【ブラジル全国選手権2023】第11節(1/2)

投稿者: | 2023年6月20日

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全国選手権第11節 対戦組合せ


以下の5試合はこの記事で。
・2023/06/21 サンパウロ(SAO) x アトレチコ・パラナエンセ(CAP)
・2023/06/21 クルゼイロ(CRU) x フォルタレーザ(FOR)
・2023/06/21 サントス(SAN) x コリンチャンス(COR)
・2023/06/21 フルミネンセ(FLU) x アトレチコ・ミネイロ(CAM)
・2023/06/21 バイーア(BAH) x パウメイラス(PAL)
以下の5試合はこちらで。→ 【ブラジル全国選手権2023】第11節(2/2)
・2023/06/22 グレミオ(GRE) x アメリカ・ミネイロ(AME)
2023/06/22 ヴァスコ・ダ・ガマ(VAS) x ゴイアス(GOI)
2023/06/22 コリチバ(CFC) x インテルナシオナウ(INT)
2023/06/22 クイアバ(CUI) x ボタフォゴ(BOT)
2023/06/22 RBブラガンチーノ(RBB) x フラメンゴ(FLA)

全国選手権第11節 試合概要

サンパウロ(SAO) 2-1 アトレチコ・パラナエンセ(CAP)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=9dpnJRrZ-Qo
(CAP) : 11' #9 ヴィトル・ホッキ(Vitor Roque, 2005)[#8 ヴィトル・ブエノ(Vitor Bueno, 1994)]
(SAO) : 19' #20 ガブリエル・ネヴェス(Gabriel Neves, 1997)[]
(SAO) : 47' #10 ルシアーノ(Luciano, 1993)[#9 カレリ(Calleri, 1993)]

見どころ

   サンパウロは全国選手権4勝3分3敗勝点15の8位。
   全国選手権は2連敗中。監督交代後は中盤でのマークを厳しくし成績が安定したものの、前々節は3バックを試し失敗、前節は守備のミスを突かれ、2試合連続で2失点。今節は中盤の底で攻守に安定したプレーを見せていたVOLパブロ・マイア(Pablo Maia, 2002)を出場停止で欠き、守備面での不安が残る。
   一方、攻撃面ではFWフアン(Juan, 2002)やMFホドリギーニョ(Rodriguinho, 2004)など若手選手が出場機会を得て得点に絡むプレーをみせるなど、選手層に厚みができつつある。先発にどのような選手を組み合わせるか、交代枠をどのように使うか、ドリヴァウ・ジュニオール(Dorival Júnior)監督の采配が注目される。
   アトレチコ・パラナエンセは全国選手権5勝1分4敗勝点16の7位。
   前節終了後にディレクターのルイス・フェリピ・スコラーリ(Luiz Felipe Scolari)氏がアトレチコ・ミネイロの監督就任要請を受け退団を発表。人事担当役員のバルセロナ出張中の寝耳に水の出来事にアトレチコ・パラナエンセは長年スコラーリ氏のもとでアシスタンスコーチを務めていたパウロ・トゥーハ(Paulo Turra)監督を解任。今節は監督代行の下での一戦となる。
   一時は公式戦に4連敗したものの、最近の3試合では2勝1分と調子を取り戻していただけに、この監督交代の影響が懸念される。

得点シーン

(CAP)前半11分 :
右SBマジソン(Madson, 1992)がサイドライン際で一対一を仕掛けず、一列内側を駆け上がるMFヴィトル・ブエノの前方にボールを送る。ライン裏でフリーでボールを受けたMFヴィトル・ブエノはゴール前にクロス。ファーサイドでFWヴィトル・ホッキがフリーで足に合わせゴール。
   FWヴィトル・ホッキはバルセロナへの移籍が進展した模様だが今季は最後までアトレチコ・パラナエンセでプレーする公算が高い。全国選手権は4試合連続で得点に関与(3得点1アシスト)、11試合5得点1アシスト。
(SAO)前半19分 :
ペナルティエリア内でボールを納めたFWカレリがヒールパス。ボールを受けたMFホドリゴ・ネストール(Rodrigo Nestor, 2000)がシュート。ディフェンダーがブロックしたこぼれ球をVOLガブリエル・ネヴェスがゴールネットに突き刺しサンパウロが同点に追いつく。
   VOLガブリエル・ネヴェスはサンパウロ在籍3年目のウルグアイ国籍選手。入団以来出場機会は多くはなかったが、ドリヴァウ・ジュニオール監督就任後は中盤の高い位置でのマークを務めるセグンドボランチとして多くの試合に出場。このゴールが3年目にして初ゴールとなった。
(SAO)後半2分 :
GKハファエウ(Rafael, 1989)からのフィードを左サイドライン際でSBカイオ・パウリスタ(Caio Paulista, 1998)が収め、素早くMFホドリギーニョへリードパス。MFホドリギーニョがディフェンダーに体を当てボールを確保しドリブルで前に運びゴール前のFWカレリへパス。ボールは後方に流れるがFWカレリはディフェンダーを背に丁寧に後ろへ戻すと、走り込んだFWルシアーノが右足を振り抜きゴール。ゴラッソコレチーボ。

試合概要、 所感 etc.

   サンパウロは、前半は足元でボールを繋ぐプレーが多く、アトレチコ・パラナエンセに帰陣の時間を与え、あまり攻撃の形を作ることが出来ない。守備面では前半11分、相手SBがボールを持った際の一列内側のスペース空けてしまい、難なく縦への突破を許し、フリーでクロスを上げられる。さらにはゴール前でも相手FWをフリーにするミスを重ね失点。
   しかし、前半19分には相手のクリアミスから同点に追いつき、同点で前半を終える。
   後半に入り、MFホドリギーニョとMFアリソンをピッチに投入。すると、前半の足元へのパスの繋ぎから、リードパスによる繋ぎが増えていく。すると、早くも後半2分、GKから4人の選手がボールを繋ぎ逆転。
   後半20分を過ぎ、アトレチコ・パラナエンセが攻撃の圧力を強めると、FWにフレッシュな選手を入れ高い位置でのプレスを活性化し、中盤にVOLヘギソン・メンデス(Jhegson Méndez, 1997)を投入。VOLヘギソン・メンデスは2022W杯2試合などを含め36試合の代表歴を持つ現役エクアドル代表だが、ドリヴァウ・ジュニオール監督の下では出場時間は限られていた。しかし、この試合では中盤の底で複数のパスカットやボール奪取をみせる活躍。その後もサンパウロは守備的な選手を投入し最後までアトレチコ・パラナエンセに決定的なチャンスを許さず逃げ切りに成功した。
   この結果、サンパウロは勝ち点を18に伸ばし、暫定でリベルタドーレス出場圏の5位に浮上。次戦は週末6月24日にアウェイで全国選手権第12節クルゼイロ戦が控える。

   アトレチコ・パラナエンセは、前半は中盤の速いチェックと素早い帰陣でサンパウロに攻撃の糸口を与えず、ボールを奪っては素早いパス交換で相手ゴールに迫る。すると、前半11分に早くも先制。
   しかし、前半15分、ディフェンダーのクリアミスをダイレクトにシュートに持ち込まれると、前半19分、相手のロングフィードを再びクリアミス。セカンドボールを拾われるとペナルティエリアにボールを送られ、シュートまで立て続けに持ち込まれ失点を喫する。
   同点に追いつかれると再び攻撃の圧力を強める。前半31分、FWクエージョ(Cuello, 2000)のシュートはGKの脇を抜けるがディフェンダーが戻りながら頭でクリア。前半35分にはMFヴィトル・ブエノがふわりと浮かせたシュートを放つがクロスバーに弾かれ勝ち越すことが出来ない。
   後半の立ち上がりにはサンパウロのGKからの速い攻撃に対応できず逆転を許す。
   その後攻撃的な選手を次々と投入するが、サンパウロの中盤での守備にパスミスが多くなり、効果的にボールをゴール前に運ぶことができず、試合終了。突然の監督交代の逆境を跳ね返すことが出来ず敗戦した。
   次戦は週末6月24日の全国選手権第12節コリンチャンスをホームに迎える。
   後半の立ち上がり、サンパウロのGKからの速い攻撃に対応できず逆転を許す。
   その後攻撃的な選手を次々と投入するが、サンパウロの中盤での固い守備にパスミスが多くなり、効果的にボールをゴール前に運ぶことができず、大きなチャンスを迎えることなく試合終了。突然の監督交代という逆境を跳ね返すことが出来ず敗戦した。
   次戦は週末6月24日の全国選手権第12節コリンチャンスをホームに迎える。

クルゼイロ(CRU) 0-1 フォルタレーザ(FOR)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=KZ8FehVCqvs
(FOR) : 80' #9 ルセロ(Lucero, 1991)[#27 カレビ(Calebe, 2000)]
(CRU) : N/A

見どころ

   クルゼイロは全国選手権4勝2分4敗勝点14の9位。
   最近は公式戦6試合に勝ち星がなく、コパ・ド・ブラジルを敗退、全国選手権では2分2敗と苦戦。ボール保持率が高く、シュートに持ち込む場面も多いが、得点を奪いきることが出来ず、一瞬の隙を突かれ失点する試合が続いている。VOLヒシャルジ(Richard, 1994)が第4節を最後に離脱してからプリメイロ・ボランチが固定できずにいることが一因か。
   攻撃面は上述の通りチャンスは多く作り出せている。組織的な攻撃もいいが、ミドルシュートや強引なプレーなど少し目先を変えたプレーを挟み、攻撃にアクセントをつけたい。
   フォルタレーザは全国選手権3勝5分2敗勝点14の11位。
   好調時に中盤から前線でチームを牽引したFWモイゼス(Moisés, 1996)が移籍のため5月末でチームを離れ、FW陣のケガ人も多く、3試合連続無得点を継続中。前節の首位ボタフォゴ戦ではボールを持てど攻撃の形を作ることができず、ボール保持率はほぼ互角ながら内容は完敗を喫した。
   今節もアウェイでの試合。勝ち星から遠ざかる中、守備的な布陣、内容になるのは理解できるが、前節のように攻撃の局面でストライカーのFWチアゴ・ガリャルド(Thiago Galhardo, 1989)が個人の孤軍奮闘で打開を図るような展開ではいただけない。週2試合のペースで試合が続き立て直しに苦労していたが、国際Aマッチデーによる10日間の小休止で組織的な攻撃が再構築されていることを願う。

得点シーン

(FOR)後半35分 :
自陣でパスカットしたSBチンガ(Tinga, 1993)がFWチアゴ・ガリャルド(Thiago Galhardo, 1989)にボールを預ける。FWチアゴ・ガリャルドはドリブルで前にボールを運び、MFカレビにパスを送ると、MFカレビは飛び出すGKの脇を抜けるパスをFWルセロに送る。FWルセロは並走するディフェンダーを尻目に無人のゴールにボールを蹴り込みフォルタレーザが先制点を奪う。
   FWルセロは今季コロコロ/CHIから加入したアルゼンチン国籍選手。州選手権やコパ・ド・ノルデスチでは計10試合9得点4アシストを記録したが、全国選手権開幕後にケガのため約3週間離脱。復帰後は以前の活躍が影を潜めていた。このゴールが全国選手権初ゴール。
   MFカレビは州選手権開幕後の2023年2月8日にアトレチコ・ミネイロから獲得。中盤で左足から攻撃を組み立てるプレーで監督の信任を得て全国選手権はこれまで全試合に出場し、初アシストを記録。

試合概要、 所感 etc.

   クルゼイロはこれまでの試合内容がこの試合でも再現。ボールを保持し、攻撃に人数をかけ、相手を上回る数のシュートを繰り出すもゴールを奪えない。
   前半21分には右SBウィリアン(William, 1995)のペナルティエリア手前からの柔らかいクロスにFWブルーノ・ホドリゲス(Bruno Rodrigues, 1997)がダイヴィングヘッドを敢行するもGKに阻まれ、前半43分にはMFネット・モウラ(Neto Moura, 1996)がミドルシュートを放つが惜しくもGKに片手で弾き出される。
   後半26分、CKからの流れで右サイドからのクロスボールにファーサイドでFWエンヒキ・ドウラード(Henrique Dourado)が足を合わせるがボールはゴールを越えていく。
   守備面では、前半からしばしばカウンターを受けるが、前半アディショナルタイムに一対二の決定的なシーンを迎えた(相手シュートは枠を越え事なきを得る)以外はしっかりと対応していた。しかし、後半35分に縦のパスをカットされたプレーを起点としたカウンターから失点を許し、その後も前がかりになったところを続けざまに危険なカウンターを受ける。
   試合は0-1の敗戦。これで7試合、1か月以上勝ち星から見放されることとなった。
   次戦は週末6月24日全国選手権第12節サンパウロをホームに迎える。

   フォルタレーザは、ボールを相手に持たれながらも、しっかりと守ってカウンターを狙う作戦が嵌り、カウンターやセットプレーで前半からしばしば相手ゴールに迫る。前半アディショナルタイムには自陣からのボールにFWギリェルミ(Guilherme, 1995)がディフェンダーに競り勝ち、ニ対一の決定的なシーンに持ち込む。しかし、、FWギリェルミのシュートは大きく枠を越えてしまう。
   後半に入っても前半同様の展開が続くが、後半20分を過ぎると少しオープンな展開となり、フォルタレーザが相手ゴールに迫る回数も増えていく。すると、後半35分、自陣でのパスをカットを起点としたカウンターから先制。その後も自陣でしっかりとブロックを作って守り、カウンターから相手ゴールを脅かす。先制後は、追加点こそ奪えなかったものの、危なげのない展開で1-0の逃げ切りに成功。
   この勝利でフォルタレーザは勝ち点を17に伸ばし暫定8位。リベルタドーレス出場圏となる6位までの勝点差は僅かに1。
   週末6月24日全国選手権第12節、ホームでのアトレチコ・ミネイロ戦が控える。
   FWチアゴ・ガリャルドが攻守に存在感を発揮。相手のセットプレーでは高さを活かしクロスボールを跳ね返し、攻めては多くのカウンターに絡む。また、後半20分にピッチに立ったMFカレビがカウンターの精度を上げる。この2人が絡んだカウンターでこの試合唯一のゴールをマークした。

サントス(SAN) 0-2 コリンチャンス(COR)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=AsJZbFxs1p8
(COR) : 19' #9 ユーリ・アウベルト(Yuri Alberto, 2001)[#33 フアン(Ruan, 2000)]
(COR) : 27' #33 フアン(Ruan, 2000)[]
(SAN) : N/A

見どころ

   サントスは全国選手権3勝4分3敗勝点13の13位。
   最近の公式戦8試合に勝ち星がなく5分3敗4得点8失点。前節の最下位コリチバ戦も相手が得点機に上回り何とか勝ち点1を獲得したと言える内容だった。
   最近では全国選手権第7節パウメイラス戦(0-0)、第9節インテルナシオナウ戦(1-1)での、相手の長所を消し、手数を掛けずに相手ゴールに迫る展開がベストか。しかし、今節の対戦相手コリンチャンスも攻撃面に問題を抱え、守備的な試合が続いている。クラシコと呼べるだけの熱い試合展開を期待したいが、いかほどに。
   コリンチャンスは全国選手権2勝3分5敗勝点9の16位。
   前節では前半に攻撃の要MFヘナト・アウグスト(Renato Augusto, 1988)がケガを再発。するとFWホージェル・ゲデス(Róger Guedes, 1996)が前後左右に走り回り、味方のプレースペースを窮屈にする以前の展開が顔をのぞかせる。試合は約1000日ぶりの試合出場を果たした苦労人MFフアン(Ruan, 2000)のゴールで同点に持ち込んだが、ホームでの試合を低調な内容で終えた。
   ルシェンブルゴ(Luxemburgo)監督は就任以降、シーズン当初には起用されることが少なかった下部組織出身選手を中心とした若手選手を多く起用。勝利という結果には繋がっていないが、個々のプレーでは結果を残しつつある。あとは、若手選手を起用するだけでなく、もう少し組織的に整備されたサッカーで若手選手の経験と自信を深める采配を期待したい。

得点シーン

(COR)19分 :
敵陣右サイドでボールを数本回し、FWホージェル・ゲデスがペナルティエリアゴールライン際にスルーパスを要求するMFフアンにスルーパス。MFフアンは間合いを詰めるGKの脇を抜くマイナスのクロス。FWユーリ・アウベルトがダイレクトにボールを蹴り込みコリンチャンスが先制。
  FWユーリ・アウベルトはサントス下部組織出身、2018年1月に16歳でサントスからデビュー。2020年に8月にインテルナシオナウに移籍しゼニト/RUSを経て2022年7月にコリンチャンスに入団。2023年3月にはモロッコとの親善試合で代表デビューを果たす。今季はこれまで不振が続き、このゴールが5月8日全国選手権第4節フォルタレーザ戦以来公式戦11試合ぶりの得点、全国選手権では2得点目(1アシスト)となった。
(COR)前半27分 :
敵陣左サイドからのFK。MFフアンが蹴ったボールは、GKに向かい、相手ディフェンダーの頭に触れゴールイン。
   前節で約1000日ぶりとなる試合出場を果たしゴールを決めたMFフアンだが、今節も1得点1アシストを記録。今季は2試合82分の出場で2得点1アシストとなった。

試合概要、 所感 etc.

   サントスは立ち上がりから押し込まれ、GKジョアン・パウロ(João Paulo, 1995)の好セーブや相手のオフサイドに助けられるものの、前半19分にあえなく失点。失点後間もなくの前半21分にFWメンドーサ(Mendoza, 1992)がゴールネットを揺らすが、その過程にハンドの反則がありゴールが取り消されると、前半27分に追加点を奪われる。その後、ベネズエラ代表FWソテウド(Soteldo, 1997)やU-20代表FWマルコス・レオナルドが相手ゴールを脅かすが得点を奪えず前半を終える。
   後半8分のFWマルコス・レオナルドのヘディングシュート、後半13分のVOLドッジ(Dodi, 1996)のミドルシュートはどちらも枠を捉えるがGKカシオの好セーブに得点を奪えない。さらに後半16分、18分とFWメンドーサが起点となりゴールに迫るがシュートは枠を捉えない。その後は大きなチャンスを迎えることなく時間が経過。
   試合はサントスサポーターが火薬類をピッチに投げ込み、安全が保てないことから主審は後半44分に試合終了を宣告。
   サントスは5月14日の全国選手権第6節ヴァスコ・ダ・ガマ戦の勝利以来、公式戦9試合、全国選手権5試合に勝ち星から遠ざかる。オダイール(Odair)監督は結果の出ない現状のスタイルを大胆に変更する必要があるのかもしれない。

   コリンチャンスは、これまでなかなかゴールを奪えていなかったFWユーリ・アウベルトが前半5分の左からのクロスを頭に合わせ(GKが阻止)、前半14分は右サイドを抜け出しシュート(枠外)、そして前半19分にゴールをマーク。後半10分にもライナー性のクロスに頭を合わせ(ゴールポスト直撃)るなど積極的にゴールを狙う。これまで窮屈なプレーが多く、シュート数も多くなかったが、この試合を機にどん欲にゴールを狙い、得点を重ねチームに好影響をもたらしたい。
   元ブラジル代表(2018W杯など)SBファギネル(Fagner, 1989)、U-20代表MFギリェルミ・ビロ(Guilherme Biro, 2004)、MFフアンが右サイドを支配、FWホージェル・ゲデスはFWユーリ・アウベルトとの距離をとったプレーでFWユーリ・アウベルトのシュートを引き出していくなど、攻撃では今後に向け明るい兆しが見え始める。
   守っては元ブラジル代表(2018W杯など)守護神GKカシオ(Cássio, 1987)がサントスのシュートを堅実なプレーでことごとく処理。
   試合はサントスサポーターのグランドへ火薬類の投げ込み後半44分にタイムアップ。2-0の快勝。勝ち点3を積み上暫定ながら降格圏から勝ち点4の猶予を作った。
   次戦は週末6月24日の全国選手権第12節アウェイでのアトレチコ・パラナエンセ戦。今節の2得点がフロックでないことを証明したい。

フルミネンセ(FLU) 1-1 アトレチコ・ミネイロ(CAM)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=u3aj497YT2Y
(CAM) : 35' # オウンゴール(Gol Contra)[]
(FLU) : 45+1' #2 サムエウ・シャヴィエル(Samuel Xavier, 1990)[]

見どころ

   フルミネンセは全国選手権5勝2分3敗勝点17の5位。
   対戦相手による研究と相次ぐケガ人に州選手権優勝の勢いが衰えている。高い戦術理解とポリヴァレント性で今季急成長したVOLアレキサンデル(Alexsander, 2003)のケガによる戦列離脱後は9試合で2勝2分5敗。左SBマルセロ(Marcelo, 1988)もケガのためベンチ外が続き、代表初招集のCBニノ(Nino, 1997)は前節の試合中にケガで交代し、代表を辞退。今節は代表でチームを離れたVOLアンドレ(André, 2001)もベンチ入りが難しく、チームとして台所事情の苦しい状況が続く。
   相手チームに関係なく自らの理想のスタイルを貫くサッカーだが、苦しい台所事情で今節はどのような選手起用でどのような采配を見せるだろうか。
   アトレチコ・ミネイロは全国選手権5勝3分2敗勝点18の4位。
   前節はFWフッキ(Hulk, 1986)の出場停止、少し出場機会の遠ざかる選手が複数起用される。比較的大きなメンバー変更にも関わらず試合を優位に進めるものの、少し不運な判定などもあり引き分けに終え、首位ボタフォゴとの勝点差が6に開いた。
   前節の試合後にエドゥアルド・クーデ(Eduardo Coudet)監督が辞任。6月16日ルイス・フェリピ・スコラーリ(Luiz Felipe Scolari)氏の就任が発表された。クーデ監督の戦術が嵌り始めていただけに、この監督交代がどのような影響を及ぼすかは予測できないが、クーデ監督はあまり選手を固定せず、多くのポジションにスタイルの異なる選手を起用していたので、選手層的には不安はない。

得点シーン

(CAM)前半35分 :
左サイドからSBギリェルミ・アラーナ(Guilherme Arana, 1997)がクロス。ニアサイドでディフェンダーの頭をかすめたボールがファーサイドのディフェンダーに当たりゴールイン。アトレチコ・ミネイロがラッキーな形で先制点を奪う。
   2022W杯代表の有力候補ながら膝の大ケガで9か月間戦列を離れ2023年6月6日のリベルタドーレスで復帰を果たした左SBギリェルミ・アラーナが全国選手権初先発を果たし90分をフル出場。スピードと切れ味の鋭い動きを取り戻し復帰3戦目でゴールに絡むプレーを披露。再び代表を目指してもらいたい。
(FLU)前半45+1分 :
ペナルティエリア手前左からのMFガンソ(Ganso, 1989)のFKはディフェンダーがクリア。これをペナルティエリア手前中央で拾ったSBサムエウ・シャヴィエルがシュート。これがゴールネットに突き刺さりフルミネンセが同点に追いつく。
   SBサムエウ・シャヴィエルは2021年にフルミネンセに加入し3年目のシーズン。豊かな経験に基づいた的確なプレーで右サイドで攻守にチームを支える。この試合でのゴールが今季2点目、全国選手権では初ゴール。

試合概要、 所感 etc.

   フルミネンセは、ケガのために代表招集を辞退したCBニノ(Nino, 1997)、前日のリスボンでの代表戦後半に出場したVOLアンドレ(André, 2001)がスターティングイレブンに名を連ねる一方、コロンビア代表FWジョン・アリアス(Jhon Arias, 1997)はベンチ外。
   試合はこの試合も自陣で素早いプレスにあい長所を消される苦しい展開。両サイド(特に右サイド)や中央から次々にシュートに持ち込まれるが、GKファビオ(Fábio, 1980)が堅実なプレーでシュートを阻止。しかし、前半35分に不運な形のオウンゴールで先制を許す。
   相手ゴールになかなか迫ることが出来ないが、前半終了間際に獲得したCKから同点に追いつき、前半を終える。
   後半に入っても試合内容を好転させることができず、後半3分、7分、19分と相次いGKファビオがビッグセーブ。後半25分を過ぎて交代のカードを切り、FWに代え中盤を厚くするとボールを回す時間が増える。後半37分にMFピラーニのGKに向かうシュート気味のクロスにFWヘルマン・カーノが飛び込むが僅かに届かず、ボールはGKエヴェルソン(Éverson, 1990)がしっかりとキャッチ。後半の大きな見せ場はこのプレーの他は僅かにとどまり、試合はタイムアップ。
   GKファビオが6本もの決定的なシュートを阻み何とか勝ち点1を獲得した。
   マルセロ(Marcelo, 1988)、アレキサンデル(Alexsander, 2003)に続き、本職は右SBながら左SBでの起用が続いたグーガ(Guga, 1998)も後半に負傷交代。相次ぐケガ人と長所を消される試合が続き、最近の公式戦は10試合で2勝3分5敗。苦しい試合が続く。
   次戦は週末6月24日全国選手権第12節ホームでのバイーア戦。累積警告でVOLアンドレが出場停止となる。

   アトレチコ・ミネイロは、ルイス・フェリピ・スコラーリ(Luiz Felipe Scolari)監督の初采配試合。布陣は前監督のベースを踏襲しつつ、CBにはブルーノ・フッキス(Bruno Fuchs, 1999)とジェメルソン(Jemerson, 1992)を起用。ウルグアイ代表でレーモス(Lemos, 1995)が不在となった影響もあるが、ビルドアップではなく高さや一対一の強さを優先させた起用に感じられた。
   また、左SBに攻撃的なギリェルミ・アラーナが今季初スターティングイレブンに名を連ね、右SBには比較的守備的なマリアーノ(Mariano, 1986)を起用。
   試合は前半から守備ラインを高い位置に敷き、相手陣でプレスをかけ相手の長所を消していく。自陣にボールを持ち込まれても堅固な2ラインで中を固め、ボール奪取からカウンターを狙う。すると前半10分、22分にはカウンターから、前半24分には高く敷かれた守備ラインからの攻撃でシュートまで持ち込む。
   前半35分、左サイドからSBギリェルミ・アラーナのクロスが相手のオウンゴールを誘発し先制。前半42分には自陣からのカウンターからFWフッキ(Hulk, 1986)がシュートを放つがボールは枠を越えていく。
   試合を優位に展開していくが、前半45+1分にFKからの流れでゴラッソを決められ、1-1の同点で前半を終える。
   後半3分のFWパボン(Pavón, 1996)の巻き込むシュート、後半6分のライナー性のクロスを合わせたFWパウリーニョ(Paulinho, 2000)のシュート、後半19分のペナルティエリア内右から右SBマリアーノがフリーでシュートを放つが、いずれもフルミネンセGKファビオに阻まれる。
   後半も前半同様に、時間帯によって高い位置でのプレスと自陣での固い守備ブロックからカウンターを狙う展開を使い分け、終了間際の数分間を除き、ほぼ試合を支配。左右サイドからの攻撃、ミドルシュート、カウンター、敵陣で細かくボールを繋いだ攻撃など、攻撃のバリエーションも多かったが、相手GKの好守にゴールを奪えず試合は1-1で終了。
   勝ち越すことは出来なかったが、いい形で攻撃を作り、安定した守備を見せた。恐らくこのメンバーがルイス・フェリピ・スコラーリ監督の優先となると思われるが、各ポジションにスタイルの異なる選手が控えている。
   次戦6月24日全国選手権第12節フォルタレーザ戦にどのような布陣でどのような選手起用が行われるか興味が尽きない。、

バイーア(BAH) 1-0 パウメイラス(PAL)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=C6nbZ6muN2s
(BAH) : 90+3' #28 タシアーノ(Thaciano, 1995)[]
(PAL) : N/A

見どころ

   バイーアは全国選手権2勝3分5敗勝点9の15位。
   公式戦8試合に勝ち星がない。シーズン前は将来性を見込む若い選手を中心に獲得をすすめ、下部組織からの内部昇格やシティフットボールグループ内のブラジル人若手選手をレンタルで引き受けた選手構成。ところが、他チームと比べても若手選手を多く起用するわけでもなく、試合に起用される選手はかなり固定化されてきており、クラブの取り組みが理解しかねる状況になっている。
   そんな中、前節は相次ぐケガによるレギュラーの離脱の中、チャンスを得た若手選手が得点に絡みクルゼイロと2-2の引き分け。6試合ぶりの複数得点を記録した。
   今節はどのようなコンセプトで選手を起用するのだろうか。   
   パウメイラスは全国選手権6勝4分0敗勝点22の2位。唯一無敗を保つ。
   前節は相手のミスを突き2得点をあげ、拮抗した試合で勝ち点3を獲得する試合巧者ぶりを発揮。
   今節は代表に招集されたGKウェヴェルトン(Weverton, 1987)、MFハファエウ・ヴェイガ(Raphael Veiga, 1995)、FWホニ(Rony,1995)の出場の有無は分かりかねるが、チーム内で戦術が共有されており、誰が代わりを務めても不安は少ない。
   この試合後中3日で首位ボタフォゴとの直接対決が控えているだけに、この試合は早い時間帯にセーフティリードを奪い、代表帰りの選手を短い時間投入し実戦で連係を深めたい。

得点シーン

(BAH)後半45+3分 :
相手陣中央をディフェンダーに囲まれ、ボールを奪われそうになりつつもMFカウリー(Cauly, 1995)がドリブルで前に進み、最後はペナルティエリア手前でボールコントロールを失うが、こぼれ球をMFダニエウがダイレクトにシュート。GKが弾いたところをVOLタシアーノがゴールネットに突き刺しバイーアが先制。
   VOLタシアーノは2023年3月31日にグレミオからの完全移籍でバイーアに再加入。中盤の各ポジションをこなすポリヴァレント性を持ち、今季バイーアで攻守に中心的な役割を果たしている。このゴールで今季全国選手権10試合2得点3アシスト。
   MFカウリーはバイーア州出身だが11歳からドイツで暮らしドイツ下部リーグでプロデビュー、ブルガリアの強豪ルドゴレツ・ラズグラドを経て2023年2月上旬にバイーアが230万ユーロ(約3億3千万円)の移籍金で獲得。チームが勝てない時期はサポーターからの批判が集中したが、このゴールはカウリーの個人技を起点としたゴール。今季はこの試合終了時点で24試合6得点3アシストを記録している。

試合概要、 所感 etc.

   バイーアは立ち上がりから相手陣にボールを送ろうとするが、早いマークに攻め手がなく自陣でボールを回す展開が続く。それでも、度々相手陣ゴールライン際までボールを運びクロスを上げる。しかし、前半10分を過ぎるころになると、パウメイラスにボールを握られるようになり、前半20分を過ぎるころにはパウメイラスに試合の主導権を握られる。
   前半アディショナルタイムには自陣でのパスミスからピンチを招くが、GKマルコス・フェリピ(Marcos Felipe, 1996)ゴールライン上でボールを押さえ掻き出しゴールを許さない。
   後半に入っても相手に主導権を握られる状況を変えることが出来ない。後半12分、決定的なシーンを作られるがGKマルコス・フェリピが間合いを詰めフットサルのようなディフェンスでシュートを防ぐ。
   後半24分、バイーアもカウンターを発動。自陣で相手ボランチからボールを奪い一気に相手ゴールへ。5人対3人の状況を作るが放ったシュートはディフェンダーをかすめゴール枠外へ。この試合最大のチャンスを不意にする。
   しかし、試合終了目前の後半45+3分、MFカウリーの個人技から最後はVOLタシアーノが決めた勝ち越しゴール。ここまで全国選手権無敗のパウメイラスに土をつける勝利を収めた。
   この勝利は公式戦9試合ぶりの勝利、勝ち点を12に伸ばした。
   次戦は週末6月24日全国選手権第12節アウェイでフルミネンセとの対戦。

   パウメイラスは代表に招集されたGKウェヴェルトン(Weverton, 1987)、SBピケレス(Piquerez, 1998)、MFハファエウ・ヴェイガ(Raphael Veiga, 1995)、FWホニ(Rony, 1995)がベンチ外。それぞれGKマルセロ・ロンバ(Marcelo Lomba, 1986)、SBヴァンデルラン(Vanderlan, 2002)、MFブルーノ・タバタ(Bruno Tabata, 1997)、FWエンドリッキ(Endrick, 2006)が先発に名を連ねる。
   前半の立ち上がりこそバイーアのパス回しに後手に回ったものの、次第にペースを掴んでいき、前半半ばには試合の主導権を握る。代表戦の影響でチャンスを得た選手も安定したプレーをみせる。しかし、この試合のパウメイラスは主導権を握るものの、シュートに持ち込む場面がいつもよりも少なく、シュートもいつもの精度を欠く。前半終了間際に一度はゴールの判定が下されたシュートが、ボールのほんの一部がゴールラインを割っておらず取り消されるなど、0-0のまま前半を終える。
   後半も試合の主導権を握り、後半12分、FWドゥドゥ(Dudu, 1992)のシュートはバイーアGKマルコス・フェリピに阻まれ、ゴールに至らない。後半31分にも途中交代出場のMFルイス・ギリェルミ(Luis Guilherme, 2006)がCKのこぼれ球をペナルティエリア入口から強烈なシュートを放つが、再びGKマルコス・フェリピが立ちはだかる。
   ゴールを奪えないまま迎えた後半アディショナルタイムに、個人技でボールをゴール前に運ばれ失点。勝てば暫定ながら首位に立つことが出来たが、翌日に試合を迎える首位ボタフォゴとの勝点差を詰めることができない痛い敗戦を喫した。
   次戦は週末6月25日全国選手権第12節、勝点差5で追う首位ボタフォゴとホームでの一戦。今節組めなかった今季のベストメンバーで挑み、勝ち点3を勝ち取らなければならない。

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