投稿内の選手名のリンクは、当ブログ選手紹介記事にリンクしています。
投稿内の「動画URL」はブラジルスポーツサイト「ge」YouTube公式チャンネルのダイジェスト動画にリンクしています。
全国選手権第3節 対戦組合せ
以下の5試合はこちらで。→ 【ブラジル全国選手権2023】第3節(1/2)
・2023/04/29 コリチバ(CFC) x サンパウロ(SAO)
・2023/04/29 フォルタレーザ(FOR) x フルミネンセ(FLU)
・2023/04/29 パウメイラス(PAL) x コリンチャンス(COR)
・2023/04/29 サントス(SAN) x アメリカ・ミネイロ(AME)
・2023/04/29 RBブラガンチーノ(RBB) x クルゼイロ(CRU)
以下の5試合はこの記事で。
・2023/04/29 アトレチコ・ミネイロ(CAM) x アトレチコ・パラナエンセ(CAP)
・2023/04/30 フラメンゴ(FLA) x ボタフォゴ(BOT)
・2023/04/30 インテルナシオナウ(INT) x ゴイアス(GOI)
・2023/04/30 クイアバ(CUI) x グレミオ(GRE)
・2023/05/01 ヴァスコ・ダ・ガマ(VAS) x バイーア(BAH)
全国選手権第3節 試合概要
アトレチコ・ミネイロ(CAM) 2-1 アトレチコ・パラナエンセ(CAP)
動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=h6as7KHQfWE
CAM : 10' #7 フッキ(Hulk, 1986)[#8 エデニウソン(Edenílson, 1989)]
CAM : 86' #7 フッキ(Hulk, 1986)[#21 バタグリア(Battaglia, 1991)]
CAP : 90+2' #9 ヴィトル・ホッキ(Vitor Roque, 2005)[#8 ヴィトル・ブエノ(Vitor Bueno, 1994)]
見どころ
両チームは4月18日にリベルタドーレスで対戦。この時はアトレチコ・パラナエンセがホームで2-1の勝利。両者ともに持ち味を出した好ゲームだったが、GKベント(Bento, 1999)の再三の好守がアトレチコ・パラナエンセに勝利を導いた。アトレチコ・ミネイロはホームで雪辱なるか。
アトレチコ・ミネイロは、全国選手権は2節を終え1分1敗。前節サントス戦は押し気味に試合を進めたが相手ゴールを割ることが出来なかった。週中のコパ・ド・ブラジルではサントス戦から8人の先発選手を入れ替え、引き分けながらベスト8進出を決めた。今節はリベルタドーレスで苦杯を舐めたアトレチコ・パラナエンセ戦。選手権初勝利をホームで飾りたい。
アトレチコ・パラナエンセは、全国選手権1勝1敗。週中のコパ・ド・ブラジルは1stレグでの0-1の敗戦を受けての試合。前半早々に失点し、後半半ばまで得点を奪えない苦しい展開だったが、これまで出場機会に恵まれていなかった途中出場のMFアレックス・サンタナ(Alex Santana, 1995)が2ゴールを決め2試合合計の同点に追いつく。PK戦の末なんとかベスト8進出を果たした。この勢いに乗じてアトレチコ・ミネイロを退け選手権上位に食らいつきたい。
得点シーン
(CAM)前半10分:
後方からのグラウンダーのボールをVOLエデニウソンがワンタッチでFWフッキに送る。フッキがペナルティエリア入口から左足で放ったシュートはサイドネットに突き刺さりホームのアトレチコ・ミネイロが早くも先制。
VOLエデニウソンは2015/16シーズンにウディネーゼ/ITAでプレー。インテルナシオナウで5年間プレーした後、今季前にアトレチコ・ミネイロに加入。ボックストゥボックスでプレーする得点力の高いボランチ。
(CAM)後半41分:
アトレチコ・パラナエンセCBゼ・イバウドがミドルシュートを放つがVOLバタグリアがブロック。大きく跳ね返ったボールが前線のFWフッキに渡る。フッキは、ディフェンダーと並走しゴールに向かう。ペナルティエリア入口で利き足の左とは逆の右に切れ込み、左足つま先でシュート。これがゴール左に決まりアトレチコ・ミネイロが貴重な追加点を奪う。
VOLバタグリアは4月1日にマジョルカ/ESPから加入したU-20アルゼンチン代表の経歴を持つ身長187㎝の大型ボランチ。シュートブロックしたボールが運よくフッキのもとに渡りアシストを記録。
FWフッキは、全国選手権第3節にして初得点、そして2点目も奪う。今季はこれで20試合16得点3アシスト。7月に37歳を迎えるベテランは今年もチームを力強く牽引する。
(CAP)後半45+2分:
敵陣でボールを奪ったMFヴィトル・ブエノがFWヴィトル・ホッキへスルーパス。FWヴィトル・ホッキはボールを右に持ち替えファーサイドへグラウンダーのシュート。これがサイドネットに突き刺さりアトレチコ・パラナエンセが1点差に迫る。
2005年生まれのFWヴィトル・ホッキは、1月から2月にかけて開催されたU-20南米ユース選手権に17歳ながら選出され得点王となる6点を記録。その後フル代表に招集され3月25日モロッコ戦に途中交代出場。2000年以降で最年少の代表デビューを果たした。クラブではこの試合を終えて13試合に出場6試合2アシストを記録。バルセロナ/ESP、アーセナル/ENG、パリSG/FRA、インテルナツィオナーレ・ミラノ/ITAが獲得に名乗りを挙げ7月の欧州移籍ウィングでの移籍が確実視されている。
試合概要
立ち上がりこそアウェイのアトレチコ・パラナエンセ(愛称:フーラカォン)が開始30秒にアトレチコ・ミネイロ(愛称:ガーロ)GKエヴェルソン(Éverson, 1990)の好セーブに阻まれるシュートにまで持ち込むが、その後はガーロがボールを支配し攻撃の糸口を探る。
すると早くも前半10分にガーロが先制。その後もガーロが試合の主導権を握り続け、度々フーラカォンゴールに迫る。フーラカォンはボールを奪っても自陣でパスを回すだけで攻撃の糸口を掴むことが出来ない。前半36分にフーラカォンはこの日2本目のシュートを放つが枠を大きく外れる。前半終了間際にガーロが大きなチャンスを迎えるがGKベント(Bento, 1999)が立ちはだかる。
後半開始と同時にフーラカォンは3選手を交代。するとフーラカォンが前半と一変し次々にガーロゴールに迫る。しかし、ガーロもGKエヴェルソンを中心とした守備陣が粘り強く守る。後半6分に一瞬の隙をつきガーロがカウンターを仕掛けようとするがGKベントの好判断でクリア。その後も同点に追いつきたいフーラカォンが敵陣でボールを回し攻め手を窺い、ガーロはカウンターを狙う。
後半32分、ボールの奪い合いでのフーラカォンアレックス・サンタナ(Alex Santana, 1995)の肘打ちがVARで判定され一発レッドカード。10人になりながらもなおもフーラカォンは攻め続けゴールを狙うが、後半41分に不運な形からカウンターを許し失点。アディショナルタイムに1点を返すが試合はそこまで。アトレチコ・ミネイロ(ガーロ)がリベルタドーレスの雪辱を果たし、全国選手権第3節にして初勝利を収めた。
補足情報、 所感 etc.
アトレチコ・ミネイロが、リベルタドーレスでの対戦時に交代出場から攻撃の形を作ったヨハン(Hyoran, 1995)、前回の対戦時には出場機会のなかったエデニウソンがフッキらとともに攻撃を牽引し、前半はほぼ完ぺきな内容で折り返す。後半は受ける形になったがカウンターから追加点を奪い全国選手権第3節にして初白星。少しスタートダッシュに出遅れたがこれから巻き返しを図る。
アトレチコ・パラナエンセは、前半は立ち上がりを除き完全に抑えられたが、選手交代で流れを引き戻す。しかし、週中のコパ・ド・ブラジルで2得点を挙げスタメンに起用されたアレックス・サンタナが、手で相手を抑えるプレーで顔を殴る形になり後半19分にイエローカード。同様のプレーから腕を振り上げ相手に肘打ちをくらわせ後半32分に退場。軽率なプレーで後半のいい流れの足を引っ張る形となってしまった。
両チームとも週中に決勝ラウンド進出に向けて負けられないリベルタドーレスが控え、来週末の全国選手権第4節はガーロが開幕3連勝で首位を走るボタフォゴと、フーラカォンが実力がありながらも結果が出ず巻き返しを図るフラメンゴとの対戦が待ち受けている。
フラメンゴ(FLA) 2-3 ボタフォゴ(BOT)
動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=ENVPqj3OYLU
BOT : 30' #9 チキーニョ・ソアレス(Tiquinho Soares, 1991)[PK]
BOT : 45+5' #5 ダニーロ・バルボーザ(Danilo Barbosa, 1996)[#33 エドゥアルド(Eduardo, 1989)]
FLA : 58' #4 レオ・ペレイラ(Léo Pereira, 1996)[#15 ファブリシオ・ブルーノ(Fabrício Bruno, 1996)]
BOT : 71' #9 チキーニョ・ソアレス(Tiquinho Soares, 1991)[#6 チェ・チェー(Tchê Tchê, 1992)]
FLA : 86' #4 レオ・ペレイラ(Léo Pereira, 1996)[#7 エヴェルトン・ヒベイロ(Éverton Ribeiro, 1989)]
見どころ
フラメンゴはサンパオリ監督の就任後2勝1敗。実戦を通してチームを再構築している段階。週中のコパ・ド・ブラジルは1stレグの0-2での敗戦を受けての試合。スタメン変更は3選手のみで勝ちにいくとペドロ(Pedro, 1997)の4得点を始め8得点の猛攻、相手を圧倒した。今節はホームで好調ボタフォゴとのクラシコ。
ボタフォゴは週中のコパ・ド・ブラジルに勝ち、最近の11試合は9勝2分、6連勝と絶好調。全国選手権も2連勝で勝点差なしの2位。コパ・ド・ブラジルではブラジルU-20代表FWマテウス・ナシメント(Matheus Nascimento, 2004)が1ゴール、パラグアイU-20代表マチアス・セゴビア(Matías Segovia, 2003)が1アシストを記録するなど若手が躍動。チーム成績と共に選手層も厚みを増してきている。今節はクラシコのフラメンゴ戦。ライバルを叩き首位争いに食らいつきたい。
得点シーン
(BOT)前半30分:
FWヴィクトル・サー(Victor Sá, 1994)がサイドライン際からドリブルでペナルティエリアに侵入すると、相手ディフェンダーに倒されボタフォゴがPKを獲得。これをFWチキーニョ・ソアレスが決め劣勢のボタフォゴが先制。
ヴィクトル・サーは2015/16シーズンにオーストリアへ渡り、ドイツ、UAEを経て2022年4月にボタフォゴに加入。スピード、ドリブル、オフザボールのポジションニングに優れ加入後間もなく左WGとしてレギュラーの座を獲得。
(BOT)前半45+5分:
右CKからMFエドゥアルドが蹴ったボールをVOLダニーロ・バルボーザがフリーで頭に合わせボタフォゴが追加点。
ダニーロ・バルボーザは身長183㎝と高さのあるボランチ。2014/15シーズンにポルトガルへ渡り、スペイン、ドイツ、フランスを経て2022年8月にボタフォゴに加入。高さのある空中戦とと手足の長さをいかしたボール奪取が強み。
エドゥアルドは全国選手権では1得点1アシストを記録した開幕節に続きアシストをマーク。今季はこれで10試合7得点2アシスト。
(FLA)後半13分:
セットプレーからの流れで残ったCBファブリシオ・ブルーノが右サイドからクロスボールを送る。同じくセットプレーからの流れで残ったCBレオ・ペレイラがディフェンダーの背中越しから守備ライン裏に抜け出しダイレクトに足を合わせゴール。フラメンゴが1点差に迫る。
レオ・ペレイラは2015年U-20南米ユース選手権、U-20W杯の代表メンバー。2022年は高い位置を敷く守備ラインで高さと守備範囲の広さを評価され監督交代を機にレギュラーとして定着しリベルタドーレスとコパ・ド・ブラジルに貢献。プレースタイルが異なる優秀なCBが多くいる中、監督が採用する戦術に応じて出場機会は変動するため、新監督を迎えた今季はこれまであまり出場機会に恵まれていなかった。しかし、サンパオリ監督就任と同時に再びリベルタドーレス、全国選手権ではスタメンに起用されている。
(BOT)後半26分:
VOLチェ・チェーが右サイドライン際を個人技で抜け出しゴールライン際まであがりゴール正面のチキーニョ・ソアレスへマイナスのパス。フラメンゴのマークが甘くフリーの状態でチキーニョ・ソアレスはダイレクトに右足を合わせゴールネットを揺らす。数的不利に陥ったボタフォゴが追加点。
チキーニョ・ソアレスは全国選手権では開幕節に1得点、第2節に2アシスト、そしてこの試合で2得点を記録。ボタフォゴが無敗を続ける公式戦最近12試合では9得点3アシスト。チキーニョ・ソアレスの活躍がボタフォゴ躍進の一つの要因と言える。
チェ・チェーはボランチながらゴールライン際からのパスでアシストを記録。豊富な運動量と攻守に中盤を支える。
(FLA)後半41分:
左CKからMFエヴェルトン・ヒベイロがボールを送ると高さのあるヘディングでCBレオ・ペレイラがゴールネットを揺らす。フラメンゴがレオ・ペレイラのこの試合2点目のゴールで1点差に迫る。
エヴェルトン・ヒベイロは2022年W杯代表メンバー。卓越した戦術眼と巧みな足技、自陣深くまで戻る守備を厭わない献身性で過去に在籍したクルゼイロやフラメンゴで多くのタイトルを獲得。今季は先発を外れることが多いが、この試合でも数多くのチャンスを創り出しており、多くのサポータからは先発復帰の声が上がっている。
試合概要
フラメンゴは3バックを採用。試合前のウォームアップで先発予定のジェルソン(Gerson, 1997)が足に違和感を感じ急遽スタメン変更が生じる。
立ち上がりからフラメンゴがボールを保持しゲームを支配。幾度となくボタフォゴゴールに迫るが、得点を奪うことができない。すると少ないチャンスをボタフォゴが活かし、2点を奪い前半を終える。
後半に入るとフラメンゴはエヴェルトン・ヒベイロを投入。フラメンゴはますます攻撃に拍車をかけると、後半6分にボタフォゴは2枚目の警告で退場者を出す。そして、後半13分、遂にフラメンゴは1点差に詰め寄る。しかし、後半26分にボタフォゴが追加点。なおもフラメンゴはエヴェルトン・ヒベイロを中心にチャンスを作り出すがFW陣が決めきることが出来ない。後半41分にフラメンゴがセットプレーから再び1点差に迫る。その後も猛攻を見せるがボタフォゴ守備陣が最後まで踏ん張りタイムアップ。
ボタフォゴは劣勢で退場者を出しながらも3-2で逃げ切り、今年最初の全国選手権でのリオデジャネイロクラシコを白星で飾った。
補足情報、 所感 etc.
フラメンゴは週中のコパ・ド・ブラジルで8得点を奪った決定力がこの試合では不発。後半早々に退場者を出した相手に多くのチャンスを作り出すもFW陣は得点を奪うことが出来なかった。サンパオリ監督は3バックと4バックを併用するなどシステムの変更は試すものの、試合に起用するメンバーはある程度限られており、今後どのように昨年の二冠チームを立て直していくのか采配が気になる。
ボタフォゴは全国選手権3連勝で首位に浮上。州選手権は不甲斐ない結果に終わったが、公式戦は現在12試合負けなしの10勝2分、直近は7連勝と絶好調。今季はこれで24試合48得点18失点。点を取るべき選手が点を取り、GKペリ(Perri, 1997)を中心と守備陣が粘り強く守り好調を維持している。コパ・ド・ブラジルやコパ・スウアメリカーナで対戦する格下の相手には若い選手を中心とした控え選手を起用し、試合経験だけでなく自信をつけることにも成功しており選手層は厚くなりつつある。さらには元コロンビア代表ハメス・ロドリゲスの加入の噂もあり、今後も台風の目として上位争いが期待できる。
インテルナシオナウ(INT) 1-0 ゴイアス(GOI)
動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=x34Jn_uUz8c
INT : 52' #14 カルロス・デ・ペーニャ(Carlos de Peña, 1992)[]
GOI : N/A
見どころ
今期のインテルナシオナウはなかなか勝ち切れない試合が続いていたが、前節フラメンゴ戦は試合終了間際の逆転ゴールで勝ち点3を勝ち取った。週中のコパ・ド・ブラジルは90分の戦いで1-2の敗戦。ベスト8進出を賭けたPK戦では、不振のため一時はスタメンを外されたケイレル(Keiller, 1996)が2本止め復調をアピールした。厳しい日程が続くが、選手起用法も含め、これからが元ブラジル代表監督マノ・メネゼス(Mano Menezes)氏の手腕の発揮しどころ。まずはゴイアス戦で選手権連勝を飾りたい。
ゴイアスは、前節に続き監督未定のまま代行監督のもと試合に臨む。前節ホームでのコリンチャンス戦では先制を許しながらも前半のうちに綺麗な流れからのゴールで同点に追いつき、後半35分にセットプレーで逆転、アディショナルタイムには個人技でダメ押しといい形で初白星を飾った。今節はアウェイの地で守備の固いインテルナシオナウを相手にどのように挑むか注目したい。
得点シーン
(INT)後半7分:
MFアラン・パトリッキ(Alan Patrick, 1991)の右からのCKはゴイアスディフェンダーが頭でクリア。このボールはペナルティエリア入口やや左へ。そこに現れたVOLカルロス・デ・ペーニャが左足でダイレクトボレー。ボールは一直線にゴールネットに突き刺さるゴラッソ。ホームのインテルナシオナウが先制点を奪う。
VOLカルロス・デ・ペーニャはウルグアイ国籍で2022年4月にディナモ・キエフ/UKRから期限付き移籍加入。FW登録ながらキャリアの中では左サイドバックからセンターフォワードまで様々なポジションでプレーしており、高い戦術理解力と正確なパス、ボール奪取力を誇る。インテルナシオナウではウィング、サイドハーフで主にプレーしていたが、最近はこの試合も含めボランチとしてプレー。マノ・メネゼス監督率いるインテルナシオナウに欠かせない選手となっている。
試合概要
インテルナシオナウはタイトな日程が続き、中2日でリベルタドーレスを迎えることから、GKを含め一部のポジションに控え選手を起用。攻撃の要アラン・パトリッキもベンチスタートとなりミドルシュートや強引な攻撃が多くなる。一方のゴイアスは、サイドを起点とした攻撃でゴール前の空中戦を多用する。
前半の立ち上がりは慌ただしい展開。ゴイアスは前半6分にCKから、前半10分には右からの空中戦でヘディングシュートを放つが、いずれも惜しくも枠を捉えない。一方のインテルナシオナウも前半10分にペナルティエリア手前から右SBブストス(Bustos, 1996)がグラウンダーの強烈なシュートを放つが、ゴイアスGKタデウ(Tadeu, 1992)に阻まれる。すると、前半12分にゴイアスがFWヴィニシウス(Vinícius, 1993)がドリブルで左サイドからペナルティエリアに侵入しニアサイドに強烈なシュートを放つ。しかし、これはGKジョン・ヴィクトル(John Victor, 1996)がしっかりと弾き出す。
その後、インテルナシオナウがパス交換から攻撃の糸口を探すようになり、ゴイアスもしっかりと守りボールを奪ってからの速い攻撃を意識するようになり、試合のテンポが落ち着く。しかし、お互いに得点の糸口は見いだせず前半を終了。
後半に入りインテルナシオナウがMFアラン・パトリッキを投入すると試合が動く。後半7分にCKを獲得すると、VOLカルロス・デ・ペーニャがゴラッソ。インテルナシオナウが先制点を奪う。
後半16分、ゴイアス右SBマギーニョ(Maguinho, 1992, 2019年川崎フロンターレ、2020,21年横浜FC)が相手カウンター攻撃を阻止してイエローカードをもらうと、1分も経たないうちにマギーニョのハンドオフが相手の顔を捉え2枚目イエローカードをもらい退場。
相手が一人少なくとインテルナシオナウがボールを保持し試合をコントロール。試合終了間際にゴイアスが再びサイドからの空中戦で相手ゴールに迫るがゴールを割ることが出来ずタイムアップ。
補足情報、 所感 etc.
インテルナシオナウが勝利を収めたものの攻撃面での課題が解消されない。
州選手権終了後の公式戦7試合で複数得点試合は2試合のみ、FW陣による得点はわずか1。センターフォワードとして得点力を期待された新加入のルイス・アドリアーノ(Luiz Adriano, 1987)が今季10試合1得点。州選手権でのチーム得点王ペドロ・エンヒキ(Pedro Henrique, 1990)は最近10試合無得点。州選手権ではこの2人は使い分けていたが、この試合を含め最近の試合では同時起用を試みるが結果が出ない。
守備が安定しているため大崩れをすることはないと思うが、今後上位争いを繰り広げるためにもこの2人を含めたFW陣の奮起が待ち望まれる。
ゴイアスは、前節のいい流れを引き継いで立ち上がりにいくつかのチャンスを迎えたが得点を奪えず。上位のホームチームを相手にそん色のない試合ぶりだっただけに1本でも決まっていたら結果は変わっていたかもしれない。また、後半リードを許した後のマギーニョの退場もまたチームの勢いを止めることになってしまった。今季は手で相手を抑えるプレーで手が相手の顔に接触するとほぼ無条件でイエローカードが提示されるとのこと。
ゴイアスは中3日でアルゼンチンでのコパ・スウアメリカーナが控え、その後中2日でホームにパウメイラスを迎える。今季ホームでは12勝2分無敗と強さを発揮しており、パウメイラスを相手にも好勝負を期待したい。
クイアバ(CUI) 1-2 グレミオ(GRE)
動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=ihMfSbPG5OE
GRE : 10' #11 ヴィーナ(Vina, 1991)[#2 ファビオ(Fábio, 1990)]
CUI : 29' #4 マルロン(Marllon, 1992)[]
GRE : 68' #13 エヴェルトン・ガウジーノ(Everton Galdino, 1997)[]
見どころ
クイアバは、前節RBブラガンチーノ戦を1-1の引き分け。試合をコントロールしていただけに後半40分の失点が悔やまれる。その結果、全国選手権は1分1敗とまだ勝ち星がない。しかし、開幕節も含め試合内容は決して悪くなく、きっかけ一つで好転する可能性を大いに秘めている。コパ・ド・ブラジルはすでに敗退し日程的に有利なだけに、ホームでのグレミオ戦を必勝の気持ちで挑み、悪い流れを払拭したい。
グレミオは、前節クルゼイロに敗れ全国選手権は1勝1敗。いずれの試合も相手に主導権を握られており納得のいく内容ではない。週中のコパ・ド・ブラジルは先発を3人入れ替えて臨んだが1-1の引き分けに終わりなかなか調子が上向かない。中2日でのアウェイでの戦いとなるが勝ってホームに帰りたい。
得点シーン
(GRE)前半10分:
右サイドライン際でボールを受けた右SBファビオがファーサイドへのクロスボールを供給。MFヴィーナの高さのあるヘディングシュートがゴールネットに突き刺さりアウェイのグレミオが先制。
右SBファビオは2023年初頭にナント/FRAから加入。フルミネンセ下部組織からトップチームデビュー前にマンチェスターユナイテッド/ENGへ移籍、マンチェスターUでは4シーズン50試合以上に出場し3得点を記録。グレミオ加入後のクラブデビューが同時にブラジルでのデビューとなった。今季は右太ももの筋肉系のケガで戦列から離れていたが週中のコパ・ド・ブラジルで復帰し、全国選手権初出場初アシストを記録。
MFヴィナはシーズン途中の2023年2月14日にヘナト・ガウーショ(Renato Gaúcho)監督の要望でセアラーから加入。トップ下でプレーし今季この試合を終えた時点で17試合4得点2アシスト。
(CUI)前半29分:
MFセペリーニ(Ceppelini, 1991)の高く上げた右CKをCBアラン・エンペリュール(Alan Empereur, 1994)が折り返す。そのボールをディフェンダーがカットしようとするがこぼれ、CBマルロンがゴールに叩き込む。ホームのクイアバが同点に追いつく。
CBマルロンとCBアラン・エンペリュールは共にクイアバが初の全国選手権1部に挑む2021年に加入。加入3年目の今年も最後方からチームを支える。マルロンは前節でアシストを記録しており2試合連続で得点に関与している。
(GRE)後半23分:
MFナタン(Nathan, 1996)がペナルティエリア入口からグラウンダーのシュート。これはGKヴァウテル(Walter, 1987)が阻止するが、こぼれ球にFWエヴェルトン・ガウジーノが詰めゴールに押し込む。グレミオが勝ち越す。
FWエヴェルトン・ガウジーノはトンベンセからの期限付き移籍で年初に加入。途中交代出場が続くが15試合450分弱の出場時間で4得点目のゴール。週中のコパ・ド・ブラジルでも試合終了間際に同点ゴールを決めており2試合連続得点中。
試合概要
アウェイのグレミオがボールをキープし、パス交換から中央を崩そうとする一方、ホームのクイアバが引いて守り、ボールを奪って素早く両サイドにボールを送り少ないタッチ数でゴールを目指す展開で試合は始まる。
先制はグレミオ。前半10分に右サイドからのクロスにヴィーナが頭を合わす。しかし、2分後の前半12分、クイアバも右サイドからの攻撃を起点に最後はデイヴェルソン(Deyverson, 1991)がGKの頭を超す柔らかいシュートでゴールネットを揺らすがオフサイドの判定。その後もサイドからの攻撃でクイアバがグレミオゴールに迫り、前半26分にはシュートに持ち込むがGKの正面をつく。そして、前半29分、CKからCBマルロンのゴールでクイアバが同点に追いつく。
試合は一旦落ち着くが前半39分、グレミオは右CKをルイス・スアレス(Luis Suárez, 1987)が頭に合わせるがクロスバーを直撃。
後半に入り、再びグレミオがボールをキープしチャンスをうかがい、クイアバがサイドからの速い攻撃からゴールを目指すが、試合はしばし膠着する。後半18分、クイアバは左サイドライン際からのクロスにゴール正面でFWデイヴェルソンがディフェンダーに競り勝ちヘディングシュートを放つ。しかし、これはクロスバーを直撃しインゴールならず。すると後半22分、グレミオが勝ち越し点を奪う。
その後もグレミオがたびたびクイアバゴールに迫り、クイアバは中盤でボールを奪えなくなりなかなか得意の形に持っていけない。アディショナルタイムに入りクイアバが相手ゴール前で攻勢をかけるがシュートは枠を捉えることなく試合終了。
ボール保持率やシュート数などの記録も内容も拮抗した試合は、2点目を奪った後に引くことのなかったグレミオがわずかにクイアバをしのぎ選手権2勝目をあげた。一方のクイアバはいまだ勝ち星がなく1週間後に現在3連敗中のアメリカ・ミネイロとのアウェイの一戦に臨む
補足情報、 所感 etc.
クイアバは前節に続き、ボールを持たれながらも試合をある程度コントロールしていた。センターフォワードデイヴェルソンをターゲットにした攻撃の形もできており、セットプレーからも得点の匂いはしている。来週の第4節の対戦相手は3試合連続3失点で3連敗を喫しているアメリカ・ミネイロ。週中のコパ・スウアメリカーナを戦うアメリカ・ミネイロに対し中6日で試合に臨めるだけに、選手権初勝利を飾り悪い流れを払拭したい。
グレミオは、前節は中盤が機能せずいいところなく敗れたが、今節では中盤がある程度機能、守備面でも相手のクロスを跳ね返し続けアウェイで勝ち点3を勝ち取った。1週間後の全国選手権第4節の対戦相手は週中にコパ・スウアメリカーナを戦うRBブラガンチーノ。日程的に有利なだけに何とか連勝を飾り、勢いをつけて第5節の強豪パウメイラスに挑みたい。
ヴァスコ・ダ・ガマ(VAS) 0-1 バイーア(BAH)
動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=EJ_n2PB5QVw
BAH : 44' #16 タシアーノ(Thaciano, 1995)[#xx xxxxx(xxxx, xxxx)]
VAS : N/A
見どころ
ヴァスコ・ダ・ガマは、前節パウメイラスを相手に2点リードしたものの守り切ることが出来ず引き分け。しかし、アトレチコ・ミネイロ、パウメイラスと強豪との連戦で勝ち点4を獲得。これを無駄にしないためにもホームでのバイーア戦は必勝を期す。
バイーアは、全国選手権2連敗中。2試合とも後半中ごろの時間帯に失点しており、集中力を切らさずに試合を終えたい。週中のコパ・ド・ブラジルは全国選手権3部のヴォウタヘドンダを相手に4-0の完勝。シティフットボールグループ内の兄弟クラブ・ロンメルSKからレンタル移籍中のアルトゥール・サーレス(Arthur Sales, 2002)が2得点をあげており、今後の活躍が期待される。中3日アウェイと条件は不利だが、初白星を飾ってホームに帰りたい。
得点シーン
(BAH)前半44分:
中盤左サイドでボールを奪うと素早く相手SBが上がってできたスペースにボールを送る。VOLタシアーノが走り込みボールをペナルティエリア中ほどで受けると後方から走り込むMFカウリー(Cauly、1995)へ。MFカウリーが放ったシュートはブロックされるがこぼれ球を拾ったタシアーノがディフェンダーをかわしシュート。これがゴール右に決まりアウェイのバイーアが先制。
VOLタシアーノは2021年にグレミオからのレンタルでバイーアでプレー。2023年3月31日に完全移籍で再びバイーアに加入。中盤の各ポジションをこなすポリヴァレント性を持つ。この試合では中盤の底でスペース管理。最終ラインの手前で蓋をし、こぼれ球や相手が前線から中盤に戻すボールを回収。中盤でボールを持つと攻撃のテンポをつくりだし攻守に中盤を支配した。
試合概要
開始早々の前半3分、ペナルティエリア入口やや左の位置でボールを受けたジャカレー(Jacaré, 1999)が、左足で外から巻き込むシュートを放つが、GKレオ・ジャルジン(Léo Jardim, 1995)が右手を伸ばし僅かに触れたボールはポストに弾かれる。
以降はホームのヴァスコ・ダ・ガマが敵陣でスピード感のあるパス回しを展開し、両サイドからのクロスを交え相手ゴールに迫る。しかし、前半20分を過ぎる頃になると、バイーアが前線で積極的にプレスをかけ、中盤の配置を変え厳しいチェックとパスコースを塞ぐようになる。すると試合の流れが変わり始める。ヴァスコからそれまでのようなパス回しが消え、中盤を省略しサイドの深い位置へロングボールでボールを運ぶが、強固なスリーバックとウィングバックに対応されシュートに至らない。
すると、前半終了間際にバイーアが中盤のボール奪取からの速い攻撃で均衡を破る。
後半に入るとバイーアは攻撃的なポジションの選手が相手が自陣に入るとほぼマンツーマンでマーク。パスコースの一部を切ると、その後方に控える両ボランチが空いたパスコースを埋めパスを寸断。最終ラインは高さがあり得点力のあるペドロ・ハウーウ(Pedro Raul, 1996)にピタリとマークが付き自由にさせない。バイーアはプレスからのボール奪取やパスカットが成功すると素早く前線にボールを送り、後半23分にはGKと一対一となる決定的なシーンを迎える。
ヴァスコは時間の経過とともにパスミスが増え、焦る気持ちとバイーアの冷静なラインコントロールにオフサイドも増えていく。試合終了間際には2度にわたりバイーアがカウンターから決定的な場面を迎えるなど、後半はバイーアが試合をコントロール。試合は1-0でタイムアップ。バイーアがアウェイで全国選手権初白星を飾った。
補足情報、 所感 etc.
ヴァスコ・ダ・ガマは前節のパウメイラス戦でも後半に試合の流れを相手に掴まれると、その流れを取り戻すことが出来ず試合を終えていたが、今節も同様の展開となってしまった。試合の流れが自身にある時は観客を魅了する試合を見せるが、この点が今後の課題か。
就任してまだ半年も経っていないバルビエリ(Barbieri)監督は、若いチームを(流れがあるときには)観客を魅了するチームにまで作り上げてきた。今後は流れを変えることのできるチーム(流れを渡さないチームがベストだが)をどのように作り上げていくのか注目する必要があるだろう。
バイーアはここまで全国選手権で2連敗を喫していたが、この試合ではボランチのタシアーノとアセベド(Acevedo, 1999)が前でプレスをかける選手との連携による挟み込みや、後方で守る選手への蓋となることで多くの相手ボールをマイボールにした。また、セットプレーではトレーニングでよく練られた興味深いプレーを試し、効果的で鋭いカウンター攻撃から多くのチャンスを創り出していた。今節は前2節とは違う一面を見せ、全国選手権第3節にして初勝利。
ボール保持を意識する上位チームに同様の戦い方が通用するのか、守備を基盤に戦うチームとどのように対戦するのか、今まではバイーアやバイーア率いるヘナト・パイヴァ(Renato Paiva)監督を半信半疑の目で見ていたが、今後の戦いぶりに注目したい。