アンジェロ (Ângelo)

投稿者: | 2022年11月17日
最新更新日 : 2023/12/19 
更新履歴 : 2023/08/08, 06/28,  05/03, 03/11 

アンジェロ ガブリエウ サントス ブラジル サッカー 逸材 CBFリスト 

アンジェロ・ガブリエウ・ボルジェス・ダマセーノ

Ângelo Gabriel Borges Damaceno

ポジション:フォワード/アタカンチ

利き足:右

2004年12月21日生まれ

<幼少期>

 ブラジルの首都ブラジリアに生まれたアンジェロは、8歳の時、地元のサッカースクールで本格的にサッカーを始める。間もなく、パウメイラスやクルゼイロといったビッグクラブの注目を浴びる。

<クラブ経歴>

≪育成時代≫

 2015年、10歳でサントスFCの下部組織に入団。練習を重ねるにつれ彼の持つ素質、才能、潜在力が顕在化する。
 2020年、15歳にしてU-20チームでプレー。U-20全国選手権で5試合2得点の成績を残すと、その内容とプレーぶりからクーカ(Cuca)監督率いるトップチームに帯同する。
 10月には、サントスFCとプロ契約を結ぶ(ブラジルでは就業は16歳まで認められないため、当該契約は2020年12月21日に法的効力を持つ)。この契約には6000万ユーロの契約違約金が設定された。

≪サントス≫

– 2020 –

 15歳にしてプロデビューを迎える。
 2020年10月25日、全国選手権第18節フルミネンセ戦。後半15分にルーカス・ブラーガ(Lucas Braga)と交代でピッチに立つ。これは15歳10か月4日でのプロデビュー。
 その後は7試合に終了間際の限られた時間の出場。そして迎えた全国選手権最終節、2021年2月25日のバイーア戦、右ウイングとしてスターティングイレブンに抜擢される。

– 2021 –

 2021年2月末から始まった州選手権では9試合に出場(うち8試合は先発)。
 4月6日、リベルタドーレス予備予選3rdラウンド サンロレンソ/ARG戦、後半39分にピッチに立つと、後半45+4分、右SBマジソン(Madson)が放ったシュートをGKがはじき返したこぼれ球を、が左足で落ち着いてゴールに押し込むプロ初ゴールを記録。この得点は同時に59年間破られなかったリベルタドーレス最年少得点記録を更新するゴール(16歳3か月16日)となった。
 2021年全国選手権もまた、出場機会は後半終了間際の数分に限られていた。しかし、10月30日第29節アトレチコ・パラナエンセ戦をスタメンで起用されると最終節までの全10試合に出場、うち4試合はスターティングイレブンとして出場する。

– 2022 –

 2022年1月下旬に始まる州選手権は10試合(うち8試合先発)に出場。全国選手権は怪我のため一時的に戦列を離脱する時期もあったが、おおむね順調に試合出場を重ねる。
 7月24日第19節フォルタレーザ戦から指揮を執るリスカ(Lisca)監督は、以前から課題とされていた守備面、特に相手がボールを保持する局面に中盤まで下がり、守備陣を助ける動きが不足していることを指摘。アンジェロは、スタメンの座を失い、後半途中からの出場が続いた。
 しかし、9月27日第28節アトレチコ・パラナエンセ戦でスタメンに返り咲く。
 10月17日第32節ブラガンチーノ戦では全国選手権での初ゴールを記録する。

– 2023 –

 州選手権は、2023年1月14日開幕節ミラソウ戦での3トップの右ウィングとしてのスタメン出場を手始めに、チーム12試合中9試合(うち7試合スタメン)に出場。
 フラメンゴからのオファーや、ヨーロッパからの調査など、アンジェロの周辺は騒がしくなるが、アンジェロは試合に集中。全国選手権とコパ・スウアメリカーナが並行して開催される中、先発、途中交代出場でチームのほぼ全試合に出場する。

≪チェルシー≫

 2023年7月16日、チェルシーFC公式HPにてアンジェロ選手の獲得を発表。
※関連記事: チェルシーがアンジェロ(Ângelo)選手を獲得![2023.07.16公式発表]
 発表後間もなくチェルシーのアメリカ遠征に合流。
 7月19日、レクサムFC/WALとのプレシーズンマッチにおいて、後半開始時にピッチに立つと終了間際に1アシストを記録。その後、チームのプレシーズンマッチ5試合のうち3試合に出場。最終戦となる8月2日ドルトムント/GER戦では出場機会は訪れなかったものの、8月13日のプレミアリーグ開幕戦に向け、ベンチ入りを確保し、与えられる出場機会でしっかりと結果を残したい。

≪ストラスブール レンタル元:チェルシー≫

– 2023/24 –

 2023年8月8日、チェルシーはオーナーを同じくするストラスブール/FRAへのアンジェロの期限付き移籍を発表。期間は一年間だが、チェルシー側の要請があれば契約は即時解除され、チェルシーへの復帰が可能となっている。
 2023年8月13日リーグ・アン開幕節リヨン戦で後半36分の交代出場でクラブデビュー。
 9月17日第5節モンペリエ戦で初スタメン。
 9月24日第6節メス戦では先発出場から後半38分に決勝点のアシストを記録。
 12月に入り途中交代での出場が続いているが、2023年12月19日現在でチーム16試合のうち15試合に出場(うち7試合に先発)。着実に試合経験を積み重ねている。

≪シーズン別クラブ成績≫

シーズン所属大会試合出場
時間
得点アシ
スト
2020年(16歳)サントス全国選手権915400
 合計915400
2021年(17歳)サントスリベルタドーレス838810
コパ・スウアメリカーナ11900
全国選手権1957400
コパ・ド・ブラジル57800
州選手権960101
 合計42166011
2022年(18歳)サントスコパ・スウアメリカーナ419800
全国選手権27152817
コパ・ド・ブラジル528610
州選手権1064701
 合計46265928
2023年(19歳)サントスコパ・スウアメリカーナ517200
全国選手権1153220
コパ・ド・ブラジル626001
州選手権952700
 合計31149121
2023/24年(20歳)ストラスブール/FRAリーグ・アン1570901
 合計1570901
イタリック斜体は、2023年12月19日現在の記録。
※ シーズン欄の年齢は、12月31日時点の年齢です。

<代表経歴>

 2019年9月、14歳にして初めて世代代表に招集されると、ボリビア、ペルー、ウルグアイとの国際親善大会で3試合に出場。
 U-15南米ユース選手権に招集されると、予選グループラウンドでは、第5節コロンビア戦を除く4試合に出場。準決勝、決勝にはスターティングイレブンとして出場し、ブラジルの優勝に貢献する。
 2020年3月、フランスで開催が予定されていたモンテギュー国際大会に向けU-16代表に招集。しかし、同大会はコロナ感染症拡大の影響で中止。
 2020年11月には、翌2021年に開催が予定されていたU-17南米ユース選手権に向け招集を受けたが、コロナ感染症検査で陽性と診断され、招集を辞退する。(なお、U-17南米ユース選手権2021およびFIFA U-17W杯2021もまた、コロナ感染症拡大の影響のため開催が中止された)
 2021年6月のU-17代表に招集。
 2022年9月に開催されたアルゼンチン、ウルグアイ、ウズベキスタンとのU-20国際親善大会では、アルゼンチン戦とウルグアイ戦の2試合に出場を果たす。
 2022年11月17日、20日に行われるチリとの親善試合に向け、U-20代表に招集される。なお、この招集は、翌2023年1月17日からチリで開催されるU-20南米ユース選手権に向けた年内最後の招集となる見込み。
 2022年12月8日、2023年1月19日に開幕するU-20南米ユース選手権の代表メンバー選出がブラジルサッカー連盟(CBF)から発表される。
 2023年U-20南米ユース選手権は、チーム事情により辞退。

<エピソード、雑感 etc.>

 2023年2月、フラメンゴからサントスFCおよびアンジェロの代理人に移籍オファーが提示される。
 報道によるとフラメンゴは、アンジェロの月俸を倍増、サントスFCへは1300万ユーロ相当の移籍金を準備。財政的に不安定なサントスFCは移籍を容認するものの、アンジェロはサントスFC残留を希望しているという。
 サントスFCではほぼ主力として試合に出場しており、試合経験を重ねることできるメリットはあるが、一方で、クラブは財政面の影響で補強や監督人事に十分に投資ができず、チームは戦術的に停滞しており、今後のキャリアアップにはつながらないように思われる。
 フラメンゴではより激しい競争となるため試合に出られない時期が訪れるかもしれないが、競争が刺激となり、新しい面での成長を遂げる可能性が大きい。また、フラメンゴにはアンジェロとプレースタイルが近い右ウィングの選手は見当たらず、監督の戦術次第では多くの出場機会に恵まれる可能性もある。
 3月11日現在で結論は出ていないが、アンジェロの動向を注視したいと思う。

 主に右ウイングでプレー。
 足元の技術が高く、スピード、巧みなドリブル、俊敏性とシュート力など、ウインガーとしての素養を備える。左足でボールを持ち相手ディフェンダーをおびき寄せると、縦にボールを運び、瞬間的なスピードで相手を置き去りにし、右足でクロスを上げるプレーを得意とする。
 課題は守備面。
 「攻撃的な選手として攻撃的なチームで下部組織を過ごしたため、十分に守備面を強化するまでは至らなかった。しかし、トップチームでは年齢にかかわらず必要とされる。」と監督のリスカは敢えて悪役を引き受け、スタメンの地位を奪った。
 幸いにもサントスFCには、献身的に自陣に戻り守備陣を助けるルーカス・ブラーガなど、ライバルでもあり生きた教科書にもなりえる選手が在籍する。
 2022年末には海外移籍が可能となる18歳を迎える。報道によるとニューキャッスル/ENGが7月の時点で2000万ユーロでの移籍を打診したそうだが、サントスFCと金銭的に合意せず、その後は新たな打診はないという。誰もが認める攻撃的な素養があるだけに、本人も希望するヨーロッパでの活躍を叶えるためにも、守備面を改善し、自分の夢を自らの手で切り拓いてもらいたい。

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