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全国選手権第15節 対戦組合せ
以下の4試合の概要はこの記事で。
・2023/07/15 ボタフォゴ(BOT) x RBブラガンチーノ(RBB)
・2023/07/16 クルゼイロ(CRU) x コリチバ(CFC)
・2023/07/16 フルミネンセ(FLU) x フラメンゴ(FLA)
・2023/07/16 サンパウロ(SAO) x サントス(SAN)
以下の4試合の概要はこちらで。→
・2023/07/16 フォルタレーザ(FOR) x クイアバ(CUI)
・2023/07/16 インテルナシオナウ(INT) x パウメイラス(PAL)
・2023/07/16 アトレチコ・パラナエンセ(CAP) x バイーア(BAH)
・2023/07/17 ゴイアス(GOI) x アトレチコ・ミネイロ(CAM)
以下の2試合は順延。
・ 順延 コリンチャンス(COR) x グレミオ(GRE)
・ 順延 アメリカ・ミネイロ(AME) x ヴァスコ・ダ・ガマ(VAS)
全国選手権第15節 試合概要
ボタフォゴ(BOT) 2-0 RBブラガンチーノ(RBB)
動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=drj1gETgY-A
(BOT) : 48' #33 エドゥアルド(Eduardo, 1989)[#6 チェチェー(Tchê Tchê, 1992)]
(BOT) : 60' #24 ジ・プラシド(Di Plácido, 1994)[]
(RBB) : N/A
見どころ(試合前の順位)
ボタフォゴは全国選手権12勝0分2敗勝点36の首位。
RBブラガンチーノは全国選手権6勝6分2敗勝点24の6位。
得点シーン
(BOT)後半3分 :
CBヴィトル・クエスタ(Victor Cuesta, 1988)の自陣から相手ペナルティエリア入口に送られたロングフィードに、RBブラガンチーノGKクレイトン(Cleiton, 1997)が飛び出すが、CBとの連係が合わず、CBが頭で処理しGKクレイトンはボールに触れることができない。ゴールライン際に流れたボールをVOLチェチェーがダイレクトにマイナスのボールを送ると、走り込んだMFエドゥアルドがゴールに流し込みボタフォゴが先制。
MFエドゥアルドは、ポルトガル、中東など約12年間国外でプレーした後、ルイス・カストロ監督の要望で2022年7月12日にボタフォゴに加入。2022年は14試合3得点を記録。2023年はこの試合を終えた時点で27試合10得点4アシスト(うち全国選手権13試合4得点3アシスト)。攻撃時はFW陣が縦を突いて空いたスペースに顔を出し攻撃に厚みを加え、豊富な運動量で高い位置でのマークをこなす。
(BOT)後半15分 :
相手陣右サイドをMFマティアス・セゴビア(Matías Segovia, 2003)がドリブルで持ち上がり、守備ライン裏を狙うFWルイス・エンヒキ(Luis Henrique, 2001)へスルーパスを送る。しかし、このパスはディフェンダーがカット。そのこぼれ球をMFセゴビアを追い抜きペナルティエリアに侵入したSBジ・プラシドが拾いシュート。強烈なボールはサイドネットに突き刺さりボタフォゴが追加点。
SBジ・プラシドは、シーズン途中の2023年3月2日に完全移籍でラ・ヌース/ARGから加入したアルゼンチン国籍選手。粘り強い守備とゴールライン際までのオーバーラップを繰り返す。ボタフォゴに入団し28試合目でクラブ初ゴール。ゴール後のチーム一丸となった祝福がボタフォゴ好調の象徴のように感じられた。
試合概要
ボタフォゴは、週中に行われたコパ・スウアメリカーナ プレーオフ1stレグを2-0の先勝。ルイス・カストロ(Luís Castro)監督の突然の辞任にも関わらず、クラウジオ・カサッパ(Claudio Caçapa)監督代行の下、公式戦は3連勝、いずれも2-0のスコアで完勝を収めている。
対するRBブラガンチーノはペドロ・カイシーニャ(Pedro Caixinha)監督の戦術が浸透し、公式戦は最近の7試合に負けなしの4勝3分。前節はサンパウロを相手にスコアレスドローに終わったものの、監督が落とし込んでいるスタイルを貫き、内容は相手を上回った。
試合は、RBブラガンチーノが自分たちのスタイルを貫き、相手陣でボールを保持し、中盤や前線の選手が前後左右にリズムよくボールを回しボタフォゴゴールに迫る。前半10分を過ぎるころにはボタフォゴが中盤のマークを修正、RBブラガンチーノがボールを前に運べなくなると一時的にボタフォゴがボールを握るが、RBブラガンチーノは中盤を省略したロングボールを有効に使うことで再び主導権を握り返す。
一方のボタフォゴも、中盤のマークを厳しくし、RBブラガンチーノに決定的なシーンを作らせない。そして、相手ボールを奪うと鋭いカウンターを披露。得点の匂いがするシーンはRBブラガンチーノを上回る。
互いに中盤で厳しくマークにいき、そのマークを掻い潜るパス回しを披露。激しい展開が続く中、前半を終える。
後半に入り、ボタフォゴは前半を押し込まれた前節グレミオ戦同様、MFマティアス・セゴビアを投入。すると、後半3分、MFセゴビアが絡み先制。さらに畳みかけるように後半15分に追加点を奪う。2点のリードを奪うと、中盤のマークは引き続き厳しさを継続しながらも、少し引いた守備でカウンターを狙い試合をコントロール。試合はこのまま2-0でタイムアップを迎えボタフォゴが勝利を収めた。
所感 etc.
ボタフォゴは、この試合もGKの堅実なセーブ、最終ラインの安定感、中盤の厳しいマーク、スピードがあり厚みのある攻撃をみせ2-0の勝利。前節グレミオ戦同様、局面では相手に上回られる場面が多々みられても、総合的には相手を確実に上回り、無失点に抑え勝ち点を積み重ねた。
この勝利で勝ち点39。これは現行のレギュレーション、チーム数での大会形式で全国選手権が開催されるようになった2006年以降、15試合を経過した時点での最多勝ち点となった。
次戦は週中にコパ・スウアメリカーナ プレーオフ2ndレグ。全国選手権は7月23日に第16節サントス戦がアウェイで開催される。
RBブラガンチーノは、長期離脱者を除いた現状のベストメンバーと言える先発陣で試合に臨み、これまで取り組んできたスタイルのサッカーを披露。ボタフォゴの中盤のマークを掻い潜り、ゴールに迫るものの、最後のパス、シュートに精彩を欠き無得点。前半はボタフォゴの鋭いカウンターにも対応することができたが、後半開始間もなく連係ミスから失点すると巻き返すことができず、勝ち点を奪うことができなかった。
ボタフォゴとの比較で感じられたことはスピード感の違い。スプリントが多いボタフォゴに対し、人数をかけ押し込む形の攻撃のためか、前線を追い抜くプレーや前線の裏に抜け出すプレー、ボールを左右に展開し揺さぶるプレーの一つ一つにスピード感がなく、相手守備陣に対応され、それが最後まで得点を奪えなかった要因の一つのようにも感じられた。
しかし、監督就任半年で、多くのケガ人を抱える中、一定の成果を残している。2022年に攻撃を牽引したSBルアン・カンジド(Luan Cândido, 2001)が復帰を果たし、チチ(Tite)前代表監督のもと、2021コパ・アメリカや2022W杯南米予選に繰り返し代表に選出されたCBレオ・オルティス(Léo Ortiz, 1996)が約9か月ぶりにベンチ入りを果たすなど、これからは長期離脱者の復帰が期待できるだけに、今後は更なるチーム力の向上を期待したい。
次戦は、全国選手権第16節、7月23日ホームにインテルナシオナウを迎える。
クルゼイロ(CRU) 0-0 コリチバ(CFC)
動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=nMcN5IPljwY
(CRU) : N/A
(CFC) : N/A
見どころ(試合前の順位)
クルゼイロは全国選手権6勝3分5敗勝点21の9位。
コリチバは全国選手権2勝4分8敗勝点10の18位。
得点シーン
N/A
試合概要
クルゼイロは、最近の3試合を連続無失点(2勝1分)。前節出場停止のCBルーカス・オリヴェイラ(Lucas Oliveira, 1996)に代わり出場したCBネリス(Neris, 1992)を再び先発に起用、出場停止明けの左SBマルロン(Marlon, 1997)が先発復帰、右ウィングには前節途中交代出場でデビューを飾ったFWホベルチ(Robert, 2005)が抜擢される。
コリチバは、第12節後にザーゴ(Zago)監督を解任。チアゴ・コスロスキ(Thiago Kosloski)監督代行が指揮を執った第13節で全国選手権今季初勝利を収めると、前節も逆転勝利を収め2連勝中。この2戦で5得点をマークしチームは勢いに乗りつつある。前節先発のCBエンヒキ(Henrique, 1986)、チーム内得点王のFWアレフ・マンガ(Alef Manga, 1994)が警告累積で出場停止となり、U-20南米ユース選手権&U-20W杯代表CBジアン・ペドローゾ(Jean Pedroso, 2004)、この試合が全国選手権13試合目(うち先発4試合目)となるFWカイオ・セーザル(Kaio César, 2004)が穴を埋める。
試合は、ホームのクルゼイロがボールを保持し、アウェイのコリチバが自陣で守備を固めカウンターを狙う展開。クルゼイロは、コリチバの中盤のマークにパスワークでボールを前線に運ぶことができない。すると、個人技で打開を図るがコリチバ守備陣の前に効果を発揮しない。
コリチバも、クルゼイロの素早い帰陣に、効果的なカウンターを発動することができず、前半20分にFWホビソン(Robson, 1991)がカウンターから、左SBジャメルソン(Jamerson, 1998)が相手陣でのボール回しから、それぞれミドルシュートを放つがボールは枠を捉えない。
一方のクルゼイロも前半38分にFWウェズレイ(Wesley, 1999)がドリブルで抜け出しチーム初シュートを放つがゴール右に外れる。
前半43分、コリチバは自陣中央から右サイドへボールを展開。右SBナタナエウ(Natanael, 2002)がペナルティエリア内ゴールライン手前からクロス、こぼれ球をFWカイオ・セーザルがフリーでシュートを放つがこれも枠を捉えない。
後半5分、自陣ゴール前で奪ったボールを前線に素早く送り、FWホドリゴ・ピーニョ(Rodrigo Pinho, 1991)が抜け出すがGKハファエウ・カブラウ(Rafael Cabral, 1990)が立ちふさがる。後半10分のMFマテウス・ビアンキ(Matheus Bianqui, 1998)、後半15分のMFマルセリーノ・モレーノ(Marcelino Moreno, 1994)のシュートは、それぞれGKハファエウ・カブラウが弾き出しCKに逃れる。
数々のピンチを凌いだクルゼイロは、後半アディショナルタイムに相手陣で右サイドを崩し、MFマテウス・ヴィタウ(Matheus Vital)がペナルティエリア内右からFWエステーニオ(Stênio, 2003)のボールを受けシュート。しかし、ボールはゴール枠を越えていく。
試合は、スコアレスのままタイムアップ。両チーム勝ち点1を分け合った。
所感 etc.
クルゼイロは、コリチバの中盤のマークに、得意のパス回しが機能せず、個人技で打開しようとしてボールを奪われる悪循環。なかなか攻撃の形が作れない。わずかに後半アディショナルタイムに好調時に見られた、適度な選手間の距離と細かいボール繋ぎでチャンスを迎えたが、シュートは枠を捉えることができなかった。
一方で、GKハファエウ・カブラウの好守、相手の速攻に慌てることなく5個のオフサイドを奪った守備ラインは4試合連続の無失点を達成。守備を整備することで、最近の4試合を2勝2分とし、最悪期を脱却した。なかなか得点を奪えない中、ボランチの攻撃参加やCBの持ち上がりなど、少しリスクを犯したプレーで攻撃のヴァリエーションを広げたい。
次戦は、7月23日に全国選手権第16節、ホームでのゴイアス戦。
コリチバは、中盤の厳しいマークと守備を固めた試合を展開しつつも、攻撃時には中盤や両SBが積極的に前線に上がり、カウンターからシュートで終わるだけでなく、シュートに持ち込めずとも遅攻で人数をかけることに成功。オフサイドや相手GKの好守にゴールをこじ開けることは出来なかったが、連勝の勢いを次節に繋げることができた試合となった。
2021年の全国選手権2部得点王、2022年にはクルゼイロでチーム内得点王として1部昇格に貢献したFWエドゥ(Edu, 1993)がこの試合の後半14分にデビュー。複数のプレーでシュートに絡み、次節以降、FWアレフ・マンガとのコンビでどのようなプレーを見せるだろうか。
これでチアゴ・コスロスキ監督代行が指揮を執り3試合で2勝1分、勝ち点7を獲得。攻撃時には、多くの選手がゴールに迫りシュートを放つダイナミックなサッカーを落とし込んでいる。まだ降格圏を抜け出すことは出来ていないが、希望を見出せる内容の試合が続いており、今後の采配に注目したい。
次戦は7月24日に全国選手権第16節、フルミネンセをホームに迎える。
フルミネンセ(FLU) 0-0 フラメンゴ(FLA)
動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=2g3TEib0n-k
(FLU) : N/A
(FLA) : N/A
見どころ(試合前の順位)
フルミネンセは全国選手権7勝3分4敗勝点24の4位。
フラメンゴは全国選手権8勝2分4敗勝点26の2位。
得点シーン
N/A
試合概要
ボール保持率: 前半:52% 48% ⇒ 前後半:52% 48%
シュート(枠内): 前半:3‐5 (1-2) ⇒ 前後半:15-8(8-3)
パス成功率: 前半:86 83 ⇒ 前後半:84 85
フルミネンセは、MFガンソ(Ganso, 1989)が6月27日リベルタドーレス以来の出場。長期離脱者を除き、好調時のベストに近い布陣で試合に臨む。
一方のフラメンゴは、今節は4-4-2の布陣。2023年6月17日ギニア戦で代表デビューを果たした左SBアイルトン・ルーカス(Ayrton Lucas, 1997)が警告累積のため出場停止、左SBには2018W杯など代表44試合2得点を記録するフィリペ・ルイス(Filipe Luís, 1985)が先発に起用され、選手層の厚さを見せつける。
両チーム合わせ、イエローカード14枚、レッドカード1枚が飛び交うなどファールは45、VARによる介入でお互いにゴールが一度ずつ取り消された(いずれも画面上で明らかにファールが認識できる正当な判定)クラシコ フル・フラは、0-0のスコアレスドローに終わり、首位ボタフォゴを追いかけたい両チームにとって痛み分けとなった。
所感 etc.
選手の顔ぶれ、今年の州選手権のフルミネンセの戦いぶり、昨年のリベルタドーレスとコパ・ド・ブラジルを制したフラメンゴの戦いぶりを考えると、このクラシコに対する高揚感は否応もなく高まる。はずなのだが、全国選手権の戦いぶりや、コパ・ド・ブラジルでの両者の対戦内容を見ると、冷めた目で見てしまう伝統のフル・フラ。
フルミネンセは、VOLアレキサンデル(Alexsander, 2003)離脱後の試合の中で、久しぶりに好調時に近い試合内容。ワンタッチでの細かいパス回し、ボールロスト時は素早いプレスでボールを奪い返し、ボール奪取後に相手がファールで止めに来るプレーにも対応し試合を支配。
FWヘルマン・カーノ(Germán Cano, 1988)はシュート精度が戻り切っていないものの、本来の危険なポジショニングを取り戻しシュートに持ち込むなど、復調気配が見られた。
出場停止明けのFWジョン・アリアス(Jhon Arias, 1997)は、本来の切れ味が戻りチャンスを演出、自らもシュートを放つなど、フラメンゴGKマテウス・クーニャ(Matheus Cunha, 2001)の好守に複数のゴールを阻まれたが、一時のスランプを脱出したように見えた。
選手層の薄いのセンターバックには、7月にトルーカ/MEXからレンタルで獲得したCBレオナルド・フェルナンデス(Leonardo Fernández, 1998)、下部組織からCBフェリピ・アンドラーデ(Felipe Andrade, 2002)を途中交代で起用し新しい風を投入。一方で、したが、それ以外のポジションにはFW(John Kennedy, 2002)とFWレレー(Lelê, 1997)が投入されるだけで、起用する選手の膠着化が進んでいる。さらに、最近の試合で出場機会が増えていたサントスからレンタル中のMFガブリエウ・ピラーニ(Gabriel Pirani, 2002)がウェイン・ルーニー(Weyne Rooney)監督率いるDCユナイテッド/USAへの移籍の可能性が高まるなど、膠着化はさらに進みそうだ。
次戦は7月24日に全国選手権第16節、アウェイでのコリチバ戦。
フラメンゴは、フルミネンセの攻撃時のパスワークと守備時の早い寄せに試合の主導権を握れない。後半は自陣ゴール前からのビルドアップを図るも、高い位置でボールを奪われピンチを招くなど後手に回る展開。
週中のコパ・ド・ブラジルに続き、監督の強い要望で獲得したMFアラン(Allan, 1997)とFWルイス・アラウージョ(Luiz Araújo, 1996)を後半に投入するも試合の流れを変えることができず、試合を終えた。
この引き分けで首位ボタフォゴとの勝点差は12に広がるも、暫定ながら2位をキープ。他チームが羨む選手層を誇り、潤沢な資金をつぎ込んだ補強の最低限の面目を保つ成績を維持。
次戦は7月22日に全国選手権第16節、ホームにアメリカ・ミネイロを迎える。
サンパウロ(SAO) 4-1 サントス(SAN)
動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=WW_18mkXHjo
(SAO) : 22' #9 カレリ(Calleri, 1993)[PK]
(SAO) : 45+1' #9 カレリ(Calleri, 1993)[#7 アリソン(Alisson, 1993)]
(SAO) : 78' #22 デイヴィジ(David, 1995)[#11 ホドリゴ・ネストール(Rodrigo Nestor, 2000)]
(SAO) : 88' #12 アレシャンドレ・パト(Alexandre Pato, 1989)[#22 デイヴィジ(David, 1995)]
(SAN) : 90+3' #9 マルコス・レオナルド(Marcos Leonardo, 2003)[PK]
見どころ(試合前の順位)
サンパウロは全国選手権6勝4分4敗勝点22の8位。
サントスは全国選手権4勝4分6敗勝点16の13位。
得点シーン
前半22分 :
相手陣右サイドでのMFミシェウ・アラウージョ(Michel Araújo, 1996)が蹴ったFKをペナルティエリア左でFWカレリが受け、ボールを切り返そうとしたところを倒される。PKを獲得。FWカレリが自らPKを決めサンパウロが先制。
FWカレリは、2016リオ五輪アルゼンチン代表で3試合1得点。2016年にサンパウロで約半年間で31試合16得点3アシストの記録を残し、ウェストハム/ENGへ移籍。2021年9月にサンパウロに再加入すると2022年はチーム内得点王。今季は3月にケガのため戦列を離れるが、全国選手権開幕に合わせ復帰し、全国選手権は12試合6得点2アシストを記録。
(SAO)前半45+1分 :
ペナルティエリア内右角でボールを受けたMFアリソンがタメを作り、ディフェンダー2人の間を通し柔らかなクロスをゴール左へ送る。FWカレリが待ち構える中、ディフェンダーの寄せがなく、FWカレリは頭で易々とゴールネットを揺らす。
MFアリソンは、クルゼイロ下部組織出身で2012年11月に19歳でプロデビュー。クルゼイロで2度の全国選手権、グレミオでコパ・ド・ブラジルを制覇し、2022年にサンパウロに加入。派手さはないものの、足元の技術はもちろん、戦術理解が深く視野の広さで攻守のコネクターとして、いずれのチームでも主力を構成する。この試合を終えた時点で28試合1得点4アシスト(全国選手権15試合3アシスト)を記録。
(SAO)後半23分 :
相手陣センターサークルの外左でボールを受けたFWデイヴィジがドリブルで中央にボールを運び右サイドのFWフアン(Juan, 2002)にボールを預け、自身はゴール前に上がる。FWフアンの内をMFホドリゴ・ネストール(Rodrigo Nestor, 2000)が追い抜きボールはMFホドリゴ・ネストールの前方へ。MFホドリゴ・ネストールが中にダイレクトに折り返すとFWデイヴィジが左足を合わせボールをゴールに流し込む。
FWデイヴィジは、スピード豊かなサイドアタッカー。2023年1月19日にインテルナシオナウからサンパウロに期限付き移籍で加入。シーズン当初の州選手権では先発起用が続くものの、相次ぐケガのために出場機会は減少。全国選手権はわずかに8試合182分の出場にとどまるが、このアシストで2得点2アシストを記録。週中のコパ・ド・ブラジルでは準決勝進出を決定づける得点も奪っており、公式戦2試合連続得点。この勢いを継続し先発の座を奪い返したい。
(SAO)後半43分 :
相手陣左サイドでボールを受けたFWデイヴィジから中央のFWアレシャンドレ・パトにボールが送られる。FWアレシャンドレ・パトはドリブルでペナルティエリア左へ向かうがディフェンダーの前に中に入り込むことができない。その間にゴール前に上がったFWデイヴィジがペナルティエリア入口まで下がると、FWパトはFWデイヴィジにボールを預けゴールに向かい走り込む。FWデイヴィジから戻りのボールを受けたFWパトはボールをゴール隅に流し込む。
FWアレシャンドレ・パトはインテルナシオナウ下部組織出身で2006年11月、17歳でのプロデビュー戦では出場1分でプロ初ゴール。プロ2試合目となる同年のクラブW杯準決勝でもゴールを決めると、決勝バルセロナ/ESP戦に先発出場を果たしクラブW杯優勝に貢献。2007/08シーズン前に2400万ユーロでインテル・ミラノ/ITAに移籍するが、相次ぐケガのため、当初の期待に応えることができず5シーズン151試合63得点で退団。その後もコリンチャンス、サンパウロ、スペイン、中国、アメリカでプレーするが、年間を通して活躍する年は2年ほどに止まる。サンパウロには2023年5月26日に3度目の加入。じっくりと時間をかけて調整された肉体はまだ色褪せていない。
(SAN)後半45+3分 :
FWデイヴィジ・ワシントン(Deivid Washington, 2005)が右サイドライン際に流れボールを受けるとドリブルでペナルティエリアに侵入しゴールライン際に持ち上がる。サンパウロディフェンダーが思わずFWデイヴィジ・ワシントンの足を踏み、倒してしまい、サントスにPKが与えられる。これをFWマルコス・レオナルドがゴール左にきっちりと決めサントスが1点を返す。
FWマルコス・レオナルド、FWデイヴィジ・ワシントンはいずれもサントス下部組織出身。両者とも欧州ビッグクラブが関心を持っており、FWデイヴィジ・ワシントンにはモナコ/FRAが正式オファー、FWマルコス・レオナルドにも複数のクラブがサントスと交渉を進めており、2023年欧州移籍ウィンドウでの移籍の可能性が高い。
試合概要
ボール保持率: 前半:66% 34% ⇒ 前後半:59% 41%
シュート(枠内): 前半:11‐2(4-1) ⇒ 前後半:23-8(7-3)
パス成功率: 前半:91% 66% ⇒ 前後半:88% 73%
サンパウロは、引き続きCBベラウド(Beraldo, 2003)とVOLガブリエウ・ネーヴィス(Gabriel Neves, 1997)がケガのため、VOLパブロ・マイア(Pablo Maia, 2002)が実父の急逝のため欠場。CBジエゴ・コスタ(Diego Costa, 1999)、VOLミシェウ・アラウージョ(Michel Araújo, 1996)、VOLヘクソン・メンデス(Jhegson Méndez
, 1997)が先発に起用される。
一方のサントスは、パウロ・トゥーハ(Paulo Turra)監督が指揮を執り4試合目。補強に向け多くの選手との契約を解除し、限られた手駒の中で布陣を組む。
試合はサンパウロが守備面で中盤のマークが相手のミスを誘発。攻めては、縦、横へのパスが次々と繋がり、スピード感のある攻撃でサントス守備網を切り刻み、相次いでサントスゴールに迫る。4つのゴール以外にも、前半26分のVOLミシェウ・アラウージョの約45mの超ロングシュートや、後半36分のFWフアンの強烈なシュートが、いずれもクロスバーに嫌われるなど、サントスを圧倒する。
サントスは後半アディショナルタイムにPKで1点を返すのみにとどまり、試合はホームのサンパウロが5万8000人の観客が見守る中、4-1の完勝を収めた。
所感 etc.
サンパウロは、ケガ人が相次ぐ中、対戦相手に応じて多くの選手を積極的に起用。控え選手のモチベーションも高く、チーム戦術が個々の選手にしっかりと落とし込まれ、高いレベルでチーム力を維持。全国選手権では、多様な選手起用が裏目にでる試合もあるが、コパ・ド・ブラジルやコパ・スウアメリカーナでは、しっかりと勝ち残り、前年フラメンゴでリベルタドーレスとコパ・ド・ブラジルを制覇したドリヴァウ・ジュニオール(Dorival Junior)監督の采配が光る。
次戦は7月22日の全国選手権第16節アウェイでのクイアバ戦。
サントスは、最近の3試合で10失点。
今節は最終ラインを高く敷いては相手のスピードに簡単にライン裏に抜け出され、引いて守れば守⇒攻への移行に時間がかかりFWマルコス・レオナルドが孤立する悪循環。
左右にスピード豊かなFWメンドーサ(Mendoza, 1992)、FWルーカス・ブラーガ(Lucas Braga, 1996)を配置するものの両者は深い位置まで守備に奔走。ボールを奪っても中盤でボールが保持できないため両サイドアタッカーが攻め上がる時間を作ることができず、高い位置でボールを奪われ再び守備に追われる展開が続く。
前節で13試合ぶりの勝ち星を収めたものの今節は完敗。補強も順調とは言えず、今後に向けた明るい材料は少ない。
次戦は7月23日の全国選手権第16節ホームに首位ボタフォゴを迎える。