【ブラジル全国選手権2023】第7節(2/2)

投稿者: | 2023年5月19日

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全国選手権第7節 対戦組合せ


以下の5試合はこちらで。→ 【ブラジル全国選手権2023】第7節(1/2)
・2023/05/20 バイーア(BAH) x ゴイアス(GOI)
・2023/05/20 ボタフォゴ(BOT) x フルミネンセ(FLU)
・2023/05/20 サンパウロ(SAO) x ヴァスコ・ダ・ガマ(VAS)
・2023/05/20 RBブラガンチーノ(RBB) x アトレチコ・パラナエンセ(CAP)
・2023/05/20 コリチバ(CFC) x アトレチコ・ミネイロ(CAM)
以下の5試合はこの記事で。
・2023/05/20 アメリカ・ミネイロ(AME) x フォルタレーザ(FOR)
・2023/05/20 サントス(SAN) x パウメイラス(PAL)
・2023/05/21 フラメンゴ(FLA) x コリンチャンス(COR)
・2023/05/21 グレミオ(GRE) x インテルナシオナウ(INT)
・2023/05/22 クルゼイロ(CRU) x クイアバ(CUI)

全国選手権第7節 試合概要

アメリカ・ミネイロ(AME) 2-1 フォルタレーザ(FOR)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=qtCXKI13Ykc
(AME) : 2' #28 ブレーノ(Breno, 2003)[#5 マルチネス(Martínez, 1994)]
(FOR) : 26' #7 ポチェチーノ(Pochettino, 1996)[]
(AME) : 33' #11 フェリピ・アゼヴェド(Felipe Azevedo, 1987)[#78 ヘナト・マルケス(Renato Marques, 2003)]

見どころ

   アメリカ・ミネイロは全国選手権0勝1分5敗勝点1の20位。前節クルゼイロとのクラシコは、前半に先制を許したものの、ほぼ互角の内容。試合を通して相手を上回る数の決定的なシーンを作り出すが決めきれずにいると、後半25分、39分、45+1分と失点を重ね、0-4の完敗。
   週中のコパ・ド・ブラジルはインテルナシオナウとの対戦。お互いに全国選手権で下位に低迷し、先発は半数以上が控え選手。アメリカ・ミネイロは前半は引いた守備で相手にスペースを与えず、後半20分に相手に退場者が出ると、試合の様相は一気に様変わりし、インテルナシオナウが引き、アメリカ・ミネイロが人数をかけた攻撃に転じる。後半アディショナルタイムにPKを獲得し先制。その14分後にはペナルティエリア内での裏抜けを倒され再びPKを獲得。これも決め、2-0で公式戦6試合ぶりの勝利。引いて守り切った守備と(相手が1人少なかったものの)前線に5選手を並べ攻めた内容はトレーニングの成果が現れていた。この勢いで全国選手権初白星を飾りたい。
   フォルタレーザは全国選手権2勝4分勝点10の8位。全国選手権は3試合連続引き分け。この3試合で1得点と爆発的な得点力が影を潜めている。週中のコパ・ド・ブラジル、パウメイラス戦は前半の早い時間帯に2失点、試合終了間際に追加点を奪われ0-3の完敗。公式戦では3試合連続無得点が続いている。しかし、グローインペインでチームを離れていたチーム内得点王FWチアゴ・ガリャルド(Thiago Galhardo, 1989)が合流、全国選手権3試合で3得点を記録していたものの、第4節に負傷交代でピッチを退いたFWモイゼス(Moisés, 1996)が週中のコパ・ド・ブラジルで途中出場を果たすなど明るい材料も見られる。
   組織的な守備は健在。全国選手権はこれまでリードを許した時間がわずか4分と安定した試合運びをしているだけに、下位に低迷するアメリカ・ミネイロから勝ち星を収め上位争いに食い込みたい。
   

得点シーン

(AME)前半2分 :
自陣でボールを奪うとMFマルチネスがドリブルで持ち上がりハーフウェイライン付近から約30mのディフェンダーの間を抜ける超絶なスルーパス。VOLブレーノが中央を駆け上がりペナルティエリア手前からダイレクトにシュートを放つとボールはゴール左隅に決まる。
   VOLブレーノはパウメイラス育成から2022年8月にアメリカ・ミネイロ育成へ移籍。2023年1月のU-20全国大会カップ戦では、全試合に出場し、決勝では古巣のパウメイラスと対戦するも惜しくも準優勝。2023年5月17日にコパ・ド・ブラジルでトップデビュー。いきなりスタメンでの起用となった。この試合が自身2試合目の出場でプロ初ゴールを記録した。
(FOR)前半26分 :
右サイドからの攻撃。ゴールライン際から戻されたボールをCBブリテス(Brítez, 1992)がゴール奥へクロス。FWモイゼス(Moisés, 1996)の折り返しをMFポチェチーノがゴールへ押し込む。
   MFポチェチーノは2023年1月6日にフォルタレーザに加入。2018年にデフェンサ・イ・フスチシア/ARGでボイボダ(Vojvoda)現監督のもとでプレー。今季はこれでチーム36試合中30試合に出場、4得点5アシスト。全国選手権では初ゴールとなった。
(AME)前半33分 :
自陣でFWフェリピ・アゼヴェドがボールを掻っ攫うとFWヘナト・マルケスとカウンターを発動。ハーフウェイライン付近でFWヘナトにボールを預け、ペナルティエリア入口で戻りのボールを受けると、右足で右サイドに突き刺さるゴラッソ。
   FWフェリピ・アゼヴェドは2019年に32歳で当時2部のアメリカ・ミネイロに加入。以来1部昇格、コパ・スウアメリカーナ出場とチームの成長に貢献。今季もこれまでチーム27試合のうち24試合に出場、4得点3アシストを記録。3月の代表戦に出場したSBアルトゥール(Arthur, 2003)、VOLブレーノ、FWヘナト・マルケスなど、育成上がりの若い選手たちの見本となっている。
   FWヘナト・マルケスは育成出身で2022年3月23日の州選手権でトップデビュー。2023年は準優勝を果たしたU-20全国大会カップ戦で9試合6得点1アシスト。3月に開幕したU-20全国選手権で9試合4得点をマークし、満を持してトップチームに招集。2023年5月10日全国選手権第5節で約1年2か月振りにトップチームの試合に出場すると、4試合連続出場中。この試合ではプロ初アシストを記録。次はプロ初ゴールが待たれる。

試合概要

   前半開始2分に先制を奪ったアメリカ・ミネイロが自陣でスペースを埋める守備を敷き、フォルタレーザが焦らずにボールを回しながら相手守備網の綻びを探す展開になる。フォルタレーザはミドルシュートや前後左右の揺さぶりでアメリカ・ミネイロ守備陣の綻びを作り出すと、前半26分に早くも同点に追いつく。
   同点に追い付いた後も引き続きフォルタレーザが相手陣でボールを回しアメリカ・ミネイロゴールに迫る。しかし、アメリカ・ミネイロは、前半33分、カウンターから勝ち越し点を奪う。
   後半に入り、アメリカ・ミネイロは引きこもらず、前に出る守備に打って出ると、試合はオープンな展開となる。後半10分、フォルタレーザが流れの中でGKが飛び出した無人のゴールにボールを押し込もうとするが、アメリカ・ミネイロSBマルシーニョ(Marcinho, 1996)が辛うじてクリア。後半25分、アメリカ・ミネイロは敵陣でボールを奪い強烈なミドルシュート。後半28分、FWアロイージオ(Aloísio, 1988)のシュートはゴールポストを叩く。さらに後半35分、37分とシュートまで持ち込み、フォルタレーザゴールを脅かす。
   その後フォルタレーザもアメリカ・ミネイロのパスミスを奪いシュートに持ち込むが、両チームともにゴールを奪うことが出来ず、ホームのアメリカ・ミネイロが2-1で勝利を収めた。

補足情報、 所感 etc.

   アメリカ・ミネイロは下部組織出身の若いVOLブレーノ、FWヘナト・マルケスを先発に抜擢するなど、前節から大幅にメンバーを変更。チーム内得点王FWアロイージオはベンチからのスタート。
   試合は早い時間帯にVOLブレーノがゴールを決め先制するが、引いてスペースを埋める守備を敷くも耐えきれず失点。失点後間もなくカウンターでリードを奪うと、後半は前半と一変し、最終ラインを少し上げ、前に出る守備を採用する。後半途中にはフォーメーションを替えない選手交代で守備に偏ることなく、スピードと経験のあるFWアロイージオを前線に投入し、追加点を奪いに行く姿勢を見せる。惜しいチャンスを逸し得点こそ奪えなかったものの、リスクを負った思い切った采配が功を奏し、2-1のまま試合を終え勝ち点3を獲得。連敗中も貫いた「攻め」の姿勢を後半に取り戻し全国選手権初勝利。最下位を脱出した。
   次戦は中2日でコパ・スウアメリカーナ、グループラウンド突破に向けて勝たなければならない試合。さらに中4日で首位ボタフォゴ。この試合の姿勢を貫けば、下剋上を起こせる可能性もなくはない。
   フォルタレーザは公式戦4月7勝2分から5月1勝3分2敗。安定していた守備もここ2試合で5失点と急ブレーキ。チーム内得点王のFWチアゴ・ガリャルド(Thiago Galhardo, 1989)がグローインペイン症候群で戦列を離脱している影響もあるが、多くのポジションの様々な選手がゴールを決めていた(今季はこれまでGKを除く29選手が試合に出場し、うち21選手が得点を記録)だけに、一人の選手に攻撃を依存していたとは思えない。
   次戦は中3日でグループ首位を走るコパ・スウアメリカーナ。さらに中2日でヴァスコ・ダ・ガマをホームに迎える。日程的にトレーニングで修正を図る時間もないため、試合を通じて解決を図りたい。

サントス(SAN) 0-0 パウメイラス(PAL)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=yO4VPjrt6Ws
(SAN) : N/A
(PAL) : N/A

見どころ

   サントスは全国選手権3勝1分2敗勝点10の7位。最近2節は無失点で2連勝を飾っている。GKジョアン・パウロ(João Paulo, 1995)とこれまでリーグ最多のブロックと5位に入るインターセプトを記録するCBメシアス(Messias, 1994)を中心に、守備に重点を置いた戦術が功を奏している。週中のコパ・ド・ブラジルも無失点で試合を終えるものの、59%のボール保持率を記録しながら引いた相手にシュートは僅か4本と、カウンター以外の攻め手はあまり構築されていない。
   パウメイラスとの対戦は2月4日の州選手権以来。この時は、試合終了間際に1点を返すのみで1-3の完敗を喫した。中を閉じた守備で少ないチャンスをものにし、前回の雪辱を果たしたい。
   パウメイラスは全国選手権4勝2分勝点14の2位。前節はRBブラガンチーノの中盤のプレスと素早い帰陣の前に、流れの中では大きなチャンスが掴めず、得意のセットプレーから得点を奪ったものの1-1の引き分け。しかし、週中のコパ・ド・ブラジルでは前半の早い時間帯に2得点を奪い、後半に追加点をマークするほぼ完ぺきな試合内容で3-0の快勝。
   今節はアウェイでのクラシコだが、最近の試合内容からパウメイラスの優位は揺るがないだろう。

得点シーン

N/A

試合概要

   サントスは、両センターバックと両ボランチがパウメイラスのスピードのあるツートップに前を向いてプレーをさせず、さらにこの二人の背後にスペースを作らせないことでMFハファエウ・ヴェイガ(Raphael Veiga, 1995)のプレーを消すことにも成功。パウメイラスの攻撃の脅威が一気に縮小する。
   前半はボールを持たれる時間が長くなるが、空中戦ではCBメシアス(Messias, 1994)がことごとく弾き返し、大きなピンチはなく、GKジョアン・パウロ(João Paulo, 1995)を脅かすのはVOLガブリエウ・メニーノ(Gabriel Menino, 2000)がミドルシュートの2本のみ。
   一方のサントスはパウメイラスの両サイドバックの裏のスペースにボールを送りチャンスを作ろうとするが、ボールを受けた選手へのサポートが薄くチャンスを作ることが出来ない。
   後半6分、パウメイラスは敵陣深くサイドライン際でボールを奪い、素早くゴール前にクロスを送るが、CBジョアキン(Joaquim, 1998)がクロスをカット、さらにこぼれ球をMFハファエウ・ヴェイガがシュートに持ち込むが、それもブロックしピンチを防ぐ。
   サントスは後半に入り高い位置でボールを奪いにいくようになる。後半7分にはアタッキングサードの入口でボールを奪い手数を掛けずにシュートに持ち込む。するとゴールに迫る回数も増え、後半29分、30分、38分とパウメイラスゴールに迫る。
   お互いにシュートの本数も少なく、決定的なシーンも作り出すことが出来なかった拮抗した試合は、0-0のスコアレスドローで終わり、勝ち点1を分け合った。

補足情報、 所感 etc.

   サントスは、両センターバックのメシアス(後半はマイコン(Maicon, 1988))とジョアキン、両ボランチのドッジ(Dodi, 1996)とロドリゴ・フェルナンデス(Rodrigo Fernández, 1996)がパウメイラスの攻撃を消すことに成功。攻撃面では引き続き人数をかけることは出来ないが、後半には高い位置でボールを奪いに行くことで攻撃の起点も高くなり、シュートに持ち込むが回数が増えていく。決定的なシーンを作るまでは至らなかったが、今後に向け守から攻への移行をスムーズにする傾向が掴めたように思われる。
   サントスはこれで公式戦4試合連続無失点。週中に迎えるコパ・スウアメリカーナは同勝点のチームとアウェイでの戦い。最低でも勝ち点1を積み上げ、グループラウンド突破を実現したい。また来週末は全国選手権第8節アウェイでのRBブラガンチーノ戦。最近の2試合で一時の不振を脱却し再び攻撃力も戻りつつ相手だが、守備を重点に置き勝ち点を奪いたい。
   パウメイラスはFWドゥドゥ(Dudo, 1992)とFWホニ(Rony, 1995)がスピードを発揮できず、CBグスタボ・ゴメス(Gustavo Gómez, 1993)が負傷で大事を取って後半開始時に交代するなど、これまでのサッカーを披露することができず0-0の引き分け。全国選手権では2試合続けての引き分けで勝ち点を伸ばせずにいる。
   週中には決勝ラウンド進出に向けて負けられないリベルタドーレスがあり、来週末は現在調子を上げてきているアトレチコ・ミネイロとの対戦が控え息をつく間もないが日程が続く。

フラメンゴ(FLA) 1-0 コリンチャンス(COR)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=HZogEtjdWIg
(FLA) : 90+4' #4 レオ・ペレイラ(Léo Pereira, 1996)[#11 エヴェルトン・セボリーニャ(Everton Cebolinha, 1996)]
(COR) : N/A

見どころ

   フラメンゴは全国選手権3勝3敗勝点9の9位。前節バイーア戦は前半のうちに3点を奪い、1点差に迫られるも相手から退場者が2人出て、なんとか逃げ切りに成功。週中のコパ・ド・ブラジルでは、敵陣で猛然とプレスをかけ、プレスを掻い潜られるとことごとくファールで試合を止め、前半30分を優位に展開。後半にはバイーア戦に引き続きFWガブリエウ・バルボーザ(Gabriel Barbosa, 1996)が顔面を殴打されたかのジェスチャーで相手のカードを誘発(相手選手にカードは提示されず、ガブリエウ・バルボーザにもシミュレーションのカードが提示されない不思議な判定)し、倒れた相手のふくらはぎを明らかに意図的に踏みつける(こちらもイエローカードが提示さない)など、前年カップ戦二冠の王者とは俄かに信じがたい戦いぶりで0-0の引き分け。
   今節の対戦相手は、監督人事に迷走し、新監督のもとでも5試合勝ち星のないコリンチャンス。フラメンゴは前年後半の華麗なサッカーが印象深いだけに、最近の試合内容には失望しかないが、コリンチャンス戦は試合結果以上に試合内容に注目したい。
   コリンチャンスは全国選手権1勝2分3敗勝点5の17位。ルシェンブルゴ(Luxemburgo)監督が指揮を執り5試合を消化するが、3得点9失点と攻守が噛み合わず未だ勝ち星なし。前節はホームでのサンパウロ戦。前半はサイドからの攻撃で何度かチャンスを作り、前半間際にPKを獲得し1-1で試合を折り返すが、後半は攻撃の芽をことごとく摘み取られ、完全に試合を支配される試合内容。週中のアウェイでのコパ・ド・ブラジルは、引き分け狙いの引いた守備を敷くが最後まで耐えることが出来ず2失点を喫する。
   明るい材料は特段見当たらないが、中2日で再び試合を迎える。対戦相手は監督交代以降煮え切らない試合を続けるフラメンゴ。何とか勝ち星をあげ悪い流れを払拭したい。

得点シーン

(FLA)後半45+4分 :
FWエヴェルトン・セボリーニャがペナルティエリア入口左角から柔らかいクロスをゴール前に上げる。パワープレーでゴール前に上がっていたCBレオ・ペレイラが高さのあるヘディングシュートを放ちボールはゴールに吸い込まれる。フラメンゴが試合終了間際に得点を奪う。
  CBレオ・ペレイラは、2015年U-20W杯代表、3試合に出場し1得点を記録。フラメンゴには2020年にアトレチコ・パラナエンセから加入。2022年はドリヴァウ・ジュニオール監督のもと重用され、リベルタドーレス、コパ・ド・ブラジルの二冠に貢献。今季の全国選手権では第3節ボタフォゴ戦の2得点以来3ゴール目の得点。 

試合概要

   前半はフラメンゴが相手陣でボールを握る時間が長くなり、コリンチャンスは低く引いた2ラインの守備を敷き、球際の厳しさでチャンスらしいチャンスを作らせない。フラメンゴはボールを奪われても、高い位置で素早く寄せ、ボールを奪い返す。コリンチャンスもボールをFWユーリ・アウベルト(Yuri Alberto, 2001)やFWホージェル・ゲデス(Róger Guedes, 1996)に集めようとするが、フラメンゴCBのマークとVOL、SBの戻りに挟み込まれボールをキープすることができない。
   前半20分頃から徐々に試合はオープンになり、前半19分にフラメンゴはVOLエリキ・プルガール(Erick Pulgar, 1994)のスルーパスからFWガブリエウ・バルボーザ(Gabriel Barbosa, 1996)がシュートチャンスを迎えるがディフェンダーのに阻まれ、前半29分にはコリンチャンスがペナルティエリア内でMFアジソン(Adson, 2000)からボールを受けたFWホージェル・ゲデスが逆サイドへグラウンダーのクロスを送るがFWユーリ・アウベルトにわずかに合わない。
   後半4分、8分とコリンチャンスが相手ゴールに迫るがシュートはゴール枠を捉えない。その後再びフラメンゴがボールをキープするものの低い位置で固めたコリンチャンス守備ラインをこじ開けられずにいると、たびたびコリンチャンスがカウンターを発動する。
   試合が終盤に差し掛かるとホームで勝ち星の欲しいフラメンゴがアウェイで勝ち点を1点でも積み重ねたいコリンチャンスに対し攻撃の圧力を高める。そして。後半45+4分、ゴール前にポジションを替えていたCBレオ・ペレイラが勝ち越しのヘディングシュートを決め、試合は終了。最後の最後にホームのフラメンゴが勝ち点3を勝ち取った。

補足情報、 所感 etc.

   フラメンゴは、ボール保持率60%で有利に試合を進め、前半はVOLエリキ・プルガールやMFジェルソン(Gerson, 1997)を軸に、中央でのパス交換や左サイドからの攻撃を仕掛け、前半20分頃まではほぼ相手陣内で試合を展開する。しかし、コリンチャンスの固い守備に得点機を作り出すことができずにいると、次第に焦りからなのか前がかりになりすぎ、たびたびカウンターを受けるなど、試合の展開が不安定になっていく。   
   最後はパワープレーでゴールを決め辛うじて勝ち点3を獲得。これで全国選手権3連勝。しかし、約1か月間、PK以外にFW陣によるゴールがなく、流れからの得点が少ないことが懸念される。
   次戦は中2日でリベルタドーレス、さらに中2日でクルゼイロ戦との試合が組まれている。
   コリンチャンスはこの試合も勝ち点を獲得することができず全国選手権暫定17位の降格圏に低迷。この試合はFWユーリ・アウベルトとFWホージェル・ゲデスを軸にした速い攻撃で相手ゴールに迫るがシュートに精度を欠く。守備面では、右SBにCBを本職とするブルーノ・メンデス(Bruno Méndez, 1999)を起用し引いた守備でスペースを埋め相手に決定機を許さなかったものの、失点シーンではゴール前のCBレオ・ペレイラに競りかけることが出来ず、フリーの体勢でシュートを許してしまう。
   勝ち星から見放される中、守備に重点を置き、カウンターから活路を見出すのはセオリー通りだと思うが、ここ数試合は守備での一瞬の綻びをつかれ失点しているだけに、集中力を保ちたい。
   次戦は中2日でリベルタドーレス、前回のホームの対戦で試合をコントロールされたアルヘンティーノス・ジュニオルス戦。さらに中3日で全国選手権第8節フルミネンセ戦。その後には中2日でコパ・ド・ブラジルのアトレチコ・ミネイロ戦2ndレグと強豪との連戦が控えている。

グレミオ(GRE) 3-1 インテルナシオナウ(INT)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=trdUsEUHATM
(GRE) : 7' #9 ルイス・スアレス(Luis Suárez, 1987)[#4 カネマン(Kannemann, 1991)]
(GRE) : 31' #20 ビジャサンチ(Villasanti, 1997)[]
(GRE) : 65' #39 ビテロ(Bitello, 2000)[#9 ルイス・スアレス(Luis Suárez, 1987)]
(INT) : 87' #30 ジョニー(Johnny, 2001)[#10 アラン・パトリッキ(Alan Patrick, 1991)]

見どころ

   グレミオは全国選手権2勝2分2敗勝点8の11位。全国選手権は第4、5節の2試合で7失点を喫するが、前節は引き分けながら無失点で抑え、週中のコパ・ド・ブラジルも1失点でしのぎ、守備の再構築にめどが立った。攻撃面では、最近は決定力のあるFWルイス・スアレス(Luis Suárez, 1987)やMFビテロ(Bitello, 2000)のミドルシュートなど、個人頼みの得点が続いており、組織的に相手を崩す攻撃が影を潜めている。
   とはいえ、ホームでのクラシコ「グレナウ」は必ず勝たなければならない試合。この試合に限ってはなりふり構わずゴールを奪いに行き結果を掴みたい。そうすれば自然と今後の上位争いへのきっかけとなるだろう。
   インテルナシオナウは全国選手権2勝1分3敗勝点7の12位。最近の公式戦4試合はいずれも0-2で敗戦。前節アトレチコ・ミネイロ戦は試合を支配され完敗。週中のコパ・ド・ブラジルでのアメリカ・ミネイロ戦は、立ち上がりからボールを保持し優位に試合を運ぶものの決定的なシーンを作ることができず、退場者を出し試合の流れを相手に渡すと、PKを立て続けに献上し敗戦。
   一方で、ここ数試合戦列を離れていたMFカンパニャーロ(Campanharo, 1992)、VOLジョニー(Johnny, 2001)の中盤の2選手がコパ・ド・ブラジルで復帰した明るい材料もある。
   1年前には不振のインテルナシオナウを立て直し、全国選手権2位でシーズンを終えたマノ・メネゼス(Mano Meneses)監督。今節「グレナウ」ではどのような采配をみせるだろうか。

得点シーン

(GRE)前半7分 :
インテルが試合を落ち着かせ自陣内でボールを回すが、CBカネマンがボールを奪取、ボールを拾ったFWルイス・スアレスがドリブルでペナルティエリア手前まで運び、そこでスローダウン。しかし、そこから素早い身のこなしでシュートを放つとボールはゴール右隅に突き刺さる。
   FWルイス・スアレスはコパ・ド・ブラジルでのクルゼイロ戦に続き2試合連続得点。全国選手権では第4節に続き2得点目。今季は23試合14得点6アシストを記録中。
(GRE)前半31分 :
左スローインからVOLビジャサンチが相手に渡ったボールをさらい、ドリブルも奪わそうになったところを奪え返して、転びそうになるのを踏ん張りシュート。これがサイドネットを揺らす。
   VOLビジャサンチは2022W杯南米予選など代表29試合を誇る現役パラグアイ代表。2021年8月のグレミオ加入以来、中盤の底でチームを支え現在のグレミオの替えの利かないピースとして活躍している。
(GRE)後半20分 :
自陣ペナルティエリアからのカウンター。自陣で後方からのボールを受けたFWルイス・スアレスがSBヘイナウド(Reinaldo, 1989)とのパス交換で敵陣右サイドに抜け出す。そのままペナルティエリア手前まで持ち込み、左サイドを上がるFWビテロへ丁寧なパスを送ると、FWビテロは切り返しでディフェンダーをかわしシュート。グレミオが試合を決定づける3点目。
   SBヘイナウドは5年間レギュラーとして活躍したサンパウロから今季前にグレミオに加入。4月に約1か月ケガのため戦列を離脱するが、グレミオでもレギュラーとして活躍。攻守にバランスの取れた左足利きのサイドバック、中盤も高いレベルでこなす。
   FWビテロはグレミオ下部組織出身の得点力の高いミッドフィルダー。2022年にレギュラーに定着し48試合10得点3アシストを記録。今季もこれまで26試合7得点4アシストを記録し、昨年の成績を上回る数値を記録している。
(INT)後半42分 :
右からのCK。MFアラン・パトリッキが蹴ったボールをVOLジョニーがニアサイドで頭に合わせ、左サイドネットに突き刺さる。
   VOLジョニーはアメリカ生まれの二重国籍保有者。2019年に17歳でトップチームデビュー。直近の国際Aマッチデーではアメリカ代表として中南米ネーションズリーグの2試合に招集。いずれの試合も後半終了間際の途中交代ながら出場し、代表デビューを飾っている。

試合概要

   1909年に幕を開けたクラシコ「グレナウ」の439回目の戦いは、前半2分にグレミオがペナルティエリア内外を左右に何度もボールを振り、前半4分にはインテルナシオナウがFWルイス・アドリアーノ(Luiz Adriano, 1987)に当てた戻りからのシュートをVOLジョニーがクロスバーに直撃させるなど、ヒートアップした状態で試合が始まる。
   前半7分にグレミオが先制すると、グレミオは守備を固めスペースを消しカウンターを狙う。全国選手権以前から攻撃が課題となっているインテルナシオナウはボールを保持するもののグレミオの守備陣の脅かすことができずにいると、前半30分にスローインからの流れで失点。
   前半35分を過ぎてようやくシュートまで持ち込めるようになるがシュートはいずれも枠を捉えない。
   後半7分、CBカネマンがこの日2枚目のイエローカードを提示され退場。インテルナシオナウは人数で優位に立つが、グレミオはさらに守備を固め、インテルにチャンスは訪れない。
   後半20分、カウンターからグレミオが試合を決定づける追加点。
   後半40分にインテルはグレミオGKグランド(Grando, 2000)を脅かすシュートを放ち、後半42分にCKから得点を奪うが試合はこれまで。
   グレミオが試合をコントロールし3-1で勝利を収めた。

補足情報、 所感 etc.

   グレミオは、攻撃では一時調子を落としていたFWルイス・スアレスの2試合連続のゴラッソとリードしてからはカウンターの起点となる活躍を中心に3得点。固く閉ざした守備では相手にボールを持たせても、中で決定機を作らせず、試合終了間際のセットプレーからの1失点に抑え、トータルで試合をコントロールした。
   次戦は一週間後の全国選手権第8節アウェイでのアトレチコ・パラナエンセ戦。守備の要CBカネマンを出場停止で欠くが最近3試合の守備を引き続き維持し、日程的な優位をいかして勝ち点3を勝ち取りたい。
   インテルナシオナウはこの敗戦で公式戦5連敗、6試合連続で複数失点を喫する。5試合ぶりに得点をあげたが、流れの中からは得点を奪えずにいる。
   1年前には、勝てずに自信を失っていたチームの守備を再構築し、負けないことで少しずつ選手の自信を取り戻していったが、もう一度その当時に立ち戻ることは出来ないのだろうか。守備で強固な4-4での2ラインを敷き、手数の少ない攻撃で相手ゴールに迫る。1勝さえすれば流れを変えることが出来る選手層と実績があるだけに、少し極端でも思い切った采配を見てみたい。
   次戦はリベルタドーレス、グループラウンド3連敗中のチームが対戦相手。一週間後は5試合ぶりのホームゲーム、全国選手権第8節バイーア戦。

クルゼイロ(CRU) 0-1 クイアバ(CUI)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=rm6QmVD32iI

(CUI) : 37' #16 デイヴェルソン(Deyverson, 1991)[#88 フェルナンド・ソブラウ(Fernando Sobral, 1994)]
(CRU) : N/A

見どころ

   クルゼイロは全国選手権4勝2敗勝点12の4位。全国選手権を前に就任したペパ(Pepa)監督の戦術が浸透し、攻守に組織的でバランスの取れた見ていて楽しいサッカーを繰り広げているクルゼイロ。前々節は30本のシュートを放ちながら無得点で敗れるも、前節は17本で4得点。週中のコパ・ド・ブラジルは先制点を奪うものの終盤にゴラッソで追いつかれたが、アウェイながら試合の主導権を握り最低限の引き分けに持ち込んだ。
   今節の対戦相手クイアバは結果は伴っていないが組織的な好チーム。監督交代もあり、どのような戦術で試合に臨んでくるか不明な点が多い。いつものように高い位置で良い距離感のパスを回し、相手の様子をうかがって、ゴールへの糸口をつかみたい。
   クイアバは全国選手権1勝1分4敗勝点4の18位。前節の敗戦後、アントニオ・オリヴェイラ(António Oliveira)監督の就任が発表された。全国選手権では結果は伴わなかったが、攻撃では両サイドを広く使い、サイドライン際からのクロスや、守備ライン裏を陥れたゴールライン際からのマイナスのクロスを多用。守備では比較的ラインを高く保ち、中盤をコンパクトにした組織的なチームが構築されつつあった。スピード豊かなFWも控えるだけに、新監督が現状をベースに一週間のトレーニングでどこまでチームを作り上げ、どのような戦術で試合に臨むのか気になるところ。

得点シーン

(CUI)37分 :
クイアバが相手陣右サイドでパスを繋ぐと、VOLフェルナンド・ソブラウがサイドライン際で巧みに相手をかわし、ゴールライン際までボールを持ち上がりクロスボールを供給。FWデイヴェルソンがディフェンダーの前に飛び出しこのクロスボールに頭を合わせゴールネットを揺らす。
   VOLフェルナンド・ソブラウは2022シーズン後にセアラーから加入。シーズン当初から試合に起用されるが、全国選手権ではベンチを温める試合が続いた。前節で約40日ぶりにスタメン復帰を果たすと今節では見事な個人技で相手をかわしたクロスでアシストを記録。新監督のもと定位置を獲得することができるだろうか。
   FWデイヴェルソンはクイアバ2年目。ケガで始動が遅れたが全国選手権は全試合に出場。高さと瞬間的なスピードがあり、ライン裏への抜け出しやディフェンダーの前に飛び出すヘディングシュートを得意とする。審判にポンポンと肩を叩かれ、その場に倒れ込み悶絶して時間稼ぎをしようとする奇行をとるなど、サポーターから愛されるキャラの持ち主。前所属のパウメイラスでは2021年にリベルタドーレス優勝をもたらすゴールを決めており、いまだにパウメイラスサポーターから愛されている。

試合概要

   クルゼイロがボールを保持し、クイアバが組織的な守備で敷く立ち上がり。クルゼイロは相手陣でパスを繋ぎ、左右のサイドにボールを散らすが、クイアバの守備を崩すことが出来ない。クイアバはボールを奪うと素早いプレスを潜り抜けロングボールで前線にボールを運ぼうとするがことごとくカットされる。
   この試合最初のシュートはクイアバFWデイヴェルソン(Deyverson, 1991)。右サイドの裏に飛び出しボールを受けると中に切り返しシュート。これはGKハファエウ・カブラウ(Rafael Cabral, 1990)の好セーブに阻まれる。
   一方のクルゼイロは右サイドFWウェズレイ(Wesley, 1999)、左サイドSBマルロン(Marlon, 1997)を軸に攻めるがシュートまで結びつかない。
   前半37分、クイアバが先取点を奪うと、クルゼイロは攻撃の圧力を強め、VOLマシャードが二度にわたり枠内シュートを放つがGKヴァウテル(Walter, 1987)の好セーブでクイアバは得点を許さない。
   後半の立ち上がりはリードするクイアバのFWデイヴェルソンがたて続けにクルゼイロゴールに迫るが、クルゼイロもすぐに巻き返し、試合は次第にオープンな展開となる。後半20分のクルゼイロFWジウベルト(Gilberto, 1989)の強烈なシュート、後半22分のVOLヴァリソン(Wallisson, 1997)のゴール正面からのシュートは、いずれもクイアバGKヴァウテルが好セーブで防ぐ。
   クイアバは1点を守りきるためにペナルティエリア内に2ラインを敷き、クルゼイロは左右の揺さぶり、縦のくさび、ミドルシュートを繰り出すがクイアバ守備網を崩せない。
   クルゼイロは後半アディショナルタイムにも、FWジウベルトの裏抜けや、直後FKからチャンスを掴むが、GKヴァウテルが立ちふさがり試合終了。アウェイでクイアバが1-0の勝利を収めた。

補足情報、 所感 etc.

   クルゼイロはホームながら地方開催での荒れた芝とクイアバの組織的な守備に悩まされ敗戦。2位浮上のチャンスを逸した。攻撃面では、前半は慎重すぎたきらいがあるが、試合を通して、左右の揺さぶりや中央でのパス交換、緩急をつけた攻撃など形はできており、悲観するような内容ではなかった。うまく切り替えて次節以降に臨みたい。
   次戦は翌週末の全国選手権第8節フラメンゴ戦。その後中3日でコパ・ド・ブラジルベスト16グレミオとの2ndレグ(1stレグは1-1の引き分け)を控える。
   クイアバは下部組織所属のヒケウミ(Rikelme, 2003)を先発に抜擢。ヒケウミは2023年4月のU-20代表合宿に招集を受け、クラブ史上初の世代別代表に招集、代表戦に出場した選手となった。本職はFWだが、U-20代表合宿(および国際親善試合の3試合)に続き、この試合も左SBとしてプレー。前半はクルゼイロFWウェズレイの動きに苦戦するが、時間の経過とともに周りの助けもあり次第にしっかりと対応していった。
   チームとしては、ワントップのFWデイヴェルソンが少ないチャンスでしっかりとゴールを決め、VOLフェルナンド・ソブラウの攻守に渡る貢献、チーム全体での組織的で献身的なディフェンス、そしてGKヴァウテルの再三の好守で1点を守り切ることに成功。チームは降格圏を脱出。アントニオ・オリヴェイラ監督は、初采配で上位を争うクルゼイロから金星をあげた。
   次戦以降3戦続けて下位に低迷するチームとの対戦。今までの組織的なチームをベースに積み上げを図り、この3試合で勝ち点を落とすことなく、今後は中位から上位を目指したい。

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