【ブラジル全国選手権2023】第13節(2/2)

投稿者: | 2023年6月30日

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全国選手権第13節 対戦組合せ


以下の5試合はこちらで。→ 【ブラジル全国選手権2023】第13節(1/2)
・2023/07/01 サンパウロ(SAO) x フルミネンセ(FLU)
・2023/07/01 フラメンゴ(FLA) x フォルタレーザ(FOR)
・2023/07/01 バイーア(BAH) x グレミオ(GRE)
・2023/07/01 インテルナシオナウ(INT) x クルゼイロ(CRU)
・2023/07/02 コリンチャンス(COR) x RBブラガンチーノ(RBB)
以下の5試合はこの記事で。
・2023/07/02 ボタフォゴ(BOT) x ヴァスコ・ダ・ガマ(VAS)
2023/07/02 アトレチコ・ミネイロ(CAM) x アメリカ・ミネイロ(AME)
2023/07/02 アトレチコ・パラナエンセ(CAP) x パウメイラス(PAL)
2023/07/02 クイアバ(CUI) x サントス(SAN)
2023/07/03 ゴイアス(GOI) x コリチバ(CFC)

全国選手権第13節 試合概要

ボタフォゴ(BOT) 2-0 ヴァスコ・ダ・ガマ(VAS)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=GwD4J7d6mLw
(BOT) : 53' #11 ルイス・エンヒキ(Luis Henrique, 2001)[#9 チキーニョ・ソアレス(Tiquinho Soares, 1991)]
(BOT) : 90+5' #27 カルロス・アウベルト(Carlos Alberto, 2002)[#62 カイキ(Kayque, 2000)]
(VAS) : N/A

見どころ(試合前の順位)

   ボタフォゴは全国選手権10勝0分2敗勝点30の首位。
   ヴァスコ・ダ・ガマは全国選手権2勝3分7敗勝点9の18位。

得点シーン

(BOT)後半8分 :
相手陣左サイドでボールを回し、FWルイス・エンヒキがサイドライン際から中央へドリブル。ペナルティエリア入口のFWチキーニョ・ソアレスへパスをおくるとゴールに向かう。FWチキーニョ・ソアレスはワンタッチでボールをFWルイス・エンヒキに返し、FWルイス・エンヒキがゴールネットを揺らす。ゴラッソコレチーボ。
   FWルイス・エンヒキは、リオグランデドスル州の下位リーグに所属するトレス・パッソス下部組織出身。2018年にボタフォゴU-20チームに期限付き移籍。2019年12月に17歳でボタフォゴからプロデビューを果たす。2020年1月26日州選手権でプロ初得点。2020年9月にマルセイユ/FRAに移籍を果たす。マルセイユでは1年目に24試合に出場(うち8試合は先発)するが、2年目には交代出場が増え、やがて出場機会を失っていく。2022年7月8日、ボタフォゴへの期限付き移籍(満了時に800万ユーロの買取オプション付)が発表。2023年はこの試合を終えた時点でチーム全40試合中34試合に出場。うち22試合が交代出場ながら3得点2アシストを記録。この試合では先発起用に応え先制ゴール。出場時間を増やしてきている。
(BOT)後半45+5分 :
VOLカイキが自陣から左サイドライン際を上がるFWカルロス・アウベルトへボールを送る。FWカルロス・アウベルトはドリブルでそのままペナルティエリアに侵入。戻ってくるディフェンダーをかわし、角度のない位置からのシュート。ボールはファーサイドのゴールネットに突き刺さる。
   FWカルロス・アウベルトは、アメリカ・ミネイロ下部組織出身で2020年2月17日の州選手権で17歳にしてプロデビュー。2023年1月12日にボタフォゴへの期限付き移籍が発表。期限は2023年末、保有権60%に対し100万USドルの買取オプション付き。州選手権では多く出場機会を与えられていたが、全国選手権ではこの試合が2試合目の出場。このゴールを機に出場機会を増やし、レギュラー争いに加わりたい。
   VOLカイキは、全国選手権4部ノヴァイグアス下部組織出身で、2020年1月11日の州選手権で19歳のプロデビュー。この州選手権での活躍を受け、ボタフォゴが期限付き移籍で獲得。ボタフォゴではU-20チームが主戦場でトップチームでの出場機会は限られていたが、2022年6月にボタフォゴは買取オプションを行使。2023年は前年の前十字靭帯断裂のケガの影響もあり、この試合が6月3日の全国選手権第6節以来となる2試合目の出場となった。

試合概要、所感 etc.

   ボタフォゴは、今節に先立ち、ルイス・カストロ(Luís Castro)監督が辞任。監督代行の下での試合となった。
   ボタフォゴは、立ち上がりからボールを支配。相手の中盤での寄せの速さに苦労するが次第に相手陣でボールを回すようになる。前半32分に右SBハファエウ(Rafael, 1990)が相手との接触で膝を負傷し交代を余儀なくされるアクシデントに見舞われると、ヴァスコ・ダ・ガマに押し込まれるが、シュートに持ち込ませない。
   後半8分にパスワークで守備網を崩し先制。このシーンではFWルイス・エンヒキはシュートを選択したが、ゴール正面にFWジュニオール・サントス(Júnior Santos, 1994)もフリーの状態でポジショニングしており、攻撃時の奥行きの深さが垣間見えた。
   試合終了間際には、途中交代出場で共に全国選手権での出場が2試合目となる選手の共演で追加点を奪い、監督交代の心理的不安を吹き飛ばし、2-0の快勝。首位の座をしっかりと守った。
   次戦は7月9日全国選手権第14節、現在ボタフォゴから勝点差7で2位につけているグレミオとアウェイでの一戦。

   ヴァスコ・ダ・ガマは、解任したバルビエリ監督の後任として前サンパウロ監督ホジェリオ・セニ(Rogério Ceni)氏を最有力として挙げたが、クラブ内やサポーターの反発が大きく、現在ではチームスタイルからクルゼイロ前監督パウロ・ペツォラーノ(Paulo Pezzolano)氏を最有力に交渉しているとのこと。監督人事は今節までに決定されず今節も監督代行の下での試合となる。
   試合前半は押し込まれながらもスコアレスで折り返したが、後半の早い時間帯に失点。1点を追いかける形となり、試合が難しくなる。ボタフォゴの鋭いカウンターに脅かされながらも得点を奪いに行くが、試合終了間際に追加点を許し0-2の敗戦。
   後半に途中交代で経験のあるMFカラバハル(Carabajal, 1991)を投入するがチームを鼓舞することができず、前線に2004年、2006年生まれの若い選手を投入するも打開することができない。
   7月の移籍ウィンドウでは各ポジションに経験のある選手がリストアップされているが、まずは監督人事が決まらないことには動くことができない。1日も早い監督就任の発表が待たれる。
   次戦は、7月8日に全国選手権第14節ホームでのクルゼイロ戦。

アトレチコ・ミネイロ(CAM) 2-2 アメリカ・ミネイロ(AME)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=OYSv4ocKJes
(CAM) : 2' #15 サラーチョ(Zaracho, 1998)[#9 パボン(Pavón, 1996)]
(CAM) : 28' #7 フッキ(Hulk, 1986)[]
(AME) : 58' #17 マストリアーニ(Mastriani, 1993)[#22 ダニーロ・アヴェラール(Danilo Avelar, 1989)]
(AME) : 72' #17 マストリアーニ(Mastriani, 1993)[#10 ベニテス(Benítez, 1994)]

見どころ(試合前の順位)

   アトレチコ・ミネイロは全国選手権5勝4分3敗勝点19の10位。
   アメリカ・ミネイロは全国選手権2勝2分8敗勝点8の19位。

得点シーン

(CAM)前半2分 :
相手陣左サイドライン際をFWパボンがドリブルで上がり、FWフッキ(Hulk, 1986)とのタベーラで一気にゴールライン手前までボールを運ぶ。そこから逆サイドへの長めのクロス。これにMFサラーチョが後方から走り込み右足をダイレクトに合わせゴールネットを揺らす。
   MFサラーチョは、2019年3月の親善試合モロッコ戦でアルゼンチン代表として出場。2017年U-20W杯&南米ユース選手権アルゼンチン代表でそれぞれ5試合、2試合1得点の記録を残す。ラシン・クラブ/ARG下部組織出身で2017年6月18日選手権第28節リーベルプレート戦で18歳にしてプロデビュー。2020年10月にアトレチコ・ミネイロに加入すると、中盤のどのポジションもこなす戦術眼、足元の技術、ボール奪取力、そして豊富な運動量で間もなくレギュラーの座を獲得。この試合を含めアトレチコ・ミネイロで142試合に出場を果たす。
(CAM)前半28分 :
アメリカ・ミネイロの最終ラインのボール回しでのミスをFWフッキが見逃さず、ボールを奪い取るとそのままシュート。アトレチコ・ミネイロが追加点。
   FWフッキは、ブラジル代表として2014W杯など49試合11得点5アシストを記録。ヴィトリア下部組織出身で2004年に18歳でプロデビュー。2005年には川崎フロンターレ/JPNに期限付き移籍、2005年7月2日磐田戦で初得点を記録。その後、コンサドーレ札幌、東京ヴェルディなどでプレー。日本でプレーする約4年半の間に111試合74得点を記録した。FCポルト/POR、ゼニト/RUS、上海海港/CHNを経て、2021年シーズン前にアトレチコ・ミネイロに加入。アトレチコ・ミネイロではこの試合を終えた時点で149試合86得点23アシストを記録。スピードとパワーに加え、周りを上手く使い、チームの支柱としての責任感もあり、37歳を迎える今季も35試合21得点5アシストと衰えを知らない活躍。
(AME)後半13分 :
敵陣に入ったところでボールを受けたFWヴァランダ(Varanda, 2003)がドルブルで縦に持ち上がり、左サイドライン際をオーバーラップで上がるSBダニーロ・アヴェラールの前方にボールを送る。SBダニーロ・アヴェラールはゴールライン手前からダイレクトにゴール前へクロス。ここにFWマストリアーニが走り込み頭で合わせゴールネットを揺らす。アメリカ・ミネイロが反攻を開始。
   FWヴァランダは、コリンチャンス下部組織出身で、2021年にヴァギネル・マンチーニ(Vágner Mancini)監督の下、18歳でプロデビューを果たし州選手権10試合1得点1アシストを記録。しかし、監督の解任により出場機会を失い、国内下位リーグやキプロスへの期限付き移籍を繰り返す。2023年ヴァギネル・マンチーニ監督率いるアメリカ・ミネイロに期限付き移籍。U-20チームでの9試合10得点の活躍もありトップチームへ招集されると5月23日コパ・スウアメリカーナでクラブデビューを果たす。その後も途中出場ながら確実に出場時間を増やしてきている。
(AME)後半27分 :
ペナルティエリア左ゴールライン際からVOLルーカス・カウ(Lucas Kal, 1996)が大きめのクロス。MFベニテスが胸でのワントラップからシュートを放つとFWマストリアーニがかかとでコースを変えゴール。アメリカ・ミネイロが同点に追いつく。
   FWマストリアーニは欧州、中南米でのプレー経験がある経験豊かなウルグアイ国籍選手。2022年8月にアメリカ・ミネイロに加入したが、なかなか出場機会に恵まれず、2023年もこの試合が始まる前の時点でチーム全36試合中12試合の出場に過ぎなかった。しかし、この試合の前半39分、FWアロイージオ(Aloísio, 1988)の負傷により交代出場を果たすと2得点の活躍。アロイージオのケガの続報はないが、しばらく戦列を離れるとみられており、FWマストリアーニのプレーがチームの躍進のカギを握ることになりそうだ。

試合概要、所感 etc.

   アトレチコは、前半2分に先制点を奪うと、アメリカにボールを持たせながら自陣で堅固な守備ブロックを作り、虎視眈々とカウンターのチャンスをうかがう。狙い通りカウンターのチャンスは訪れるが単純なパスミスでチャンスを逃し続ける。しかし、前半28分に相手のミスをFWフッキが見逃さず追加点。前半をほぼ理想的な展開で折り返す。
   後半開始時にアメリカは2選手を交代し攻撃を修正。アトレチコは前半の終盤同様、自陣に引きこもりカウンターを狙うが、アメリカの攻撃に対応できず、スペースを多く与えることになる。すると、後半13分、後半27分にアメリカがゴールを奪い試合を振り出しに戻す。
   アトレチコも選手交代で試合の流れを引き戻そうとするが、ベンチの意図はピッチに伝わらず、展開は好転しない。アメリカも同点に追いつくまでのアグレッシブさが影を潜め、2-2で試合を終えた
   上位争いから脱落したくないアトレチコにとっては痛い引き分け。降格圏を脱したいアメリカ・ミネイロにとっては、アウェイで2点のリードを追いつき、最低限の勝ち点1を獲得する引き分けとなった。

所感 etc.

   アトレチコ・ミネイロは、ルイス・フェリピ・スコラーリ(Luiz Felipe Scolari)監督が指揮を執り4試合が経過するが。勝ち星がなく3回目の引き分け。その間に順位も4位から10位へと落とすことになった。
   最近の試合では、カウンターに持ち込むも、シュートにたどり着くまでにボールを奪われることが多く、カウンターの精度が落ちてきている。以前よりもボールを運ぶ選手とそれを追い抜く選手の距離が近くなっており、ディフェンダーがマークをずらして対応されている場面が多いような気がする。
   次戦は7月8日に全国選手権第14節ホームでのコリンチャンス戦。

   アメリカ・ミネイロは、チーム内得点王のFWアロイージオのケガの具合が心配される。この試合では交代出場のFWマストリアーニが2得点を記録し、FWヴァランダが1点目の起点となった。第9節でプロ初ゴールを決めたFWヘナト・マルケス(Renato Marqu, 2003)やチーム内得点ランキング2位のベテランFWウェリントン・パウリスタ(Wellington Paulista, 1983)など、総力戦でFWアロイージオの穴を埋めたい。
   次戦は、週中7月5日にコパ・ド・ブラジル準々決勝1stホームでのコリンチャンス戦。7月8日に全国選手権第14節アウェイで最下位コリチバとの逆天王山。是が非でも勝ち点3が欲しい。

アトレチコ・パラナエンセ(CAP) 2-2 パウメイラス(PAL)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=esOxZyD0Yxo
(PAL) : 22' #9 エンドリッキ(Endrick, 2006)[#19 ブレーノ・ロペス(Breno Lopes, 1996)]
(PAL) : 57' #25 ガブリエウ・メニーノ(Gabriel Menino, 2000)[#19 ブレーノ・ロペス(Breno Lopes, 1996)]
(CAP) : 67' #8 ヴィトル・ブエノ(Vitor Bueno, 1994)[PK]
(CAP) : 72' #9 ヴィトル・ホッキ(Vitor Roque, 2005)[#22 マジソン(Madson, 1992)]

見どころ(試合前の順位)

   アトレチコ・パラナエンセは全国選手権6勝1分5敗勝点19の9位。
   パウメイラスは全国選手権6勝4分2敗勝点22の4位。

得点シーン

(PAL)前半22分 :
自陣ゴールライン手前から、CBムリーロ(Murilo, 1997)、MFルイス・ギリェルミ(Luis Guilherme, 2006)、SBガルシア(Garcia, 2002)、FWブレーノ・ロペスと素早く右サイドライン際を縦にボールを送り、FWブレーノ・ロペスが最終ラインとGKの間にクロスボールを供給。ディフェンダーの裏に一瞬のスピードで現れたFWエンドリッキが体を沈めて頭にボールを合わせパウメイラスが先制。
   FWブレーノ・ロペスは2020年11月にジュヴェントゥージからパウメイラスに移籍。2021年1月30日リベルタドーレス決勝サントス戦では後半40分にピッチに立つと決勝ゴールをマーク。レギュラーには届かないもののパウメイラスでの4年弱の間に133試合19得点6アシストを記録。FWエンドリッキへのアシストは6月11日全国選手権第9節サンパウロ戦に続き2度目。
   FWエンドリッキは、全国選手権では開幕節に先発出場を果たすも以降は途中出場が続く。しかしながら、11試合346分の出場時間で4得点を記録。今季は28試合1290分の出場、7得点を記録している。
(PAL)後半12分 :
敵陣深くでSBヴァンデルランが相手ボールに絡み、こぼれ球をVOLガブリエウ・メニーノが拾う。VOLガブリエウ・メニーノはFWブレーノ・ロペスとのタベーラからペナルティエリアに侵入。そのままシュートまで持ち込むとボールはディフェンダーに当たりコースが変わりゴールに吸い込まれる。
   VOLガブリエウ・メニーノはパウメイラス下部組織出身で2020年1月22日の州選手権で19歳にしてプロデビュー。下部組織では右SBを務めており、そのポリヴァレント性がチチ(Tite)代表監督の関心を呼び、2020年9月のW杯南米予選に向けた代表に招集された(試合出場なし)。今季はこれでチーム全40試合中38試合に出場し8得点2アシストを記録。試合展開に応じて、低い位置、高い位置でのマークを使い分け、攻撃面ではゴール前に顔を出し、セットプレーのキッカーを任せられるなど、多様なプレースタイルを持つ。
(CAP)後半22分 :
FWヴィトル・ホッキが右サイドからのボールにシュートを放つが、このボールがディフェンダーの広げた腕に当たりアトレチコ・パラナエンセがPKを獲得。これをMFヴィトル・ブエノが落ち着いて決める。
   MFヴィトル・ブエノは2022年にサンパウロからアトレチコ・パラナエンセに加入。厳しい競争の中、レギュラーに定着できずにいるものの、今季はこれまでチーム全40試合中33試合に出場。最近の4試合で先発に起用されると2得点1アシストを記録。身長185㎝の高さと懐の深さからくるボールキープ力、視野の広さが特長。
(CAP)後半27分 :
MFヴィトル・ブエノが右SBマジソンのライン裏への抜け出しに反応、柔らかなクロスを送る。ゴールエリア右角でマジソンは中央へ頭で折り返し。FWヴィトル・ホッキがこのボールに頭を合わせゴールネットを揺らす。
   FWヴィトル・ホッキは5試合連続ゴール。全国選手権は7得点で得点ランキング2位(1アシスト)。今季はこれで29試合15得点4アシストを記録。

試合概要

   アトレチコ・パラナエンセは、引き続きウェズレイ・カルバーリョ(Wesley Carvalho)監督代行が指揮を執る。ウェズレイ・カルバーリョ氏は2017年から2021年までパウメイラスU-20チームの監督を務めており、その選手育成には定評があり、今節の対戦相手パウメイラスにも多くの教え子がプレーする。
   攻守の要VOLフェルナンジーニョ(Fernandinho, 1985)と守護神ベント(Bento, 1999)が警告累積による出場停止。22歳レオ・リンキ(Léo Linck, 2001)がゴールマウスを守る。
   パウメイラスは、ケガで離脱していたCBムリーロ(Murilo、1997)が復帰。週中に開催されるコパ・ド・ブラジル準々決勝1stに向け、GK、両CB以外のポジションには控え選手を起用。2006年生まれのFWエンドリッキ、MFルイス・ギリェルミ(Luis Guilherme)など、6選手が21世紀生まれの若い布陣で試合に臨む。
   パウメイラスは、いつも同様にスピードのあるパス回しをみせるが、いつもと異なり両サイドにスピード豊かなサイドアタッカーはおらず、左右にボールを振り分けながら、ライン裏へのパスなど、中央を起点としたプレーが多くなる。
   アトレチコ・パラナエンセの予想外の戦術となったのか、控え選手中心のパウメイラスが試合開始早々にPKを獲得。これはGKレオ・リンキが阻止するも、試合はその後もパウメイラスが主導権を握る。
   そして、前半22分にエンドリッキのゴールでパウメイラスが先制。
   アトレチコ・パラナエンセも失点後は落ち着きを取り戻し試合は均衡状態に陥る。試合は、お互いに大きなチャンスを迎えることなく前半を終了。
   後半12分、パウメイラスが高い位置でのボール奪取から追加点を奪い、試合の行方は決まったかと思われた。
   しかし、後半22分、FWヴィトル・ホッキのシュートにディフェンダーが投げ出した腕にボールが当たり、パウメイラスはPKを献上、さらに、2枚目のイエローカードがディフェンダーに提示され数的不利に陥る。
   このPKを決めると、試合の流れはアトレチコ・パラナエンセに傾き、パウメイラスは3選手を交代し試合の流れに抗おうとするが、流れを変えることができず、後半27分にアトレチコ・パラナエンセが同点に追いつく。
   その後もアトレチコ・パラナエンセが相手陣でボールを保持するが、パウメイラスは自陣ゴール前でしっかりとブロックを組み、ボールを中に入れさせない。アトレチコ・パラナエンセはパウメイラスの堅守を崩すことができず、試合はタイムアップ。2-2の痛み分けで試合を終えた。

所感 etc.

   アトレチコ・パラナエンセは、好調時の縦の鋭いパスが見られず攻撃が停滞。相手に退場者が出て一時的に盛り返すことができたが、10人の相手を崩すことができず逆転まで至ることができなかった。
   次戦は、週中にコパ・ド・ブラジル準々決勝1stアウェイでのフラメンゴ戦。全国選手権第14節は7月9日にアウェイでのフォルタレーザ戦。

   パウメイラスは、控え選手主体のチームながら、優位に試合を展開。しかし、退場を機に一気に試合の流れを持っていかれ、流れを取り戻すことができず、最後はなんとか勝ち点を確保。明るい材料と課題が同時に表れた試合となった。
   次戦は、週中にコパ・ド・ブラジル準々決勝1stアウェイでのサンパウロ戦。7月8日に全国選手権第14節ホームでのフラメンゴ戦が控える。

クイアバ(CUI) 3-0 サントス(SAN)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=kjzwhedD_9U
(CUI) : 53' #16 デイヴェルソン(Deyverson, 1991)[#10 セペリーニ(Ceppelini, 1991)]
(CUI) : 75' #27 デニウソン(Denilson, 2001)[#10 セペリーニ(Ceppelini, 1991)]
(CUI) : 86' #20 ヒケウミ(Rikelme, 2003)[]
(SAN) : N/A

見どころ(試合前の順位)

   クイアバは全国選手権3勝3分6敗勝点12の16位。
   サントスは全国選手権3勝4分5敗勝点13の13位。

得点シーン

(CUI)後半8分 :
MFセペリーニからの右CKにゴール正面でディフェンダーに競られることもなくFWデイヴェルソンが頭を合わせクイアバが先制。
   FWデイヴェルソンは最近の出場6試合で4得点を記録。得点をあげた4試合はチームも3勝1分と成績もよい。FWデイヴェルソンが好調を維持しチームを上位争いへ牽引したい。
(CUI)後半30分 :
相手陣中央やや右、ゴールから約25mのFK。MFセペリーニは左サイドへ真横にボールを送る。MFデニウソンがダイレクトに右足を振り抜くと、ボールはディフェンダーの間を抜け右サイドのゴールネットに突き刺さる。
   MFデニウソンは2021年にリオデジャネイロ州選手権のみに参加するバングーでデビュー。2022年6月にクイアバに期限付き移籍で加入するが当初はU-23チームでプレー。8月にトップチームに昇格すると9月18日全国選手権第27節アトレチコ・パラナエンセ戦での先発起用を機に残りの11試合すべてに出場を果たし、2023年1月に完全移籍を果たす。2023年は全国選手権10試合目の出場にして初ゴール。
   MFセペリーニは、2011年U-20W杯&南米ユース選手権のウルグアイ代表。イタリアを初め、スロバキア、ルーマニア、コロンビア、メキシコなどでプレーした国際経験豊かなMF。クイアバには2022年12月に加入。チーム全32試合中31試合に出場するも、最近の試合では途中交代出場が続いていたが、この試合では約2か月ぶりの先発起用に応え2アシストを記録。3か国でチームをリーグ優勝に導いた右足でクイアバを上位に牽引したい。
(CUI)後半41分 :
MFホナウジ・ロペス(Ronald Lopes, 1997)が右CKを蹴るが、ディフェンダーがクリア。ペナルティエリア左角手前でボールを拾ったSBヒケウミがワントラップから左足を振り抜くとボールは左サイドネットに突き刺さる。クイアバがダメ押しの3点目。
   左SBヒケウミは本職はFWだが、4月に左SBとしてU-20代表に招集されて以降、左SBとして試合に起用され、この試合が7試合目。全国選手権では6月10日第10節コリンチャンス戦で初アシストを記録したが、今節では初ゴールをマーク。

試合概要

   下位に低迷するチーム同士の一戦は、クイアバがホームで3-0の快勝。一方のサントスは12試合勝ち星から遠ざかる結果となった。
   両チームともに立ち上がりから互いの様子をうかがいあう展開となり、スピード感に欠ける試合となる。クイアバは、前半28分に、GKの好セーブにゴールは奪えなかったものの、CKからSBハニエリ(Raniele, 1996)が綺麗なヘディングシュートを放つなど、やや優位に試合を進めるが、ミスも多く、流れの中からチャンスを作ることができない。
   一方のサントスも、相手のミスに乗じることができず、前半終了間際に自陣でボールを奪ったMFルーカス・リマ(Lucas Lima, 1990)が起点となり、FWマルコス・レオナルド(Marcos Leonardo, 2003)がシュートに持ち込んだ場面以外に得点の気配はなく、前半を終える。
   後半も試合の展開は変わらないものの、後半8分にクイアバがセットプレーから先制。1点を追うサントスは中盤の2選手を交代し試合の流れを変えようとするが、先制後、ミスの減ったクイアバがボールを支配。決定機を作り出すことはできないものの、セットプレーから2点目、3点目を相次いで奪い、試合終了。

所感 etc.

   クイアバは、第5節アトレチコ・ミネイロ戦で4失点、第6節フルミネンセ戦で2失点を喫したが、以降の7試合は4失点に防ぎ複数失点を許さないなど、守備が大幅に改善。攻撃面で流れの中で好機を作り出せない課題が残ったものの、セットプレーから3得点をマークし、セットプレーは今後も武器となりそうだ。
   経験豊かなFWデイヴェルソンとMFセペリーニがそれぞれ1ゴールと2アシストの活躍、全国選手権初ゴールのMFデニウソン、プロ初ゴールのSBヒケウミなど若手も台頭。
   下位集団から抜け出すためにも守備に重点を置く試合がしばらく続くと思われるが、セットプレーだけでなくカウンターにも磨きをかけ、勝ち星を積み重ね、シーズン当初やボタフォゴ戦で見せたような左右にボールを大きく展開し、相手守備陣を揺さぶるサッカーをもう一度見せてもらいたい。
   次戦は再びホームでの試合。7月8日に全国選手権第14節バイーア戦。

   サントスは、パウロ・トゥーハ(Paulo Turra)監督が指揮を執り公式戦2試合目。初采配となったコパ・スウアメリカーナは若手選手や控え選手を中心とした試合ながら、決定力不足な面はあったものの、ボールを長く保持し、相手ゴールに度々迫るなど、変化を感じさせたが、この試合は何も印象に残らない内容となった。
   期限付き移籍から完全移籍が濃厚となったものの自身の誕生日に練習に参加しなかったベネズエラ代表ソテウドと、前節試合後の深夜に盛り場でサポーターともめ事を起こした2選手が、それぞれ規律違反でベンチ外。今後の補強に向け4選手との契約解除を模索するなど、規律を重んじるパウロ・トゥーハ監督の荒療治が今後どう転ぶだろうか。
   次戦は7月9日の全国選手権第14節ホームでのゴイアス戦。
  

ゴイアス(GOI) 1-2 コリチバ(CFC)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=sFkliCCl-h8
(CFC) : 26' #11 アレフ・マンガ(Alef Manga, 1994)[#1 ガブリエウ(Gabriel, 1992)]
(CFC) : 43' #13 クスチェヴィッチ(Kuscevic, 1996)[#10 マルセリーノ・モレノ(Marcelino Moreno, 1994)]
(GOI) : 69' #95 ドドー(Dodô, 2001)[]

見どころ(試合前の順位)

   ゴイアスは全国選手権3勝2分7敗勝点11の17位。
   コリチバは全国選手権0勝4分8敗勝点の20位。

得点シーン

(CFC)前半26分 :
GKガブリエウからのロングフィードにオフサイドぎりぎりで抜け出したFWアレフ・マンガが、ペナルティエリアを飛び出しクリアに来たGKとディフェンダーをかわし無人のゴールにボールを流し込む。コリチバが先制。
   FWアレフ・マンガは今季これまで12得点をあげチーム内得点王。最近の5試合では3得点を記録し好調を維持。貴重な先制点を奪いチーム全国選手権初勝利に貢献。
(CFC)前半43分 :
右CKをMFマルセリーノ・モレノが蹴るとボールはフリーで構えるCBクスチェヴィッチのもとへ。CBクスチェヴィッチが体を折りたたんでヘディングシュートを放つと、GKがボールを両手に当てながらも枠外へ弾き出すことができずゴールイン。コリチバが貴重な追加点。
   CBクスチェヴィッチは2022W杯南米予選2試合などチリ代表として7試合に出場。パウメイラスに約2年半在籍するも出場機会に恵まれず出場試合数は45。2023年2月10日に新天地を求めコリチバと2026年末までの契約を結び加入。ケガなどにより今季の全国選手権はこの試合が8試合目の出場。パウメイラス時代を含めブラジル国内での初ゴールとなった。
(GOI)後半24分 :
相手陣右サイドからの相手スローインに競り勝ち、相手のクリアミスも重なり、ボールを左サイドに運ぶと、ペナルティエリア左角からMFパラシオス(Palacios, 1999)がシュート。GKが防ぐもこぼれ球をMFドドーが押し込み、ゴイアスが1点差に詰め寄る。
   MFドドーは、期限付き移籍先のヴィラ・ノヴァでのミナスジェライス州選手権の活躍を受け、ゴイアスが2023年4月19日にコインブラから期限付き移籍加入。5月7日全国選手権第7節パウメイラス戦でクラブデビューを果たすが、これまで出場した6試合はいずれも途中交代出場。このクラブ初ゴールを機にポジション争いに加わりたい。

試合概要、所感 etc.

   ゴイアスは、得意の左右に大きく揺さぶる攻撃が影を潜め、FWマテウス・ペイショット(Matheus Peixoto, 1995)が孤立。中盤で攻撃を組み立てることができず、ボールを奪われ素早くボールを前に運ばれ、前半のうちに2失点。再三の好守があったものの、1点目はペナルティエリアを離れクリアに行きボールに触れることができず、2点目は相手のシュートを両手に当てながらも枠外に弾き出せないミスをGKタデウ(Tadeu, 1992)が犯してしまう。
   後半に入り、選手交代で中盤を厚くし、相手を押し込むことに成功するも、最後の局面でのアイディアが不足。1点差まで詰めよったものの追いつくことができず、勝てば降格圏を抜け出すことができた試合をあえなく1-2で落とすことになった。
   次戦は7月9日の全国選手権第14節アウェイでのサントス戦。勝ち点差2でゴイアスの上位にいるサントスだが、監督交代後にクラブ内でごたごたが続いているだけに勝利を収め、順位を抜き去り、次節こそは降格圏を脱出したい。

   前節まで全国選手権未勝利のコリチバだが受け身にならず積極的にボールにアプローチ、攻守の切り替えを素早く行い相手ゴールを目指す。先制点はGKからのフィードが起点となったが、攻守の切り替えの速さから奪ったゴール。前半42分には自陣からのカウンターに中央でのタベーラを挟み、両サイドから選手が駆け上がりシュートまで持ち込むと、このプレーで得たCKから追加点を奪う。
   後半も積極的に前に出ようとするが、後半24分の失点後は相手の勢いに押され自陣に押し込まれていく。しかし、最後はゴイアスの猛攻に合いながらもGKガブリエウの好守や最終ラインの粘り、中盤や前線の選手の執拗なマークで最後までなんとか守り切り、第13節にして全国選手権初白星。この勝利を機に悪い流れを断ち切り、まずは降格圏からの脱出を図りたい。
   次戦は7月8日に全国選手権第14節、ホームで逆天王山となるアメリカ・ミネイロ戦。

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