【ブラジル全国選手権2023】第5節(2/2)

投稿者: | 2023年5月11日

投稿内の選手名のリンクは、当ブログ選手紹介記事にリンクしています。
投稿内の「動画URL」はブラジルスポーツサイト「ge」YouTube公式チャンネルのダイジェスト動画にリンクしています。

全国選手権第5節 対戦組合せ


以下の5試合はこちらで。→ 【ブラジル全国選手権2023】第5節(1/2)
・2023/05/10 サントス(SAN) x バイーア(BAH)
・2023/05/10 RBブラガンチーノ(RBB) x アメリカ・ミネイロ(AME)
・2023/05/10 インテルナシオナウ(INT) x アトレチコ・パラナエンセ(CAP)
・2023/05/10 フラメンゴ(FLA) x ゴイアス(GOI)
・2023/05/10 クイアバ(CUI) x アトレチコ・ミネイロ(CAM)
以下の5試合はこの記事で。
・2023/05/10 パウメイラス(PAL) x グレミオ(GRE)
・2023/05/10 クルゼイロ(CRU) x フルミネンセ(FLU)
・2023/05/11 コリチバ(CFC) x ヴァスコ・ダ・ガマ(VAS)
・2023/05/11 ボタフォゴ(BOT) x コリンチャンス(COR)
・2023/05/11 フォルタレーザ(FOR) x サンパウロ(SAO)

全国選手権第5節 試合概要

パウメイラス(PAL) 4-1 グレミオ(GRE)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=J6cxWtbNAPo
PAL : 23' #23 ハファエウ・ヴェイガ(Raphael Veiga, 1995)[#12 マイキ(Mayke, 1992)]
GRE : 45+2' #39 ビテロ(Bitello, 2000)[#19 クリスタウド(Cristaldo, 1996)]
PAL : 56' #23 ハファエウ・ヴェイガ(Raphael Veiga, 1995)[PK]
PAL : 68' #12 マイキ(Mayke, 1992)[]
PAL : 73' #13 ルアン(Luan, 1993)[#23 グスタボ・ゴメス(Gustavo Gómez, 1993)]

見どころ

   パウメイラスは全国選手権3勝1分勝点10の2位。前節は相手から退場者が出たこともあり5-0の大勝。ケガ人が次々と復帰し、若手選手を積極的に起用することで選手層の底上げもできており、全国選手権2連覇に向け視界は良好。ホームでのこの試合も勝ち点3を積み上げて首位に立つボタフォゴにプレッシャーをかけたい。
   グレミオは全国選手権2勝1分1敗勝点7の7位。前節はホームで激しい雨の中、試合終了間際にミスが絡んだ失点で同点に追いつかれ勝ち点2を失う。しかし、FWルイス・スアレス(Luis Suárez, 1987)が5試合ぶりのゴール、新加入選手や下部組織出身選手が及第点以上のプレーをし今後に向け収穫もあった(スアレスは今節の遠征に帯同していないとのこと)。今節はアウェイでのパウメイラス戦。今後上位に食い込めるかどうかの試金石となる一戦。

得点シーン

(PAL)前半23分 :
左サイドFWドゥドゥ(Dudu, 1992)から右SBマイキへのサイドチェンジ。マイキが浅い位置からゴール間にボールを送るとそこに走り込んだMFハファエウ・ヴェイガがきれいに頭に合わせパウメイラスが先制。
   MFハファエウ・ヴェイガはパウメイラスの現在の黄金期を主力として活躍。2023年3月25日のモロッコ戦に初代表招集を受け、後半20分に途中交代で代表デビューを果たす。2021年全国選手権ベストイレブン。2022年はシーズン後半をケガで棒に振り、2023年も州選手権後に一時戦列を離れるが、全国選手権第3節で復帰を果たすとリベルタドーレスを含めた復帰後4試合に5得点1アシスト、4試合連続得点を記録中。
(GRE)前半45+2分 :
MFビテロが相手陣中盤でボールを受けるとドリブルで前進。ペナルティアーク手前から思い切りよくミドルシュートを放つとパウメイラスGKウェヴェルトン(Weverton, 1987)の指先をかすめボールはゴールに吸い込まれる。グレミオが数少ないチャンスでをいかし前半のうちに同点に追いつく。
   MFビテロはグレミオ下部組織出身。2021年にトップチームデビュー。2022年の州選手権でボランチとしてレギュラーの座を掴むと、全国選手権2部後半にはよりゴールに近い位置でプレー。視野の広さが活かされ全国選手権2部では8得点3アシストを記録。今季はこの試合までチーム25試合中23試合に出場6得点3アシストを記録。
(PAL)後半11分 : 
右からのショートコーナーからMFハファエウ・ヴェイガがクロスをゴール前に送ると混戦の中でグレミオディフェンダーの開いた腕にボールが当たりパウメイラスがPKを獲得。これをMFハファエウ・ヴェイガがゴール中央に決めパウメイラスが勝ち越し。
(PAL)後半23分 : 
パウメイラスがピッチを広く使い、左右にボールを動かし、最終ラインに戻しては縦にボールを入れ、長短のパスを入り交え、最終的にはペナルティアーク左からFWドゥドゥが同右のSBマイキにパス。SBマイキはシュートフェイントを挟みゴール前に抜け出すFWホニ(Rony, 1995)へスルーパス。ホニのシュートはディフェンダーにブロックされるが、パス&ゴーでゴールに向かっていたSBマイキの足元にボールはこぼれSBマイキがゴールネットに突き刺す。1分57秒ボールを繋いだパウメイラスのゴラッソコレチーボ(Golaço Coletivo, チームプレーでの奪った素晴らしいゴール)。
   マイキは攻撃的な右サイドバック。クルゼイロ、パウメイラスでリベルタドーレス2度、全国選手権4度、コパ・ド・ブラジル2度制覇。パウメイラスには2017年5月に加入。2018年に加入したSBマルコス・ホッシャ(Marcos Rocha, 1988)と高いレベルのポジション争いを常に繰り広げている。2023年はケガもあり戦列を離れる時期が長かったが、4月26日の復帰以来、4試合連続スタメン出場、この試合では1得点1アシストを記録。
(PAL)後半28分 :
MFハファエウ・ヴェイガの左CKはディフェンダーにクリアされるがパウメイラスがそのボールを拾い再びクロスをゴール前に上げる。CBグスタボ・ゴメスの頭をかすめたボールは、その先に控えたCBルアンがダイレクトに足に合わせゴールネットを揺らす。
   CBルアンは2017年シーズン途中のパウメイラス加入後は第3のCBとしてレギュラー陣を支える。2020年にはレギュラーの座を掴むが、2022には再び控えに戻る。しかし、常に準備はできており、5月3日のリベルタドーレスでは前半途中の負傷交代による出場でチームの零封に貢献。全国選手権は前節に続きスタメン出場。今季初ゴールをマーク。

試合概要

   パウメイラスはスピードのあるスリートップが前への推進力を作りだす。特に左サイドからFWドゥドゥが積極的にゴールを狙う。相手陣での前後にボール保持者を挟み込みパスコースを消す組織的な守備で試合と、前後左右に長短入り交えたパスで試合の主導権を握る。前半23分の先制後も主導権を握り続け相手ゴールに迫る。前半終了間際にグレミオがこの試合2本目のシュートで同点に追いつくが、試合の流れを変えるまでには至らない。
   後半もパウメイラスが試合を支配。後半11分に勝ち越すと、後半23分にはボール回し続けた末のゴラッソ。後半28分もCKからのゴールと短い時間で一気に畳みかけリードを広げる。交代で投入される選手も変わらぬインテンシティで試合に入り、最後まで試合を支配。
   パウメイラスは試合を通して25本ものシュートを浴びせたのに対し、グレミオのシュート数は前半2本、後半は僅かに1本。パウメイラスがホームで4-1の快勝を飾った。

補足情報、 所感 etc.

   パウメイラスはスピードのあるスリートップが前への推進力を作りだす。右サイドからはFWアルトゥール(Artur, 1998)とSBマイキ、左サイドからはFWドゥドゥにSBピケレス(Piquerez, 1998)、そこにFWホニとMFハファエウ・ヴェイガが絡み、両ボランチがその後ろに控え分厚い攻撃を支える。ボールを失えば、失った選手が直ちに奪い返しに戻り、同時にボランチも素早く上がり、ボール保持者を挟み込む。ボールの受け手になりそうな選手にも素早くマークが付きパスの出しどころを消して、ボールを奪い返す。引いた守備でも高さのある両CBを中心に中を固め、FW陣が献身的にクロスの出しどころにプレスをかけるなど、ピンチを事前に潰していく。
   「強い」の一言。
   2015年に金融業のクレフィザ(Crefisa)がスポンサーとなり設備や選手、育成に多額の投資を始めると、2020年10月にアベウ・フェヘイラ監督の就任、クレフィザ会長「チア・レイラ(Tia Leila, レイラおばさん)」のクラブ会長就任を経て、クラブは急激に成長。レイラおばさんが中長期の視野に基づき今季のチーム方針(外部からの補強を抑制し、既存選手特に下部組織出身の若手選手を積極的に起用すること)を提示すると、現場のアベウ・フェヘイラ監督が組織的で勝者のメンタルを持ったチームを作り上げる。高さのあるセンターフォワードを起用する試合、引いて守り鍵をかけ守り抜く試合など試合内容も多彩。リベルタドーレス、コパ・ド・ブラジル、全国選手権の三冠も不可能ではない。
   グレミオはFWルイス・スアレス(Luis Suárez, 1987)を遠征に帯同させず温存。これまであまり内容のある試合は多くないなか、州選手権を制覇、全国選手権も勝ち点を積み重ね、結果を残してきたが、この試合はパウメイラスを相手に完膚なきまでに叩きのめされた印象。再昇格1年目でチーム力は発展中だが、この敗戦を受け今後どのように成長していくか、過去にグレミオをリベルタドーレス制覇まで導いたヘナト・ガウーショ(Renato Gaúcho)監督の手腕とクラブの戦略に注目したい。

クルゼイロ(CRU) 0-2 フルミネンセ(FLU)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=Ab8yFyqtHQo
CRU : N/A
FLU : 43' #10 P.H. ガンソ(Paulo Henrique Ganso, 1989)[]
FLU : 54' #14 ヘルマン・カーノ(Germán Cano, 1988)[#23 グーガ(Guga, 1998)

見どころ

   クルゼイロは全国選手権3勝1敗勝点9の3位。前節は早い時間帯に負傷交代のアクシデントが発生するも交代で出場したFWウェスレイ(Wesley, 1999)が2得点に絡む活躍。チーム全体への戦術の浸透がうかがわれた。組織的で超攻撃的なサッカーを指向するフルミネンセは現在の実力を測るには最適の対戦相手。現状の自分たちのサッカーへの自信を深めるためにも、そして今後上位争いを繰り広げるためにも勝ち点3を勝ち取りたい。
   フルミネンセは全国選手権2勝1分1敗勝点7の6位。前節は試合開始直後の猛烈なプレスにミスから失点を犯し、その後猛攻を仕掛けるも逆転するまでには至らず引き分けに終えた。試合後にフェルナンド・ジニース(Fernando Diniz)監督はこの試合を今後への教訓としてチームはさらに良くなると前向きな発言。アウェイで好調のクルゼイロから勝ち点3を奪い、この発言を証明したい。

得点シーン

(FLU)前半43分 :
左サイドライン際浅い位置からのFK。キッカーSBマルセロ(Marcelo, 1988)がゴール前に送ったボールをクルゼイロディフェンダーがあわやオウンゴール。GKハファエウ・カブラウ(Rafael Cabral, 1990)がなんとか弾き返すが、フルミネンセはMFリマ(Lima, 1996)がシュート。これはゴールライン上でディフェンダーに阻まれるが、最後はP.H. ガンソがゴールネットを揺らし、アウェイのフルミネンセが先制点を奪う。
   P.H. ガンソはサントス下部組織出身。サントスではブラジル代表FWネイマール(Neymar, 1992)と共にリベルタドーレスを制覇し将来を嘱望される。しかし、サンパウロを経て2016/17シーズンにセビージャ/ESPに移籍するが2年少しの在籍期間は出場機会に恵まれず2019年にフルミネンセに加入。人もボールも動く運動量の多い現在のフルミネンセのサッカーの中で、独特のリズムのプレーがチームのアクセントとなり機能。替えの利かないピースとして昨年来のフルミネンセの躍進を支えている。
(FLU)後半9分 :
ペナルティエリア右角で、MFガンソ、FWジョン・アリアス(Jhon Arias, 1997)、右SBグーガがポジションを替えながらパス交換。最後はSBグーガが中央へ柔らかいクロス。FWヘルマン・カーノが頭を合わせフルミネンセがリードを広げる。
   SBグーガは今シーズン前にアトレチコ・ミネイロからフルミネンセに加入。現在はSBサムエル・シャビエル(Samuel Xavier, 1990)の控えに甘んじているが、前節でサムエル・シャビエルが太ももに違和感を覚え今節は欠場。この試合を機にレギュラーの座を脅かす存在になれるだろうか。
   FWヘルマン・カーノはこのゴールで今季23試合約1900分の出場で24得点。

試合概要

   前半から中盤での激しいボールの奪いが展開される。お互いにボールを確保するや、前線やサイドに素早くボールを運び、ミドルシュートやゴール前へのクロスでゴールを窺う。得点機はホームのクルゼイロが多く迎えたように思われたが、先制点はフルミネンセ。前半終了間際のセットプレーからの流れで均衡を破る。
   後半に入りクルゼイロの攻勢はさらに増す。後半1分、4分とピッチの中央をパス交換で、後半8分にはCKからゴールに迫るがゴールをこじ開けることが出来ない。すると、後半9分に追加点。同点に追いつきたいクルゼイロは失点後も次々にフルミネンセゴールに迫り、後半30分にPKを獲得。しかし、PKを決めることが出来ない。後半31分にフルミネンセが退場者を出すと、クルゼイロは試合終了の笛が鳴るまで攻め続けるが、フルミネンセGKファビオ(Fábio, 1980)を中心とした固い守備を破ることが出来ず、フルミネンセが2-0で勝ち切ることに成功した。

補足情報、 所感 etc.

   クルゼイロは中盤での速いチェックでフルミネンセの長所を消し、ペパ(Pepa)監督のもとで練り上げている複数の選手がボールに絡みパスを繋いでいく攻撃でフルミネンセゴールに次々迫る。相手を遥かに上回る28本のシュートを放ち、PKを獲得するも得点を奪えず試合を終えた。結果は0-2だが、内容は決して引けを取るものではなく、ペパ監督のもと構築しつつあるサッカーに自信を深めることが出来たはず。全国選手権は今後下位に低迷するアメリカ・ミネイロ、クイアバとの対戦。この試合でのサッカーを継続することが出来れば結果もついてくるに違いない。
   フルミネンセは、相手の猛烈なプレスに自分たちのサッカーを消され、相手チームの流れで試合を展開されるが、前節の失点を教訓に得点を許さず、セットプレーや僅かな隙をついてゴールを奪い2-0で勝ち切った。
   特徴的な戦術だけに相手チームに対策を打たれた試合が続くが、フルミネンセも問題点を次々とクリアし成長を続けている。次節クイアバ戦を終えると、不調ながらも底力のあるフラメンゴとコパ・ド・ブラジルで対戦、第7節には現在首位を走るボタフォゴとの対戦が控える。試合ごとに顕在化する課題を一つ一つクリアし戦術を深めながらボタフォゴとの対戦を迎えたい。

コリチバ(CFC) 1-1 ヴァスコ・ダ・ガマ(VAS)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=vPtcuUvgovw
CFC : 45+4' #18 ゼ・ホベルト(Zé Roberto, 1993)[]
VAS : 80' #16 エリキ・マルクス(Erick Marcus, 2004)[]

見どころ

   コリチバは全国選手権1分3敗勝点1の19位。2月23日のコパ・ド・ブラジルでの勝利以降10試合勝ち星がなく、全国選手権も下位に沈む。しっかりとブロックを作って守りカウンターを狙う展開が予想されるが、まずは失点を許さず、カウンターにはサポートがついて得点の確率を上げたい。ホームでの一戦で悪い流れを払拭したい。
   ヴァスコ・ダ・ガマは全国選手権1勝2分1敗勝点5の11位。前節は猛烈なプレスから相手のミスを誘い試合開始後1分も経たずに先制するも、その後は試合を支配され引き分け。前々節は引いた相手の中盤の早い寄せに攻撃の形を作ることが出来ず敗戦。一度流れを失うとなかなか状況を打開することができず、もどかしい試合が続く。今季は中期的な視野でのチーム作りの初年度と思われるが、チームの成長が踊り場に差し掛かっているように感じられる。不振のコリチバを相手にもう一段上のサッカーを披露することができるだろうか。

得点シーン

(CFC)前半45+4分 :
右サイド深くからMFホビソン(Robson, 1991)がディフェンダーの足元を抜くグラウンダーのクロスを送ると、FWゼ・ホベルトが足を合わせる。ディフェンダーに触れたボールはゴール左隅に吸い込まれコリチバが先制。
   FWゼ・ホベルトは4月10日にセアラーSCからの期限付き移籍で加入。この試合がコリチバで4試合目、ホームでは初めての試合だったが、初のスタメン起用に応え先制ゴールをマーク。
(VAS)後半35分:
右サイド深くのサイドライン際からMFガラルサがゴール前のFWペドロ・ハウーウ(Pedro Raul, 1997)をターゲットにクロスを送る。ボールはFWペドロ・ハウーウの頭を越えるが、FWペドロ・ハウーウが死角となりコリチバのディフェンダーに当たりボールはこぼれる。そこにFWエリキ・マルクスがGKの脇を抜くシュート。ヴァスコ・ダ・ガマが同点に追いつく。
   FWエリキ・マルクスは2023年に18歳でトップチームに昇格。2月23日のコパ・ド・ブラジルで初得点を記録。全国選手権は2試合目の出場で初得点となった。




試合概要

   全国選手権でまだ勝ち星のないコリチバだが、試合開始からヴァスコ・ダ・ガマの人数をかけた攻撃に劣勢になる。しかし、決定的なシーンを作らせず守り切ると、前半20分を過ぎた頃から主導権を握り始める。前半29分、MFボスキーリャ(Boschilia, 1996)のミドルシュートは枠を捉えるがヴァスコGKレオ・ジャルジン(Léo Jardim, 1995)の好セーブに阻まれる。前半39分にも敵陣でのパスカットからゴールを狙う。そして、前半45+4分、初スタメンのゼ・ホベルトが待望の先制点を奪う。
   後半開始と同時にヴァスコ・ダ・ガマはボランチ2人に替え攻撃的な選手を投入し流れを変えようとする。しかし、最初にチャンスを迎えたのはコリチバ。前半5分に自陣からのカウンター、ゴール前にFWゼ・ホベルトが抜け出しGKと一対一。これはGKレオ・ジャルジンが飛び出しボールを手で弾くがこぼれ球をMFボスキーリャがシュート。しかし、カバーに戻ったMFガラルサ(Galarza, 2002)がゴールライン上でクリアし難を逃れる。その後はヴァスコ・ダ・ガマがボールを保持しゴールを狙う展開が続く。コリチバもカウンターから反撃を試みるが、後半33分、ヴァスコ・ダ・ガマが同点に追いつく。
   試合は1-1の同点。勝ち点1を分け合った。

補足情報、 所感 etc.

   コリチバは立ち上がりこそ劣勢となるが、それを凌ぐと、連敗中にも関わらず人数をかけた攻撃で先制点を奪う。後半立ち上がりにはカウンターから得点機を迎えるが決めきることが出来ず。その後は相手にボールを持たれてもしっかりとした守備で対応していたが、クロスを送る選手への寄せが甘くなったことと、相手選手が死角となりクロスボールをクリアできなかった不運もあり、同点に追いつかれ全国選手権初白星を逃してしまった。
   次節はアトレチコ・パラナエンセとのクラシコ。相手の調子は上向きにあるが、クラシコの雰囲気を味方につけ一泡吹かせ初白星を飾りたい。
   ヴァスコ・ダ・ガマは現状のベストと考えられる先発メンバーで試合に臨むが、なかなか得点を奪えず、主導権を相手に渡す時間も長くなる低調な試合展開。州選手権では人数をかけた攻撃とコンパクトな守備で強豪相手にも試合の主導権を握っていただけに、少し物足りなさを感じる。全国選手権では強豪のアトレチコ・ミネイロに勝利、パウメイラス、フルミネンセとは引き分けるが、バイーア戦では引いた相手を崩せず、この試合でも決定機は僅かしかなく、課題が浮き彫りになりつつある。バルビエリ(Barbieri)監督は次節サントス戦でどのように策を打ってくるだろうか。

ボタフォゴ(BOT) 3-0 コリンチャンス(COR)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=PepRWyEoun0
BOT : 12' #9 チキーニョ・ソアレス(Tiquinho Soares, 1991)[]
BOT : 65' #9 チキーニョ・ソアレス(Tiquinho Soares, 1991)[PK]
BOT : 81' #33 エドゥアルド(Eduardo, 1989)[#19 マティアス・セゴビア(Matías Segovia, 2003)]
COR : N/A

見どころ

   ボタフォゴは全国選手権4戦4勝勝点12で首位を走る。高さを保つ守備ラインがチームのコンパクトさを保ち、チキーニョ・ソアレス(Tiquinho Soares, 1991)を中心としたFW陣は中盤の厚いサポートにも助けられ高い決定力を誇る。前節は難敵と思われたアトレチコ・ミネイロを相手に控えを中心とした先発メンバーで2-0の完勝。このホームでの試合も勝ち点3を奪い連勝記録を伸ばし首位を死守したい。
   コリンチャンスは全国選手権1勝1分2敗勝点4の15位。前節は大きくスタメンを変更し、最終ラインにはベテランを揃えるも中盤以前は若手選手を抜擢。さらには絶対的なレギュラーを務めたFWユーリ・アウベルト(Yuri Alberto, 2001)をベンチスタートにする荒療治。チームは好調なフォルタレーザを上回るチャンスを作り出し、途中交代出場のFWユーリ・アウベルトが11試合ぶりのゴール。試合は引き分けに終わったが、以前の閉塞感は払拭されたように感じられた。再建途上のチームだけに今節の首位を走るボタフォゴとのアウェイでの一戦は少し荷が重いが、勝って自信を取り戻し一気に上昇気流に乗りたい。

得点シーン

(BOT)前半12分 :
右CKからMFガブリエウ・ピーレス(Gabriel Pires, 1993)が送ったボールにCBヴィクトル・クエスタ(Víctor Cuesta, 1988)が高い打点のヘディングシュート。ボールはクロスバーを直撃し真下に落ちる。そこにFWチキーニョ・ソアレスが詰めゴールに押し込み、早くもホームのボタフォゴが先制。
   CBヴィクトル・クエスタはエストゥジアンテス/ARG在籍時の2016年にリオデジャネイロ五輪、コパ・アメリカにアルゼンチン代表として出場。2017年インテルナシオナウに移籍し、2022年8月にインテルからの期限付き移籍でボタフォゴに加入。2023年3月には完全移籍に移行。2023年はチーム27試合中22試合に出場。全国選手権、コパ・スウアメリカーナは全試合フルタイム出場を果たしており、好調ボタフォゴを最終ラインから支えている。
(BOT)後半20分 :
自陣からパス2本で抜け出したFWジュニオール・サントス(Júnior Santos, 1994)がペナルティエリア内でコリンチャンスGKに足を払われPKを獲得。これをFWチキーニョ・ソアレスが右隅に決めボタフォゴが貴重な追加点。
   FWチキーニョ・ソアレスはこの試合2点目。全国選手権はこれで5試合375分5得点2アシスト。快進撃が止まらない。
(BOT)後半36分 :
自陣ペナルティエリア角のCBヴィクトル・クエスタのクリアに始まった攻撃はVOLチェチェー(Tchê Tchê, 1992)が自陣で3人に囲まれるも左サイドへボールは繋がれ、一人を経て敵陣でチェチェーのもとに戻る。チェチェーはドリブルで前進すると右サイドのマティアス・セゴビアへパス。セゴビアはワンタッチで中央に折り返し、これを受けたMFエドゥアルドがゴールネットを揺らす。ゴラッソコレチーボ。ボタフォゴがダメ押しのゴール。
   プリメイロ・ボランチが本職のチェチェーはボタフォゴでは攻撃の自由が与えられこのゴールのように記録には残らないが多くの得点に関与。守備的ボランチとして養われた視野の広さを戦術眼が攻撃でも生かされている。
   MFマティアス・セゴビアはパラグアイU-20代表。確かな足元の技術と視野の広さでコパ・ド・ブラジルに続きアシストを記録。この試合では14分の出場時間ながら他にも2本の決定的なパスを送っており、今後の活躍が注目される。

試合概要

   お互いに慎重な姿勢で始まった試合は前半11分にボタフォゴがセットプレーから先制点を奪う。リードされたコリンチャンスだが、攻撃の形が作れず自陣での守備を強いられる。前半37分にFWユーリ・アウベルト(Yuri Alberto, 2001)がミドルシュートを放つもGKペリ(Perri, 1997)の正面をつき、ゴールを脅かすまでは至らない。
   後半に入り同点に追いつきたいコリンチャンスがボールを持つが効果的なボール回しが出来ず、相手ゴールに迫ることが出来ない。ボタフォゴはパスカットなどでボールを奪うと素早く前線にボールを送る。後半20分、自陣からのカウンターでPKを獲得したボタフォゴが追加点。後半36分には自陣ペナルティエリアからボールを繋ぎ最後は左右にボールを振り相手守備を揺さぶってダメ押しゴール。
   ボタフォゴが全国選手権5連勝で首位をキープ。監督交代で迷走が続いたコリンチャンスは組織的な戦いができず降格圏の17位に順位を落とす。

補足情報、 所感 etc.

   ボタフォゴが理想的な展開で首位を堅守。得点数、失点数ともにリーグ2位と安定した戦いぶり。3点目に見られた連携が試合ごとに深まっており、この快進撃は単なるフロックではない。
   全国選手権の開幕5連勝は現行の大会形式となった2006年以降2度目の出来事。一度目は2011年のサンパウロで最終順位は6位。今季のボタフォゴはいかに。
   コリンチャンスは、ボタフォゴとは対照的に連携が悪く現時点でのチーム力の差が得点差に表れた形。連携の悪さは攻撃面だけでなく守備面でも見られ、今季はセットプレーからも多く失点している。ルシェンブルゴ監督は多くの選手を起用し様々な組み合わせを試しているが、なかなか結果は現れない。次節はホームでのクラシコ、サンパウロ戦。リーグ最少失点のサンパウロを相手に、ホームサポーターとクラシコ独特の雰囲気を味方につけ、勝ち点3を奪い今後の向け勢いをつけたい。

フォルタレーザ(FOR) 0-0 サンパウロ(SAO)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=Bu-enW6FK2M
FOR : N/A
SAO : N/A

見どころ

   フォルタレーザは全国選手権2勝2分勝点8の4位。前節は爆発的な攻撃力が影を潜めながらも後半に次々にチャンスを作り先制。しかし、試合終盤に守備での連係ミスから失点を喫し勝ち点2を逃した。
   今節のホームでのグレミオ戦は、今後上位争いに食らいつくためにも勝ち点3が必須。前節は影を潜めたが、現在3得点で得点ランキング首位を走るFWモイゼス(Moisés, 1996)を中心とした爆発的な攻撃力に期待したい。
   サンパウロは全国選手権2勝1分1敗勝点7の7位。ドリヴァウ・ジュニオール(Dorival Júnior)監督就任後3勝2分無敗。前節は中盤の守備が機能するとともに両センターバックが次々と相手攻撃陣の前に立ちはだかりインテルナシオナウに攻撃の糸口をつかませない。そしてPKとゴラッソから2点を奪うと、後半はしっかりと試合をコントロールして完勝。
   今節はアウェイで攻撃力のあるフォルタレーザとの試合となるが、しっかりとした守備を基盤に勝ち点3を勝ち取り上位争いに食らいつきたい。

得点シーン

N/A

試合概要

   前半は互いに守備に重点を置いた静かな立ち上がり。ボールを回し、ロングボールやサイドへの展開、縦のパスを送るが相手守備をかく乱することが出来ず、シュートを枠外に外すか相手にボールが渡り、ターンが終了。という展開が続く。
   後半も前半同様の試合展開で始まるが、選手交代を受け、少し動きが激しくなる。さらには、不可解な判定が続き試合は少し荒れ始める。後半17分、フォルタレーザから2枚目のイエローカードで退場者が出ると、サンパウロが相手ゴール前に迫り得点の気配が生まれる。しかし、サンパウロも後半26分に2枚目のイエローカードで退場者を出し、自ら勢いを断ち切る。人数が同数になるとホームのフォルタレーザがサポーターの後押しもありサンパウロゴールに迫る。しかし、数回に渡ってサンパウロ最終ラインが最後の局面でピンチをしのぎ、フォルタレーザのシュートミスなども重なり、両チームゴールを割ることが出来ず試合終了。
   上位進出に向け両チームにとって痛い引き分けとなった。

補足情報、 所感 etc.

   フォルタレーザは、前節に続き、いい形の攻撃を見せながらもなかなか得点が奪えずこの試合はスコアレスドロー。しかし、組織的な守備は健在で、今後も大崩れせずに上位争いに食い込んでいくことを予感させる内容だった。
   今後3試合でアウェイでの試合が続く。中2日の次節グレミオ戦が終えると、さらに中2日でアウェイでのコパ・ド・ブラジルパウメイラス戦が控えている。組織的な守備から攻撃への移行を滑らかにし、最後の精度を上げてパウメイラスと対戦したい。
   サンパウロは、今節も出場機会の少ない控え選手を積極的に起用。そのメンバーでも中盤の寄せの早い守備は機能。ドリヴァウ監督就任直後は不安定だった守備面の戦術がチーム全体に浸透していることが見受けられる。しかし、相手に退場者が出て数的有利に立ち、試合を支配しそうになりかけたタイミングで自チームからも退場者を出し、試合の流れをつかみ損ねたことは悔やまれる。
   次節はアウェイでクラシコ、コリンチャンス戦。攻撃の連携が機能していない相手をしっかりゼロに抑え、勝ち点3を勝ち取りたい。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です