ガブリエウ・モスカルド (Gabriel Moscardo)

投稿者: | 2023年7月16日
最新更新日 : 2024/08/22
更新履歴 : 2024/07/16, 2023/09/03

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ガブリエウ・シウヴァ・モスカルド・デ・サーレス

Gabriel Silva Moscardo de Salles

ポジション:ボランチ

利き足:右

2005年5月28日生まれ

<幼少期>

 ブラジル連邦共和国サンパウロ州タウバテに生まれる。
 地元タウバテのサッカースクールでサッカーをしていたが、2016年、11歳の時、近隣のサン・ジョゼ・ドス・カンポスで開催されたコリンチャンス主催のイベントに参加。現在コリンチャンスU-20チームのアシスタンスコーチを務めるエドゥ(Edu)は、そのイベントで、モスカルドの試合の流れを読んだプレーや、パスの正確さ、判断の良さに注目。さらに、規律正しく真面目な様子を見て入団テストに勧誘する。

<クラブ経歴>

≪育成時代

 2017年6月にコリンチャンス下部組織への入団を果たし、入団後は順調にカテゴリーを上げていく。
 2019年には15歳でU-17カテゴリーの試合に出場。
 2021年、コリンチャンスとプロ契約。
 2022年には、ボランチというポジションながら、U-17カテゴリーで26試合10得点を記録。U-17全国選手権では、10チームによる予選ラウンドの9試合でチーム得点王となる6得点を記録。この年にはU-20チームの試合にも1試合の出場を果たす。
 2023年1月に開催されたU-20全国大会カップ戦(2003年生まれが主体)に登録選手30人の一人として選出、チーム全5試合のうち4試合に出場(うち1試合先発)。
 2023年3月初めに開幕したU-20全国選手権では10チームによる予選ラウンド9試合のうち8試合に出場(すべて先発)、4月半ばに開幕し日程が一部全国選手権と並行するU-20州選手権にも主力として出場。
 2023年6月24日までにこの2大会で計15試合に出場。その活躍を受けトップチーム監督ヴァンデルレイ・ルシェンブルゴ氏がモスカルドをトップチームに招集。

コリンチャンス≫

– 2023 –

 2023年6月28日、リベルタドーレス予選ラウンド最終節、ホームでのリベルプール・モンテビデオ/URU戦にベンチ入りを果たす。決勝ラウンド進出の目がなくなり若手主体で臨んだこの試合で、後半34分、2-0のリードした場面にピッチに送り出される。
 ピッチに立ったモスカルドは、プロデビュー戦でのファーストタッチで左サイドのペドロ(Pedro, 2006)にパスを送ると、ペドロはペナルティエリア内でドリブルを仕掛け、MFアジソン(Adson, 2000)へマイナスのクロスを送りアシストを記録。モスカルドのプロ初プレーがゴールに関与することとなった。
 続く7月2日全国選手権第13節RBブラガンチーノ戦でスターティングイレブンに抜擢されると、7月5日コパ・ド・ブラジル準々決勝1stレグ アメリカ・ミネイロ戦、7月8日全国選手権第14節アトレチコ・ミネイロ戦と3試合連続で先発出場。控え選手主体で挑んだ7月11日のコパ・スウアメリカーナ プレーオフでは、7月15日のコパ・ド・ブラジル準々決勝2ndレグを見据え、ベンチ入りもせず休養に充てられた。
 2023年7月15日、コパ・ド・ブラジル準々決勝2ndレグ アメリカ・ミネイロ戦、プリメイロボランチとして先発出場。前半からフィルター役として複数のボール奪取、インターセプトを敢行。後半にはペナルティエリア手前からあわやのミドルシュートを放ち、モスカルドのボール奪取を起点にコリンチャンスの2点目が生まれるなど、17歳とは思えぬ落ち着きと判断力でチームの勝利に貢献した。
 その後、約一か月間、ケガのためチームを離脱したものの、8月13日全国選手権第19節コリチバ戦にて復帰戦を先発起用にて迎えると、以降は先発に定着。
 2023年11月28日全国選手権第36節ヴァスコ・ダ・ガマ戦にて、後半16分、ペナルティエリア手前やや右寄りの位置でボールを受けると、ディフェンスの寄せが甘いとみるや、思い切りよく右足を振り抜く。弾道の低い強烈なシュートがファーサイドのサイドネットに突き刺さるゴラッソ。プロ初ゴールは試合をひっくり返す逆転弾。
 プロデビュー年の2023年は、25試合約1600分の出場1得点1アシストの成績を収めた。
 また、2023年9月には初の世代別代表(U-23)に招集され、9月7日国際親善試合モロッコU-23戦に出場(後半44分の途中交代出場)を果たした。

パリSG≫

– 2024 –

コリンチャンス(レンタル元:パリSG)≫
 2023年終盤より進められていたコリンチャンスとパリSG/FRA、代理人との間での移籍交渉は口頭での合意に達していたが、ガブリエウ・モスカルドは従来より違和感を感じていた左足踵の手術を発表。あわせて、この手術により約3か月間ピットから遠ざかる見込みを発表した。
 これにより、パリSG側が契約内容を精査、移籍時期などについて、再交渉となった。
 しかし、2024年1月25日、パリSGがガブリエウ・モスカルドの獲得を公式発表。同時にカタールにて懸念の左足踵の手術が行われた。
 手術後の経過観察やリハビリのため、手術後間もなくコリンチャンスへの2024年6月末を期限とした期限付き移籍契約が締結され、ブラジルにて療養、復帰を目指すこととなった。
 2024年6月1日全国選手権第7節にてベンチ入り。
 6月11日第8節アトレチコ・ゴイアニエンセ戦にて後半10分にピッチに立ち、半年ぶりの復帰。6月16日第9節サンパウロ戦にて先発に起用され前半の45分間をプレー。
 6月30日にコリンチャンスとの期限付き移籍契約は満了を迎え、パリに向け旅立った。

– 2024/25 –

スタッド・ランス(レンタル元:パリSG)≫
 2024年8月7日パリSGにてプレシーズンマッチでのシュトゥルム・グラーツ/AUS戦に後半15分にピッチに送り出され30分間プレー。
 8月21日パリSGよりスタッド・ランスへの一年間の期限付き移籍が発表。公式戦への試合出場機会はなく、欧州一年目のシーズンは、前シーズンをフランス・リーグ・アン9位に終えたスタッド・ランスでのプレーが決まった。

≪シーズン別クラブ出場記録≫

シーズン所属大会試合出場
時間
得点アシ
スト
2023年(18歳)コリンチャンスリベルタドーレス11100
コパ・スウアメリカーナ426400
全国選手権18114211
コパ・ド・ブラジル217800
 合計25159511
2024年(19歳)コリンチャンス全国選手権28000
 合計28000
2024/25年(20歳)パリSG/FRA
 合計
イタリック斜体は、2024年7月16日現在の記録。
※ シーズン欄の年齢は、12月31日時点の年齢です。

<代表(世代別含む)経歴>

– 2023 –

 2023年9月3日、CBFより、U-23代表への追加招集が発表された。この知らせは、全国選手権第22節パウメイラス戦のハーフタイム、テレビ放送でのインタビューの際に本人に伝えられた。モスカルドは、感激のあまり涙ながら周りの人への感謝の言葉を口にし、控室へと姿を消した。
 2023年9月7日、モロッコU-23との国際親善試合にて後半44分にピッチに送り出され世代別代表デビュー。
 一週間後に第2戦が予定されており、先発出場も期待されたが、9月8日にモロッコ中部を襲ったM6.8の地震が発生。ブラジルU-23代表チームに被害はなかったものの、モロッコ国内では3000名以上の犠牲者が出るなど多くの被害が発生し、第2戦は中止となった。

– 2024 –

 2024年8月17日、CBFよりU-20代表合宿招集メンバーが発表され、代表23選手の一人として招集を受けた。この代表合宿は。2025年1月にペルーにて開催が予定されているU-20南米ユース選手権に照準とした2度目の合宿。合宿期間は9月2日~10日、5日と8日にメキシコU-20代表との国際親善試合が予定されている。
   関連記事 : [2024.08.17発表]<ブラジルU-20代表招集

<プレースタイル>

 利き足は右。
 身長185㎝、体重73㎏。(2023年7月15日現在サッカーサイト「goal.com」参照)
 下部組織では主にプリメイロボランチ、セグンドボランチとしてプレー、センターバックとしても起用されることもある。
 モスカルドを発掘したエドゥは、モスカルドの長所として、ボールを扱う高い技術だけでなく、危険な地域を察知する危機管理能力や、苦しい展開を打開する能力、戦術眼をあげる。
 モスカルド自身は、プリメイロボランチ(背番号5)が気に入っていると言う。このポジションは厳しいマークでボールを奪い、人一倍走り、チームへの献身性が要求されるからだ。しかし、モスカルドは、セグンドボランチ(背番号8)としても、俯瞰的に試合を眺め、チームがフィニッシュに持ち込むまでの推進力をもたらすことができる、と自信を持つ。
 それを証明するかのように、2023年6月28日のプロデビュー戦では、プロ初プレーで、FWペドロのゴールをパス1本でアシスト。ガブリエウは、プロデビュー戦でのファーストタッチがゴールに繋がると嬉しさが爆発、プロでプレーする自信がつき、もっともっと試合に出たいという願望も大きくなった、と述懐している。

<ヘナト・アウグスト評>

 2023年7月8日全国選手権第14節アトレチコ・ミネイロ戦の試合後、ヘナト・アウグスト(Renato Augusto, 1988, 2018W杯3試合1得点などブラジル代表として33試合6得点1アシストを記録。)はモスカルドについて、「個人能力が高く、頭が良い。それに、労を惜しまない。戦術眼も素晴らしいものを持っている。まさにコリンチャンスが発掘した宝石だよ。まだ、原石だけど、代表に選出されるように我々が研ぎ澄ましていかなければね。」と絶賛している。

<憧れ ‐ ファウスト・ベラ>

 目標とする選手は身近にいる。
 コリンチャンスのVOLファウスト・ベラ(Fausto Vera, 2000/03/26)だ。
 ファウスト・ベラは、アルヘンティーノス・ジュニオルス/ARG下部組織出身で、2018年11月12日に18歳でデビュー。2017年南米U-17選手権(3試合)、2019年U-20南米ユース選手権(6試合)&U-20W杯(3試合1得点)、2020東京五輪(3試合)に出場。2022年7月に600万USドル相当の移籍金でコリンチャンスが獲得。
 コリンチャンスでは加入後間もなくレギュラーの座を獲得。ボール奪取数、ドゥエル(イーブンボールの奪い合い)での勝率、パス成功率などに高い数値を残し、スペース管理能力に優れる。2022年は、コリンチャンスのコパ・ド・ブラジル準優勝、全国選手権4位に大きく貢献。
 2023年7月の欧州移籍ウィンドウでは、ラツィオ/ITA、フィオレンティーナ/ITAが獲得を検討しており、コリンチャンスは1200万ユーロ(約18億円)の移籍金を見込んでいると報道されている。
 モスカルドが2022年7月にファウスト・ベラがコリンチャンスに加入した時からそのプレースタイルに憧れ、トップチームで初のベンチ入りとなったプロデビュー戦ではベンチから常にファウスト・ベラのプレーを追いかけていたという。
 イタリアへの移籍が噂されるファウスト・ベラとの別れは間もなくかもしれない。
 しかし、この先、ピッチ上でファウスト・ベラとユニフォームを交換する時が来るだろう。その舞台が、いつ、どこかはわからないが、お互いに健闘を称えながら、クラブを代表し、国を代表するユニフォームを交換する姿であってほしいと思う。

<チェルシー/ENGから獲得オファー[2023.09.01]>

 ブラジル時間9月1日の報道によると、チェルシー/ENGがモスカルドの獲得オファーをコリンチャンスに提示。FIFAの規定では、18歳未満の外国籍選手の移籍は認められていないため、18歳の誕生日後の移籍が前提とされている。移籍金は、(固定)2100万ユーロ+(インセンティブ)400万ユーロの計2500万ユーロ(約39億円)。無名のプロデビューから僅か2か月で、その名が広く世界に知れ渡ることとなった。

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