【ブラジル全国選手権2023】第5節(1/2)

投稿者: | 2023年5月11日

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全国選手権第5節 対戦組合せ


以下の5試合はこの記事で。 
・2023/05/10 サントス(SAN) x バイーア(BAH)
・2023/05/10 RBブラガンチーノ(RBB) x アメリカ・ミネイロ(AME)
・2023/05/10 インテルナシオナウ(INT) x アトレチコ・パラナエンセ(CAP)
・2023/05/10 フラメンゴ(FLA) x ゴイアス(GOI)
・2023/05/10 クイアバ(CUI) x アトレチコ・ミネイロ(CAM)
以下の5試合はこちらで。→ 【ブラジル全国選手権2023】第5節(2/2)
・2023/05/10 パウメイラス(PAL) x グレミオ(GRE)
・2023/05/10 クルゼイロ(CRU) x フルミネンセ(FLU)
・2023/05/11 コリチバ(CFC) x ヴァスコ・ダ・ガマ(VAS)
・2023/05/11 ボタフォゴ(BOT) x コリンチャンス(COR)
・2023/05/11 フォルタレーザ(FOR) x サンパウロ(SAO)

全国選手権第5節 試合概要

サントス(SAN) 3-0 バイーア(BAH)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=omm_9rKWmO0
SAN : 4' #35 デイヴィジ・ワシントン(Deivid Washington, 2005)[#20 メンドーサ(Mendoza, 1992)]
SAN : 14' #20 メンドーサ(Mendoza, 1992)[#23 ルーカス・リマ(Lucas Lima, 1990)]
SAN : 51' #11 アンジェロ(Ângelo, 2004)[]
BAH : N/A

見どころ

   サントスは、全国選手権1勝1分2敗勝点4で14位。前節は敗れたものの、後半に投入されたFWアンジェロ(Ângelo, 2004)が守備陣とFWとのつなぎ役となり自身もゴールをマーク。前線が孤立しがちとなる課題を少しは解消できた。今節から攻撃の要FWマルコス・レオナルド(Marcos Leonardo, 2003)がU-20W杯に向けた代表招集で欠く。マルコスに代わるセンターフォワードを起用するのか、戦術を変えてくるのか、まずは先発メンバーの発表が待たれる。
   バイーアは、全国選手権2勝2敗勝点6で9位。2連敗のあと2連勝と勢いに乗る。全国選手権前は若手選手を多く起用し結果が伴わず心配されたが、全国選手権では経験のある選手を中心に起用。ボールを保持するチームに対してはしっかりしたブロックと中盤での厳しいマークからカウンターを狙い、引いた相手にはボールを前後左右に散らしゴールに迫り、リードしてからはリスクを冒さず試合をコントロールするなど、戦術の浸透をうかがわせる試合巧者ぶりを見せた。日程が詰まった連戦でも経験のある選手を中心に起用するのか、若手選手を抜擢していくのか、この試合での選手起用法が気になるところだ。

得点シーン

(SAN)前半4分 :
相手陣でボールを奪ったVOLドッジ(Dodi, 1996)からMFルーカス・リマ→FWアンジェロ→MFルーカス・リマとボールが渡りMFルーカス・リマがミドルシュート。これはGKがセーブしボールは左へ流れる。これを拾ったFWメンドーサが中へグラウンダーのクロスを送るとFWデイヴィジ・ワシントンが右足を合わせサントスが先制。
   FWデイヴィジ・ワシントンはサントスU-20所属。4月11日のコパ・ド・ブラジルでトップチームデビューを果たし、この試合がトップチーム5試合目、2試合目の先発出場で初ゴールを記録。この試合では前半アディショナルタイムにクロスバーを叩くシュートを放ち、チーム3点目にも関与するなど度々相手ゴールに迫り、相手の脅威となる。
   VOLドッジは2021,22年に柏レイソルでプレー。2022年12月にサントスに加入。今季はプリメイロ・ボランチとしてボール奪取、パスカットを多く記録し、中盤の底でチームを支える。
(SAN)前半14分 :
GKジョアン・パウロ(João Paulo, 1995)からのフィードをセンターサークル内でFWデイヴィジ・ワシントンが受けMFルーカス・リマにボールを預ける。MFルーカス・リマは裏を狙うFWメンドーサへスルーパス。FWメンドーサはGKとの一対一を冷静に決め、電光石火の攻撃で早くもサントスが2点のリード。
   元ブラジル代表MFルーカス・リマは2月1日に州選手権終了までの条件でサントスに加入。州選手権での活躍を受け契約を延長。最近の試合では消える時間が多かったが、この試合では高い位置を保ちチーム3得点すべてに絡む活躍。
(SAN)後半6分 :
自陣からアンジェロがドリブルでボールを運び味方が上がる時間を作り左サイドのFWルーカス・ブラーガ(Lucas Braga, 1996)へボールを送る。FWルーカス・ブラーガはドリブルでペナルティエリアに侵入しゴールライン際に走り込むMFルーカス・リマへパス。MFルーカス・リマは中央へグラウンダーのクロスを送りFWデイヴィジ・ワシントンが足に合わせるがGKがセーブ。こぼれ球をFWアンジェロが拾いゴールネットに突き刺す。サントスが追加点。
   FWアンジェロは前節に続き2試合連続得点。2020年10月25日15歳でのデビュー以来2年半をかけてサントスの本拠地ヴィラ・ベウミーロでの嬉しい初ゴールとなった。2022年はサイドでスピードを活かしチャンスメーカーとして活躍したが、今季はゴール前でストライカーとしての一面も見せる。世代別代表からはしばらく遠ざかっているが再びアマレリーニャを着て国を代表してプレーする日も近いだろう。

試合概要

   サントスが立ち上がりから高い位置でバイーアのボールの出どころにプレスをかける。前半4分に敵陣でのボール奪取から先制。前半14分にはGKのフィードからバイーア守備陣の間隙をつき追加点。早い時間帯に2点のリードを奪う。
   バイーアも人数をかけた攻撃でサントスゴールに迫り前半24分、30分には決定的なシーンを迎えるが、サントスGKジョアン・パウロが体を張り好セーブでゴールを許さない。前半アディショナルタイムにはゴールネットを揺らすが僅かながらオフサイド。
   後半に入り自陣からのカウンターでサントスが追加点。その後もサントスは攻撃の手を緩めず、後半11分、17分にもバイーアゴールに迫る。その後はバイーアがボールを持つが効果的にサントスゴールに迫ることが出来ず、サントスが試合をコントロール。バイーアは最後までサントスゴールをこじ開けることが出来ず3-0でタイムアップ。得点結果、内容ともにサントスの完勝に終わった。

補足情報、 所感 etc.

   サントスは高い位置でのプレスから早い時間帯に2点を奪いプラン通りの展開。これまでは全体が下がりすぎ前線でFWが孤立する場面がしばしば見られたが、この試合では攻撃でのサポートに人数をかけ、数多くのチャンスを作り出した。
   U-20代表FWマルコス・レオナルド(Marcos Leonardo, 2003)に起用された17歳のFWデイヴィジ・ワシントンが出色の出来。得点シーン以外にも多くのチャンスを創出。
   守備面ではドッジ、カマーショ(Camacho, 1990)の両ボランチが中盤でバイーアの攻撃の芽を摘む働き。
   サントスは今季一番の内容で全国選手権2勝目を挙げた。
   バイーアは前節から6選手を入れ替えたスタメンで試合に臨むが、連係が悪く、高い守備ラインの後ろのスペースを適切に管理できず、前半の早い時間に立て続けに失点。前半20分を過ぎると、ボールを保持し人数をかけて相手ゴールに迫るようになるがゴールを奪うことが出来ない。後半もボールを持つ時間は長くなるが攻撃の糸口がつかめず、試合を完全にコントールされ、いいところなく完敗。
   最近の試合では組織的でよくトレーニングされた試合内容で、コパ・ド・ブラジルを含め公式戦に3連勝していたが、先発変更で組織的なプレーに綻びができた。チーム全体の戦術浸透が課題として浮かび上がった形だ。

RBブラガンチーノ(RBB) 2-2 アメリカ・ミネイロ(AME)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=7q6MgCu7wOc
AME : 15' #99 アロイージオ(Aloísio, 1988)[PK]
RBB : 33' #11 エリーニョ(Helinho, 2000)[FK]
RBB : 44' #11 エリーニョ(Helinho, 2000)[#13 アデルラン(Aderlan, 1990)]
AME : 78' #99 アロイージオ(Aloísio, 1988)[PK]

見どころ

   RBブラガンチーノは全国選手権1勝2分1敗勝点5で12位。前節はアウェイで激しい雨の中、試合終了間際に追いつき勝ち点1を獲得。敵陣でプレーし続ける攻撃的な姿勢を貫いたが、連係が不十分で単純なボールロストなどミスが散見された。今季はこれまで試合によって内容にムラが多いが、爆発的な攻撃力を発揮する試合もある。この試合では不振のアメリカ・ミネイロを相手に攻撃力を爆発させることができるだろうか。
   アメリカ・ミネイロは全国選手権4戦4敗勝点0で20位。リーグ最多の11失点。しかし、前節は後半40分まで守備陣が踏ん張りを見せた。攻撃面ではシュート数は多いがゴールを奪えていない状況。アウェイでのRBブラガンチーノ戦は過去に1勝1分と相性がいいだけに、攻撃面も守備面も最後の精度を上げて集中力を保ち連敗から脱出したい。

得点シーン

(AME)前半15分 :
相手陣左のスローインからの流れでVARの介入によりペナルティエリア内でのファールが判定されアメリカ・ミネイロがPKを獲得。これをFW アロイージオがゴール右に決めアメリカ・ミネイロが先制。
   FWアロイージオ、中国名「洛国富」。中国代表として2022W杯予選5試合1得点を記録。全国選手権では第3節でアシスト、第4節でゴールを記録しており3試合連続で得点に関与。
(RBB)前半33分 :
ペナルティエリアすぐ外からのFKをFWエリーニョが蹴る。壁が割れ、しかも壁に当たりコースが変わったボールがゴールに吸い込まれ、RBブラガンチーノが同点に追いつく。
   FWエリーニョは2017U-17W杯代表として3試合に出場。2018年に18歳でサンパウロFCからデビュー。デビュー戦で初ゴールを記録。2020年にブラガンチーノへ期限付き移籍。2021年にブラガンチーノでレギュラーの座を掴むと、2022年は完全移籍を果たす。今季は膝の故障で出遅れるが4月15日の全国選手権開幕後は連戦にスタメンとして出場を果たしている。
(RBB)前半44分 :
FWエリーニョが右SBアデルランからのパスをペナルティエリア右奥で受ける。そこから右足でのクロスをフェイントで入れ、ボールを左足に持ちかえるとディフェンダーをかわしゴールニアサイドに鋭いグラウンダーのシュートを決める。RBブラガンチーノが逆転。
(AME)後半33分 :
カウンターから守備ラインの裏に抜け出したFWミカエウ(Mikael, 1999)がペナルティエリアに侵入しFWアロイージオへボールを送る。FWアロイージオが放ったシュートは相手ディフェンダーのハンドを誘いアメリカ・ミネイロがPKを獲得。これをFWアロイージオが再びゴール右に決めアメリカ・ミネイロが同点に追いつく。
   FWミカエウは身長184㎝のセンターフォワード。エスポルチからの期限付き移籍で今季アメリカ・ミネイロに加入。途中交代での出場が続くがこのプレーを機に今後出場機会を増やすことが出来るだろうか・

試合概要

   下位から脱出したい両チームは立ち上がりからお互いに攻撃的な姿勢を見せる。前半1分、2分にRBブラガンチーノがゴールに迫ると、前半2分にはアメリカ・ミネイロがシュートまで持ち込みその後もCKからチャンスをうかがう。前半8分には再びRBブラガンチーノが相手ペナルティエリア内でシュートを繰り返す。
   前半11分、アメリカ・ミネイロがFWアロイージオのPKで均衡を破る。同点に追いつきたいRBブラガンチーノは相手陣でボールを回し人数をかけた攻撃でたびたびゴールに迫る。すると前半33分にゴール前で獲得したFKから同点。前半44分にはFWエリーニョの個人技で逆転に成功。 
   後半もRBブラガンチーノが相手陣でプレーを続け、アメリカ・ミネイロは防戦が続く。後半18分、RBブラガンチーノの右からのクロスをFWヴィチーニョ(Vitinho, 1999)が合わせるがGKマテウス・パジナット(Mateus Pasinato, 1992)がデフェザッサ。このプレーに応えるかのようにアメリカ・ミネイロは後半33分、カウンターから再びPKを獲得し同点に追いつく。
   その後お互いに攻撃的な姿勢を見せ、相手ゴールに迫るが得点を奪うことはできず2-2でタイムアップ。

補足情報、 所感 etc.

   RBブラガンチーノは前節に引き続き、相手陣でボールを保持し人数をかけた攻撃で相手ゴールに迫るが、連係ミスから奪われたボールをカウンターに持ち込まれる場面も多く不安定な試合運び。この戦術の試みは面白く、両CBを中心にカウンターへの対応も施されてはいるが、簡単なボールロストが続くと試合が難しくなる。さらに連係を高め簡単なミスによるボールロストを減らしたい。
   アメリカ・ミネイロは全国選手権5試合目にして初勝ち点を獲得。2得点はいずれもPKによるものだったが、2点目はカウンターからシュートまでの流れができており、トレーニングでの成果が表れたものだ。今後はコパ・ド・ブラジルを含め3試合ホームでの試合が続くが、白星を重ねサポーターと喜びを分かち合いたい。

インテルナシオナウ(INT) 0-2 アトレチコ・パラナエンセ(CAP)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=k91ojMextVc
INT : N/A
CAP : 79' #88 クリスチアン(Christian, 2000)[#14 カノービオ(Canobbio, 1998)]
CAP : 90+6' #11 ウィリアン(Willian, 1986)[#1 ベント(Bento, 1999)]

見どころ

   インテルナシオナウは全国選手権2勝1分1敗勝点7の8位。前節は攻撃の要MFアラン・パトリッキ(Alan Patrick, 1991)が精彩を欠き、サンパウロの中盤の厳しいマークに攻撃の形が作れず完敗を喫した。今季はこれまで攻撃面でなかなか最適な組み合わせが見つからず、守備面では致命的なミスで勝ちを逃す試合も多く課題は多い。とはいえ、その状況でも勝ち点を積み上げているだけに、ホームでは20試合負けのない(14勝6分)アトレチコ・パラナエンセを相手に、課題をクリアし、いい内容で勝ち点をさらに積み上げたい。
   アトレチコ・パラナエンセは全国選手権2勝2敗勝点6の10位。1週間前のリベルタドーレスではアウェイでの勝利でグループ首位に立ち、前節の全国選手権ではホームにフラメンゴを迎え公式戦は2連勝中。いずれの試合も前半も早い時間に先制を許しながら逆転で勝利を掴んでいる。全国選手権ではアウェイで連敗を喫しているが、最近2試合の勢いでアウェイで初勝利を飾り、上位争いに食らいついていきたい。

得点シーン

(CAP)後半34分 :
アトレチコが相手ゴール前に迫りセカンドボールをことごとく拾い3分近く攻撃を繰り返す。FWカノービオからボールを受けたMFクリスチアンがペナルティエリア左角から右足で外から巻き込むシュートを放つ。ボールはゴールポストに触れゴールネットを揺らすゴラッソ。
   MFクリスチアンは全国選手権は開幕節に続く2得点目。この試合では後半開始とともにピッチに投入され、相手の中盤のボールの出しどころへプレスを仕掛け続けアトレチコ・パラナエンセに流れを引き寄せる活躍も。
   FWカノービオは2022年3月末にウルグアイの名門ペニャロールから加入。アトレチコ・パラナエンセは過去最高額の移籍金で獲得した。2022W杯カタール大会でウルグアイ代表に選出され1試合に出場。ここ最近はベンチを温めることが多く後半からの出場ばかりだったが、この試合では左サイドを上下に走り一気に試合の流れを変える活躍を見せた。
(CAP)後半45+6分 :
GKベントからのフィードに交代出場したばかりのベテランFWウィリアンが守備ライン裏に抜け出す。トラップで足元にボールを置くと前に飛び出した相手GKの位置を確認し頭を超すループシュート。アトレチコの勝利を決定づけるゴラッソ。
   FWウィリアンはクルゼイロ、パウメイラスで主力としてリベルタドーレス3度、全国選手権4度、コパ・ド・ブラジル1度のタイトルを獲得する経験豊かなベテラン。身長171㎝ながらポジショニングやスピード、決定力に優れ、守備面での貢献度も高く、2023年3月29日にフルミネンセからの期限付き移籍で15年ぶりにアトレチコ・パラナエンセに加入。今季はこれまでフルミネンセで5試合、アトレチコ・パラナエンセで4試合に出場。このゴールが149分の出場でシーズン初ゴールとなった。

試合概要

   前半はインテルナシオナウが前5人が連係した守備。3-2での相手のビルドアップに対し、ボールの出どころへFWがプレスをかけるとボールの預けどころに2人が挟むようにプレッシャーをかけ、前を向かせない。アトレチコはロングボールで打開を図るがインテル最終ラインがことごとくボールを奪っていく。インテルはマイボールにすると右サイドや最終ライン裏へボールを送り次々とチャンスを作る。
   前半1分、9分にはFWペドロ・エンヒキ(Pedro Henrique, 1990)がゴールに迫るが僅かオフサイド。前半8分には右からのクロスにルイス・アドリアーノ(Luiz Adriano
, 1987)のヘディングシュートはゴールポストに嫌われる。前半21分のFWルイス・アドリアーノのGKの頭を越すシュートはクロスバーを叩き枠を越える。
   アトレチコ・パラナエンセは前半36分のFWパブロ(Pablo, 1992)の1本のみ。インテルナシオナウが試合を支配して前半が終了・
   後半に入りアトレチコ・パラナエンセは2選手を交代。さらには、球際の激しさが見られるようになり、試合の様相は一転する。左サイドで交代出場したFWカノービオが攻守に上下に走ると、州選手権以来1か月半ぶりの出場となる左SBフェルナンド(Fernando, 1999)が絡み、左サイドが活性化。左サイドが前に出ることで中盤のスペースもでき、アトレチコ・パラナエンセが敵陣でボールを回す展開となる。
   そして、後半30分過ぎから相手ゴール前に執拗に迫り、最後はFWクリスチアンがゴラッソ。その後はインテルも相手ゴールに迫るが決定的なシーンを作れずにいると、試合終了間際にGKベントからのフィードを受け相手GKの頭を越すゴラッソ。
   前半と後半で内容が一転した試合は、前半に2本のシュートをポストに嫌われたインテルナシオナウに対し、アトレチコ・パラナエンセは後半にゴラッソ2本を決めアウェイで勝ち点3を積み上げた。

補足情報、 所感 etc.

   インテルナシオナウは前節に続き無得点で連敗。前半はアトレチコに攻撃を許さず、ボールを奪ってはゴールに迫りシュートで終わる展開が続く。得点も時間の問題かと思われた。ところが、後半に入りアトレチコが選手交代から流れを掴みかけるようになると、オフザボールで前後に動き味方のスペースを作り出し、フィニッシャーとしても惜しいシュートを繰り返したルイス・アドリアーノを交代。すると試合の流れを完全にアトレチコに渡してしまい後半はチャンスらしいチャンスを作ることが出来ず、アトレチコの2本のゴラッソに屈する。
   試合終了後、スタジアムはホームサポーターからのブーイングに包まれた。
   アトレチコ・パラナエンセは前半は完全に試合を支配されるが、後半の開始時のFWカノービオ、MFクリスチアンを投入すると同時に、中盤の球際でアグレッシブになると、状況が一変。1点目は執拗な攻撃からMFクリスチアンがゴラッソ。試合終了間際には投入したばかりのFWウィリアンのゴラッソで試合を決めるなど、選手交代が的中。全国選手権2連勝を飾り白星が先行、暫定ながら5位に浮上した。

フラメンゴ(FLA) 2-0 ゴイアス(GOI)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=p54b83Fr3I8
FLA : 8' #9 ペドロ(Pedro, 1997)[PK]
FLA : 49' #7 エヴェルトン・ヒベイロ(Éverton Ribeiro, 1989)[#11 エヴェルトン(Everton, 1996)]
GOI : N/A

見どころ

   フラメンゴは全国選手権1勝3敗勝点3の17位。ボール保持は長く多くのシュートを放ち試合内容では勝るものの、全国選手権は開幕白星の後3連敗。
   この試合では一時の不振を脱却し2試合連続得点のFWガブリエウ・バルボーザ(Gabriel Barbosa , 1996)が警告累積で出場停止。一方今季これまで22試合21得点3アシストを記録するFWペドロ(Pedro, 1997)のケガからの復帰が予想されている。
   対戦相手のゴイアスは両センターバックを出場停止で欠くだけに、ホームでしっかりと勝ち切って悪い流れを払拭したい。
   ゴイアスは全国選手権1勝3敗勝点3の18位。監督人事が難航し今節も監督不在のまま代行監督のもとで試合に臨む。前節では前半に退場者を出しミスから失点を重ね大敗。全国選手権では2試合連続で退場者を出し自滅を繰り返している。
   この試合ではこれまでレギュラーを務める両センターバックがそれぞれ退場と警告累積で出場停止、苦しい戦いが予想される。攻撃面ではサイドを崩しスピードと高さのある前線へのクロスや、セットプレーからチャンスを作り出せているだけに、攻撃的なフラメンゴを相手にしっかりとした守備を敷き、少ないチャンスをものにしてアウェイで勝ち点を奪いたい。

得点シーン

(FLA)前半8分 :
左サイドをMFエヴェルトン(Everton, 1996)からペナルティエリアへ駆け上がる左SBアイルトン・ルーカス(Ayrton Lucas, 1997)へパスが送られる。SBアイルトン・ルーカスがペナルティエリア内で倒されフラメンゴがPKを獲得。このPKをFWペドロがゴール左へ決め早い時間帯にホームのフラメンゴが先制。
   左SBアイルトン・ルーカスは2015年10月(18歳)にフラメンゴのライバル、フルミネンセからデビューした攻撃的なサイドバック。2022年4月にスパルタク・モスクワ/RUSからの期限付き移籍でフラメンゴに加入。元ブラジル代表フェリピ・ルイス(Filipe Luís, 1985)と激しいポジション争いを繰り広げている。
   FWペドロは2022W杯でブラジル代表に選出。フラメンゴでは長らく控えとして交代出場が多かったが、2022年、FWブルーノ・エンヒキ(Bruno Henrique, 1990)のケガによる離脱を受け先発に起用されるようになると、持って生まれた得点力が爆発。一気にブラジル代表まで上り詰めた。今季はこの試合終了時点で23試合22得点3アシストを記録 。このゴールの後股関節に違和感を覚え交代、検査の結果、異常が認められ最低10日間戦列を離脱する。
(FLA)後半4分 :
サンパオリ監督のもと初先発に抜擢されたMFヴィクトル・ウーゴ(Victor Hugo, 2004)が中央から左サイドへボールをさばく。ボールを受けたMFエヴェルトンが中央へクロス。MFエヴェルトン・ヒベイロは難しい態勢での踵のシュートでゴールネットを揺らし、フラメンゴがリードを広げる。
   MFヴィクトル・ウーゴは将来を嘱望される選手の一人。2022年にトップチームに昇格し5月1日のコパ・ド・ブラジルでプロデビューを飾りアシストを記録するなど、トップチームで37試合3得点4アシストを記録。リベルタドーレス、コパ・ド・ブラジルは途中出場ながら優勝の瞬間をピッチの上で迎えた。今季はシーズン初めの試合で足の小指を骨折し、約2か月戦線を離脱。復帰後も出場機会に恵まれなかったが、この試合で先発に抜擢されチームの攻撃を牽引した。

試合概要

   フラメンゴは厳しい日程が続く中、中盤に今まで途中交代出場が多かったMFデ・アラスカエッタ(De Arrascaeta, 1994)、MFヴィクトル・ウーゴをスタメンに起用。GKにはサントス(Santos, 1990)に替えマテウス・クーニャ(Matheus Cunha, 2001)を抜擢する。
   試合開始直後から攻勢をかけるフラメンゴに対し、下位に沈むゴイアスは前半5分にPK献上し失点、試合を難しくしてしまう。早く同点に追いつきたいゴイアスは前半20分にFWマテウス・ペイショット(Matheus Peixoto, 1995)がミドルシュートを放つがGKマテウス・クーニャが好セーブでボールを弾き出す。その後もしばらくはゴイアスがボールをキープし相手陣で試合を進めるが得点を奪えない。フラメンゴは前半30分を過ぎるころに再びをボールを保持し相手ゴールにたびたび迫る。しかし、追加点は奪えず、試合は1-0で前半を終える。
   後半に入りフラメンゴは早くも後半4分に追加点。さらに10分にも相手ペナルティエリア付近で前線の5選手が左右にボール繋ぎ、シュートに持ち込むが、これはディフェンダーが何とかブロック。フラメンゴが試合の主導権を握り後半20分が過ぎる。フラメンゴは3選手を交代しスリーバックにシステムを変更するが、主導権は握り続ける。後半39分にゴイアスはカウンターからチャンスを迎えるがGKマテウス・クーニャが間合いを詰めシュートブロック。
   立ち上がりのゴールで一貫して試合をコントロールしたフラメンゴが2-0の勝利。全国選手権の連敗を3で食い止めた。

補足情報、 所感 etc.

   フラメンゴは中盤でこれまで起用の少なかった選手が活躍。出場機会の多いファブリシオ・ブルーノ(Fabrício Bruno, 1996)、レオ・ペレイラ(Léo Pereira, 1996)の両CBが安定した守備をみせ、左サイドのSBアイルトン・ルーカスとMFエヴェルトンがチャンスを作っていく。前半後半共に早い時間帯に得点を奪い試合をコントロール。システム変更を試し、下部組織出身の若手選手を起用する余裕も生まれた。今後もしばらく試行錯誤が続きそうだが前年の二冠を達成した選手層の厚さや潜在的なチーム力は高いだけに今後も戦いぶりが注目される。
   ゴイアスは全国選手権は3試合連続無得点で3連敗。前2節はミスから崩れ、この試合は早々のPKで試合を難しくする。次節は首位を走るボタフォゴだが、出場停止の両センターバックが復帰する明るい材料も。セットプレーやカウンター、サイドからの攻撃で大方の予想を覆す結果を期待したい。

クイアバ(CUI) 0-4 アトレチコ・ミネイロ(CAM)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=PAC7p2Jg8EY
CUI : N/A
CAM : 13' #20 ヨハン(Hyoran, 1993)[#9 パボン(Pavón, 1996)
CAM : 51' #7 フッキ(Hulk, 1086)[PK]
CAM : 72' #9 パボン(Pavón, 1996)#7 フッキ(Hulk, 1086)
CAM : 87' #10 パウリーニョ(Paulinho, 2000)[#9 パボン(Pavón, 1996)

見どころ

   クイアバは全国選手権1勝1分2敗勝点4の13位。前節は前半の早い時間帯に奪われたリードを後半40分に同点に追いつきアディショナルタイムに逆転。全国選手権初勝利を飾った。
   左右に広く使い高さと裏に抜けるスピードのあるFWデイヴェルソン(Deyverson, 1991)をターゲットにした攻撃やセットプレーは相手にとって脅威となっているだけに、前節の逆転勝ちの勢いに乗り、ホームでの初白星をサポーターに贈りたい。
   アトレチコ・ミネイロは全国選手権1勝3敗勝点3の17位。今季は試合開始とともに分厚い攻撃を仕掛ける試合が多いが、少し強引さが目につき得点を奪えず、試合の流れを相手に渡し敗戦を迎える試合が多くみられる。1週間前のリベルタドーレスでは30本のシュートを放つ一方的な試合だったが2点しか奪えず、前節は試合開始後の猛攻を凌がれると失点を喫し最後には試合をコントロールされ無得点。攻撃でのアイディア不足が懸念される内容が続いている。
   攻撃的なポジションにはFWフッキ(Hulk, 1986)を始めタレントが揃うだけに、連係を高め、決定力不足、アイディア不足を払拭したい。

得点シーン

(CAM)前半13分 :
センターライン付近からCBフッキス(Fuchs, 1999)から右サイドの裏を狙うFWパボンへのロングパス。ボールを受けたパボンがゴール前にクロスを上げ駆け上がったMFヨハンが足に合わせアトレチコ・ミネイロが電光石火の攻撃で先制。
   CBフッキスは2020東京五輪代表。アトレチコ・ミネイロには2023年シーズン前にCSKAモスクワ/RUSから期限付き移籍で加入。厳しいポジション争いの中、現状はレギュラーを掴めず控えに回ることが多い。
(CAM)後半6分 : 
自陣からのカウンターでゴール前に抜け出したFWフッキがペナルティエリア入口で倒される。FWフッキ自らがこのPKを決めアトレチコがリードを広げる。
   FWフッキは36歳ながら4月1日以降この試合までの11試合に全試合フルタイム出場。その期間の7得点2アシストを含め今季はこれまで23試合17得点4アシストを記録。
(CAM)後半27分 :
自陣からのカウンターでボールを運ぶFWフッキの右を走るMFエデニウソン(Edenílson, 1989) がディフェンダーを引き連れ左に切れ込む。MFエデニウソンのさらに右を駆け上がるFWパボンにFWフッキはボールを送り、パボンがフリーの体勢でシュートを放ちゴールネットを揺らす。
   FWパボンは2013年U-17W杯、2015年U-20W杯、2016年オリンピック、2018年W杯ロシア大会にアルゼンチン代表として出場。2018年W杯ではベスト16フランス戦でメッシ、ジ・マリアとともにスリートップの一角としてスタメン出場を果たした(試合は3-4で敗戦)。アトレチコ・ミネイロには2022年7月に加入。今季はコンスタントには試合に出場していないが、全国選手権ではこの試合を含め5試合265分に出場、1得点2アシストを記録。
(CAM)後半42分 : 
自陣からのカウンターでボールを運ぶ右を走るFWパボンにボールを送る。FWパボンは逆サイドを上がるFWパウリーニョへクロスを送り、FWパウリーニョはダイレクトにボールをゴールネットに突き刺す。
   FWパウリーニョは2015年U-15南米ユース選手権、2017年U-17南米ユース選手権、2017年U-17W杯、2020東京五輪に代表としてすべての大会でゴールをマーク。東京五輪では5試合に出場、予選ラウンドドイツ戦でゴールをマーク。ヴァスコ・ダ・ガマ下部組織出身で2017年に16歳でトップチームデビュー。デビュー戦でアシスト、3試合目にアトレチコ・ミネイロを相手に初ゴールを含む2得点を記録。2018/19シーズンにバイエル・レバークーゼン/GERへ移籍。5シーズン79試合9得点4アシストを記録するがあまり出場機会に恵まれず、2023年1月に7月での完全移籍を前提にアトレチコ・ミネイロに期限付き移籍で加入。今季はこの試合を含め23試合8得点5アシスト、全国選手権では初ゴール。多くのシュートを放つもなかなかゴールを奪えなかったがこのゴールを機にゴールを量産できるだろうか。

試合概要

   下位に低迷する両チームは守備を重点を置いた静かな立ち上がりの中、クイアバは前線のスピードと両サイドを広く使った攻撃でアトレチコゴールに迫る。しかし、前半13分にアトレチコ・ミネイロが速い攻撃で先制。先制したアトレチコは相手陣でボールを回し相手を走らせる。前半30分を過ぎると再びクイアバがボールを握りチャンスを窺うが、アトレチコの厳しいマークにゴールに迫れない。
   後半に入り、クイアバは攻撃的な選手を投入、一方のアトレチコは守備的で運動量の多い選手を投入する。しかし、ゴールはアトレチコに生まれる。同点に追いつきたいクイアバはボールをスピードのある前線やサイドへ展開するが、中央を固めたアトレチコの守備にペナルティエリアにボールを運べない。そして、ボールを失うとFWフッキを中心としたアトレチコにカウンターを狙われる。
   アトレチコは注文通りに後半27分、42分とカウンターから追加点を奪い試合を決定づける。試合はアウェイのアトレチコ・ミネイロが4-0の完勝に終わった。

補足情報、 所感 etc.

   クイアバは試合後にイボ・ビエイラ(Ivo Vieira)監督の解任を発表。マットグロッソ州選手権は優勝を果たしたが、コパ・ド・ブラジルもすでに敗退、全国選手権では5試合を終え1勝1分3敗とスタートダッシュに失敗し解任となった。中2日で迎えるフルミネンセ戦は監督代行のもと戦う。
   アトレチコ・ミネイロは早い時間帯に先制点を奪い優位に試合を運ぶ。後半にはカウンターから3点を奪い4-0の完勝。今季は攻撃一辺倒に偏り、カウンターや少ないチャンスをものにされ落とす試合が散見されたが、この試合ではシュート数は9本ながら枠内シュート数7本と、強引さが消え、シュートの精度を高め、落ち着いた展開で試合をコントロールする内容の勝利。今後にむけターニングポイントになる試合となったかもしれない。

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