【ブラジル全国選手権2023】第14節(2/2)

投稿者: | 2023年7月7日

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全国選手権第14節 対戦組合せ


以下の5試合の概要はこちらで。→ 【ブラジル全国選手権2023】第14節(1/2)
・2023/07/08 ヴァスコ・ダ・ガマ(VAS) x クルゼイロ(CRU)
・2023/07/08 クイアバ(CUI) x バイーア(BAH)
・2023/07/08 アトレチコ・ミネイロ(CAM) x コリンチャンス(COR)
・2023/07/08 コリチバ(CFC) x アメリカ・ミネイロ(AME)
・2023/07/08 パウメイラス(PAL) x フラメンゴ(FLA)
以下の5試合の概要はこの記事で。
・2023/07/09 サントス(SAN) x ゴイアス(GOI)
2023/07/09 フルミネンセ(FLU) x インテルナシオナウ(INT)
2023/07/09 RBブラガンチーノ(RBB) x サンパウロ(SAO)
2023/07/09 グレミオ(GRE) x ボタフォゴ(BOT)
2023/07/09 フォルタレーザ(FOR) x アトレチコ・パラナエンセ(CAP)

全国選手権第14節 試合概要

サントス(SAN) 4-3 ゴイアス(GOI)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=UxI5XJQszT8
(SAN) : 16' #9 マルコス・レオナルド(Marcos Leonardo, 2003)[#23 ルーカス・リマ(Lucas Lima, 1990)]
(SAN) : 30' #9 マルコス・レオナルド(Marcos Leonardo, 2003)[#13 ジョアン・ルーカス(João Lucas, 1998)]
(GOI) : 40' #60 ギリェルミ(Guilherme, 1991)[PK]
(SAN) : 45+1' #20 メンドーサ(Mendoza, 1992)[#9 マルコス・レオナルド(Marcos Leonardo, 2003)]
(GOI) : 61' #60 ギリェルミ(Guilherme, 1991)[]
(GOI) : 81' #45 ジョアン・マギノ(João Magno, 1997)[#60 ギリェルミ(Guilherme, 1991)]
(SAN) : 90+4' #20 メンドーサ(Mendoza, 1992)[PK]

見どころ(試合前の順位)

   サントスは全国選手権3勝4分6敗勝点13の14位。
   ゴイアスは全国選手権3勝2分8敗勝点11の17位。

得点シーン

(SAN)前半16分 :
相手ペナルティエリア内からのリスタートに高い位置でプレスをかけ、VOLサンドリ(Sandry, 2002)がボールを掻き出し、VOLロドリゴ・フェルナンデス(Rodrigo Fernández, 1996)がこぼれ球を拾い、MFルーカス・リマへ繋ぐと、さらにボールはFWマルコス・レオナルドに渡る。FWマルコス・レオナルドはディフェンダーをかわしシュート。当たりは悪いがボールはGKのニアサイドを抜きゴールに吸い込まれる。
   FWマルコス・レオナルドは2023年5,6月にU-20W杯代表として5試合5得点1アシストを記録。U-20W杯のため約1か月チームを離れたことも影響し、全国選手権では4月29日第3節アメリカ・ミネイロ戦以来の得点。この試合では2得点1アシストを記録。
   VOLサンドリは、2019年1月31日州選手権第4節ブラガンチーノ戦の後半43分に交代出場を果たし、16歳でプロデビューを飾る。2020年終盤には18歳でレギュラーの座を掴む。2023年は年初から活躍を期待されるも、試合中の接触による顔面骨折で戦列離脱。6月21日全国選手権第11節で約4か月ぶりの復帰を果たすと、今節は先発に抜擢。特長を生かしたボール奪取でチームの先制点の起点となった。
(SAN)前半30分 :
自陣からのFKにGKジョアン・パウロ(João Paulo, 1995)が相手陣右サイドライン際にロングフィード。これを受けたSBジョアン・ルーカスがすかさずゴール前にクロス。FWマルコス・レオナルド左足を合わせサントスが追加点。
   SBジョアン・ルーカスは、州選手権終了後のケガや戦術的な理由で、この試合が全国選手権6試合目の出場。2022年シーズン終了後にクイアバからサントスに加入。比較的守備を得意とするサイドバックだが、相手ディフェンダーを越え曲がり落ちる精度の高いクロスでアシストを記録。
(GOI)前半40分 :
ペナルティエリア内での空中戦でのこぼれ球の奪い合いで、SBマギーニョ(Maguinho, 1992)が倒され、ゴイアスがPKを獲得。これをMFギリェルミが決め、ゴイアスが1点差に迫る。
   MFギリェルミは、18歳の2009年にリオデジャネイロ州に本拠を置くパライーバドスウという小さなクラブからブラジル国内でのデビューを待たずSCブラガ/PORに移籍。その後、ポーランドやトルコを経て、広州恒大/CHNから2023年4月3日にゴイアスに加入、31歳にして母国ブラジルで初めてプレーする。加入当初は途中交代出場が続き、ケガにより約1か月離脱するも、6月25日全国選手権第12節でスタメンフル出場を果たすと、6月28日コパ・スウアメリカーナでクラブ初得点、そしてこの試合では2得点1アシストを記録した。
(SAN)前半45+1分 :
FWマルコス・レオナルドがクリアボールを自陣で確保し、ディフェンダーに寄せられながらもFWメンドーサへリードパス。FWメンドーサはそのままドリブルで持ち上がりGKの位置を確認し、ボールをゴールに流し込む。電光石火のカウンターでサントスが3点目。
   FWメンドーサは、2019年11月にコロンビア代表として2試合の親善試合に出場。2015年にコロンビアを離れ、インドやブラジル、アメリカ、フランスでプレー。サントスには2022年12月にセアラーから移籍。ケガや戦術的な理由でベンチ外となった試合もあるが、6月に入り先発メンバーに定着。今節終了時点で全国選手権9試合5得点2アシスト、今季28試合9得点2アシストを記録。
(GOI)後半16分 :
相手陣での攻撃時にカットされたパスをMFギリェルミが拾い、約25mの位置からミドルシュート。これがゴール右上隅に決まり、ゴイアスが再び1点差に迫る。
    MFギリェルミのこの日の2得点目。セットプレーのキッカーを任され20分後にCKからアシストも。このミドルシュートの精度も高く、ブラジルサッカーに慣れ始めた今後の試合では注目していきたい選手。ただし、試合終了間際に一発退場処分を受け、次節は出場停止。
(GOI)後半36分 :
右サイドからのMFギリェルミが蹴るCK。後半開始時にピッチに立ったFWジョアン・マギノが頭に合わせ、遂にゴイアスが同点に追いつく。
   FWジョアン・マギノは、2023年7月6日に入団発表されたばかりで、2022/23シーズンはF91デュドランジュ/LUX(ルクセンブルク)で32試合16得点の成績を残す。ブラジル1部での実績はないが、ポルトガル、ルクセンブルクでのサッカーをゴイアスに持ち込みたい。
(SAN)後半45+4分 :
敵陣左サイド浅い位置からのFK。ゴール前に上げられたボールを巡る混戦の中で、VARの介入によりファールが認められサントスがPKを獲得。これをFWメンドーサが決め、サントスが勝ち越す。

試合概要、所感 etc.

   サントスは、パウロ・トゥーハ(Paulo Turra)監督が指揮を執り3試合目。これまで1分1敗無得点。アンジェロ(Ângelo, 2004)はチェルシーとの契約に向けたメディカルチェックと署名のため渡英、ソテウド(Soteldo, 1997)は練習不参加のためベンチ外、サイドアタッカーとして運動量が多くスピードのあるFWルーカス・ブラーガ(Lucas Braga, 1996)が起用するなど、先発メンバーを少し変更してこの試合に挑む。
   攻撃的な姿勢で試合に入ると、高い位置でのプレスを起点としたショートカウンター、自陣からの素早くサイドを経由したクロス、自陣からのカウンターと、手数を掛けない攻撃で前半のうちに3得点を奪う。
   後半に入ると、前半の攻撃的な姿勢が影を潜め、ゴイアスの攻撃の圧力に後手に回るようになる。中盤と前線の選手を交代し流れを引き戻そうとするも機能しない。後半36分にはゴイアスの勢いに飲み込まれ同点に追いつかれるが、後半アディショナルタイムにPKを獲得し何とか勝利を手に入れた。
   内容はともかく、2月19日州選手権以来の4得点で公式戦の連続未勝利記録を12でストップ。前年のリベルタドーレス準優勝のアトレチコ・パラナエンセとは、大きく異なる選手構成のサントスで、スコアレスドロー、0-3の完敗、4-3の撃ち合いの勝利と、内容の異なる3試合を消化したパウロ・トゥーハ監督。サントスの上位進出への糸口を見つけることはできただろうか?
   次戦は7月16日全国選手権第15節アウェイでサンパウロとのクラシコ。

   ゴイアスは2023年7月6日に入団発表した3選手、FWアンデルソン・オリヴェイラ(Anderson Oliveira, 1998, 前所属ポルチモネンセ/POR)を先発起用、FWジョアン・マギノとMFルイス・オヤマ(Luís Oyama, 1997, 前所属モレンビーク/BEL, ボタフォゴからの期限付き移籍加入)を後半開始時に投入。
   2点のリードを追いかける形で、相手が自陣で引きこもる中、一時は同点に追いつくなど、移籍選手も今後に向け監督やサポーターから信頼を得たのではないだろうか。
   今節勝てば降格圏を脱出し、サントスを上回る順位に浮上することができたが、それも叶わず依然として降格圏の17位。
   次戦は7月17日に全国選手権第15節、ホームにアトレチコ・ミネイロを迎える。今節大活躍のFWギリェルミが一発レッドによる退場で出場停止となるが、ホームサポーターの声援を後押しにチーム一丸で勝利を掴み降格圏を脱出したい。

フルミネンセ(FLU) 2-0 インテルナシオナウ(INT)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=qkm0_n9vszo
(FLU) : 25' #14 ヘルマン・カーノ(Germán Cano, 1988)[#2 サムエウ・シャヴィエル(Samuel Xavier, 1990)]
(FLU) : 40' #8 マルチネリ(Martinelli, 2001)[#12 マルセロ(Marcelo, 1988)]
(INT) : N/A

見どころ(試合前の順位)

   フルミネンセは全国選手権6勝3分4敗勝点21の6位。
   インテルナシオナウは全国選手権6勝3分4敗勝点21の8位。

得点シーン

(FLU)前半25分 :
相手陣左サイドライン際でのパス交換からFWケーノ(Keno, 1989)ゴール前にクロス。FWレレー(Lelê, 1997)に合わずクリアされるが、そのボールをゴール右からシュート性のクロス。FWヘルマン・カーノが右足を合わせゴールネットを揺らす。
   FWヘルマン・カーノはリベルタドーレスでの得点はあったものの、全国選手権では6月11日第10節ゴイアス戦以来約1か月ぶりの得点。これで今季36試合27得点、全国選手権14試合4得点。何故か”そこにいる”ポジショニングと僅かなチャンスを逃さない集中力をみせたヘルマン・カーノらしいゴール。昨年の得点王はここからゴールを量産し、チームを優勝争いに導くことができるだろうか。
(FLU)前半40分 :
SBマルセロが蹴る右CK。VOLマルチネリがペナルティエリア入口で斜めにニアサイドに上がり、縦に進路を変えディフェンダーの手前でボールに頭を合わす。これがゴールネットに突き刺さりフルミネンセがリードを広げる。
   VOLマルチネリは、フルミネンセ下部組織出身で2020年11月の全国選手権で19歳にしてプロデビュー。2021年にはレギュラーの座を獲得し、年間の出場時間はチームで4番目に多い約4200分を記録。今季はケガのために約2か月間試合から離れ、この試合が今季24試合目の出場。セグンドボランチとして高い位置で相手の攻撃の起点に厳しくマークに行き、攻めては広い視野でボールを散らしオフザボールの動きでゴール前に顔を出すなど相手守備をかく乱。将来が楽しみな選手。

試合概要、所感 etc.

   フルミネンセは、ケガによりMFガンソ(Ganso, 1989)を、前節での退場による出場停止でFWジョン・アリアス(Jhon Arias, 1997)を欠く。
   しかし、試合が始まると、好調時によく見られた相手陣で少ないタッチ数の細かいパス回しを展開。試合の主導権を握ると、前半25分に先制。攻撃の手綱を緩めることなく前半40分に追加点を奪い理想的な形で前半を折り返す。
   2点のリードで迎えた後半は守備的な戦い方を選択し、インテルナシオナウにボールを持たせながらも、自陣でしっかりとブロックを作り、カウンターで相手ゴールを窺いつつ時間を消費。
   久しぶりに試合巧者ぶりを見せたフルミネンセは、同勝点で並ぶインテルナシオナウに2-0の完勝。勝ち点を24に伸ばし、全国選手権4位に浮上。
   次戦は、7月16日全国選手権第15節、フラメンゴとのクラシコ、フルフラ(FLU-FLA)。2位フラメンゴを抜き、首位ボタフォゴへの挑戦権を得たい。

   
   インテルナシオナウは、移籍ウィンドウで獲得したエクアドル代表FWエネル・バレンシア(Enner Valencia, 1989)をスタメンに起用、FWルイス・アドリアーノ(Luiz Adriano, 1987)、FWヴァンデルソン(Wanderson, 1994)とスリートップを形成。一方で、攻撃の要MFアラン・パトリッキ(Alan Patrick, 1991)がケガのため欠場。
   MFアラン・パトリッキの欠場が響き、中盤の人数に劣るインテルナシオナウは、ボールを相手に支配され強力なスリートップは機能しない。前半は多くの時間を自陣で費やし、FWエネル・バレンシアは試合にほとんど入ることができず前半で役を終える。
   後半に入り、移籍ウィンドウで獲得、2015年以来のインテルでのプレーとなるMFアランギス(Aránguiz, 1989)をピッチに送り、中盤での劣勢に対応。相手陣でボールを保持し、ボールを回しながら攻撃の糸口を探るが、なかなか好機を作り出すことができない。
   最大の好機は、後半35分、FWエネル・バレンシアの加入で退団が噂されるFWアレモン(Alemão, 1998)が左サイドからのクロスにワントラップからビシクレッタ。芯に当たった強烈なボールは惜しくもゴールポストを叩き得点に至らず。
   この後も、相手ゴールに迫ろうとするも、得点を奪うことができず0-2で敗戦。
   同勝点のフルミネンセに敗北を喫し、全国選手権での順位を2つ落とし10位。リベルタドーレス出場圏の6位までの勝点差も3となった。
   次戦は7月16日の全国選手権第15節、ホームにパウメイラスを迎える。

RBブラガンチーノ(RBB) 0-0 サンパウロ(SAO)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=JHdl_MaaWbg
(RBB) : N/A
(SAO) : N/A

見どころ(試合前の順位)

   RBブラガンチーノは全国選手権6勝5分2敗勝点23の5位。
   サンパウロは全国選手権6勝3分4敗勝点21の7位。

得点シーン

N/A

試合概要、所感 etc.

   RBブラガンチーノは、最近の好調を象徴する敵陣でのボール回しとハイプレスで前半から試合の主導権を握る。前半20分にCBエドゥアルド・サントス(Eduardo Santos, 1997)が負傷交代を余儀なくされるアクシデントに見舞われるが、ケガ明けで2か月ぶりの出場となるCBナタン(Natan, 2001)がしっかりと穴を埋める。
   CBエドゥアルド・サントスは、翌日の検査の結果、右膝前十字靭帯損傷のため手術を要し、今季の復帰は絶望の見込みとクラブ発表。CBエドゥアルド・サントスはスラヴィア・プラハ/CZEから2023年4月上旬に期限付き移籍で加入。身長195㎝の高さに加えスピードもあり、チーム戦術に素早く適応し、好調のチームを最終ラインから支えてきただけに悲しい知らせとなった。
   最近の試合同様、相手陣での人数をかけた攻撃、少ないタッチ数のパス回しで相手守備陣を崩すものの、試合を通して26本のシュートを放つも枠内シュートは僅かに4本と、最近の試合とは異なり最後の局面で精度が狂いゴールをこじ開けることができずに試合を終えた。   
   勝ち点3を積み上げることはできなかったものの、相手チームに左右されないチームスタイルを貫き、これで公式戦での連続無敗記録は7。公式戦の連勝は4でストップしたものの、最近の5試合で4試合目の無失点試合と好調を維持。第5節終了時点で15位だった順位もリベルタドーレス出場圏の6位まで上げてきている。
   次戦は7月15日全国選手権第15節アウェイでのボタフォゴ戦。ホームで無敗を誇る首位ボタフォゴとの対決が今から注目される。

   サンパウロは、コパ・ド・ブラジル準々決勝2ndレグに向け、完全なターンオーバーを実施した布陣で試合に臨む。
   試合は終始ブラガンチーノに支配されるものの、プロとして2試合目、先発初出場となるCBマテウス・ベレン(Matheus Belém, 2003)がこの試合のために剃り上げてきたであろう青みがかった禿頭で一対一の対峙やゴールライン上でのクリアなど奮闘。
   試合を支配される中、攻撃面では新たな収穫は特段なかったものの、契約から約40日を経てFWアレシャンドレ・パト(Alexandre Pato, 1989)が2020年以来3度目のサンパウロデビュー。チーム戦術に適応し、多くの試合への出場を期待したい。
   控え選手を主体としたアウェイでの好調RBブラガンチーノとの試合だったが、貴重な勝ち点1を獲得。勝ち点を22に伸ばし、8位に浮上。
   次戦は、7月16日に全国選手権第15節ホームにサントスを迎えたクラシコが控えている。

グレミオ(GRE) 0-2 ボタフォゴ(BOT)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=2ffAdoUFPpE
(BOT) : 74' #9 チキーニョ・ソアレス(Tiquinho Soares, 1991)[#24 ジ・プラシド(Di Plácido, 1994)]
(BOT) : 88' #27 カルロス・アウベルト(Carlos Alberto, 2002)[#17 マルロン・フレイタス(Marlon Freitas, 1995)]
(GRE) : N/A

見どころ(試合前の順位)

   グレミオは全国選手権8勝2分3敗勝点26の2位。
   ボタフォゴは全国選手権11勝0分2敗勝点33の首位。

得点シーン

(BOT)後半29分 :
右サイドライン際をSBジ・プラシドがVOLチェチェー(Tchê Tchê、1992)へ縦にボールを送り自身も前に駆け上がる。MFセゴビア(Segovia, 2003)に渡ったボールは一度は奪われるも、SBジ・プラシドが奪い返し、ゴールライン際からマイナスのクロス。フリーで待ち構えるMFエドゥアルドが放ったシュートはゴールネットを突き刺し、ボタフォゴが先制。
   SBジ・プラシドは、シーズン途中の2023年3月2日に完全移籍でラ・ヌース/ARGから加入したアルゼンチン国籍選手。マンチェスターユナイテッドで170の試合出場歴を誇るSBハファエウ(Rafael, 1990)と併用されるが、安定したプレーで攻守にボタフォゴの戦術にフィット。今後の活躍も期待できる
(BOT)後半43分 :
相手陣でパスをカットしたVOLマルロン・フレイタスが、MFセゴビアにボールを送ると縦に駆け上がり戻りのボールをペナルティエリアゴールライン手前で受ける。ゴール前の動きでディフェンダーのマークを外したFWカルロス・アウベルトがマイナスのクロスをダイレクトに合わせボタフォゴがダメ押しの追加点。
   FWカルロス・アウベルトは、アメリカ・ミネイロ下部組織出身で2023年1月12日にボタフォゴへの期限付き移籍。州選手権では多く出場機会を与えられていたが、次第に出場機会は減少し、全国選手権ではこの試合が3試合目の出場。しかし、前節では出場時間6分ながら、サイドライン際をドリブルで持ち上がりディフェンダーをかわしゴール。今節は出場時間5分ながら、ゴール前の動きでディフェンダーのマークを外したゴール。2試合連続、計11分の出場時間で異なる形の2ゴールを奪う活躍。
   このゴールも、パスアンドゴーからゴールライン際までボールを運びマイナスのクロス。中の選手が縦から横の動きでディフェンダーのマークを外し、フリーでシュート体勢に持ち込むゴール。基本に忠実なプレーが選手に浸透しており、ルイス・カストロ監督辞任後もボタフォゴの勢いは衰えそうにもない。

試合概要、所感 etc.

   グレミオは、観客を魅了する内容の試合を展開するも、首位ボタフォゴの抜け目のない戦いぶりと、GKルーカス・ペリ(Lucas Perri, 1997)の好守に屈し、直接対決に敗戦。
   グレミオは、スリーバックでワントップにFWルイス・スアレス(Luis Suárez, 1987)を置き、中盤を厚くした布陣。最終ラインが高い位置を保ち、中盤の相手陣でのプレス、最終ラインのCBカネマン(Kannemann, 1991)が敵陣に入りボールを奪いに行くなど、ボタフォゴに攻撃の糸口を与えない。
   攻撃では MFビテロ(Bitello, 2000)やVOLビジャサンチ(Villasanti, 1997)が躍動、両ウィングバックも積極的に攻撃に参加。ペナルティエリア手前では中央から左右にボールを散らし相手を揺さぶり、ペナルティエリア内では狭いスペースをワンタッチで左右、そして縦に抜け出すなど、今季これまで続けてきたサッカーを披露。
   何度も決定的なシーンを迎えるが、ボタフォゴGKルーカス・ペリを中心とした好守にゴールを奪うことができなかったことが、攻撃面で唯一にして最大の課題となった。
   失点に関しては、1失点目は相手のプレーに複数の選手がセルフジャッジでファールと思い一瞬プレーを止めた隙を突かれ、マークが疎かになる。2失点目は自陣でのパスミスが起点。試合展開が良かっただけに悔やまれる。
   現在の戦術を導入して2か月足らず。上位との試合には脆さを見せることが多いが、まだまだ精度を高める余地があるだけに、今後のグレミオのサッカーは注目に値する。
   この敗戦で順位は1つ下げ3位。
   次戦はコパ・ド・ブラジル準々決勝2ndレグ。アウェイで行われた1stレグは試合終了間際にMFクイアバーノ(Cuiabano, 2003)のゴールで1-1に持ち込んだ試合。全国選手権第15節は、対戦相手でコパ・ド・ブラジルに勝ち残っているコリンチャンスが週中にコパ・スウアメリカーナプレーオフ、週末にコパ・ド・ブラジルを戦うことから順延。全国選手権は7月22日第16節ホームでのアトレチコ・ミネイロ戦が次戦となる。

   ボタフォゴは、グレミオの攻勢に、ルイス・カストロ(Luís Castro)元監督が植え付けてきたサッカーを披露することができないが、押し込まれる展開が続く中も粘り強く耐え、前半25分にはFKからゴールを揺らす。残念ながら、3分にも渡るVARによるチェックでオフサイドが判定されるが、ここ一番での集中力を見せつける。
   後半開始時に2選手を交代。主導権を奪うまでは至らないものの、少しずつボールを持つ時間が増え始めると、後半29分に先制、そして後半43分にダメ押し。
   1点目は、SBジ・プラシドが、基本に忠実にパスアンドゴーで前に駆け上がり、VOLチェチェー、MFセゴビアとボール保持者をフォローする形でコース取り。結果、MFセゴビアが競り合うこぼれ球を拾い、ゴールライン際からマイナスのクロスを送りアシストを記録。
   2点目も、VOLマルロン・フレイタスがパスアンドゴーから、タベーラでゴールライン際までボールを運びマイナスのクロス。中の選手が縦から横の動きでディフェンダーのマークを外し、フリーでシュート体勢に持ち込むゴール。
   こういったプレーの積み重ねがボタフォゴ躍進の要因と納得させられた。
   基本に忠実なプレーが選手に浸透しているおり、ルイス・カストロ監督辞任後もボタフォゴの勢いは衰えそうにもないだろう。
   次戦は、週中にコパ・スウアメリカーナのプレーオフ1stレグ。7月15に全国選手権第15節、好調のRBブラガンチーノをホームに迎える。

フォルタレーザ(FOR) 1-0 アトレチコ・パラナエンセ(CAP)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=llJrTI6Jr-g
(FOR) : 84' #22 ヤゴ・ピカチュー(Yago Pikachu, 1992)[#8 カイオ・アレシャンドレ(Caio Alexandre, 1999)]
(CAP) : N/A

見どころ(試合前の順位)

   フォルタレーザは全国選手権5勝5分3敗勝点20の11位。
   アトレチコ・パラナエンセは全国選手権6勝2分5敗勝点20の9位。

得点シーン

(FOR)後半39分 :
相手陣センターサークル内からVOLカイオ・アレシャンドレが右サイドライン際から斜めに相手の最終ライン裏に抜け出しを図るMFヤゴ・ピカチューに約35mの縦の鋭いパスを通す。MFヤゴ・ピカチューはペナルティエリア内でこのボールを受けるとワントラップからシュート。これがゴール右サイドネットに突き刺さりフォルタレーザが待望の先制点。
   MFヤゴ・ピカチューは、パイサンドゥ下部組織出身で2012年に19歳でデビュー。その後、ヴァスコ・ダ・ガマを経て2021年にフォルタレーザに加入。2022年は約4か月間Jリーグの清水エスパルスに期限付き移籍。2023年シーズンに復帰すると、先発、途中交代で多くの試合に出場。今季チーム全47試合中44試合(うち先発24試合)に出場、8得点7アシスト。全国選手権は14試合3得点を記録。
   カイオ・アレシャンドレはボタフォゴ下部組織出身。ボタフォゴで活躍の後バンクーバー/CANへ移籍。2022年途中から期限付き移籍でフォルタレーザでプレー。先発でフル出場を果たすことも多く、厳しい日程の中、全国選手権やコパ・スウアメリカーナを中心に起用され、全国選手権は全14試合に出場1得点2アシストを記録。プリメイロボランチとしてリーグで2番目に少ない失点数を誇るフォルタレーザ守備陣に貢献。

試合概要

   フォルタレーザは、6月20日に獲得したMFマリーニョ(Marinho, 1990)をスタメンに起用。
   一方のアトレチコ・パラナエンセは、試合後中2日で迎えるコパ・ド・ブラジル準々決勝2ndレグに向け控え選手主体のメンバーで試合に臨む。
   試合はフォルタレーザがボールを保持し試合をコントロールしようとするが、高い位置でコンパクトに保ち、それを掻い潜られると5バックでボール前に鍵をかけるアトレチコ・パラナエンセの守備を前にゴールに迫ることができない。放たれるシュートはペナルティエリア手前からのミドルシュートが多くなる。
   アトレチコ・パラナエンセは陣形を高い位置でコンパクトに保つことで、状況に応じ攻守に人数をかけることが可能となり、高い位置でボールを奪うと、カウンターで相手ゴールに迫る。立ち上がりの前半6分には相手陣でボールを奪いチャンスを迎え、前半30分にはカウンターから3対2の状況に持ち込むがシュートの精度を欠く。
   前半36分にフォルタレーザはMFポチェチーノ(Pochettino, 1996)がライン裏に抜け出しシュートまで持ち込み、前半42分にはアトレチコ・パラナエンセが相手陣でのパスカットからゴールに迫ると、前半45分、45+2分と相次いでシュートまで持ち込むが、フォルタレーザGKジョアン・ヒカルド(João Ricardo, 1988)の堅実な守備にゴールを奪えない。
   互いに10本近くのシュートを放つ大味な展開が続き前半を終える。
   後半に入り修正を入れたフォルタレーザが、後半4分にカウンターからMFチアゴ・ガリャルド(Thiago Galhardo, 1989)が個人技で相手CBの間からシュート、後半13分には高い位置の最終ライン裏に抜け出すFWマリーニョにボールが渡りFWマリーニョがシュートに持ち込むが、いずれもGKベント(Bento, 1999)の好守に弾き出される。その後も後半14分、21分にも相次いでフォルタレーザは人数は少ないながらも前へのスピードと前に向かいながらのパス交換でアトレチコ・パラナエンセゴールに迫る。
   後半84分にフォルタレーザがGKベントの牙城を崩すと、試合はそのままタイムアップ。1-0でフォルタレーザが勝利を収めた。

所感 etc.

   フォルタレーザは、アトレチコ・パラナエンセの守備的な布陣を後半に入り攻略。
   この勝利で勝ち点を23に伸ばし、11位から7位に浮上。上位争いに踏みとどまった。
   次戦は7月16日に全国選手権第15節ホームでのクイアバ戦。

   アトレチコ・パラナエンセは、コパ・ド・ブラジル準々決勝2ndレグに向けた控え選手主体の布陣。惜しくも後半38分の失点で勝ち点を逃すが、CBカイキ・ホッシャ(Kaique Rocha, 2001)やSBヴィニシウス・カウエ(Vinicius Kauê, 2003)などの活躍が今後に向けた明るい材料に。
   一方で、6試合目を迎えたウェズレイ・カルヴァーリョ(Wesley Carvalho)監督代行の戦術は、コパ・ド・ブラジル準々決勝1stレグのフラメンゴ戦同様、この試合でも一度相手に主導権を渡すと自陣に押し込まれる時間が長くなる印象が残った。
   1stレグを1-2で終えたコパ・ド・ブラジル準々決勝2ndレグでは、戦術上の修正が必要になりそうだ。
   次戦は上記の通りコパ・ド・ブラジル準々決勝2ndレグ。全国選手権は7月16日に第15節ホームでのバイーア戦。

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