【ブラジル全国選手権2023】第16節(1/2)

投稿者: | 2023年7月21日

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全国選手権第16節 対戦組合せ


以下の5試合の概要はこの記事で。以下の5試合の概要はこちらで。→
・2023/07/22 フラメンゴ(FLA) x アメリカ・ミネイロ(AME)
・2023/07/22 パウメイラス(PAL) x フォルタレーザ(FOR)
・2023/07/22 バイーア(BAH) x コリンチャンス(COR)
・2023/07/22 クイアバ(CUI) x サンパウロ(SAO)
・2023/07/22 グレミオ(GRE) x アトレチコ・ミネイロ(CAM)
以下の5試合の概要はこの記事で。以下の5試合の概要はこちらで。→
・2023/07/23 サントス(SAN) x ボタフォゴ(BOT)
2023/07/23 RBブラガンチーノ(RBB) x インテルナシオナウ(INT)
2023/07/23 クルゼイロ(CRU) x ゴイアス(GOI)
2023/07/23 ヴァスコ・ダ・ガマ(VAS) x アトレチコ・パラナエンセ(CAP)
2023/07/24 コリチバ(CFC) x フルミネンセ(FLU)

全国選手権第16節 試合概要

フラメンゴ(FLA) 1-1 アメリカ・ミネイロ(AME)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=sr2T7GZeCP8
(AME) : 84' #11 フェリピ・アゼヴェード(Felipe Azevedo, 1987)[]
(FLA) : 45+5' #29 ヴィクトル・ウーゴ(Victor Hugo, 2004)[#14 デ・アラスカエッタ(De Arrascaeta, 1994)]

見どころ(試合前の順位)

   フラメンゴは全国選手権8勝3分4敗勝点27の2位。
   アメリカ・ミネイロは全国選手権2勝3分9敗勝点9の20位。

得点シーン

(AME)後半39分 :
センターサークルで後方からのボールを受けたFWホドリゴ・ヴァランダ(Rodrigo Varanda, 2003)がドリブルで前方にボールを運び、MFジュニーニョ(Juninho, 1987)へパス。ボールは少し流れるが、MFジュニーニョが中央へクロス。このボールはディフェンダーにクリアされるが、こぼれ球をフェリピ・アゼヴェードがダイレクトにゴールに蹴り込みアメリカ・ミネイロが先制。
   FWフェリピ・アゼヴェードは2019年にアメリカ・ミネイロに加入した在籍5年目214試合目の出場となるベテランFW。今季の全国選手権は5月20日第7節フォルタレーザ戦での勝ち越しゴールに続く2ゴール目。
   FWホドリゴ・ヴァランダは、2021年にコリンチャンスでヴァギネル・マンチーニ(Vágner Mancini)監督の下、18歳でプロデビューを果たし州選手権10試合1得点1アシストを記録。しかし、監督の解任によりコリンチャンスで出場機会を失い、国内下位リーグやキプロスへの期限付き移籍を繰り返す。2023年ヴァギネル・マンチーニ監督率いるアメリカ・ミネイロに期限付き移籍。U-20チームでの9試合10得点の活躍もありトップチームへ招集されると5月23日コパ・スウアメリカーナでクラブデビュー。この試合でも惜しいシュートや複数の好機を作り出し、今後の活躍が期待される。
(FLA)後半45+5分 :
相手陣左サイドからのFK。MFデ・アラスカエッタが中央に上げたボールにVOLヴィクトル・ウーゴが頭を合わせるとボールはゴール右上隅に吸い込まれ土壇場でフラメンゴが同点。
   VOLヴィクトル・ウーゴは、フラメンゴ下部組織出身で17歳の2022年5月1日のコパ・ド・ブラジルでデビュー。2022年は全国選手権21試合、リベルタドーレス決勝、コパ・ド・ブラジル決勝ホーム&アウェイに出場するなど計37試合に出場。2023年は年初の試合で足の小指を骨折し約2か月離脱するが、復帰後は浮き沈みはあるものの、この試合終了時点で、全国選手権15試合(うち5試合先発)、リベルタドーレス4試合(うち2試合先発)などの活躍。欧州移籍が期待されている。

試合概要

ボール保持率: 前半:58% 42% ⇒ 前後半:61% 39%
シュート(枠内): 前半:5‐6 (3-0) ⇒ 前後半:14-16(6-3)
パス成功率: 前半:84% 76% ⇒ 前後半:85% 76%
   試合はフラメンゴがボールを握りアメリカ・ミネイロが相手陣でプレスを仕掛ける展開で始まる。フラメンゴは、MFエヴェルトン・ヒベイロがアメリカ・ミネイロのハイプレスの後ろのスペースを自由に動き相次いで好機を演出、フラメンゴは前半3分、7分と相次いでアメリカゴールに迫る。
   アメリカ・ミネイロは、前半10分過ぎにハイプレスを控え、自陣に引き、スペースを埋める守備に変更。すると、フラメンゴの攻撃のリズムが狂い始め、縦パスは思うように通らず、横や後ろへのパスが増え、シュートまで持ち込むことができなくなる。
   後半に入りフラメンゴは攻撃時のポジショニングを修正。CBダヴィ・ルイス(David Luiz, 1987)がボールを持ち上がるなど攻撃の厚みが増す。後半6分にVOLアラン、MFアラスカエッタ、FWガブリエウ・バルボーザと縦パスが続き、FWガブリエウ・バルボーザがシュートに持ち込むがアメリカ・ミネイロGKマテウス・パジナット(Mateus Pasinato, 1992)が好セーブ。
   一方のアメリカ・ミネイロも選手交代で攻撃的な選手を投入すると、前がかりになるフラメンゴの裏のスペースを突いたカウンターの鋭さは増し、次々とフラメンゴゴールに迫る。後半29分にはピッチに立ったばかりのFWホドリゴ・ヴァランダがゴールネットを揺らすが、こらはオフサイドの判定。さらにFWヴァランダは後半32分にも僅かにゴール右に外れる惜しいシュート。そして、後半39分にはFWヴァランダが起点として遂にアメリカ・ミネイロが先制する。
   一点を追いかけるフラメンゴは、地力を発揮し後半45+5分にFKから同点に持ち込むのが精一杯。首位ボタフォゴを追いかけたいフラメンゴ、降格圏を脱出したいアメリカ・ミネイロ、両チームにとって痛い1-1の引き分けに終わり勝ち点1を分け合う結果となった。

所感 etc.

   フラメンゴは、VOLエリキ・プルガール(Erick Pulgar, 1994)をケガで欠き、VOLチアゴ・マイア(Thiago Maia, 1997)は警告累積による出場停止、ボランチの選手起用が注目される中、7月2日に加入が発表されたVOLアラン(Allan, 1997)が自身3試合目で初先発に抜擢。
   この試合も課題の引いた守備網を崩すことができず、最下位に低迷するアメリカ・ミネイロと引き分け。左はFWブルーノ・エンヒキ(Bruno Henrique, 1990)、右はSBウェズレイ(Wesley, 2003)が大きく開くが、中に高さがなくあまり効果を発揮しない。また、中を固める守備に対し選手間の距離が遠くなり、仕掛けのパスが通らず、ボールを奪われてはカウンターを次々と浴びる。ハーフタイムに若干の修正が図られたものの、選手交代は2枚にとどまり、後半はアメリカ・ミネイロの勢いに飲まれる展開。
   試合終了間際のセットプレーで何とか勝ち点1を拾ったものの、他を圧倒する選手層を誇りながら煮え切らない試合が続く。
   次戦は週中にコパ・ド・ブラジル準決勝グレミオ戦アウェイでの1stレグ。週末には全国選手権第17節アウェイでのアトレチコ・ミネイロ戦が控えている。

   アメリカ・ミネイロの先週末の試合は、2020年以来の準決勝進出を賭けたコパ・ド・ブラジル準々決勝2ndレグのコリンチャンス戦。1stレグの1-0での勝利を受けての試合となったが、試合は2-3の敗戦。PK戦にもつれ込んだものの準々決勝での敗退となった。
   しかし、週末のコパ・スウアメリカーナのプレーオフ2ndレグでは、1stレグでの1点のビハインドを試合開始6分で追いつくと、前半21分、26分に追加点。試合は5-1の快勝、2試合合計6-3のスコアでベスト16進出を果たした。
   試合開始直後は高い位置でのプレスを仕掛けるが、相手にスペースを与える形となり、相次いでピンチを招くと試合中に柔軟に修正。自陣に引いて中を閉じる守備を構築すると、相手のアイディア不足もあり、守備が安定。前半のうちに試合内容を五分五分に持ち込むと、後半はカウンターから相手を上回る好機を演出する。後半39分の先制点を守り切れなかったものの、選手権最多失点を記録しているチームにとって、この試合での守備と守備から攻撃への移行は今後の戦い方のベースになる可能性がある。
   次戦は7月30日に全国選手権第17節ホームにパウメイラスを迎える。

パウメイラス(PAL) x フォルタレーザ(FOR)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=FJ9otO4al7w
(PAL) : 9' #27 ヒシャルジ・ヒオス(Richard Rios, 2000)[]
(FOR) : 45' #9 ルセロ(Lucero, 1991)[PK]
(PAL) : 76' #23 ハフェエウ・ヴェイガ(Raphael Veiga, 1995)[#12 マイキ(Mayke, 1992)]
(PAL) : 90+6' #19 ブレーノ・ロペス(Breno Lopes, 1996)[]

見どころ(試合前の順位)

   パウメイラスは全国選手権6勝7分2敗勝点25の6位。
   フォルタレーザは全国選手権6勝5分4敗勝点23の9位。

得点シーン

(PAL)前半9分 :
右CKはゴール前でディフェンダーにクリアされるが、そのボールをVOLヒシャルジ・ヒオスがペナルティエリア入口からダイレクトにシュート。GKの死角となったボールはゴールネットを揺らす。
   VOLヒシャルジ・ヒオスは、フラメンゴ下部組織出身のコロンビア国籍選手。リオデジャネイロで開催されたフットサル2018年U-20南米ユース選手権代表。そのプレーにフラメンゴが注目し、翌2019年7月のフラメンゴ下部組織サッカー部門に入団。2020年1月の州選手権で19歳でプロデビューを果たす。フラメンゴでは出場機会に恵まれず2022年に全国選手権2部のグアラニーに移籍。2023年サンパウロ州選手権の活躍と将来性を見込まれ3月28日に保有権60%に対し600万レアルでパウメイラスに移籍。プリメイロボランチ、セグンドボランチの3番手として多くの試合に出場。これまでチーム全45試合のうち38試合に出場(うち先発21試合)。
(FOR)前半45分 :
ペナルティエリアに入った地点でパウメイラスにハンドのファール。フォルタレーザに与えられたPKをFWルセロがゴール右に決めフォルタレーザが同点。
   FWルセロは2023年にコロコロ/CHLからフォルタレーザに移籍加入。この試合を終えた時点で38試合に出場、チーム内得点王の16得点(6アシスト)を記録。しかし、全国選手権はこのゴールが2得点目。
(PAL)後半31分 :
MFルイス・ギリェルミ(Luis Guilherme, 2006)がドリブルで右サイドゴールライン手前まで運び、ディフェンダー2人を引き連れ、ボールを後方のSBマイキに戻す。SBマイキは、ペナルティエリア右入口のMFハフェエウ・ヴェイガにボールを送ると、MFハフェエウ・ヴェイガは中央にボールを運び左足のシュート。パウメイラスが勝ち越し。
   MFハフェエウ・ヴェイガは2017年にパウメイラスに加入。翌2018年は期限付き移籍でパウメイラスを離れるが、2019年に復帰を果たすと、主力選手の一人として2度のリベルタドーレスや全国選手権、コパ・ド・ブラジル制覇に貢献。2023年3月25日にはブラジル代表としてモロッコ戦に初出場を飾り、続く2023年6月の2試合にも出場、通算3試合0得点。しかし、国内の厳しい日程に加え、国際Aマッチデーでの休養もなく、パフォーマンスは低下気味となり、このゴールは5月17日のコパ・ド・ブラジル以来2か月ぶりのゴールとなった。
(PAL)後半45+6分 :
自陣深くからGKウェヴェルトン(Weverton, 1987)のロングフィードにFWホニ(Rony, 1995)が頭を合わせ、こぼれ球をMFルイス・ギリェルミが敵陣右サイド深くに運ぶ。そのまま中央にクロスを送るとFWブレーノ・ロペスがディフェンダーのマークを巧みにかわし左足を合わせパウメイラスがダメ押し点。
   FWブレーノ・ロペスは2020年11月13日にパウメイラスに加入。2021年1月30日のリベルタドーレス決勝戦サントス戦で後半40分にピッチに立つと試合終了直前の後半45+9分に決勝点をマーク。ポジションに定着できないものの、スピードとボールキープ力を武器にスーパーサブとして多くの試合に出場。2023年はこの試合を終えた時点でチーム全45試合のうち37試合に出場(うち先発6試合)4得点4アシストを記録。

試合概要

ボール保持率: 前半:55% 45% ⇒ 前後半:57% 43%
シュート(枠内): 前半:5‐6 (2-4) ⇒ 前後半:13-12(5-6)
パス成功率: 前半:84% 72% ⇒ 前後半:85% 71%
   この試合のファーストシュートは、前半4分、フォルタレーザのMFポチェチーノ(Pochettino, 1996)がパウメイラスのパスミスを拾い約30mの強烈なシュート。パウメイラスGKウェヴェルトンがしっかりとキャッチ。
   一方のパウメイラスは、前半9分、CKを獲得するとVOLヒシャルジ・ヒオスの全国選手権今季初ゴールで先制する。
   パウメイラスは右サイドを中心に敵陣深くにボールを運び、フォルタレーザを深い位置に押し込み試合を支配する。
   しかし、前半30分を過ぎるとフォルタレーザは左サイドでボールを奪うと、素早く対角線にロングボールを送り状況の打開を図る。すると、前半33分、FWルセロがペナルティエリア入口からのシュートでゴールネットを揺らすが、一連のプレーでハンドのファールがありゴールは認められない。しかし、フォルタレーザの勢いは止まらず、前半45分、PKから遂に同点。さらにその3分後、フォルタレーザは自陣からのロングボールにFWルセロが抜け出し、決定的なシーンを迎えるが、ラストパスが流れてしまい逆転に至らない。
   後半開始と同時にパウメイラスは2選手を交代。中盤に守備的な選手を投入し、フォルタレーザの勢いを食い止め均衡状態に持ち込む。後半19分にさらに2選手を交代、この交代で再び攻撃に舵を切ると、後半31分に勝ち越しゴール。試合終了間際にも追加点を奪う。
   試合は3-1でホームのパウメイラスに軍配。パウメイラスは公式戦6試合ぶりの勝ち星、フォルタレーザは連敗を喫した。

所感 etc.

   パウメイラスは、コパ・ド・ブラジル準々決勝サンパウロ戦、ホーム&アウェイの両試合に2連敗、コパ・ド・ブラジルに敗退するなど、最近の公式戦8試合は1勝3分4敗。全国選手権は第11節以降勝ち星がなく3分2敗の成績で順位も2位から6位まで落としている。
   この試合では、敵陣深くにボールを素早く送り、相手を押し込む好調時のスタイルが機能し、早い時間帯に先制。相手に対応されると、選手交代を通して試合の主導権を取り戻し、全国選手権では6月4日第9節コリチバ戦以来の3得点をマークし6試合ぶりの勝利。久しぶりにアベウ・フェヘイラ監督の采配が光る試合となった。
   この勝利で勝ち点を28に伸ばし順位は4位に浮上。
   次戦は、7月30日に全国選手権第17節アウェイでのアメリカ・ミネイロ戦が組まれている。、

   フォルタレーザの前節クイアバ戦は、ミスにより1点を献上したものの補強選手がチームにフィット。多様な攻撃をみせ、試合内容は相手を上回っていただけに、悔しい敗戦となった。
   この試合は、前半の早い時間帯に両CBがイエローカードをもらい、ゴール前での守備強度が弱まり試合が難しくなる。しかし、押し込まれる展開をシンプルに蹴り返すことで状況を打開し、一時は試合の主導権を握ったものの、最後のパス、シュートに精度を欠き、試合をひっくり返すに至らず。
   パウメイラスとは対照的に効果的な選手交代を打つことができず1-3のスコアで敗戦。
   次戦は7月29日の全国選手権第17節、ホームにRBブラガンチーノを迎える。

バイーア(BAH) 0-0 コリンチャンス(COR)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=uq-pmKZSl3Q
(BAH) : N/A
(COR) : N/A

見どころ(試合前の順位)

   バイーアは全国選手権3勝4分8敗勝点13の16位。
   コリンチャンスは全国選手権4勝3分7敗勝点15の15位。

得点シーン

N/A

試合概要

ボール保持率: 前半:58% 42% ⇒ 前後半:56% 44%
シュート(枠内): 前半:9‐1(1-0) ⇒ 前後半:17-5(5-1)
パス成功率: 前半:84% 78% ⇒ 前後半:84% 77%
   バイーアは、最近の試合で攻撃を牽引していたFWカイキ(Kayky, 2003)が前節で膝に重傷を負い戦列を離脱、攻撃に不安を抱える。
   一方、全国選手権で僅かに12得点でワースト2位のコリンチャンスは、チーム内得点王のFWホージェル・ゲデス(Róger Guedes, 1996)を出場停止で欠く。
   ホームのバイーアが、高い位置でコリンチャンスのボールの出どころにプレスをかけ、ボールを奪ってはショートカウンターでシュートに持ち込む展開が続く。しかし、ペナルティエリア入口辺りでディフェンダーの手前から放たれるシュートは、ディフェンダーにコースを切られ、枠を捉えない。
   前半45+1分、ペナルティエリア内でコリンチャンスにハンドの判定。バイーアにPKが与えられるがVARの検証の結果、ボールはディフェンダーの背中に当たっており、ハンドの判定は取消。笛が吹かれた時点でボールはバイーアの選手が保持しており、レフェリーの明らかな判断ミスでバイーアはチャンスをふいにする。
   しかし、バイーアは前半の被シュートを1本に抑え、試合を支配して試合を折り返す。
   後半開始と同時にコリンチャンスは2選手を交代、4バックから3バックに移行し中盤を厚くする。しかし、前半同様バイーアはボールの出どころにプレスをかけ続け、コリンチャンスの選手交代は効果を発揮しない。バイーアは、サイドからのクロスや、守備ライン裏への抜け出しなど攻撃のバリエーションを増やしていくが、ゴールを割ることができない。
   後半42分、コリンチャンスが少ないチャンスを生かしセットプレーからゴールネットを揺らす。しかし、これはオフサイド。
   後半45+2分、バイーアはVOLタシアーノ(Thaciano, 1995)が右サイドからのクロスを受け、間合いを詰めるGKカシオ(Cássio, 1987)の頭を越すシュートを放つが、ゴールライン上でVOLファウスト・ベラ(Fausto Vera, 2000)がクリア。
   降格圏直前の15位、16位チームによる試合は、勝ち点を1を分け合うスコアレスドロー。痛み分けに終えた。

所感 etc.

   バイーアは、試合を支配しながらゴール前のアイディアに欠け、勝ち点2を失った内容。これで、6月21日全国選手権第11節パウメイラス戦での勝利以来一か月、7試合勝ち星から遠ざかる。
   攻撃陣のケガ人が続く中、この試合では高い位置でのプレスが機能、後半は攻撃のバリエーションも増えた。得点を奪うことはできなかったものの、攻守に明るい兆しを感じられた。この試合の内容を今後に繋げることができるだろうか。
   次戦は7月30日に全国選手権第17節アウェイでのサンパウロ戦。

   コリンチャンスは公式戦4連勝でこの試合に臨むも、ビルドアップの段階でボールを奪われる場面が相次ぎ、自陣でのプレーに終始。押し込まれる展開が続き以前のようにFW陣が孤立。攻撃の糸口が掴めないまま試合を終える。
   次戦は週中にコパ・ド・ブラジル準決勝サンパウロ戦1stレグ。最近の4連勝は控え選手を中心としたカップ戦での結果。主力選手を中心とした全国選手権では結果が伴っていない。次戦のコパ・ド・ブラジルはどのような布陣で臨むのだろうか。
   全国選手権第17節は7月29日にホームにヴァスコ・ダ・ガマを迎える。

クイアバ(CUI) 2-1 サンパウロ(SAO)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=MLo5zDcCUNs
(CUI) : 66' #29 クレイソン(Clayson, 1995)[PK]
(CUI) : 78' #9 イシドロ・ピタ(Isidro Pitta, 1999)[#88 フェルナンド・ソブラウ(Fernando Sobral, 1994)]
(SAO) : 90+9' #45 ナタン(Nathan, 2002)[#49 エリソン(Erison, 1999)]

見どころ(試合前の順位)

   クイアバは全国選手権5勝4分6敗勝点19の13位。
   サンパウロは全国選手権7勝4分4敗勝点25の4位。

得点シーン

(CUI)後半21分 :
VOLハニエリ(Raniele, 1996)のペナルティエリア手前からのシュートをGKハファエウ(Rafael, 1989)が辛うじて弾き返す。このこぼれ球にFWジョナタン・カフー(Jonathan Cafú, 1991)が詰めるが、後方から足を引っ掛けられ転倒。このプレーに対しクイアバにPKが与えFWクレイソンが落ち着いて決める。クイアバが均衡を破る。
   FWクレイソンは、2023年6月30日にV・ファーレン長崎/JPNから移籍加入が発表され、2021年以来1年半ぶりにクイアバへの復帰を果たす。この試合が復帰後3試合目、このゴールが復帰後初ゴールとなった。
(CUI)後半33分 :
相手陣深く左スローインをFWイシドロ・ピタが受け、VOLフェルナンド・ソブラウにボールを預ける。FWイシドロ・ピタはペナルティエリアに走り込み、VOLフェルナンド・ソブラウから戻りのボールを受けると、角度のない位置からシュート。これがサイドネットに突き刺さる。
   FWイシドロ・ピタは、セロ・ポルテーニョ/PAR下部組織出身。パラグアイ国内だけでなく、ポルトガル、スペインの下位リーグでのプレー経験がある。2022年のジュヴェントゥージでの活躍を受け、2022年12月にクイアバが獲得。2023年は、州選手権11試合で6得点6アシストを記録するが、全国選手権はFWデイヴェルソン(Deyverson, 1991)の控えに回り、この得点が14試合目の出場(うち2試合先発)にして初ゴール。FWデイヴェルソンとはセンターフォワードとしてプレースタイルが異なっており、共存も面白い選択だと個人的には感じている。
(SAO)後半45+9分 :
左SBカイオ・パウリスタ(Caio Paulista, 1998)がハーフウェイラインからジグザグにドリブルでゴールライン際までボールを持ち上がりゴールエリアに位置取るFWエリソンへ戻す。FWエリソンはこのボールをダイレクトに中央へ送ると右SBナタンが右足を合わせゴール。
   SBナタンはサンパウロ下部組織出身で2021年6月1日のコパ・ド・ブラジルで18歳のプロデビュー。2022年4月に期限付き移籍でコリチバに加入するも出場機会に恵まれない。2023年2月、右SBにケガ人が相次いだサンパウロは期限到来前のナタンの復帰をコリチバと交渉し実現。SBハフィーニャ(Rafinha, 1985)の控えとして今季は15試合(全国選手権は4試合)に出場。このゴールがプロ初ゴールとなった。
   FWエリソンは2022年にボタフォゴでブレーク。34試合15得点3アシストの記録を残し、2022年8月にエストリル・プライア/PORへ期限付き移籍。エストリル・プライアでもコンスタントに試合に出場し15試合4得点を記録するが、2023年2月1日にサンパウロが期限付き移籍で獲得。サンパウロではケガに悩まされるが、7試合2得点1アシストを記録。

試合概要

ボール保持率: 前半:30% 70% ⇒ 前後半:30% 70%
シュート(枠内): 前半:5‐4(3-1) ⇒ 前後半:12-9(6-3)
パス成功率: 前半:75% 89% ⇒ 前後半:76% 89%
   アウェイのサンパウロがボールを支配。ホームのクイアバは自陣に守備ブロックを構築、中盤のマークを厳しくしカウンターを狙う。
   サンパウロはボールを支配しながらも、クイアバ守備ブロックを崩すことができず、ブロックの外でのパス回しに終始。クイアバはサンパウロのリスクの少ないパス回しにいい形でボールを奪うことができず、なかなかカウンターを発動することができない。
   クイアバはボールを持つと右サイド深くにボールを送り、全体がコンパクトに上がり、人数をかけた攻撃を見せる。一方のサンパウロも、自陣でボールを奪い返すと、素早くボールを前線に送り、カウンターに対しカウンターでチャンスを掴む。相手のカウンターを警戒する両チームは遠目からシュートを放つことが多く、得点の匂いは少ないまま前半を終える。
   後半に入り、サンパウロはリスクを負ってクイアバ守備網を崩しにかかる。しかし、クイアバの守備網は固く、中盤の厳しいマークからボールを奪っては、カウンターを次々と繰り出す。後半11分、サンパウロはクイアバの鋭いカウンターにPKを献上。ところが、このPKはポストを直撃、サンパウロは難を逃れる。しかし、後半21分、サンパウロは再びPKを献上。クイアバはキッカーを変更しこれを決める。勢いに乗るクイアバは後半33分にスローインからの速い攻撃で追加点。その後も、固い守備からの素早い攻撃でサンパウロゴールを脅かす。
   一方のサンパウロも試合終了間際に1点を返すが反撃はここまで。
   クイアバが2-1の勝利を収めた。

所感 etc.

   クイアバは、戦力に勝るサンパウロに対し、ボールを支配されながらも効率的な攻撃をみせ快勝。組織的な守備は綻びを見せず、FWデイヴェルソンに頼りがちだった攻撃陣も、新加入のFWクレイソンが加入後初ゴール、FWイシドロ・ピタも少ない出場時間で複数の好機を演出し、1得点を記録する活躍。
   クイアバは、最近の4試合に負けがなく3勝1分。勝ち点を22に伸ばし、暫定ながらコパ・スウアメリカーナ出場圏の11位に浮上。
   次戦は7月29日に全国選手権第17節アウェイでのインテルナシオナウ戦。連勝を飾り、上位争いに加わりたい。

   サンパウロは、週中のコパ・ド・ブラジル準決勝1stレグを見据え、いくつかのポジションに控えや若手選手を起用し試合に臨む。しかし、連係が合わず、個人技で打開を図る場面が多く見られ組織的な攻撃が見られない。
   後半に入りリードを奪われると、選手交代で中盤の選手を入れ替えるが、試合の流れを引き寄せることができず敗戦。
   ドリヴァウ・ジュニオール(Dorival Junior)監督は、多くの選手に出場機会を与え、実戦で自信をつけさせ、選手のモチベーションを高いレベルで維持、そして、チーム戦術を浸透させる監督。試合には敗れたものの、試合終了間際に出場機会の少ない選手によるアシストとゴールで得点をマークしたことは前向きに評価したい。
  次戦は週中にコパ・ド・ブラジル準決勝1stレグ、コリンチャンスとのクラシコ。全国選手権第17節はホームにバイーアを迎える。 

グレミオ(GRE) 1-0 アトレチコ・ミネイロ(CAM)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=p5M4WqU91Hw
(GRE) : 11' #35 ホナウジ(Ronald, 2003)[#19 クリスタウド(Cristaldo, 1996)]

見どころ(試合前の順位)

   グレミオは全国選手権8勝2分4敗勝点26の3位。
   アトレチコ・ミネイロは全国選手権5勝6分4敗勝点21の12位。

得点シーン

(GRE)前半11分 :
右サイドからのMFクリスタウドのCK。VOLホナウジがゴール前でディフェンダーとのポジション争いから巧みにディフェンダーと体勢を入れ替え前に出ると、ディフェンダーを背中にしたまま体をかがめヘディングシュート。
   VOLホナウジは、グレミオ下部組織出身でこの試合がプロデビュー戦。2023年U-20南米ユース選手権代表として9試合215分の出場、CKから打点の高いヘディングシュートで2得点を記録。U-20W杯も3試合90分の出場。

試合概要

   グレミオは、3センターバックを先発に起用。CBカネマン(Kannemann, 1991)がアトレチコ・ミネイロの攻撃の核FWフッキ(Hulk, 1986)にマンツーマンに近い形でマークにつく。
   週中にコパ・ド・ブラジル準決勝を見据え、足に筋肉系の不調を訴えたVOLビジャサンチ(Villasanti, 1997)が大事をとり、満身創痍で去就が問題となっているFWルイス・スアレス(Luis Suárez, 1987)がベンチ外、代わりにプロ初出場となるVOLホナウジ、途中出場で経験を重ねてきているFWアンドレ(André, 2001)を先発に抜擢する。
   アトレチコ・ミネイロは、6月6日のリベルタドーレス以来勝ち星に見放され、フェリピ・ルイス・スコラーリ(Luiz Felipe Scolari)監督就任後は未勝利。この試合ではフッキ、パウリーニョ(Paulinho, 2000)、パボン(Pavón, 1996)の強力な3トップで試合に臨む。
   試合は中盤を厚くするグレミオがボールを支配。アトレチコ陣内でプレーを続けると、前半11分に早くも先制。
   リードしたグレミオは、中盤を厚くしたままアトレチコにボールを持たせ、カウンターを狙う。また、アトレチコの攻撃の核となるFWフッキにはCBカネマンが執拗なマークで自由にプレーをさせない。
   アトレチコは、ボールを持つものの効果的な攻撃を繰り出せず、セットプレーに活路を見出すこともできない。前半終了間際にVOLバタグリア(Battaglia, 1991)がFWパボンとのタベーラからシュート、続くCKからの流れでFWパボンが鋭く落ちるミドルシュートを放つが、いずれもグレミオGKグランド(Grando, 2000)がビッグセーブを見せアトレチコに得点を許さない。
   後半も前半と同様の展開を見せるが、アトレチコはVOLバタグリアが頻繁に前線に顔を出し、FWパボンが2列目に下がり攻撃を組み立てる。一進一退の攻防が続く中、後半37分、FWアリソン(Alisson, 2005)の右サイド浅い位置からのクロスにFWアラン・カルデッキ(Alan Kardec, 1989)が頭を合わせゴールネットを揺らすが、3分以上にも及ぶVARの検証の結果、オフサイドの判定。
   試合は虎の子の一点を最後までグレミオが守り抜き試合を終えた。
ボール保持率: 前半:36% 64% ⇒ 前後半:37% 63%
シュート(枠内): 前半:3‐9(1-3) ⇒ 前後半:6-15(2-4)
パス成功率: 前半:74% 86% ⇒ 前後半:74% 85%

所感 etc.

   VOLビジャサンチの代役を務めたVOLホナウジは、セグンドボランチを主とするビジャサンチと異なり、プリメイロボランチを主とする守備的な選手。相手カウンターを防ぐパスカットや、中盤でのボール奪取、時には最終ラインに加わりアトレチコの強力FWと対峙。一方で、攻撃面ではこの試合唯一となるゴールをマーク。後半に入ると、流れの中でも積極的に攻撃に参加。交代時にはホームサポーターから大きな歓声を受けた。
   また、FWルイス・スアレスの代役を務めたアンドレも高さとスピードのあるセンターフォーワード。カウンターではスピードを生かして敵陣深くにボールを運び、複数の好機を作り出す働き。
   2選手とも、欠場した主力選手とは異なるタイプながら自分の特長をしっかりとアピールし、チームの勝利に貢献。
   相手によって布陣を変えつつも、基本的には中盤を厚くし、ワンタッチのリズムのいいパス交換で相手ゴールに迫るチームスタイルに新たなオプションとして監督からの信頼を得られたはず。今後も注目していきたい。
   グレミオの次戦は、週中にコパ・ド・ブラジル準決勝1stレグのフラメンゴ戦。全国選手権第17節は7月30日にアウェイでゴイアス戦が控えている。

   アトレチコ・ミネイロは3試合連続無得点。いずれもボールを支配しながらも相手守備網を崩すことができずに試合を終えている。
   FWパウリーニョが監督交代以降、得点に絡んでおらず、アトレチコ・ミネイロ加入以来最大の6試合連続で無得点ゼロアシスト。チームとして以前のような左右にボールを散らす展開が少なく、チャンスに絡む機会もほとんどなく、この試合でも消える時間が多かった。また、FWフッキとの距離間も好調時よりも離れすぎているように感じられる。
   この敗戦で、順位もコパ・スウアメリカーナ出場圏外の13位まで下落。
   次戦は全国選手権第17節ホームでのフラメンゴ戦。最近は守備的なチームとの対戦が続き、守備網を崩せず勝ち星から遠ざかっているが、フラメンゴは比較的攻撃に重点を置いたチーム。撃ち合いに持ち込まれた試合を期待したい。

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