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全国選手権第4節 対戦組合せ
以下の5試合はこちらで。→ 【ブラジル全国選手権2023】第4節(1/2)
・2023/05/06 クルゼイロ(CRU) x サントス(SAN)
・2023/05/06 フルミネンセ(FLU) x ヴァスコ・ダ・ガマ(VAS)
・2023/05/07 アメリカ・ミネイロ(AME) x クイアバ(CUI)
・2023/05/07 サンパウロ(SAO) x インテルナシオナウ(INT)
・2023/05/07 アトレチコ・パラナエンセ(CAP) x フラメンゴ(FLA)
以下の5試合はこの記事で。
・2023/05/07 バイーア(BAH) x コリチバ(CFC)
・2023/05/07 ボタフォゴ(BOT) x アトレチコ・ミネイロ(CAM)
・2023/05/07 ゴイアス(GOI) x パウメイラス(PAL)
・2023/05/07 グレミオ(GRE) x RBブラガンチーノ(RBB)
・2023/05/08 コリンチャンス(COR) x フォルタレーザ(FOR)
全国選手権第4節 試合概要
バイーア(BAH) 3-1 コリチバ(CFC)
動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=4o1RQg3azIo
BAH : 16' #xx オウンゴール(Gol Contra)[]
CFC : 63' #35 ボスキーリャ(Boschilia, 1996)[#11 アレフ・マンガ(Alef Manga, 1994)]
BAH : 65' #11 ビエウ(Biel, 2001)[#8 カウリー(Cauly, 1995)]
BAH : 68' #95 ダヴィ・ドゥアルチ(David Duarte, 1995)[#8 カウリー(Cauly, 1995)]
見どころ
バイーアは前節を無失点で全国選手権初勝利を飾り、カップ戦を含め公式戦2連勝中。前節はスリーバックとツーボランチが機能し、ボールを持たれながらもボールを奪っては良くトレーニングされた鋭いカウンターで相手ゴールを次々と脅かした。今節は前節と異なり対戦相手は守備をベースにカウンターを狙ってくることが想定される。このようなチームをどのように迎え撃つか興味を惹かれる。
コリチバは2月終盤から9試合勝ち星から見放されている。しかし、前節では指揮を執って2試合目となるザーゴ監督のもと、早い時間帯にゴールを奪い、カウンターを狙いながらも守備を固める戦術がはまる。残念ながら後半35分過ぎに相手シュートをブロックしたボールが縦回転でGKの頭を超えインゴールする少し不運な形のゴールで同点に追いつかれたが、守備面での大幅な改善が見られた。今節はアウェイでの試合のため前節同様に守備に重きをおいた試合になることが想定されるが、少ないチャンスを活かし久しぶりの勝利の美酒を味わいたい。
得点シーン
(BAH)前半16分 :
左サイドライン際を縦にパスを繋ぎ、左SBマテウス・バイーア(Matheus Bahia, 1999)が抜け出し中央へクロス。これが相手ディフェンダーのオウンゴールを誘いバイーアが先制。
左SBマテウス・バイーアはバイーア下部組織出身で2020年にトップチームデビュー。2021年に一時はレギュラーを獲得するが定着できずにいる。今季は新加入でエクアドル世代別代表歴のある左SBチャベス(Chavez, 2002)と熾烈なポジション争いを繰り広げている。
(CFC)後半18分 :
MFボスキーリャは右サイドライン際のFWアレフ・マンガからボールを受ける。相手の寄せが甘いと見るや約30mのミドルシュート。無回転のボールが左サイドネットに突き刺さるゴラッソ。コリチバが同点に追いつく。
MFボスキーリャは、2013U-17W杯で4試合6得点、2015U-20W杯で7試合2得点を記録する攻撃的なMF。2015年19歳でモナコ/FRAに移籍。2016/17シーズンに16試合8得点3アシスト、2018/19シーズンはレンタル先のナンテ/FRAで32試合5得点4アシストを記録。インテルナシオナウを経て2022年にコリチバに加入。今季はいずれも途中交代で4試合目の出場。前線で孤立しがちなFWアレフ・マンガをサポートし自らの得点力を発揮し今後も不振のチームに貢献したい。
(BAH)後半20分 :
右WBジャカレーがドリブルでペナルティエリアに侵入。2人のディフェンダーをかわしたところでドリブルをカットされるが、それを拾ったMFカウリーが中央へボールを流す。ペナルティエリア内から下がってきたFWビエウが意表を突きダイレクトにシュート。これがゴールネットを揺らしバイーアが再びリードを奪う。
FWビエウはフルミネンセ下部組織出身で2021年に同クラブからトップチームデビュー。同年の全国選手権ではレギュラーの座を掴むがケガもあり2022年にはポジションを失い全国選手権開幕を前にグレミオへ期限付き移籍。グレミオでは間もなくレギュラーとして定着。33試合5得点6アシストを記録し1部昇格に貢献。その活躍と将来性を期待され2022年シーズン終了後バイーアが1050万レアル(約3億円)の移籍金で獲得。今季は持ち味の視野の広さ、鋭く速いドリブル、高い決定力を発揮しこの試合終了時点で24試合7得点6アシストを記録している。
(BAH)後半23分 :
ペナルティエリア外右寄り20mの地点からのFK。MFカウリーが蹴ったボールはファーサイドでCBダヴィ・ドゥアルチが頭に合わせバイーアが追加点。
CBダヴィ・ドゥアルチはフルミネンセからの期限付き移籍で今季はバイーアでプレー。このゴールがバイーアでの嬉しい初得点。
MFカウリーはバイーア州出身だが11歳からドイツで暮らしドイツ下部リーグでプロデビュー、ブルガリアの強豪ルドゴレツ・ラズグラドを経て2023年2月上旬にバイーアが230万ユーロ(約3億3千万円)の移籍金で獲得。今季はこの試合終了時点で15試合5得点3アシスト。バイーアの攻撃を牽引している。
試合概要
公式戦2連勝中のホームバイーアが左サイドを中心に相手ゴールに迫る。すると前半15分に早くも先取点。同点に追いつきたいコリチバもサイドからの攻撃やセットプレーからシュートまで持ち込むがゴールを奪えない。この時間帯をバイーアがしのぐと前節で攻守に奮闘したVOLタシアーノ(Thaciano, 1995)が前半28分、29分とたて続けにゴールに迫る。その後はバイーアがボールを持ちコリチバがカウンターを狙う展開となるがスコアは動かず前半が終了。
後半に入ってもバイーアがボールを保持し試合のテンポが落ち着く。しかし、後半18分に試合が動く。コリチバMFボスキーリャがゴラッソ。バイーアも前への圧力を強め2分後にFWビエウが勝ち越し点。さらにバイーアは攻勢を強め3分後には相手陣で獲得したFKから追加点を奪う。2点のリードを奪ったバイーアは再び試合のテンポを落ち着かせる。コリチバもボールを奪っては相手ゴールを目指すが個々の選手が打開を図ろうとするだけで人数をかけて組織的に攻めることが出来ず試合はタイムアップ。3-1でホームのバイーアが勝ち点3を積み上げた。
補足情報、 所感 etc.
バイーアは前節では中盤をコンパクトにした守備でボールを保持するヴァスコのパス回しを分断し、鋭いカウンターや良く練られたセットプレーからゴールを狙い全国選手権初勝利を飾ったが、今節は積極的にボールを保持し左サイドのFWビエウ、右サイドのWBジャカレー、中盤のカウリー、タシアーノを中心に相手ゴールに迫り、リードを奪っては試合を落ち着かせる試合巧者ぶりを披露。今後に向け楽しみが広がるサッカーを見せた。
バイーアは、この試合前半アディショナルタイムに相手カウンターを阻止し右WBジャカレーにイエローカードが提示された。これが全国選手権4試合目、315分の試合時間で初のイエローカード。各チーム1試合平均3枚~5枚のイエローカードを受ける中、バイーアの4試合でイエローカード2枚は出色の数字。意外なところにチームコンセプトとクリーンな戦いぶりが垣間見ることができた。
コリチバは、人数を割いて引いて守るも耐えきることができず、前線は孤立し得点を奪うこともできず、悪循環が続き、10試合連続勝ち星なしとなった。今日の敗戦はオウンゴールによる失点、同点に追いついた直後にたて続けに失点を重ね、精神的にも堪える敗戦だったように思われる。シーズン当初の好調時のサッカーを思い出し、選手が自信を取り戻し、現状の閉塞感を振り払ってもらいたい。
ボタフォゴ(BOT) 2-0 アトレチコ・ミネイロ(CAM)
動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=_VoKOsF41Ak
BOT : 30' #7 ヴィクトル・サー(Victor Sá, 1994)[#24 ジ・プラシド(Di Plácido, 1994)]
BOT : 60' #90 マテウス・ナシメント(Matheus Nascimento, 2004)[]
CAM : N/A
見どころ
現在全国選手権3連勝中で首位を走るボタフォゴ。週中のコパ・スウアメリカーナに引き分け、公式戦の連勝は7で止まったが、連続無敗記録は13に伸ばした。今季はこれまで25試合を消化し48点をマーク。FW陣の決定力が高く、中盤のサポートも厚い。前節のフラメンゴとのクラシコも常にリードし続け3-2の勝利。州選手権での対戦時には控え選手を中心としたフラメンゴに0-1で敗れていただけに、現在のボタフォゴの躍進を支える確かな成長が確認された。今節の対戦相手は2連勝中のアトレチコ・ミネイロ。厳しい戦いが予想されるがホームサポーターの応援を背に首位を守りたい。
アトレチコ・ミネイロは最近の2試合を連勝。前節のアトレチコ・パラナエンセ戦ではリベルタドーレスの雪辱を果たし、週中のリベルタドーレスは2連敗でグループラウンド突破へ窮地に立たされていたが30本ものシュートを浴びせ2-0の完勝。一時の不振を脱却したかのように思われる。今節の対戦相手は首位を走るボタフォゴ。好調のボタフォゴをアウェイで叩き連勝中の勢いを加速させたい。
得点シーン
(BOT)前半30分 :
ピッチ中央からVOLマルロン・フレイタス(Marlon Freitas, 1995)が縦にボールを入れるとFWヴィトル・サーが右へ展開。右SBプラシドがサイドライン際を駆け上がると絶妙のタイミングでボールが送られる。プラシドがややマイナス気味のグラウンダーのクロスを送るとFWヴィトル・サーがボールをヒールで合わせゴールに流し込む。ゴラッソ。ホームのボタフォゴが先制。
FWヴィトル・サーは2015年にサンパウロ州選手権下部リーグのジョゼエンセからオーストリア2部のカプフェンベルガーSVへ移籍。その後ヴォルフスブルク/GER、アルジャジーラ/UAEを経て2022年にボタフォゴに加入。チャンスメーカーとしてチームの1部昇格に貢献。今季もコンスタントに試合出場を果たしチャンスメーカーとして活躍。
(BOT)後半15分 :
左サイドからFWヴィトル・サーがディフェンダーをかわしフリーの状態でゴール前にクロスを送る。FWジュニオール・サントス(Júnior Santos, 1994)が頭で合わせるもディフェンダーがブロック。その後混戦となるがこぼれ球をFWマテウス・ナシメントが落ち着いてゴールに流し込みボタフォゴが貴重な追加点。
FWマテウス・ナシメントはこの試合を最後にU-20W杯に向けしばらくチームを離れる。自らはなむけのゴールをマーク。
試合概要
アウェイのアトレチコ・ミネイロが優勢な立ち上がり。ペナルティエリア近辺でのパス交換やミドルシュート、CKからゴールを狙う。前半12分、アトレチコのCKをボタフォゴGKペリ(Perri, 1997)がキャッチミス。こぼれたボールを巡り混戦となるがボタフォゴ守備陣が辛うじてクリア。一方のボタフォゴは前半19分に左サイドから右サイドへサイドチェンジのボールをすぐに内に折り返しシュートまで持ち込むがアトレチコディフェンダーがブロック。その後も敵陣で攻勢をかけるが得点を奪いきることが出来ず、再びアトレチコがボールを支配。
前半30分、縦の速い攻撃からFWヴィトル・サーのゴラッソで先制するが、その後もアトレチコがボールを握りボタフォゴがカウンターを狙う展開となる。アトレチコが決定的なシーンを作れずにいるとボタフォゴは前半終了間際に右サイドでボールを繋ぎ最後はゴールライン際からのマイナスのクロスにFWヴィトル・サーが合わせるが僅かにゴール右に外れる。
後半に入りお互いに相手ゴールに迫るが後半15分にボタフォゴが追加点を奪うとボタフォゴが敵陣でボールを持つ時間が長くなり3点目を奪いに行く。試合終了間際にはVOLチェチェ(Tchê Tchê, 1992)がペナルティエリア内で抜け出しGKと一対一になるチャンスを迎える。結局3点目を奪うことはできなかったが、後半の追加点以降は大きなピンチを迎えることもなく試合を支配。
ボタフォゴが2-0で全国選手権無傷の4連勝を飾った。
補足情報、 所感 etc.
ボタフォゴは全国選手権開幕4連勝で首位をキープ。前節フラメンゴ戦に続き守勢にまわる時間が多くなるが、守備ラインが下がり過ぎることがなくボールを奪うと人数をかけた攻撃に移行。特に右サイドからの攻撃から多くのチャンスを作り出しFWが決めきる試合が続く。サイド攻撃では、ボール保持者と一人目のクロスのターゲットの延長線上にもう一人攻撃的な選手がポジションを取り、その直線の一列下にも選手が待機または目の前の直線に顔をだし、奥行きの深い攻撃を作り出している。
アトレチコ・ミネイロは前節、リベルタドーレスと連勝した勢いを引き継ぎ、試合開始直後から優位に試合を進めたびたびゴールに迫る。しかし、ゴールを奪えないまま前半20分を過ぎるころになると、勢いは衰えだし先制を許す。その後もボールは保持するものの攻撃の糸口を掴めずにいると後半15分にさらに失点。最後は試合をすっかりコントロールされ敗戦。
直近のリベルタドーレスで一方的に試合を支配したもののわずか2点にとどまった最後の局面でのアイディア不足がこの試合でも露呈した形になった。
ゴイアス(GOI) 0-5 パウメイラス(PAL)
動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=qtwodxQwhdc
GOI : N/A
PAL : 10' #14 アルトゥール(Artur, 1998)[#8 ゼ・ハファエウ(Zé Rafael, 1993)]
PAL : 48' #xx オウンゴール(Gol Contra)[]
PAL : 78' #23 ハファエウ・ヴェイガ(Raphael Veiga, 1995)[]
PAL : 83' #9 エンドリッキ(Endrick, 2006)[#22 ピケレス(Piquerez, 1998)]
PAL : 90' #7 ドゥドゥ(Dudu, 1992)[#22 ピケレス(Piquerez, 1998)]
見どころ
ゴイアスは監督人事が難航し、今節も監督不在のまま代行監督のもとで試合に臨む。全国選手権開幕節こそいいところなく敗れたものの、第2節で初勝利、前節は退場者を出し力尽きたが、高さのあるセンターフォワードとスピードのある両ウィングをターゲットにしたサイドからの攻撃は試合を重ねるごとに精度を増してきている。週中のコパ・スウアメリカーナはアウェイで2-0の勝利。この勢いで強豪パウメイラスをホームで迎え撃ちたい。
パウメイラスは、全国選手権を2勝1分で3位。多くの選手のケガによる離脱や過密日程も、控え選手の出場機会となり成長が促され選手層はさらに厚みを増す。最近の試合ではケガ人も徐々に復帰。週中のリベルタドーレスでは敵地で効率的に得点を重ね、後半は多くの時間を自陣でプレーするも試合をコントロールする試合巧者ぶりを発揮。サイドからの攻撃に少し危ない場面が見られたが、今節の対戦相手はサイド攻撃を得意とするだけにその点だけは注意をしたいところ。
得点シーン
(PAL)前半10分 :
右からのCK。キッカーMFハファエウ・ヴェイガが送ったボールはニアサイドでVOLゼ・ハファエウがすらす。ファーサイドに抜けたボールをFWアルトゥールがフリーで頭に合わせパウメイラスが先制。
FWアルトゥールは全国選手権2ゴール目。168㎝と小柄ながらいずれもヘディングによる得点。
(PAL)後半3分 :
左サイドを抜け出した左SBピケレスが中に送ったクロスは相手オウンゴールを誘いパウメイラスが2-0とリードを広げる。
左SBピケレスは現ウルグアイ代表。2021年に初めて代表にされると2022W杯南米予選の7試合に出場1得点。2022年は南米予選、本大会と選出外となる。しかし、2022W杯後初の代表戦に招集、ウルグアイ代表に返り咲いた。過去には2015年南米U-17選手権にウルグアイ代表として出場。パウメイラスには2021年に加入すると翌2022年にはレギュラーの座を獲得し全国選手権ベストイレブンに選出。2023年はケガでしばらく戦列を離れるがこの試合では2アシストを記録、計3得点に絡む活躍。
(PAL)後半33分 :
ゴイアス最終ラインのパスが流れたところをMFハファエウ・ヴェイガが奪いそのままゴール。
MFハファエウ・ヴェイガは中盤でパウメイラス攻撃陣を牽引。今季はこの試合を終えた時点で18試合8得点6アシストを記録。公式戦3試合連続ゴールを継続中。
(PAL)後半38分 :
左SBピケレスが相手最終ラインとGKの間に絶妙なクロス。FWエンドリッキが体を沈め頭で合わせパウメイラスの4点目。
FWエンドリッキは州選手権での不振から最近は途中出場が続く。とはいえ、全国選手権は3試合107分出場2得点。
(PAL)後半45分 :
再び左SBピケーレスがMFジョン・ジョン(Jhon Jhon, 2002)とのパス交換で抜け出しペナルティエリア内ゴールライン際からマイナスのクロス。FWドゥドゥがダイレクトに合わせたボールはクロスバーを叩きゴールイン。
試合概要
個々の選手の技術、戦術理解に勝るパウメイラスは、ボールを保持し続けるわけではないが、メリハリの利いた攻撃と、組織的な中盤でのマーク、プレス、引いた守備の安定感で試合をコントロール。
前半10分の先制後もプレースタイルは変わらない。
前半38分、GKウェヴェルトン(Weverton, 1987)のフィードにFWホニ(Rony, 1995)が抜け出そうとすると、ゴイアスディフェンダーの高く振り上げた足がホニの背中をスパイク裏で蹴る形になりVARの介入後に退場の判定が下される。このプレーで趨勢が決まる。
一人少なくなったゴイアスは後半にオウンゴールや単純なミスから失点を重ね自滅。0-5で完敗を喫する。
補足情報、 所感 etc.
ゴイアスは週中のコパ・スウアメリカーナでの2-0での完勝の勢いに乗ることが出来ず完敗。次戦は中2日のフラメンゴ戦。守備の要のCBアウテルを出場停止で欠くが、気持ちを切り替え、固い守りから相手の焦りを引き出して勝ち点3を勝ち取りたい。
パウメイラスは、内容、得点ともに完勝の一戦。後半半ばには早々と先発陣から若手選手に交代をすすめ、追加点を奪って試合を締めくくる。全国選手権も2位につけ虎視眈々と首位を狙う。
グレミオ(GRE) 3-3 RBブラガンチーノ(RBB)
動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=pLByAFU4uZw
GRE : 6' #19 クリスタウド(Cristaldo, 1996)[PK]
RBB : 9' #35 マテウス・フェルナンデス(Matheus Fernandes, 1998)[#17 ブルニーニョ(Bruninho, 2003)]
RBB : 53' #19 エドゥアルド・サーシャ(Eduardo Sasha, 1992)[#35 マテウス・フェルナンデス(Matheus Fernandes, 1998)]
GRE : 56' #9 ルイス・スアレス(Luis Suárez, 1987)[]
GRE : 62' #13 ガウジーノ(Galdino, 1997)[#48 ジーニョ(Zinho, 2003)]
RBB : 90+1' #18 チアゴ・ボルバス(Thiago Borbas, 2002)[#29 ジュニーニョ・カピシャバ(Juninho Capixaba, 1997)]
見どころ
グレミオは州選手権での爆発力が全国選手権では影をひそめるものの2勝1敗3得点2失点の成績で6位につける。今季鳴り物入りで加入したルイス・スアレスは、州選手権では12試合10得点2アシストを記録したが、全国選手権では3試合270分に出場するが未だ得点もアシストもない。守備面は安定しているので、攻撃面で不振のスアレスが復調が待たれる。次節には強豪パウメイラスとの一戦が控えるが、今節を勝利で飾り勢いをつけてパウメイラスに挑みたい。
RBブラガンチーノは全国選手権開幕を白星で飾ったが、その後足踏みし現在1勝1分1敗の12位。前節と週中のコパ・スウアメリカーナは無得点で少し調子を落としている。格下の相手には4点、5点と奪う試合も見られるが、全国選手権では爆発力は影を潜めている。今節の対戦相手のグレミオは選手権最少タイの2失点。この相手から得点を奪い勝ち点3を勝ち取って上位に食らいついていきたい。
得点シーン
(GRE)前半6分 :
グレミオ右サイドからの攻撃、右SBトマス・ルシアーノ(Thomás Luciano, 2002)がクロスを中央へ送るがブラガンチーノCBがクリア。しかし、グレミオはハンドがあったとアピール。VAR介入後のオンフィールドレビューの結果、ペナルティエリア内のハンドが確認されグレミオにPKが与えられる。これをFWクリスタウドがしっかりと決めホームのグレミオが早くも先制。
FWクリスタウドは2022年末にウラカン/ARGからグレミオに加入。中盤で攻撃のタクトを振りこれまで7アシストを記録。これまでPKはFWルイス・スアレスが蹴っていたが、失敗が続き、この試合ではクリスタウドがキッカーを務めた。
右SBトマス・ルシアーノはグレミオ下部組織出身。今季トップチームに昇格し5試合目の出場で初先発。レギュラーを務めるファビオ(Fábio, 1990)がねん挫でこの試合は大事を取りチャンスを得た。守備面でも右サイドをしっかりと閉じ及第点の出来を見せた。
(RBB)前半9分 :
ブラガンチーノが敵陣でパスを繋ぎ、中央のFWエリーニョ(Helinho, 2000)がドリブルからCBの間から裏を狙うFWブルニーニョにスルーパス。このパスは後方に流れるがブルニーニョが足に当て左に流すと後方からVOLマテウス・フェルナンデスが走り込み間合いを詰めるGKの頭を超すシュート。すかさずRBブラガンチーノが同点に追いつく。
VOLマテウス・フェルナンデスはボタフォゴ下部組織出身。2017年18歳でプロデビューを果たし、パウメイラスを経て2019年にバルセロナ/ESPへ移籍。2019/20シーズンはバジャドリー/ESPへレンタル移籍、翌2020/21シーズンはバルセロナで1試合にのみ出場し、シーズン後パウメイラスへ移籍する。2022年はレンタルでアトレチコ・パラナエンセでプレー。2023年はレンタルでRBブラガンチーノでプレー。ブラガンチーノでは主にセグンド・ボランチとしてレギュラーを務め、コンパクトな陣形で攻撃的な戦術を採用するチームの中で攻守に走りチームを支える。
(RBB)後半8分 :
自陣からVOLマテウス・フェルナンデスが中央をドリブルで駆け上がり、3対3のカウンター。マテウスは左のFWエドゥアルド・サーシャへボールを送る。FWサーシャはトラップで並走するディフェンダーをかわし右足で巻き込むシュート。弧を描いたボールはゴールポストを直撃しゴールネットに吸い込まれる。RBブラガンチーノが逆転。
Jリーグのガンバ大阪も獲得に動いたエドゥアルド・サーシャは3月終わりにRBブラガンチーノに加入。センターフォワードとしてレギュラーを務める。全国選手権は開幕節でのゴールに続き2ゴール目。
(GRE)後半11分 :
敵陣約35mの地点からのFK。ゴール前に上げたボールはディフェンダーが頭でクリアするが、クリアボールをFWルイス・スアレスがディフェンダーの間を抜くダイレクトボレー。技ありの一撃でグレミオが同点に追いつく。
FWルイス・スアレスは公式戦5試合ぶり、全国選手権では初となるゴール。連戦をフルタイム出場しPKを続けて失敗するなど疲労が心配されたが、それを払拭するゴラッソ。
(GRE)後半17分 :
グレミオは自陣でのボールの奪いからボールを確保するとFWジーニョが中央をドリブルで持ち上がる。右サイドを駆け上がるFWガウジーノへボールが送られるとFWガウジーノは個人技でディフェンダーを振り切りシュート。ボールはゴールネットを揺らし再びグレミオがリード。
FWガウジーノはトンベンセからの期限付き移籍で年初に加入。途中交代での出場が続くが出場した試合は3試合連続ゴール。全国選手権では第3節の決勝点に続きこの試合でも(得点時点では)勝ち越しとなるゴールを奪う。
FWジーニョは2023年3月にトップチームへ昇格。全国選手権開幕節ではスターティングイレブンに抜擢される。その後も途中交代ながら全試合に出場。この試合でのアシストがプロ初アシストとなった。プロ初ゴールが待ち望まれる。
(RBB)後半45+1分 :
激しい雨の中、敵陣の右サイド高い位置でボールを奪うと、中央を経由しペナルティエリア内左のSBジュニーニョ・カピシャバにボールが渡る。ジュニーニョが水が浮かぶピッチでグラウンダーのクロスを送るとゴール前で待つFWチアゴ・ボルバスがダイレクトに合わせゴールネットを揺らす。土壇場でRBブラガンチーノが同点に追いつく。
FWチアゴ・ボルバスは全国選手権第2節に続きリードを許す局面でピッチに投入され同点弾を放つ。第3節でもGKの好セーブに阻まれたものの惜しいシュートを放つ。途中交代での出場が多いがピッチでは結果を残し続けているだけに近い将来には先発起用されるに違いない。
試合概要
コンパクトな陣形で相手陣で試合を進めるRBブラガンチーノに対し、ボールを奪ってロングボールやワントップFWスアレスにボールを預け一気に敵陣に攻め込みたいグレミオ。しかし、RBブラガンチーノはボールの出どころを素早く抑え、ワントップのスアレスには2CBがしっかりとマークし仕事をさせず、前半はRBブラガンチーノがやや優勢に試合を進める。
後半に入りグレミオはスアレスのゴラッソ、RBブラガンチーノのプレスを掻い潜り後半開始時に投入されたフレッシュな2選手の連携から生まれたゴールでグレミオが一時は逆転する。試合開始前から降り続く雨が激しくなりピッチの状態は悪化する中もRBブラガンチーノはパスを繋ぎ打開を図る。後半アディショナルタイムに入り、グレミオは自陣で不用意にボールを奪われ、得点をあげたFWチアゴ・ボルバスへのマークが遅れる二つの大きなミスを相次いで犯し、勝ち点3を目前に逃すことになる。
雨中で繰り広げられた激戦は両チーム勝点1を分け合う結果で終えた。
補足情報、 所感 etc.
グレミオは試合内容は悪いながらも勝ち点3を目前にしながら最後に追いつかれた悔しい試合。しかし、FWスアレスの5試合ぶりのゴールや、右SBファビオの控えとして下部組織出身のトマス・ルシアーノの目途が立ち、新加入のFWガウジーノの連続試合得点、新人FWジーニョのプロ入り初アシストなど今後の長丁場に向けて収穫もあった試合。勝ち点2を失った形だが頭を上げてパウメイラス、フォルタレーザと続く上位との対戦に挑んでもらいたい。
RBブラガンチーノは、コンパクトな陣形を敷き、空いたスペースにボールを送り、次々と選手が現れる面白いサッカーを目指しているが、攻撃面では意図が共有できておらず簡単にボールを失う場面や、守備面ではプレスが遅れる場面が少なからず見られ、まだまだトレーニングを通した戦術の共有化が必要だと感じられた。この試合では両CBがワントップをしっかりマークし満足に仕事をさせず、広いスペースもカバーできており、中盤での簡単なボールロストが減らすことができれば失点も減らすことが出来るように思われる。
コリンチャンス(COR) 1-1 フォルタレーザ(FOR)
動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=jfN6kUrdqW0
FOR : 79' #8 カイオ・アレシャンドレ(Caio Alexandre, 1999)[#18 シルビオ・ロメロ(Silvio Romero, 1988)]
COR : 88' #9 ユーリ・アウベルト(Yuri Alberto, 2001)[]
見どころ
コリンチャンスは全国選手権はこの第4節まで異なる監督の指揮で臨む珍しいケース。チーム状況が混沌とする中、4月の公式戦は3勝5敗、全国選手権1勝2敗と成績は振るわない。5月1日に就任したばかりのルシェンブルゴ監督の2試合目の采配。5月2日の初采配では攻守に少し変化をつけたが、今節はどこまで改善できるか。対戦相手は好調のフォルタレーザだが、ホームで好調な相手を叩いて嫌なチーム状況を一気に払拭したい。
フォルタレーザは前節でフルミネンセを4-2で下し首位から引きずり落とすとともに自らも2位に浮上。最近10試合は10戦8勝無敗、30得点と攻撃陣が爆発、その陰に隠れながら失点もわずかに8と攻守に安定した戦いぶりを見せている。攻撃ではFW陣を軸にしながらも豊かな攻撃のバリエーションで中盤の多くの選手も得点を奪っており対戦相手は抑えどころに苦慮している。今後しばらくは中位、下位チームとの対戦が続くが、勝ち点を落とさずに先に控える上位との直接対決に挑みたい。
得点シーン
(FOR)後半34分 :
左サイドから左SBブルーノ・パシェコ(Bruno Pacheco, 1991)がペナルティエリア入口でディフェンダーにマークされながら左に流れるFWシルビオ・ロメロにボールを送ると、FWシルビオ・ロメロは足裏で自分が作ったスペースにボールを流す。そこにVOLカイオ・アレシャンドレが後方から走り込みシュート。ボールはゴールネットに突き刺さりフォルタレーザが先制。
左SBブルーノ・パシェコは2022年シーズン終了後にセアラーから加入。記録上アシストはついていないが全国選手権3試合連続でゴールに絡んでいる。
FWシルビオ・ロメーロはインデペンディエンテ/ARGからの期限付き移籍2年目。2022年シーズンはチーム内得点ランキング3位。今期はこの試合を含め21試合約881分に出場、6得点1アシストを記録。
VOLカイオ・アレシャンドレは2022年途中にバンクーバー/CANからの期限付き移籍で加入。全国選手権第2節でのアシストに続きこの試合ではゴールをマーク。ブルーノ・パシェコがパスを送るタイミングで縦に走り出しており、このゴールはよくトレーニングされた綺麗なゴールだった。
(COR)後半44分 :
左サイドライン際からFWホージェル・ゲデス(Róger Guedes, 1996)がクロスを上げる。フォルタレーザは左SBブルーノ・パシェコとの連携がまずくGKフェルナンド・ミゲウ(Fernando Miguel, 1985)のパンチングは小さくなる。そこに走り込んだFWユーリ・アウベルトがボールをゴールに蹴り込み土壇場でコリンチャンスが同点に追いつく。
FWユーリ・アウベルトは2023年3月25日モロッコ戦でブラジル代表に初招集初出場。クラブでは絶対的なスタメンとして攻守に活躍するもここ10試合はゴールが奪えずこの試合ではベンチスタートとなった。しかし、後半21分にピッチに立つと後半44分に同点弾。このゴールをきっかけにゴールの量産を期待したい。
試合概要
前半はお互いに守備に重点を置き中盤でのマークを厳しくし試合は均衡する。ボール保持はフォルタレーザがやや上回るものの、攻撃の糸口が見つからず相手ゴールになかなか迫ることが出来ない。得点の気配がした場面は、前半34分のMFマテウス・アラウージョのGKの好セーブに阻まれた右足からのシュート、前半45+5分の右SBファギネル(Fagner, 1989)がゴールポストに嫌われるミドルシュートと、むしろコリンチャンスの方が多く作りだす。
後半に入りコリンチャンスは左サイドのMFギリェルミ・ビロ(Guilherme Biro, 2004)、右サイドのFWアジソンが効果的に中央のFWホージェル・ゲデスにボールを送りチャンスを作る。一方のフォルタレーザも後半16分に敵陣でのパスミスを奪いシュートに持ち込み、後半22分のシュートはクロスバーに嫌われる。後半25分にはFWシルビオ・ロメロがゴールネットを揺らすがVARが介入し僅かにオフサイドが認められる。
後半33分、フォルタレーザが均衡が破る。ホームでの連敗を避けたいコリンチャンスは後半40分にFWホージェル・ゲデス、後半41分に右SBファギネルがシュートに持ち込む。そして後半44分、FWユーリ・アウベルトのゴールでコリンチャンスが同点に追いつく。なおも攻撃の手を緩めずフォルタレーザゴールに迫るがフォルタレーザもGKフェルナンド・ミゲウを中心に守り切り、試合は1-1でタイムアップ。
補足情報、 所感 etc.
コリンチャンスは、全国選手権開幕節は白星を飾ったもの、第2、3節に連敗、リベルタドーレスでもホームで2連敗を喫するなど不振に陥っていたが、CBムリーロ(Murillo, 2002)、MFマテウス・アラウージョ(Matheus Araújo, 2002)、FWアジソン(Adson, 2000)、FWペドロ・エンヒキ(Pedro Henrique, 2006)の2000年代生まれの若い選手を先発に起用し、後半にも今季初出場となるMFギリェルミ・ビロを投入。一方でFWユーリ・アウベルトをベンチスタートにするなど思い切った選手起用を実施。
試合ではFWアジソン、MFギリェルミ・ビロがよくボールに絡み、ベンチスタートとなったFWユーリ・アウベルトが久しぶりのゴールを決めるなど次戦以降に向け明るい材料も。
FWホージェル・ゲデスだが、ピッチを縦横無尽に走り回り、スピードと足元の技術、シュート技術で数々のゴールやチャンスを生み出し、特に攻撃の要MFヘナト・アウグスト(Renato Augusto, 1988)が戦列を離れている間は、中盤からシュートに至るまで孤軍奮闘の様相でプレーしている。しかし、その一方で近くでプレーする選手がスペースを失い、窮屈になり、本来のプレーをしづらくなっているように感じる。現状のチームではこの試合でのフォルタレーザのようなゴールは奪えないのではないだろうか。
フォルタレーザはここ最近の爆発的な攻撃力が息を潜める。しかし、均衡する試合展開の中で組織的な守備が機能しピンチを迎えてもゴールを許さず、攻撃面でもオフサイドとなったが中盤から多くのパスを繋いだシュートや、左サイドからゴールに至った各選手のオン、オフザボールのプレーなど、日々のトレーニングで培われている連携が垣間見れた。それだけに後半最後の連係ミスによる失点が悔やまれるところ。
今後は5位サンパウロ、7位グレミオと順位表で少し下に位置するチームとの連戦となるが、試合を通して集中力を保ちしっかりと勝ち点を積み上げて上位争いに食らいついていきたい。