最新更新日 : 2024/03/24 更新履歴 : 2023/11/30
ハイアン・ヴィトル・シンプリシオ・ホシャ
Rayan Vitor Simplício Rocha
ポジション:フォワード/アタカンチ
利き足:左
2006年8月3日生まれ
<幼少期>
ブラジル連邦共和国リオデジャネイロ州リオデジャネイロに生まれる。 父はヴァスコ・ダ・ガマ下部組織出身でヴァスコからセンターバックとしてプロデビューした元プロサッカー選手。ハイアンは当然のように6歳で父同様ヴァスコ・ダ・ガマ下部組織に入団。
<クラブ経歴>
≪育成時代≫
6歳での入団時から各カテゴリーで注目を集め、2017年には11歳で通算300ゴールを記録。カテゴリーも順調に上げていき、14歳でヴァスコ・ダ・ガマと育成契約を結ぶ。
2022年1月に開催されたU-20全国大会カップ戦(通称コピーニャ)では15歳にして試合に出場、そして、得点を記録。 この年はU-17カテゴリーで主にプレーし34試合29得点。U-20カテゴリーでも先述のコピーニャを含め9試合2得点を記録。 2022年12月27日、ヴァスコ・ダ・ガマとプロ契約を締結、契約違約金として8000万ユーロが設定された。
≪ヴァスコ・ダ・ガマ≫
– 2023 –
2023年1月19日、リオデジャネイロ州選手権第2節アウダックス・リオ戦の後半27分に途中交代出場を果たしトップチームデビュー。 2月27日州選手権第9節ボアヴィスタ-RJ戦では後半33分に途中交代出場を果たす。 3月下旬から4月下旬にかけては2023南米U-17選手権に向けた合宿や本大会出場のためクラブを離れるが、帰国後はU-17カテゴリーで3試合に出場、その後トップチームに招集。 2023年5月14日全国選手権第6節サントス戦でベンチ入りを果たす。
2023年6月11日、全国選手権第10節アウェイでのインテルナシオナウ戦でスターティングイレブンに抜擢。 前半14分、ドルブルで右サイドを駆け上がり中央に切れ込み左足からミドルシュートを放つと、前半29分にプロ初ゴールを記録。 ゴールシーンでは、ゴールライン際まで攻め上がった味方SBと平行にゴール前まで上がり、一旦ディフェンダーを押し込み、そこから後方に下がりポジションを取り直す。SBからのマイナスのクロスはスルーする形となるが、折り返しのボールを送られるとダイレクトに左足を振り抜きゴールネットを揺らす。 この試合では後半24分に交代するまで4本のシュート(うち3本は枠内)を放ちチームに推進力をもたらした。
16歳10か月8日での初ゴールは、1971年以降のブラジル全国選手権では9番目の年少記録。 ヴァスコ・ダ・ガマでは2001年以降の初ゴール最年少記録となった。(それまでの記録は、2022東京五輪代表、現アトレチコ・ミネイロのパウリーニョ(Paulinho, 2000)の17歳8日)
その後は、チームが下位に低迷したことや、監督交代もあり、7月23日全国選手権第16節を最後にトップチームでの試合から遠ざかる。以降は、U-20、U-23チームでの試合に出場し試合勘を維持し、11月にU-17W杯出場のためインドネシアへ旅立った。
– 2024 –
2024年(年初17歳)年明けは、出場資格のあるU-20全国大会カップ戦には選手登録もなく、トップチームのウルグアイ遠征に帯同する。
1月25日州選手権第3節、ウルグアイ遠征後のトップチーム初試合でスタメンに起用されると、後半28分、ペナルティエリア入口でディフェンダーを背にボールを受けると、そのまま反転しシュート。シーズン初ゴールを決めた。
シーズン前にラモン・ディアス監督は、「将来性豊かなハイアンにより高いレベルでの試合を経験させたい。しかし、一方で、過度な責任感を負わせたくはない。」と話しており、その言葉の通り、州選手権が終盤に差し掛かり決勝ラウンド進出争いが激しくなると、ハイアンはベンチを温める試合が続いている。
2024年シーズンはチーム状況に応じて、トップチームとU-20チームを往復することになるだろうが、トップチームで学んだことをU-20チームの実戦で表現し、一日でも早く監督から責任を委ねられるような成長を遂げてもらいたい。
≪シーズン別クラブ出場記録≫
シーズン | 所属 | 大会 | 試合 | 出場 時間 | 得点 | アシ スト |
---|---|---|---|---|---|---|
2023年(17歳) | ヴァスコ・ダ・ガマ | 全国選手権 | 6 | 265 | 1 | 0 |
州選手権 | 2 | 30 | 0 | 0 | ||
合計 | 8 | 295 | 1 | 0 | ||
2024年(18歳) | ヴァスコ・ダ・ガマ | 州選手権 | 4 | 284 | 1 | 0 |
合計 | 4 | 284 | 1 | 0 |
イタリック斜体は、2024年3月24日現在の記録。 ※ シーズン欄の年齢は、12月31日時点の年齢です。
<代表(世代別含む)経歴>
– 2021 –
2021年7月6日、南米U-15選手権に向けた代表チームに招集。しかし、同大会はコロナ感染症の拡大により中止。
– 2022 –
2022年2月19日、2023年南米U-17選手権に向けた最初の代表チームに招集。 2022年10月3日~11日のU-17代表合宿に招集。 2022年11月に行われたU-17国際親善試合(チリ代表、パラグアイ代表と各2試合)の全4試合に先発出場。11月3日チリ戦と11月8日パラグアイ戦で1得点ずつを記録。
– 2023 –
【2023南米U-17選手権】
2023年3月30日に開幕する2023南米U-17選手権代表に選出。 大会では全9試合に出場(うち先発8試合)。攻撃的なポジションを任され、2列目を右サイドから中央、左サイドへと比較的自由に動き回り、大会を通じて5得点2アシストを記録。大会得点王に輝く。 ※大会得点王は、カウワン・エリアス(Kauã Elias, 2006/03/28, Fluminense)、クラウジオ・”ジアブリット”・エチェベリ(Claudio "Diablito" Echeverri, 2006/01/02, River Plate)と分け合う。
下表「節」欄のリンクは、当ブログの記事にリンクしています。記事内には、当該試合の出場&控えメンバー(ブラジルU-17代表のみ)、試合経過、得点シーン中心の動画、所感を掲載しています。
試合日 | 節 | 対戦 相手 | 試合 結果 | 出場 時間 | 得点 | アシ スト |
---|---|---|---|---|---|---|
2023/03/30 | 予選R第1節 | エクアドル | 2 – 2 | 62 | 0 | 0 |
2023/04/01 | 予選R第2節 | チリ | 3 – 0 | 90 | 0 | 1 |
2023/04/03 | 予選R第3節 | コロンビア | 3 – 1 | 35 | 1 | 1 |
2023/04/07 | 予選R第5節 | ウルグアイ | 3 – 0 | 72 | 1 | 0 |
2023/04/11 | 決勝R第1節 | ベネズエラ | 2 – 1 | 90 | 0 | 0 |
2023/04/14 | 決勝R第2節 | パラグアイ | 3 – 2 | 56 | 1 | 0 |
2023/04/17 | 決勝R第3節 | エクアドル | 2 – 2 | 90 | 0 | 0 |
2023/04/20 | 決勝R第4節 | チリ | 3 – 0 | 90 | 2 | 0 |
2023/04/23 | 決勝R第5節 | アルゼンチン | 3 – 2 | 90 | 0 | 0 |
合計 | 24 – 10 | 675 | 5 | 2 |
【2023U-17W杯】
2023年10月11日、インドネシアで11月10日に開幕する2023U-17W杯代表の21選手の一人として選出された。
下表「節」欄のリンクは、当ブログの記事にリンクしています。記事内には、当該試合の出場&控えメンバー(ブラジルU-17代表のみ)、試合経過、得点シーン中心の動画、所感を掲載しています。
試合日 | 節 | 対戦 相手 | 試合 結果 | 出場 時間 | 得点 | アシ スト |
---|---|---|---|---|---|---|
2023/11/11 | 予選第1節 | イラン | 2 – 3 | 90 | 1 | 0 |
2023/11/14 | 予選第2節 | ニューカレドニア | 9 – 0 | 59 | 2 | 0 |
2023/11/17 | 予選第3節 | イングランド | 2 – 1 | 90 | 0 | 0 |
2023/11/20 | 決勝一回戦 | エクアドル | 3 – 1 | 82 | 0 | 0 |
2023/11/14 | 準々決勝 | アルゼンチン | 0 – 3 | 74 | 0 | 0 |
合計 | 16 – 8 | 395 | 3 | 0 |
<プレースタイル、雑感 etc.>
利き足は左。 2023年シーズンに向けたヴァスコ・ダ・ガマの公式サイトによると身長は185㎝。 しなやかな体躯から繰り出されるシュートは強烈で高い精度を持つ。 一方で、そのシュート力の高さから、中央寄りでプレーする際は、少し強引にゴールを狙いに行き過ぎるきらいがある。しかし、ストライカーとしては当然の傾向で、今後トップチームでのトレーニングや試合経験を通じて味方とのタベーラや自らが囮となることを学び解消していくだろう。
2023年南米U-17選手権では、5得点2アシストを記録。 ゴールエリア内をドリブルで仕掛けディフェンダーをかわし角度のない位置から奪ったゴールや、守備ライン裏に絶妙に抜け出したゴールなど得点シーンも印象的だったが、左サイドライン際浅い位置からのピンポイントクロス、ゴールライン際まで持ち上がってのマイナスのクロスや相手のオウンゴールを誘ったゴール前へのライナー性のクロスなどチャンスメーカーとしての活躍も際立っていた。
ヴァスコ・ダ・ガマでは、有望な選手については、育成からプロへの移行期間として、サッカー選手としての成長を加速させるとともに心身の成長に合わせ選手が消耗することがないよう、個別にプログラムを組み管理している。
その直近の好例として、チェルシー/ENGへ移籍を果たしたVOLアンドレイ・サントス(Andrey Santos, 2004)や、U-20W杯、U-20南米ユース選手権で欧州クラブの関心を集めたVOLマルロン・ゴメス(Marlon Gomes, 2003)が挙げられる。
全国選手権デビュー戦で初ゴールを記録し、個別の試合では肉体的にトップチームでのプレーにも順応できることを証明したハイアン。しかし、日本の学制に当てはめるとまだ高校2年生。精神的に大人になり切れていない年齢だけに、ヴァスコ・ダ・ガマの移行プログラムが機能し、サポーターや世間の過熱する期待に心身共に消耗することなく、成長し続けることを祈りたい。