クラブ別2022年振り返り:コリンチャンス (Corinthians)

投稿者: | 2022年11月24日

コリンチャンス ブラジルリーグ ブラジル選手権 ブラジルサッカー ブラジルサッカークラブ  Corinthians

コリンチャンス (Corinthians)

正式名称:Sport Club Corinthians Paulista

略称:COR

創立:1910年

本拠:サンパウロ州 サンパウロ

《 主要タイトル 》

タイトル優勝回数優勝年
ブラジル全国選手権72017, 2015, 2011, 2005,
1999, 1998, 1990
コパ・ド・ブラジル32009, 2002, 1995
コパ・リベルタドーレス12012
コパ・スウアメリカーナ12008
クラブワールドカップ(*)22000, 2012
(*)インターコンチネンタルカップおよびトヨタカップを含む

《 直近3年成績(2020年-2022年) 》

大会2022年成績2021年成績2020年成績
ブラジル全国選手権4位5位12位
コパ・ド・ブラジル準優勝3回戦敗退ベスト16敗退
コパ・リベルタドーレス準々決勝敗退2ndラウンド敗退
コパ・スウアメリカーナグループラウンド敗退
サンパウロ州選手権準決勝敗退準決勝敗退準優勝
各大会の概要は、当ブログ記事「主要大会と年間日程」を参照ください。

《 全国選手権 順位推移(2006年-2022年) 》

現行レギュレーション(20チームによるホーム&アウェア方式2回戦総当たり)で開催された2006年以降の全国選手権順位推移です。

《 2022年 》

<戦績>

大会試合
勝数引分
敗数得点失点得失
点差
勝点率
(%)
順位
コパ・リベルタドーレス1025357-236.7準々決勝敗退
全国選手権38181194436857.04位
コパ・ド・ブラジル10442178953.3準優勝
州選手権147342112957.1準決勝敗退
   7231231887632453.7

<全国選手権 年間順位推移>

<振り返り>

 2022年シーズンは、2021シーズン途中に就任したシウヴィーニョ(Sylvinho)監督が引き続き指揮を執る。しかし、州選手権第3節(2月2日)のクラシコ、サントス戦に敗れると解任。州選手権第4節(2月2日)から第8節(2月27日)までの5試合はフェルナンド・ラザロ(Fernando Lázaro)氏が監督代行を務める。
 2月23日、フェネルバフチェ/トルコを辞任したばかりのポルトガル人 ヴィトル・ペレイラ(Vítor Pereira)氏の監督就任を発表。
 ヴィトル・ペレイラ監督は、まず初めに守備的な戦術を採用。自陣からの組み立てではSB/LATは高い位置を取らず、攻撃の局面でも積極的な攻撃参加は控える。攻撃ではスピード豊かな両サイドのウィンガーがディフェンスラインの裏を狙い、中盤の選手がそこに絡み、少ないタッチで相手ゴールに迫った。
 選手の起用面では、各ポジションで多くの選手を起用。その数は40試合経過した時点で40選手を数えた。

【州選手権】

 シウヴィーニョ監督解任を決定的にしたクラシコ(サントス戦)での敗戦だが、監督交代後も予選ラウンドでサンパウロ、パウメイラスに敗れ、決勝ラウンドでも準決勝でサンパウロに苦杯をなめる。

【リベルタドーレス】

 2年ぶりに出場権を得たリベルタドーレス。初戦のオールウェイズ・レディ/ボリビア戦はアウェイで0-2でまさかの敗戦を喫するが、ホームに迎えたデポルティボ・カリ/コロンビア、グループラウンド最大の難敵ボカ・ジュニオルス/アルゼンチンとの連戦を無失点に抑え連勝を飾る。その後は3引き分けと勝ち点を伸ばせない中、グループラウンドは混戦となり、なんとかボカ・ジュニオルスに次ぐ2位で決勝ラウンドに進出する。
 決勝ラウンドの1回戦の相手は、抽選の結果、グループラウンドで同組だったボカ・ジュニオルスに決まる。
 6月28日に行われたホームでの1stレグ、前半終了間際に、相手PA内の空中戦で相手ディフェンダーの肘がMF/MEIマントゥアン(Mantuan)の顔を強打しPKを得る。このPKをFW/ATAホージェル・ゲデス(Róger Guedes)がゴール左へ蹴るが相手GK/GOLがシュートストップ。試合は後半も両チームGK/GOLが素晴らしい活躍をみせスコアレスドローで終える。
 7月5日の2ndレグは敵地ボンボネラ。完全アウェイの中での一戦は、前半28分、自陣PA内の空中戦でCB/ZAGハウウ・グスタボ(Raúl Gustavo)の肘が相手選手の顔を強打し、VARの結果、PKを献上する。しかし、このPKはゴールポストを叩き難を逃れる。以降もボカ・ジュニオルスの分厚い攻撃をディフェンス陣が体を張って守る。シュートを1本も記録することなく守備を固めた2ndレグは、1stレグ同様スコアレスでタイムアップ。準々決勝への進出はPK戦に委ねられる。
 迎えたPK戦は9人目までもつれたが、GK/GOLカシオ(Cássio 2018W杯メンバー)が2本のPKをシュートストップ(他に1本の枠外)し、準々決勝への進出を決めた。
 8月2日準々決勝1stレグはホームにフラメンゴを迎える。立ち上がりから敵陣高い位置でプレスをかけ相手ゴールに迫る。しかし、前半37分、PA内でのパスをカットされ失点。後半6分には左サイドから崩され被弾。ホームでの一戦を0-2で失う。
 8月9日敵地マラカナンでの2ndレグ。最低でも2点差を追いつきPK戦に持ち込みたい一戦。前半10分過ぎに相手ゴールに迫るがシュートは枠に入らない。その後フラメンゴが主導権を掴むと、後半6分、フラメンゴの準決勝進出を決定づけるゴールを決められ万事休す。リベルタドーレスを後にする。

【コパ・ド・ブラジル】

 リベルタドーレス出場のため、3rdラウンドからとなるコパ・ド・ブラジル。
 3rdラウンドは全国選手権4部のポルトゲーザ‐RJを相手に、1stレグを1-1に持ち込まれるが2ndレグを2-0で退ける。
 4thラウンド(ラウンド16)は、サントスとのクラシコ。1stレグを4-0で快勝すると、2ndレグは下部組織出身(または所属)の23歳以下の選手を途中交代を含め9人起用。試合は0-1で敗れたものの準々決勝進出を果たす。
 準々決勝アトレチコ・ゴイアニエンセ戦。全国選手権で18位に低迷する相手にアウェイで行われた1stレグ(7月27日)、立ち上がりから相手に主導権を握られると前半23分に先制点を許す。その後は主導権を握るが、後半42分にゴラッソを決められ、0-2で1stレグを落とす。
 8月17日に行われた2ndレグ、立ち上がりからゲームを支配し、前半43分、MF/MEIヘナト・アウグスト(Renato Augusto 2018W杯メンバー)の右サイドからのクロスに、CKの流れで残っていたCB/ZAGジウ(Gil)が高い打点で合わせ先制点を奪う。
 後半5分、ゼニト/ロシアからのレンタルで加入したFW/ATAユーリ・アウベルト(Yuri Alberto)が、9試合目の出場で初ゴールをマークすると、後半11分にはFKを頭で、後半27には間合いを詰めるGK/GOLの頭上を越すシュート(カヴァジーニャ)でゴールネットを揺らし、ハットトリックを達成。その後1点を許すが、2試合合計4-3と1stレグの敗戦を覆し準決勝に進出。
 準決勝フルミネンセ戦。
 8月24日に行われた1stレグ、開始24秒にPKを献上し早々と失点。前半24分、ハーフライン手前で相手パスミスを拾ったFW/ATAユーリ・アウベルトがPA手前までドリブルで持ち込み、右から駆け上がったMF/MEIヘナト・アウグストへスルーパス。ヘナトは右足を振り抜き、1-1の同点に追いつく。
 後半開始間もない43秒に失点、再びリードを許す。しかし、このままタイムアップかと思われた後半44分、右SB/LADファギネル(Fagner 2018W杯メンバー)の最終ライン裏へのスルーパスに反応したホージェル・ゲデスが、相手CB/ZAGに詰められながらもシュートに持ち込みネットを揺らす。敵地マラカナンでの一戦を土壇場で同点に追いつく。
 2ndレグ(9月15日)、前半34分、MF/MEIヘナト・アウグストが中央30m付近からミドルシュートを放つと、コントロールされたボールはゴール右上隅に突き刺さり、待望の先取点をコリンチャンスが奪う。その後、主導権はフルミネンセが握るが、コリンチャンスもボールを奪うと素早く前線にボールを送り相手ゴールに迫る場面を作り出す。そして迎えた、後半アディショナルタイム、CB/ZAGジウとVOLドゥ・ケイロス(Du Queiroz)とのパス交換から、MF/MEIアジソン(adson)が右サイドライン際でボールを受けると、ユーリ・アウベルトとのタベーラでPAに侵入。PA中央に駆け上がるFW/ATAジュリアーノ(Giuliano)にパスを送ると、ジュリアーノが右足一閃、ゴールネットを揺らす。ゴラッソ・コレチーボ(golaço coletivo、チームプレーであげた美しいゴールの意)で決勝進出を決定づけた。
 決勝の相手はリベルタドーレス準々決勝で完敗を喫したフラメンゴ。
 1stレグ(10月12日)、相手優位のなかで試合は進むが、GK/GOLカシオの好守もあり得点を許さない。コリンチャンスもFW/ATAユーリ・アウベルトを中心に長短のカウンターでチャンスを作り出す。お互いにゴールを奪えず、前半はスコアレスで終える。
 後半に入りフラメンゴが圧力を強め、13分に決定的な場面を作られるが、カシオがシュートストップ。また、21分には相手ミドルシュートがクロスバーに直撃するなど危ない場面が続く。その後も自陣で戦う時間が続くが、試合終了間際に右サイドを抜け出したユーリ・アウベルトがそのまま持ち上がりシュートに持ち込む。このボールは相手ディフェンダーに当たり角度が変わるも相手GK/GOLのファインセーブに阻まれる。1stレグは0-0で終える。
 10月19日に迎えた2ndレグ。前半7分に先制点を許す。その後もフラメンゴに2度ゴールネットを揺らされるがいずれもオフサイド/インペジメントの判定で難を逃れる。同点に追いつきたいコリンチャンスも相手ゴール前に攻めあがるが決定的なチャンスを作り出せない。後半37分、左サイドからのMF/MEIマテウス・ヴィタウのクロスを最終的にジュリアーノが蹴りこみ、コリンチャンスが土壇場で同点に追いつく。試合はそのまま90分を2試合合計1-1で終える。PK戦は残念ながら5-6で敗れたが、コパ・ド・ブラジルは準優勝で終えた。
 ※2ndレグの様子は、当ブログ記事「2022年コパ・ド・ブラジル決勝第二戦 フラメンゴ vs. コリンチャンス」を参照ください。

【全国選手権】

 序盤は就任以来の守備的な戦術を継続して確実に勝ち点を積み重ねていき、10勝5分4敗の2位で前半を折り返す。
 8月半ばのリベルタドーレス準々決勝2試合とそれに前後する第22節から第24節にかけての5試合のうち、4試合で零封を喫するとヴィトル・ペレイラ監督の去就が注目されるようになる。しかし、7月中旬の途中加入以来辛抱強く起用し続けたユーリ・アウベルトがコパ・ド・ブラジル準々決勝でハットトリックを達成すると、それ以降は攻撃の幅が広がるだけでなく、相手陣でのプレスも嵌り、チーム全体に躍動感がみなぎる。
 結局、選手権後半は8勝6分5敗、年間では18勝11分9敗の4位で選手権を終えた。

<2023年監督人事、雑感 etc.>

 ヴィトル・ペレイラ監督のもと、2022年はタイトルを獲得することはなかった。しかい、全国選手権を4位で終え翌年のリベルタドーレス出場権を獲得、コパ・ド・ブラジルを準優勝といった成績を残す。
 代表経験や優勝経験のあるベテランが多い中、積極的に若手選手を起用し、VOLドゥ・ケイロス、MF/MEIルーカス・ピトン(Lucas Piton)、FW/ATAアジソン、CB/ZAGハウウ・グスタボ、FW/ATAユーリ・アウベルトなどが一定以上の成績を残し、ヴィトル・ペレイラ監督は育成面でもその手腕をみせた。
 しかし、ヴィトル・ペレイラ監督との契約は更新されず、多くのサポーターもその決定を支持した。序盤の守備的な戦術のイメージが残り、相手を圧倒する試合が見られなかったことも影響したのだろうか。
 2022年11月19日、2023年の指揮官としてフェルナンド・ラザロ氏が就任することが発表された。フェルナンド・ラザロ氏は直前まで対戦相手の分析担当としてブラジル代表に帯同しており、W杯開幕を目前にしてキャンプ地のイタリア・トリノから帰国していた。
 2022年初に監督代行として州選手権の5試合を指揮し4勝1分の成績を残し、2021年にも監督代行として同チームで2戦2勝の成績を収めている。正式な監督としては初めての指揮となるが、ヴィトル・ペレイラ氏が築いた土台の上にどのようなチームを構築するか、注目したいと思う。

<チーム内個人成績・記録>

* 参照元:サッカーサイト「Ogol」

記録選手公式戦計全国選手権リベルタ
ドーレス
ブラジル
州選手権
最多試合出場ドゥ・ケイロス (Du Queiroz)
– VOL
66369912
(2位)ホージェル・ゲデス (Róger Guedes)
– FW/ATA
66368814
(3位)カシオ (Cássio)
– GK/GOL
64349912
最多出場時間カシオ (Cássio)
– GK/GOL
570830608107581080
(2位)ホージェル・ゲデス (Róger Guedes)
– FW/ATA
469425643785901162
(3位)ドゥ・ケイロス (Du Queiroz)
– VOL
46262605627568826
最多得点ホージェル・ゲデス (Róger Guedes)
– FW/ATA
1510014
(2位)ユーリ・アウベルト (Yuri Alberto)
– FW/ATA
118030
(3位)ジュリアーノ (Giuliano)
– MF/MEI
71051
最多アシストヘナト・アウグスト (Renato Augusto)
– MF/MEI
83032
(2位)ジュリアーノ (Giuliano)
– MF/MEI
72113
(3位タイ)ホージェル・ゲデス (Róger Guedes)
– FW/ATA
62022
(3位タイ)ファギネル (Fagner)
– 右SB/LTD
61113
最多デュエル勝利ホージェル・ゲデス (Róger Guedes)
– FW/ATA
127
(2位)ドゥ・ケイロス (Du Queiroz)
– VOL
110
(3位)ジウ (Gil)
– CB/ZAG
101
最多キーパスヘナト・アウグスト (Renato Augusto)
– MF/MEI
38
(2位)ホージェル・ゲデス (Róger Guedes)
– FW/ATA
35
(3位)ジュリアーノ (Giuliano)
– MF/MEI
31
最多CBIジウ (Gil)
– CB/ZAG
129
(2位)ハウウ・グスタボ (Raúl Gustavo)
– CB/ZAG
97
(3位)バウブエーナ (Balbuena)
– CB/ZAG
75
※
デュエル勝利 : 一対一でのイーブンボールの奪い合いでボールを獲得すること
キーパス : パスの受け手がシュートを打てた時にカウントされる指標
CBI : クリア、ブロック、インターセプト

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