カウワン・エリアス (Kauã Elias)

投稿者: | 2023年6月16日
最新更新日 : 2024/03/24
更新履歴 : 2023/12/02

ブラジル 若手 逸材 カウワン・エリアス  Kauã Elias

カウワン・エリアス・ノゲイラ

Kauã Elias Nogueira

ポジション:フォワードアタカンチ

利き足:右

2006年3月28日生まれ

<幼少期>

 ブラジル連邦共和国ミナスジェライス州ウーベルランジアに生まれる。
 地元のサッカースクールでフットサルを始める。共働きで忙しい両親の代わりに祖父母が毎日のようにカウワンの送り迎えをしてくれた。
 2006年、10歳の時に地元のフットサル大会でフルミネンセのスカウトの目にとまり入団テストを勧められた。経済的に苦しい中、祖父が入団テストの受験を後押ししてくれ、無事テストに合格する。

<クラブ経歴>

≪育成時代

 2017年、フルミネンセの下部組織に入団。
 入団当初はゴールよりもアシストを記録することが多く、孫のゴールが見たい祖父はカウワンに1ゴールごとに25レアルをご褒美にすることを提案。するとカウワンはゴールを次々と決めるようになる。カウワンは祖父が破産してしまうからとこのゲームを終了。しかし、この時に養われたゴールへの嗅覚がカウワンのサッカー人生に大きな影響を及ぼす。
 2022年8月、フルミネンセU-16チームの一員としてヨーロッパに遠征。
 オランダ、スイス、イタリアでカップ戦に出場し、ローマ/ITAやラツィオ/ITAなどのクラブと対戦。さらに、イングランドで、トッテナム、アーセナル、サウザンプトンと親善試合を行い、カウワンは出場した16試合で16得点を記録。カップ戦は3大会すべてで得点王に輝き、スイスでの大会では最優秀選手に選出される。
 この遠征に先立つ2022年6月1日には、フルミネンセとプロ契約。期限は2026年末、約2億8000万レアル(約70億円)の違約金が設定された。
 2023年3月8日、南米U-17選手権代表への選出が発表されると、U-20チームの2試合に出場し、3月30日開幕の南米U-17選手権に出場。
 大会中のケガのため帰国後しばらく試合から遠ざかるが、5月20日のU-20州選手権に出場する。

フルミネンセ≫

– 2023 –

 2023年5月25日リベルタドーレスGR第4節アウェイでのザ・ストロンゲスト/BOL戦に帯同すると、後半36分に途中交代出場を果たし、プロデビューを飾る。
 しかし、デビュー後はトップチームでの出場機会は訪れず、U-17、U-20チームで試合経験を積んでいく。
 U-17チームではU-17全国選手権にて7試合6得点。U-20チームではU-20コパ・ド・ブラジルにて3試合3得点を記録するなど、世代トップクラスの実力を発揮。10月にはU-17W杯代表にも選出され、同大会ではチームは準々決勝で敗退したものの、5試合4得点1アシストの成績を収めた。
 U-17W杯から帰国後はトップチームに合流、1試合にベンチ入りしたものの、出場機会は訪れなかった。

– 2024 –

 2024年(年初17歳)年明けは、出場資格を持つ1月開催のU-20全国大会カップ戦ではなく、トップチームの州選手権に選手登録。
 1月18日リオデジャネイロ州選手権開幕節にて後半33分に交代出場を果たす。その後、3試合に途中交代出場。
 1月30日には、フルミネンセとの契約を更改。契約期限は2029年末にまで延長され、契約解除金は7000万ユーロへと増額された。

≪シーズン別クラブ出場記録≫

シーズン所属大会試合出場
時間
得点アシ
スト
2023年(17歳)フルミネンセリベルタドーレス1900
 合計1900
2024年(18歳)フルミネンセ州選手権47300
 合計47300
イタリック斜体は、2024年3月24日現在の記録。
※ シーズン欄の年齢は、12月31日時点の年齢です。

<代表(世代別含む)経歴>

– 2023 –

 2023年1月18日、南米U-17選手権に向けた代表合宿に選出。初めての代表招集となる。
 2023年2月15日、U-17代表合宿に選出。
 2023年3月8日、南米U-17選手権代表に選出。

 【南米U-17選手権】 

下表「節」欄のリンクは、当ブログの記事にリンクしています。記事内には、当該試合の出場&控えメンバー(ブラジルU-17代表のみ)、試合経過、得点シーン中心の動画、所感を掲載しています。
試合日対戦
相手
試合
結果
出場
時間
得点アシ
スト
2023/03/30予選R第1節エクアドル2 – 29020
2023/04/01予選R第2節チリ3 – 08220
2023/04/03予選R第3節コロンビア3 – 16400
2023/04/07予選R第5節ウルグアイ3 – 0
2023/04/11決勝R第1節ベネズエラ2 – 17601
2023/04/14決勝R第2節パラグアイ3 – 27600
2023/04/17決勝R第3節エクアドル2 – 29010
2023/04/20決勝R第4節チリ3 – 04500
2023/04/23決勝R第5節アルゼンチン3 – 2
合計24 – 1052351
 2023年3月30日に開幕した南米U-17選手権では予選ラウンド3試合、決勝ラウンド4試合の計7試合に出場(うちスタメン7試合)。
 決勝ラウンド第4節チリ戦の前半にケガを負い後半開始時に交代。続く最終節アルゼンチン戦はチリ戦でのケガが癒えずスタンドからの観戦。
 出場した試合では、ライン裏への飛び出し、クロスボールをダイレクトに足に合わせたゴールやヘディングシュートなど、大会通算5得点1アシストを記録。ブラジル代表の優勝に貢献するとともに大会得点王に輝いた。
 ※大会得点王は、ハイアン(Rayan, 2006/08/03, Vasco da Gama)、クラウジオ・”ジアブリット”・エチェベリ(Claudio "Diablito" Echeverri, 2006/01/02, River Plate)と分け合う。

 【2023U-17W杯】 

 2023年10月11日、インドネシアで11月10日に開幕する2023U-17W杯代表の21選手の一人として選出される。
下表「節」欄のリンクは、当ブログの記事にリンクしています。記事内には、当該試合の出場&控えメンバー(ブラジルU-17代表のみ)、試合経過、得点シーン中心の動画、所感を掲載しています。
試合日対戦
相手
試合
結果
出場
時間
得点アシ
スト
2023/11/11予選第1節イラン2 – 37000
2023/11/14予選第2節ニューカレドニア9 – 09030
2023/11/17予選第3節イングランド2 – 17810
2023/11/20決勝一回戦エクアドル3 – 16501
2023/11/14準々決勝アルゼンチン0 – 38400
合計16 – 838741
 2023年10月11日、インドネシアで11月10日に開幕する2023U-17W杯代表の21選手の一人として選出される。
 本大会ではチーム全5試合のすべてにスタメン出場、4得点1アシストを記録。
 予選第2節ニューカレドニア戦では3得点。1点目はCKを頭で合わせ、2点目はカウンター、自陣からのボールをハーフライン左サイドライン際で受け、ドリブルでペナルティエリアに侵入しそのままゴール。3点目はMFロハンのミドルシュートをGKが弾いたところを詰めゴールに押し込んだ。
 予選第3節イングランド戦では、MFエステヴォンのシュートがディフェンダーに当たり、こぼれたボールをダイレクトに右足を振り抜きゴール。
 決勝ラウンド一回戦エクアドル戦では、左サイドライン際で起点となり、エステヴォンのゴールをアシスト。

<プレースタイル、雑感 etc.>

 利き足は右。サッカーサイト「oGol」の2023年6月14日時点の登録によると、身長181cm、体重70㎏。
 センターフォワード。ウィングとしてのプレー機会もある。
 一番の特徴はゴールの嗅覚。ゴール前でのポジション取りの巧みさだけでなく、ライン裏へ抜け出すタイミングがよく、クロスボールに頭や足を合わせる技術も高い。
 フルミネンセ入団前のフットサルで培われた足元の技術も高く、ディフェンダーに囲まれても細かなボールタッチで打開する技術をもつ。
 左足でも強烈なシュートを放つ。
 フルミネンセ入団直後は多くのアシストを記録していたように、戦術眼に優れ、人を使うプレーも得意とする。
 2023年フルミネンセのトップチームには前年の全国選手権得点王ヘルマン・カーノ(Germán Cano, 1988)が在籍。トップチームの選手層は厚く、しばらくはトップチームで試合に出場する機会は多くないかもしれない。
 しかし、カーノのポジショニング、シュート技術、シュート時の集中力はブラジルリーグでも有数のものであり、日々のトレーニングを通して身近に学ぶことができる環境に恵まれた。センターフォワードとしてプレースタイルが異なる部分もあるが、カーノのプレーを吸収し、もう一段階高いレベルへの成長を期待したい。

 2023年5月26日のブラジルスポーツサイト「Ig」によると、ポルト/POR、ブライトン/ENG、ワトフォード/ENGがすでにカウワン・エリアスの情報収集を開始しているとのこと。ブラジルでは国外での就業は法令で18歳の誕生日まで禁じられているため、2024年3月28日まではヨーロッパへの移籍は不可能だが、2022年8月のフルミネンセU-16チームの欧州遠征や、2023年南米U-17選手権でのプレーを通じて、ヨーロッパクラブの関心を集めている。
(2023年12月2日追記)
 2023年11月に開催されたU-17W杯では4得点1アシストを記録。セットプレーからの高さを生かしたヘディングシュート、ドリブルで持ち込んでのアシストとゴール、こぼれ球に反応しての2ゴール。チームとしては期待された結果を残せなかったが、個人的にはセンターフォワードとして最低限の結果を残した。
 U-17W杯前はU-20チームでプレー、ブラジル帰国後はU-17チームに合流しU-17リオデジャネイロ州選手権決勝ヴァスコ・ダ・ガマ戦1stレグに出場し、様々なカテゴリーで試合経験を積んでいる。2024年はトップチームで一試合でも多くの出場を期待したい。

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