【ブラジル全国選手権2023】第14節(1/2)

投稿者: | 2023年7月7日

投稿内の選手名のリンクは、当ブログ選手紹介記事にリンクしています。
投稿内の「動画URL」はブラジルスポーツサイト「ge」YouTube公式チャンネルのダイジェスト動画にリンクしています。

全国選手権第14節 対戦組合せ


以下の5試合はこの記事で。
・2023/07/08 ヴァスコ・ダ・ガマ(VAS) x クルゼイロ(CRU)
・2023/07/08 クイアバ(CUI) x バイーア(BAH)
・2023/07/08 アトレチコ・ミネイロ(CAM) x コリンチャンス(COR)
・2023/07/08 コリチバ(CFC) x アメリカ・ミネイロ(AME)
・2023/07/08 パウメイラス(PAL) x フラメンゴ(FLA)
以下の5試合はこちらで。→ 【ブラジル全国選手権2023】第14節(2/2)
・2023/07/09 サントス(SAN) x ゴイアス(GOI)
2023/07/09 フルミネンセ(FLU) x インテルナシオナウ(INT)
2023/07/09 RBブラガンチーノ(RBB) x サンパウロ(SAO)
2023/07/09 グレミオ(GRE) x ボタフォゴ(BOT)
2023/07/09 フォルタレーザ(FOR) x アトレチコ・パラナエンセ(CAP)

全国選手権第14節 試合概要

ヴァスコ・ダ・ガマ(VAS) 0-1 クルゼイロ(CRU)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=VBlP7vvT9SM
(CRU) : 45+4' #23 マシャード(Machado, 1996)[FK]
(VAS) : N/A

見どころ(試合前の順位)

   ヴァスコ・ダ・ガマは全国選手権2勝3分8敗勝点9の18位。
   クルゼイロは全国選手権5勝3分5敗勝点18の12位。

得点シーン

(CRU)前半45+4分 :
左SBカイキ(Kaiki, 2003)がファールを受け獲得したFK。VOLマシャードが蹴ったボールは2枚の壁の右を抜けゴール左上隅に吸い込まれるゴラッソ。クルゼイロが先制。
   VOLマシャードは、2022年にクルゼイロに加入。今季は州選手権での起用は少なかったものの、全国選手権に入りこの試合を含め全14試合に出場(うち先発9試合)。セグンドボランチとしてチームの好調時には3アシストを記録したが、チームの低迷と共にゴールに絡むことがなくなり、このゴールは今季全国選手権での初ゴール、5月14日第6節以来の得点関与となった。
   左SBカイキ(Kaiki, 2003)は、2023U-20南米ユース選手権&U-20W杯に出場。今や攻守の要となる左SBマルロン(Marlon, 1997)の壁は高く、公式戦は4月25日のコパ・ド・ブラジルでの途中出場、全国選手権はこの試合が初出場、初先発となった。試合では得点の起点となるファールを獲得し、守っても無失点に貢献。少ないチャンスを生かして出場機会を増やしていきたい。

試合概要

   この試合も前節に引き続き、6月22日全国選手権第11節でのヴァスコ・ダ・ガマサポーターの乱入騒ぎの処分として、無観客試合として開催された。
   ヴァスコ・ダ・ガマは、7月の移籍ウィンドウで獲得したCBマイコン(Maicon, 1988, 前所属サントス)とFWセルジーニョ(Serginho, 1995, 前所属ギレスンスポル/TUR)をスタメンに抜擢。累積警告で出場停止の左SBルーカス・ピトン(Lucas Piton, 2000)に代わりCBレオ(Léo, 1996)を起用する。
   クルゼイロはCBルーカス・オリヴェイラ(Lucas Oliveira, 1996)が前節での退場処分、左SBマルロンが警告累積で出場停止。CBには前2節に途中出場のネリス(Neris, 1992)、左SBには下部組織出身でこの試合が全国選手権初出場となるSBカイキを先発に抜擢するものの、最終ラインに少し不安を残す。右サイドハーフにはMFエステーニオが前節に続き先発に起用され、2023U-20南米ユース選手権代表の2選手がスタメンに名を連ねた。
   前半5分、ヴァスコは自陣左サイドライン際から前方にロングフィード。FWガブリエウ・ペッキ(Gabriel Pec, 2001)が抜け出し、ゴールに向かいドリブルでボールを運びシュートまで持ち込むが、ボールは僅かにゴールポスト右に外れる。
   この後試合は膠着。降格圏に低迷するヴァスコ・ダ・ガマ、7試合未勝利後に2試合無失点で1勝1分と危機を逃れつつあるクルゼイロは、両チームとも中盤での守備が機能するとともに、ボールを持った際に相手のマークを掻い潜り前線にボールを運ぶ手立てを持たない。
   前半40分、クルゼイロは敵陣左サイドから右へボールを繋ぎ、ペナルティエリア入口右寄りからFWエステーニオ(Stênio, 2003)がシュート。GKレオ・ジャルジン(Léo Jardim, 1995)が横に飛びつき辛うじてCKに逃れる。
   前半45+4分には、VOLマシャードの直接FKでクルゼイロが先制。
   低調な前半は最後の10分に動きがあり、1-0とクルゼイロがリードして折り返した。
   後半に入っても試合の展開は変わらない。
   ヴァスコは後半15分以降に相次いで選手交代を行うが、疲労の見えた選手を入れ替えるだけで、選手交代を通して布陣、戦術の変更は行われない。クルゼイロもヴァスコの選手交代をみて疲労の見える選手を交代。前線の選手はボールの出どころへのマークを厳しくし、ヴァスコの攻撃の芽を潰していく。
   試合は、クルゼイロの高い位置でマークを厳しくする守備的な戦術が功を奏し、カウンターでチャンスを掴むことはあっても、大きなピンチを迎えることはなく、クルゼイロが無観客のアウェイでの試合で1-0の勝利を収めた。

所感 etc.

   ヴァスコ・ダ・ガマは、補強で獲得した経験豊かなCBマイコンを先発に起用し、サイドバックにCBレオを起用、CB3人を最終ラインに配置した守備的な布陣だったが、直接FKによる1失点に抑えることができ、守備面では一応補強の効果が出たと言える内容。
   しかし、攻撃についてはFWセルジーニョを起用したものの、問題はどのように前線へ送るかであって中盤での選手間の連係と、ボールをどこで落ち着かせるかということになると思われる。州選手権でチームを離れたMFネネー(Nenê, 1981)のような存在が必要だと思われる。
   この敗戦で全国選手権は再び連敗。順位も一つ落とし19位。
   次節はアメリカ・ミネイロとの一戦が予定されていたが、アメリカ・ミネイロがコパ・スウアメリカーナのプレーオフに進出したため順延。次戦は7月23日の全国選手権第16節ホームでのアトレチコ・パラナエンセ戦。2週間の期間を利用し連係、攻守の移行等々、細部まで戦術を落とし込みたい。

   クルゼイロは、この試合では最終ラインの先発2選手が前節、前々節と異なり、試合前は少々守備面に不安が感じられたが、中盤での潰しの早さもあり、危なげなく試合を締め、3試合連続の無失点試合に成功。
   攻撃面では、FWエステーニオを連戦でスタメンに起用、新たにバジャドリー/ESPから獲得した左サイドのFW.SBパウロ・ヴィトル(Paulo Vitor, 1999)を終盤に起用し実戦を経験させるなど、まだ結果を伴っていないものの少しずつ選手層に厚みを加えつつある。
   この勝利で勝ち点を21に伸ばし、土曜日の5試合が終えた暫定の順位で8位。リベルタドーレス出場圏の6位チームとは同勝点に並んだ。
   次戦は7月16日に全国選手権第15節ホームでのコリチバ戦。コリチバは降格圏に低迷しているが最近は2連勝を果たしており油断はできない。

クイアバ(CUI) 1-1 バイーア(BAH)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=mZ4uAAjH9gg
(CUI) : 18' #16 デイヴェルソン(Deyverson, 1991)[PK]
(BAH) : 51' #xx オウンゴール(Gol Contra)[]

見どころ(試合前の順位)

   クイアバは全国選手権4勝3分6敗勝点15の13位。
   バイーアは全国選手権3勝3分7敗勝点12の15位。

得点シーン

(CUI)前半18分 :
やや左サイド寄りで敵陣に入った位置から、VOLデニウソン(Denilson, 2001)がペナルティエリア内右深くへロングフィード。FWジョナタン・カフー(Jonathan Cafú, 1991)がボールを収めようとしたところをディフェンダーに倒され、クイアバがPKを獲得。これをFWデイヴェルソンが落ち着いて決め、クイアバが先制。
   FWデイヴェルソンは最近の出場7試合で5得点を記録。得点をあげた5試合はチームも3勝2分と成績もよい。FWデイヴェルソンが好調を維持しチームを上位争いへ牽引したい。
(BAH)後半6分 :
自陣から左サイドをゴールライン手前までボールを運んだバイーアは、左SBヒアン(Ryan, 2002)がディフェンダーをかわしゴール前にクロス。そこにFWミンゴッチ(Mingotti, 2000)が飛び込むがタイミングが合わない。しかし、FWミンゴッチのマークに並走したディフェンダーの頭に当たりゴールイン。オウンゴールでバイーアが同点に追いつく。
   SBヒアンは、バイーア下部組織出身、2023年1月11日の州選手権でプロデビュー。SBマテウス・バイーア(Matheus Bahia, 1999)、SBチャベス(Chavez, 2002)とのポジション争いに後れをとり、3月14日の先発出場を最後にベンチを温める試合が続くが、5月11日全国選手権第6節フラメンゴ戦でSBマテウス・バイーアの負傷交代で2か月ぶりに試合に出場し、その後はスタメン、途中出場を繰り返す。このアシストは6月10日第10節クルゼイロ戦以来のアシスト。この調子で試合でアピールを続けたい。

試合概要

   クイアバは立ち上がりから高い位置でのマークと相手のミスを突き試合を優勢に進める。前半2分、6分、クイアバは立て続けに相手のミスを突きバイーアゴールを襲うが、GKマルコス・フェリピ(Marcos Felipe, 1996)が必死のセーブでゴールを許さない。しかし、前半18分、バイーア守備陣はGKマルコス・フェリピの好守に報いることができずPKを献上し失点。クイアバは先制すると試合を落ち着かせ、バイーアにボールを持たせながらも、鋭いカウンターを繰り出しながら試合をコントロールする。
   バイーアは、前半40分に早くもCBとSBを交代。この交代が試合を動かす。前半45+4分、自陣からボールを繋ぎ、VOLタシアーノがペナルティエリア内ゴールライン際でボールを受けゴール前にクロス。FWミンゴッチのヘディングシュートはGKヴァウテル(Walter, 1987)に阻まれるも攻撃の形が見えてくる。
   すると、後半立ち上がりの6分、バイーアは左サイドからの攻撃で相手のオウンゴールを誘い同点。後半10分にはクイアバがGKヴァウテルからボールを繋ぎFWジョナタン・カフーがシュートに持ち込むと、後半12分にはバイーアがSBフアンとMFカイキ(Kayky, 2003)のパス交換から敵陣左サイドを崩しクロスを供給するが、このボールは僅かに合わない。
   試合はバイーアが優勢に進めていくものの、気温が34度にも達する中、試合の強度は弱まっていき、1-1のままタイムアップ。
   前半はクイアバが支配し、後半はバイーアが支配した試合は、内容通りの1-1という順当な結果に終えた。

所感 etc.

   クイアバは、試合の前半を支配。しかし、後半は選手交代が機能せず、終始押し込まれる内容で、シュートも僅か2本に抑えられる。
   前半の立ち上がりの2度の好機のいずれかをものにしていたら、違った展開となっていただろうか。
   ケガ明けで今季初出場となるベテランVOLウエンデウ(Uendel, 1988)、V・ファーレン長崎から獲得したばかりのFWクレイソン(Clayson, 1995)を実戦に投入。一日も早く戦力としての活躍が期待される。
   次戦は7月16日全国選手権第15節アウェイでのフォルタレーザ戦。

   バイーアは、前半はミスも多くGKマルコス・フェリピの好守に助けられる展開。攻撃の形も作ることができずシュートまで持ち込むことすらできない。そこで前半40分に早くも2選手を交代。すると、一気に形成を逆転し、後半始めに同点。その後も得点を奪うことは出来なかったが、相手陣深くまでボールを運び、チャンスを作ると共に相手をゴールから遠ざけることに成功。危ない場面もなく、アウェイでの試合で勝ち点1を持ち帰ることができた。
   次戦は週中にコパ・ド・ブラジル準々決勝2ndレグ、アウェイでのグレミオ戦。1stレグは試合終了間際の失点で追いつかれた悔しい引き分け。今日の試合の流れで試合を運び、クラブ史上初の準決勝に駒を進めたい。全国選手権第15節は7月16日にアウェイでのインテルナシオナウ戦。

アトレチコ・ミネイロ(CAM) 0-1 コリンチャンス(COR)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=2Pbxo4mFLb8
(COR) : 40' #10 ホージェル・ゲデス(Róger Guedes, 1996)[#9 ユーリ・アウベルト(Yuri Alberto, 2001)]
(CAM) : N/A

見どころ(試合前の順位)

   アトレチコ・ミネイロは全国選手権5勝5分3敗勝点20の10位。
   コリンチャンスは全国選手権3勝3分7敗勝点12の16位。

得点シーン

(COR)前半40分 :
相手陣に入ったところで、パスをカットしたFWユーリ・アウベルトがディフェンダーをFWホージェル・ゲデスにボールを送る。詰めるディフェンダーをかわしFWホージェル・ゲデスが右足から巻き込むシュート。ボールはゴール右サイドネットを揺らし、コリンチャンスが先制。
   FWホージェル・ゲデスはクリシウーマ下部組織出身で2014年11月23日全国選手権第36節フラメンゴ戦でデビュー。同年12月6日全国選手権第38(最終)節コリンチャンス戦でプロ初ゴール。パウメイラス、アトレチコ・ミネイロ、山東泰山/CHNを経て2021年8月27日にコリンチャンスに加入。2023年は7月8日現在ですでにキャリア最多の19得点を記録。全国選手権は5月28日フルミネンセ戦以来のゴール、14試合6得点を記録。卓越したスピードとシュート技術も持ち、献身的な守備も見せる。

試合概要

   アトレチコ・ミネイロはFWフッキ(Hulk, 1986)を前節の退場処分による出場停止で欠き、前々節に今季初試合でゴールをマークしたFWアラン・カルデッキ(Alan Kardec, 1989)を先発に起用。
   コリンチャンスは、センターバックを3枚並べた守備的な布陣。
   大方の予想通り、ホームのアトレチコ・ミネイロがボールを保持し、コリンチャンスは自陣で耐える時間が続く。アトレチコは前半だけで15本ものシュートを放つが、コリンチャンスGKカシオ(Cássio, 1987)が活躍する場面は前半36分のMFパボン(Pavón, 1996)によるシュートのみ。
   コリンチャンスは、押し込まれる時間が続くが、ボールを奪うとFWユーリ・アウベルトとFWホージェル・ゲデスが鋭いカウンターで相手ゴールに迫る。
   前半40分、コリンチャンスは相手のミスを逃さず先制点を奪うと、引き続き自陣で固く守備ラインを構築する。
   後半開始時に、アトレチコは一気に3選手を交代し、守備ラインを削り中盤を厚くする。しかし、コリンチャンスの堅守を崩すことができない。後半も前半同様アトレチコ・ミネイロはコリンチャンスの堅守を崩す手立てがなく、チャンスらしいチャンスは後半11分のVOLバタグリア(Battaglia, 1991)のシュートのみ。
   試合はこのまま1-0でコリンチャンスが勝利を収めた。

所感 etc.

   アトレチコ・ミネイロは、ルイス・フェリピ・スコラーリ(Luiz Felipe Scolari)監督が指揮を執り5試合が経過するが。勝ち星がなく3分2敗。堅固な守備ラインを崩すことができず、守備ブロックの外からの強引なミドルシュートが目立つ。セットプレーも想像力に欠けゴールの匂いがしない。
   明るい材料としては、後半開始時にFWペドリーニョ(Pedrinho, 1998)が太ももの筋肉断絶のケガが想定以上に早く回復し4月18日以来の出場。この試合ではケガ前の鋭い動きを見せていた。
   次戦は7月17日に全国選手権第15節アウェイでのゴイアス戦。

   コリンチャンスは、守備に重点を置いた試合で相手のミスをつき奪った一点を最後まで集中力を切らさず守り切ることに成功。
   攻撃面では課題が多く残るものの、ひとまずは降格圏から遠ざかる結果に安堵。
   後半19分にはケガ明けの攻撃の要MFヘナト・アウグスト(Renato Augusto, 1988)を投入。約1か月ぶりの実戦となり、期待通りには試合を落ち着かせることは出来なかったが、実戦を通し調子をあげ、中盤でタメを作り攻撃の指揮を振るいたい。
   次戦は週中7月11日にコパ・スウアメリカーナプレーオフの1stレグ。全国選手権第15節は順延され7月22日に第16節バイーア戦がアウェイで開催される。

コリチバ(CFC) 3-1 アメリカ・ミネイロ(AME)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=vfWEXQmCzzk
(AME) : 8' #8 ジュニーニョ(Juninho, 1987)[]
(CFC) : 40' #11 アレフ・マンガ(Alef Manga, 1994)[PK]
(CFC) : 44' #30 ホビソン(Robson, 1991)[#11 アレフ・マンガ(Alef Manga, 1994)]
(CFC) : 90+6' #26 ヴィクトル・ルイス(Victor Luís, 1993)[#29 ジオゴ・バチスタ(Diogo Batista, 2003)]

見どころ(試合前の順位)

   コリチバは全国選手権1勝4分8敗勝点7の20位。
   アメリカ・ミネイロは全国選手権2勝3分8敗勝点9の19位。

得点シーン

(AME)前半8分 :
ボールを奪い攻めあがったアメリカ・ミネイロがペナルティエリア内に5選手が侵入し、左から右へ、シュート、前後とボールを動かし、最後はMFジュニーニョがペナルティエリア正面入り口からシュート、ゴールネットを揺らす。
   今年アメリカ・ミネイロで8年目を迎える35歳のMFジュニーニョはチーム39試合中38試合に出場する鉄人ぶりを発揮。最近の公式戦5試合では中盤の選手ながらチームの全7得点のうち4得点をマーク、うち1得点はコパ・スウアメリカーナでプレーオフ進出に貢献する後半43分の勝ち越しゴール、うち1得点はコパ・ド・ブラジル準々決勝1stでの試合唯一のゴール。
(CFC)前半40分 :
敵陣浅い位置を中央から右サイドライン際、ペナルティエリア内ゴールライン際とボールを動かし、SBナタナエウ(Natanael, 2002)がゴール前へクロスを送ろうとするがブロックされる。VARの介入によりこのブロック時にボールが広げた手に当たりコリチバがPKを獲得。これをFWアレフ・マンガが決めコリチバが同点に追いつく。
   SBナタナエウはコリチバ下部組織出身で、2020年2月2日州選手権ロンドリーナ戦で先発出場し18歳でプロデビュー。デビュー後は比較的多くの出場機会を得て2021年半ばにはレギュラーとして定着。試合平均3を上回るボール奪取が示す通り一対一の守備を得意とするが、積極的な攻め上がりを見せるバランスの取れたサイドバック。
(CFC)前半44分 :
FWホビソンがペナルティエリア内右でFWアレフ・マンガからボールを受け、ディフェンダーとの一対一の対峙を制し右足でシュート。鋭いボールがゴールネットに突き刺さりコリチバが逆転に成功。
   FWホビソンは全国選手権第6節~第8節にかけて記録した3試合連続得点以来のゴール。個人技によるこの貴重な勝ち越し点でチームは2連勝を達成、最下位から脱出。
(CFC)後半45+6分 :
GKからのロングフィードは相手が頭を合わせるがFWアレフ・マンガがボールを拾いサイドライン際のFWホビソンにボールを送る。一列内側をSBジオゴ・バチスタが駆け上がり前方へのパスを要求。FWホビソンがゴールライン手前に向けボールを送るとSBジオゴ・バチスタがダイレクトにマイナスのクロス。左SBヴィクトル・ルイスが左足を合わせゴールネットを揺らす。
   左SBヴィクトル・ルイスは州選手権を境に出場機会を失っていく。最近ではベンチを温める試合も多かったが、この試合では中盤として途中交代出場からダメ押しのゴールをマーク。再びレギュラー争いに名乗りを挙げたい。
   右SBジオゴ・バチスタは、コリチバ下部組織出身で、前節2023年7月3日の全国選手権第13節でスタメンに抜擢されプロデビューを飾ると、この試合では後半19分にピッチに立ちアシストを記録。公式戦(=全国選手権)2試合出場でチームは2連勝。”持っている”のかもしれない。

試合概要

   全国選手権最下位と19位による裏天王山。両チームにとって降格圏を脱出するためにも勝ち点3が必要な試合。
   アメリカ・ミネイロが試合開始40秒に早くもファーストシュート。FWエヴェラウド(Everaldo, 1994)のペナルティエリア右角からのシュートはクロスバーに嫌われるものの、アメリカ・ミネイロが立ち上がりから攻勢に出る。すると、前半8分、敵陣で相手ビルドアップのボールを奪い、相手ペナルティエリア内での分厚い攻撃から早くも先制。
   このゴールを機にコリチバも目を覚ます。中盤の選手が相次いで高い位置で相手ボールを奪い、次々とアメリカゴールに迫る。その勢いに押されアメリカが自陣でのファールを繰り返すと、コリチバは前半24分、27分と立て続けにFKから好機を迎える。しかし、いずれもアメリカGKマテウス・パジナット(Mateus Pasinato, 1992)が攻守でゴールを許さない。
   GKの奮闘も空しく、アメリカは前半40分にPKによる失点、前半44分には一対一の対峙で後手を踏み逆転を許す。
   後半開始時に中盤の選手交代を行い、コリチバが高い位置でのプレスを控え守備的になったことから、ボールを保持するようになる。しかし、コリチバの堅守を崩すアイディアに欠け、ミドルシュートを多用し相手ゴールをこじ開けようとするが、正GKの累積警告による出場停止で出場機会を得たGKルアン・ポリ(Luan Polli, 1993)が堅実なセーブで処理。
   後半アディショナルタイムにはGKルアン・ポリのロングフィードを起点にコリチバがダメ押しの3点目を奪い試合終了。

所感 etc.

   コリチバは立ち上がりこそアメリカのプレスに浮足立ち、失点を許したものの、以降は試合を支配。逆転までは高い位置でのボール奪取や、相手陣でのボール回しで次々に相手ゴールに襲い掛かり、逆転後はしっかりと守備を固め、ボールを持たれながらも中に入ることを許さず、最後にダメ押し点を奪い、遂に最下位を脱出。
   前々節(第12節)終了時には、全国選手権最少得点を記録してたが、最近の2試合で5得点。守備面でも高い位置でのマークとボールを保持することで相手の攻撃機会を奪った前半の失点以降と、自陣に引きながらもボールの出どころへの素早い寄せと的確なマークで相手に攻撃の糸口を作らせなかった後半の戦いぶりが、今後への期待を抱かせた。
   移籍ウィンドウでは、FWエドゥ(Edu, 1993)を完全移籍で獲得。2021年はブルスキに所属し全国選手権2部の得点王、2022年はクルゼイロのチーム内得点王として1部昇格に貢献する経歴を持つ。
   さらに、フランス2部ボルドーから獲得したMFフランセルジオ(Fransérgio, 1990)をいきなりスタメンに起用。立ち上がりこそ不安定ではあったが次第にチームに溶け込みリズムを作り出し、今後に期待を抱かせる内容で後半25分にピッチを後にした。
   2連勝で最下位を脱出、現時点で降格圏脱出に必要な勝ち点を3まで詰めた。
   次戦は7月16日全国選手権第15節アウェイでのクルゼイロ戦。

   アメリカ・ミネイロは、移籍ウィンドウで獲得したFWヴァランダ(Varanda, 2003)をスタメンに起用。さらに、右SBボルジェス(Borges, 1993)を投入したものの、いずれも機能したとは言えない内容。しかし、これは戦術的な要素が多く、今後のトレーニングや試合を通して高めるしかない。
   一方で同じく移籍ウィンドウで獲得したFWペドリーニョ(Pedrinho, 1999)は前節に続き2試合連続出場。結果は伴わなかったものの、オフザボールの動きやスピードで今後に期待を抱かせる内容。
   アメリカ・ミネイロは、コパ・スウアメリカーナ、コパ・ド・ブラジルで勝ち上がっており、試合日程は過密だが、ベテランの休養、新加入選手のチーム戦術の溶け込みなどに上手く利用したいところ。
   次戦は、週中(7月11日)にコパ・スウアメリカーナのプレーオフ。7月15日にはコリンチャンスとのコパ・ド・ブラジル準々決勝1stが組まれ、全国選手権第15節は順延され第16節は7月22日アウェイでのフラメンゴ戦。

パウメイラス(PAL) 1-1 フラメンゴ(FLA)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=37ieZKq9gnQ
(PAL) : 24' #7 ドゥドゥ(Dudu, 1992)[]
(FLA) : 81' #14 デ・アラスカエッタ(De Arrascaeta, 1994)[#7 エヴェルトン・ヒベイロ(Éverton Ribeiro, 1989)]

見どころ(試合前の順位)

   パウメイラスは全国選手権6勝5分2敗勝点23の4位。
   フラメンゴは全国選手権8勝1分4敗勝点25の3位。

得点シーン

(PAL)前半24分 :
相手陣深く右サイドライン際から右SBマイキ(Mayke, 1992)がゴール前にクロス。FWホニ(Rony, 1995)が頭に合わせるが、GKが両手で弾き出す。しかし、そのボールをFWドゥドゥがダイレクトに右足で押し込みパウメイラスが先制。
   FWドゥドゥは2015年のパウメイラス入団以来、1年間の中東への期限付き移籍があったものの、400試合以上に出場するパウメイラスの顔の一人。スピードとテクニック、そして、相手のイヤな所を突くプレーで、味方にとっては頼もしく、相手にとっては非常に厄介な選手。このゴールは5月28日全国選手権第8節アトレチコ・ミネイロ戦以来の3得点目。
(FLA)後半36分 :
MFエヴェルトン・ヒベイロがペナルティエリア右寄りをドリブルで侵入し中央にクロス。MFデ・アラスカエッタがこのボールに飛び込み、頭を合わせゴールネットを揺らす。
   MFデ・アラスカエッタは公式戦4試合連続で得点に関与(2得点3アシスト)。この試合では途中交代出場となったが、最近の好調を保ち見事な同点弾。

試合概要

   前半は、パウメイラスが両サイドのスピード豊かなFW陣にボールを送り、深い位置に相手を押し込み、サイドからのクロスを主体に相手ゴールに迫る展開。
   前半24分には待望の先制点。得意の形で奪いきった。しかし、その後は惜しい場面を創り出すも、GKマテウス・クーニャ(Matheus Cunha, 2001)を中心としたフラメンゴCB陣の好守になかなか追加点を奪うことができない展開。
   後半に入り、フラメンゴは移籍加入したばかりのFWルイス・アラウージョ(Luiz Araújo, 1996)に代わりMFエヴェルトン・ヒベイロを投入。中盤が厚くなり、さらにはCBダヴィ・ルイス(Davi Luiz, 1987)がボールを持ち上がるなど、パウメイラスのマークを分散。さらには、スピードのあるMFエヴェルトン・セボリーニャ(Everton Cebolinha, 1996)に代え、キープ力のあるMFデ・アラスカエッタ(De Arrascaeta, 1994)を投入し、次第に試合の主導権を握る。
   すると、後半36分に同点。1-1のまま試合終了。
   首位ボタフォゴを追いかけたい上位争いは勝ち点1を分け合う痛み分けに終えた。

所感 etc.

   パウメイラスはこの引き分けで首位ボタフォゴと12ポイント差。
   全国選手権が始まる頃から、主力の一部が代わる代わるケガで欠場し、その都度若手選手を起用して凌いできたが、最近では相手チームによる研究と、控え選手が入った時の僅かな連係のずれを突かれているのか、全国選手権はここ4試合を2分2敗と勝ち点を積み上げられずにいる。クラブ会長が補強に制限をかけている中、思うように若手選手が伸びず、主力と控えの試合の中でのパフォーマンスに差が広がっているのかもしれない。
   しかし、ここ数年の、育成をしつつも常に南米大陸やブラジル国内でトップを競うスタイルは稀有のものであり、ブラジルサッカーのレベルを上げるためにもこのスタイルは捨ててほしくない。現状を過渡期として捉え、思い切った采配で不振を乗り越えてもらいたい。
   次戦は週中にコパ・ド・ブラジル準々決勝2ndレグ、ホームでのサンパウロ戦。1stレグを0-1で落としている中での試合となるがアベウ・フェヘイラ監督の采配が気になるところ。全国選手権は7月16日に第15節アウェイでのインテルナシオナウ戦が控えている。

   フラメンゴも、ここ数年は優秀な下部組織からの将来を嘱望される若手選手が供給され、潤沢な資金で外部から選手を獲得し、常に南米大陸やブラジル国内で覇を競っているクラブの一つ。今季は、一定の成績を残しているものの、高いレベルの選手の集合体に止まり、戦術的な面白みのない試合が続き、若手選手の起用もごく限られたものとなり、昨年(2022年)のサッカーを知り者にとっては非常に残念なチームに成り下がっている。
   移籍ウィンドウでの出入りや今季限りで退団する選手の噂も多く、残念さが輪をかけて広がっている。
   とは言え、前節終了時2位のグレミオが敗戦したことから、引き分けで勝ち点1を積み上げ、全国選手権は2位に浮上。首位ボタフォゴとの勝点差は10に広がった。
   次戦はコパ・ド・ブラジル準々決勝2ndレグ、アウェイでのアトレチコ・パラナエンセ戦。1点リードを許した1stレグは、自陣に引きこもる相手守備陣をこじ開け2-1と逆転して終えたが、敵地に乗り込みどのような戦いぶりを見せるだろうか。
   全国選手権は7月16日に第15節アウェイでのクラシコ、フルミネンセ戦。通称フルフラ(FLU-FLA)が開催される。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です