【ブラジル全国選手権2023】第6節(1/2)

投稿者: | 2023年5月13日

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全国選手権第6節 対戦組合せ


以下の5試合はこの記事で。
・2023/05/13 バイーア(BAH) x フラメンゴ(FLA)
・2023/05/13 フルミネンセ(FLU) x クイアバ(CUI)
・2023/05/13 パウメイラス(PAL) x RBブラガンチーノ(RBB)
・2023/05/13 アトレチコ・ミネイロ(CAM) x インテルナシオナウ(INT)
・2023/05/14 ヴァスコ・ダ・ガマ(VAS) x サントス(SAN)
以下の5試合はこちらで。→ 【ブラジル全国選手権2023】第6節(2/2)
・2023/05/14 コリンチャンス(COR) x サンパウロ(SAO)
・2023/05/14 グレミオ(GRE) x フォルタレーザ(FOR)
・2023/05/14 ゴイアス(GOI) x ボタフォゴ(BOT)
・2023/05/14 アトレチコ・パラナエンセ(CAP) x コリチバ(CFC)
・2023/05/14 アメリカ・ミネイロ(AME) x クルゼイロ(CRU)

全国選手権第6節 試合概要

バイーア(BAH) 2-3 フラメンゴ(FLA)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=9dQSeQ4q2nI
FLA : 23' #42 マテウス・フランサ(Matheus França, 2004)[#23 ダヴィ・ルイス(David Luiz, 1987)]
FLA : 29' #10 ガブリエウ・バルボーザ(Gabriel Barbosa, 1996)[PK]
BAH : 35' #11 ビエウ(Biel, 2001)[#16 タシアーノ(Thaciano, 1995)]
FLA : 45+4' #23 ダヴィ・ルイス(David Luiz, 1987)[#11 エヴェルトン・セボリーニャ(Everton Cebolinha 1996)]
BAH : 51' #15 アデミール(Ademir, 1995)[#16 タシアーノ(Thaciano, 1995)]

見どころ

   バイーアは全国選手権2勝3敗勝点6の13位。第3,4節は良い試合内容で連勝。前節は先発の半数を入れ替え試合に臨んだが、前半の早い時間帯に2失点、後半早々にも失点し、その後は試合をコントロールされ完敗を喫した。今節は第3,4節の先発メンバーで臨むはず。第3節ヴァスコ戦で見せた守備と第4節コリチバ戦で見せた試合コントロールを再現できれば、フラメンゴ相手にも勝機は十分に見込める。
   今季チーム得点王のFWエヴェラウド(Everaldo, 1991)が前節に続き欠場見込み。
   フラメンゴは全国選手権2勝3敗勝点6の12位。攻めながらも得点を奪えない試合が続いたが、前節は早い時間にリードし、余裕を持った試合運びで2-0の勝利。今節対戦相手のバイーアは、中盤でのマークが厳しく、ボールを奪ってからの鋭いカウンターや、良くトレーニングされたセットプレーが脅威のチーム。得点を奪えずに焦りだすと相手の術中に陥る可能性も。90分間焦ることなく試合に臨みたい。
   FWペドロ(Pedro, 1997)、VOLジェルソン(Gerson, 1997)がケガにより欠場見込み。

得点シーン

(FLA)前半23分 :
ゴール正面約30mの位置からのFKをMFデ・アラスカエッタ(De Arrascaeta, 1994)がゴール左にクロスボールを上げ、CBダヴィ・ルイスが頭で合わせゴール右へ送る。MFマテウス・フランサがさらに頭でゴール左へシュート。フラメンゴが先制。
   MFマテウス・フランサはフラメンゴ下部組織出身。2022年1月26日の州選手権で17歳にしてトップチームデビュー。監督交代後は出場時間が限られていたが、全国選手権はこの日が2試合目の先発。4月5日のリベルタドーレスアウカス戦以来9試合ぶりのゴール。全国選手権初ゴールとなった。
(FLA)前半29分 :
FWエヴェルトン・セボリーニャ(Everton Cebolinha, 1996)からボールを受けたMFデ・アラスカエッタがペナルティエリア内で倒されPKを獲得。FWガブリエウ・バルボーザがこのPKを決めフラメンゴがリードを広げる。
   FWガブリエウ・バルボーザは全国選手権3点目、3点はいずれもPKから。
(BAH)前半35分 :
敵陣ペナルティエリアの外でMFカウリー(Cauly, 1995)がFWアルトゥール・サーレス(Arthur Sales, 2002)とのタベーラからペナルティエリア入口に上がったVOLタシアーノへパス。タシアーノは柔らかいワンタッチのパスをFWビエウに送り、FWビエウがゴールネットを揺らす。綺麗なパス交換からのゴールでバイーアが1点差に詰め寄る。
   FWビエウはフルミネンセ下部組織出身で2021年に同クラブからトップチームデビュー。同年の全国選手権ではレギュラーの座を掴むがケガもあり2022年にはポジションを失い全国選手権開幕を前にグレミオへ期限付き移籍。グレミオでは間もなくレギュラーに定着しチームの1部昇格に貢献。その活躍と将来性を期待され2022年シーズン終了後バイーアが1050万レアル(約3億円弱)の移籍金で獲得。今季は持ち味の視野の広さ、鋭く速いドリブル、高い決定力を発揮しこの試合終了時点で25試合8得点6アシストを記録している。
(FLA)前半45+4分 :
敵陣でボールを奪ったMFマテウス・フランサが倒されFKを獲得。FWエヴェルトン・セボリーニャがFKからゴール前にボールを送るとCBダヴィ・ルイスが頭に合わせフラメンゴが3点目。
   CBダヴィ・ルイスは2005年16歳にして当時全国選手権2部のヴィトーリアでデビュー。翌2006年全国選手権3部のヴィトーリアでレギュラーに定着するとシーズン後にベンフィカ/PORへのレンタル移籍。2007年半ばにはベンフィカでもレギュラーを獲得。それ以来チェルシー/ENG、パリSG/FRA、アーセナル/ENGなど約15年間欧州でプレー。2014W杯ブラジル大会などブラジル代表としても多くの試合に出場。2021年9月22日のフラメンゴでの初試合以来、598日、78試合目にして初ゴールを記録した。
(BAH)後半6分 :
   敵陣深い位置左からのFKは誰にも合わず右に流れるが、これを拾ったFWアデミールがGKサントスの足元を抜くシュートでゴールネットを揺らし、バイーアが1点差に迫る。
   FWアデミールはバイーアが2023年4月1日に約1200万レアル(約3億2000万円)の移籍金でアトレチコ・ミネイロから獲得。4月11日のクラブデビュー以来8試合目での初ゴール。

試合概要

   予想に違いバイーアがボールを保持しパス交換から攻撃の糸口を探り、フラメンゴがボールを奪ってから素早く左サイドのスピードのあるFWエヴェルトン(Everton, 1996)へボールを送りチャンスをうかがう。
   前半23分にFKからの流れでフラメンゴが先制。さらに6分後にPKでリードを広げる。一方のバイーアも前半35分、パスを繋いだゴールで1点差に詰め寄る。しかし、前半終了間際にFKからフラメンゴがリードを広げる。
   相手陣でのパス交換からチャンスをうかがうが、最後の精度を欠きシュートが枠を捉えないバイーアに対し、素早く相手陣にボールを送り相手のファールによるセットプレーでゴールをマークしたフラメンゴが3-1とリードして前半を終了。
   フラメンゴは後半開始とともに一気に5選手を交代。CBダヴィ・ルイス、MFマテウス・フランサ、FWエヴェルトン・セボリーニャのゴールに絡んだ3選手を始め、GKマテウス・クーニャ(Matheus Cunha, 2001)、ケガ明けのVOLチアゴ・マイア(Thiago Maia, 1997)がベンチに退く。
   後半6分にバイーアが1点差に迫ると、なおも人数をかけた攻撃でフラメンゴゴールに迫る。
   後半28分、2枚目のイエローカードでCBヘゼンジ(Rezende, 1995)が退場処分。後半31分にも2枚目のイエローカードでCBカヌー(Kanu, 1997)が退場処分(映像を見返すと、CBカヌーはFWガブリエウ・バルボーザを抑えようとした手が腕に接触。FWガブリエウ・バルボーザは顔を抑えられたようなジェスチャーを取り倒れ込む。主審はプレーを見ず状況だけを見てイエローカードを提示。これは2人目の退場に関わり試合の行方を決定づける判定だけに納得しがたい)。
   2人を退場で欠きながらもバイーアは同点に追いつくべく相手ゴールに迫るが僅かなところでゴールを阻まれる。フラメンゴを数的優位を活かし、カウンターや、ボール回しで時間を潰す。
   試合はこのまま3-2で終了。フラメンゴが全国選手権2連勝を飾る。

補足情報、 所感 etc.

   バイーアが攻撃に人数をかけボールを回しゴールを狙うが、最後の精度に欠け得点を奪えずにいると、カウンターからファールを犯しセットプレーから3失点。開幕からの3連戦をレッドカードはおろかイエローカードを1枚も受けず、前節で2枚のイエローカードを受けたチームが、この試合ではクレームによるものを含め、イエローカード4枚、レッドカード2枚、半ば自滅する形で敗戦。退場者を出した後も複数回のチャンスを作ることが出来ていただけに、前半の試合展開と2人の退場が悔やまれる。
   次節ゴイアス戦はCB2人を出場停止で欠くが、シュート精度を高め、攻撃的な姿勢を貫いて試合に臨み、勝ち点3を勝ち取ってもらいたい。
   フラメンゴは、リアクションサッカーを貫き、後半開始時の不可解な選手交代にも関わらず、不可解な判定にも助けられ、前半のリードを守り抜き全国選手権に連勝し勝ち点を9に伸ばす。前年にリベルタドーレスとコパ・ド・ブラジルの二冠を果たし、選手の入れ替えも少なく、結果のみならず内容も大きな期待を背負って今シーズンを迎えたが、結果オーライのチームに成り下がっている。昨年後半の輝きを取り戻すことは出来るのだろうか。

フルミネンセ(FLU) 2-0 クイアバ(CUI)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=tHqk5QF_gIU
FLU : 6' #33 ニーノ(Nino, 1997)[#10 P.H.ガンソ(Paulo Henrique Ganso, 1989)
FLU : 56' #10 P.H.ガンソ(Paulo Henrique Ganso, 1989)#45 リマ(Lima, 1996)

見どころ

   フルミネンセは全国選手権3勝1分1敗勝点10の3位。前節ではクルゼイロの早いチェックに攻撃の形が作れない中、少ないチャンスをゴールに繋げ、PK献上や退場者を出しながらも無失点に抑え、勝ち点3を獲得。最近2試合は長所を消される時間も多いが、勝ち点を積み上げられているのは成長の証か。今節対戦相手のクイアバは成績が伴わず監督が解任されたが、組織的なサッカーをしており油断はできない。
   VOLマルチネリ(Martinelli, 2001)が引き続きケガのため欠場。VOL,左SBアレキサンデル(Alexsander, 2003)が膝のケガにより今後約1か月の戦線離脱が見込まれている。VOLアンドレ(André, 2001)が前節退場による出場停止。ボランチ3選手の欠場が見込まれ大きな不安要素となっている。
   クイアバは全国選手権1勝1分3敗勝点4の17位。前節の試合終了後に監督が解任。全国選手権では結果は伴わなかったが組織的なチームが構築されていたので残念なニュースだった。今節は監督代行による指揮。今までと同様の戦術で試合に臨むだろうが、監督解任の動揺もあり苦戦は避けられない。
   前節試合中に負傷交代したVOLフェリピ・アウグスト(Filipe Augusto, 1993)は、検査の結果、左太ももにケガが認められ、約3~4週間の戦線離脱。

得点シーン

(FLU)前半6分 :
FWジョン・アリアス(Jhon Arias, 1997)のCKはディフェンダーにクリアされるが、それを拾ったSBマルセロ(Marcelo, 1988)がゴール前にクロス。MFガンソがゴール正面のCBニーノに柔らかくボールを預けるとCBニーノは右足を鋭く振り抜きゴールネットに突き刺す。フルミネンセが先制。
   CBニノは2020東京五輪で全試合フルタイム出場、キャプテンとして金メダルを獲得。高さとスピード、守備範囲の広さ、キャプテンシーを持ち合わせたセンターバック。今季はチーム26試合中24試合に出場、うち21試合にフルタイム出場を果たし5ゴールを記録、全国選手権は第2節に続き2ゴール目。
(FLU)後半11分 :
左サイドライン際からSBマルセロがゴールラインと平行にペナルティエリアやや外を中央にボールを送るとFWヘルマン・カーノ(Germán Cano, 1988)がワンタッチでさらに右へ。MFリマがシュートフェイントを挟み、右前方へ柔らかいパスを出すとそこにMFガンソが走り込み、左足でコースを狙ったシュートがゴールネットを揺らす。
   人もボールも動くサッカーの中、独特のリズムを持つMFガンソは、チームのアクセントになり攻撃を牽引。全国選手権は2試合連続ゴール。第6節を終わって2得点3アシストを記録。

試合概要

   立ち上がりはクイアバがフルミネンセのボールの出どころにプレスをかけるが、前半6分にフルミネンセが早くもリードを奪う。しかし、フルミネンセは自陣でのボール回しが多くなり攻撃の糸口を見つけられずにいると、ボールを奪われてはゴール前に迫られる。前半35分にはロングボールから、前半36分には左サイドからクイアバはチャンスを掴むがゴールを奪うことができない。前半41分にも右サイドを崩しゴールライン際からのクロスをシュートに持ち込むがゴールポストに嫌われる。
   後半立ち上がりもクイアバが人数をかけてフルミネンセゴールに迫るが、フルミネンセが後半10分に追加点。その後はクイアバがボールを持つがフルミネンセも中盤のマークを厳しくし対応。クイアバは後半28分にチャンスを迎えるがオフサイド、後半29分にはミドルシュートを狙うが僅かにゴールを捉えない。フルミネンセは守備的な選手を交代で投入し、自陣を中心にボールを回し時間を浪費する。クイアバは後半終了間際にCKからのこぼれ球にVOLホナウジ・ロペス(Ronald Lopes, 1997)がミドルシュートを狙うがGKファビオ(Fábio, 1980)が辛うじてCKに逃れる。
   試合はこのままフルミネンセが2-0とりーどしたまま終了。暫定ながらフルミネンセは3位に浮上。

補足情報、 所感 etc.

   ケガや出場停止でボランチの3選手を欠くフルミネンセは、プリメイロ・ボランチにチアゴ・サントス(Thiago Santos, 1989)、セグンド・ボランチにリマ(Lima, 1996)を起用するが、いつものような高い位置でのボール奪取とワンタッチでの流れるようなパスワークは影を潜め、度々ボールロストからピンチを迎える。しかし、前半の早い時間帯に先制すると、後半も早い時間帯にゴールを奪いリードを広げる。終盤には守備的な選手を次々に投入し逃げ切り。内容は決して良くなかったが、2試合連続で無失点勝利、勝ち点を13に伸ばし暫定3位に浮上した。中2日のコパ・ド・ブラジルでのフラメンゴ戦を挟み、次節は首位を走るボタフォゴとの対戦。クラシコ2連戦は厳しい戦いが予想されるが、タイトルを獲得するためには勝ち点を失うことは許されない。
   クイアバは、試合開始前にアントニオ・オリヴェイラ(António Oliveira)監督の就任を発表。アントニオ・オリヴェイラ監督は2022年6月11日全国選手権11節から最終節までクイアバを指揮し7勝9分12敗の成績を残す。2023年はコリチバを指揮するも4月16日の全国選手権開幕節を最後に解任されていた。次節からクルゼイロ戦から指揮を執る。
   試合では、フルミネンセの長所を消しつつ、これまでの戦いをベースにした組織的なプレーでボール奪取からロングボールやサイドを広く使った攻撃でチャンスを掴む。しかし、オフサイドを重ね、ポストに嫌われるシュートやフルミネンセGKの好守もあり、無得点で試合を終える。次節クルゼイロ戦は月曜日開催のため中8日の猶予がある。新監督のもと、未だ全国選手権で無失点試合がない守備面を改善し、攻撃の最後の精度を高めたい。

パウメイラス(PAL) 1-1 RBブラガンチーノ(RBB)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=iw2uQ8dEIuE
PAL : 65' #14 アルトゥール(Artur, 1998)[# グスタボ・ゴメス(Gustavo Gómez, 1993)]
RBB : 71' #29 ジュニーニョ・カピシャバ(Juninho Capixaba, 1997)[#8 ルーカス・エヴァンジェリスタ(Lucas Evangelista, 1995)]

見どころ

   パウメイラスは全国選手権4勝1分勝点13の2位。現在リーグ最多の15得点。直近の2節は5点、4点と得点力が爆発。試合内容も圧倒しており、ホームの今節も優位は動かない。
   前節に引き続き、CBムリーロ(Murilo, 1997)、右SBマルコス・ホッシャ(Marcos Rocha, 1988)がケガのため欠場見込み。
   RBブラガンチーノは全国選手権1勝3分1敗勝点6の15位。相手陣でボールをキープする攻撃的な戦術を採用するが、未だ連係が不十分でボールロストも多く、得点も失点も多くなっている。前線にスピード豊かな選手をそろえるパウメイラスを相手にリスクが大きすぎるサッカーだが、この試合ではどのようなサッカーを見せるだろうか。
   VOLジャジソン(Jadsom, 2001)とFWチアゴ・ボルバス(Thiago Borbas, 2002)がいずれも警告累積のため出場停止。

得点シーン

(PAL)後半20分 :
左からのCKにCBグスタボ・ゴメスが頭に合わせボールを右サイドに送ると、FWアルトゥールが走り込み、頭でボールをゴールネットに突き刺す。
   FWアルトゥールは全国選手権開幕前に今節の対戦相手RBブラガンチーノからパウメイラスが4500万レアル(約12億円)の移籍金で獲得。パウメイラス加入後間もなくレギュラーの座を掴んでいる。全国選手権はこれで3ゴール目。168㎝と小柄ながらいずれもヘディングによる得点。
(RBB)後半26分 :
敵陣で素早く寄せるマークをはがしながらパスを繋ぎ、右サイドから中央に経て左サイドへボールを繋ぐと、左SBジュニーニョ・カピシャバが左足を振り抜き約25mのミドルシュートをゴール左上隅に突き刺す。RBブラガンチーノが失点後間もなく同点に追いつく。
   左SBジュニーニョ・カピシャバは、バイーア下部組織出身で2017年(19歳)にトップチームに昇格しプロデビュー。その後コリンチャンス、グレミオに在籍するがポジションを確保できずレンタルでバイーア、フォルタレーザでプレー。2022年フォルタレーザでの活躍を受け、2022年12月に2023年に向けた補強の一環としてRBブラガンチーノが完全移籍で獲得。どちらかというとボール奪取に長けた守備的なサイドバックだが、クロスの精度も高くアシストも多い。このゴールは今季2ゴール目、全国選手権初ゴール。

試合概要

   前半2分、RBブラガンチーノが右サイドからのSBウルタード(Hurtado, 2001)のクロスにVOLエリキ・ハミーリス(Eric Ramires, 2000)が右足を合わせるがボールは僅かにゴールポスト右に外れる。RBブラガンチーノは人数をかけた攻撃で立ち上がりからパウメイラスゴールに迫る。
   その後もピッチの中盤でブラガンチーノがボールを保持しパス回しから攻撃の糸口を探るが、パウメイラスはボールを奪うと素早く前線にボールを運ぶ。ブラガンチーノも素早く帰陣しパウメイラスの速い攻撃に対応。パウメイラスは前半14分、前半28分とCKからチャンスを迎えるがゴールを奪うことが出来ない。一方のブラガンチーノも前半25分に左SBジュニーニョ・カピシャバからのクロスをFWエドゥアルド・サーシャ(Eduardo Sasha, 1992)が頭に合わせるが枠を捉えない。
   ほぼ互角の内容で前半が終了。
   後半4分、パウメイラスが右CKからチャンスを迎えるがFWアルトゥールのヘディングシュートはゴールポストを直撃しゴールネットを揺らせない。その後もしばらくパウメイラスが敵陣でボールを回しゴールに迫るが、2ラインで中央を固めたブラガンチーノがパウメイラスの攻撃を跳ね返す。後半17分にボールを奪ったブラガンチーノは敵陣で左右にボールを繋ぎ最後はFWヴィチーニョ(Vitinho, 1999)がゴール正面から強烈なミドルシュートを放つがGKの正面をつく。
   拮抗した試合は後半20分にパウメイラスが先制。しかし、その6分後にはブラガンチーノが同点に追いつく。
   その後は少しオープンになるが拮抗した展開が続く。試合終了間際には、自陣からワンタッチでのパスを繋いだブラガンチーノが決定的なシーンを作るがFWアレハンドロ(Alerrandro, 2000)のシュートは僅かにゴール右に外れる。
   試合は1-1のまま終了。緊張感のある試合はあっという間に終えた。

補足情報、 所感 etc.

   パウメイラスは、スピードのあるFW陣に素早くボールを送り、ディフェンダーにマークされても強引にシュートに持ち込み、次々にCKを獲得していく。この試合では計15本のCKを獲得し、CKから得点。ゴール以外にもCKからゴールポストやクロスバーに嫌われるシーンを作り出す。
   守備で中盤のマークを掻い潜られ、攻撃で中盤の素早いプレスにあい、最近の数試合のように試合を支配することが出来なかったにも関わらず、得意のCKを獲得することでゴールを奪えるところにも、パウメイラスの強さを感じる。
   RBブラガンチーノは、いつも通り人数をかけワンタッチでボールを繋ぐ攻撃を見せ、強豪のパウメイラスと引き分け。最近の数試合は前がかりになり過ぎてカウンターから失点を繰り返していたが、この試合では、スピードのある相手FW陣にしっかりとマークにつき、チーム全体に素早く帰陣し、しっかりとブロックを作りカウンターを阻止。1点を奪われたものの相手が得意とするセットプレーも多くを対応することができた。
   これまでは試合ごとや一試合の中でも好不調の波が大きく、不安定な戦いぶりが続いていたが、今日のような試合ぶりが継続できれば自然と結果もついてくるはず。この試合を好不調の波の頂点とせず、次節以降も期待したい。

アトレチコ・ミネイロ(CAM) 2-0 インテルナシオナウ(INT)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=EfA8UUy4FmU
CAM : 3' #11 バルガス(Vargas, 1989)[#9 パボン(Pavón, 1996)]
CAM : 90+5' #10 パウリーニョ(Paulinho, 2000)[#7 フッキ(Hulk, 1986)]
INT : N/A

見どころ

   アトレチコ・ミネイロは全国選手権2勝1分2敗勝点7の8位。今季は、強引に得点を奪いに行き、得点を奪えず次第にリズムを失い敗戦を迎える試合が多く見られたが、前節では早い時間帯に得点を奪えたこともあり、守備を固め効率のいい攻撃を見せ落ち着いた試合運びで4-0の快勝を収めた。今節の対戦相手インテルナシオナウは現在、攻守に精彩を欠いている。前節同様に落ち着いた展開を見せることが出来れば結果もついてくるように思われる。
   継続的に欠場している選手以外に新たな欠場見込みはない模様。
   インテルナシオナウは全国選手権2勝1分2敗勝点7の11位。かねてから課題の攻撃面での連係が思うように改善せず、2試合連続無得点。守備面も複数失点が続いており、チーム状況は芳しくない。しかし、前節の前半はノーゴールの事実以外はほぼ完ぺきな内容だっただけに、今節は挽回の余地が見込まれる。
   攻撃の要MFアラン・パトリッキ(Alan Patrick, 1991)、左SBヘネー(Renê, 1992)、CBモレド(Moledo, 1987)が遠征に帯同しておらず、前節に引き続きVOLジョニー(Johnny, 2001)、VOLカンパニャーロ(Campanharo, 1992)が欠場見込み。
   一方でFWアレモン(Alemão, 1998)は戦列に復帰を果たせる模様。

得点シーン

(CAM)前半3分 :
自陣のビルドアップからCBナタン・シウヴァ(Nathan Silva, 1997)がインテルナシオナウの4-5の2ラインの右、サイドライン際にボールを送る。インテルは5人が並ぶラインの外にも関わらず寄せが甘く、ボールを受けたMFパボンは易々とゴール前にクロスを上げる。身長174㎝のFWバルガスがCBの間で頭に合わせる。元アルゼンチン代表から元チリ代表へのクロスでホームのアトレチコ・ミネイロが先制。
   MFパボンは元アルゼンチン代表。2018W杯ロシア大会ベスト16のフランス戦では、メッシ、ジ・マリアとスリートップを組みスタメン出場。
   元チリ代表のFWバルガスは、2014W杯ブラジル大会予選ラウンドのスペイン戦でゴールを記録。コパアメリカでは、2015年に6試合4得点、2016年に6試合6得点を記録し、共に得点王に輝き、チリ代表の連覇に貢献。
(CAM)後半45+5分 :
敵陣センターサークル付近の空中戦をVOLエデニウソン(Edenílson, 1989)が競り勝つと、FWパウリーニョがFWフッキとのタベーラでペナルティエリア右を抜け出し、ボールを蹴りだそうとするディフェンダーの下を抜く叩きつけるシュート。これがゴールに吸い込まれ勝利を決定づける得点をアトレチコ・ミネイロが奪う。
   FWパウリーニョは全国選手権2試合連続得点中。
   VOLエデニウソンは、ウディネーゼ/ITA、ジェノア/ITAで計3年約80試合に出場経歴を持つ。2017年にインテルナシオナウに加入し、今季からアトレチコ・ミネイロでプレーするプレーエリアの広いボランチ。この試合では古巣を途中出場で相手に得点に関与する。

試合概要

   ホームのアトレチコ・ミネイロが自陣でボールを回し、CBからのロングボールでチャンスをうかがう。すると前半3分、早くもアトレチコが先制点を奪う。その後も同様の試合展開が続く。インテルナシオナウは引いてしっかりと守備ブロックを作るが、アトレチコはたびたびシュートまで持ち込む。インテルの自陣からの攻撃は選手間の距離間が広く、相手陣深くまで攻め込むことが出来ない。また、インテルは時折スリートップが前線からプレスをかけるが、アトレチコは両SBがあまり高い位置を取らないため数的に一人余り、インテルのプレスはあまり効果をなさない。
   前半16分、インテルはFWルイス・アドリアーノ(Luiz Adriano, 1987)がセンターライン付近で猛然とプレスを仕掛けボールを奪い、パスを繋いで最後はFWマウリシオ(Maurício, 2001)がゴールネットを揺らす、しかし、これはオフサイド。
   ホームのアトレチコ・ミネイロが試合をコントロールして前半を終える。
   後半も試合の展開は大きく変わらない。後半20分過ぎにインテルは前線に高さのあるFWアレモン(Alemão, 1998)、スピードのあるFWヴァンデルソン(Wanderson, 1994)を投入。直後にFWヴァンデルソンのFKからVOLホームロ(Rômulo, 2000)がボールを頭に合わせるが、ボールはゴールポストを直撃しゴールに嫌われる。
   その後インテルがボールを持ち、アトレチコは途中出場のFWフッキを中心にカウンターを狙う。そして、試合終了間際にアトレチコが追加点を奪い万事休す。アトレチコ・ミネイロがホームで2-0のスコアで勝利を収めた。

補足情報、 所感 etc.

   アトレチコ・ミネイロはFWフッキがベンチスタート。少し前までは、フッキを中心とした攻撃陣が試合開始後に猛然と相手ゴールに迫り、ゴールをこじ開けようとするが、ゴールを奪えず失速していく試合が多かった。ところが、前節に続きこの試合も、立ち上がりはCBからサイドへのロングボールでチャンスを作り出す。そして、やはり前節同様前半の早い時間帯にゴールを奪う。
   先制すると、その後はしっかりと試合をコントロール。一試合を通してシュート数は14本とさほど多くはないが、しっかりと2点目を奪い、被シュートは僅かに6本に抑え、2試合連続で複数得点を記録しゴールを許さず2連勝。勝ち点を10に伸ばした。
   インテルナシオナウは、全国選手権3試合連続で0-2のスコアで敗戦、無得点試合、複数失点の試合が続いている。今季はシーズン初めから攻撃に課題があったが、ここにきて守備も以前散見されたミスからの失点ではなく、崩される失点が増えてきている。
   この試合では守備を意識するあまり最終ラインが下がりすぎ、ボールを奪っても選手間の距離が遠くスムーズに守から攻への移行が出来なかった。また、4-4または4-5の低い位置でのツーラインのゾーンディフェンスを採用し、中盤に攻撃の要アラン・パトリッキが欠場するならば、ワントップにはスピードがあり味方のスペースを作る動きを得意とするルイス・アドリアーノではなく高さのあるアレモンかルーカ(Lucca, 2003)を先発に起用し、単純に中盤を省略する攻め方もあったのではないか。
   週中のコパ・ド・ブラジル、アメリカ・ミネイロ戦を挟み、次節は今季2試合目のクラシコ「グレナウ」が控えている。その結果次第ではマノ・メネゼス監督の去就問題が浮上してくるだろう。

ヴァスコ・ダ・ガマ(VAS) 0-1 サントス(SAN)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=R9qw29SfbiA
SAN : 29' #35 デイヴィジ・ワシントン(Deivid Washington, 2005)[#23 ルーカス・リマ(Lucas Lima, 1990)]
VAS : N/A

見どころ

   ヴァスコ・ダ・ガマは全国選手権1勝3分1敗勝点5の14位。現在上位に位置するパウメイラス、フルミネンセと引き分けているが、勝ち点を伸ばせず14位に低迷。州選手権で見せたサッカーが面白かっただけに期待していたが、チーム力の向上は一旦踊り場を迎えている。今節の対戦相手サントスは前節でスピードのある攻撃で3得点を奪っており、ヴァスコはこれまでのボール保持を意識した戦術を貫くのか、少しリアクション的な要素を入れてくるのか、試合運びが気になるところ。
   VOLアンドレイ・サントス(Andrey Santos, 2004)はチェルシー/ENGとの期限付き移籍契約の中で、U-20W杯招集時には招集を承諾する条項が定められており、今節以降最大で5試合の欠場が決まっている。その他に新たな欠場選手はなし。バルビエリ監督は今節と次節の2試合に出場停止。
   サントスは全国選手権2勝1分2敗勝点7の9位。前節は、FWアンジェロ(Ângelo, 2004)が2試合連続得点。FWデイヴィジ・ワシントン(Deivid Washington, 2005)のトップチーム初ゴールもあり3-0の快勝。それまではFWが前線で孤立する場面が散見されたが、FWアンジェロが好守に走ることで、MFルーカス・リマが高い位置を取ることが出来るようになり、守から攻への移行がスムーズになったように見えた。
   FWマルコス・レオナルド(Marcos Leonardo, 2003)が今節からU-20W杯の招集を受け最大で6月11日の試合まで欠場。前節1得点1アシストを記録するも前半のうちに負傷交代を余儀なくされたFWメンドーサ(Mendoza, 1992)が太ももに浮腫ができ治療のため欠場が見込まれている。

得点シーン

(SAN)前半29分 :
左サイドライン際からMFルーカス・リマがFWルーカス・ブラーガ(Lucas Braga ,1996)とのタベーラで抜け出しペナルティエリアに侵入しペナルティエリア入口へマイナスのクロス。これを受けたFWデイヴィジ・ワシントンがゴール右隅へコースを狙ったシュートでゴールネットを揺らす。
   FWデイヴィジ・ワシントンは2試合連続でスタメン起用。前節では初ゴール以外にも、クロスバーを直撃するシュートや、チームの3点目に関与するなどの活躍が見られたが、この試合でも17歳とは思えない落ち着きでゴールネットを揺らす。

試合概要

   ホームのヴァスコ・ダ・ガマが立ち上がりから次々にサントスゴールに迫る。右サイドからはSBプーマ・ロドリゲス(Puma Rodríguez, 1996)とFWガブリエウ・ペッキ(Gabriel Pec, 2001)、左サイドからはSBルーカス・ピトン(Lucas Piton, 2000)とFWフィゲイレド(Figueiredo, 2001)が攻め上がり、中央にはFWペドロ・ハウーウ(Pedro Raul, 1996)が待ち構える。
   しかし、先制点はサントス。17歳2005年生まれのFWデイヴィジ・ワシントンが2試合連続のゴール。
   その後もヴァスコ・ダ・ガマがボールを支配し次々にゴールに迫るが、サントスGKジョアン・パウロが何度も好守を見せる。
   後半2分のFWペドロ・ハウーウのヘディングシュート、後半19分のFWアレックス・テイシェイラ(Alex Teixeira, 1990)のヘディングシュートもGKジョアン・パウロが弾き出す。ヴァスコは守備的な選手に替え攻撃な選手に替え攻撃の強勢を強める。
   しかし、最後までゴールを奪うことが出来ず、アウェイのサントスが1-0で勝利を収めた。

補足情報、 所感 etc.

   ヴァスコ・ダ・ガマにとっては不思議な負けに違いない。試合を終始支配。ボール保持率61%、パス成功率はヴァスコ82%に対しサントスは71%と中盤の守備が機能しサントスのミスを誘い、シュート数はヴァスコ20本(うち枠内8本)に対しサントス6本(うち枠内1本)。サントスの唯一の枠内シュートがこの試合唯一の得点となった。
   失点シーンではMFルーカス・リマに引きずられ下がり過ぎたことと、FWデイヴィジの右足を切ることが出来なかったことが悔やまれる。
   この敗戦で、5試合勝ち星から遠ざかった。引いた相手に多くのチャンスを作り出し、VOLバーホス(Barros, 2004)の目途がついたことを明るい材料として次節サンパウロ戦に臨みたい。
   サントスは苦しい試合展開の中、17歳のFWデイヴィジ・ワシントンのゴールとGKジョアン・パウロの再三にわたる好守で勝ち点3を獲得、勝点を10に伸ばし7位に浮上。
   しかし、元々のゲームプランが引き分け狙いだったのかもしれないが、得点シーンでさえペナルティエリアには僅かに3選手、一列後ろのスペースにも選手が1人いるだけで、攻撃に厚みのない試合だった。
   中2日でのコパ・ド・ブラジルの対戦相手は先日の試合で3-0で下したバイーア、そしてさらに中2日でホームにパウメイラスを迎える。パウメイラス戦は守りを固め僅かなチャンスを生かしたい展開になると予想されるが、2試合連続で無失点に抑えている守備を自信にして試合に臨みたい。

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