【ブラジル全国選手権2023】第8節(2/2)

投稿者: | 2023年5月27日

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全国選手権第8節 対戦組合せ


以下の5試合はこちらで。→ 【ブラジル全国選手権2023】第8節(1/2)
・2023/05/27 アトレチコ・パラナエンセ(CAP) x グレミオ(GRE)
・2023/05/27 フォルタレーザ(FOR) x ヴァスコ・ダ・ガマ(VAS)
・2023/05/27 フラメンゴ(FLA) x クルゼイロ(CRU)
・2023/05/27 クイアバ(CUI) x コリチバ(CFC)
・2023/05/27 サンパウロ(SAO) x ゴイアス(GOI)
以下の5試合はこの記事で。
・2023/05/28 コリンチャンス(COR) x フルミネンセ(FLU)
・2023/05/28 インテルナシオナウ(INT) x バイーア(BAH)
・2023/05/28 RBブラガンチーノ(RBB) x サントス(SAN)
・2023/05/28 アトレチコ・ミネイロ(CAM) x パウメイラス(PAL)
・2023/05/28 ボタフォゴ(BOT) x アメリカ・ミネイロ(AME)

全国選手権第8節 試合概要

コリンチャンス(COR) 2-0 フルミネンセ(FLU)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=yogGxspNprw
(COR) : 59' #10 ホージェル・ゲデス(Róger Guedes, 1996)[#9 ユーリ・アウベルト(Yuri Alberto, 2001)
(COR) : 90+2' #10 ホージェル・ゲデス(Róger Guedes, 1996)[#23 ファギネル(Fagner, 1989)
(FLU) : N/A

見どころ

   コリンチャンスは全国選手権1勝2分4敗勝点5の18位。
   監督交代後、7試合勝ち星がなく、3試合連続無得点。その前の得点もPKによるもので流れからの得点は5試合連続生まれていない。得点を奪えない一番の要因は、相手に押し込まれ低い位置での守備となりボールを奪う位置が相手ゴールから遠くなることだが、相手陣に攻め入ってからはFWホージェル・ゲデス(Róger Guedes, 1996)が自由を与えられすぎて他の選手のプレーを窮屈にしているように個人的には見える。
   今節の相手はフルミネンセ。難しい試合が予想されるが、ホームサポーターの声援の下勝ち点3を獲得し降格圏から脱出したい。
   フルミネンセは全国選手権4勝1分2敗勝点13の3位。
   週2試合の試合が続き主力の疲労も溜まる中迎えたクラシコ2連戦、コパ・ド・ブラジルフラメンゴ戦と全国選手権ボタフォゴ戦は、ボールを奪えば相手がファールで止めにくるストレスフルな試合、結果も伴わず1分1敗で終えた。週中のリベルタドーレスはGKを除くすべてのポジションを控えメンバーで臨み、主力選手は休養に充て、今節と中3日で迎えるコパ・ド・ブラジル2ndレグに照準を定めた。
   前節の敗戦で首位ボタフォゴとの勝ち点差は3。これ以上離されるわけにはいかない。降格圏に沈むコリンチャンスから勝ち点3を獲得し、首位ボタフォゴを射程圏にとどめたい。

得点シーン

(COR)後半14分 :
 自陣中央でVOLホニ(Roni, 1999)がパスカットから左サイドへ素早く展開。左SBマテウス・ビドゥ(Matheus Bidu, 1999)がドリブルで持ち上がり、やや浅めの位置からゴール右へクロス。FWユーリ・アウベルトがダイレクトに左へ折り返し、FWホージェル・ゲデスが頭で押し込みコリンチャンスが先制。
   左SBマテウス・ビドゥは今季コリンチャンスに入団。2023年1月18日州選手権でクラブデビューを果たすがあまり出場機会に恵まれていなかった。ルシェンブルゴ(Luxdmburgo)氏が監督に就任し、レギュラーの座を獲得。今節終了時点でチーム一のボール奪取(パスカット等を含めたマイボールにするプレー)を数える。今までのところ戦術上守備的なプレーが多いが、攻撃参加時はスピードのあるドリブルや左足からの精度の高いクロスを供給する。
(COR)後半45+2分 :
 敵陣でボールを握ったMFヘナト・アウグストがディフェンダーを引き寄せ右サイドの右SBファギネルに展開。プレッシャーの少ない右SBファギネルは斜めにクロスを上げるとFWホージェル・ゲデスがコースを狙ったヘディングシュート。これがゴールに吸い込まれコリンチャンスが貴重な追加点。
   FWホージェル・ゲデスは4試合ぶりのゴール。今節の2得点で全国選手権5得点となり得点王ランキング単独2位に浮上。
   MFヘナト・アウグストが復帰。これで出場した試合は8勝4分無敗、一方欠場時は2勝4分10敗。中盤で試合を落ち着かせ広い視野でチャンスを創造。2018年W杯を初め、2016年コパ・アメリカ、2016年五輪、2007年U-20W杯といった代表経験やバイエル・レバークーゼン/GERでの経験が円熟味を増している。

試合概要

   立ち上がりからアウェイのフルミネンセがいつも通りの細かく人が動き細かく繋ぐパスでボールを支配、始めの7分間で3本のシュートまで持ち込み試合を優位に進める。フルミネンセは前半20分、21分、25分と続けざまに枠内にシュートを放つがコリンチャンスGKカシオ(Cássio, 1987)が立ちはだかる。前半33分のVOLアンドレ(André, 2001)のコースを狙ったシュートもGKカシオがCKに逃れる。
   前半45+1分にコリンチャンスは左CKをFWホージェル・ゲデスが頭に合わせるはボールは枠外。このシュートがチーム5本目。いずれも枠内を捉えることなく、前半を終了する。
   後半もフルミネンセがボールを支配するが、コリンチャンスもボールを奪ってからの素早い展開が形になりだす。後半6分、コリンチャンスは敵陣でボールを奪いVOLマイコン(Maycon, 1997)がミドルシュート。この試合初めての枠内シュートだったが、フルミネンセGK(Fábio, 1980)が両手で弾き出す。そして、後半14分、自陣でのパスカットからの素早い攻撃で先制。
   フルミネンセは失点後も変わらずボールを支配、攻撃的な選手を次々に投入しコリンチャンスゴールに迫る。後半27分、コリンチャンスは4月6日のリベルタドーレス以来となるMFヘナト・アウグスト(Renato Augusto, 1988)を投入し、しばらくは拮抗した状態となるが、後半40分頃には再びフルミネンセが攻撃の圧力を強める。コリンチャンスもGKカシオを中心に守備に人数をかけ耐え続けると、後半アディショナルタイムに一瞬の隙をつき、MFヘナト・アウグストを起点とした攻撃で追加点。
   コリンチャンスが10試合ぶりの勝利、ルシェンブルゴ監督にとって初勝利をホームで飾った。

補足情報、 所感 etc.

   コリンチャンスが全国選手権は開幕節以来の勝利で降格圏を脱出。フルミネンセのパス回しに粘り強く耐え、少ないチャンスを決め2得点。FWホージェル・ゲデスがあまり中盤まで下りず、FWユーリ・アウベルトと常に適度な距離間を保ち、攻撃時はゴールに近い位置でプレー。やはりチャンスメーカーとしてピッチを広く走り回るよりもゴールに近い位置でストライカーとしてプレーの方が相手にとっては脅威となる。MFヘナト・アウグストの復帰も朗報。しばらくは限られた時間の中でのプレーになりそうだが、中盤での落ち着きと広い視野、それらに基盤となる技術は今後のチームの上昇にとって欠くことは出来ない。
   次戦はコパ・ド・ブラジル2ndレグのアトレチコ・ミネイロ戦。1stレグをアウェイで0-2の完敗。ホームで巻き返しなるか。一週間後に全国選手権第9節アメリカ・ミネイロ戦。下位に低迷しているが攻撃があり侮ることはできない。
   フルミネンセは公式戦3連敗。無得点試合が4試合続く。リベルタドーレスを休養に充てた主力チームで試合に臨み、ボールを支配し次々と相手ゴールに迫り、いつ得点を奪うか、という展開だったがゴールが奪えない。得点王カーノが厳しいマークにあい、ボランチの攻撃参加や抜擢された若いFW陣がゴールを狙うが、GKの好守や枠を捉えられずに得点を奪えずにいる。
   次戦はコパ・ド・ブラジル2ndレグのフラメンゴ戦。1stレグはことごとくファールでプレーを止められこの試合からチームの歯車が狂い始めた。すっきりと勝ち上がり、悪い流れを払拭したい。一週間後に全国選手権第9節は調子を上げてきているRBブラガンチーノ戦。方法論は異なるが高いボール保持率で試合の主導権を握りたいチーム通しの戦い。面白い試合が見られそうだ。

インテルナシオナウ(INT) 2-0 バイーア(BAH)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=2Qqw2eSfsH8
(INT) : 49' #30 ジョニー(Johnny, 2001)[#28 ペドロ・エンヒキ(Pedro Henrique, 1990)
(INT) : 90+9' #11 ヴァンデルソン(Wanderson, 1994)[]
(BAH) : N/A

見どころ

   インテルナシオナウは全国選手権2勝1分4敗勝点7の15位。
   公式戦5連敗、全国選手権4連敗で15位まで順位を落としたが、週中のリベルタドーレスで勝利を収めグループ首位に浮上。攻撃面では、MFアラン・パトリッキ(Alan Patrick, 1991)に依存する形は変わらないが、ボールを引き出す動きや味方のスペースを作り出す動きで違いを作り、ここ数試合はゴールポストにゴールを嫌われ続けたFWルイス・アドリアーノ(Luiz Adriano, 1987)に15試合ぶりのゴール。この勝利でチームの流れを変えることができるだろうか。
   今節の相手は好不調の波が激しいバイーア。しかし、今は相手に関係なく、自分たちのベースに基づいた保ったサッカーで試合に臨みたい。5試合ぶりのホームでの試合だが、勝利の歓喜をサポーターと分かち合いたい。
   バイーアは全国選手権2勝1分4敗勝点7の13位。
   全国選手権第3節では攻撃的なヴァスコ・ダ・ガマを相手に守備を固め中盤でのボール奪取からよく練られた鋭いカウンターを決め勝利。第4節ではボールを支配しリードを奪うと試合を落ち着かせコントロールする試合巧者ぶりを見せ今後への期待を抱かせたが、その後は2分2敗と期待を裏切る試合が続く。試合ごとの好不調の波を安定させたい。
   インテルナシオナウはホームとはいえ失点が続いているだけに、守りから入ってくると思われる。守備では後ろのスペースを消し、攻撃では中央から両サイドを広く使い揺さぶって相手守備の綻びを作り出したい。

得点シーン

(INT)後半4分 :
 左サイドからのFWヴァンデルソン(Wanderson, 1994)のクロスに中央でFWペドロ・エンヒキ(Pedro Henrique, 1990)が競る。ボールはゴール右へ流れるが、これをディフェンダーに寄せられながらもVOLジョニーが強引にシュート。ボールはゴールネットに突き刺さりインテルナシオナウが先制。
   VOLジョニーは、2022年はチームを牽引し全国選手権2位に大きく貢献したが、今季は消化不良なプレーが続きサポーターやメディアから批判も少なくはなかった。5月前半をケガにより戦列離脱するが、5月17日に途中出場で復帰すると4試合で2得点。復帰後は昨季の輝きを取り戻しつつある。
(INT)後半45+9分 :
VOLジョニーがペナルティエリアの外からミドルシュート。これはディフェンダーに当たるが、こぼれ球をFWヴァンデルソンが拾い右足を一閃。ボールはゴールネットに突き刺さりインテルナシオナウに貴重な追加点。
   FWヴァンデルソンはアヤックス/HOL下部組織に在籍。その後、ベルギーでプロデビューを飾ると、スペイン、オーストリア、ロシアを経て2022年4月に初めてのブラジルクラブとしてインテルナシオナウに入団。サイドでのスピード、ドリブル、キープ力、守備への貢献でマノ・メネゼス監督の信頼を得、入団後間もなくレギュラーの座を獲得。今季はこの試合終了後で27試合3得点7アシストを記録している。

試合概要

   得点力不足に悩むホームのインテルナシオナウは、ペナルティエリア内に5人が位置取り、ペナルティエリアすぐ外に3人が並ぶ攻撃的な布陣で立ち上がりからバイーアに襲い掛かる。バイーアも前半16分に自陣でのインテルの素早い寄せを掻い潜り、抜け出したFWビエウ(Biel, 2001)がシュートまで持ち込む。前半19分にバイーアがサイドからのクロスにFWエヴェラウド(Everaldo, 1991)が頭を合わせるがインテルGKジョン・ヴィクトル(John Victor, 1991)が辛うじてCKに逃れる。インテルも相手陣深くのFKからの流れでシュートを放つがボールは枠を越える。
   一進一退の攻防が繰り広げられた前半戦はお互いにゴールネットを揺らすことが出来ずに終了。
   後半4分、インテルが先制すると、インテルはやや引き気味となりボールはバイーアが持つが、インテルもスペースを消していき、試合は均衡状態に陥る。
   後半32分、バイーアの右サイド浅い位置からのクロスは誰にも合わずゴールに向かう。バイーアFWビエウがボールに飛び込むが一瞬タイミングが遅れ、GKジョン・ヴィクトルが辛うじて片手でボールを弾き出す。後半35分にはCKからバイーアが決定的な場面を迎えるが、GKジョン・ヴィクトルが体を張った好セーブで得点を許さない。
   後半45+9分にインテルが追加点をあげ試合は終了。インテルが勝利を収めた。

補足情報、 所感 etc.

   インテルナシオナウは公式戦5連敗のあと2連勝。今季は慢性的に得点力不足に悩まされたが、2試合連続で2得点をマーク。リベルタドーレスではFWルイス・アドリアーノ(Luiz Adriano, 1987)が15試合ぶりのゴールを決め、今節はFWペドロ・エンヒキが18試合ぶりの得点関与となるアシストを記録。少しずつ歯車が噛み合ってきた。FWルイス・アドリアーノは接触プレーで頭部を強打し、途中交代を余儀なくされたが検査入院も翌日退院。週中のコパ・ド・ブラジルへの出場は微妙だが、一週間後の全国選手権は出場可能とみられる。
   次戦はコパ・ド・ブラジル2ndレグアメリカ・ミネイロ戦。1stレグはアウェイで0-2の敗戦。ホームで試合をひっくり返すことができるか。一週間後は全国選手権第9節アウェイでのサントス戦が控えている。
   バイーアは公式戦3連勝のあと2引分を挟み3連敗。連敗中も中盤の素早い寄せで相手のスペースを消し、攻めては左右にボールを散らばせながら相手ゴールに迫り、悲観するような内容ではないが、得点を奪うまでには至らない。前線や中盤、サイドにタレントも揃い、形も作れているだけに歯がゆい試合が続いている。シティフットボールグループ内のレンタルで在籍する選手を大胆に起用し、閉塞感を打破するのも一つの手か。
   次戦はコパ・ド・ブラジル2ndレグサントス戦。1stレグはアウェイで0-0の引き分け。ホームでベスト8進出を目指す。一週間後は全国選手権第9節アウェイでのフォルタレーザ戦が待ち構える。

RBブラガンチーノ(RBB) 2-0 サントス(SAN)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=XzRRuVPzbnI
(RBB) : 31' #28 ヴィチーニョ(Vitinho, 1999)[#19 エドゥアルド・サーシャ(Eduardo Sasha, 1992)
(RBB) : 75' #29 ジュニーニョ・カピシャバ(Juninho Capixaba, 1997)[#30 ルアン・パトリッキ(Luan Patrick, 2002)
(SAN) : N/A

見どころ

   RBブラガンチーノは全国選手権2勝4分1敗勝点10の12位。
   相手陣でのボール保持へのこだわりと、自陣での強固なブリックを構築した守備の、少し両極端な試合が続いていたが、第6節パウメイラス戦での、ボールを保持しながらもボールを奪われた際のアプローチと帰陣の意識で規律が高まり、第7節、コパ・スウアメリカーナを2-0、4-0と2連勝を収める。
   週中のコパ・スウアメリカーナでは両CBを温存、全国選手権で3得点を記録しているFWエドゥアルド・サーシャ(Eduardo Sasha, 1992)、FWチアゴ・ボルバス(Thiago Borbas, 2002)がゴールをマークし好調をアピール。今節も複数得点でホームサポーターと勝利を分かち合いたい。
   サントスは全国選手権3勝2分2敗勝点11の9位。
   全国選手権では最近の3試合を無失点に抑えている。2月にクイアバから獲得したCBジョアキン(Joaquim, 1998)がレギュラーに定着し、対人、高さ、守備範囲の広さで出色の活躍、VOLとの連携もよく守備が安定する。前節パウメイラス戦では、パウメイラスの長所を消すことに成功。得点を奪うまでには至らなかったが、後半は試合をコントロールした。
   今節はアウェイで調子を上げているRBブラガンチーノ戦。パウメイラス戦後半と同様の試合が再現できれば勝ち点3を持ち帰ることが出来るだろう。

得点シーン

(RBB)前半31分 :
右サイドスローインからサイドライン際でVOLルーカス・エヴァンジェリスタ(Lucas Evangelista, 1995)が受け、ペナルティエリア角のFWエドゥアルド・サーシャへボールを送る。FWエドゥアルド・サーシャのクロスはMFエリキ・ハミーレス(Eric Ramires, 2000)の頭を越え逆サイドに開いたFWヴィチーニョの元へ。FWヴィチーニョはワントラップから右足を一閃。ボールはゴールネットに突き刺さる。
   FWヴィチーニョは2023年2月にディナモ・キエフ/UKRから期限付き移籍加入。それまではアトレチコ・パラナエンセで主力としてプレーし2022年リベルタドーレス決勝では先発を務めた。RBブラガンチーノ入団後間もなく鎖骨骨折で戦列を離脱。5月2日のコパ・スウアメリカーナでの復帰以来7試合目でクラブ初ゴール。直近の公式戦3試合は先発で出場し、チームは3連勝を収めている。
(RBB)後半30分 :
右CKからの流れで右サイドからクロスを上げるがこれは誰も合わすことが出来ず左サイドに流れる。これを拾ったCBルアン・パトリッキがパス交換の戻りからゴールに向かいクロス。SBジュニーニョ・カピシャバに僅かに触れたボールはゴールに吸い込まれる。
   SBジュニーニョ・カピシャバは2022年12月に入団。どちらかというとボール奪取に長けた守備的なサイドバックだが、クロスの精度も高くアシストも多い。このゴールは全国選手権第6節に続く2得点目。
   CBルアン・パトリッキは、2019年U-17W杯代表として全試合フルタイム出場。しかし、所属するアトレチコ・パラナエンセではポジションを獲得できず期限付き移籍を繰り返す。2023年も期限付き移籍でRBブラガンチーノでプレー。CB陣にケガ人が相次ぎ週中のコパ・スウアメリカーナで先発に起用されると、CBレオ・レアルぺ(Léo Realpe, 2001)とのコンビで零封。この試合も同じコンビで失点を許さず180分無失点を継続している。U-17W杯はビルドアップが評価されての選出だっただけに足元の技術も高い。

試合概要

   ホームのRBブラガンチーノがボールを保持し攻撃の糸口を探り、サントスも相手陣からプレスをかけボールを奪っては相手ゴールに迫り、試合は一進一退の様相で始まる。しかし、次第にRBブラガンチーノがサントスのプレスを搔い潜り相手陣でのプレー時間が長くなる。前半27分、FWエリーニョ(Helinho, 2000)が寄せが甘くなった隙を突きミドルシュートは枠を捉え、続く前半31分、ブラガンチーノが先制。
   サントスも反撃に転じるがブラガンチーノも前半41分の好機を始めカウンターでサントスゴールを脅かす。
   後半に入ると再びRBブラガンチーノがボールを保持し攻撃の圧力を強める。後半4分、8分、9分と次々とサントスゴールに迫るが、サントスGKジョアン・パウロの必死の好守に得点が奪えない。しかし、サントス陣深くに押し込むことで、サントスFW陣は前線で孤立。ボールを奪われても、CB陣の的確なマークでサントスに攻撃の形を作らせない。
   そして、後半30分にRBブラガンチーノが貴重な追加点。その後もサントスは攻撃で有効な手を打てず、試合は2-0で終了。ホームのRBブラガンチーノが勝利を収めた。

補足情報、 所感 etc.

   RBブラガンチーノが公式戦3連勝、全国選手権2連勝。見どころで記載のとおり、全国選手権第6節パウメイラス戦を機に規律が高まり、この試合では連係も深化。先制後、少し引いた場面が見られたが、後半に入り攻撃に重点を置くことで相手をゴールから遠ざけ、結果、大きなピンチもなく試合を締めくくった。
   次戦は一週間後の全国選手権第9節フルミネンセ戦。お互いにボールを保持し攻撃に重点を置くチーム。戦術の浸透度合いでは相手に一日の長があるが、今のチームの勢いや日程的な優位をいかせば互角以上の戦いは可能だ。面白い試合になることを期待する。
   サントスは、立ち上がりは高い位置での守備から素早く攻撃に移行しチャンスを迎えるも、次第に押し込まれていき、以前の前線が孤立した状態に陥る。MFソテウド(Soteldo, 1997)がケガから復帰し右サイドに入ったが、ボールタッチでリズムを作るタイプなだけに攻撃のスピードダウンが見られ、ここ最近の好調時の攻撃スタイルと異なる部分が散見された。守備に重点を置き、カウンターからゴールを狙う攻撃が多いだけに、現状の戦術ではMFルーカス・リマ(Lucas Lima, 1990)との共存は難しいように思われる。
   次戦はコパ・ド・ブラジル2ndレグバイーア戦。1stレグをホームで0-0で終え2ndレグの結果がベスト8進出に直接つながる。一週間後は全国選手権第9節インテルナシオナウ戦が控える。

アトレチコ・ミネイロ(CAM) 1-1 パウメイラス(PAL)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=KLrxQfQYs9k
(CAM) : 45' #9 パボン(Pavón, 1996)[]
(PAL) : 52' #7 ドゥドゥ(Dudu, 1992)[#14 アルトゥール(Artur, 1998)

見どころ

   アトレチコ・ミネイロは全国選手権4勝1分2敗勝点13の4位。
   公式戦5連勝中、全国選手権は3連勝中。全国選手権開幕当初は強引に相手ゴールをこじ開けようとするプレーが多かったが、この連勝中に攻撃のスタイルが一変。ゴール前で人とボールの動きで味方のスペースを作り、時にはミドルシュートを見せてディフェンダーを引きずり出すなど、インテリジェンスのある攻撃で相手ゴールに迫り、リードを奪っては虎視眈々とカウンターをうかがいリードを広げていく。攻撃の起点も状況に応じてCBとVOLを切り替えながら攻撃のバラエティーも増やしている。
   今節の対戦相手はパウメイラス。今後もリベルタドーレスやコパ・ド・ブラジルでの対戦が見込まれるだけに、現状のチーム力を測るにはもってこいの相手との対戦となる。
   パウメイラスは全国選手権4勝3分勝点15の2位。
   現在は2位に甘んじているものの、戦術浸透とチーム力はリーグナンバー1の実力を誇る。全国選手権では2試合続けて引き分けに終えているが、リベルタドーレスはほぼ決勝進出を決めており、コパ・ド・ブラジルも危なげのない試合で、主力を休ませ控え選手に機会を与える試合を用意するなどシーズンや将来を見通した戦略でクラブや現場が動いている。
   次週のコパ・ド・ブラジルは1stレグで3点差をつけており、調子を上げてきているアトレチコ・ミネイロとの対戦に注力する状況はできている。前年王者の貫禄で退けることができるか試合内容に注目したい。

得点シーン

(CAM)前半45分 :
ハーフウェイライン付近右サイドライン際でインターセプトをしたMFパボンがそのままドリブルで持ち上がりペナルティエリアに侵入。ディフェンダーを切り返しでかわしシュートを放つとボールはゴールネットに突き刺さりアトレチコ・ミネイロが先制。
   MFパボンは元アルゼンチン代表。2018W杯ロシア大会ベスト16のフランス戦では、メッシ、ジ・マリアとスリートップを組みスタメン出場。2022年7月にアトレチコ・ミネイロに加入。今季の全国選手権はこれで8試合2得点3アシスト。5月に入りスタイルを替えたチーム戦術の中で重要な役割を果たしている。
(PAL)後半7分 :
ビルドアップから右サイドへ展開。右SBマルコス・ホッシャ(Marcos Rocha, 1988)から斜めに開きライン裏を狙うFWアルトゥールにパスが通るとFWアルトゥールが逆サイドへクロス。絞り込んで走り込んだFWドゥドゥがフリーで頭に合わせパウメイラスが同点に追いつく。
   前年の全国選手権ベストイレブンの右SBマルコス・ホッシャが1か月ぶりの戦列復帰。押し込まれた展開の中、攻撃的なスタイルは影を潜めるが、復帰初戦で得点に絡むプレーを披露。
   FWドゥドゥは2011年U-20W杯代表。2015年のパウメイラス入団以来、1年間の中東への期限付き移籍があったものの、400試合以上に出場するパウメイラスの顔の一人。スピードとテクニック、そして、相手のイヤな所を突くプレーで、味方にとっては頼もしく、相手にとっては非常に厄介な選手。

試合概要

   前半7分、パウメイラスのホニが後方からのロングフィードにCBに囲まれながらもビシクレッタでゴールネットを揺らしゴラッソ。しかし、VARの介入によりオフサイドの判定が下される。
   試合はホームのアトレチコ・ミネイロがボールを保持し、パウメイラスが引いて守る展開。アトレチコはボールを回すものの、パウメイラスがスペースを消しチャンスを作らせない。パウメイラスはボールを奪ってはスピード豊かな前線に素早くボールを送るが、アトレチコのマークも厳しくゴールに迫ることが出来ない。
   前半34分、アトレチコCKからのこぼれ球をVOLバタグリア(Battaglia, 1991)がシュートに持ち込むがパウメイラスGKウェヴェルトン(Weverton, 1987)が立ちはだかる。
   後半7分にパウメイラスがビルドアップからゴールに繋げ試合を振り出しに戻す。
   しかし、その後試合は膠着。後半13分にアトレチコSBフーベンス(Rubens, 2001)がミドルシュートを狙うがGKの正面。後半36分にはアトレチコが敵陣でボールを奪うとワンタッチでパスを繋ぎシュートまで持ち込むが僅かにゴール右に外れる。
   試合は膠着したままタイムアップ。首位追走に向けお互いに痛い勝ち点2を失う結果となった。

補足情報、 所感 etc.

   アトレチコ・ミネイロは最近の試合スタイルを継続。ボールを保持し、落ち着いて相手を押し込み、時折ミドルシュートを見せて相手守備に的を絞らせず、ゴールに迫る。今節はパウメイラスの堅守に流れの中では後半36分のチャンス以外には大きなチャンスはなかったが、ボール奪取からのカウンターでゴールを奪い、セットプレーから相手コールを脅かした。強敵パウメイラスを相手にしても現在の戦術は十分に機能しており、今後連係を深め戦術が浸透することで十分に首位を狙えるポジションをキープできるだろう。
   次戦はコパ・ド・ブラジル2ndレグのコリンチャンス戦。アウェイだが2点のアドヴァンテージがありベスト8進出を決めたい。一週間後の全国選手権第9節はクルゼイロとのクラシコ。クルゼイロも発展途上ながら組織的な試合をしており面白い一戦になりそうだ。
   パウメイラスは、全国選手権3連続引き分けと足踏みが続いている。最近の試合では、スピード豊かなFWが全体を押し上げ、2列目、3列目のスペースを有効に使った分厚い攻撃が影を潜めているように感じる。一度高さのあるFWナヴァーホ(Navarro, 2000)やFWフラッコ・ロペス(Flaco López, 2000)を先発で起用し、攻撃のパターンを変えてみるのも一つの方策のような気がする。
   次戦はコパ・ド・ブラジル2ndレグのフォルタレーザ戦。1stレグで3-0の勝利を収めている。一週間後の全国選手権第9節はホームで最下位のコリチバ戦。両試合とも油断は禁物だが、現状を打破する糸口となる選手起用、戦術を見てみたい。

ボタフォゴ(BOT) 2-0 アメリカ・ミネイロ(AME)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=iKxvvZ77RRE
(BOT) : 3' #37 ジュニオール・サントス(Júnior Santos, 1994)[#24 ジ・プラシド(Di Plácido, 1994)]
(BOT) : 60' #11 ルイス・エンヒキ(Luis Henrique, 2001)[#33 エドゥアルド(Eduardo, 1989)]
(AME) : N/A

見どころ

   ボタフォゴは全国選手権6勝1敗勝点18の首位。
   全国選手権5連勝のあと、下位に低迷するゴイアスに黒星、続くコパ・ド・ブラジルでアトレチコ・パラナエンセに2-0から逆転負けを喫したが、第7節フルミネンセとの力勝負では無失点で相手を退け、週中のコパ・スウアメリカーナでは勝利を飾りグループ首位に立つなど、現在の好調がフロックでないことを証明しつつある。一方で、コパ・スウアメリカーナでは前半の3点差を後半開始時の主力選手の交代後に1点差に追いつめられており、若干の選手層の薄さが気になる。
   今節の対戦相手は、前節で初勝利を飾りコパ・ド・ブラジルでも先勝し調子を上げているアメリカ・ミネイロ。今節の中2日後に1点のビハインドを抱えるコパ・ド・ブラジル、アトレチコ・パラナエンセ戦が控えるが、今節も油断をみせるとゴイアス戦のように足をすくわれる可能性もある。日程は過酷だが一戦一戦挑戦者の気持ちで試合に臨んでもらいたい。
   アメリカ・ミネイロは全国選手権1勝1分5敗勝点4の19位。
   前節は、コパ・スウアメリカーナに向け、今まであまり出場機会に恵まれていなかった控え選手を中心としたメンバーで試合に臨んだが、試合開始後間もなく先制、同点に追いつかれた後も自陣でのボール奪取から少ないタッチ数でゴールを奪い、全国選手権初勝利を飾った。前節の直前にはコパ・ド・ブラジルでレギュラーを中心としたメンバーで先勝しており、多くの選手が勝利に貢献し自信を取り戻すきっかけとなる連勝はヴァギネル・マンチーニ監督にとって嬉しい誤算だったに違いない。
   今節は首位を走るボタフォゴとの対戦だが、今の勢いに乗り、今節最後の試合で世間をあっと言わせたい。

得点シーン

(BOT)前半3分 :
敵陣で中央から左、左から中央を経て右サイドへとボールを展開し、右サイドライン際深くから右SBジ・プラシドのクロス。ニアサイドでFWジュニオール・サントスが頭に合わせ早くもホームのボタフォゴ先制。
   右SBジ・プラシドは2023年3月2日、ラヌース/ARGから2023年末までの買取オプション付きの期限付き移籍でボタフォゴ入り。ゴールライン際まで何度もアップダウンを繰り返す運動量豊かな攻撃的サイドバック。加入後すぐにポジションに定着すると左右のバランスを取りボタフォゴの快進撃を支えている。
(BOT)後半15分 :
相手クリアボールを自陣センターサークル内でCBアドリエウソン(Adryelson, 1998)が拾うとグラウンダーの縦パス。MFエドゥアルドが踵でパスコースを微妙に変えるとボールはMFエドゥアルドへ寄せに行った選手が空けたスペースに走り込んだFWルイス・エンヒキの足元へ。FWルイス・エンヒキはぼりブルでGKをかわしボールをゴールへ流し込みボタフォゴがリードを広げる。
   CBアドリエウソンは2015年に17歳でエスポルチからデビュー。2019年にレギュラーの座を獲得すると同年トゥーロン国際大会U-23代表に選出。約10か月間のアル・ワスル/UAEへの期限付き移籍を経て、2022年7月にエスポルチからの期限付き移籍でボタフォゴ入り。試合を読む能力が高く、スピードもあり、182㎝の身長ながら体幹が強く空中戦を得意とする。課題と言われていたビルドアップも現在はボタフォゴで担っており、チームの好調を牽引するとともに、自身の代表入りも目指す。
   FWルイス・エンヒキは、リオグランデドスル州選手権下位リーグのトレスパッソスの下部組織出身。トレスパッソス所属のままボタフォゴの期限付き移籍で数年間プレーし、ボタフォゴで2019年に17歳でデビュー。2020年9月に約800万ユーロの移籍金でマルセイユ/FRAに移籍、約50試合に出場。2022年7月ボタフォゴにマルセイユからの期限付き移籍で再加入。途中交代出場から徐々にチャンスを掴み、最近の試合では先発起用も増えてきている。このゴールは今季全国選手権初ゴール。他に5月17日コパ・ド・ブラジルアトレチコ・パラナエンセで1ゴールを記録している。

試合概要

   ホームのボタフォゴが早くも開始3分に先制。その後ボタフォゴは攻撃を急がず、落ち着いてボールを回しながら相手の様子をうかがう。対するアメリカ・ミネイロもボールを奪うと、素早くボールを前に運ぼうとするが、ボタフォゴのボールへのアプローチや帰陣も早くなかなか攻撃の形を作ることが出来ない。しかし、アメリカ・ミネイロは前半26分、相手守備ライン裏を突いたFWヘナト・マルケス(Renato Marques, 2003)にボールが繋がり大きなチャンスを迎えたかと思われたがオフサイド。
   ボタフォゴはその後引いた守備で中央を締めると、ボールを奪ってはスピードのあるFWルイス・エンヒキやFWジュニオール・サントスにボールを送り相手ゴールに迫る。
   後半に入り開始20秒、FWジュニオール・サントスがドリブルで中央を持ち上がりMFエドゥアルドへボールを送る。MFエドゥアルドがワントラップから強烈なシュートを放つがクロスバーを直撃し枠外へ。一方のアメリカ・ミネイロも後半3分にピッチに立ったばかりのFWアロイージオ(Aloísio, 1988)がペナルティエリアに侵入し深くからクロス。ゴール前でFWエヴェラウドが倒れるが笛は吹かれずプレーは続行。こぼれ球をMFエマニュエル・マルチネス(Emmanuel Martínez, 1994)が押し込もうとするがボールは枠を捉えない。
   その後ボタフォゴは再びボールを握り9分、11分と相手ゴールに迫る。そして、後半15分、待望の追加点。
   リードを広げると再び引いた守備でスペースを消し試合をコントロール。結局は被シュートを4本に抑えたボタフォゴが2-0で勝利を収め首位を堅持した。

補足情報、 所感 etc.

   ボタフォゴは全国選手権得点王でチームの攻撃を牽引してきたFWチキーニョ・ソアレス(Tiquinho Soares, 1991)を出場停止で欠いたが、前後半の早い時間帯に得点を奪い試合をコントール。今までとそん色のない試合内容で完勝。前後左右の揺さぶりと、パスコースの延長線上に選手が入ってくる動きで、守備に的を絞らせず、攻撃の厚みを加える戦術が浸透し、チーム力の向上を示した。
   次戦はコパ・ド・ブラジル2ndレグのアトレチコ・パラナエンセ戦。1stレグは2-3で敗れたが巻き返すことができるだろうか。一週間後は全国選手権第9節再びアトレチコ・パラナエンセ戦が控えている。
   アメリカ・ミネイロは前後半の早い時間帯に相手の圧力に圧され失点。攻撃の要MFベニテス(Benítez, 1994)をケガで欠き、中2日で臨むコパ・ド・ブラジルに向けチーム内得点王のFWアロイージオをベンチスタート。代わりに出場したFWヘナト・マルケスが惜しい場面を演出したものの、相手守備をこじ開けることができず敗戦した。
   次戦はコパ・ド・ブラジル2ndレグ。1stレグは2-0で勝利を収めたが、2ndレグはアウェイでの戦い。対戦相手のインテルナシオナウは2連勝と調子を上げているが、ベスト8に勝ち上がりたい。一週間後の全国選手権第9節はホームにコリンチャンスを迎える。

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