アトレチコ・ミネイロ (Atlético Mineiro)
正式名称:Clube Atlético Mineiro
略称:CAM
創立:1908年
本拠:ミナスジェライス州 ベロオリゾンテ
《 主要タイトル 》
タイトル | 優勝回数 | 優勝年 |
---|---|---|
ブラジル全国選手権 | 2 | 2021, 1971 |
コパ・ド・ブラジル | 2 | 2021, 2014 |
コパ・リベルタドーレス | 1 | 2013 |
《 直近3年成績(2020年-2022年) 》
大会 | 2022年成績 | 2021年成績 | 2020年成績 |
---|---|---|---|
ブラジル全国選手権 | 7位 | 優勝 | 3位 |
コパ・ド・ブラジル | ベスト16敗退 | 優勝 | 2回戦敗退 |
コパ・リベルタドーレス | 準々決勝敗退 | 準決勝敗退 | ― |
コパ・スウアメリカーナ | ― | ― | 1回戦敗退 |
ミナスジェライス州選手権 | 優勝 | 優勝 | 優勝 |
スーペルコパ・ブラジル | 優勝 | ― | ― |
各大会の概要は、当ブログ記事「主要大会と年間日程」を参照ください。
《 全国選手権 順位推移(2006年-2022年) 》
現行レギュレーション(20チームによるホーム&アウェア方式2回戦総当たり)で開催された2006年以降の全国選手権順位推移です。
《 2022年 》
<戦績>
大会 | 試合 数 | 勝数 | 引分 数 | 敗数 | 得点 | 失点 | 得失 点差 | 勝点率 (%) | 順位 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
コパ・リベルタドーレス | 10 | 4 | 5 | 1 | 14 | 9 | 5 | 56.7 | 準々決勝敗退 |
全国選手権 | 38 | 15 | 13 | 10 | 45 | 37 | 8 | 50.9 | 7位 |
コパ・ド・ブラジル | 4 | 3 | 0 | 1 | 6 | 3 | 3 | 75.0 | ベスト16敗退 |
州選手権 | 14 | 12 | 1 | 1 | 31 | 6 | 25 | 88.1 | 優勝 |
スーペルコパ・ブラジル | 1 | 0 | 1 | 0 | 2 | 2 | 0 | 33.3 | 優勝 |
計 | 67 | 34 | 20 | 13 | 98 | 57 | 41 | 60.7 |
<全国選手権 年間順位推移>
<振り返り>
2021年に全国選手権とコパ・ド・ブラジルの二冠を制覇したクーカ(Cuca)氏は、2021シーズン終了を待たずして家庭事情により退任を発表。2022年は、コパ・スウアメリカーナやメキシリーグで優勝実績のあるアントニオ・モハメド(Antônio Mohamed)を招聘。 選手の入れ替わりもさほどなく、前年終盤と大きく変わらないメンバーで2022年シーズンを迎える。
【スーペルコパ・ド・ブラジル】
2022年最初のタイトルを賭けた試合、2月20日に行われたスーペルコパ・ド・ブラジル。フラメンゴを相手に90分を2-2の同点で終えるも、12人目までもつれたPK戦でフラメンゴを下し、2022年最初のタイトルを手中にする。
【州選手権】
州選手権は予選ラウンドを9勝1分1敗で1位で終えると、ホーム&アウェアで行われる準決勝を2試合合計5-0で完勝し、クルゼイロとの決勝戦も3-1で下し、三連覇を達成。 優勝候補の一角として全国選手権の開幕を迎える。
【コパ・ド・ブラジル】
リベルタドーレス出場のため、コパ・ド・ブラジルは3rdラウンドから。
3rdラウンドは全国選手権4部のブラジリエンセを相手に、3-0、1-0、計4-0で退ける。
4thラウンド(ラウンド16)の相手はフラメンゴ。 ホームで行われた1stレグ(6月22日)。前半6分に後方からのロングボールに対し相手GK/GOLが飛び出してきたところを、FW/ATAフッキ(Hulk, 2014W杯代表メンバー、2005年~2008年にコンサドーレ札幌、東京ヴェルディ、川崎フロンターレでプレー)がGK/GOLの頭上を越すロビングのシュートで先制。後半10分には、またもフッキがハーフライン手前の左サイドライン際からドリブルで持ち上がり、逆サイドへ流れながら駆け上がったアデミール(Ademir)へふわりとクロスボールをあげると、アデミールが頭で合わせ追加点。その後も2度の得点機会が訪れるがいずれも相手GK/GOLの好守に阻まれると、後半35分に失点。そのままタイムアップを迎え1stレグを2-1とリードして終える。
2ndレグ(7月13日)はアウェイでの一戦。試合開始から同点に追いつきたいフラメンゴの前にGK/GOLエヴェルソン(Éverson, W杯2022南米予選代表招集歴あり)が決定的な場面を3度防ぐなどディフェンス陣が粘り強く対応する。しかし、前半アディショナルタイムに失点し2試合合計で同点に追いつかれる。後半19分、相手FKからのヘディングシュートをまたしてもGK/GOLエヴェルソンが防いだかと思われたがVARの判定で得点が認められ、2試合合計で2-3とリードを許す。同点に追いつきたいアトレチコだが、前がかりになったところをカウンターを受けゴールを脅かされる。後半33分、相手カウンターを妨害したジュニオル・アロンソ(Júnior Alonso)がこの日2枚目のイエローカードをもらい退場。試合はその後も大きな決定機を作れず0-2で敗戦。2試合合計2-3となりコパ・ド・ブラジルはベスト16で姿を消した。
【リベルタドーレス】
グループラウンドは最終節に敗れたものの3勝2分1敗得失点差で1位突破。ノックアウト方式の決勝ラウンドに進む。
決勝ラウンド1回戦ベスト16の対戦相手はエメレク/エクアドル。 6月28日の1stレグ、試合開始後からアウェイのアトレチコが主導権を握る。前半16分、GK/GOLエヴェルソンからのロングボールをフッキが相手ディフェンダーを背中にボールを収め左にはたく。元リーベルプレート/アルゼンチンのキャプテン、ナチョ・フェルナンデス(Nacho Fernández)が受けると縦にスルーパス。空いたスペースに流れながら受けたアデミールが左足を振り抜くとボールはゴールに吸い込まれる。アトレチコが早くも先取点を奪う。しかし、その後はエメレクが優位に試合を進め、後半13分、PA内の空中戦でファールを犯しPKを献上。これを決められ同点に追いつかれると、23分にはVOLアラン(Allan)が一発レッドで退場。43分にPA内でファールを受けたフッキが自らPKを蹴るが、相手GK/GOLのセーブに会い、1stレグを1-1で終える。
7月5日の2ndレグ、ホームのアトレチコが主導権を握るが相手GK/GOLの好守や相手の粘り強い守備になかなかゴールが奪えない。しかし、後半32分、FW/ATAヴァルガス(Vargas)がPA内であげたクロスが相手ディフェンダーの広げた腕に当たりPKを獲得。フッキがこのPKを冷静に決めリードを奪う。試合はこのまま終了、2試合合計2-1で準々決勝に進出する。
準々決勝の相手は前年の準決勝で苦杯をなめた相手パウメイラス。 8月3日ホームで行われた1stレグ。立ち上がりからフッキ、ケーノ(Keno)、アデミールのスリートップが相手ゴールに迫る。すると、前半45分、MF/MEIジャイール(Jair)がPA内で倒されPKを獲得。フッキがこれを落ち着いて決め、アトレチコが先制。 後半1分にPA内ゴールライン際のクロスが相手CB/ZAGに当たりオウンゴールを誘発し、2-0と差を広げる。その後もアトレチコが優位に試合を進めが、後半14分、FKからの流れで失点。その後お互いにチャンスを迎えるも守備陣が踏ん張る展開が続くが、後半アディショナルタイムにCKから失点。またもやセットプレーからの失点で1stレグを2-2で終える。
8月10日2ndレグ・アウェイ。前半28分、相手VOLのスパイク裏がサラーチョ(Zaracho)のふくらはぎを削り一発レッドカード。数的優位に立つがゴール前を固める相手守備陣を崩せない。守備ブロックの外からミドルシュートを枠内に放つが、2度相手GK/GOLに防がれる。後半37分には相手にもう一枚レッドカードが提示される。後半アディショナルタイム3分にフッキのクロスぎみのシュートがゴールポストを直撃するなど優勢に試合を進めるも得点を奪えずタイムアップ。試合は0-0、2試合合計2-2でPK戦に突入する。PK戦は6人目までもつれ込むが6人目のキッカーが相手GK/GOLに阻まれ5-6で敗戦。数的有利を活かせず前年に続きパウメイラスに苦杯を舐めリベルタドーレスを後にする。
【全国選手権】
優勝候補の一角として迎えた全国選手権は、前年に見せた爆発的は得点力がやや影を潜め勝ち切れない試合が見受けられるものの、第17節(7月17日)を終えた時点で2位に位置し、勝ち点差2で首位のパウメイラスを追う。しかし、コパ・ド・ブラジルをベスト16で敗退し、第18節では15位のクイアバ戦に引き分け首位との勝ち点差が4に広がると、クラブはアントニオ・モハメド監督を解任。アントニオ・モハメド監督は45試合27勝13分5敗勝点率69.2%(うち全国選手権18試合8勝8分2敗勝点率59.3%)を残しアトレチコ・ミネイロを後にする。
後任には、前年二冠を達成したクーカ氏を招聘し、残すリベルタドーレスと全国選手権を託す。 ところが、監督交代直後の全国選手権で3連敗を喫すると、リベルタドーレスもベスト16で敗退。クーカ氏が指揮を取った全国選手権20試合は7勝5分8敗得点19失点19、無得点試合8、3点以上の得点を奪った試合は僅か1試合という成績に終わり、最終的には7位でシーズンを終えた。
選手権前半 : 8勝 8分 3敗、得点26失点18 選手権後半 : 7勝 5分 7敗、得点19失点19 選手権合計 : 15勝13分10敗、得点45失点37
【所感】
2021年の主力が残留したが、他の上位チームに比べ選手層の底上げが不足したように思われる。 また、中国リーグで活躍したアラン・カルデッキ(Alan Kardec)、シャクタルドネツク/ウクライナからのレンタル移籍のペドリーニョ(Pedrinho)がシーズン途中に加入したが、いずれも半年以上のブランクがあり、即戦力として活躍には至らなかった。 さらには、W杯代表の有力候補だった左SB/LAEギリェルミ・アラーナ(Guilherme Arana)が9月7日の試合で2022年シーズンを棒に振る大けがを負う誤算もあった。
2022年シーズン終了直後の11月14日に両者の合意でクーカ監督が辞任。11月19日にエドゥアルド・コウデ(Eduardo Coudet)氏の監督就任が発表された。エドゥアルド・コウデ氏は、2020年にはセルタ・デ・ビーゴ/スペインの監督就任にあたり最終節を待たずに辞任したがインテルナシオナウを率いて全国選手権2位の実績を残している。当時19歳のMF/MEIマウリシオ(Maurício)、22歳のMF/MEIノナト(Nonato)、18歳のMF/MEIジョニー(Johnny)、19歳のFW/ATAユーリ・アウベルト(Yuri Alberto)、18歳のFW/ATAペグロー(Peglow)を積極的に起用したが、これらの選手は2022年シーズンにはヨーロッパ移籍を果たすかもしくは所属チームで主力として活躍している。
2022年は全国選手権、コパ・ド・ブラジル、リベルタドーレスで期待に添わない結果に終わった。実績があり経験豊かなベテランが多いアトレチコミネイロは財政的に苦しくなると思われる。2023年は中堅、若手選手の底上げを図り、我慢強くエドゥアルド・コウデ氏にチーム再建を託す必要があるように思われる。
<チーム内個人成績・記録>
* 参照元:サッカーサイト「Ogol」
記録 | 選手 | 公式戦計 | 全国選手権 | リベルタ ドーレス | ブラジル 杯 | 州選手権 | スーペル コパ |
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最多試合出場 | アデミール (Ademir) – FW/ATA | 61 | 35 | 9 | 3 | 13 | 1 |
(2位) | エヴェルソン (Éverson) – GK/GOL | 58 | 37 | 9 | 3 | 8 | 1 |
(3位) | ナチョ・フェルナンデス (Nacho Fernández) – MF/MEI | 57 | 34 | 10 | 2 | 10 | 1 |
最多出場時間 | エヴェルソン (Éverson) – GK/GOL | 5220 | 3330 | 810 | 270 | 720 | 90 |
(2位) | アラン (Allan) – MF/MEI | 4384 | 2735 | 686 | 215 | 658 | 90 |
(3位) | フッキ (Hulk) – FW/ATA | 3848 | 2095 | 899 | 180 | 584 | 90 |
最多得点 | フッキ (Hulk) – FW/ATA | 29 | 12 | 5 | 1 | 10 | 1 |
(2位) | エドワルド・サシャ (Eduardo Sasha) – FW/ATA | 12 | 3 | 1 | 3 | 5 | 0 |
(3位) | ナチョ・フェルナンデス (Nacho Fernández) – MF/MEI | 9 | 4 | 2 | 0 | 2 | 1 |
最多アシスト | ナチョ・フェルナンデス (Nacho Fernández) – MF/MEI | 10 | 5 | 1 | 0 | 4 | 0 |
(2位) | ギリェルメ・アラーナ (Guilherme Arana) – 左SB/LTE | 8 | 3 | 2 | 1 | 2 | 0 |
(3位タイ) | フッキ (Hulk) – FW/ATA | 5 | 2 | 1 | 1 | 1 | 0 |
(3位タイ) | ジャイール (Jair) – MF/MEI | 5 | 4 | 0 | 0 | 1 | 0 |
最多デュエル勝利 | ジャイール (Jair) – MF/MEI | – | 140 | – | – | – | – |
(2位) | フッキ (Hulk) – FW/ATA | – | 132 | – | – | – | – |
(3位タイ) | アデミール (Ademir) – FW/ATA | – | 129 | – | – | – | – |
(3位タイ) | ケーノ (Keno) – FW/ATA | – | 129 | – | – | – | – |
最多キーパス | ナチョ・フェルナンデス (Nacho Fernández) – MF/MEI | – | 56 | – | – | – | – |
(2位) | フッキ (Hulk) – FW/ATA | – | 40 | – | – | – | – |
(3位) | ケーノ (Keno) – FW/ATA | – | 38 | – | – | – | – |
最多CBI | ナタン・シウヴァ (Nathan Silva) – CB/ZAG | – | 110 | – | – | – | – |
(2位) | ジュニオル・アロンソ (Júnior Alonso) – CB/ZAG | – | 109 | – | – | – | – |
(3位) | アラン (Allan) – MF/MEI | – | 73 | – | – | – | – |
※ デュエル勝利 : 一対一でのイーブンボールの奪い合いでボールを獲得すること キーパス : パスの受け手がシュートを打てた時にカウントされる指標 CBI : クリア、ブロック、インターセプト