クラブ別2022年振り返り:フルミネンセ (Fluminense)

投稿者: | 2022年11月21日
クラブ紹介 フルミネンセ Fluminense ブラジル サッカー 全国選手権 タイトル 順位推移 2022年 個人成績

フルミネンセ (Fluminense)

正式名称:Fluminense Football Club

略称:FLU

創立:1902年

本拠:リオデジャネイロ州 リオデジャネイロ

《 主要タイトル 》

タイトル優勝回数優勝年
ブラジル全国選手権42012, 2010, 1984, 1970
コパ・ド・ブラジル12007

《 直近3年成績(2020年-2022年) 》

大会2022年成績2021年成績2020年成績
ブラジル全国選手権3位7位5位
コパ・ド・ブラジル準決勝敗退準々決勝敗退4回戦敗退
コパ・リベルタドーレス3rdラウンド敗退準々決勝敗退
コパ・スウアメリカーナグループラウンド敗退1回戦敗退
リオデジャネイロ州選手権優勝準優勝準優勝
各大会の概要は、当ブログ記事「主要大会と年間日程」を参照ください。

《 全国選手権 順位推移(2006年-2022年) 》

現行レギュレーション(20チームによるホーム&アウェア方式2回戦総当たり)で開催された2006年以降の全国選手権順位推移です。

《 2022年 》

<戦績>

大会試合
勝数引分
敗数得点失点得失
点差
勝点率
(%)
順位
コパ・リベルタドーレス430174361.13rdラウンド敗退
コパ・スウアメリカーナ63211551075.0グループラウンド敗退
全国選手権382171063412261.43位
コパ・ド・ブラジル10011510570.8準決勝敗退
州選手権1511222151677.8優勝
   71431315121655666.7

<全国選手権 年間順位推移>

<振り返り>

【新監督・補強】

 2022年の監督として、同クラブで2012年に全国選手権を制したアベウ・ブラーガ(Abel Braga)氏を監督に招く。
 1100試合以上の出場を記録し、数多くのチーム・個人タイトルを持つGK/GOLのファビオ(Fábio)をクルゼイロから、代表やヨーロッパで活躍したVOLフェリピ・メロ(Felipe Melo)とリベルタドーレス3度、全国選手権4度制したFW/ATAウィリアン(Willian)がパウメイラスから新たに加入。FW/ATAで長年チームを牽引するフレッジ(Fred)と共に、"黄金世代"と呼ばれる2018年にU-17チームで素晴らしい戦績を残した若い選手たちの技術的、戦術的、精神的な生きた教科書として期待される。 

【開幕】

 2022年最初の試合、州選手権の開幕節でまさかの敗戦を喫するが、その後はライバルのフラメンゴ、ボタフォゴ、ヴァスコを抑え、10年ぶりにリオデジャネイロ州選手権を制覇。
 2月22日に始まったリベルタドーレスは、2ndラウンドの2試合、3rdラウンド1stレグを快勝し好スタートを切る。しかし、3rdラウンド2ndレグで2点差のアドバンテージを活かせず、PK戦の末に敗退。
 その後はコパ・スウアメリカーナに戦いの場を移すが、1勝1敗で迎えたグループラウンド第3節を引き分けに終えグループラウンド突破に暗雲が立つと、直近数試合の低調なパフォーマンスに不満を持つサポーターからの批判が高まり、それに押される形でアベウ・ブラーガ監督が辞任。
 26試合17勝4分5敗勝点率70.5%、10年ぶりの州選手権のタイトルを残しクラブを去る。

【監督交代】

 後任には、同クラブで2度目の指揮となるフェルナンド・ジニース(Fernando Diniz)氏が就任。新監督は、ボールの保持率を高めるためにポジションチェンジを繰り返しながら細かくパスをつなぎ、ボールを失った際には素早くプレスをかけボールを回収する攻撃的なサッカーを好む。
 全国選手権では新監督就任後の7試合を3勝1分3敗と戦術が浸透するまで少し時間を要したが、続く10試合は7勝3分と結果が伴う。就任1か月後の5月26日には、コパ・スウアメリカーナ グループラウンド最終節で10-1という記録的な勝利を収め、選手たちの自信も深まる。

【コパ・ド・ブラジル】

 コパ・ド・ブラジルは、リベルタドーレス出場のため、3rdラウンドからの出場。
 3rdラウンドは全国選手権2部のヴィラノヴァを2試合合計5-2(3-2、2-0)で退ける。
 4thラウンド(ラウンド16)は全国選手権2部で首位を独走するクルゼイロを相手に2試合合計5-1(2-1、3-0)の快勝。
 準々決勝の対戦相手はフォルタレーザ。
 1stレグをフェルナンド・ジニース体制になり第2ボランチとしてレギュラーを勝ち取ったノナト(Nonato)のゴールで1-0のスコアで先勝。
 2ndレグ、前半のうちに相手に2点を献上し、2試合合計で逆転を許す。しかし、後半19分に19歳マテウス・マルティンス(Matheus Martins)が獲得したPKを32歳ガンソ(Ganso)が決めると、後半27分、右サイドでガンソ→ノナト→ジョン・アリアス(Jhon Arias)と細かく繋ぎ、ジョン・アリアスがCB/ZAGの裏に出した低い弾道のクロスをヘルマン・カーノ(Germán Cano)が左足で合わせ、2-2の同点、2試合合計で再逆転となるゴールを奪い、準決勝に駒を進める。
 準決勝コリンチャンス戦。
 1stレグ、開始早々の24秒、ペナルティエリア内でシュートを放ったジョン・アリアスの右足に、シュートブロックにいったディフェンダーのスパイク裏が当たりPKを獲得。ガンソがこれを落ち着いて決める。前半24分に追いつかれるも、後半開始間もない43秒、相手クリアが短くなったロビングボールをジョン・アリアスがダイレクトにゴールに蹴りこみ再びリード。しかし、このままタイムアップかと思われた後半44分に同点に追いつかれ、決勝進出は2ndレグの勝敗に委ねられる。
 迎えた2ndレグ、コリンチャンスは中盤をコンパクトに保ち、時間帯によって前からプレスをかけフルミネンセのボールの出どころを自由にさせない。フルミネンセもプレスを無効化するためのロングボールを有効に使い、敵陣にボールを運ぶ。フルミネンセが優位に試合をすすめるが、前半34分、コリンチャンスに先制点を許す。早く追いつきたいフルミネンセだが、後半15分ジョン・アリアスのFKがクロスバーに阻まれるなど、相手ゴールをこじ開けられない。すると、後半アディショナルタイム、決定的な2点目を奪われ、さらに2分後にはオウンゴールで失点。0-3で2ndレグを落とし、コパ・ド・ブラジルは準決勝で敗退した。

【全国選手権】

 前述のとおり、開幕直後は監督交代によるチーム内の戦術浸透、選手の組合せに時間を要し、第11節終了時点で4勝2分5敗と成果が現れない。
 ところが、左CB/ZAEで攻撃の起点となりセットプレーからの得点力も高いベテラン マノエル(Manoel)の相方として、一対一や空中戦での抜群の強さに対し足元の技術とスピードがやや劣るため戦術適性に疑問符がつくニノ(Nino)(東京五輪でキャプテンとして全試合フルタイム出場を果たした実績を持つ)を据えると、最終ラインのバランスが大きく改善する。
 各ポジションでの戦術理解も深まりだすと、第12節(6月15日)から第28節(9月末)までの17試合で11勝4分2敗の成績を収め、順位も2位まで浮上する。
 2020年のコロナ中断明け後に試合出場が増え終盤にはレギュラーを獲得、2022年も引き続き前線の右サイドで攻撃にアクセントをつけていた2001年生まれのルイス・エンヒキ(Luiz Henrique)が、7月初めにレアルベティス/スペインへ移籍。
 また、6月半ばにレギュラーに定着して以降、チーム躍進のラストピースとして第2ボランチで活躍した1998年生まれのノナト(Nonato)が、9月初めにルドゴレツ・ラズグラド/ブルガリアへと移籍。
 フェルナンド・ジニース監督の戦術で重要な役割を果たしていた二人を相次いで失うことになったが、前線の右サイドには2003年生まれのマテウス・マルティンス(Matheus Martins)が、そして第2ボランチには2001年生まれのマルチネリ(Martinelli)がその穴を十分に埋める活躍を見せる。
 第29節(10月1日)から第31節(10月9日)にかけて3連敗を喫すると、フェルナンド・ジニースは、連戦の疲れが見える左SB/LAEカイオ・パウリスタ(Caio Paulista)を2002年生まれのカレガリ(Calegari)に、パフォーマンスが落ちていたマテウス・マルティンスに替え試合後半での途中出場が続いていたヤゴ・フェリペ(Yago Felipe)にスタメンを変更。するとこの采配が見事に的中し、第32節(10月16日)から最終節(11月13日)を6勝1分、最後は5連勝で2022年シーズンを締めくくった。
 なお、全国選手権ベストイレブンにフルミネンセから2選手が選出。
 FW/ATAヘルマン・カーノ(Hérman Cano) : 現行レギュレーションとなる2006年大会以降で最多タイとなる25得点を記録。巧みなポジショニングでディフェンダーのマークを搔い潜りワンタッチで決定的なゴールを奪う姿は仕事人を彷彿させた。
 VOLアンドレ(André) : ポジション別でリーグ1,2を争うボール奪取数、パス成功率、ドリブル成功率もさることながら、相手ボール保持者の選択肢を狭めるポジショニングや味方のボール保持者をサポートする動きなど数字に表れないプレーでもチームの躍進に貢献した。

<チーム内個人成績・記録>

* 参照元:サッカーサイト「Ogol」

記録選手公式戦計全国選手権ブラジル杯リベルタ
ドーレス
スウアメ
リカーナ
州選手権
最多試合出場ヘルマン・カーノ (Germán Cano)    
– FW/ATA
703884614
(2位)ジョン・アリアス (Jhon Arias)
– FW/ATA
623374513
(3位)ファビオ (Fábio)
– GK/GOL
61388465
最多出場時間ファビオ (Fábio)
– GK/GOL
54903420720360540450
(2位)ヘルマン・カーノ (Germán Cano)
– FW/ATA
54873108686300483910
(3位)アンドレ (André)
– VOL
51863017630360368811
最多得点ヘルマン・カーノ (Germán Cano)
– FW/ATA
44265337
(2位)ジョン・アリアス (Jhon Arias)
– FW/ATA
1672124
(3位)ガンソ (Ganso)
– MF/MEI
953010
最多アシストジョン・アリアス (Jhon Arias)
– FW/ATA
17102023
(2位)ガンソ (Ganso)
– MF/MEI
951003
(3位タイ)ルイス・エンヒキ (Luiz Henrique)
– FW/ATA
730301
(3位タイ)ヘルマン・カーノ (Germán Cano)
– FW/ATA
732101
(3位タイ)ヤゴ・フェリペ (Yago Felipe)
– FW/ATA
700313
最多デュエル勝利ジョン・アリアス (Jhon Arias)
– FW/ATA
184
(2位)アンドレ (André)
– VOL
182
(3位)ニノ (Nino)
– CB/ZAG
136
最多キーパスジョン・アリアス (Jhon Arias)
– FW/ATA
72
(2位)ガンソ (Ganso)
– MF/MEI
67
(3位)サムエル・シャヴィエル
(Samuel Xavier)      
– 右SB/LTD
35
最多CBIニノ (Nino)
– CB/ZAG
129
(2位)マノエウ (Manoel)
– CB/ZAG
127
(3位)サムエル・シャヴィエル
(Samuel Xavier)
– 右SB/LTD
73
※
デュエル勝利 : 一対一でのイーブンボールの奪い合いでボールを獲得すること
キーパス : パスの受け手がシュートを打てた時にカウントされる指標
CBI : クリア、ブロック、インターセプト

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