最新更新日 : 2023/12/21 更新履歴 : 2023/05/28
ナタン・ヒベイロ・フェルナンデス
Nathan Ribeiro Fernandes
ポジション:フォワード/アタカンチ
利き足:右
2005年2月16日生まれ
<経歴紹介>
≪幼少期≫
リオデジャネイロ州の北東部、一部をエスピリトサント州と接するカンポス・ドス・ゴイタカーゼスに生まれる。8歳の時、地元サッカースクールのメンバーとして出場した大会で複数のビッグクラブから注目を浴びる。
2015年、ナタンとその家族は、関心を示したクラブの中からグレミオを選び、10歳でグレミオ配下のサッカースクールに入団。
≪育成時代≫
2020年、15歳でグレミオの下部組織に入団。
翌年2021年1月にはU-20チームで競われるコパ・サンパウロに選手登録される。しかし、怪我を負い同大会での試合出場はなし。この年の前半は主にU-17で、後半は主にU-20チームでプレー。
2022年もまた、U-17チームを掛け持ちする形で、U-20チームで主にプレー。
2022年8月、17歳ながら、翌年2023年1月に開催されるU-20南米ユース選手権に向けた代表チームに招集される。 しかし、11月のチリとのU-20親善試合に向けた代表チームは招集外となった。
≪グレミオ≫
– 2023 –
2023年5月、ヘナト・ガウーショ(Renato Gaúcho)監督のもと、トップチームに招集を受け、トレーニングに参加。5月25日にはグレミオと契約更新を行い、契約期限が2025年末まで延長、3000万ユーロの違約金が設定された。
5月27日、全国選手権第8節アトレチコ・パラナエンセ戦(アウェイ)、後半40分に途中交代出場を果たし、18歳にして、トップチームデビュー。 その後はトップチームでのベンチ入りと、U-20チームでの試合出場が続き、7月30日第17節ゴイアス戦で再びピッチに送られるがプレー時間は15分に限られた。
この試合を最後にU-20チーム戻り、U-20チームで試合に出場。8月19日U-20リオグランデドスル州選手権決勝では後半35分のゴールでチームを優勝に導く。U-20コパ・ド・ブラジルでは、ベスト16から準決勝までのホーム&アウェイの各2試合と一発勝負の決勝戦に出場。7試合で5得点を記録したものの、10月15日決勝戦クルゼイロ戦はノーゴールに終わり、チームも準優勝に終えた。
U-20チームの全日程が終了すると再びトップチームに合流。10月21日第28節サンパウロ戦で途中交代出場を果たす。 翌25日第29節フラメンゴ戦では後半24分にピッチに立つと、相手ペナルティエリア内でVOLビジャサンチ(Villasanti, 1997)からボールを受けプロ初ゴール。
11月30日第36節ゴイアス戦では初スタメンに抜擢。翌12月3日第37節ヴァスコ・ダ・ガマ戦もスタメンに起用されると、後半開始30秒過ぎにハーフライン付近サイドライン際からドリブルで斜めにボールを持ち上がるとペナルティエリア手前でFWルイス・スアレス(Luis Suárez, 1987)にボールを預け、自身は縦にそのままペナルティエリアに侵入する。この動きにディフェンダーが僅かに引っ張られるとFWルイス・スアレスはシュートを選択。これが決まりナタンはアシストを記録。
このプレーは、多くのサポーターの目には、一年間グレミオを支えたベテランFWルイス・スアレスへの惜別と、来季以降のグレミオを支えていく新鋭FWナタンの強い気持ちを感じさせるプレーに映った。
≪シーズン別クラブ出場記録≫
シーズン | 所属 | 大会 | 試合 | 出場 時間 | 得点 | アシ スト |
---|---|---|---|---|---|---|
2023年(18歳) | グレミオ | 全国選手権 | 11 | 372 | 1 | 1 |
合計 | 11 | 372 | 1 | 1 |
イタリック斜体は、2023年12月21日現在の記録。 ※ シーズン欄の年齢は、12月31日時点の年齢です。
<エピソード、雑感 etc.>
左ウィンガーとして主にプレー。 瞬間的な爆発力、俊敏性、巧みなドリブルが特徴。
2022年シーズンを終えた時点で、まだトップチームでの試合出場はない。
ナタン・ヒベイロの類まれな才能を認めつつも、グレミオ下部組織の総括責任者ヴァギネル・ゴンサウベス(Wagner Gonçalves)は、「クラブとして育成年代でのステップが必要だと認識している。サッカー界はどんどん若年化しており、17歳や18歳でトップチームでプレーする選手も少なくない。しかし、グレミオは彼に大きな期待を抱いている。だからこそ、育成年代での過程を経るべきであり、我々はそのようにして育成することが大切だと考えている。」と話す。 現行契約では4000万ユーロの違約金が設定されている。これはグレミオがナタンの素質、将来性に大いに期待していることを示している。
2018年、13歳の時点で代理人がついた。 クラブではフィジカルなトレーニングはもちろん、メンタルトレーニングが施されている。それに加え、代理人チームが彼の長所である爆発的な瞬発力を念頭において、ケガ予防や補完的な筋力トレーニングや食事管理を行っている。 そして、現在はヨーロッパ移籍へのエージェントとして、元レアルマドリード/スペインのマルセロ(Marcelo)が経営する代理人会社が関心を示している。 ヨーロッパからは、すでにアヤックス/オランダ、ローマ/イタリア、バイエル・レバークーゼン/ドイツ、バルセロナ/スペイン、レアルマドリード/スペインといったビッグクラブが情報を収集しているという。
13歳の時点でエージェントがつき、その頃からブラジル大手放送局の元プロデューサーが彼の成長記録を撮影し、現在はヨーロッパ移籍エージェントが関心を持つなど、何かと"大人"がナタン・ヒベイロの周囲に表れる。 2022年は、プレースタイルは異なるが同じFW/ATAで一年下のエンドリッキ(Endrick, パウメイラス)、同い年のヴィトル・ホッキ(Vitor Roque, アトレチコ・パラナエンセ)がトップチームでメディアを賑わす活躍を見せている。そして、この二人は2023U-20南米ユース選手権代表メンバーの有力な候補だ。 だからこそ、ナタンが周りの"大人"たちに流されず、彼らの無責任に過大な重圧に圧し潰されず、同年代選手の活躍に焦ることなく地に足をつけて、継続的に成長していけるような育成方針を、グレミオが取っていることが非常に重要に思える。
いつになるかはわからない。しかし、まずはグレミオのトリコロールのユニフォームを、そして、いつの日にかはブラジル代表のアマレリーニャを着て、左サイドを蹂躙している姿が待ち遠しく思える。
(2023年12月21日追記) 2023年5月27日に待望のプロデビュー。トップチームでの本格的なプレーは10月21日以降となったが、首位争いに浮上するチームの中で、途中出場からキレのあるドリブルや、今季のグレミオを象徴するペナルティエリア近辺でのワンタッチでのパス回しや守備ライン裏への抜け出しでチャンスを演出、難しい態勢から身体能力の高さをうかがわせる惜しいシュートを放つなど、数試合でサポーターのハートを鷲掴みにした。
2024年は、FWルイス・スアレスに代わり加入が噂されるFWカヴァーニやナタン以上に終盤で出場機会を得たFWアンドレ・エンヒキ(André Henrique, 2001)などとのチーム内のポジション争いはさらに厳しさを増し、試合出場時には今季の活躍を受けて他チームからのマークも激しさが増していくだろう。 2023年は僅かな出場時間で足元の技術や身体能力の高さを十分に示したが、今後は、プレー面と同時に、プレー選択の判断力や精神面でも大きく成長し、クラブ、ブラジルを代表するような選手へと大きく飛躍していくことを期待したい。