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全国選手権第4節 対戦組合せ
以下の5試合はこの記事で。
・2023/05/06 クルゼイロ(CRU) x サントス(SAN)
・2023/05/06 フルミネンセ(FLU) x ヴァスコ・ダ・ガマ(VAS)
・2023/05/07 アメリカ・ミネイロ(AME) x クイアバ(CUI)
・2023/05/07 サンパウロ(SAO) x インテルナシオナウ(INT)
・2023/05/07 アトレチコ・パラナエンセ(CAP) x フラメンゴ(FLA)
以下の5試合はこちらで。(更新中)→ 【ブラジル全国選手権2023】第4節(2/2)
・2023/05/07 バイーア(BAH) x コリチバ(CFC)
・2023/05/07 ボタフォゴ(BOT) x アトレチコ・ミネイロ(CAM)
・2023/05/07 ゴイアス(GOI) x パウメイラス(PAL)
・2023/05/07 グレミオ(GRE) x RBブラガンチーノ(RBB)
・2023/05/08 コリンチャンス(COR) x フォルタレーザ(FOR)
全国選手権第4節 試合概要
クルゼイロ(CRU) 2-1 サントス(SAN)
動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=o75UjMT3S3c
CRU : 21' #11 ウェスレイ(Wesley, 1999)[#17 ハミーロ(Ramiro, 1993)]
SAN : 58' #11 アンジェロ(Ângelo, 2004)[#9 マルコス・レオナルド(Marcos Leonardo, 2003)]
CRU : 62' #11 ウェスレイ(Wesley, 1999)[#17 ハミーロ(Ramiro, 1993)]
見どころ
州選手権敗退後に就任したペパ(Pepa)監督は初めの2試合こそ連敗を喫したものの、戦術が浸透し始めるとコパ・ド・ブラジルを挟み公式戦を無失点で3連勝。高い位置でのプレスからのショートカウンターや、ボールを保持した際のトリアングラソン(Triângulação, 多くのパスコースを作るために選手が大小の三角形を作るようにポジショニングをとること)から少ないタッチ数のパスによる崩しなど、綺麗で見ていて楽しいサッカーを続けている。週中に試合がなく日程的に有利なこのホームゲームでは勝ち点3を獲得し、中3日で迎える強豪フルミネンセ戦で今の実力を測りたい。
サントスは前節で全国選手権初勝利を挙げ公式戦連勝を飾ったが、週中のコパ・スウアメリカーナではチャンスメーカーのFWソテウド(Soteldo, 1997)をケガで、チーム得点王のFWマルコス・レオナルド(Marcos Leonardo, 2003)を体調不良で欠き、最後の局面でのミスが響き後半38分の失点で敗戦。しかし、攻撃の要の2選手を欠きながらも多くのチャンスを作り出したことを前向きに捉えクルゼイロ戦に臨みたい。なお、この試合後にU-20W杯に出場するマルコス・レオナルドがしばらくチームを離れる。サントスは勝ってマルコスを送り出したい。
得点シーン
前半21分(CRU):
CKの流れからセンターサークル手前でセカンドボールを拾ったクルゼイロがゴール正面にボールを送り、一旦収め、右サイドライン際に開いていたVOLハミーロへ送る。マークが遅れるとハミーロが易々と最終ラインの裏を抜けるクロスボールを送り、ゴール左の角度のないところからFWウェスレイが左足を合わせゴールネットを揺らす。真ん中、右、左とボールと相手守備を振ったクルゼイロが先制。
VOLハミーロはグレミオ在籍時に主力メンバーとして2016年コパ・ド・ブラジル、2017年リベルタドーレスを制覇。コリンチャンスを経て今季からクルゼイロでプレー。前節のゴールに続き全国選手権2試合連続で得点に関与。
後半13分(SAN):
敵陣右サイドライン際でボールを受けたFWアンジェロは、3人に囲まれそうになるが事前に中央のFWマルコス・レオナルドへパス。そのままペナルティエリア入口に向け走り込むとマルコス・レオナルドからパスが戻ってくる。GKと一対一となったアンジェロはこれを落ち着いて決めサントスが追いつく。
FWアンジェロは2023年3月にフラメンゴがサントスに獲得オファー、移籍金は1300万ユーロ相当、アンジェロに対しては約5倍の月俸が提示された。サントスは合意に傾いたがアンジェロが拒否。アンジェロは下部組織から世話になり、サッカー選手になる夢を叶えてくれたサントスに対して今後もプレーで恩返ししたいとのコメントを発表した。
後半17分(CRU):
左SBマルロン(Marlon, 1997)のグラウンダーのクロスをGKジョアン・パウロ(João Paulo, 1995)が飛び出し手で弾こうとするが、当たりが弱くクルゼイロFWウェスレイの前にゴールは転がる。FWウェスレイは無人のゴールにボールを押し込みクルゼイロが勝ち越し。
FWウェスレイは、クルゼイロが2022年初めに組織改編を行って以来最高額の移籍金(1500万レアル≒約4億3200万円)で獲得した選手。しかし、期待通りに活躍できず、次第に出場機会も減り、これまで13試合無得点。サポーターからの批判の的となっていた。この試合では先発FWハファエウ・ビルー(Rafaeu Bilu, 1999)の負傷交代で出場機会を得ると、前半21分のクラブ初ゴールに続き、後半17分の勝ち越し点と2得点をマーク。一時は失いかけたサポーターからの信頼を取り戻すことができただろうか。
試合概要
前半4分、クルゼイロが中央やや左からゴール前右サイドに上がったVOLハミーロへボールを送るとダイレクトに頭で中央へ折り返し、FWハファエウ・ビルーがヘディングシュート。このゴールは枠外に外れるが、距離間のいいパス交換とボランチの積極的な攻撃参加、ゴール前で左右にボールを動かすクルゼイロがサントスゴールに迫る。ところが、このプレー後間もなくFWハファエウ・ビルーがふくらはぎに違和感を感じ、プレーを続けようとするが前半9分に交代を余儀なくされる。
一方のサントスは、FWマルコス・レオナルドを中心に攻める。前半8分にFWマルコス・レオナルドのミドルシュート、その跳ね返りをFWルーカス・バルボーザ(Lucas Barbosa, 2001)がシュートを狙うがブロックされる。
前半21分に交代出場したFWウェスレイのゴールでクルゼイロが先制。
前半34分にカウンターからサントスFWマルコス・レオナルドが右サイドを抜け出し、中央を駆け上がるFWメンドーサ(Mendoza, 1992)へクロス。FWメンドーサはドンピシャでシュートを放つがクルゼイロGKハファエウ・カブラウ(Rafael Cabral, 1990)の好セーブに阻まれる。前半43分にはクルゼイロが左サイドからのクロスでチャンスを迎えるがボールは枠を超える。
試合は互いに守備が固く閉じ、互いにボールを持ってもなかなか相手ゴールに迫ることができず、チャンスの数は限られる。
後半開始時にサントスが2選手を交代。すると、交代出場のFWアンジェロが後半13分に同点ゴール。
しかし、その4分後にはホームのクルゼイロが再びリードを奪う。
その後は中盤での攻防が激しくなり、FKからゴールを狙うシーンが増えるが、ゴール前での決定的な場面は両チームに訪れず、試合は2-1でクルゼイロが勝利。クルゼイロは暫定ながら首位に立った。
補足情報、 所感 etc.
クルゼイロは全国選手権3連勝で勝ち点を9に伸ばす。前半の早い時間帯に負傷交代を余儀なくされるが交代出場の選手が2得点を奪い、ペパ(Pepa)監督の戦術が浸透していることが証明された形となる。
サントスはこの敗戦で1勝1分2敗の勝点4。次戦からU-20W杯に出場する攻撃の要FWマルコス・レオナルドを最大10試合に欠くことになる。マルコスに代わるセンターフォワードを起用するのか、戦術を変えてくるのか、オダイール(Odair)監督の手腕が試される。
フルミネンセ(FLU) 1-1 ヴァスコ・ダ・ガマ(VAS)
動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=UAdqlL9Ta9I
VAS : 1' # ペドロ・ハウーウ(Pedro Raul, 1996)[# アレックス・テイシェイラ(Alex Teixeira, 1990)]
FLU : 55' #45 リマ(Lima, 1996)[]
見どころ
前節フォルタレーザ戦は控え選手を中心とした先発メンバーとは言え2-4の完敗を喫し首位陥落。しかし、週中のリベルタドーレスではリーベルプレート/ARGを相手にほぼベストメンバーで挑み5-1と完勝した。今節をどのようなメンバーで挑むかわからないが、対戦相手のヴァスコ・ダ・ガマは若いチームだけに勢いに乗せると前節に続き足元をすくわれる可能性も。
ヴァスコ・ダ・ガマは昨シーズン終了後に就任したバルビエリ(Barbieri)監督が中長期的な視野でチームの成長を促している段階にあるチーム。若い選手が多く、試合ごとに、または試合の中でも好不調の波が大きいが、監督の戦術を含め着実な成長がうかがえるだけに、クラシコフルミネンセ戦で現状の完成度を測りたい。
この2チームの対戦は今季2度目。州選手権での対戦時は内容でヴァスコ・ダ・ガマがフルミネンセを凌ぐも、2020-21年にヴァスコでプレーしたFWヘルマン・カーノ(Germán Cano, 1988)が数少ないチャンスで2度にわたりゴールネットを揺らしフルミネンセが勝利を収めている。
得点シーン
(VAS)前半1分:
相手陣で猛然とプレスをかけるヴァスコ。フルミネンセが横のパスでGKファビオ(Fábio, 1980)に戻すがここでファビオが痛恨のパスミス。ペナルティエリア入口でFWアレックス・テイシェイラにパスをインターセプトされると中央でフリーのFWペドロ・ハウーウへ繋がれ被弾。アウェイのヴァスコ・ダ・ガマが僅か1分も経たないうちに先制点を奪う。
FWペドロ・ハウーウ、FWアレックス・テイシェイラのコンビでの得点は第2節パウメイラス戦以来。FWペドロ・ハウーウは、2022年に柏レイソルからの期限付き移籍でゴイアスでプレーし全国選手権ベストイレブンで得点ランキング2位。今季はヴァスコ・ダ・ガマに移籍しこの試合終了時点で17試合9得点3アシストを記録。
FWアレックス・テイシェイラはチーム最年長の33歳。得点力やクロスの精度だけでなくオフザボールや守備でのポジショニングにも優れ、若いFW陣の見本となるプレーを見せている。強豪との対戦では常に先発に起用されており、この試合終了時点で17試合3得点5アシストを記録。
(FLU)後半10分:
右サイドライン際の少し浅い位置からFWジョン・アリアス(Jhon Arias, 1997)がファーサイドのFWヘルマン・カーノ(Germán Cano, 1988)へクロス。FWカーノはこのボールに強烈なボレーを見せるがヴァスコGKレオ・ジャルジン(Léo Jardim, 1995)が好セーブ。しかし、こぼれ球にMFリマが詰めフルミネンセが試合を振り出しに戻す。
MFリマは今季セアラーから加入。シーズン当初は途中交代での出場が多かったがVOLマルチネリ(Martinelli, 2001)のケガもありレギュラーの座を獲得。週中のリベルタドーレス、リーベルプレート戦では負傷交代でピッチに立つと、中盤の高い位置でパスカットやボール奪取を数々見せチームの5得点に陰ながら貢献。
試合概要
前半試合開始と同時にアウェイのヴァスコ・ダ・ガマが前線から猛然とプレスをかけ、相手のミスを誘い、僅か開始55秒でゴールを奪う。その後はヴァスコが引き気味に守備を固め、フルミネンセが分厚く攻めるという構図が出来上がる。
フルミネンセは前半4分に流れから、前半13分にはゴール正面のFKからシュートを狙うが枠を捉えない。一方のヴァスコは前半24分、GKからのロングフィードを相手ディフェンダーが処理をミスし、FWガブリエウ・ペッキ(Gabriel Pec, 2001)がシュートを放つがこちらも枠を捉えない。前半45分、フルミネンセFWヘルマン・カーノのシュートは枠を捉えるがボールに勢いがなくGKがしっかりとキャッチ。
後半9分、フルミネンセが同点に追いつく。その後も前半同様フルミネンセが終始ボールを支配。次々とヴァスコゴールに迫りシュートに持ち込む。後半13分、後半29分のゴールは枠を捉えるがGKレオ・ジャルジンの好守に得点を奪えない。後半44分、CBニノ(Nino, 1997)が強烈なミドルシュートを放つがGKレオ・ジャルジンが必死に飛びつき指先を掠めたボールはクロスバーを叩き跳ね返される。さらには終了間際の後半45+4分にはフルミネンセは自陣から縦にパスを繋ぎ最後はFWレレー(Lelê, 1997)が強烈なシュートを放つがまたしてもGKレオ・ジャルジンが横っ飛びから両手でボールを弾き出す。
試合はこのまま1-1で終了。勝ち点1を分け合う結果となった。
補足情報、 所感 etc.
フルミネンセはボール保持率70%、シュート数24とヴァスコの3倍のシュート、8本の枠内シュートを放つが、ヴァスコGKレオ・ジャルジンの再三の好守に勝ち越すことが出来ず、試合開始早々の試合唯一の枠内シュートをゴールに繋げたヴァスコ・ダ・ガマと引き分けた。週中のリベルタドーレスに続き、試合開始直後の失点シーン以外はいい流れで試合を運ぶも、最後のところで決めきることが出来ず全国選手権は2連勝のあと1敗1分と足踏み。
ヴァスコ・ダ・ガマはボールの出どころと出しどころをうまく塞ぎ先制、その後は引いて守り、前半のうちにカウンターから追加点のチャンスも迎え、前半はほぼプラン通りの試合。しかし、後半の早い時間帯に同点に追いつかれると、試合の流れを掴むことが出来ず、僅かなカウンターのチャンスを迎えるのみ。GKを中心とした守りでなんとか引き分けに持ち込むのが精一杯。最近の試合では一旦試合の流れを失うとなかなか取り返すことが出来ず、3試合勝ち星から遠ざかっている。
州選手権での対戦時は、相手の決定力の前に屈したものの試合の主導権を握り優位に進めていた。しかし、この試合は内容的に完敗。チーム力は現在、次のステップへの踊り場に差し掛かっているように思われる。面白いサッカーをしていただけに、現状を打破し、再びチーム力を上げ全国選手権で台風の目として復活することを期待したい。
アメリカ・ミネイロ(AME) 1-2 クイアバ(CUI)
動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=hj8Yif7Ly44
AME : 12' #99 アロイージオ(Aloísio, 1988)[#37 エヴェラウド(Everaldo, 1994)]
CUI : 85' #xx オウンゴール(Gol Contra)[]
CUI : 90+2' #8 ホナウジ・ロペス(Ronald Lopes, 1997)[]
見どころ
全国選手権でいまだ勝ち星のない2チームによる対戦。
アメリカ・ミネイロは全国選手権ではこれまでの3試合すべてに3失点を喫し3連敗。しかし、週中のコパ・スウアメリカーナではアウェイでグループ首位を走るミジョナリオ/COLを相手に先制を許すもののその後は踏ん張り同点に追いついた。日程的な不利は否めないがホームサポーターの後押しを得て今季初勝利を飾りたい。なお、この試合を最後にU-20W杯に出場するSBアルトゥール(Arthur, 2003)がしばらくチームを離れる。ホームのサポーターとともにチームの勝利でアルトゥールを送り出したい。
クイアバはホームで行われた最近2試合では勝利には結びついていないものの多くのチャンスを創出。スピード豊かな前線の選手の裏への抜け出しや、両サイドを広く使ったサイドからの攻撃は迫力があるが。わずかに最後の精度を欠きゴールを奪い切ることが出来ていない。アウェイでの試合は開幕節以来となるがその試合でもボールを奪うと少ない手数で前線やサイドにボールを運びチャンスを創り出していた。いいサッカーをしているだけに、このままズルズルと下位に低迷しないためにも早く勝ち点3を獲得し自信を取り戻したい。
得点シーン
(AME)前半12分:
FWエヴェラウドが右サイドライン際深くからセンタリング。FWアロイージオがディフェンダーの前に強引に入り頭を合わせ先制ゴール。
FWアロイージオは、中国で9年間4クラブでプレー。2019年に中国籍を取得し中国名は「洛国富」。中国代表として2022W杯予選5試合1得点を記録。アメリカ・ミネイロへは2022年4月加入。加入後間もなくレギュラーを座を掴むが年半ばを過ぎると控えに回る試合が増える。2023年は先発起用が多くこの試合終了時点で17試合(うち先発15試合)チーム最多の7得点、3アシストを記録。全国選手権では前節でアシストを記録しており2試合連続で得点に関与。
(CUI)後半40分:
交代出場したばかりのFWウェリントン・シウヴァ(Wellington Silva, 1993)が左サイドをドリブルで次々とディフェンダーをかわしペナルティエリアに侵入、そのまま左足でクロス。これがディフェンダーのオウンゴールを誘発しクイアバが土壇場で同点に追いつく。
FWウェリントン・シウヴァは2021-22年にガンバ大阪でプレー。フルミネンセ下部組織出身、17歳でアーセナル/ENGに移籍するがアーセナルでの出場機会はなくレンタル移籍を繰り返し主にスペインでプレー。クイアバには2023年2月中旬に加入。加入後間もなくは先発に起用されるが次第に出場時間は短くなり、全国選手権では後半終盤での交代出場が続いていた。
(CUI)後半45+2分:
自陣ゴール前の混戦から蹴りだしたボールをFWイシドロ・ピタ(Isidro Pitta, 1999)が拾いスピードを活かしてディフェンダーを振り抜き相手ゴールに迫る。アメリカ・ミネイロGKはペナルティエリアを飛び出しスライディングから手を使いクリア。このプレーでGKは一発退場。クイアバは絶好の位置でFKを得る。一方アメリカ・ミネイロはすでに交代枠をすべて使っておりディフェンダーがゴールを守る。FKはVOLホナウジ・ロペスがゴール左上隅に決めクイアバが試合をひっくり返す。
VOLホナウジ・ロペスは2023年2月17日に2023年末までの期限付き移籍でフォルタレーザからクイアバに加入。フォルタレーザ在籍時はレギュラーと控えを繰り返す。クイアバ加入後当初は先発に起用されるが次第に出場時間は短くなり、全国選手権では交代出場が続いていた。
FWイシドロ・ピタは身長184㎝体重86㎏、パラグアイ国籍のセンターフォワード。2022年はウエスカ/ESPからのレンタルでジュヴェントゥージでスピードと恵まれた体格をいかし8得点3アシストを記録。クイアバはその活躍を受けウエスカから保有権の60%(プラス20%相当の買取オプション付き)で2022年末に獲得。全国選手権では後半終盤での交代出場が続いていたがこの試合では持ち味のスピードを活かし決定的なシーンをチームにもたらした。
試合概要
ホームのアメリカ・ミネイロが右サイドからの攻撃を軸に試合を優位に進める。前半10分、右SBマルシーニョ(Marcinho, 1996)のクロスにFWアロイージオが頭を合わせるがGKの手を掠めたボールはクロスバーを叩きクイアバがクリア。しかし、1分後にFWエヴェラウドからのクロスからアロイージオがゴールネットを揺らしアメリカ・ミネイロが先制。
1点を追うクイアバは左サイドを起点にゴールに迫る。前半21分はGKの好セーブ、前半45+5分のシュートはGKの正面をつくなど、たびたび相手ゴールに迫るが得点を奪えない。
後半開始とともにアメリカ・ミネイロが息を吹き返す。後半2分、アメリカ・ミネイロMFベニーテス(Benítez, 1994)がドリブルでペナルティエリアに侵入し、鋭い切り返しからシュートを放つがゴールポストに嫌われる。1分後にもFWアロイージオがシュートまで持ち込むがGKの正面を突く。
後半15分を過ぎると再び試合の流れはクイアバへ。後半19分、20分と立て続けにVOLセペリーニ(Ceppelini, 1991)がシュートに持ち込む。その後は中盤での攻防が激しくなりお互いにゴールに迫れない。
しかし、後半40分、交代出場のFWウェリントン・シウヴァのクロスが相手ディフェンダーのオウンゴールを誘いクイアバが同点。さらにホームで初勝利が欲しいアメリカ・ミネイロがゴールに迫るところをクイアバのカウンターが炸裂し、後半アディショナルタイムにクイアバが逆転。
試合はまだ終わらない。後半45+7分、アメリカ・ミネイロMFベニーテスがペナルティエリア内で倒されペナルティの判定。しかし、VARの介入があり主審がオンフィールドレビューでペナルティを取り消し。そして間もなく試合は終了。
クイアバがアウェイで今季の全国選手権初勝利。一方のアメリカ・ミネイロは1点のリードを守り切れず全国選手権開幕4連敗を喫した。
補足情報、 所感 etc.
アメリカ・ミネイロは全国選手権開幕4連敗。累積警告で守備の要CBエーデル・フェヘイラ(Éder Ferreira, 1995)を欠くも、中盤での守備が機能していただけに後半40分に個人技で中盤の守備がはがされ失点を喫したことが悔やまれる。攻撃面も先制点のような連携からも、個人技からもチャンスが作れ出せているだけに、最後の精度を高めたい。厚くない選手層の中、厳しい日程が追い打ちをかけている面もあるが、悪い流れを早く払拭したい。
クイアバは全国選手権初勝利。これまでの試合に引き続き、左右のサイドを広く使った攻撃からチャンスを作り出すが、得点は個人技での突破からの1点目と、個人のスピードをいかしたカウンターで得たFKからの得点のみ。試合には勝ったものの自分たちの得意の形からは得点が奪えず最後の精度のところが課題として残っている。
とはいえ、苦しみながら勝ち取ったこの勝利が今までの閉塞感を打開してくれるはず。今後はアトレチコ・ミネイロ、フルミネンセ、クルゼイロと上位との対戦が続くが、善戦どまりでなく勝ち切る姿を見たいものだ。
サンパウロ(SAO) 2-0 インテルナシオナウ(INT)
動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=DUpLbmH62fU
SAO : 33' #10 ルシアーノ(Luciano, 1993)[]
SAO : 70' #29 パブロ・マイア(Pablo Maia, 2002)[]
INT : N/A
見どころ
監督交代後不敗が続くサンパウロ。多くの選手を試合に起用し、最適な組み合わせを探ると共に選手間の競争が促されている。就任当初に不安定だった守備も中盤から前でのプレスが機能し始め安定してきている。チームは失点が減り勝ち点を積み重ねることで自信を取り戻しているように見えるだけに、これからはボールを奪った後の展開とボールを握った際の組み立てを改善し上位を目指したい。
今季のインテルナシオナウは、守備での致命的なミスで勝ち点3をミスミス逃し、攻撃面でもなかなか最適な組み合わせが見つからず試行錯誤を繰り返している。最近の全国選手権では接戦をものにする試合が続き上昇気流に乗るかと思われたが、週中のリベルタドーレスでは後半35分を過ぎてからの勝ち越し点を最後まで守り切ることが出来ず引き分けに終えた。多彩な攻撃陣が連携を深め、守備陣も一試合を通して集中力を切らさず守り切り、上昇気流に乗りたいところ。
得点シーン
(SAO)前半33分:
右サイドゴールライン際からのクロスは左サイドに流れるが、左SBカイオ・パウリスタ(Caio Paulista, 1998)がシュート。ディフェンダーがブロックしたボールをFWマルコス・パウロがゴールライン際まで運びクロスを送ろうとする。これがディフェンダーの開いた腕に当たりPKを獲得。FWルシアーノがPKを蹴るがGKがブロック。こぼれ球をルシアーノが押し込みサンパウロが先制。
FWルシアーノは2022年のチーム得点ランキング2位。州選手権は期待に応える活躍を出来なかったが、全国選手権ではこれで4試合2得点1アシスト。監督交代後の好調を攻撃面で支えている。
(SAO)後半25分:
ペナルティエリア左でFWカレリ(Calleri, 1993)がボールを受けるとマークにつかれながらもペナルティエリア中央入口へ戻りながらVOLパブロ・マイアへボールを送る。パブロ・マイアはカレリが作ったスペースに走り込みコントロールショット。ボールはGKが必死に伸ばす指先を超えそこから落ちるゴラッソ。サンパウロが貴重な追加点。
VOLパブロ・マイアはサンパウロ下部組織出身。2022年はU-20チームで始動するが1月下旬にトップチームに昇格すると間もなくボランチのレギュラーの座を獲得。4月過ぎに一旦控えに回り出場機会が減少するが、7月にはローテーションで先発に起用され、9月にはレギュラーの座を奪い返す。2023年になるとチーム戦術、システム変更などの理由で出場、不出場を繰り返すが、ドリヴァウ・ジュニオール監督就任後は、中盤での厳しいマーク、ボール奪取後の前への推進力が認められ、替えの利かない選手として起用されている。
試合概要
試合を通じてサンパウロは中盤でのマークが厳しくボールを奪いに行くとともに前方のパスコースを塞ぐ守備。一方のインテルナシオナウはしっかりとブロックを組み構えて守る。
立ち上がりはインテルナシオナウがサンパウロの高い位置でのマークをかい潜りサンパウロゴールに迫り、CKからチャンスを迎える。サンパウロはボールを奪うと素早く右サイドのFWアリソン(Alisson, 1993)にボールを預け、アリソンを追い抜く動きから、アリソンがクロスまたはライン裏にボールを出しチャンスをうかがう。
前半19分、MFアラン・パトリッキ(Alan Patrick, 1991)、MFマウリシオ(Maurício, 2001)、FWルイス・アドリアーノ(Luiz Adriano, 1987)がゴール正面でワンタッチでパスを繋ぐがシュートに持ち込めない。その後もインテルナシオナウが中盤の厳しいチェックをかい潜りゴールに迫るが、サンパウロ両CBが落ち着いたプレーでインテルナシオナウの攻撃を悉く寸断する。
すると前半33分に中盤でのボール奪取からサンパウロがチャンスを掴み先制点を奪う。
後半開始と同時にインテルナシオナウはボランチと右サイドバックを交代。しかし、むしろ右サイドの攻撃が停滞し、サンパウロがボールを握る時間も増えていく。後半14分にFWペドロ・エンヒキ(Pedro Henrique, 1990)を投入し右サイドの活性化を図るがあまり効果を発揮しない。すると後半25分にサンパウロVOLパブロ・マイアがゴラッソ。
サンパウロはリードを2点差に広げると引いた守備からカウンターを狙うようになり、インテルナシオナウはボールを握り攻撃の糸口を探る。インテルナシオナウはボールを持ちながらもサンパウロの両CBを中心とした固い守備をこじ開けることが出来ない。後半40分にはサンパウロがカンターから決定的な場面を逸するが、試合はこのまま2-0でタイムアップ、サンパウロが全国選手権2勝目を挙げた。
補足情報、 所感 etc.
サンパウロは、中盤の速いチェックと両CBの固い守備でボールを持たれながらも試合をコントロールし、少ないチャンスをゴールに結びつけて快勝。監督交代後の5試合は1失点で守備面が整備。全国選手権2、3節を欠場したチーム得点王のFWカレリが途中交代から得点に絡む活躍を見せ、攻撃面でも今後の飛躍が期待される。全国選手権も2勝1分1敗の勝点7で暫定5位に浮上。中3日で行われる第5節は今までの対戦相手に比べはるかに高い攻撃力で選手権2位につけるフォルタレーザ戦。今後上位進出に向けた試金石となる。
インテルナシオナウは、攻撃の要MFアラン・パトリッキが精彩を欠き、経験豊かなFWルイス・アドリアーノは消える時間が多く、無得点の完敗。最終ラインの前でのプレーが多く、サンパウロ両CBに攻撃の芽をことごとく摘まれた。攻撃陣では州選手権得点王で途中交代出場のFWペドロ・エンヒキがこの試合を含め12試合連続無得点。高さのあるFWアレモン(Alemão, 1998)は今節の試合を前にケガをし戦線を離脱。次節では成長著しいルーカ(Lucca, 2003)を抜擢する手もあるように思える。
アトレチコ・パラナエンセ(CAP) 2-1 フラメンゴ(FLA)
動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=o_V1PkXDyEs
FLA : 15' #10 ガブリエウ・バルボーザ(Gabriel Barbosa , 1996)[PK]
CAP : 29' #9 ヴィトル・ホッキ(Vitor Roque, 2005)[#5 フェルナンジーニョ(Fernandinho, 1985)]
CAP : 80' #26 エリキ(Erick, 1997)[]
見どころ
アトレチコ・パラナエンセは全国選手権で2連敗中、第3節終了時点で16位とスタートダッシュにつまずいた。一方でリベルタドーレスではグループ首位。週中の試合では前半にリードを許すも後半には別チームのようなサッカーを披露し逆転勝利。後半はテンポのいいパス回しで攻撃のリズムを作り逆転後はしっかりと中を閉ざした守備で1点のリードを守り切った。この試合でもリベルタドーレス後半のリズム感のあるパス回しでホームのサポーターを魅了したい。
フラメンゴも全国選手権は2連敗中。前節のボタフォゴとのクラシコではボールを保持するものの相手の守備を崩すことができず、少ないチャンスを得点につなげられ常にリードを許したまま敗戦。週中のリベルタドーレスも多くの時間を数的優位な状況にありながら相手の堅牢な守備を崩すことができず、打つ手はFWの選手を投入するのみ。逆に少ないチャンスをものにされ同点で試合を終えた。今節の対戦相手アトレチコ・パラナエンセも守備が固く、スピード、高さのあるFWを揃える。ホルヘ・サンパオリ監督はどのような戦術で現状を打開するだろうか。
得点シーン
(FLA)前半15分 :
MFエヴェルトン・ヒベイロ(Éverton Ribeiro, 1989)が高い位置でパスカット。素早くペナルティエリア左のFWエヴェルトン(Everton, 1996)へボールを送る。FWエヴェルトンは守備陣の前を中央へドリブルで切れ込みを図るが後方から足を引っ掛けられ転倒、PKを獲得する。これをFWガブリエウ・バルボーザが落ち着いて決めアウェイのフラメンゴが先制。
FWエヴェルトンは2017年にグレミオで、2022年はフラメンゴでリベルタドーレスを制覇。2019年にはブラジル代表としてコパ・アメリカを制覇。同大会では決勝戦での先制点を含む3得点で得点王。2020/21、2021/22シーズンをベンフィカ/PORでプレーするも起用法をめぐり監督と対立。2022年4月30日の試合を最後に試合出場がなくなり、2022年6月下旬にフラメンゴに加入。スタメンを飾ることは少ないが多くの試合に出場している。
(CAP)前半29分 :
中央線付近で相手ボールを奪うと右サイドの浅い位置からVOLフェルナンジーニョがクロス。FWヴィトル・ホッキがGKの手前で振り上げた足でボールの軌道をずらしゴール。アトレチコ・パラナエンセが同点に追いつく。
FWヴィトル・ホッキは前節に続き全国選手権2試合連続得点。
VOLフェルナンジーニョはアトレチコ・パラナエンセでプロデビューを果たし、シャクタルドネツク/UKRで8シーズン、マンチェスターシティ/ENGで9シーズンプレー。ブラジル代表としても数多くの試合に出場。代表ではコパ・アメリカ、ウクライナ、イングランドでは国内リーグの多くのタイトルを獲得し、2022年7月にアトレチコ・パラナエンセに復帰。復帰後も圧倒的な存在感を発揮している。
(CAP)後半35分 :
右サイド深くからFWチアゴ・アンドラージ(Thiago Andrade, 2000)がドリブルで中を窺いながら下がりVOLフェルナンジーニョにボールを預ける。FWチアゴ・アンドラージが作ったスペースに右SBケウヴィン(Khellven, 2001)が駆け上がるとVOLフェルナンジーニョからスルーパス。右SBケウヴィンはグラウンダーのクロスを送るがFWヴィトル・ホッキに合わずGKが弾く。そのこぼれ球をVOLエリキが押し込みアトレチコ・パラナエンセが逆転。
右SBケウヴィンはアトレチコ・パラナエンセ下部組織出身。18歳の2019年3月にトップデビューを果たし5月にトップチームに昇格。2022年の半ばにはレギュラーに定着。この試合終了時点で22歳ながらトップチームで通算約160試合に出場。
試合概要
フラメンゴが高い位置からプレスをかけ、左サイドのSBアイルトン・ルーカス(Ayrton Lucas, 1997)、FWエヴェルトンが次々にチャンスを作る。すると前半15分、FWエヴェルトンが獲得したPKをFWガブリエウ・バルボーザが決めフラメンゴが先制点を奪う。
早く追いつきたいアトレチコ・パラナエンセは、引き気味に守るフラメンゴの守りに対し最終ラインを高く敷きFWテランス(Terans, 1994)を軸にフラメンゴのゴールに迫る。前半29分、相手陣でボールを奪うと素早くボールを前線に送り同点に追いつく。
1-1の振り出しに戻ると試合はしばし膠着状態に陥り両チームとも大きくなチャンスを迎えることもなく前半を終える。
後半に入り再びフラメンゴが優位に試合を進める。後半15分FWエヴェルトン、後半22分FWガブリエウ・バルボーザの強烈なシュート、後半21分左SBアイルトン・ルーカスの至近距離からのシュートをことごとくGKベント(Bento, 1999)が弾き返す。その後もCKが続くがアトレチコ・パラナエンセはGKベントを中心に耐える。
後半35分、守備陣の奮闘に応えるかのようにアトレチコ・パラナエンセがゴールを奪い試合をひっくり返す。その後のフラメンゴの攻撃を凌ぎアトレチコ・パラナエンセが2-1で勝利を飾った。
補足情報、 所感 etc.
アトレチコ・パラナエンセはこの勝利で今季ホームでの試合を11勝2分とし無敗記録を継続。全国選手権での連敗も2でストップ。週中のリベルタドーレスに続き逆転で勝利を収めた。この試合では、リベルタドーレスでは少し不安定なプレーを見せたGKベントが復調し、ベテランのフェルナンジーニョが中盤の底で攻守に老獪なプレーを見せ、FWヴィトル・ホッキやFWチアゴ・アンドラージ、SBケウヴィンなどの若い選手が得点に絡むなど、本来の姿を取り戻す。この勢いで全国選手権でも上位を狙いたい。
フラメンゴは全国選手権3連敗で暫定16位。明日のコリンチャンスの結果次第では降格圏内の17位に沈む。攻撃的な戦術を採用しボール保持率が高く枠内シュートも多くを数えるが、相手GKの好守もありなかなか得点が奪えない。この試合でもPKによる1点のみ。内容的に相手を上回りながらも敗れる試合が続き、サンパオリ監督も試合後のインタビューで苛立ちを隠せない。きっかけ一つで好転が期待できる内容が続くだけに、そのきっかけを早く掴みたい。