【ブラジル全国選手権2023】第16節(2/2)

投稿者: | 2023年7月21日

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全国選手権第16節 対戦組合せ


以下の5試合の概要はこの記事で。以下の5試合の概要はこちらで。→
・2023/07/22 フラメンゴ(FLA) x アメリカ・ミネイロ(AME)
・2023/07/22 パウメイラス(PAL) x フォルタレーザ(FOR)
・2023/07/22 バイーア(BAH) x コリンチャンス(COR)
・2023/07/22 クイアバ(CUI) x サンパウロ(SAO)
・2023/07/22 グレミオ(GRE) x アトレチコ・ミネイロ(CAM)
以下の5試合の概要はこの記事で。以下の5試合の概要はこちらで。→
・2023/07/23 サントス(SAN) x ボタフォゴ(BOT)
2023/07/23 RBブラガンチーノ(RBB) x インテルナシオナウ(INT)
2023/07/23 クルゼイロ(CRU) x ゴイアス(GOI)
2023/07/23 ヴァスコ・ダ・ガマ(VAS) x アトレチコ・パラナエンセ(CAP)
2023/07/24 コリチバ(CFC) x フルミネンセ(FLU)

全国選手権第16節 試合概要

サントス(SAN) 2-2 ボタフォゴ(BOT)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=hOTWykI0364
(SAN) : 24' #9 マルコス・レオナルド(Marcos Leonardo, 2003)[#13 ジアン・ルーカス(Jean Lucas, 1998)]
(SAN) : 81' #9 マルコス・レオナルド(Marcos Leonardo, 2003)[#23 ルーカス・リマ(Lucas Lima, 1990)]
(BOT) : 84' #9 チキーニョ・ソアレス(Tiquinho Soares, 1991)[#39 ジャンデルソン(Janderson, )]
(BOT) : 87' #34 アドリエウソン(Adryelson, 1998)[#21 マルサウ(Marçal, 1989)]

見どころ(試合前の順位)

   サントスは全国選手権4勝4分7敗勝点16の14位。
   ボタフォゴは全国選手権13勝0分2敗勝点39の首位。

得点シーン

(SAN)前半24分 :
自陣中央でGKジョアン・パウロ(João Paulo, 1995)からのボールを受けたMFジアン・ルーカスが裏への抜け出しを図るFWマルコス・レオナルドへスルーパス。オフサイドぎりぎりで抜け出したFWマルコス・レオナルドはゴールライン手前までボールを運び、ディフェンダーのスライディングを冷静にかわし、GKのニアサイドへシュート。
   MFジアン・ルーカスは、この7月の移籍ウィンドウでモナコ/FRAからサントスに移籍し、チーム初出場でアシストをマーク。サントスでは2019年に20試合に出場し2度目の在籍となる。
(SAN)後半36分 :
サントスは自陣で前に出るボール奪取から右サイドを経由しボールを前線に運ぶ。FWマルコス・レオナルドがポストとなり右サイドのMFルーカス・リマにボールを送るとMFルーカス・リマはペナルティエリア左に侵入し中央へグラウンダーのクロス。FWマルコス・レオナルドが走り込みクロスボールに右足を合わせサントスが追加点。
   FWマルコス・レオナルドはサントス下部組織出身で2020年8月20日全国選手権第4節エスポルチ戦で17歳にしてプロデビュー。この試合の終了時点で、サントスでは通算148試合47得点、今季29試合14得点4アシスト。世代別代表でも活躍。2023年U-20南米ユース選手権はチーム事情のため辞退したものの、U-20W杯は出場が認められ、5試合5得点1アシストを記録。
(BOT)後半39分 :
左SBマルサウがサイドライン際を抜け出し、ゴール前にクロス。そこに走り込んだFWジャンデルソンが踵でボールを後方に流すと、空いたスペースに走り込んだFWチキーニョ・ソアレスがシュート。サントスの一瞬の隙をつき、電光石火の攻撃でボタフォゴが1点を返す。
   FWジャンデルソンは、地域リーグでの数クラブを皮切りに全国選手権4部のバイーア・デ・フェイラでプレー。U-23チームでの対戦で関心を買い2022年8月に半年契約でボタフォゴに入団。2023年4月に2025年末まで契約を更新すると4月20日のコパ・スウアメリカーナでクラブデビューを果たす。その後はあまり出場機会に恵まれないものの、自身7試合目の出場となる7月21日のコパ・スウアメリカーナプレーオフで先発に抜擢されると、1得点1アシストの活躍。以降の3試合にも出場機会を得ると2アシスト。189㎝の長身と周りを生かすことのできるプレースタイルで、存在感を発揮しつつある。
(BOT)後半42分 :
勢いに乗るボタフォゴは攻撃の圧力を強めCKを獲得。左からのSBマルサウのCKにCBアドリエウソンの打点の高いヘディングシュートを放つと、GKヴラウジミール(Vladimir, 1989)の手を掠めたボールはゴールネットを揺らす。ボタフォゴが0-2の劣勢から僅か3分で同点に追いつく。
   CBアドリエウソンは2015年に17歳でエスポルチからデビュー。2019年にレギュラーの座を獲得すると同年トゥーロン国際大会U-23代表に選出。約10か月間のアル・ワスル/UAEへの期限付き移籍を経て、2022年7月にエスポルチからの期限付き移籍でボタフォゴ入り。試合を読む能力が高く、スピードもあり、182㎝の身長ながら体幹が強く空中戦を得意とする。過去には課題と言われていたビルドアップも現在はボタフォゴで担っており、チームの好調を牽引するとともに、自身の代表入りも目指す。

試合概要

ボール保持率: 前半:44% 56% ⇒ 前後半:43% 57%
シュート(枠内): 前半:3‐5 (1-0) ⇒ 前後半:5-13(2-5)
パス成功率: 前半:74% 82% ⇒ 前後半:74% 83%
   立ち上がりこそホームのサントスがラインを高く保ち高い位置でチェックに行く。しかし、ボタフォゴは流動的に選手が動きパスを繋ぐと、サントス守備ラインはずるずると下がり、ボタフォゴのシュートで一連のプレーが終わる。サントスボールでのリスタートはボタフォゴがボールの出どころにプレスをかけ、サントスはボールを繋げない。そのままボールを失うか、前線に蹴りだされたボールをボタフォゴが確保。サントス陣半面でのプレーが長く続く。
   ところが、先制点は劣勢のサントス。GKから縦に素早くボールを繋ぎFWマルコス・レオナルドがゴール。
   サントスの先制後も、試合の展開は大きく変わらない。しかし、サントス守備陣はゴール前での執拗なマークでボタフォゴに決定的なシーンを許さない。サントスの得点シーン以外は盛り上がりに欠ける展開で前半を終える。
   後半も前半同様の様相で始まるが、後半15分を過ぎる頃にサントスが再び高い位置でのチェックを開始。ボタフォゴは効果的にサントスのチェックをかわすことができずボールを前に運べない。試合は中盤でのボールの奪い合いに移行する。
   後半36分に、サントスは自陣でのボール奪取から追加点。これで勝負ありかと思われたが、直後にキックオフからの流れでボタフォゴがゴールを奪うと、後半42分にはCKから同点。GKの負傷退場もあり11分ものアディショナルタイムに突入するが、中盤での多くのファールのために無駄に時間が経過する。試合はこのまま2-2で終了。ボタフォゴが首位の意地をみせ、サントスは勝ち点2を失う結果に終えた。

所感 etc.

   サントスは、当移籍ウィンドウで獲得したMFジアン・ルーカス、左SBドドー(Dodô, 1992)を先発に起用。中盤に足元のあるMFジアン・ルーカスとMFルーカス・リマを並べるが、両者とも守備に奔走する時間が長く、なかなか相手ゴールに近い位置でプレーすることができない。
   しかし、サントスの2得点はこの2人がFWマルコス・レオナルドに良質のボールを供給し生まれた得点。この得点シーンが今後の得点力アップ、上位浮上に向けたヒントとなるだろう。
   一方、守⇒攻の移行については、従来同様、チーム全体が自陣深くまで押し込まれ、FWが孤立する展開が続く。後半半ばにはハーフウェイライン付近に並んだ3選手がボールの出どころにチェック、2列目も連動する中でボールを奪取することで、そこからの素早い攻撃への移行が可能となった。最終ラインのスピードに難があるため、後方にスペースを作るリスクを犯したくない気持ちもわかるが、攻撃陣にタレントが揃っているだけにリスクをとった後半半ばの体系を継続してもらいたい。
   残念ながら、2点目を奪った直後に、いずれの守備体系を敷くのかチームとして統一できなかったのか、僅かな時間で2点差を追いつかれ金星を逃した。ピッチの上だけでなくベンチの采配にも課題が露呈したが、この失敗を糧にチームが一丸となって少しでも上の順位を目指してもらいたい。

   ボタフォゴは、中盤やSBがスプリントで前線の選手を追い抜きゴールライン際までボールを運びチャンスを生み出すプレーや、一方のサイドに相手守備陣を引き寄せ逆サイドにボールを展開しゴールを陥れるようないつものプレーが見られず、ボールを保持しながらもペナルティエリア入口付近から強引なシュートをはなつなど得点の匂いがしない時間が続く。
   後半に入り、上記のいつものプレーは少しずつ見られるようになったものの、試合はカウンターから2失点。このビハインドは後半40分に差し掛かる時間帯から地力を発揮して追いつき、なんとか勝ち点1を積み上げた。
   2018/19年にベンフィカ/PORでリーグ優勝、ウルヴァーハンプトン/ENGでの監督経歴も持つブルーノ・ラージェ(Bruno Lage)新監督は、この試合がコパ・スウアメリカーナに続く2試合目の采配。今までのチームは、ルイス・カストロ(Luis Castro)前監督が2022年4月の就任以来、少ない予算の中で自分のスタイルに合った選手を的確に補強し、1年の歳月をかけて作り上げたチームだったので、比較するのは心苦しいが、この2試合はダイナミックさが少し影を潜め、これまでの蓄積で辛うじて引き分けに持ち込んだ内容で少し期待を下回っている。
   次戦は7月30日の全国選手権第17節ホームでのコリチバ戦。コリチバも下位に低迷しており、今節同様、守備的な布陣を敷いてくることが想定される。引いた相手への対応がどのように改善されるか、楽しみに見たい。

RBブラガンチーノ(RBB) 0-0 インテルナシオナウ(INT)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=M_DVQtTK3HE
(RBB) : N/A
(INT) : N/A

見どころ(試合前の順位)

   RBブラガンチーノは全国選手権6勝6分3敗勝点24の7位。
   インテルナシオナウは全国選手権6勝4分5敗勝点22の11位。

得点シーン

N/A

試合概要

   RBブラガンチーノは4連勝の後引き分けを挟んで挑んだ首位ボタフォゴとの前節は、好内容の試合を展開しながらも少ないチャンスをものにされ敗戦。心機一転、今節に臨む。
   インテルナシオナウは、前節終了後にマノ・メネゼス(Mano Menezes)監督を解任、後任エドゥアルド・クーデ(Eduardo Coudet)監督の初采配となる。7月13日に加入が発表されたウルグアイ代表GKセルヒオ・ロチェ(Sergio Rochet, 1993)を先発に起用、7か国の選手が名前を連ねる国際色豊かなスターティングイレブン。
   試合は、開始55秒にRBブラガンチーノFWソヒーゾ(Sorriso, 2001)がペナルティエリア入口で相手ディフェンダーのトラップミスをそのままシュート。クラブデビューのインテルナシオナウGKセルヒオ・ロチェは早くも仕事をこなす。
   その後、両チームとも高い位置でのマークを厳しくし中盤での攻防が激しくなる。前半16分、インテルナシオナウはMFアラン・パトリッキ(Alan Patrick, 1991)がゴールネットを揺らすがオフサイド。その後、次第にインテルの中盤のマークは勢いが衰え、RBブラガンチーノがボールを保持しインテルゴールに迫る場面が増える。しかし、シュートは枠を捉えず、0-0のまま前半が終了。
   後半も引き続きRBブラガンチーノが相手陣でボールを回す展開が続く。しかし、インテルもサイドで相手ライン裏を狙うFWエネル・バレンシア(Enner Valencia, 1989)にボールを送りチャンスをうかがう。互いにシュートで終わるプレーが続く中、後半20分、インテルFWエネル・バレンシアが左サイドを抜け出しシュート。しかし、GKクレイトン(Cleiton, 1997)が片手で辛うじて弾き出す。RBブラガンチーノも後半36分にFKからのこぼれ球にCBレオ・オルチス(Léo Ortiz, 1996)がシュートを放つがこれはクロスバーを直撃。
   互いに最後まで相手ゴールを陥れることができず、試合は0-0のままタイムアップ。
ボール保持率: 前半:55% 45% ⇒ 前後半:53% 47%
シュート(枠内): 前半:8‐7 (1-2) ⇒ 前後半:16-10(4-4)
パス成功率: 前半:78% 79% ⇒ 前後半:75% 78%

所感 etc.

   RBブラガンチーノは、いつものように相手陣で人もボールも良く動く自分たちのサッカーを展開。大きく広がる自陣のスペースを突かれたカウンターにも素早い帰陣でしっかりと対応し無失点に終える。
   一方で、中央でのパス回し、サイド攻撃、セットプレーからチャンスは作り出すものの、最後の精度に欠き3試合連続無得点。チャンスは作り出せているので、決めるべきチャンスはしっかりと決めきって悪い流れを払拭したい。
   チチ(Tite)前代表監督に何度も代表に招集されたCBレオ・オルチスが膝の大ケガを乗り越え9か月ぶりに実戦に復帰。守備面でのタスクを遂行し、攻撃面ではクロスバーに嫌われるシュートを放つなど約15分間のプレー時間で存在感を発揮。シーズン初めからケガ人が続出するCB陣の軸となる選手が帰ってきた。
   次戦は7月29日に全国選手権第17節アウェイでのフォルタレーザ戦。

   インテルナシオナウは、エドゥアルド・クーデ新監督の初采配で手探りの状態。
   スピードのあるFWエネル・バレンシア、FWヴァンデルソンがツートップを組み、サイドからボールを前に運びそのままシュート、または、相手守備ラインが下がってできたスペースを埋めるように上がる中央、逆サイドの選手にボールを送りゴールを狙う。中に高さがなく相手ゴール前での空中戦は少ない。
   相手陣でボールを保持する局面では中央でのダイレクトのパス回しでチャンスを迎える場面も。ボールキープ、カウンター、いずれの展開でも、今後連係が深まれば、左右の揺さぶりから相手守備網を崩す場面も見られるようになるだろう。
   この試合も得点が奪えず4試合連続無得点となったが、次戦での連係の進化に注目したい。
   その次戦は7月29日に全国選手権第17節ホームでのクイアバ戦。

クルゼイロ(CRU) 0-1 ゴイアス(GOI)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=kTrbM2YT1Ek
(GOI) : 28' #45 ジョアン・マギノ(João Magno, 1997)[#6 サンデル(Sander, 1990)]
(CRU) : N/A

見どころ(試合前の順位)

   クルゼイロは全国選手権6勝4分5敗勝点22の10位。
   ゴイアスは全国選手権3勝3分9敗勝点12の17位。

得点シーン

(GOI)前半28分 :
右サイドライン際を起点に3本のパスで中央へボールを送り、そこから一気に左サイドライン際へ。ボールを受けた左SBサンデルがゴール前にボールを供給するとFWジョアン・マギノがディフェンダーを抑えてヘディングシュート。これがゴールネットを揺らす。
   FWジョアン・マギノは身長195㎝の長身FW。7月6日にデュドランジュ/LUXから移籍金ゼロでゴイアスに加入。7月9日の全国選手権第14節サントス戦での加入後初ゴールに続き、この試合もヘディングでのゴール。ブラジル、ポルトガルでは上位リーグでのプレー経歴はなく、下位リーグでの実績も僅か。ルクセンブルクリーグでの32試合16得点の成績で自信をつけ、ゴイアスに加入すると3試合2得点。これだからブラジルサッカーは面白い。

試合概要、所感 etc.

ボール保持率: 前半:59% 41% ⇒ 前後半:60% 40%
シュート(枠内): 前半:7‐5 (0-2) ⇒ 前後半:14-6(1-2)
パス成功率: 前半:82% 79% ⇒ 前後半:83% 76%
   クルゼイロは、降格圏に低迷するチームとの三連戦の最後の試合だったがあえなく敗戦、この三連戦で勝ち点を4しか獲得できず、上位争いから一歩後退。また、この三連戦での得点は僅かに1。最近の6試合で2得点と得点力に課題を残す。
   試合ではボールを支配する時間は長く、人数をかけた攻撃も繰り返している。しかし、得点を奪うことができない。この傾向は約2か月続き、前線に若手を抜擢するも結果を伴わない。好調時の中盤選手がケガなどで戦列を離脱すると、選手間の距離が少しずつ遠くなり、中盤でのボールロストから失点する場面も散見される。移籍ウィンドウに入ったものの補強は進まず、ペパ(Pepa)監督の苦悩は続く。
   次戦は7月29日に全国選手権第17節アウェイでのアトレチコ・パラナエンセ戦。

   ゴイアスは、守備的な戦術でクルゼイロの攻撃を凌ぐと、僅かな隙をつき、カウンターでクルゼイロゴールに迫る。前半28分に先制を奪うが、その直前にもカウンターでチャンスを作り出す。
   自陣からボールを運ぶFWヴィニシウス(Vinícius, 1991)が左サイドにボールを送ると自身は相手ライン裏を目掛けスプリント。右サイドからFWアンデルソン・オリヴェイラ(Anderson Oliveira, 1998)がゴール前に駆け上がり、その一列後ろをMFギリェルミ・マルケス(Guilherme Marques, 1991)が追い、左サイドでボールを受けたFWジョアン・マギノに三つの選択肢が用意される。残念ながらこのプレーではシュートは枠を越えたが、可能性を感じさせるカウンターを披露した。
   先制後も、中盤の厳しいマークを継続し、クルゼイロに決定的なシーンを許さず逃げ切り。前々節での4失点を見事に修正し、(調子を落とし歯車が噛み合っていないが)攻撃的な今節クルゼイロ、前節アトレチコ・ミネイロを0点に抑え、第6節以来に降格圏を脱出。的確な補強による新加入選手も期待通りの活躍を見せており、コパ・スウアメリカーナも含め、全国選手権でも台風の目として躍進を期待したい。
   次戦は7月30日に全国選手権第17節ホームにグレミオを迎える。

ヴァスコ・ダ・ガマ(VAS) 0-2 アトレチコ・パラナエンセ(CAP)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=51SHWOapQ_w
(VAS) : N/A
(CAP) : 71' #88 クリスチャン(Christian, 2000)[#9 ヴィトル・ホッキ(Vitor Roque, 2005)]
(CAP) : 80' #8 ヴィトル・ブエノ(Vitor Bueno, 1994)[PK]

見どころ(試合前の順位)

   ヴァスコ・ダ・ガマは全国選手権2勝3分9敗勝点9の19位。
   アトレチコ・パラナエンセは全国選手権7勝2分6敗勝点23の8位。

得点シーン

(CAP)後半26分 :
敵陣で後方からのボールをVOLフェルナンジーニョ(Fernandinho, 1985)がワンタッチでペナルティエリア左入口手前のFWヴィトル・ホッキへパス。FWヴィトル・ホッキはボールを受けそのまま直進し中央にボールを供給。後方から駆け上がったVOLクリスチャンがシュートを放つとボールはゴール右上に突き刺さりアトレチコ・パラナエンセが先制。
   FWヴィトル・ホッキは6月以降の11試合で7得点3アシスト。記録には残らないが、チームの2点目もFWヴィトル・ホッキが獲得したPKから。PKは自らが蹴りたそうにしたがベンチの指示でMFヴィトル・ブエノに譲る。隠すことなく不満な表情を見せるも、その勝気な性格とゴールへのどん欲さが彼の原動力。バルセロナ/ESPはいい補強をしたと改めて感じさせられた。
(CAP)後半35分 :
自陣からVOLフェルナンジーニョがペナルティエリア左入口手前のFWヴィトル・ホッキへパス。FWヴィトル・ホッキはペナルティエリアに侵入しペダラーダでディフェンダーをかわそうとしたところ足を引っ掛けられ転倒。アトレチコ・パラナエンセにPKが与えられる。これをMFヴィトル・ブエノが冷静に決めアトレチコ・パラナエンセが追加点。
   MFヴィトル・ブエノがチームの公式なPKのキッカー。2014年に19歳で全国選手権圏外のボタフォゴ-SPからデビュー。2015年にサンパウロ州選手権での活躍をうけサントスに加入。翌2016年にはサントスで48試合13得点3アシストの記録を残す。その後ジナモ・キエフ/UKR、サンパウロを経て2022年にアトレチコ・パラナエンセに加入。今季はこれで37試合8得点7アシスト(全国選手権12試合2得点3アシスト)。高さがありながら足元もあり、視野の広い攻撃的MF。

試合概要

   ヴァスコ・ダ・ガマは、7月17日にラモン・ディアス(Ramón Díaz)氏の監督就任を発表。ラモン・ディアス新監督は、就任会見で選手の入れ替えを喫緊の課題として取り上げ、7月の移籍ウィンドウで加入済のVOLメデル(Medel, 1987)、CBマイコン(Maicon, 1988)に加え、MFランツィーニ(Lanzini, 1993)の獲得を示唆。一方で、年初にゴイアスから獲得した2022年全国選手権得点ランキング2位FWペドロ・ハウーウ(Pedro Raul, 1996)をトルーカ/MEXへ放出。州選手権で著しい成長を見せたVOLホドリゴ(Rodrigo, 2002)の全国選手権2部ロンドリーナへの期限付き移籍を実施。
   ※
   ラモン・ディアス: 現役選手時代は、ボカ・ジュニオルスのディエゴ・マラドーナの好敵手としてリーベルプレートで、人気、実力を二分。1993年Jリーグ開幕時には横浜マリノスでプレー。監督としてもリーベルプレートでのコパ・リベルタドーレス制覇やパラグアイ代表監督などの実績を残す。
   メデル: チリ代表として、2007年4月の代表デビューから直近の2023年6月の親善試合まで、2015年、2016年コパ・アメリカ連覇、2010年、2014年W杯など154試合7得点を記録。セビージャ/ESP、インテルミラン/ITA、ボローニャ/ITAなどでプレー。
   マイコン: FCポルト/POR、ガラタサライ/TUR、アルナスル/KSAで、各国内リーグを制覇。FCポルトではヨーロッパリーグを制覇。直近はサントスに所属。
   ランツィーニ: 2017年から2019年にかけ、アルゼンチン代表として5試合1得点を記録。リーベルプレート下部組織で2011年18歳でプロデビュー。2015/16シーズンからプレーするウェストハム/ENGとの契約は2023年7月に満了する。
   初采配となるラモン・ディアス監督は、CBに今季13試合目のミランダ(Miranda, 2000)、州選手権でデビューを果たし全国選手権は初出場となるゼ・ヴィトル(Zé Vitor, 2002)を抜擢。メデルと今季8試合目のゼ・ガブリエウ(Zé Gabriel, 1999)のツーボランチ、フィゲイレード(Figueiredo, 2001)をスリーバックの真ん中に置き、スタメンを大きく入れ替える。
   無観客で行われる試合は、ラモン・ディアス監督の「ラーピド!(Rápido, 速く)」「アリーバ!(Arriba, 上がれ)」という指示が響き渡る中、ヴァスコは相手陣の高い位置からボールに対しプレス、相手のパスミスを誘いボールを奪うや両サイドにボールを送り攻撃に転じる。ヴァスコは前半のうちに何度かシュートに持ち込むが枠を捉えない。
   一方のアトレチコ・パラナエンセは、ヴァスコの速い出足に苦戦するも、VOLフェルナンジーニョ(Fernandinho, 1985)、MFアルトゥーロ・ビダル(Arturo Vidal, 1987)がチームを落ち着かせながら、巧みにプレスをかわし前線にボールを繋ぐ。
   両チームとも最後の局面にアイディアがなく前半は0-0で終える。
   後半18分、ヴァスコは最終ラインのCBゼ・ヴィトルから相手陣左サイドライン際のFWガブリエウ・ペッキ(Gabriel Pec, 2001)へロングフィード。FWガブリエウ・ペッキはボールを受けるとゴール前にクロス。FWフィゲイレードがディフェンダーの背後にまわりライン裏に抜け出しフリーの状態で頭を合わせるがボールは枠を越える。この時間帯はヴァスコが左右のサイドからヴァスコがチャンスを作り出しシュートに持ち込む。
   しかし、後半26分、アトレチコ・パラナエンセが最終ラインのパスカットから素早く前にボールを運び先制。
   後半28分、ヴァスコは右サイドからのクロスボールにCBの間に走り込んだFWフィゲイレードがドンピシャのタイミングで頭を合わせるが、僅かにボールはゴール右に外れる。
   後半30分、アトレチコ・パラナエンセはFWヴィトル・ホッキがペナルティエリアで倒されPKを獲得。これをMFヴィトル・ブエノが決めリードを2点に広げる。
   残り時間は2点のリードを許したヴァスコは猛攻を仕掛けるが、アトレチコGKベント(Bento, 1999)の好守もあり、ゴールを奪えないままタイムアップ。アトレチコ・パラナエンセがアウェイで勝ち点3を獲得した。
   

所感 etc.

   ヴァスコ・ダ・ガマは、積極的なサッカーにチャレンジするが、ミスが多く、ゴール前の精度を欠き、無得点で試合を終える。ラモン・ディアス監督はこれまで控えに回っていた選手を多く起用するが、起用に応えることができた選手はわずか。しかし、選手間の競争を促すことで、全体的なレベルの底上げし、後半戦での巻き返しを期待したい。
   次戦は7月29日に全国選手権第17節アウェイでのコリンチャンス戦。相手は週中にコパ・ド・ブラジルを戦っており、ヴァスコは日程的な優位を持つ。降格圏に近いコリンチャンスを引きずり落とし自身の降格圏脱出に近づきたい。

   アトレチコ・パラナエンセは、監督交代後の4試合は1引き分けを挟み3連敗を喫したが、この試合は前節に続き無失点。2点目は高い位置に敷かれた最終ラインでのパスカットから素早くボールを前に運び獲得したPKで得点を奪うなど、攻守にコンパクトな陣形を維持した戦術が次第に浸透してきたか。
   この勝利で勝ち点26の5位に浮上。2位グレミオ(1試合未消化)まで勝ち点3差に詰めており、このまま上位争いを維持したい。
   次戦は7月29日に全国選手権第17節ホームにクルゼイロを迎える。

コリチバ(CFC) 2-0 フルミネンセ(FLU)

動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=5d5WxkaUJjo
(CFC) : 24' #30 ホビソン(Robson, 1991)[PK]
(CFC) : 28' #18 ジオゴ(Diogo, 1996)[#17 ビアンキ(Bianqui, 1998)]
(FLU) : N/A

見どころ(試合前の順位)

   コリチバは全国選手権2勝5分8敗勝点11の18位。
   フルミネンセは全国選手権7勝4分4敗勝点25の5位。

得点シーン

(CFC)前半24分 :
自陣からのカウンター。中央からボールを運ぶVOLブルーノ・ゴメス(Bruno Gomes, 2001)から左サイドのMFマルセリーノ・モレノ(Marcelino Moreno, 1994)にボールが渡る。MFマルセリーノ・モレノは浅い位置から逆サイドのゴールエリア手前にクロスを上げる。これを受けたFWホビソンがシュート体勢に入ったところをスライディングで倒されPKを獲得。このPKをFWホビソン自身が決め、コリチバが先制。
   FWホビソンは、守備的な戦術の中、守備に奔走しながらもカウンターでは一気に右サイドを駆け上がり、全国選手権でのチーム得点王となる5ゴール目をマーク。前々節では逆転弾を放ち、チームの引き分けを挟んだ3連勝に貢献。
(CFC)前半28分 :
ハーフウェイラインを挟んだCBクスチェヴィッチ(Kuscevic, 1996)と右SBナタナエウ(Natanael, 2002)のパス交換から、右SBナタナエウ(Natanael, 2002)が前を向き、ペナルティエリア手前のMFビアンキへ約25mのグラウンダーの縦パスを通すと、MFビアンキはディフェンダーの股を抜きペナルティエリアに侵入。そのまま中央へクロスを送ると新加入のFWジオゴが足に合わせコリチバが追加点。
   FWジオゴは7月20日に登録されたばかりで初出場初得点を記録。サンパウロ州選手権下位リーグのフランカーナから2020年にプラサ・コロニア/URUへ移籍、2023年は期限付き移籍でプーマス/MEXでプレーするが、出場機会を失いコリチバに買取オプション付きの期限付き移籍で加入。ブラジル全国選手権1部でのプレーは初となる。

試合概要

   フルミネンセがボールを握り、コリチバが中盤での厳しいマークでフルミネンセの攻撃を食い止める展開で試合は始まる。すると、前半24分にコリチバが自陣からのカウンターでPKを得て先制。その4分後には、相手陣に引いたフルミネンセの守備網を崩すゴラッソで追加点。前半41分にもコリチバがカウンターから好機を演出。一方のフルミネンセは、明らかな好機を作り出すことができず、前半を終える。
   ハーフタイムにフルミネンセは攻撃を修正。後半10分、ペナルティエリア右サイドを細かくボールを繋ぎシュートに持ち込むがコリチバGKガブリエウ(Gabriel, 1992)が好セーブ。一方のコリチバも、後半25分にGKのスローイングから縦に2本のパスを繋ぎ最後はシュートに持ち込むがフルミネンセGKファビオ(Fábio, 1980)がしっかりと弾き出す。2点を追い攻撃の勢いを強めるフルミネンセは後半30分、45分にコリチバゴールに襲い掛かるが、GKガブリエウが立ちはだかりゴールを許さない。
   試合はこのまま2-0でタイムアップ、ホームのコリチバが勝利を収めた。

所感 etc.

   コリチバは、チアゴ・コズロスキ(Thiago Kosloski)監督代行が指揮を執り4試合目。それまで0勝4分8敗9得点26失点のチームが、この4試合は3勝1分7得点2失点と大きく変貌。4試合で勝ち点10を積み上げ、降格圏脱出まで勝点差1の18位まで浮上した。
   CBクスチェヴィッチ、左SBジャメルソン・バイーア(Jamerson Bahia, 1998)、MFマルセリーノ・モレノ、FWホビソンの4選手を全4試合にスタメン起用するものの、計24選手を投入。2004年生まれのCBジアン・ペドローゾ(Jean Pedroso)の先発起用や、同じく2004年生まれのFWカイオ・セーザル(Kaio César)を全4試合に交代出場させるなど、実戦での戦術の浸透と、チーム内の競争による選手層の厚みを促している。
   次戦は7月30日に全国選手権第17節アウェイで首位ボタフォゴとの対戦。首位を独走するボタフォゴの2敗はカウンターを得意とするゴイアス、アトレチコ・パラナエンセが相手。特にゴイアス戦ではカウンターから左右に揺さぶられ失点しており、コリチバにも勝機はある。

   フルミネンセは、疲れの見えるFWヘルマン・カーノ(Germán Cano, 1988)、左SBマルセロ(Marcelo, 1988)が遠征に帯同せず、この試合に臨む。
   試合は立ち上がりからボールを保持し相手陣での細かいパス回しを繰り返すが、効果的に相手ゴールに迫ることができず、前半半ばに続けざまに失点。後半に入ると、最近の傾向通りCBに代えFWを投入、VOLアンドレ(André, 2001)がCBを務める形をとるが、中盤の厚みが減り、最後まで得点を奪えずあえなく敗戦。
   CBニノ(Nino, 1997)の相方となるセンターバックは、次々とケガやピッチ外のトラブル、年齢的な問題があり、常に不安定な状態。他のポジションも特定の選手に依存する形になっており、監督の名前からデニジズムと呼ばれる独特なサッカーは苦境に陥っている。
   リオデジャネイロ州選手権で11年ぶりの優勝を果たし、全国選手権も第6節までは3位につけていたが、以降は公式戦15試合で3勝5分7敗。この中にはコパ・ド・ブラジルの敗退も含まれており、全国選手権も首位まで勝点差15と差は広がる一方。FWヘルマン・カーノを温存するなど、既に焦点は全国選手権からリベルタドーレスに移っているが、残念ながら現状ではチームの伸びしろは少ない。
   次戦は7月29日に全国選手権第17節ホームにサントスを迎える。

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