クラブ別2022年振り返り:アトレチコ・パラナエンセ (Athletico Paranaense)

投稿者: | 2022年11月30日

アトレチコ・パラナエンセ ブラジルリーグ ブラジル選手権 ブラジルサッカー ブラジルサッカークラブ  Athletico Paranaense

アトレチコ・パラナエンセ (Athletico Paranaense)

正式名称:Club Athletico Paranaense

略称:CAP

創立:1924年

本拠:パラナ州 クリチバ

《 主要タイトル 》

タイトル優勝回数優勝年
ブラジル全国選手権12001
コパ・ド・ブラジル12019
コパ・スウアメリカーナ22021, 2018

《 直近3年成績(2020年-2022年) 》

大会2022年成績2021年成績2020年成績
ブラジル全国選手権6位14位9位
コパ・ド・ブラジル準々決勝敗退準優勝ベスト16敗退
コパ・リベルタドーレス準優勝ベスト16敗退
コパ・スウアメリカーナ優勝
パラナ州選手権準決勝敗退準決勝敗退優勝
ヘコパ・スウアメリカーナ準優勝
スーペルコパ・ド・ブラジル準優勝
各大会の概要は、当ブログ記事「主要大会と年間日程」を参照ください。

《 全国選手権 順位推移(2006年-2022年) 》

現行レギュレーション(20チームによるホーム&アウェア方式2回戦総当たり)で開催された2006年以降の全国選手権順位推移です。

《 2022年 》

<戦績>

大会試合
勝数引分
敗数得点失点得失
点差
勝点率
(%)
順位
コパ・リベルタドーレス136431512356.4準優勝
全国選手権381610124848050.96位
コパ・ド・ブラジル6411135872.2準々決勝敗退
州選手権156632214853.3準決勝敗退
へコパ・スウアメリカーナ201124-216.7準優勝
   74322220100831753.2

<全国選手権 年間順位推移>

<振り返り>

【監督人事、補強、州選手権】

 2021年10月に監督に就任したアウベルト・ヴァレンティン(Alberto Valentim)氏が、2022年も継続して指揮を執る。2021年チーム内得点ランキング1位のカイゼル(Kayzer)、同2位のニカォン(Nikão)が退団し、補強もままならないままシーズンに突入する。 
 シーズン最初の大会は州選手権。1stラウンドを4勝3分1敗の3位で突破。
 州選手権開催中の2月23日、3月2日に行われたヘコパ・スウアメリカーナは、パウメイラスを相手に初戦を2-2の引き分けで終えるも、2ndレグは0-2で敗れタイトルを逃す。
 州選手権に戻り準々決勝は全国選手権2部のロンドリーナを相手に1勝1敗の末PK戦でなんとか準決勝に進出。しかし、準決勝はコリチバを相手に1勝1敗の末、PK戦で敗退。
 州選手権終了後に、冬の欧州ウィンドーで移籍したビチーニョ(Vitinho)がディナモ・キエフ/ウクライナから復帰、後に2022W杯でウルグアイ代表に選出されるFW/ATAカノービオ(Canobbio)、すでにレンタル移籍でブラジル国内で実績のあるアルゼンチン人FW/ATAクエージョ(Cuello)、そして、クルゼイロからクラブ史上最高額の移籍金で獲得したFW/ATAヴィトル・ホッキ(Vitor Roque)など、将来性のある若手を積極的に補強。
 一方で、前年の東京五輪で全試合フルタイム出場を果たし、チームでも絶対的な守護神としてゴールを守ったサントス(Santos)の退団が発表される。
 4月10日に迎えた全国選手権開幕節、チームはうまく機能せずサンパウロを相手に0-4の完敗。試合終了後にアウベルト・ヴァレンティン監督が解任。後任に全国選手権優勝実績のあるファビオ・カリーリ(Fábio Carille)氏が就任しチームの再建を託す。
 4月13日からファビオ・カリーリ監督が指揮を執るが、自身7試合目のリベルタドーレス第3節(5月3日)のザ・ストロンゲスト/ボリビア戦で0-5の大敗を喫し、決勝ラウンド進出に黄信号が灯り解任。ファビオ・カリーリ監督は3勝4敗勝点率42.9%、在任期間21日はクラブ史上最短記録となった。
 後任監督として、実績もさながら若手の育成にも定評のあるルイス・フェリペ・スコラーリ(Luiz Felipe Scolari)氏に託す。

【全国選手権】

 ルイス・フェリペ・スコラーリ監督は、就任直後は次のような戦術を採用。相手の組み立ての局面では4バックは高い位置を取り、中盤をコンパクトに保ち、相手陣でアグレッシブにプレスを仕掛ける。自陣にボールを運ばれると、前線の選手に素早く自陣まで戻り守備陣を助ける動きを求める。相手陣でボールを奪うと少ないタッチでゴールに迫り、自陣からの組み立てではシンプルにボールをFW/ATAに合わせ、そこからサイドに展開、サイドで数的有利な状況を作り相手ゴールに迫る。
 選手権初戦の第6節(5月14日)フルミネンセ戦は1-2で敗れ順位を15位まで落とすが、続く2戦を連勝し5月を終えると、カップ戦を含み計17試合が組まれる6・7月を9勝6分2敗(うち選手権は6勝4分2敗)とし、順位を4位まであげる。
 8月以降はリベルタドーレスとの両睨みのため思うように勝ち点を積み上げられず、また、選手権最終順位の上位5チームを相手に1勝4敗と力負けするが、何とか翌年のリベルタドーレス グループラウンドからの出場圏内の6位で選手権を終えた。
   選手権前半 :   9勝 4分 6敗、得点24失点20
   選手権後半 :   7勝 6分 6敗、得点24失点28
   選手権合計 :  16勝10分12敗、得点48失点48

【コパ・ド・ブラジル】

 リベルタドーレス出場のため、コパ・ド・ブラジルは3rdラウンドから。
 3rdラウンドは全国選手権4部のトカンチノポリスを相手に、1stレグ:5-2、2ndレグ:4-0、計:9-2で退ける。
 4thラウンド(ラウンド16)は、全国選手権2部のバイーアとの対戦。1stレグ、2ndレグともに2-1で退け、準々決勝に駒を進める。
 準々決勝の相手はフラメンゴ。
 1stレグ(7月27日)は、敵地マラカナンでの一戦。5バックぎみに低い位置でブロックを作りディフェンスを固める。ボール保持率25%:75%、シュート数4-22(枠内シュート0-6)と試合を支配されるが、フラメンゴのシュートが3度ゴール枠に嫌われ、右SB/LADケウヴィン(Khellven)のゴールライン上でのクリアや、GK/GOLベント(Bento)の好守もあり、ほぼ戦前のプラン通り引き分けで終える。
 8月17日にホームで行われた2ndレグ。1stレグに続きボールを支配されるが、ボールを奪うとCF/CAパブロ(Pablo)にボールを預けカウンターを仕掛け得点のチャンスをうかがう。後半12分、左ゴールライン際からのマイナスのクロスを中央でダイレクトにあわされ失点。その後も劣勢を覆すことができず、コパ・ド・ブラジルは準々決勝で敗退。

【リベルタドーレス】

 比較的に相手に恵まれたように思われたグループラウンド。
 ところが、初戦のカラカスFC/ヴェネズエラ戦をスコアレスドローに終えると、第2節では予選ラウンドを勝ち上がってきたザ・ストロンゲスト/ボリビア戦に1-0の辛勝。第3節リベルタ/パラグアイ戦を0-1で落とすと、第4節もザ・ストロンゲスト/ボリビア戦に0-5と大敗を喫し、試合後にファビオ・カリーリを解任、決勝ラウンド進出に暗雲が立ち込める。
 しかし、後任のルイス・フェリペ・スコラーリ監督がチームを建て直し、第5節、第6節を連勝。なんとかグループ2位で決勝ラウンドに進出する。
 決勝ラウンド1回戦(ベスト16)の相手は抽選の結果、グループラウンド同組で2度の対戦を1勝1敗の五分で終えたリベルタ。
 1stレグ(6月28日)ホームでの一戦。前半6分の17歳FW/ATAィトル・ホッキのゴールと後半34分の右FKからのCB/ZAGニコ・エルナンデス(Nico Hernández)のゴールで2-1と先勝。
 2ndレグ(7月5日)はホームのリベルタが優位に試合を進めると、前半アディショナルタイム、PA付近のドリブルに4人のディフェンダーが抜かれ失点を喫する。後半もリベルタが主導権を握り、アトレチコもカウンターで応戦する展開が続く。準々決勝進出をPK戦に委ねるかと思われた後半44分、ケウヴィンが右サイドからのFKをホムロ(Rômulo)が頭で合わせる。一度はGK/GOLに防がれるがこぼれたボールを再びホムロが右足で押し込み、2試合合計3-2で準々決勝への進出を決めた。
 準々決勝の相手はエストゥジアンテス/アルゼンチン。
 1stレグ(8月4日)。ホームのアトレチコが優位に試合をすすめるが、なかなかゴールが奪えない。後半35分、ケウヴィンのクロスをベテランCB/ZAGエラーノ(Helano)が頭でゴールに叩き込む。しかし、VARの結果、ケウヴィンがオフサイドのポジションに位置していた判定されノーゴール。ボール保持率67%、シュート22-10ながら枠内シュートは3-3と決定力に欠け、ホームでの1stレグをスコアレスドローで終える。
 2ndレグ(8月11日)。ホームチームに主導権を握られるが両チーム無得点のまま前半を折り返す。後半13分、相手CKからの流れでゴールネットを揺らされる。しかし、オフサイドの位置にいた選手がプレーに関与したとVARで判定されノーゴール。後半アディショナルタイムにはカウンターからGK/GOLと一対一に持ち込まれるが、相手シュートは枠を外れ窮地を逃れる。
 両チームとも点が入らないまま準決勝進出をPK戦に委ねるかと思われた後半45+6分、17歳の若者がアウェイのスタジアムに静寂をもたらす。
 PA内左でヴィチーニョがボールをキープ。ヴィトル・ホッキがパスを受けるかのように一度ゴール前からPA入口付近まで下がると、相手CB/ZAGがその動きについてくる。そこにできたスペースにヴィトルが再び上がると、ヴィチーニョがふわりと浮かしたパスを送る。ヴィトルが頭で合わせるとボールはゴールに吸い込まれる。アトレチコが終了間際の劇的な得点で準決勝進出。 
 リベルタドーレス準決勝の相手は三連覇を目指すパウメイラス。
1stレグ(8月30日)。前半23分、PA内でのヴィトル・ホッキの粘りから、ゴール前に詰めていたアレックス・サンタナ(Alex Santana)がこの試合唯一となる得点をあげる。
 9月6日の2ndレグ。1stレグのアドヴァンテージをひっくり返され、2-0で迎えた後半19分。PA外からフェルナンジーニョ(Fernandinho)がゴールポスト左ゴールライン際に走りこむヴィチーニョへ浮き球のパス。ヴィチーニョはダイレクトでクロス。流れたボールを右ゴールライン際からヴィトル・ホッキが中央に折り返すと、パブロがフリーでボールを押し込み、2試合合計で同点に追いつく。さらに後半40分、PAから下がりボールを受けたパブロが右にボールをはたくと、そこに走りこんだテランスがPA外から右足を振り抜き、ゴールネットを揺らした。これが2試合合計での決勝点となり決勝に駒を進める。
 リベルタドーレス決勝戦。エクアドルのグアヤキルにて一発勝負の戦い。相手はコパ・ド・ブラジルで苦杯をなめたフラメンゴ。現地時間10月29日15:00キックオフ。
 アトレチコは自陣で4バックを敷き、相手のタレント豊富な中盤をマンツーマンでマークし自由を奪う。3トップがプレスバックを効果的に行い、ボールを奪うと手数をかけずに相手ゴールに迫る。前半20分頃までは、相手にボールを持たせるもののチャンスはアトレチコが多く作る。
 前半28分、厳しいマークが光っていたCB/ZAGペドロ・エンヒキ(Pedro Henrique)が後ろからのチャージでイエローカードを貰うと、前半44分にはボールを追う相手を後ろからのスライディングで倒し、この日2枚目のカードを提示され退場。この退場でプランが崩れると前半アディショナルタイムに失点。後半は相手に主導権を握られ守備に奔走。効果的な反撃を行えずそのまま0-1でタイムアップ。準優勝でリベルタドーレスの幕を閉じた。
  ※この試合の様子は別記事「2022年コパ・リベルタドーレス決勝 フラメンゴ vs. アトレチコ・パラナエンセ」をご覧ください。

<チーム内個人成績・記録>

* 参照元:サッカーサイト「Ogol」

記録選手公式戦計全国選手権リベルタ
ドーレス
ブラジル
州選手権ヘコパ
最多試合出場テランス (Terans)
– FW/ATA
533112442
(2位タイ)ベント (Bento)
– GK/GOL
523313600
(2位タイ)ペドロ・エンヒキ (Pedro Henrique)
– CB/ZAG
522812552
(2位タイ)アビネル (Abner)
– 左SB/LTE
522812552
最多出場時間ベント (Bento)
– GK/GOL
46802970117054000
(2位)ペドロ・エンヒキ (Pedro Henrique)
– CB/ZAG
431523081034347446180
(3位)アビネル (Abner)
– 左SB/LTE
416621071035395450179
最多得点テランス (Terans)
– FW/ATA
17122021
(2位)パブロ (Pablo)
– FW/ATA
1143310
(3位)ホムロ (Rômulo)
– FW/ATA
911160
最多アシストテランス (Terans)
– FW/ATA
943200
(2位)アビネル (Abner)
– 左SB/LTE
622020
(3位タイ)クエージョ (Cuello)
– FW/ATA
541000
(3位タイ)ペドロ・ホッシャ (Pedro Rocha)
– FW/ATA
520300
(3位タイ)ホムロ (Rômulo)
– FW/ATA
520021
(3位タイ)ケウヴィン (Khellven)
– 右SB/LTD
520300
最多デュエル勝利ペドロ・エンヒキ (Pedro Henrique)
– CB/ZAG
134
(2位)クエージョ (Cuello)
– FW/ATA
118
(3位)エリキ (Erick)
– MF/MEI
114
最多キーパステランス (Terans)
– FW/ATA
38
(2位)アビネル (Abner)
– 左SB/LTE
32
(3位)クエージョ (Cuello)
– FW/ATA
28
最多CBIペドロ・エンヒキ (Pedro Henrique)
– CB/ZAG
193
(2位)マテウス・フェリペ (Matheus Felipe)
– CB/ZAG
122
(3位)ケウヴィン (Khellven)
– 右SB/LTD
106
※
デュエル勝利 : 一対一でのイーブンボールの奪い合いでボールを獲得すること
キーパス : パスの受け手がシュートを打てた時にカウントされる指標
CBI : クリア、ブロック、インターセプト

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