一度はブロックされるも跳ね返ったボールを再び蹴り込み、パウメイラスが追加点。
   MFハファエウ・ヴェイガはパウメイラスの現在の黄金期を主力として活躍。この日の試合は太もものケガで20日ぶりの試合出場となったがいきなり1得点1アシストを記録。
(COR)後半31分 :
左サイドからのCK。キッカーのFWホージェル・ゲデス(Róger Guedes, 1996)が蹴ったボールが相手ディフェンダーのクリアミもがありゴールイン。コリンチャンスが1点差に詰め寄る

試合概要

   全体を通してパウメイラスが試合を支配。高い位置でプレスをかけ前半15分に早くもセットプレーから先制すると、前半30分には引いた守備で自陣からのロングカウンターを発動し追加点。後半は途中出場のMFジョン・ジョン(Jhon Jhon, 2002)やジョヴァーニ(Giovani, 2004)が決定的な場面を迎えるなど内容的には一方的な試合となった。
   コリンチャンスもセットプレーから1点を返すが反撃はそこまで。
   2-1でパウメイラスが勝利。パウメイラスは2勝1分で暫定ながら2位に浮上。コリンチャンスは1勝2敗で暫定16位。

補足情報、 所感 etc.

   パウメイラスは、週中のコパ・ド・ブラジルでケガから復帰したFWホニ(Rony, 1995)、右SBマイキ(Mayke, 1992)、左SBピケレス(Piquerez, 1998)の3選手とMFハファエウ・ヴェイガがスタメンに名を連ねる。ピケレスを除く3選手は後半途中に2000年代生まれの若手選手と交代。実戦でケガ明けの選手の試合勘を取り戻し、同時に若手の試合経験を積ませ、尚且つ勝ち点3を獲得。どの選手が出場してもチームとして高いレベルで一定のパフォーマンスが保たれており、チーム力は僅か2敗で全国選手権制覇を果たした昨年を上回っているかもしれない。
   コリンチャンスは週中にクーカ(Cuca)監督が辞任し代行監督のもとでの試合。今季あまり出場機会に恵まれていないマテウス・ビドゥ(Matheus Bidu, 1999)、ホメーロ(Romero, 1992)を先発に起用するが、チームの完成度の差で敗北。
   次期監督には2004-05年にヴィッセル神戸でプレーしたホージェル・マシャード(Roger Machado)氏が有力。個人的に約束事が多く守備的な印象があるホージェル氏だが、今季の課題となっているヘナト・アウグスト(Renato Augusto, 1988)不在時の攻撃をどのように構築し、チームを立て直してくるか、その手腕に期待したい。

サントス(SAN) 3-2 アメリカ・ミネイロ(AME)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=uXCZxWnxbmU
AME : 7' #16 アレー(Alê, 1990)[#99 アロイージオ(Aloísio, 1988)]
SAN : 19' #20 メンドーサ(Mendoza, 1992)[#10 ソテウド(Soteldo, 1997)]
SAN : 40' #4 バウエルマン(Bauermann, 1996)[#20 メンドーサ(Mendoza, 1992)]
AME : 49' #37 エヴェラウド(Everaldo, 1994)[#6 マルロン(Marlon, 1994)]
SAN : 69' #9 マルコス・レオナルド(Marcos Leonardo, 2003)[PK]

見どころ

   サントスは、全国選手権でいまだ無得点。週中のコパ・ド・ブラジルでは全国選手権2部のボタフォゴ-SPを相手にセットプレーからの1点のみ。一方で、州選手権敗退後の7試合は僅か1失点と守備面は大きく改善している。低い位置での堅固な守備ラインが功を奏しているが、そのためFWが孤立し、攻撃に時間や手数がかかり過ぎるなど、表裏一体の課題を抱えている。これをどう解決していくかオダイール(Odair)監督の手腕が試される。
   アメリカ・ミネイロは4月1日に今シーズンの初黒星を喫すると、4月はこれまで3勝5敗。全国選手権はいずれも0-3の2連敗と不振に陥っている。しかし、週中のコパ・ド・ブラジルでは全国選手権4部のノヴァ・イグアスを相手に5-0の完勝を収めた。この勝利で自信を取り戻すことができたであろうか。
   不振の両チームによる一戦。悪い流れを断ち切るためにも両チームとも勝点3を獲得したい。

得点シーン

(AME)前半7分:
 ペナルティエリア内ゴールライン際からFWエヴェラウドがFWアロイージオへボールを下げると、FWアロイージオは中央にクロス。後方から走り込んだVOLアレーが相手ディフェンダーの手前で足を合わせゴール。アメリカ・ミネイロが全国選手権3試合目にして初ゴールで先制。
   VOLアレーはクラブ4年目、身長184㎝の長身ボランチ。4年間レギュラーを務めチームの成長を支え、3月には2025年末まで契約を更新。
(SAN)前半19分:
FWソテウドがペナルティエリア内左で個人技で2人を抜くとFWメンドーサについていたディフェンダーがソテウドに詰める。するとフリーになったメンドーサへソテウドからのパス。メンドーサはダイレクトにボールをゴールネットに突き刺し同点。サントスもまた全国選手権3試合目にして初ゴール。
   元ベネズエラ代表のソテウドと元コロンビアU-20代表のメンドーサによる得点。祖国は敵対関係にあるがピッチ上では政治問題を超えた競演によるゴール。
(SAN)前半40分:
敵陣に10mほど入った地点左サイドからのFK。FWソテウドが中央にあげたボールをFWメンドーサが頭でそらしCBバウエルマンがGKをかわす柔らかいシュートでゴールネットを揺らす。サントスが逆転。
   CBバウエルマンは2013年U-17W杯、2015年U-20南米ユース選手権に出場。2020-2021年の2年間をアメリカ・ミネイロでプレー。2022年は58試合2得点だったが、今季はこれまで19試合3得点1アシストを記録。
(AME)後半4分: 
攻撃の起点MFベニテス(Benítez, 1994)が左サイドにボールを振るとFWエヴェラウドと左SBマルロンがパス交換からエヴェラウドがペナルティエリアに侵入。ディフェンダーの間を通るシュートはサイドネットを揺らしアメリカ・ミネイロが同点に追いつく。
   FWエヴェラウドはコリンチャンスからのレンタルで今季3年目。昨季は41試合6得点3アシストを記録したが、今季は13試合ですでに3得点。週中のコパ・ド・ブラジルに続き2試合連続のゴール。
(SAN)後半24分:
ペナルティエリア内でメンドーサが倒れる。VARの結果、ディフェンダーがクリアした際にメンドーサのふくらはぎを蹴っておりPKの判定。これをFWマルコス・レオナルドが中央に決めサントスが再びリード。
   FWマルコス・レオナルドは4月28日に発表されたU-20W杯の代表メンバーに選出。ヨーロッパのビッグクラブも注目するストライカー。

試合概要

   全国選手権では無得点の両チーム。サントスは今までよりラインを高めに設定。アメリカ・ミネイロはSB(特に左)が高い位置をとり積極的に攻撃に参加する。
   立ち上がりはサントスが敵陣で試合を展開するが、先制点はアメリカ・ミネイロ。前半7分に左サイドが起点となりアメリカ・ミネイロが先制。しかし、サントスも前半18分にソテウドの個人技からメンドーサのゴールで追いつく。試合はアメリカ・ミネイロが敵陣で優位に試合を進め度々ゴールに迫るが得点を奪うことが出来ない。すると前半40分にFKからサントスが逆転に成功。
   後半早々の3分にアメリカ・ミネイロが同点に追いつく。試合は一進一退を繰り返すが、後半24分にVARの介入からサントスがPKを獲得。これをマルコス・レオナルドが冷静に決めサントスが勝ち越し。その後はアメリカ・ミネイロがサントスゴールに迫るがサントス守備陣がしのぐ。後半アディショナルタイムにバウエルマンがFWミカエウ(Mikael, 1999)にパスをカットされ、ドリブルで駆け上がるミカエウをペナルティエリア手前で腕をかけ倒す。バウエルマンは一発退場。アメリカ・ミネイロは絶好の位置で得たFKからミカエウが強烈なシュートを放つが、サントスGKジョアン・パウロ(João Paulo, 1995)がビッグセーブ。
   試合はこのままタイムアップ。サントスが全国選手権初勝利を飾った。

補足情報、 所感 etc.

   サントスは週中のコパ・ド・ブラジルと同じ先発メンバーで試合に臨む。以前同様、低い位置での守備ラインを敷くが両ウィングが守備で自陣深くまで戻らず比較的高い位置を保つ。試合は先制を許すが前半のうちに逆転。後半に一度は追いつかれるが突き放し全国選手権初勝利を飾る。しかし、不調のアメリカ・ミネイロには通じたが。。。次の試合は中3日でアウェイのコパ・スウアメリカーナ、さらに中2日でアウェイでのクルゼイロ戦。クルゼイロは監督交代を機にトリアングラソン(選手が大小の三角形を作るポジショニング)からパスを繋ぐサッカーで調子を上げているだけに現状では次節も苦戦が予想される。
   アメリカ・ミネイロは全国選手権開幕から3試合連続3失点を喫し3連敗。週中のコパ・ド・ブラジルは5-0で完勝し、波に乗るかと思われたがアウェイで再び敗戦。ボール保持率やシュート数などの記録は相手を上回りながらも数少ないチャンスをものにされている。コパ・スウアメリカーナ、コパ・ド・ブラジルが並行開催される厳しい日程の中、チームを劇的に変える手段はあまりないのかもしれないが、なんとか悪い流れを断ち切ってもらいたい。

RBブラガンチーノ(RBB) 0- クルゼイロ(CRU)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=bnVmDe0A3rM
RBB : N/A
CRU : 1' #17 ハミーロ(Ramiro, 1993)[]
CRU : 64' #21 ジウベルト(Gilberto, 1989)[#7 マテウス・ヴィタウ(Mateus Vital, 1998)]
CRU : 87' #9 ブルーノ・ホドリゲス(Bruno Rodrigues, 1997)[]

見どころ

   ホームのブラガンチーノ。前節アウェイでのクイアバ戦は、開幕節バイーア戦に続き試合の立ち上がりこそボールをキープするものの攻め手に欠け、次第に試合の主導権を失い先制点を奪われる苦しい展開。後半40分に同点に追いつき何とか勝ち点1を獲得。ホームでのこの一戦はスッキリとした内容で勝ちたいところ。
   クルゼイロは、開幕節こそ中盤が機能しなかったが、前節グレミオ戦では選手間の距離間がよく一貫して主導権を握り1-0のスコアながら試合内容は快勝。週中のコパ・ド・ブラジルでは1stレグの1点ビハインドを覆しベスト8進出を果たした。3月20日に就任したペパ(Pepa)監督の戦術が試合を重ねて浸透しつつある。今節はアウェイでのRBブラガンチーノ戦。連勝を果たし今後に向けて勢いに乗りたい。

得点シーン

(CRU)前半1分:
敵陣で相手のパスカットするとそのボールを拾ったVOLハミーロからFWジウベルト、MFニカォン(Nikão, 1992)、VOLハミーロとワンタッチで展開し最後はVOLハミーロがゴールネットを揺らす。早くもアウェイのクルゼイロが先制。
   VOLハミーロはグレミオ在籍時に主力メンバーとして2016年コパ・ド・ブラジル、2017年リベルタドーレスを制覇。コリンチャンスを経て今季からクルゼイロでプレー。このゴールはクルゼイロでの初ゴール。
(CRU)後半19分:
 相手陣でFWハファエウ・ビルー(Rafael Bilu, 1999)がボールを引っ掛ける。それを拾ったMFマテウス・ヴィタウがディフェンダーの裏を狙うFWジウベルトへスルーパス。ジウベルトはGKの位置をよく見てシュートを放ちゴールネットを揺らす。数的優位に立つクルゼイロが大きな追加点を奪う。
   FWハファエウ・ビルーは2022シーズンにクリシューマでプレーするもケガもあり21試合の出場に終わり契約満了。今季は半年間の契約でクルゼイロでプレー。シーズン初めの州選手権で2試合先発出場するがやがて出場機会を失う。監督交代を機に再びチャンスを与えられると途中交代ながら5試合連続出場、この試合では得点に絡む。このまま契約延長を勝ち取り、ペパ(Pepa)監督のもとスーパーサブからレギュラーへと躍進することができるだろうか。
(CRU)後半42分:
左サイドライン際でボールを受けたFWブルーノ・ホドリゲスがドリブルでペナルティエリアに侵入。一対一マークにつくディフェンダーの寄せが甘くなるところを右足を振り抜きクルゼイロがダメ押しの3点目。
   FWブルーノ・ホドリゲスは全国選手権2部のトンベンセからのレンタルで2022年7月にクルゼイロに加入。今季はチーム全試合の15試合に出場6得点3アシストを記録。出場時間はフィールドプレーヤーで最大。クルゼイロは完全移籍での獲得交渉を進めている。

試合概要

   試合は開始55秒でアウェイのクルゼイロが先制。同点に追いつきたいブラガンチーノは前半12分、23分とクルゼイロゴールに迫るが得点を奪えない。すると前半28分、ブラガンチーノディフェンダーが、ライン裏に抜け出した相手選手をペナルティエリア手前で倒し一発レッド。ホームRBブラガンチーノのゲームプランは一気に崩れる。さらに前半32分にはFWソヒーゾ(Sorriso, 2000)が負傷により交代を余儀なくされるアクシデントが発生する。
   後半に入りRBブラガンチーノは一気に3選手を交代し巻き返しを図るが、試合は一進一退を繰り返す。しかし、後半16分にクルゼイロが追加点。後半23分にCBの間でボールを受けたブラガンチーノFWチアゴ・ボルバス(Thiago Borbas, 2002)がシュートに持ち込むがクルゼイロGKルカォン(Lucão, 2001)がファインセーブ。後半42分にクルゼイロが追加点を奪い試合は終了。
   3-0でクルゼイロがアウェイで勝ち点3を勝ち取った。

補足情報、 所感 etc.

   ホームRBブラガンチーノは中2日で迎えるコパ・スウアメリカーナ難敵エストゥジアンテス/ARG戦を控え、ベストとは言えない布陣で試合に臨んだとはいえ、ミスに端を発する試合開始直後の失点や前半に退場者をだすなど内容の乏しい敗戦。3点目の失点もマークが甘く、これで21試合を消化して21失点。守備の再構築が待たれる。
   クルゼイロは、ペパ監督就任後間もなくは2連敗を喫したが、ここにきて公式戦3連勝。この試合でもトリアングラソン(選手が大小の三角形の形にポジションをとること)からのワンタッチのパス回しや長短入り交えたパス、高い位置からの守備が機能し完勝。今後一段の飛躍を予感させる内容の勝利だった。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です