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全国選手権第17節 対戦組合せ
以下の5試合の概要はこちらで。→ 【ブラジル全国選手権2023】第17節(1/2)
・2023/07/29 フルミネンセ(FLU) x サントス(SAN)
・2023/07/29 インテルナシオナウ(INT) x クイアバ(CUI)
・2023/07/29 アトレチコ・パラナエンセ(CAP) x クルゼイロ(CRU)
・2023/07/29 コリンチャンス(COR) x ヴァスコ・ダ・ガマ(VAS)
・2023/07/29 フォルタレーザ(FOR) x RBブラガンチーノ(RBB)
以下の5試合の概要はこの記事で。
・2023/07/29 アトレチコ・ミネイロ(CAM) x フラメンゴ(FLA)
・2023/07/30 サンパウロ(SAO) x バイーア(BAH)
・2023/07/30 ボタフォゴ(BOT) x コリチバ(CFC)
・2023/07/30 アメリカ・ミネイロ(AME) x パウメイラス(PAL)
・2023/07/30 ゴイアス(GOI) x グレミオ(GRE)
全国選手権第17節 試合概要
アトレチコ・ミネイロ(CAM) 1-2 フラメンゴ(FLA)
動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=3VWzL0bOYfg
(CAM) : 33' #9 パウリーニョ(Paulinho, 2000)[#26 サラーヴィア(Saravia, 1993)]
(FLA) : 79' #14 デ・アラスカエッタ(De Arrascaeta, 1994)[FK]
(FLA) : 87' #43 ウェズレイ(Wesley, 2003)[#14 デ・アラスカエッタ(De Arrascaeta, 1994)]
見どころ(試合前の順位)
アトレチコ・ミネイロは全国選手権5勝6分5敗勝点21の13位。
フラメンゴは全国選手権8勝4分4敗勝点28の3位。
得点シーン
(CAM)前半33分 :
自陣ペナルティエリア手前でVOLオターヴィオ(Otávio, 1994)が相手ボールを奪取。右SBサラーヴィアにボールを預けると、右SBサラーヴィアは相手守備ライン裏への抜け出しを図るFWパウリーニョへスルーパス。FWパウリーニョは綺麗に抜け出しボールを受けドリブルでペナルティエリアに侵入。そのまま右足を振り抜くとグラウンダーのシュートはGKの脇を抜け左サイドネットを揺らしアトレチコ・ミネイロが先制。
VOLオターヴィオは、アトレチコ・パラナエンセ下部組織出身で2014年1月の州選手権で19歳でのプロデビューを果たす。2017/18年に500万ユーロでボルドー/FRAに移籍、通算127試合3得点5アシストの記録を残し、2022年2月にアトレチコ・ミネイロへ期限付き移籍加入。同年6月に完全移籍。高い奪取力を誇るプリメイロボランチ。
FWパウリーニョは6月10日全国選手権第10節以来7試合ぶりの得点。最近の試合ではカウンターやライン裏への抜け出しのタイミングが合わず、監督交代以降の初得点。この試合でもこの得点シーン以外は消える時間が長く、本来のシュート力を発揮できておらず歯がゆい試合が続いている。
(FLA)後半34分 :
ペナルティエリアのすぐ外、正面からのFK。アトレチコ・ミネイロGKエヴェルソンは自身の右サイドを切り、左サイドに蹴らせる壁を作るが、MFデ・アラスカエッタは強烈なスピードのあるシュートをGKの左サイドに蹴り込みGKエヴェルソンの目論見を粉砕。フラメンゴが同点に追いつく。
2022W杯カタール大会のウルグアイ代表MFデ・アラスカエッタは、この試合に後半から出場すると、このFKでのゴールと2点目のアシストを記録。公式戦3試合連続のアシスト、7月に入って8試合3得点5アシストを記録。フラメンゴの好調を攻撃面の決定的な仕事で支えている。
(FLA)後半42分 :
敵陣に入った地点から、MFルイス・アラウージョ(Luiz Araújo, 1996)がMFデ・アラスカエッタへの縦パスを通す。MFデ・アラスカエッタは前を向くと、自身を追い抜いたSBウェズレイへスルーパス。SBウェズレイは間合いを詰めるGKの脇を通すシュートで左サイドネットを揺らす。
右SBウェズレイは、フラメンゴ下部組織出身で2021年12月の全国選手権最終節で18歳にしてプロデビュー。今季はホルヘ・サンパオリ(Jorge Sampaoli)監督の下、ウルグアイ代表のヴァレラ(Varela, 1993)を凌いでレギュラーの座を獲得。6月8日のリベルタドーレス以来のゴールは全国選手権での初ゴール。足元の技術が高く、高い位置をキープして攻撃に参加する攻撃的なサイドバック。2023年1月にはバルセロナ/ESPへの期限付き移籍が提示されるもクラブが金銭的な理由で拒否。現在(2023年7月末)は、ベンフィカ/PORが強い関心を寄せているという報道が流れている。
試合概要
ボール保持率: 前半:41% 59% ⇒ 前後半:41% 59%
シュート(枠内): 前半:12‐2 (3-2) ⇒ 前後半:23-6(6-5)
パス成功率: 前半:81% 87% ⇒ 前後半:81% 89%
アトレチコ・ミネイロは、MFパボン(Pavón, 1996)を軸に、試合開始後間もなくは右サイドから攻撃を展開。前半16分、右サイドからFWフッキ(Hulk, 1986)が蹴ったボールはゴールポストを直撃、跳ね返りのボールをCBジェメルソン(Jemerson, 1992)が反応し頭を合わせるがボールは枠を越える。その後、MFパボンは左サイドにポジションを変え、攻撃的なSBギリェルミ・アラーナ(Guilherme Arana, 1997)と組み左サイドで攻撃を作る。
しかし、先制点を奪ったのは右サイドから。自陣でのボール奪取から右SBサラビア(Saravia, 1993)が素早く前線にボールを送りFWパウリーニョが仕留める。前半40分にも右SBサラビアが右サイドを抜け出しシュートに持ち込むがフラメンゴGKマテウス・クーニャ(Matheus Cunha, 2001)の好守に阻まれる。前半アディショナルタイムには左SBギリェルミ・アラーナのクロスからFWパウリーニョが足を合わせるがボールは枠を捉えない。
アトレチコ・ミネイロが、前半を通しボールも試合も支配し、前半を1-0のリードで終える。
後半10分、アトレチコ・ミネイロは敵陣でボールを奪ったFWフッキがミドルシュート、後半13分、FWフッキがゴール前に上げたFKをフラメンゴGKマテウス・クーニャが辛うじて弾き返すと、そのこぼれ球にMFパボンがコースを狙ったシュートを放つが、再びGKマテウス・クーニャが片手でCKに逃れる。後半18分、自陣でボールを奪ったアトレチコは、素早く左サイドへ展開し、最後はMFパボンがシュートを放つ。このボールはGKマテウス・クーニャの手をはじくがクロスバーを叩きゴールを割ることができない。
アトレチコが攻勢に試合を進めるものの、ゴールを奪えずにいると、後半18分、フラメンゴFWブルーノ・エンヒキ(Bruno Henrique, 1990)が左サイドを守備ラインに抜け出しGKと一対一を迎える。しかし、アトレチコGKエヴェルトン(Éverson, 1990)が間合いを詰めシュートを防ぐ。
後半33分、後半開始時にピッチに立ったMFデ・アラスカエッタが相手陣ペナルティアークでファールを受けると、自らFKを蹴り直接ゴールに叩き込む。MFデ・アラスカエッタは後半42分にも後方からのボールを受け前を向くと守備ライン裏へ抜け出しを図るSBウェズレイへスルーパス、SBウェズレイの逆転弾を引き出す。試合はこのままタイムアップを迎え、2-1でフラメンゴの逆転勝利。
所感 etc.
アトレチコ・ミネイロは、中盤で素早くマークにつく守備が機能。フラメンゴに効果的な攻撃の形を作らせない。相手ボールを奪うと速い攻撃を繰り出しリズムを掴むと、次第に相手陣でボールを展開し試合の主導権を握る。しかし、相次ぐチャンスを相手GKの好守やシュートミスで逸すると、少ないチャンスをゴールに結びつけられ悔しい逆転負け。
試合を通じたボール保持率ではフラメンゴに劣ったものの、試合をコントロールし、得点機は相手を上回った試合内容。監督交代以来、一番の内容ではあったものの、2点目を奪うことができなかったことが響いた。
この敗戦で、ルイス・フェリピ・スコラーリ(Luiz Felipe Scolari)監督の就任以来、8試合未勝利となった。
次戦は、8月2日にコパ・リベルタドーレス決勝ラウンド一回戦、パウメイラスとの1stレグをホームで迎える。全国選手権第18節は8月6日にアウェイでのサンパウロ戦が予定されている。
フラメンゴは、試合を支配されながらも、後半開始時に投入したMFデ・アラスカエッタの活躍で逆転勝利。
6月22日の敗戦後は10試合を7勝3分無敗、全国選手権は暫定2位、リベルタドーレスは決勝ラウンドに進出、コパ・ド・ブラジルも準決勝進出を決めている。
チーム内でのトラブルや、退団した選手が監督との確執をメディアに話すなど、ピッチを離れたところでの問題が噴出しているが、ピッチの上では、一定以上の成績を収めている。
次戦は、8月3日にコパ・リベルタドーレス決勝ラウンド一回戦、オリンピア/PARとホームでの1stレグ。全国選手権第18節は8月6日にアウェイでのクイアバ戦が控える。
サンパウロ(SAO) 0-0 バイーア(BAH)
動画URL:
(SAO) : N/A
(BAH) : N/A
見どころ(試合前の順位)
サンパウロは全国選手権7勝4分5敗勝点25の6位。
バイーアは全国選手権3勝5分8敗勝点14の17位。
得点シーン
N/A
試合概要
ボール保持率: 前半:57% 43% ⇒ 前後半:56% 44%
シュート(枠内): 前半:9‐4 (5-0) ⇒ 前後半:11-4(7-0)
パス成功率: 前半:84% 75% ⇒ 前後半:85% 75%
サンパウロは、FWカレリ(Calleri, 1993)、FWルシアーノ(Luciano, 1993)のツートップを同時に累積警告による出場停止で欠く。
一方のバイーアは、前節の0-0の結果を受け、FWエヴェラウド(Everaldo, 1991)からFWミンゴッチ(Mingotti, 2000)のみの先発変更で試合に臨む。
試合は、サンパウロが、開始10秒の左サイドからのクロスボールにMFホドリゴ・ネストール(Rodrigo Nestor, 2000)が頭を合わしたシュートを皮切りに、次々とサイドを広く使い、人数をかけた攻撃でチャンスを作り出す。しかし、人数をかけながらも、強引なシュートが多く、フリーの選手にボールが渡らずチャンスを生かすことができない。
一方のバイーアは、前半27分にFWアデミール(Ademir, 1995)がペナルティエリア右角の外から、前半28分には自陣中央からVOLヘゼンジ(Resende, 1995)がドリブルで持ち上がり、最後は左SBマテウス・バイーア(Matheus Bahia, 1999)がペナルティエリア左角の外から、強引なシュートに持ち込むがいずれも枠を越えていく。
サンパウロは、前半33分、相手GKからディフェンダーへのパスをカットしたFWフアン(Juan, 2002)がFWデイヴィジ(David, 1995)にボールを送るが、FWデイヴィジのシュートは枠を捉えない。前半41分の右SBハフィーニャ(Rafinha, 1985)、前半45+1分のMFホドリゴ・ネストールのシュートは、いずれもバイーアGKマルコス・フェリピ(Marcos Felipe, 1996)の堅実な守備にゴールを阻まれる。
後半に入ってもサンパウロの猛攻は続くが、後半10分のMFホドリゴ・ネストールのシュート、後半11分のビルドアップからの流れで攻撃に参加したCBルーカス・ベラウド(Lucas Beraldo, 2003)の左足のシュート、いずれもバイーアGKマルコス・フェリピが立ちはだかる。
後半21分、バイーアは相手陣中盤右サイドでのパスカットから、MFカウリー(Cauly, 1995)がボールを拾い、ゴール前に走り込むFWジャカレー(Jacaré, 1999)にスルーパスを送る。FWジャカレーはボールをゴールに流し込むが、これは僅かにオフサイド。MFカウリーとFWジャカレーのコンビは後半28分にもシュートに持ち込むが、これは勢いがなくGK正面をつく。
後半45分には、サンパウロが左CKからCBルーカス・ベラウドが折り返したボールにCBアルボレーダ(Arboleda, 1991)がヘディングシュートを放つ。しかし、またもやGKマルコス・フェリピがボールを掻き出すファインセーブ。
ホームのサンパウロが優勢に試合を進めるも、最後までバイーアGKマルコス・フェリピの牙城を崩すことができず、スコアレスドローで試合を終えた。
所感 etc.
サンパウロは、主力FW2名の出場停止と、前半半ばにFWエリソン(Erison, 1999)の負傷交代があったとはいえ、ゴール前のアイディア不足、人数をかけた攻撃をふいにする選択肢のミス、シュートの精度を欠くなど、無得点で試合を終える。これまで築き上げてきた中盤の守備はこの試合でも機能し、ピンチらしいピンチはなく、守備から攻撃への移行もスムースに行われていただけに、残念な結果となった。
コロンビア代表で90試合26ゴールを誇るハメス・ロドリゲス(James Rodríguez, 1991)の加入も7月29日に発表され、相手ゴールに近い位置でのポジション争いの激化が予想される。
FWアレシャンドレ・パト(Alexandre Pato, 1989)が後半23分に投入されるが、試合の流れに乗ることができず、チーム全体のパフォーマンスも低下することに。契約は全国選手権最終節までだけに、一試合でも早くチーム戦術に溶け込みたい。
次戦は、コパ・スウアメリカーナ決勝ラウンド一回戦、サンロレンツォ/ARGとの1stレグ、アウェイでの試合が8月3日に予定されている。全国選手権第18節は8月6日、ホームにアトレチコ・ミネイロを迎える。
バイーアは、試合を通してサンパウロに支配された難しい試合。しかし、2試合連続で無失点に抑えたことは評価できる。
ケガで戦列を離れていたジャカレーが、3バックでの右ウィングから、4バックでのワントップとして復帰。わずかな出場時間で、2つの大きなチャンス(一つはオフサイド)に絡むなど、下位に低迷するチームにとって明るい材料となった。
6月21日全国選手権第11節パウメイラス戦での勝利後は勝ち星がなく5分3敗。順位も降格圏の17位に転落。
シーズン前は7000万レアル(約20億円)を有望な若手選手の獲得に充てたものの、全国選手権に入ってからは多くの若手選手に出場機会はなく、7月の移籍ウィンドウで中堅選手の獲得に向かうなど、クラブとして迷走しているバイーア。まもなく全国選手権も後半戦に差し掛かるが、巻き返すことができるだろうか。
次戦は、全国選手権第18節、8月6日にホームで降格圏に低迷するアメリカ・ミネイロとの対戦。
ボタフォゴ(BOT) 4-1 コリチバ(CFC)
動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=0OWGvwwY1BM
(BOT) : 3' #10 グスタヴォ・サウエル(Gustavo Sauer, 1993)[]
(CFC) : 9' #6 ブルーノ・ゴメス(Bruno Gomes, 2001)[#18 ジオゴ(Diogo, 1996)]
(BOT) : 36' #9 チキーニョ・ソアレス(Tiquinho Soares, 1991)[#10 グスタヴォ・サウエル(Gustavo Sauer, 1993)]
(BOT) : 45+3' #10 グスタヴォ・サウエル(Gustavo Sauer, 1993)[#7 ヴィクトル・サー(Victor Sá, 1994)]
(BOT) : 51' #9 チキーニョ・ソアレス(Tiquinho Soares, 1991)[#7 ヴィクトル・サー(Victor Sá, 1994)]
見どころ(試合前の順位)
ボタフォゴは全国選手権13勝1分2敗勝点40の首位。
コリチバは全国選手権3勝5分8敗勝点14の18位。
得点シーン
(BOT)前半3分 :
左サイドをペナルティエリア沿いに上がったFWヴィクトル・サーが中央へクロス。これはクリアされるが、ペナルティアークからVOLマルロン・フレイタス(Marlon Freitas, 1995)がシュート。ブロックされたボールを二列目に位置取ったFWグスタヴォ・サウエルは胸トラップから左足を一閃。ボールはゴールネットに突き刺さる。FWヴィクトル・サーがクロスを上げる時点で、コリチバはGKを除く8選手がペナルティエリア内。ボタフォゴはFWヴィクトル・サーを含め僅かに3選手のみ、ペナルティエリア入口に3選手が位置取りセカンドボールへの対応を優先させる。この目論見が嵌った先制点。
FWグスタヴォ・サウエルは、2022年4月にルイス・カストロ(Luís Castro)前監督の要望でボタフォゴがボアヴィスタ/PORから獲得。加入後間もなくケガで離脱、復帰後も出場機会は多くない。2023年も出場機会は限られる中、この試合は2得点1アシストを記録。今季通算24試合7得点3アシスト(全国選手権5試合2得点1アシスト)。
(CFC)前半9分 :
自陣からのロングフィードにFWジオゴが頭で後方のVOLブルーノ・ゴメスに向けボールを落とす。VOLブルーノ・ゴメスはGKが前に出ていることを確認し、ダイレクトに約30mのロビングシュート。これがゴールに吸い込まれ、コリチバが同点に追いつく。
VOLブルーノ・ゴメスは、2022年7月にインテルナシオナウから期限付き移籍でコリチバに加入。加入後間もなくレギュラーの座を掴むと、2023年1月、コリチバは買取オプションを行使。今季も不動のレギュラーとしてチーム34試合のうち32試合に出場。チーム成績が振るわない中、攻守にコリチバの中盤を支え、このゴールは4月29日第3節サンパウロ戦以来の2ゴール目となった。
(BOT)前半36分 :
FWグスタヴォ・サウエルが蹴る右CKにFWチキーニョ・ソアレスが頭を合わせ逆転。今季のボタフォゴのCKの特長は、ゴールエリアに選手を置かず、後方から飛び込むことで高い打点でのヘディングや送られるボールへの微調整が可能となっている
(BOT)前半45+3分 :
左サイドライン際の一対一をFWヴィクトル・サーが制し、ゴールライン際に抜け出し、ペナルティエリア入口へマイナスのグラウンダーのクロス。FWグスタヴォ・サウエルがダイレクトに左足を振り抜く。ボールはGKの手を弾きゴールネットを揺らす。
このゴールも少ない選手で演出。ペナルティエリアにはボールを運んだFWヴィクトル・サーを含め3選手。守備ライン裏を狙うMFエドゥアルド(Eduardo, 1989)、マイナスのクロスを待ち構えるFWグスタヴォ・サウエル、FWヴィクトル・サーとFWグスタヴォ・サウエルの延長線上に選手が一人詰めており、クロスの時点と、シュートの時点(シュートまたはスルー)で複数の選択肢が用意されている。
FWヴィクトル・サーは、ブラジル国内の上位リーグでプレーすることなくオーストリアへ移籍。オーストリア2部で2年、1部で2年プレーし、2年間のヴォルフスブルク/GER、1年弱のアル・ジャジーラ/UAEを経て、2022年3月26日にボタフォゴに加入。持ち味のサイドライン際でのスピード豊かなドリブルとゴールライン際への突破でコンスタントに試合に出場。今季は今節終了時点で34試合5得点5アシスト(全国選手権13試合1得点2アシスト)を記録。
(BOT)後半6分 :
自陣からのフィードにFWチキーニョ・ソアレスが落としカウンターが発動。左サイドをFWヴィクトル・サーが持ち上がり、ゴールライン際からゴール前にマイナスのクロス。FWチキーニョ・ソアレスが頭を合わせボタフォゴがダメ押しの4点目。
このゴールも3点目同様、①ゴールライン際まで持ち上がる選手、②①とほぼ平行の位置取りでゴール正面に向かう選手、③②と前後の並びでマイナスのクロスに備える選手、④①と③の延長線上に位置取る選手、の配置で奪ったゴール。
FWチキーニョ・ソアレスはこの試合2得点で全国選手権得点ランキングを独走する13得点目。
試合概要、所感 etc.
ボール保持率: 前半:56% 44% ⇒ 前後半:53% 47%
シュート(枠内): 前半:8‐3(3-2) ⇒ 前後半:13-9(7-5)
パス成功率: 前半:87% 80% ⇒ 前後半:87% 86%
ボタフォゴは、警告累積による出場停止の守備の要CBアドリエウソン(Adryelson, 1998)に代わりCBフィリピ・サンパイオ(Philipe Sampaio, 1994)、3トップの一角にコパ・スウアメリカーナを中心に起用され全国選手権では5月14日第6節以来の先発となるFWグスタヴォ・サウエルを起用。
試合開始早々にセットプレーから先制するも、高い位置で厳しいマークを仕掛けるコリチバに手こずり、前半9分に同点に追いつかれると、前半33分には相手陣に入ったところでボールを奪われ逆転のゴールを許す。と思われたが、VARによる検証でボール奪取時にコリチバのファールが認められ、ゴールは取り消される。
すると、直後のプレーで勝ち越し。さらに、前半アディショナルタイム、後半開始間もなくに追加点。セットプレーと、ギアが入った際に一気にスピードが上がる攻撃で、全国選手権1部では2018年以来となる4得点を奪い完勝を収めた。
4得点は、FWグスタヴォ・サウエル、FWヴィクトル・サー、FWチキーニョ・ソアレスが、それぞれゴールとアシストを記録。いずれも2022年のルイス・カストロ前監督の就任直後にボタフォゴに加入した選手。他にもCBアドリエウソンやCBフィリピ・サンパイオ、MFエドゥアルドなども同時期にルイス・カストロ前監督の眼鏡にかない加入。今季はこれらの選手が中核となり、若手選手や今季前に加入した選手が上手く組み合わさり、チーム全体に戦術も浸透して現在に至っている。
この勝利で勝ち点は43。2位フラメンゴ、3位パウメイラスとの勝点差は12。1試合未消化の4位グレミオとの勝点差は13に広がった。
次戦は、8月2日にコパ・スウアメリカーナ決勝ラウンド一回戦1stレグ、ホームでグアラニー/PARを迎える。全国選手権第18節は8月6日にアウェイでのクルゼイロ戦が控える。
コリチバは、1引き分けを挟む3連勝で首位ボタフォゴに挑んだが、ボタフォゴの壁は厚かった。
試合開始直後に失点を喫するも、すぐにVOLブルーノ・ゴメスのゴラッソで同点。自陣入口で厳しいチェックを仕掛け、ボールを奪ってはカウンターでチャンスを作り出し、前半33分には幻の逆転弾を決めるなど、ここまでは互角の内容で試合を展開。しかし、ここからボタフォゴのスピードのある攻撃を止めることができず、相次いでゴールを奪われ、1-4の完敗を喫した。
7月の移籍ウィンドウでFW陣を大幅に入れ替え。身長194㎝のジオゴ(Diogo, 1996)が高さを活かしアシストを記録。前節に続き途中出場の2021年全国選手権2部得点王エドゥ(Edu, 1993)、初出場を飾ったガルセス(Garcez, 1997)はいずれも身長180㎝を越え、セットプレーからの得点も期待できるだけに、早くチーム戦術に溶け込みたい。
チーム成績は直近の4試合で勝ち点10を積み上げたものの、今節は一旦足踏みし、順位は降格圏内の18位。次節以降に巻き返したい。
次戦は、8月6日に全国選手権第18節、ホームでのRBブラガンチーノ戦。
アメリカ・ミネイロ(AME) 1-4 パウメイラス(PAL)
動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=-vNO-ugZB4M
(PAL) : 18' #26 ムリーロ(Murilo, 1997)[#25 ガブリエウ・メニーノ(Gabriel Menino, 2000)]
(PAL) : 26' #10 ホニ(Rony, 1995)[#8 ゼ・ハファエウ(Zé Rafael, 1993)]
(AME) : 38' #30 ニコラス(Nicolas, 1997)[FK]
(PAL) : 53' #14 アルトゥール(Artur, 1998)[#12 マイキ(Mayke, 1992)]
(PAL) : 59' #10 ホニ(Rony, 1995)[#23 ハファエウ・ヴェイガ(Raphael Veiga, 1995)]
見どころ(試合前の順位)
アメリカ・ミネイロは全国選手権2勝4分9敗勝10点の19位。
パウメイラスは全国選手権7勝7分2敗勝点28の4位。
得点シーン
(PAL)前半18分 :
左サイドライン際からVOLガブリエウ・メニーノが蹴るFKにCBムリーロが頭を合わせパウメイラスが先制。
CBムリーロは、クルゼイロ下部組織出身で2017年6月の全国選手権で20歳のプロデビュー。2019年7月から2021年末までロコモティフ・モスクワ/RUSでプレー。2022年1月にパウメイラスに入団すると間もなくレギュラーの座を獲得し、この年は57試合11得点2アシストと守備だけでなくセットプレーから多くの得点に関与しパウメイラスの全国選手権制覇に貢献。個人賞として全国選手権ベストイレブンに選出。2023年は5月、6月のケガによる戦列離脱もあり、この試合が25試合目の出場。その戦績は14勝9分2敗と、CBグスタボ・ゴメス(Gustavo Gómez, 1993)との相性は非常に良い。
(PAL)前半26分 :
VOLガブリエウ・メニーノが蹴る左CK。ゴール前奥でCBグスタボ・ゴメスが頭でペナルティエリア入口にボールを戻し、CBムリーロ、VOLゼ・ハファエウと繋ぎ、最後はFWホニが相手ディフェンダーの間からシュート。これがゴールネットを揺らし、パウメイラスが追加点。
FWホニは、2017年にアルビレックス新潟でプレー。その後、アトレチコ・パラナエンセを経て、2020年に600万ユーロ相当の移籍金でパウメイラスに入団。2022年には170㎝の身長ながら「9番(センターフォワード)」で起用されるようになるとチームの得点力が一気に上がり9番に定着。スプリントや一瞬のスピードに長け、難しい態勢からのシュートや巧みなポジショニングによるヘディングシュートによるゴールも多いストライカー。2023年3月25日、代表初招集のモロッコ戦で先発出場。同年6月の代表親善試合の2試合にも途中交代出場を果たす。
(AME)前半38分 :
ゴール正面やや左約25m地点からのFK。左SBニコラスが直接狙ったシュートは壁に当たりコースが変わってゴールイン。前半のうちにアメリカ・ミネイロが1点を返す。
左SBニコラスは、アトレチコ・パラナエンセ下部組織出身で2016年6月の全国選手権で19歳にして初出場初スタメンでプロデビュー。シーズン後半にはレギュラーを獲得する。しかし、翌2017年には出場機会が減少、ポンチプレッタやアトレチコ・ゴイアニエンセ、グレミオへの期限付き移籍を繰り返し、2022年12月に2025年末までの契約でアメリカ・ミネイロに入団。ダニーロ・アヴェラール(Danilo Avelar, 1989)、マルロン(Marlon, 1994)とポジション争いを繰り広げ、今節終了時点でチーム44試合のうち、24試合(うち18試合先発)1644分の出場、このゴールが今季初ゴール、他に2アシストを記録している。
(PAL)後半8分 :
相手陣右サイドの浅い地点からSBマイキがゴール前にクロス。FWアルトゥールがGKがパンチングに飛び出す機先を制し、ヘディングのシュート。これがゴールに吸い込まれ、パウメイラスが貴重な追加点。
FWアルトゥールは身長168㎝ながら、今季の10得点の内6得点をヘディングでマーク。左右両SBのクロス精度の高さと、FWアルトゥールのポジショニングの的確さが数字に表れている。
(PAL)後半14分 :
自陣センターサークル付近からCBムリーロから縦にMFハファエウ・ヴェイガ、FWホニとパスが繋がり、ペナルティエリアに侵入したFWホニが切り返しでディフェンダーをかわしシュート。パウメイラスにダメ押しの4点目が生まれる。
試合概要、所感 etc.
ボール保持率: 前半:53% 47% ⇒ 前後半:48% 52%
シュート(枠内): 前半:7‐7(3-3) ⇒ 前後半:13-13(7-7)
パス成功率: 前半:85% 77% ⇒ 前後半:81% 81%
パウメイラスが、セットプレーからの空中戦で相手を上回り、前半30分までに2得点。1点差のリードで迎えた後半も、サイドからのクロスと縦に速いパスを繋ぎ、15分間で2点を追加し、危なげのない勝利。久しぶりにパウメイラスらしい試合展開を披露した。
この勝利で勝ち点を31に伸ばし、暫定ながら3位に浮上。全国選手権は、3分2敗と5試合未勝利が続いた後の2連勝。不振脱却を感じさせる試合内容だった。
次戦は、8月2日コパ・リベルタドーレス決勝ラウンド一回戦、アウェイでのアトレチコ・ミネイロとの1stレグ。全国選手権第18節は、8月5日にアウェイでフルミネンセとの一戦。
アメリカ・ミネイロは、セットプレーと空中戦でのマークが甘く計4失点。
攻撃面では、MFペドリーニョ(Pedrinho, 1999)が個人技で打開を図るが、周囲との連係が合わず、強引なシュートやボールロストを続ける。しかし、MFペドリーニョ以外に効果的な攻撃を組み立てることができない。前半アディショナルタイムには、少ないタッチのパスを横、縦、横と繋ぎ、最後はFWマストリアーニ(Mastriani, 1993)がGKと正対するが、シュートは枠を大きく外れ、同点に追いつく絶好のチャンスを逃してしまう。
この敗戦で全国選手権は7試合勝ち星から遠ざかる結果となり、1試合未消化とは言え降格圏脱出までに必要な勝点差は6、厳しい状況が続いている。
次戦は、8月3日に、全国選手権とは見違える試合内容のコパ・スウアメリカーナ、決勝ラウンド一回戦の1stレグ、RBブラガンチーノとホームでの一戦。コパ・スウアメリカーナに挟まれた全国選手権第18節は、8月6日にアウェイでのバイーア戦が予定されている。
ゴイアス(GOI) 1-1 グレミオ(GRE)
動画URL: https://www.youtube.com/watch?v=7NTn6Gsim18
(GOI) : 77' #9 マテウス・バビ(Matheus Babi, 1997)[#60 ギリェルミ(Guilherme, 1991)]
(GRE) : 90+3' #77 アンドレ(André, 2001)[#10 フェヘイラ(Ferreira, 1997)]
見どころ(試合前の順位)
ゴイアスは全国選手権4勝3分9敗勝点15の16位。
グレミオは全国選手権9勝2分4敗勝点29の2位。
得点シーン
(GOI)後半32分 :
MFギリェルミが蹴る左CK。体を当てられながらも長い滞空時間のジャンプでボールを頭に合わせたFWマテウス・バビのシュートはゴール右隅に決まりゴイアスが先制。
FWマテウス・バビは、アトレチコ・パラナエンセ所属、2022/23年は期限付き移籍でサンタクララ/PORでプレー。31試合6得点の実績を残し、2023年7月25日(今節の5日前)に期限付き移籍でゴイアスに加入した身長191㎝の大型センターフォワード。後半23分の途中交代出場から僅か10分でクラブ初ゴールを飾った。
(GRE)後半45+3分 :
MFフェヘイラが蹴る右CKに、FWアンドレがニアサイドで空中戦を制して頭を合わせたボールはゴール左サイドネットを揺らす。土壇場でグレミオが同点。
FWアンドレは、2023年サンタカタリーナ州選手権での活躍を受け、2023年4月4日に全国選手権4部エルシリオ・ルースからグレミオに買取オプション付きの期限付き移籍で加入。身長189㎝でセンターフォワードが本職だが、エルシリオ・ルースではセカンドトップや中盤でもプレーしており、足元の技術や戦術眼も高いレベルにある。グレミオでは途中交代出場が続くが、全国選手権は10試合134分の出場時間でこのゴールは第12節以来の2点目。将来性を感じさせるストライカー。
MFフェヘイラはグレミオ下部組織出身。下部リーグの複数のチームへの期限付き移籍を経て、2020年にグレミオで41試合に出場、主力の一角を占める。2021年は9か月のシーズンで52試合14得点13アシストを記録するが、2022年は相次ぐケガに悩まされ3か月足らずの実働で15試合の出場にとどまる。2023年は州選手権開幕から試合に出場するものの、3月にケガが再発。7月に復帰を果たすと、様子を見ながらの出場ながら、月間7試合179分の出場で3アシストをマーク。2023年3月、ヴァスコ・ダ・ガマからオファーを受けるがクラブが拒否、2023年7月にはセルティックス/SCOから移籍金600万ユーロのオファーを受けるが、恐らくクラブは拒否するものと思われる。
試合概要
ゴイアスは残留を争う順位ながら、暫定3位のグレミオを相手に積極的な試合を展開。
自陣で高くコンパクトに守備ラインを敷き、前線がボールの出どころにプレスをかけ、中盤がボールの受け手へ素早くチェックに入りボールを奪取。ボールを奪うと前線は両サイドに大きく広がり、2列目が大きく広がる前線の間に顔を出し、次々とチャンスを作り出す。しかし、決定的なシーをも複数迎えたものの、シュート精度に欠き、ゴールを奪うことができない。
ゴイアスが後半も優勢に試合を進めると、後半32分、ついにゴイアスがセットプレーから先制点を奪う。
その後は、グレミオがMFフェヘイラ(Ferreira, 1997)を中心にゴイアス陣に攻め入り、後半36分にMFフェヘイラがクロスバーを叩くシュートを放つなどゴールに迫るシーンが増えるが、ゴイアスも後半45+1分にSBブルーノ・サントスがクロスバーを直撃するヘディングシュートを放つなど、勝利への執念を見せる。
しかし、後半45+3分、右サイドのCKからグレミオがゴールをこじ開け同点。試合は1-1の引き分けに終えた。
所感 etc.
ゴイアスは勝利に相応しい内容の試合を展開するが、後半アディショナルタイムのセットプレーでゴールを許し、勝ち点2を失う悔しい試合。
采配8試合目を迎えたアルマンド・エヴァンジェリスタ(Armando Evangelista)監督はこれで3勝2分3敗。就任前のチームスタイルをベースにチームを立て直し、これまでは比較的下位のチームとの試合で少しずつ結果を残してきたが、今節は上位争いを展開するグレミオと互角以上の試合を行い、監督も選手も自信となったはず。補強で獲得したばかりの選手も活躍し、暫定16位ながら今後への見通しは明るい。
次戦は、8月2日にコパ・スウアメリカーナ決勝ラウンド一回戦、エストゥジアンテス/ARGとアウェイでの1stレグ。コパ・スウアメリカーナに挟まれた全国選手権第18節は、8月5日ホームにフォルタレーザを迎える。この3試合を如何に戦うか、アルマンド・エヴァンジェリスタ監督の采配に注目したい。
グレミオは、先発にCBグスタヴォ・マルチンス(Gustavo Martins, 2002)、VOLホナウジ(Ronald, 2003)、MFクイアバーノ(Cuiabano
, 2003)の若い選手を抜擢。しかし、ゴイアスの組織的な守備に、いつものように厚くした中盤で優位に立つことができず、ツートップのFWルイス・スアレス(Luis Suárez, 1987)やFWビテロ(Bitello, 2000)にボールが渡らない苦しい展開。
後半開始時に2選手を交代するも、試合の流れを変えることができず、ゴイアス先制後になり、ようやくMFフェヘイラを中心に攻撃の形が作ることができるようになる。しかし、後半36分のMFフェヘイラのクロスバーに嫌われるシュート以外に大きなチャンスは訪れず、これまでかと思われた試合終了間際にCKから辛うじて同点に追いつくことに成功。
何とか勝ち点1を積み上げたものの、首位ボタフォゴとの勝点差はさらに広がり、順位も1試合未消化ながら暫定4位に転落。若手選手にチャンスを与えられたものの、期待に応えることができた選手は僅か。上位争いを繰り広げる中、出場機会も限られてくると思われるが、次回の起用時にはチャンスを逃さずにものにしてもらいたい。
次戦は、8月6日に全国選手権第18節アウェイでのヴァスコ・ダ・ガマ戦。