ペドリーニョ・サントス(Pedrinho Santos)【ペドロ・エンヒキ (Pedro Henrique)】

投稿者: | 2022年11月28日
最新更新日 : 2024/08/22
更新履歴 : 2024/08/07, 2023/12/21, 06/29, 05/03, 03/11

ペドロ・エンヒキ ペドリーニョ 逸材 若手 ブラジルサッカー コリンチャンス

ペドロ・エンヒキ・シウヴァ・ドス・サントス

Pedro Henrique Silva dos Santos

ポジション:フォワード/アタカンチ

利き足:右

2006年2月5日生まれ

<クラブ経歴>

≪育成時代≫

 9歳でコリンチャンス下部組織のフットサルチームに入団。多くのゴールだけでなく華麗な足技でも注目を浴びる。
 入団当初は、毎朝5時半に家を出て一人でバスと地下鉄を乗り継ぎ学校とトレーニングに行き、家に帰り着くのは毎晩遅くになったという。
 2021年には、14歳にして2つ上のカテゴリーとなるU-17チームでプレー。
 2022年は15歳ながらU-20チームでプレー。
 1月に開催されるU-20全国大会のカップ戦では1ゴールをマーク。その後は太ももと足首のケガ、ヘルニアの手術や代表招集もありコリンチャンスU-20チームでの試合から遠ざかるが、7月に復帰すると9月にはU-20全国選手権準決勝で試合終了間際の勝ち越しゴールを決めるなど存在感を示す。
 3月にはコリンチャンスと契約期間3年のプロ契約を結び、5000万ユーロの契約違約金が設定された。(翌2023年4月5日契約を更新。契約期限2026年3月末、契約違約金1億2000万ユーロ)

≪コリンチャンス≫

– 2023 –

 2023年3月4日、州選手権予選ラウンド第12節サントアンドレ戦、ユーリ・アウベルト(Yuri Alberto, 2001)と交代で試合に出場。トップチームでのデビューを果たす。
 2023年4月19日に試合後にフェルナンド・ラザロ監督が解任。その後コリンチャンスの監督人事はしばらく混迷するが、5月8日からヴァンデルレイ・ルシェンブルゴ監督が指揮を執り始めると、監督はローテーションのように若手選手を試合に起用していき、ペドロは監督の初采配試合で先発に起用される。
 9月14日全国選手権第23節ホームでのフォルタレーザ戦では、スタメン出場を果たすと、前半33分、左CKからニアサイドでの混戦でシュートが放たれるとボールはクロスバーを叩き、ペドロが待つファーサイドに流れる。それをペドロが冷静に頭で押し込みプロ初ゴール。
 以降は試合では得点をマークすることはなかったが、先発、途中交代でコンスタントに出場。
 12月2日第37節ホーム最終戦インテルナシオナウとの試合では、後半25分に交代出場し、恐らく最後になるであろうコリンチャンスのユニフォームを着た勇姿をサポートに見せ試合を終えた。
 2023年6月29日、コリンチャンスクラブ幹部が、ペドロが法令上国外就労が認められる18歳を迎える2024年2月以降の移籍を発表。移籍先はゼニト/RUS、条件は選手保有権の50%に対して900万ユーロ(約14億円)、コリンチャンスは選手保有権の30%を保有し続ける。

≪ゼニト≫

– 2023/24 –

 2024年2月5日ゼニト/RUSとの契約が発表。契約期限は2028年12月末。移籍金は900万ユーロ。
 2024年3月2日冬季中断期間明けの第19節にて後半25分に交代出場を果たしクラブデビュー。
 4月3日カップ戦準決勝1stレグにて自身4試合目にして左WGとして初スタメンに抜擢。試合では前半42分に左サイドからドリブルで中央へ切り込んでいきゴールポストを直撃するミドルシュート。すると、0-1のビハインドで迎えた後半10分に、味方のミドルシュートのこぼれ球をゴールエリア左手前で拾い、ゴールファーサイドへのゴールを決めクラブ初ゴール。さらに後半20分、左サイドをドリブルでボールを持ち上がり、PA手前で中央へ切れ込みファーサイドのゴールネットを揺らすゴラッソ。
 その後、リーグ戦は先発出場と交代出場を繰り返し、カップ戦決勝戦は1stレグ、2ndレグともにスタメン出場。リーグ戦、カップ戦の二冠に貢献。
 18歳で迎えたゼニトでの4か月間のファーストシーズンは、15試合3得点の成績を収め、2つのタイトルを獲得した。

– 2024/25 –

 2024年7月13日、シーズン開幕試合のロシア・スーパーカップにて後半30分に交代出場し、3つ目のタイトルを獲得。
 7月20日リーグ戦開幕節では後半30分にピッチに送り出されシーズン初ゴールを記録。
 翌第2節、第3節とスタメンに抜擢されると、第3節ではシーズン2点目のゴールをマーク。
 2024年8月22日現在、リーグ戦は5試合2得点1アシストと好調な滑り出しを見せている。

≪シーズン別クラブ出場記録≫

シーズン所属大会試合出場
時間
得点アシ
スト
2023年(17歳)コリンチャンスリベルタドーレス38200
コパ・スウアメリカーナ14000
全国選手権1561810
コパ・ド・ブラジル14500
州選手権22700
 合計2281210
2023/24年(18歳)ゼニト/RUSロシア・プレミアリーグ1141710
ロシア杯427820
 合計1569530
2024/25年(19歳)ゼニト/RUSロシア・プレミアリーグ529221
ロシア・スーパーカップ11500
ロシア杯12700
 合計733421
イタリック斜体は、2024年8月22日現在の記録。
※ シーズン欄の年齢は、12月31日時点の年齢です。

<代表(世代別含む)経歴>

– 2022 –

< モンテギュー国際大会 >

 2022年4月に開催されたU-17モンテギュー国際大会では全4試合に出場。
 初戦メキシコ戦、開始早々にペドロが放ったシュートの跳ね返りをエンドリッキ(Endrick)がゴールに流し込むと、続けざまにペドロのFKの跳ね返りをヴィトル・フィゲレド(Vitor Figueredo)がゴールに押し込む。さらには自らがPA内左での切り返しから巻き込むシュートでゴールネットを揺らすと、最後はペドロのCKからの流れで得点が決まり、この試合のチーム4得点すべてに絡む活躍をみせる。
 第2戦オランダ戦は、エンドリッキとの連携やCKのキッカーとしていくつかチャンスが作るが得点に絡まず。
 第3戦のイングランド戦、ペドロのCKからルイス・ギリェルメ(Luis Guilherme)が右足で合わせアシストを記録。2点目もペドロが競り勝った空中戦からの流れからとなり、この試合では2得点に絡む。
 最終戦となる決勝アルゼンチン戦では、前半はチームが前からプレスをかけアグレッシブな戦いをみせ、ペドロも相手ゴールに迫る場面もあったがゴールに絡むプレーはなし。後半は押し込まれる時間が増え、FKから直接ゴールを狙う場面もあったが枠を捉えず、それ以外には大きな見せ場もなく途中で交代。チームは2-1でアルゼンチンに勝利。大会を優勝で終えた。 

< 国際親善試合 >

 2022年11月には、2023U-17南米ユース選手権に向けたチリ、パラグアイとの親善試合の各2試合出場。
 チリとの1戦目、右サイドからの速いクロスボールにディフェンダーの間を一瞬早く抜け出し左足を合わせ先制点。続いてドリブルで抜け出しゴールライン際から上げたクロスボールが相手ディフェンダーのオウンゴールを誘う。さらにはCKのキッカーとして1アシストを記録。計3得点に絡む活躍を見せる。
 チリとの2戦目は、2度の枠内シュートは相手GKのファインセーブにあいゴールは奪えなかったものの、キャプテンとしてチームを牽引し、1-0で勝利。
 パラグアイとの1戦目、ペドロが左サイドからあげたクロスボールが相手に当たりオウンゴールを誘う。さらにPA内で仕掛けた際に相手に倒されPKを獲得。自らこのPKを決め、2得点に絡む。
 パラグアイとの2戦目はゴールに絡むことはなかったが、相手ゴールを脅かすプレーをいくつもみせ攻撃の中心として活躍。
 この4試合の親善試合では、翌2023年のU-17南米ユース選手権とその先にあるU-17W杯の中核選手としての活躍が期待できる内容を残した。

– 2023 –

< 2023年U-20南米ユース選手権 >

下表「節」欄のリンクは、当ブログの記事にリンクしています。記事内には、当該試合の出場&控えメンバー(ブラジルU-20代表のみ)、試合経過、得点シーン中心の動画、所感を掲載しています。
試合日対戦
相手
試合
結果
出場
時間
得点アシ
スト
2023/01/19予選R第1節ペルー3 – 02900
2023/01/23予選R第3節アルゼンチン3 – 12400
2023/01/25予選R第4節コロンビア1 – 11500
2023/01/27予選R第5節パラグアイ2 – 19001
2023/01/31決勝R第1節エクアドル3 – 1
2023/02/03決勝R第2節ベネズエラ3 – 01910
2023/02/06決勝R第3節パラグアイ2 – 01401
2023/02/09決勝R第4節コロンビア0 – 02000
2023/02/12決勝R第5節ウルグアイ2 – 02410
19 – 423522
 2023U-20南米ユース選手権は、エンドリッキ(Endrick, 2006)などFWだけで5選手がチーム事情により辞退したことにより、16歳ながら同じ歳のルイス・ギリェルミ(Luis Guilherme, 2006)などと共に追加招集。
 開幕節ペルー戦、0-0で迎えた後半16分、ギリェルミ・ビロとの交代で試合に出場。左サイドの高い位置に入る。
 2分後の後半18分、後方のホベルチ・ヘナンからボールを受けると相手のチェックにバランスを崩しながらもかわし、そのまま中央に切れ込みさらに2人のディフェンダーをかわし右足から強烈なシュート。相手GKのパンチングで防がれたもののボールは枠を捉える。
 その後もオフザボールでは左サイドを前後に動き、ボールを持っては縦へ中央へドリブル、ワンツーを狙ったパスを出すなど、少し攻めあぐねていた攻撃にアクセントをつける働きを見せる。また、左サイドからのCKではキッカーを務める
 初戦ペルー戦での働きが評価されたのか、2戦目のアルゼンチン戦では2-0でリードした局所で投入。守備でも一対一の局面では粘り強く対応し、サイドバックやボランチと連携のとれたもみせる。
 4戦目のパラグアイ戦ではスターティングイレブンに抜擢。攻撃では相手のコンパクトで速い守備にいい形でボールを受けられず、消える時間が多くなる。しかし、1-1で迎えた後半10分にはCKのキッカーを務め、ホナウジのゴールをアシスト。チームの勝利に貢献。
 決勝R第2節ベネズエラ戦では、後半26分に交代出場。後半40分にはアンドレ・ドミニーキからのマイナスのクロスをペナルティエリア入口からシュート。今大会の初ゴールを決める。
 決勝R第3節パラグアイ戦では、予選ラウンドでの対戦時に引き続き、CKからホナウジのゴールをアシスト。
 決勝R第5節、優勝するためには勝利以外にはないというウルグアイとの一戦。0-0で迎えた後半21分に交代出場。後半40分、チームはアンドレイ・サントスのゴールで待望の先制点を奪うと、引き分けでも優勝となるウルグアイが点を奪いに攻撃の圧力を強める。後半45+2分、ウルグアイのFKを守備陣がクリア。このボールを回収した相手選手にペドロがプレッシャーをかけ、パスに足を当てる。そのルーズボールは左サイドに流れウルグアイ選手が確保するが、すかさず背後からカイキ・ブルーノが奪取。ペドロはカイキからボールを受けると、詰めにきた相手GKをかわしサイドライン際から無人のゴールへ向けボールを蹴る。このボールはゴールに吸い込まれ優勝を決定づけるゴールとなる。

< 2023年U-20W杯 >

 2023年4月28日に発表された2023U-20W杯代表に選出。しかし、チーム事情により辞退。

– 2024 –

 2024年5月17日、世代別代表合宿へのU-20代表23選手の一人として招集この合宿は2025年1月に開幕されるU-20南米ユース選手権に向けた第1回目の代表合宿として位置づけられている。
   関連記事 : [2024.05.17発表]<ブラジルU-20代表招集>
 2024年8月17日、CBFよりU-20代表合宿招集メンバーが発表され、代表23選手の一人として招集を受けた。この代表合宿は。2025年1月にペルーにて開催が予定されているU-20南米ユース選手権に照準とした2度目の合宿。合宿期間は9月2日~10日、5日と8日にメキシコU-20代表との国際親善試合が予定されている。
   関連記事 : [2024.08.17発表]<ブラジルU-20代表招集

<エピソード、雑感 etc.>

 左右のどちらのサイドでもプレーできるウィンガー。代表ではCKやFKのキッカーも務める。巧みなドリブル、シュート精度の高さ、視野の広さが印象的だ。
 2022年シーズンは、太ももや足首のケガ、さらにはヘルニアの手術を受けるなど、今まで上の年代の選手たちとプレーしてきた疲労が一気に現れたシーズンとなった。
 幸いなことにいずれも大事には至らなかったが、トップチームを率いたヴィトル・ペレイラ監督は数多くの下部組織出身の若手選手をトップチームの練習に参加させ、試合にも起用していただけに、ケガや手術、代表招集でその機会に恵まれなかったのは残念だ。
 ケガからの復帰後は、U-20全国選手権決勝戦でのプレーぶり、11月のU-17代表親善試合の攻撃陣を牽引する働きなど、以前よりもパフォーマンスをあげているように思われただけにトップチームでのプレーを見てみたかった。
 来年2023年は、1月に開催されるU-20全国大会のカップ戦に出場し、U-17南米ユース選手権を経て、トップチームに昇格する可能性が高い。一方で、今後の成長のためには、U-20チームで体作りや戦術を学ぶこと、試合経験の積み重ねが重要かもしれない。若手の育成に定評のあるコリンチャンスはどのようにペドロを育てていくのか楽しみに見守りたい。

 16歳ながら2023U-20南米ユース選手権に招集。
 8試合235分間の出場。2得点2アシストを記録。
 左サイドハーフとして出場し、切れのあるドリブルや積極的なシュート、ワンツーなど周りと連携したプレーで攻撃にアクセントをつける。身長は170㎝強で大きくはないが、がっしりとした体格でU-20南米ユース選手権では当たり負ける場面は見当たらなかった。
 当初は3月30日に開幕するU-17南米ユース選手権へ招集されると思っていたが、そちらは招集外。
 2023年はコリンチャンスのトップチームに所属しトレーニングを積み、試合への出場機会に恵まれないようならばU-20チームもしくはU-17チームの試合に出ることになりそうだ。

 2023年6月29日、コリンチャンスクラブ幹部が、ペドロが法令上国外就労が認められる18歳を迎える2024年2月以降の移籍を発表。移籍先はゼニト/RUS、条件は選手保有権の50%に対して900万ユーロ(約14億円)、コリンチャンスは選手保有権の30%を保有し続ける。
 コリンチャンスは、CBホベルチ・ヘナン(Robert Renan, 2003, 2023U-20南米ユース選手権、U-20W杯、2023年3月&6月にフル代表招集)やMFグスタヴォ・マントゥアン(Gustavo Mantuan, 2001)、VOLドゥ・ケイロス(Du Queiroz, 2000)などに続き、将来を嘱望される下部組織出身の若手選手をゼニト/RUSに売却。
 ペドロについて、コリンチャンス幹部は、欧州内での移籍はブラジルからの移籍を遥かに上回る金額での取引となるため、30%を継続保有するとの話をしたが、ゼニトにはFWマウコン(Malcom, 1997, 2020東京五輪代表、2023年6月フル代表出場)が4年間、FWクラウジーニョ(Claudinho, 1997, 2020東京五輪代表、2020年ブラジル全国選手権最優秀選手賞)が2年間在籍し、欧州内の移籍が実現していないことを考えると、国際情勢が大きく揺れる中、ロシアへの移籍はクラブ財政を一時的に潤すには適しているが、現状では選手の将来にいい影響を及ぼすとは思えない。
 16歳でU-20南米ユース選手権に出場し、正確なコーナーキックからのアシストや、優勝を決定づけるゴールとその起点となったボール奪取が印象深いペドロ。レアルマドリード/ESP入りが内定しているエンドリッキ(Endrick, 2006)と並び2006年生まれを代表する選手なだけに、2024年からのゼニトでの活躍を祈りたいが、移籍先として他の選択肢が用意されなかったことが悔やまれる。

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