【ブラジル全国選手権2023】第9節(2/2)

投稿者: | 2023年6月2日

投稿内の選手名のリンクは、当ブログ選手紹介記事にリンクしています。
投稿内の「動画URL」はブラジルスポーツサイト「ge」YouTube公式チャンネルのダイジェスト動画にリンクしています。

全国選手権第9節 対戦組合せ


以下の5試合はこちらで。→ 【ブラジル全国選手権2023】第9節(1/2)
・2023/06/03 フォルタレーザ(FOR) x バイーア(BAH)
・2023/06/03 クルゼイロ(CRU) x アトレチコ・ミネイロ(CAM)
・2023/06/03 アトレチコ・パラナエンセ(CAP) x ボタフォゴ(BOT)
・2023/06/03 アメリカ・ミネイロ(AME) x コリンチャンス(COR)
・2023/06/03 サントス(SAN) x インテルナシオナウ(INT)
以下の5試合はこの記事で。
・2023/06/04 フルミネンセ(FLU) x RBブラガンチーノ(RBB)
2023/06/04 グレミオ(GRE) x サンパウロ(SAO)
2023/06/04 パウメイラス(PAL) x コリチバ(CFC)
2023/06/04 ゴイアス(GOI) x クイアバ(CUI)
2023/06/05 ヴァスコ・ダ・ガマ(VAS) x フラメンゴ(FLA)

全国選手権第9節 試合概要

フルミネンセ(FLU) 2-1 RBブラガンチーノ(RBB)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=R8EpqebdXeg
(FLU) : 27' #10 パウロ・エンヒキ・ガンソ(PH Ganso, 1989)[#21 ジョン・アリアス(Jhon Arias, 1997)]
(FLU) : 34' #30 フェリピ・メロ(Felipe Melo, 1983)[]
(RBB) : 54' #18 チアゴ・ボルバス(Thiago Borbas, 2002)[#19 エドゥアルド・サーシャ(Eduardo Sasha, 1992)]

見どころ

   フルミネンセは全国選手権4勝1分3敗勝点13の8位。
   公式戦は4連敗中、5試合無得点が続いている。1stレグの0-0を受けた週中のコパ・ド・ブラジルフラメンゴ戦2ndレグは、前半は相手のプレスに後手に回り失点。後半はボールを支配するが、なかなかシュートに持ち込むことができず、また、シュートに持ち込んでもシュート精度が低く得点が奪えない。試合終了間際にはカウンターから失点し万事休す、0-2でコパ・ド・ブラジルを敗退。
   この4連敗はすべてアウェイでの結果。ホームの今節はボールを支配するとともにゴールも多く記録してホームサポーターと勝利を分かち合いたい。
   RBブラガンチーノは全国選手権3勝4分1敗勝点13の10位。
   公式戦3連勝中。いずれも複数得点を奪い、無失点に抑える理想通りの展開。試合内容も理想通りに近い内容で、今節もその勢いで勝ち点3を奪いたい。負傷者が多くチーム状態は万全とは程遠いが、替わりに起用される選手が十分に穴を埋めており、今後負傷者が復帰し始めるとペドロ・カイシーニャ(Pedro Caixinha)監督も選手起用に頭を悩まされるであろう。
   お互いに相手陣でボールを持ち、主導権を握って試合を進めたいチーム同士の試合だが、鋭いカウンターのないフルミネンセはRBブラガンチーノにとっては与しやすい相手かもしれない。現在は10位だが2位までの勝点差は僅かに3。この試合に勝って一気に上位に進出したい。
   RBブラガンチーノから、FWチアゴ・ボルバス(Thiago Borbas, 2002)がマルセロ・ビエルサ(Marcelo Bielsa)監督率いるウルグアイ代表に招集。ウルグアイ代表は6月14日にニカラグア代表、6月20日にキューバ代表と対戦する。

得点シーン

(FLU)前半27分 :
自陣でMFリマ(Lima, 1996)がパスカット。こぼれ球を拾ったFWヘルマン・カーノ(Germán Cano, 1988)が右サイドのFWジョン・アリアスにボールを送る。FWジョン・アリアスはスピードのあるドリブルでボールを前に運び、最後は中央にクロス。MFパウロ・エンヒキ・ガンソが左足でゴール右隅に決めフルミネンセが先制。6試合ぶりの得点。
   フルミネンセの攻撃のタクトを振るMFパウロ・エンヒキ・ガンソは今季はこれまで全国選手権全試合に出場し3得点3アシストを記録。
(FLU)前半34分 :
左からのCKをMFガンソがグラウンダーでボールをペナルティエリアに送る。これをMFリマがダイレクトにシュート。ゴールポストに直撃し跳ね返ったたボールをCBフェリピ・メロが押し込みフルミネンセがリードを広げる。
   CBフェリピ・メロはユベントス/ITA、ガラタサライ/TUR、インテル・ミラン/ITAなど欧州で12年間プレー。ブラジル代表として2010W杯出場など2009年4月から2010年7月にかけて22試合に出場。フルミネンセには2022年に加入し、自身の経験を若手に伝える。今季はCB陣の相次ぐ離脱もあり最近の試合ではCBとしての先発出場が増えている。
(RBB)後半9分 : 
中央から左にボールを展開し、サイドライン際からエドゥアルド・サーシャが真横にボールを送る。縦に走り込むVOLエリキ・ハミレス(Eric Ramires, 2000)にディフェンダーが引きずられる隙にボールはFWチアゴ・ボルバスの足元へ。FWチアゴ・ボルバスは素早くシュートを放つとディフェンダーの股下を通ったボールがゴールネットに突き刺さる。RBブラガンチーノが1点差に迫る。
   FWチアゴ・ボルバスは、途中出場が多いが、680分の出場時間で7得点。全国選手権に限っては191分で4得点をマーク。この活躍を受け2023年6月の代表戦にウルグアイ代表に初招集。今後のクラブでの活躍やキャリアアップが注目される。

補足情報、 所感 etc.

   フルミネンセは6試合ぶりの得点で公式戦の連敗を4で止める。相手の素早いマークとよくトレーニングされたボール回しに後手に回る場面も多かったが、前半にカウンターとセットプレーから得点を奪う。後半の早い時間帯に1点差に迫られると、ラインを下げ守備を固める。終盤には守備的な選手を次々に投入しリードを守り切った。理想とは異なる試合内容だが、したたかに勝利を収め、暫定ながら全国選手権は5位に浮上、首位ボタフォゴとの勝点差を5に詰めた。
   次戦はグループ首位のリベルタドーレス。引き分け以上で他試合に関係なく決勝ラウンド進出が決まる。一週間後の全国選手権第10節はアウェイのゴイアス戦。
   RBブラガンチーノは公式戦の連勝が3でストップ、8試合ぶりの黒星となった。ビルドアップのミスからと、セットプレーからの失点。チーム戦術上リスクを背負うが1点目はパスカットされた時点で止めたかった。試合全体を通してもゴール前での危ないシーンも多く、攻撃面ではボールを回しながら人数をかけて攻めたが、相手の引いた守備に決定的なシーンを多く作り出すことが出来なかった。
   次戦はコパ・スウアメリカーナは同勝点の相手との対戦。勝ってグループ首位を守りたい。一週間後には全国選手権第10節アトレチコ・ミネイロ戦。先制を許すと引いた守備から鋭いカウンターを繰り出すチームだけに、今節の教訓を生かして試合に臨んでもらいたい。

グレミオ(GRE) 2-1 サンパウロ(SAO)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=5fsXlFFhAdg
(SAO) : 15' #9 カレリ(Calleri, 1993)[#38 カイオ・パウリスタ(Caio Paulista, 1998)]
(GRE) : 31' #19 クリスタウド(Cristaldo, 1996)[PK]
(GRE) : 39' #19 ヘイナウド(Reinaldo, 1989)[#9 ルイス・スアレス(.Luis Suárez, 1987)]

見どころ

   共に週中のコパ・ド・ブラジルでベスト8進出を決め、公式戦連勝中の好調な両チームによる対戦。リベルタドーレス出場圏の確保と首位ボタフォゴを追随するためにも勝ち点3が欲しい。
   グレミオは全国選手権4勝2分2敗勝点14の5位。
   公式戦は現在3連勝中。5試合負けがない。前節はGKも含めほぼ総替えの先発陣で勝利を収め、週中のコパ・ド・ブラジルでは守備に重点を置いた戦術が嵌り、数少ないチャンスを逃さず得点に結びつけ、虎の子の1点を最後まで守り抜き、ベスト8進出を決めた。
   サンパウロは全国選手権4勝3分1敗勝点15の3位。
   週中のコパ・ド・ブラジルでは、全国選手権2部のエスポルチに1-3で敗れ、監督交代後の無敗記録が途切れたが、PK戦の末なんとかベスト8に勝ち上がる。
   グレミオから、VOLカルバージョ(Carballo, 1996)がマルセロ・ビエルサ(Marcelo Bielsa)監督率いるウルグアイ代表に招集。ウルグアイ代表は6月14日にニカラグア代表、6月20日にキューバ代表と対戦する。

得点シーン

(SAO)15分 :
左WBカイオ・パウリスタが左サイドを自陣から約50mドリブルで持ち上がり、ゴール前にクロスを送る。相手ディフェンダーと並走するFWカレリのヘディングは当たりが浅かったものの、ボールは絶妙なコースをたどりゴールに吸い込まれる。
   2022年チーム内得点王のFWカレリは、ケガで戦列を離れる時期もあったが、徐々に調子を上げ全国選手権はこれで4得点1アシスト。
   SBカイオ・パウリスタは、本職はFWだが2022年の一時期フルミネンセで左SBとしてレギュラーに定着。しかし、その後ポジションを失い、2023年1月27日に期限付き移籍でフルミネンセから加入。サンパウロでもFWではなく左SBとしてレギュラーの座を獲得している。
(GRE)前半31分 :
ペナルティエリア外からMFクリスタウドが放ったシュートはペナルティエリア内でサンパウロディフェンダーの開いた腕に当たり、グレミオにPKが与えられる。これをMFクリスタウドが落ち着いて決めグレミオが同点に追いつく。
   MFクリスタウドは2023年シーズン前にグレミオに加入。中盤でレギュラーに定着し攻撃の指揮を執る。州選手権の終盤からPKを任されている。今季はこれで24試合5得点8アシスト、全国選手権は2得点1アシスト。
(GRE)前半39分 :
敵陣中央でのパス回しから、MFクリスタウド、MFビテロ(Bitello, 2000)、FWルイス・スアレスと渡り、最後はSBヘイナウドがフリーの状態でシュート。ボールはGKハファエウの脇を抜けゴールに流れ込む。
   SBヘイナウドは2013年から2年間の期限付き移籍を除き2022年までサンパウロでプレー。2022年末にグレミオに移籍。グレミオでもスタメンに定着。古巣を相手に今季の全国選手権はゴールをマークした。

試合概要

   サンパウロは監督交代後、初めて3バックを採用して今節に臨む。しかし、5月半ばから3バックを採用するグレミオに一日の長があり、中盤をグレミオが支配しサンパウロの攻撃の起点を素早く潰し、細かくパスを繋いでゴールに迫る。
   ところが、先制点はサンパウロ。中盤のマークを掻い潜ったSBカイオ・パウリスタからFWカレリへのクロスで均衡を破る。
   しかし、このゴールも試合の流れを変えるまでには至らない。サンパウロの先制後もグレミオが中盤を支配。細かなパスで前線にボールを運び次々とサンパウロゴールに襲い掛かる。前半17分には後方からのボールにFWルイス・スアレスが頭を合わせ、前半18分にはショートコーナーからCBカネマン(Kannemann, 1991)のヘディングシュート。いずれもゴール枠を捉えるがサンパウロGKハファエウ(Rafael, 1989)のビッグセーブでゴールを許さない。しかし、前半31分、前半39分とゴールを奪い逆転に成功。
   後半に入り、サンパウロはフォーメーションを変更せず選手交代で打開を図る。しかし、グレミオは後半10分に次々とサンパウロゴールに迫るがGKハファエウの好守が続き追加点を奪えない。時間の経過とともにリードしたグレミオが少し引いたこともあり、サンパウロの中盤でのボール保持率が高まり、後半30分を過ぎるとグレミオ陣で試合を進め、次々とグレミオゴールに迫る。しかし、グレミオの人数をかけて中を閉ざした守備に対して効果的な攻撃を見せることが出来ずシュートはいずれも枠を捉えない。
   試合はこのまま2-1でホームのグレミオの勝利を収めた。

補足情報、 所感 etc.

   サンパウロは3バックを採用するが、中盤の攻防でグレミオの後手に回り、CBのポジショニングがまずく、次々にピンチを招く。GKハファエウの好セーブで失点を抑えていたが、PKとCBのポジショニングミスから失点。後半の選手交代で均衡状態に持っていき、終盤に差し掛かり相手ゴールに迫るようになるが、ビッグチャンスは訪れず、週中のコパ・ド・ブラジルに続く連敗を喫した。
   次戦はグループ首位のコパ・スウアメリカーナ。一週間後には全国選手権第10節ホームにパウメイラスを迎えたクラシコが控える。
   グレミオは前半は中盤を完全に支配。ワンチャンスをゴールに結びつけられたが、相手ボールを敵陣で次々と奪い、適度な距離感のパス回しで次々をサンパウロゴールに迫る。サンパウロGKの好守になかなか得点を奪えなかったが、前半30分を過ぎて続けざまにゴールを奪い逆転に成功。後半も得点機は相手を上回り、最後はボールを持たれながらもしっかりと試合をコントロールして試合を締める。この勝利で全国選手権は3連勝で4位に浮上。首位ボタフォゴまで勝点差4に詰めた。
   次戦は一週間後の全国選手権第10節アウェイでのフラメンゴ戦。順位の近いチームとの試合が続くが勝利を収め首位を射程圏にとどめたい。

パウメイラス(PAL) 3-1 コリチバ(CFC)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=fsb3hdFbVU8
(PAL) : 30' #14 アルトゥール(Artur, 1998)[#11 ピケレス(Piquerez, 1998)]
(PAL) : 34' #10 ホニ(Rony, 1995)[#12 マイキ(Mayke, 1992)]
(PAL) : 73' #10 ホニ(Rony, 1995)[#7 ドゥドゥ(Dudu, 1992)]
(CFC) : 83' #11 アレフ・マンガ(Alef Manga, 1994)[#97 フアン・アシス(Ruan Assis, 2004)]

見どころ

   パウメイラスは全国選手権4勝4分勝点16の2位。
   週中のコパ・ド・ブラジルは1stレグを3-0で勝利を収めていたが、その前の試合から中盤2選手とケガ明けの右SBを入れ替えただけのメンバーを先発に起用。前半を0-0で折り返し、2トップを交代、さらに時間の経過にあわせ中盤の2選手を相次いでベンチに退け、連戦の消耗を軽減する。試合は0-1で敗れたもののベスト8に進出。一方で後半の2トップはあまり機能せず、攻撃のパターンを増やすことが出来なかったことが課題として残る。
   コリチバは全国選手権0勝3分5敗勝点3の20位。
   2月23日のコパ・ド・ブラジル1回戦の勝利以来3か月以上勝ち星から遠ざかっている。前節クイアバとの試合はアウェイで早い時間帯に失点するも後半開始後間もなく同点に追いつき、勝ち点1を獲得。今節もアウェイでの試合だが、最低でも勝ち点1を獲得してホームでの2連戦を迎えたい。
   パウメイラスから、SBピケレス(Piquerez, 1998)がマルセロ・ビエルサ(Marcelo Bielsa)監督率いるウルグアイ代表に招集。ウルグアイ代表は6月14日にニカラグア代表、6月20日にキューバ代表と対戦する。

得点シーン

(PAL)前半30分 :
右サイドのFWアルトゥールからボールを受けた左SBピケレスがゴール前にクロス。FWアルトゥールがスルスルと斜めにゴール前に上がり右足を合わせゴール。
   FWアルトゥールはパウメイラス下部組織出身でパウメイラスでデビュー。しかし、ポジションを確保できずレンタル移籍が続く。2020年の契約終了を受けRBブラガンチーノに入団。2023年3月31日、アベウ・フェヘイラ監督の強い要請で4500万レアル(約12億円)でパウメイラスが獲得。監督の期待に応え、全国選手権、リベルタドーレスの全試合に出場、13試合6得点1アシストを記録している。
(PAL)前半34分 :
自陣のCBルアン(Luan, 1993)から右サイドライン際でボールを受けた右SBマイキ(Mayke, 1992)がゴール前にボールを送ると、スピードでライン裏に抜け出したFWホニが頭を合わせる。
   FWホニは、3月の代表戦に続き、6月の代表戦にも召集。小柄ながら一瞬のスピードでライン裏に抜け出し頭でのゴールも多く記録する。4月にケガのため戦列離脱。復帰後なかなかゴールが生まれなかったが、5月24日のリベルタドーレスでの2得点に続き、今節も2得点。全国選手権はこのゴールが今季初ゴールとなった。2017年にはクルゼイロからの期限付き移籍でアルビレックス新潟でプレー。
(PAL)後半28分 :
自陣からのカウンター。FWドゥドゥがスピードのあるドリブルで持ち上がり、左サイドのFWホニにボールを送る。オフサイドぎりぎりで抜け出たホニがGKの位置をしっかりと確認しゴール右隅を狙ったシュートでゴールネットを揺らす。
   FWドゥドゥは2011U-20W杯の優勝メンバー、7試合3得点を記録。フル代表は2011年に2試合に出場、2017年1月25日のコロンビアとの親善試合では後半2分にこの試合唯一のゴールをマークしている。
(CFC)後半38分 :
右サイドライン際から右SBフアン・アシスがゴール前にクロス。パウメイラスの守備陣の連携が乱れこぼれたボールにFWアレフ・マンガが反応しゴールネットを揺らす。
   FWアレフ・マンガは5月初めに八百長の容疑により契約解除。その後、無関与が確認され再契約され1か月ぶりの試合復帰。このゴールで今季20試合10得点4アシスト。最下位に低迷するチームの救世主となりたい。
   右SBフアン・アシスは2023年はこれまでU-20チームで10試合3得点を記録する攻撃的なサイドバック。2023年5月27日全国選手権第8節クイアバ戦の後半33分にデビューを果たし、この試合がデビュー2戦目、嬉しいプロ初アシストを記録した。

補足情報、 所感 etc.

   パウメイラスは、警告累積のMFハファエウ・ヴェイガ(Raphael Veiga, 1995)に替わり、MFルイス・ギリェルミ(Luis Guilherme, 2006)を初のスターティングイレブンに抜擢。
   試合は立ち上がりから試合をコントロールするが、ダイナミズムのない展開が続く。それでも前半30分、34分と立て続けにゴールを奪い、引き続き試合をコントロール。後半もコリチバにチャンスらしいチャンスを許さず、終盤に連係ミスから失点するが、最後まで試合をコントロールし、危なげなく勝ち点3を積み上げた。
   次戦はグループ2位のリベルタドーレス。引き分け以上で決勝ラウンド進出が決まる。一週間後には全国選手権第10節アウェイでのクラシコ、サンパウロ戦が控える。
   全国選手権を最下位に低迷するコリチバはほとんど何もできず敗戦。全国選手権9試合で3失点の試合が5試合を数えた。しかし、チーム内得点王のFWアレフ・マンガが復帰、下部組織出身のフアン・アシスがアシストを記録した明るい材料も。
   次戦は一週間後の全国選手権第10節サントス戦。週中に試合のあるサントスに対し日程的な優位がある。サントスは攻撃的なチームでもないだけに容易に失点しないよう集中し全国選手権初勝利をホームで飾りたい。

ゴイアス(GOI) 0-1 クイアバ(CUI)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=rAivMCFNXpc
(CUI) : 54' #19 デイヴェルソン(Deyverson, 1991)[#33 エンペリュール(Empereur, 1994)]
(GOI) : N/A

見どころ

   ゴイアスは全国選手権2勝1分5敗勝点7の17位。
   前節サンパウロ戦は先制点を守り切れず後半アディショナルタイムに逆転弾を浴びたが、週中にはブラジル北部州と中西部州で地域カップ戦コパ・ヴェルジ決勝戦2ndレグを戦い見事優勝、最近の公式戦は6試合で4勝1分1敗と好調なだけに、コパ・ヴェルジ制覇の勢いに乗ってホームでの一戦で勝ち点3を積み上げ降格圏から脱出したい。
   クイアバは全国選手権2勝2分4敗勝点8の15位。
   前々節に上位を争うクルゼイロを相手にアウェイで勝利を収めたものの、前節は下位に低迷するコリチバをホームに迎え前半3分に先制するも追加点を奪えず同点に追いつかれ中位に浮上する機会を逸した。今節で就任3試合目となるアントニオ・オリヴェイラ(António Oliveira)監督は先発メンバー、戦術を大きく変更することなく細部に修正を加えているが、今節勝ち点差1のゴイアスを相手にその成果を発揮したい。
   両チームは下位に低迷するが、お世辞にも厚いとは言えない選手層を組織的な戦術で補い、攻撃に関してはサイドを起点とする似たタイプのチーム。タイプの異なるセンターフォワード、(GOI)マテウス・ペイショット(Matheus Peixoto, 1995)と(CUI)デイヴェルソン(Deyverson, 1991)のプレーに注目したい。

得点シーン

(CUI)後半9分 :
ゴイアスが自陣の低い位置でラインを敷く中、ビルドアップからCBエンペリュールがドリブルで前に上がりディフェンダーを前に引き出すと、空いたスペースにポジションを取ったFWデイヴェルソンに柔らかく浮かしたパス。FWデイヴェルソンがライン裏に抜け出しGKとの駆け引きで逆サイドをついたシュートがゴールネットを揺らす。
   FWデイヴェルソンは全国選手権開幕からなかなかゴールが生まれなかったが、第7節のゴールに続き、2得点目をマーク。ゴールをマークした2試合はチームも勝利を収めており、自身の好調を継続しチームも中位から上位へと導きたい。
   CBエンペリュールはアトレチコ・ミネイロの下部組織在籍時にフィオレンティーナ/ITAのスカウトの目にとまり、2008年に14歳でフィオレンティーナ下部組織に入団。2015年に期限付き移籍先の当時イタリア2部リヴォルノでデビュー。その後エラス・ヴェローナ/ITAなどでプレーし、2020年パウメイラスへ期限付き移籍で加入しブラジル国内で初めてプレーする。クイアバには2021年に移籍、2023年全国選手権は第3節から今節まで90分フル出場を続けている。

補足情報、 所感 etc.

   ゴイアスは、楽しみにしていたFWマテウス・ペイショットが欠場。レンタル元のメタリスト/UKRがクラブへの至急の帰還を要請。ゴイアスは戦力として、マテウス・ペイショット自身は戦争が続いていることを理由に、メタリストへの帰還を拒否。FIFAへ提訴。今後の出場についても不確定要素が多い。
   試合は相手の守備を崩すことが出来ず、なかなかシュートに持ち込めない状況が続く。ボールを失うと相手の左右に揺さぶった攻撃にてこずり、度々ピンチを招く。GKタデウ(Tadeu, 1992)の好守で前半は0-0で折り返すが、後半9分に被弾。その後も試合の主導権を握ることが出来ず敗戦。全国選手権では連敗を喫し降格圏を脱出できず。
   次戦はグループ首位のコパ・スウアメリカーナ。相手は最下位に低迷しているだけに勝って首位をキープしたい。一週間後の全国選手権第10節はホームにフルミネンセを迎える。
   アウェイながら試合をコントロール。前半から広くサイドにボールを展開し、FWデイヴェルソンをターゲットにしたクロスや、ミドルシュートなどでゴイアスゴールを次々と襲う。相手GKタデウの好守になかなかゴールを奪うことが出来なかったが、後半9分、CBエンペリュールが持ち上がり、ゴイアス守備陣の隙をつくり絶妙なパスからFWデイヴェルソンがゴールを奪い先制。その後も試合をコントロールし最後まで大きなピンチもなく試合を締める。コパ・スウアメリカーナ出場圏の12位まで勝点差2の14位まで浮上。
   次戦は一週間後に全国選手権第10節アウェイでのコリンチャンス戦。順位が近い相手だけにしっかりと勝ち点3を獲得し、コパ・スウアメリカーナ出場圏に食い込みたい。

ヴァスコ・ダ・ガマ(VAS) 1-4 フラメンゴ(FLA)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=wO0n2Rc1s80
(FLA) : 14' #5 エリキ・プルガール(Erick Pulgar, 1994)[#14 デ・アラスカエッタ(De Arrascaeta, 1994)]
(FLA) : 16' #20 ジェルソン(Gerson, 1997)[#14 デ・アラスカエッタ(De Arrascaeta, 1994)]
(FLA) : 42' #9 ペドロ(Pedro, 1997)[#6 アイルトン・ルーカス(Ayrton Lucas, 1997)]
(FLA) : 45+2' #6 アイルトン・ルーカス(Ayrton Lucas, 1997)[#20 ジェルソン(Gerson, 1997)]
(VAS) : 58' #8 ジャイール(Jair, 1994)[PK]

見どころ

   ヴァスコ・ダ・ガマは全国選手権1勝3分4敗勝点6の18位。
   コパ・ド・ブラジルをすでに敗退しているヴァスコ・ダ・ガマは全国選手権に注力。しかし、開幕節以来勝利から遠ざかり18位に低迷。昨季2部でチームを牽引したMFネネー(Nenê, 1981)が州選手権敗退後に退団。現在はチームの精神的な柱となる選手がおらず、低迷から抜け出せないでいる。7月の移籍ウィンドウでクラブはプリメイロボランチと攻撃的な中盤の選手の補強を明言しているが、その人選が気になる。とは言え、6月はまだ5試合を残している。現状のメンバーで閉塞した状況を打ち破りたい。
   フラメンゴは全国選手権4勝1分3敗勝点13の7位。
   最近の公式戦7試合に負けがなく、全国選手権も第4節の敗戦後は3勝1分、順位も7位まで浮上。週中のコパ・ド・ブラジル、フルミネンセとのクラシコ「フラフル」では相手の長所を消し、前半のリードを守り試合終了間際の追加点でベスト8進出を決めた。
   今節の後は中2日で混戦のリベルタドーレス、グループ首位のラシン・クラブ/ARGとの試合が控えている。サンパオリ(Sampaoli)監督の選手起用、采配に注目が集まる。
   ヴァスコ・ダ・ガマからSBプーマ・ロドリゲス(Puma Rodríguez, 1997)、フラメンゴからSBバレラ(Varela, 1993)がマルセロ・ビエルサ(Marcelo Bielsa)監督率いるウルグアイ代表に招集。ウルグアイ代表は6月14日にニカラグア代表、6月20日にキューバ代表と対戦する。

得点シーン

(FLA)前半14分 :
相手陣深くで相手のパスミスを拾ったFWペドロからMFデ・アラスカエッタを経てボールを受けたVOLエリキ・プルガールがミドルシュート。これがゴール右隅に決まりフラメンゴが先制。
   VOLエリキ・プルガールはチリ代表として2016コパ・アメリカを制するなど代表戦41試合4得点を記録。
(FLA)前半16分 :
右サイドでのMFデ・アラスカエッタと右SBウェズレイ(Wesley, 2003)のパウ交換から、MFデ・アラスカエッタがゴール前にクロス。そこに走り込んだVOLジェルソンが綺麗に頭に合わせフラメンゴが追加点。
   VOLジェルソンは2021年9月から11月にかけての2022W杯南米予選の4試合に出場(うち2試合に先発)。
(FLA)前半42分 :
左サイドでSBアイルトン・ルーカスからボールを受けたMFマテウス・フランサがディフェンダーをかわしペナルティエリアに侵入、ゴールライン際までボールを運ぶ。そこからマイナスのボールをペナルティエリア入口のSBアイルトン・ルーカスへ。SBアイルトン・ルーカスはワントラップから右足を振り抜く。僅かにFWペドロに触れたボールがゴールネットを揺らし、フラメンゴがリードを広げる。
   FWペドロは2023年3月の代表戦に続き6月の代表戦にも選出。代表デビューは2020年11月14日W杯南米予選。代表戦はこれまで2022W杯の2試合を含む4試合1得点。
(FLA)前半45+2分 :
自陣ゴール前から蹴りだされたボールにSBアイルトン・ルーカスが反応。相手ディフェンダーとの奪い合いに競り勝ち、ペナルティエリアに侵入。GKもかわし無人のゴールにボールを流し込みフラメンゴの4点目。
   SBアイルトン・ルーカスは2023年6月の代表戦に初招集。クラブでの活躍とあわせて代表でもレギュラーに定着したい。
(VAS)後半13分 :
右サイドからの攻撃、ペナルティエリアでボールを受けゴールライン際に迫ったVOLジャイールが倒される。主審は流すがVARが介入しファールが認定され、ヴァスコがPKを獲得。これをVOLジャイールが決めヴァスコが1点を返す。
   VOLジャイールは2022シーズン後に4年間プレーしたアトレチコ・ミネイロからヴァスコ・ダ・ガマに移籍。アトレチコ・ミネイロでは全国選手権やコパ・ド・ブラジルのタイトルを獲得。第1、第2ボランチのいずれも高い水準でこなす。ヴァスコ下部組織出身(在籍)で将来を嘱望される多くの若手選手たちの見本となるプレーをみせる。このゴールが今季全国選手権での初ゴール。

試合概要

   ヴァスコ・ダ・ガマは3バックを採用し、守備的な選手を多く先発に起用するが、フラメンゴのパス回しにマークが後手に回り、前半14分に早くも失点。さらに2分後の前半16分にも追加点を許し、試合のプランが崩れる。すると、前半終了間際にも2失点。前半で試合の行く手が決まる。後半にはいり、ヴァスコは相手陣でボールを回せるようになると後半13分にPKから1点を返す。しかし、ここから日程の詰まるフラメンゴは再びボールを支配し試合のペースをスローダウン。ヴァスコは相手守備陣を崩すような有効なプレーを見せることもなく、タイムアップ。

補足情報、 所感 etc.

   ヴァスコ・ダ・ガマは泥沼の4連敗。年初からの攻撃的なスタイルを捨て、3バックを採用した守備的な布陣で試合に臨むが、3バックは全く機能せず、前半の4失点で試合の趨勢が決まる。ディフェンスではマークが後手に回り、攻めても少ないチャンスを決めきることができない。
   次戦は一週間後の全国選手権第10節インテルナシオナウ戦。バルビエリ(Barbieri)監督の去就も気になるが、選手には一試合一試合目先の試合に集中してもらいたい。
   フラメンゴは、試合開始から流れるようなパス回しを披露し、前半14分、16分と立て続けにゴールを奪い、試合に優位に運ぶと前半のうちにさらに2点を追加。前半で試合を決し勝ち点3を積み上げ5位に浮上。
   次戦はグループ2位以下が混戦となっているリベルタドーレス。勝ち点3を獲得し混戦から抜け出したい。一週間後には全国選手権第10節グレミオ戦。好調なチーム同士の対戦。日程的な不利はあるが、国際Aマッチデーの小休止を前にした最後の試合。勝ち切って上位争いをキープしたい。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です